伝えたい、銀の伝統装身具の装いと心 なぜ銀の装身具で飾るのか

伝えたい、銀の伝統装身具の装いと心
古来、世界各国で創られた銀の装身具。
銀は聖なるものとされ、アイテムは頭の先から背中、
足の指先までとすべてが揃っています。
人々は身を装うためなら、
体の一部に孔を開けることさえも厭いません。
銀の装身具は厳しい自然・社会環境の中で身を守り、
生きていくための必需品であり、
邪を払い、民族のアイデンティティーを示す標識でもあります。
この装身具図鑑では、世界各地域を9つの文化圏に分け、
銀の伝統装身具407点を美しい写真とともに解説する
今までにない図鑑となっています。
ここでは本書に掲載されている装身具のごく一部をご紹介します。
造形美やそこに込められた想いをどうぞご覧ください。
なぜ銀の装身具で飾るのか
自己を美しく装うため
美しいものを身につけて自己を美しく
装いたい。人間が本来もっている基本
的な文化的欲求です。美しい素材が多
くある中でも銀はもっとも普遍的な素
材として用いられました。
01 |「神々の宿る銀」特設サイト
邪を払い、招福を願って
怪我をせず病気にもならず、日々幸せ
に生活することはすべての人の願いで
す。砂漠で移動生活をする人や山間部
など厳しい自然条件で暮らす人々は、
その願いを銀の装身具に託し、身を守
るお守りとして身につけたのです。
信仰・宗教の証として
世界には仏教、ヒンドゥー教、イスラ
ム教、キリスト教その他さまざまな宗
教があります。信仰心の厚い人たちは、
自分たちの信じる宗教のシンボルを首
に 掛 け、腕 に 巻 い て 常時肌身離 さ ず
持っています。
財産(動産)として
銀は金ほどではありませんが財産とし
ての一定の価値があります。何かあっ
た場合、銀の装身具を売りさえすれば、
あるいは食物と交換すればしばらくは
生きていけるのです。
02 |「神々の宿る銀」特設サイト
民族のアイデンティティー、
さらには民族の誇りとして
銀の装身具は、諸民族の標識でありシ
ンボルです。また民族の誇りというメ
ンタルなものの表現でもあります。銀
の装身具はもはや単なるモノではあり
ません。精神性の高い、民族の心の造
形となります。
世界の伝統装身具図鑑
世界には私たちの知らない銀の伝統装身具がたくさんあります。
それらを、東アジアから南北アメリカまでの9つの文化圏に分けて紹介します。
東アジア
福を呼び寄せる吉祥文様のモチーフ
南京錠形首飾り(長命鎖)
中国/19世紀末〜20世紀前半/トップ部の幅13.1cm
清王朝末期から民国(中華民国)時代に上流階級の女性が用いた大型
の南京錠の形をした首飾り。この形の首飾りは「長命鎖(ちょうめいさ)
」
とも呼ばれ、生命に鍵をかけることにより災いを避け邪気を払うことができ
ると信じられた。主に子供が身につけたものだが、このような成人女性用
の豪華なものもあった。トップ部には老若男女や花々、獅子など縁起のい
い模様がぎっしりと精緻に打出されている。中央の3足の容器は鼎(かなえ:
食物を煮るための古代の金属器)か。
腕飾り
中国/19世紀末〜20世紀前半/外径8.5cm
清王朝末期から民国にかけては銀の腕飾りが盛んに用いられた。
中空の作りで、吉祥を意味する蝙蝠(こうもり)の図柄が刻まれている。
03 |「神々の宿る銀」特設サイト
7連の首飾り
中国南部(民族:ミャオ、トン)/20世紀末頃
幅19cm
大振りな7連の首飾り。太い銀材に切り込みを入れ、
ねじったものを重ねて作ったものだが、この技術力
の高さには驚かされる。中空でないので、ずっしり
と重い。
大振りな耳飾り
中国南部(民族:ミャオ)/20世紀/幅4〜6.5cm
ミャオ族の女性たちは耳飾りが大好きで、
ボリュームたっ
ぷりな耳飾りで耳を華やかに飾る。多種多様なデザ
インがあるが、ここで紹介しているのはその中でも代
表的なもの。
粧刀(チャントゥ)
韓国/19〜20世紀初め/長さ13〜15cm
「粧刀」と書いて「チャントゥ」と読む。チャントゥを
身につける風習は古く、高麗時代に元(げん:モン
ゴル民族が宋を滅ぼして建てた中国王朝。1271〜
1368年)から伝えられた。護身のためだけでなく、
装飾用として、また勇気と倫理観の象徴として男女
とも腰帯などに下げて身につけた。堅固な作りの左
は男性用だろう。銀の箸(はし)がセットされている
ものも多いが、毒で変色する銀の特性から毒見をす
るためにも用いられた。
指輪(パンジ、カラクチ)
韓国/19〜20世紀初め/外径2.5cm
朝鮮王朝時代の指輪には、
未婚女性用の1重環の
「パ
ンジ(半指)
」
(左)と、既婚女性用の2重環の「カ
ラクチ」(右)の2種類ある。形はいずれも甲丸型で
肉厚のものが喜ばれた。パンジには長寿と幸福を願っ
て吉祥文様の蝙蝠(こうもり)が彫られることが多い。
蝙蝠は「偏福」(福が偏る)に通じるため幸運の象
徴とされる。カラクチは2環が合体することにより「夫
婦一身」「二姓之合」を象徴する。
04 |「神々の宿る銀」特設サイト
東南アジア
大陸と島々に息づく独自の装身具文化
子供用首飾り
タイ、ゴールデン・トライアングル地域(民族:メオ)
20世紀/全体の幅13cm
小振りなので子供用であろう。メオ族(自称=モン)
の人々にとって銀の首飾りは非常に大切な装身具で、
幼年期から身につける習慣が古くからあった。
指輪
タイ、ゴールデン・トライアングル地域(民族:アカ、
メオ)/20世紀/上面装飾部2〜4.2cm
アカ族やメオ族の人々の指輪。立体的な花模様は、
ゴールデン・トライアングル地域に咲いたケシの花
がモチーフだといわれる。
耳飾り
インドネシア:スマトラ島、スンバ島、フロレス島、
ティモール島(民族:カロ・バタク、スンバ、他)
20世紀/長さ4.5〜12.5cm
インドネシアの島々にはそれぞれ特有の形をした耳飾
りがある。スンバ島のスンバ族の「マムリ」と呼ばれ
る耳飾りで、結婚の時に贈られる。これを身につけ
ると病気が防げるといわれ、大きなものはペンダント
としても用いられる。
05 |「神々の宿る銀」特設サイト
ヒマラヤ地域
装身具に込めた山岳民の祈りと幸せ
お守りペンダント
ネパール、他/20世紀/幅6cm
ネパールやチベットで見られるお守りペンダント
(護符)
。
表面は「キールティムカ」と呼ばれる頭部と両手だ
けから成る魔よけの力をもつとされる想像上の動物
がモチーフ。キールティムカに守られているかのように、
中には神像が鎮座している。作りは精巧で、表面は
トルコ石、サンゴ、ラピスラズリで飾られ、中の神像
はサンゴで作られている。
衣服留め具(コマ)
ブータン/20世紀後半/1個の直径6cm 弱
ブータンのキラという巻き衣の民族衣装を両肩で留
める時に用いるコマと呼ばれる装飾的な留め具。現
在でも使われている。表面には吉祥文様が施され、
裏には布を引っ掛けるための鉤(かぎ)状の金具が
取り付けられている。コマからチェーンを垂らし首飾
りのような用い方をすることも多い。
南アジア
頭から足先まで飾れるところはすべて飾る
前合わせの首飾り
インド:ラージャスターン州、他/20世紀/幅20cm
ラージャスターン州などで見られる首飾り。トップの
前合わせ金具の所で開閉するので着脱が簡単。こ
の金具部に色ガラスを埋め込んで華やかに作ったも
のもある。
06 |「神々の宿る銀」特設サイト
腕飾り(上腕部用)
インド:マハーラーシュトラ州、ウッタル・プラデーシュ州、
他(民族:バンジャーラ、他)
20世紀/外径7〜10cm
上腕部を飾る腕飾り(アームレット)。ウッタル・プラ
デーシュ州、マディヤ・プラデーシュ州、グジャラー
ト州などインド各地で見られる腕飾りでバンジャーラ
族とかランバーディ族と呼ばれる遊動性の強い民族
が好む。
足の指輪
インド:ラージャスターン州、西ベンガル州/20世紀
1個の幅2cm
インドは足の指輪が世界でもっとも盛んな国であり、
さまざまなデザインの指輪で足を飾る。これはラージャ
スターン州のもの。大きいので親指用であろう。
こめかみ飾り
パキスタン、アフガニスタン/20世紀中頃
高さ 約14cm
パキスタンやアフガニスタンの遊牧民が用いた顔の
側面のこめかみ部を飾る装身具。裏には引っかけ金
具があり、これを頭のかぶり物などに掛けて用いた。
消えかかっているが金めっきが施され、ブルーのビー
ズで加飾された豪華な作り。
07 |「神々の宿る銀」特設サイト
首飾り
パキスタン(民族:コヒスタンまたはカラーシュ)
20世紀/幅13.5cm
パキスタン北部山岳地に住むコヒスタン族(またはカ
ラーシュ族)の首飾り。トップ部に重厚な飾りを直結
した独特な形の首飾りである。
中央アジア
装身具に表れる諸民族の個性
前合わせの首飾り
インド:ラージャスターン州、他/20世紀/幅20cm
ラージャスターン州などで見られる首飾り。トップの
前合わせ金具の所で開閉するので着脱が簡単。こ
の金具部に色ガラスを埋め込んで華やかに作ったも
のもある。
3連結の背飾り(ゴシャ・アシク)
トルクメニスタン(民族:テケ)/19世紀/幅 約24cm
革紐でつながった3連結の背飾り「ゴシャ・アシク」。
「ゴシャ」とは連結されたという意味。魔よけのお守
りとはいえ、美しい。トルクメン人女性にとって、ア
シクはお守りではあるが、背中の美を演出する重要
な装身具だったのかもしれない。
08 |「神々の宿る銀」特設サイト
指輪
トルクメニスタン/19〜20世紀/上面 約1.5〜2.3cm
指輪は男女ともするが、針仕事用の指貫(ゆびぬき)
が付いているので女性用。指貫付き指輪というのは
世界でも例がなく、トルクメン人独自のものである。
大型指輪
カザフスタン/19世紀/長さ32cm
カザフスタンの婚礼用胸飾り。娘が嫁ぐ時、親は腕
飾り、耳飾りなどの他、このような布地の上に大きな
耳飾り
銀飾りを縫い付けた胸飾りを娘に与えた。このタイプ
のウエディング・ジュエリーはカザフスタン独自のも
ウズベキスタン/20世紀/長さ3〜10cm
ので他の地域では見られない。
主にウズベキスタンで用いられた耳飾り。黒やブルー
のガラス、サンゴ、貝などで作られている。いずれ
も好みの宝石や色ガラスで加飾した色鮮やかなもの
が多い。
西アジア
銀の輝きに魅せられたイスラム諸国
護符ペンダント
イラン、他/19世紀後半〜20世紀/幅6.7cm
表面にアラビア文字が彫ってある宗教色の強いペン
ダント。コーランの一節が写しとられているものと思
われる。
09 |「神々の宿る銀」特設サイト
ベルト(腰飾り)
イラン/19世紀後半〜20世紀初め/全長72.5cm
粒銀や細線で装飾したイランのベルト。表面は二重
構造になっていて、消えかかっているが下地は赤く
ペイントされているようだ。ブルーの小粒のガラスビー
ズが何個も見えるが、これは邪視よけとして嵌入(か
んにゅう)されたものである。
頭飾り(テペリキ)
トルコ/19〜20世紀初め/円盤の直径13cm
特別に豪華な作りのものもあるが、これは通常で用
いられた。中央突起部には赤いガラス、円盤には
模様が打出され、縁から下げた飾りの先にはコイン
が飾られている。
サンゴの5連の首飾り
イエメン/20世紀前半/幅 約22cm
イエメンにはサンゴを用いた首飾りが多い。この作
品は大小のサンゴと粒銀のパーツを組み合わせて作っ
た5連のネックレス。
10 |「神々の宿る銀」特設サイト
指輪
サウジアラビア(民族:ベドウィン)/19〜20世紀
表面の大きさ2.5cm
鮮やかな色のトルコ石と粒銀細工で装飾された指輪。
素朴だが力強い作りである。
北アフリカ
サハラ砂漠で輝く銀の装身具
腕飾り
エジプト、スーダン、他(民族:ベドウィン、ラシャーイダ、
他) 20世紀中頃/直径5.5〜6.8cm
エジプトやスーダンではさまざまな伝統的腕飾りが使
われていた。これは、エジプトの幅の広い腕飾り。彫っ
てある魚には、無事に出産することへの願いが込め
られているようだ。
足首飾り
エジプト(民族:ラシャーイダ、他)/20世紀中頃
外径12cm
エジプト南部のヌビア砂漠で用いられていた大きな
足首飾り(アンクレット)。しかし中空の作りになって
いるのでさほど重くはない。スーダン北部に住むラシャー
イダ族の女性も用いる。
11 |「神々の宿る銀」特設サイト
七宝の腕飾り
モロッコ(民族:ベルベル)/20世紀後半
直径5.7〜6.5cm
モロッコにおける七宝の歴史は定かでないが、世界
の諸民族を見わたしてもモロッコのベルベル族女性
ほど七宝装飾を好む人々はいないように思える。七
宝は特に腕飾りに数多く用いられ、七宝だけのもの
もあるが、このように七宝とサンゴを組み合わせたも
のなどいろいろある。
ペンダント(トゥアレグクロス)
ニジェール、マリ(民族:トゥアレグ、他)
20世紀/長さ6.5〜8.7cm
トゥアレグ族はイスラム教徒だが、かつてはキリスト教
の影響も受けていたのではないかといわれる。その
証拠がこの「トゥアレグクロス」と呼ばれる十字の装
身具である。クロス(十字架)の形は各地域ごとに
異なりさまざまな種類があるが、すべて強力なお守り
であり、また通貨として牛や布や食品を購入する時に
も使われることがある。その中で最も有名なのが、こ
の「アガデスクロス」と呼ばれるもので、ニジェール
のアガデスに暮らす女性の間で広く用いられた。ニ
ジェール以外ではマリの遊牧民もこのクロスを用いた。
ヨーロッパ
西と東で著しく異なるヨーロッパの銀の装身具
腕飾り(セットジュエリー)
イギリス/19世紀後半/直径6cm
幅の広いヒンジ式バングル。装身具の銀台にはピン
クゴールドとイエローゴールドの薄い地金による装飾
が施されている。モチーフは当時流行していた歴史
主義様式のひとつであるゴシック趣味の模様。そこ
に写実的な花びらが添えられている。
12 |「神々の宿る銀」特設サイト
メッセージ・ジュエリー
イギリス/19世紀末/長さ5.8cm
メッセージ・ジュエリーとは、言い伝えのある物や模
様でメッセージ(伝言)を表したジュエリーで、ブロー
チが多かった。これは錨(いかり)形のブローチで、
錨はさまよう霊魂を安定させてくれるところから希望を
意味する。
ベルト・バックル(腰飾り)
イギリス、他/19世紀末〜20世紀初め/幅11cm
女性のベルト用の銀バックル。イギリスまたはフラン
スのものと思われるアールヌーボー様式のバックル。
1890年代から1910年代のもので、波打つような曲
線のフレームに可憐な小花を組み合わせてある。
腕飾り
ブルガリア、他/19〜20世紀中頃/直径約6cm
各種のブレスレット。オリジナルはブルガリアだと思うが、
類似のものが他のバルカン半島諸国にも見られる。
これは中空の作り。外側を鋳造で作り、後で内側に
銀板をろう付けしたようだ。一部金めっき。このブレ
スレットは形がユニークなためか、バルカン半島のみ
ならず、その他の地域にまで持ち運ばれている。
コインの耳飾り
ブルガリア/20世紀初め〜中頃/コイン直径1.8cm
ブルガリアのフェルナンド一世の肖像が描かれた銀コ
イン(1912年発行)の耳飾り。上部は細線細工で
装飾され、耳につけた時コインが揺れるように作られ
ている。
13 |「神々の宿る銀」特設サイト
南北アメリカ
装身具で主張する先住民のアイデンティティー
首飾り(スクォッシュ・ブロッサム)
アメリカ南西部(民族:ナバホまたはズニ)
20世紀後半/全長27cm
「スクォッシュ・ブロッサム」と呼ばれる花形飾りのネッ
クレスはナバホ族、ズニ族などのネイティブアメリカ
ンの好むデザインモチーフ。トップの三日月形の飾り
は「ナジャ」と呼ばれ、繁栄の象徴とされている。
トルコ石が数多く使われているこのネックレスは女性
だけでなく男性も身につける。使われているトルコ
石は、ネバダ、アリゾナ、ニューメキシコ、コロラド
など、アメリカ南西部州の鉱山から採掘されるもの。
ここから採れる豊富なトルコ石が独自のターコイズ
文化を作った。
髪飾り
アメリカ南西部(民族:ナバホ)/20世紀後半
長さ7.7cm
トルコ石を飾った櫛タイプの髪飾り。近年のものだ
ろう。ツーリストアイテム(旅行者の土産品)として
も人気がある。飾り櫛の歯は合成樹脂。
北西海岸先住民の装身具
アメリカ北西海岸/20世紀後半/幅5.5cm
アメリカ北西海岸沿岸部に生活する先住民の銀の
装身具。彼らはタガネで模様を彫ること(彫金)に
関して卓越した技術をもっていて、崇拝する動物を
刻み込んだブレスレットの他、さまざまな装身具を作っ
ている。このような装身具作りは19世紀には始まっ
ていたといわれる。これはシャチがモチーフのブロー
チ。シャチは海の守護者で、良い事と長寿のシン
ボル。
14 |「神々の宿る銀」特設サイト
スプーン形肩掛け留め(トゥポ)
ペルー、ボリビア(民族:ケチュア、アイマラ)
19世紀後半〜20世紀中頃/長さ21.2cm
アンデス地域の女性が用いた独特のスプーン形肩
掛け留めトゥポ。太陽をモチーフにした彫刻のあるトゥ
ポで、両側にも小さなトゥポが付いている。作り方
もいろいろ。これは鋳造による作りで石は色ガラス。
腕飾り
ペルー/20世紀中頃/直径6.5cm
開閉式の留め金具(ヒンジ)の付いたかなり幅広
のバングルタイプのブレスレット。こうしたブレスレッ
トはぺルビアン・ブレスレットと呼ばれるもので、イ
ンカ以前のチムー文明の黄金細工や民族服の女性
やリャマ(またはラマ。羊や馬にかわる南米のラク
ダ科の家畜)までさまざまなアンデス文明関連の模
様が描かれている。模様は浮き上がって見えるが、
これは打出しではなく、切り抜いた模様を後からろ
う付けしたもの。
『神々の宿る銀』本書の紹介
著者プロフィール
露木 宏 Hiroshi TSUYUKI
装身具史研究家、日本宝飾クラフト学院理事長、NPO 法人宝飾クラフト教育振興会会長。
ジュエリー文化史研究会主宰。1947年、神奈川県生まれ。1970年、立教大学卒業。
◉展覧会協力「日本のジュエリー100年」展
(2005年、東京都庭園美術館)
、
「世界の民族装身具」
展(2007年、ミキモト真珠島・真珠博物館)
、
「日本の宝飾のあゆみ250年」展(2009年、ミキモ
トホール)
、
「アジアのシルバージュエリー」展(2010年、ミキモトホール)、
「聖なる銀 アジア
の装身具」展(2011-2012年、LIXIL ギャラリー)等への出品協力と企画、監修。
「宝石サンゴ」
展
(2011年、国立科学博物館)
特別協力。
◉著書『日本装身具史』
(編著/美術出版社)
、
『ジュエリーの歩み100年』
(共著/美術出版社)
、
『聖なる銀 アジアの装身具』
(共著/ INAX 出版)
、その他『宝飾クラフト技法の実際』
(美術出
版社)
、
『新版 ワックスモデリングの基本』
(繊研新聞社)等、ジュエリーの技法書・専門書多数
執筆、監修。
著=露木 宏/写真=木村直軌
定価=本体3,000円+税
B5変型判/180頁(オールカラー)
◉ゼミ「日本の装身具ハンドリングゼミ」
「世界の装身具ハンドリングゼミ」
(ジュエリー文化史研究会 http://www.j-bunka.jp)
ISBN978-4-88124-290-2
発行=繊研新聞社
15 |「神々の宿る銀」特設サイト
16 |「神々の宿る銀」特設サイト
もくじ
◉はじめに
伝えたい、銀の伝統装身具の装いと心
◉なぜ銀の装身具で飾るのか
1. 自己を美しく装うため
2. 邪を払い、招福を願って
3. 信仰・宗教の証として
4. 財産(動産)として
5. 民族のアイデンティティーさらには民族の誇りとして
◉銀の基礎知識
1. 銀の性質
2. 銀の加工・装飾技法
◉世界各地域の銀の装身具地図
◉世界の伝統装身具図鑑
〈地域別編〉
・東アジア 47点(中国、中国南部、韓国)
・東南アジア 38点(タイ、ラオス、ミャンマー、インドネシア)
・ヒマラヤ地域 20点(チベット
〈中国領〉
、ネパール、ブータン)
・南アジア 46点(インド、パキスタン)
・中央アジア 37点(トルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、カザフスタン)
・西アジア 59点(イラン、イラク、トルコ、コーカサス地域、サウジアラビア、オマーン、イエメン)
・北アフリカ 73点(エジプト、スーダン、モロッコ、アルジェリア、モーリタニア、ニジェール、マリ)
・ヨーロッパ 33点(イギリス、ブルガリア)
・南北アメリカ 54点(アメリカ、メキシコ、グアテマラ、ペルー、ボリビア、エクアドル)計407点
◉ Essay |銀装身具の文化と魅力
1. 身を守り、幸せをもたらす銀
2. 銀の価値は美しさにある
3.Pt、WG の登場と銀装身具の将来
4. どんな貴金属よりも体にやさしい銀
5. 装飾にも素材にもなる「銀貨」
6. 日本の銀と装身具文化
◉おわりに
引き継ぎたい伝統装身具のスピリット
購入の方法
本書はクラフト学院内の通販ページからご購入いただけます。
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Editor=Noe INATOMI AD=Tentetsuki Design=Tetsuro IMAI Photo=Naoki KIMURA
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