2012 年 7 月プレスリリース リヨン・コンフリュアンス I. 歴史的経緯 最中心部の延長線上にあるコンフリュアンス地区は、1779 年から 1850 年の埋め立て事業による川の制御を通じて得られた地区です。カルノ ー広場とローヌ川とソーヌ川の合流点の間、つまり「リヨン・プレスキル(中州)地区」の南部に位 置します。この地区は、2 つの川、高速道路、鉄道により他の地区と分断され、工業地帯として発展 しました。150 ヘクタールに上るコンフリュアンス地区の半分は、工業や物流などの産業で占められ ていましたが、これら産業が 20 世紀後半に衰退したことを受けて、膨大な土地が利用できることに なりました。コンフリュアンス地区の残りの半分はサント=ブランディーヌ教会を中心とする住宅地 区で占められ、この地区の住民は現在 7000 人を数えるに至っています。コンフリュアンス地区の利 点は、都市圏における中心的位置や優れた景観など、数多く挙げられます。ソーヌ川のなだらかな土 手、見晴らしの良い丘陵、5 キロメートルの川岸(どの地点からでも川までの最大距離が 400 メート ル以内である点)といった美観に加え、勢いのある 2 つの川の合流地点というユニークな特徴、19 世紀以来の居住地である点、公共輸送機関の利便性(仏国鉄の駅、地下鉄路線、2 本のトラム路線) などが長所になります。 この地区の新しい歴史は 1998 年に始まりました。リヨン都市共同体(グラン・リヨン)はこの年、 BOHIGAS MELOT MOSBACH グループが手がけた最初の再整備計画をリヨン市民に公開し、プレス キル地区の再開発に取り組むことを決定しました。これが今日、実施段階にあるわけです。1999 年 にリヨン都市共同体(グラン・リヨン)とリヨン市は、第 3 セクターのリヨン・コンフリュアンス公 社を設置し、建築家のフランソワ・グルテールとランドスケーパーのミシェル・デビーニュに整備計 画の実施を補佐する任務を託しました。プロジェクト調査とヒアリングが実施され、これが 2003 年 4 月に、41 ヘクタールに及ぶソーヌ川協議整備地区(ZAC)フェーズ 1 プロジェクトとして承認され ることになりました。ローヌ川を対象としたフェーズ 2 の設計は 2009 年に、スイスの建築家・ラン ドスケーパーのヘルツォーク&ド・ムロンに委託することとなり、これが 2010 年 9 月に 議会により 承認されました。 II.リヨン・コンフリュアンス協議整備地区(ZAC)フェーズ 1 - ソーヌ川 2003年に着手されたフェーズ1は、ソーヌ川地域を対象としています。公共空間の十分な確保とそれ に与えられる構造的な役割、社会層の混在をすすめた市民全員のための都市、機能(住宅、オフィス、 商店、レジャー)のバランス感、都市の持続可能な開発といった、プロジェクト全体の主要な目標が この第一段階から盛り込まれました。 プロジェクト全体の40%を占め、投資予算額は12億ユーロに上ります。40万m2(外法純面積)が建 設計画の対象となり、中心街の機能のすべてが41ヘクタールの土地にバランスよく配置されます。現 在フェーズ1の80%が着工し、2016年に全行程の竣工が予定されています。 ソーヌ川岸からシャルルマーニュ大通り(クール・シャルルマーニュ)までの地域、2つの川の合流 地点、ペラーシュ駅周辺と、複数の区画が整備されます。古くからある界隈を延長するかたちで整備 が進められるために、既存の界隈も、リヨン・コンフリュアンス計画の直接的な恩恵を即時に受ける ことになります。用地が解放されると同時に開始したフェーズ1には、住宅およびサービス産業向け の大規模建設、ならびに多数の公共スペース(アルシーブ広場、係船ドック、新築建物の間のオープ ンスペースなど)の設置などが含まれます。 1. 豊かな公共スペース リヨンは公共スペースのクオリティの高さで知られた都 市です。遊歩道のおかげで2つの川と建造物が密接に関係 し合ったコンフリュアンス地区も例外ではありません。 区画内の建設密度のバランスを考慮し、公共スペースを ふんだんに確保しています(25ヘクタール)。ソーヌ川 に沿って続く樹木の多い丘隆を活用することで、これら の公共スペースは都市に自然を取り込むことに成功して います。こういった空間はコンフリュアンスの長所を引 き出し、プロジェクト全体のベースを形成しています。 公共スペースによって街の往来が確保され、住民をソー ヌ川沿いの散歩へと誘っています。 市民全員のための広場と公園とは... ソーヌ公園 コンフリュアンス計画の根幹となる部分。ソーヌ川に沿 うように伸びたこの公園が、コンフリュアンス地区全体 に活気を与えています。水辺のソーヌ公園を縦断するように、幅広な遊歩道とサイクリングロードが 設置されます。そして、ところどころに樹木が植えられた階段が、遊歩道と街の中をつなぐ役割を果 たします。ソーヌ公園の南端には、旧ランボー港の公共 スペースが広がります。4ヘクタールに渡り、自然と水 の流れを受け入れるこのスペースでは、既存の施設が再 利用されます。旧倉庫は巨大なパーゴラに改造され、切 石やコンクリートが外装をなして、再生材料のパッチワ ークといった趣の景観をつくりだしています。公園の北 部はソーヌ河畔に沿って広がり、最北端部は従来の市街 地につながります。 係船ドック ソーヌ公園と切り離せない係船ドックは、全長340メート ル、面積4ヘクタールに渡り、そのうちの2ヘクタールを 係船池が占めます。ドックができたことで、ソーヌ川が 都市の中に流れ込み、プレスキル地区の南にもベルクール広場と同じような公共スペースが提供され ます。河川制御のシンボルとして2010年にオープンしたこの係船ドックにより、ソーヌ川の風景がさ らなる広がりを見せたと言えます。船着き場が航行途中のプレジャーボートを迎え入れ、係船池の一 部は水上レジャー体験や、時には水関連イベントに利用されます。係船池以外の2へクタールのドッ ク周辺部には池まで降りられる階段が備え付けられ、散歩をするにも最適で、市民が水と直接ふれあ える場となっています。ドックの北岸と南岸は、2つ の橋により結ばれています。 アルシーブ広場(古文書館広場) アルシーブ広場と648台分の地下駐車場は、ペラーシュ駅および古文書館の玄関として、この界隈の 公共の場としての役割も果たし、従来からの住民のクオリティ・オブ・ライフに貢献しています。こ の広場は、リヨン・コンフリュアンス計画の実施における論理を象徴しており、開発の各段階が地域 に直接的な利益をもたらすように設計が施されました。広場は2010年秋に完成をみています。 ドニュジエール広場 ラヴァ通りの続きに、ソーヌ川の緑と隣り合ったドニュジエール広場が建設されます。縦長のドニュ ジエール広場は、斬新な建物がアクセントになり、小さなスペースや自然の間を抜ける快適な散歩を 提供してくれます。 2. バランスのとれた建設プログラム 中心地の拡大にあたり、建設計画では3つの目標が遵守されました。 - 機能の多様化 コンフリュアンス地区には、都市の機能すべてがそろっています。13万m2に渡って約2000戸の住宅 が建設され、残りの27万m2はオフィス、商店、各種サービスが割り当てられます。これらは主にビ ルの下層階部分に入居します(第三次産業向けに15万m2、商店・レジャー・サービス産業・ホテル 向けに12万m2を確保)。中心街の特徴にならって、それぞれの区画で多種類の機能が共存し、活動 タイプ別の従来型の地区分けの概念を排除します。コンフリュアンス地区は生活の場・ビジネスの場 であると同時にレジャー、ショッピング、文化、アーバンツーリズム、散歩などを楽しめるように考 案され、また出会いやイベントを提供する多機能的な都市中心地となるよう設計されています。 - 社会層の共存 フェーズ1では、リヨン都市共同体(グラン・リヨン)の政策に従って、公団住宅(賃貸および分譲) に住宅全体の23%を割り当てることを目標としています。アーバニストが付与する割合に準じて、デ ベロッパーには、それぞれの建設区域ごとに、低所得者向け公団住宅、中間的な住宅、イノベーティ ブな住宅、高級住宅の比率を遵守することが求められます。この社会階層の共存は区画レベルで図ら れ、例えばA、B、Cの3区画では建設予定の660戸中、低所得者向け賃貸あるいは分譲公団住宅が150 戸、中間的な賃貸住宅が47戸提供されます。この社会階層の共存に関する目標は、E区画とF区画 (240戸)にも設定され、建設される住宅のうち50%が低所得者向け賃貸・分譲公団あるいは中間的 な賃貸住宅となります。 -高レベルな環境クオリティ:EUコンチェルト・プログラム内で選定された初の住宅計画 リヨン・コンフリュアンスのオフィス・住宅は、デベロッパーに高レベルな環境品質を課しており、 非常に厳しい環境要件に応えています。建物のエネルギー性能と再生可能エネルギーの利用に関する 努力が行われ、エネルギー消費を40%削減します。エネルギーコストの削減は、まずは消費削減によ り実現されます。コンフリュアンスの建物の年間エネルギー消費は30ないし90kwh/m2となり、これ 2 は従来の建物(年間200ないし400 kwh/m2)の1/3から1/10、また建築基準(年間120 kwh/m )の1/2か ら1/4に相当します。2010年10月に完成したA、B、C区画の660戸の住宅と1万5000m2のオフィスは、 その再生エネルギーの大規模利用や建物の生物気候学的設計を評価され、EUコンチェルト・プログ ラムに選定されました。これらの区画の住宅・オフィスは全消費エネルギーの80%を再生可能なエネ ルギー(木材を利用したボイラー、太陽光給湯器、ソーラーパネル)で賄い、消費エネルギーも建築 基準の半分に抑えられます。欧州委は、コンチェルト・プログラムを通じて、400万ユーロの助成金 を付与しています。仏環境・エネルギー庁ADEMEとローヌ=アルプ地域圏も、この計画に助成して います。 EUコンチェルト・プログラムとは… 融資額 欧州委:430万ユーロ € ローヌ=アルプ地域圏:77万6000ユーロ 仏・環境エネルギー庁(ADEME) : 59万1000ユーロ 欧州の取組み 京都議定書を通じて、欧州委は化石燃料消費削減および再生可能 エネルギーの利用支援を通じた温室効果ガスの削減に着手しまし た。2003年に、欧州委はコンチェルト・プログラム (第6次研究 開発枠組計画の中で)を始動しました。このプログラムは、エネ ルギー効率改善や再生可能エネルギーの利用を盛り込んだ、地方 自治体による大規模で模範的な都市計画の発展を促すことを目的 としています。ビルはエネルギー消費量が非常に大きくなります が(国内エネルギー消費の40%以上)、コンチェルト・プログラ ム では、 ・エネルギー効率改善と再生可能エネルギーの利用推進 ・環境上のメリットおよびそこから派生する経済的・社会的なメリットの証明・普及 を二大目標として、建設手法を工夫します。 コンチェルト・プログラムでは同時に、以下の目標としています。 ・新築住宅の利用条件について住民の意識向上を図り、エネルギー消費をよりよくコントロールする ための行動様式の変化を準備 ・新技術、保守条件、環境性能の高い建造物や設備の管理に関して建設業界の教育を支援 ・他の地方自治体のモデルとなるようなイノベーティブな実践を実証 係船ドックを完成させる実証区画:P区画 従来の消費削減措置は、暖房、温水、共有部分の電力を対象に してきました。新世代の「スマート」ビルディングはそれを越 えて、住宅の電力消費、つまりスマートメーターを使った住人 の電力利用に目を向けます。スマートメーターは、再生可能エ ネルギー由来の発電量と電力消費をリアルタイムで測る最新の 家庭用計器です。テクノロジーと環境に優しい日常的な気遣い が、エネルギー節約の新しい動力源となるのです。 エネルギーポジティブビル「P」では、エネルギー節約の新たな対象を見つけることを目指した技術 的イノベーションを実践します。エネルギーポジティブビルの構想は、ADEME、ローヌ=アルプ地 域圏議会、EU(超低エネルギー消費ビル・ブログラムを通じて)および NEDO(新エネルギー・産 業技術総合開発機構)といった国内外のパートナーにより支えられています。 日本による貢献は、コンフリュアンス地区におけるエネルギー性能の改善を 目的とした NEDO とリヨン都市共同体との間の提携合意に基づいています。 この枠内で NEDO は、P 区画において、再生可能エネルギー発電およびエネ ルギー消費の管理に関連する新技術を提供します。この技術が、日本企業の コンソーシアムにより、エネルギーポジティブビル「Hikari」の設計・建設を 担当する仏建設大手ブイグと隈研吾のチームに提案されました。 3.ソーヌ河畔の美化 周辺の景観のクオリティは、地区にとって重要な長所となります。コンフリュアンスには 5km に及 ぶ土手があり、開けた景観が広がっています。コンフリュアンス計画ではこの環境を活用することを 念頭におき、さらにこれを地域内にも浸透させることに尽力します。係船ドックとソーヌ公園は、都 市部と自然、あるいは都市部と川が接触する場所をふんだんに有しています。入江型の係船池により 河岸線距離が長くなったローヌ岸一帯に、遊歩道と係船用施設が整備されます。 ローヌ河畔の整備完了とともに、リヨン都市圏内のソーヌ川に隣接した地域は現在活気に満ちあふれ ています。キッチュネール・マルシャン橋の北にあるジョンスール・スクエアからバイアール大通り (クール・バイアール)まで続くランボー河川港付近の土手は、プレスキル地区とコンフリュアンス 地区を徒歩あるいは自転車で通行できるように整備されます。このブロックは、リヨン市内の 5 つの ブロックの 1 つであり、他のブロック同様に、アーティスティックなプロジェクトにより美化が進め られています。ここでは、新都市部コンフリュアンス地区、ソーヌ公園、リヨンの従来の中心街の間 の架け橋としての役割をランボー港に与えることで、この港を再利用するということが課題になりま す。景観のよい遊歩道は、その環境品質と環境保護への高い要求によって、この地域の遺産としての クオリティ、建築物としてのクオリティ、景観としてのクオリティ、歴史的なクオリティを高めてい ます。 キーとなる数字 遊歩道の距離:1.5km 防柵の距離:220m 関係者 2011 年 4 月に ADR ジョルジュ・デコンブ(ジュネーブ)とシンクタンクのキャップ・ヴェールが建築家・ランドスケーパー チームとして選定 2010 年:整備の指針紹介 2011 年:整備の最終設計調査実施 2012 年:ソーヌ河畔の整備工事 2013 年:プレスキル地区の北と南をキッチュネール橋周辺で結ぶ遊歩道の工事完了 4.コンフリュアンス地区の経済的・商業的な魅力 21 世紀には、企業の都市部への再移転が進むと予想されます。コンフリュアンスは同じ空間の中で、 生活、ビジネス、レジャーの場を提供します。フェーズ 1 では、15 万 m2 のオフィスが用意されます。 フェーズ 1 の開発地域は、街の中心部の経済活動の発展に必要な数多くの長所を有しています。最初 のオフィスが完成する以前にこの地域では、6000 人が就労していました。計画の始動とともにコン フリュアンス地区では、さらに 6000 人の雇用が創出されました。将来的にはこの地域に 2 万 5000 人 の労働者を集めることになります。大都市の創造性の中心地として、従来の市街地を拡張した地域と なるコンフリュアンスは、経済・社会・環境面でのイノベーティブなサービスを提供することで、特 有のポジションを確立します。 カバナンスの場所 リヨン郊外のシャルボニエールを離れ、ローヌ=アルプ地域圏議会(公務員数 1400 人)がコンフリ ュアンスの鉄道跡地に移転しました。クール・シャルルマーニュに面した床面積 4 万 4000m2 に及ぶ 非常に開かれた建物は、Portzamparc 設計事務所によって考案されました。地域圏の行政関連機関 (観光地方委員会、ローヌ=アルプ地域圏オリエンテーション拠点、リヨン・トリノ高速鉄道委員会、 フランス語圏国際協会、ローヌ=アルプ地域圏進路・キャリア指導協会など)も、同じ界隈に集めら れました。ローヌ=アルプ地域圏商工会議所は移転先にローヌ川岸であるケ・ペラーシュを選び、フ ランス中央銀行はサント=ブランディーヌ地区の近郊を選びました。フランス銀行は、2013 年年初 に新築ビル「ル・バイアール」に移る予定でいます。機能が混在する都市環境の中心に拠点を据える ことが何より重要であるフランス銀行の移転は、この地区の中心性を証明し、またさらに強化するも のです。 プレスキル地区の最南端ではコンフリュアンス博物館の工事が進んでいます。「科学と社会」をテー マとしたローヌ県立の博物館となり、設計はオーストリアの事務所である Coop Himmelblau が担当し ます。宇宙の起源、生物、人類の場所といった科学、倫理、社会に関する大命題や、イノベーション、 クリエーション、テクノロジーを取り扱います。 情報通信の場 地方日刊紙「ル・プログレ」とともに、PR 会社、アートギャラリー(「レ・ドゥアーヌ」ビル)、 エスパス・グループ(民間ラジオグループ)、GL イベンツが 2012 年にコンフリュアンスに移転しま した。2013 年には、国際ニュース専門テレビ局のユーロニュース本社が移る予定で、ランボー港の 旧「ドック」は、第一線のメディア、文化、通信の拠点となります。 地域統括本社の移転 コンフリュアンスは、大企業の地域統括本社を集めます。仏国鉄 SNCF は 2008 年に、アルシーブ広 場に移転しており、建築大手のエファージュは 2009 年に、レジャー拠点の南にグループの子会社統 括拠点を据えました。ユーティリティの GDF スエズの地域統括本社は 2010 年に、係船ドックに隣接 するモノリット・ビルに入居しました。建築家ジャコブ+マクファーレンが設計した「サラン・デ ュ・ミディ」は、5000m2 近いオフィスを有し、不動産デベロッパーのカルディナル・グループなど が入居しています。 ショッピング・センター フェーズ 1 の中心はレジャー&ショ ッピングモール建設にあり、係留ド ックに面した A 区画、B 区画、C 区 画などのビルの下層階部分は、店舗 やサービス業者が入居できるように 用意されます。 係留ドックの南岸に面したレジャー&ショッピングモールについて... 不動産大手ユニバイユ・ロダムコ(建築家はジャン=ポール・ビギエ)により設計された「コンフリ ュアンス」ビルは、建築プロジェクトにならって、ショッピングモールに新しいビジョンを提案しま す。吹き抜けの通路を取り囲む木造の 7 つのパビリオンからなり、ステンレスの細い柱によって支え られたエアードーム式の屋根(EFTE)が備え付けられます。60 店舗、15 の中規模店舗、パノラマ展 望台のついた 18 店のレストラン、14 の映画館と 3480 の客席数を誇る「UGC シネ・シテ」 、アーバ ンレジャー施設(ジムやクライミングウォール)、エステ、玩具やゲームをそろえる遊び場「リュド ポール」などが入るこの新しい「屋内・屋外レジャー&ショッピングモール」は、2012 年 4 月 4 日 にオープンしました。以来、係船ドックを訪れる人々が自然と立ち寄れる場所になっています。1500 台が収容できる駐車場と、150 室を備えた 4 つ星ホテル(ノボテル)も併設されます。 キーとなる数字 12 週間で 220 万人のビジター。 週平均 1 万 8000 人が来場。土曜には 3 万 3000 人、日曜には 8000 人が訪れる。 ビジターの 30%が自家用車、55%が公共交通機関、4%が船を利用してアクセス。 III. リヨン・コンフリュアンス協議整備地区(ZAC)フェーズ 2 - ローヌ川 パズルの最後のピースに当たる部分は、公共卸市場が 2009 年に移転したことで得られた用地です。 市場の移転で、リヨン中心部を拡張する工事の継続に、新しい展望が開かれることとなりました。フ ェーズ 2 では、35 ヘクタールの空間のなかに住宅、オフィス、商店、公共スペース・施設を備える 中心部を新設することを目指しています。 この地区(42 万 m2)は意図的に高密度なつくりとなり、設計者は外観への深い考察を余儀なくされ ます。日照量、快適さ、緑化、再生可能エネルギー、「歩ける」町などの、持続可能な開発要件に対 応し、都市での生活を楽しむという命題に応えます。 都市整備の原則 スイス人建築家のヘルツォーク&ド・ムロンに、ランドスケーパーのミシェル・デビーニュが加わっ たチームの提案は、同地区とその歴史の現象学的調査に依拠しています。この地区の整備計画では、 リヨン市のアイデンティティとコンフリュアンスの産業と物流の歴史を尊重しつつ、過去の都市景観 を刷新します。考察されたコンセプトは、際立った特徴を示す 2 つの部分により構成されます。 ・ 「市場地区」:残されていた中心部の未開発地区へとリヨン市の高密度な都市地図を延長するも のです。 ・ 「野原」:緑地がその大半を占めるローヌ川とソーヌ川に挟まれた南端部を、都市中心地にする ものです。橋と歩道橋により、中州部分が都市の他の地区と連結されます。 1. 市場地区 高密度な都市 この地区の都市再開発プランは、多様でオープン、そして斬新な新形態の都市をデザインします。こ こでは建築物の高さに関する規格が排除されます。将来の居住者に、他では得られないような都市と その周辺の俯瞰図を提供できる高層ビルもあります。低い建築物も、親密さと心地よさを与えてくれ ます。多様なタイプの建築物からなるこの区画には住宅、オフィスが入ることになっており、これら が旧卸市場用地の大半を占めることになります。旧市場ホールは、その 30%が保存され、産業地区 の名残を新街区に残すとともに、小中学校向けの施設や野外活動、またはスポーツ施設に再利用され ます。新築の建築物は、既存市場の建築物の高さと同じ低層建築物(地上階+2)、従来の町並みを 引き継ぐ中層建築物(地上階+5 階から+7 階まで)、最後にパノラマ展望を提供し地上のスペース を解放する高層建築物(R+9 から R+16 まで)と、意図的にタイプ分けされます。市場地区の南に、 新世代のメゾン・ド・ラ・ダンス(舞台芸術用劇場)を設置するプロジェクトも検討されています。 木々が植えられた中庭 親しみあるオープンスペースで、地区内の歩 道からアクセスできる場所です。 コナラや トリネコなどが植えられ、太陽光が差し込む ふんだんな緑地が確保されます。 2. 野原 コンフリュアンスの南端は、リヨンの地理の 中でもユニークな場所になります。景観とし ては、この「野原」は広い緑地帯に同化し、 その中に低層建築物が配置される格好になり ます。このプロジェクトは、ローヌ川とソー ヌ川の支流が混じり合っていた、土壌が堆積 される前のこの区画の歴史的状況にインスピ レーションを得ています。この複雑なランド スケープは、水の流れと緑の構造とを同時に 内包しているのです。このプロジェクトでは、既存の倉庫群を保存して改装することが提案されてい ます。倉庫の転用により、活動の再開が容易になります。違った高さの建築物(地上階+2 階から+ 7 階まで)は、研究者向け住居及び経済活動に充てられます。さらに 2 つの複合タワーの設置が提案 されています。均衡がとれたタワーの建設は、リヨン市の主軸(クール・シャルルマーニュ、ビクト ル・ユーゴー通り、レピュブリック通り)の終わりとリヨン南部への入り口を示すものになります。 3. 接続 新しい橋、新しい道、新しい歩道橋が、コンフュアンス地区へのアクセスを容易にし、この地区のプ ロジェクトを他の地区へと繋ぐ役割を果たします。リンクへの取り組みでは、アクセスと移動という 重要課題が考慮されます。都市への連絡網設置は、地区、フロー、見込まれるニーズ、都市の雰囲気 への考察、町中で自動車が占める位置、ヒアリング段階で広く示された住民の希望などの分析をベー スとします。現時点では、2 つの橋と歩道橋の設置が検討されています。ひとつはパストゥール橋の 南の「環境に優しい」橋です。この橋を通ってトラム 1 号線を延伸し、地下鉄(B 線、Debourg 駅、 2013 年末引き渡し予定)に接続することで、ローヌ川東部に位置し、製薬部門の大企業や高等教 育・研究機関(高等師範学校など)が集中する川向かいのジェルラン地区と連絡します。もう一つの ジロンダン橋は市場地区とジェルラン地区を結びます。 横断幹線道路 ローヌ川とソーヌ川にかかる 2 つの橋へと繋がる新しい幹線道路に沿って、町と「野原」が連絡しま す。この幹線道路と 2 つの橋は、川をまたぐことで 4 つの川岸を東西に繋ぐ新しい通路を形成します。 橋から伸びる歩行者用桟橋により、ローヌ川へのアクセスができます。 高速道路 A7 高速道路はフェーズ 2 の該当地区に沿って設置されています。今後の環状道路の東部区間の完成によ り、将来的には高速道路は、リヨンの従来の中心地区につながる大通りに変貌することになります。 この大通りを、ローヌ側の川岸と連絡させることも検討されています。 2012 年の着工 卸市場の 70%の解体、元ガソリンスタンドの防除、 延長道路の最初の区間の実施、公共スペースの建設請 負企業の選定、不動産デベロッパーとの最初の協議開 始。 フェーズ 2 は、2012 年末にクール・シャルルマーニ ュとカジミール・ペリエ通りの角の最初の大規模な区 画を整備する事業者が指名されることで、本格的な着 工段階に入りました。この A3 区画は、合計面積が 2 万 8200m2 に及ぶ、高さが違う建築物(地上階+2 階 から+16 階)8 つで構成されます。このなかには旧生 花卸市場のリノベーションが含まれ、スポーツ設備が 設置される予定になっています。この区画には、植林 をした公道が縦断します。 これに並行して、都市整備プラン(UAC 区間)が見 直され、公共設備として小中学校、託児所、スポーツ 施設、新メゾン・ド・ラ・ダンス 、ケ・ペラーシュ に面する共有駐車場 2 ヵ所の設置が決められました。 IV.旧地区の変貌とエコリノベーション 19 世紀と 20 世紀に建設され、住民数 7000 人、雇用数 6000 口を数えるペラーシュ・サント=ブラン ディーヌ地区は、大きな変貌を遂げつつあります。2000 年代初めに、郵便物仕分所が古文書館へと 改装されて以来、新しいオフィス、住宅、商店などを徐々に迎えています。2009 年 5 月に刑務所が リヨン市郊外に移転されたことも、トラムが導入され、仏国鉄 SNCF の高速鉄道(TGV)と急行列車 (TER)が発着するペラーシュ駅を有するこの地区に、都市計画の新しい展望を開きました。 1. エコリノベーション:エネルギーの節約に向けて 地元関係者と共同で策定された「リヨン都市共同体(グラン・リヨン)気候計画」は、地球温暖化ガ スの排出量増加を抑制し、リヨン都市共同体のカーボン・フットプリントの改善を目指しています。 リヨン都市共同体は 2005 年時点ですでに、この課題について、EU(欧州連合)の目標を取り入れて います。これは、地球温暖化ガスの排出量を 2020 年までに 20%減らし、さらに 2050 年には削減量 を 1/4 にするというものです。地球温暖化ガスの排出源、エネルギー消費、再生可能性エネルギーの 発展可能性を特定し、セクター毎の取組みの方向性を見極めます。 優先的な取り組みの一つに、住宅があります。住宅は二酸化炭素排出量の 17%を占めています。暖 房に利用される化石エネルギー(軽油、ガスなど)の燃焼が主な排出源です。暖房は住宅部門の二酸 化炭素排出量の 90%以上を占めています(出典:COPARLY 2006)。1980 年以前に建設された建築 物のエネルギー平均消費量は年間 200 ないし 400kw/m2 となっています。このため地方自治体は、特 にエネルギー効率の点から問題が大きく、経済的インパクトがあるだけに改善に向けた可能性が見込 める既存建築物に努力を向けています。このことは、例えば、壁やガラス仕切りの断熱、熱の損失 (ヒート・ブリッジ)を制限するということなどを意味します。 サント=ブランディーヌ地区は、既存建築物群の改修というこの意欲的な取り組みの対象となってい ます。Urbanis・Tribu・Hespul により 2010 年に実施された調査で、この取り組みを進めるにあたって の技術(外断熱)が選択され、行政・財務上の実施可能性が明らかとなりました。資金は、所有者、 国(税制措置)、自治体(気候プランの枠内で)という 3 者からの融資(もしくは税制措置)に頼る ことになります。 この地区の住宅 4500 戸のうち、その半分は 1948 年以前に建造されました。低家賃の公団住宅、サー ビス施設、民間住宅の 2000 戸相当がこれにあてはまります。このエコリノベーションの主要目標は、 外断熱を利用して、地区所在の建築物のエネルギー消費量を減らし、これを年間 50kwh/m2 に下げる ことです。地区を代表するペラーシュ団地(1930 年代に建造、住宅 275 戸、グラン・リヨン住宅公 社)とオフィスビル(ミルキーウェイ、クール・スシェ)の 2 ヵ所で、パイロット事業が開始されて います。調査会社が、仕様書作成ために、この実証事業をサポートしています。 2. 刑務所 サン=ポール刑務所とサン=ジョセフ刑務所は、駅の直ぐそばでローヌ川の近くという、非常に恵ま れた立地にありました。2 つの刑務所は、建築家のビクトル・バルタール(1830 年)とアントナン・ ルビエ(1860 年)により 19 世紀に建造され、2009 年 5 月まで収監者を受け入れていました。刑務所 としての役目が終わった後、所有者である国は、建築及び環境の面から手本となるようなプロジェク トの実施対象となるよう、改修を目的とした入札を開始しました。 プロジェクト審査委員会により、「La Vie grande ouverte」プロジェクトが選ばれました。SOFADE と その子会社である OGIC のコンソーシアムに、リヨン・カトリック大学、Habitat&Humanisme 協会、 ローヌ OPAC(住宅公団)、建築事務所の Garbit& Blondeau と Ory スタジオ、アーバン・コンサルタ ントのティエリー・ロシュ、歴史的建造物チーフ建築家・建築コンサルタントのフレデリック・ディ ディエなど異なる機関及び事業者が協力しました。 このプロジェクトが選定されたのは、その資産保護に対する配慮からです。サン=ポール刑務所のパ ノプティコン(すべての監房が監視できる円形刑務所)全体が保存され、19 世紀の刑務所建築の特 色を示す建造物の主要部分も保存されることになりました。建築家は、アルシーブ広場からケ・ペラ ーシュの間にかけてこの区間を、市街地に対して開かれたものにするために、一部がガラス屋根で覆 われる突抜路を設置することにしました。リヨン・カトリック大学、分譲住宅、賃貸用低家賃住宅、 学生寮、オフィス、商店が 2015 年には改修されたこの建築物に入居します。2012 年 9 月に着工して います。 3.ペラーシュ駅の通路 これまで歩行者とサイクリストは、カルノー広場とアルシーブ広場への通行に問題がありました。ま た公共輸送のマルチモーダル拠点(高速鉄道 TGV、急行列車 TER、トラム、バス)へのアクセスに も困難がありました。アーバニストのジェラール・ペノ (アトリエ Ruelle)が考案したプロジェク トではこれらのリンクを円滑化し、「ペラーシュ駅」の往来を改善し、公共スペースとの連続性を与 えることを目指しています。 ジェラール・ペノ氏の言葉 「乗り換えプラットフォームは今後何年も残ります。我々のアイデアは、ここに穴をあけて通路を作るというものです。 あらゆるトンネルや壁が機能的であるとは限りません。反対にそうでないことの方が多いくらいです」 V.リヨン・コンフリュアンス、フランス初の WWF 認定「持続可能な地区」 1. 三者間提携 WWF フランス支部は、エコロジカル・フットプリントの削減と高水準のクオリティ・オブ・ライフ を合わせた持続可能な地区の国内での発展を支援しています。しかし支援には、持続可能な地区は単 なるショーケースにとどまるのではなく、包括的な国土整備プロジェクトに組み込まれているべきと いう前提条件が付きます。リヨン都市共同体(グラン・リヨン)は過去数年、持続的な国土整備およ び開発プロジェクトに取り組んでいます。2005 年に採択されたアジャンダ 21、「持続可能な住宅」 ラベリング、公共輸送機関及びサイクリングロードの設置、地域統合スキーム(SCOT)を通じたパ イロット計画、市街地の自然利用と保護、企業移転計画の支援などが、この取り組みの一環として挙 げられます。 この取り組みの延長戦上にあるものとして、リヨン都市共同体とリヨン・コンフリュアンス公社 (SPLA)は、国内のみならず欧州レベルでも大規模な都市再生プロジェクトであるリヨン・コンフ リュアンス計画の中で、クオリティ・オブ・ライフとエコロジカル・フットプリントの削減という二 つの課題に実現させたいと考えました。プロジェクトの診断(2009 年)を経て、この共通の願いは、 リヨン都市共同体、SPLA、WWF の 3 者の間のパートナーシップという形で具現化しました。持続可 能な地区に向けた取り組みは、2003 年に開始されたプロジェクトのフェーズ 1、設計段階にあるフェ ーズ 2、さらにサント=ブランディーヌ地区開発といったリヨン・コンフリュアンスのプロジェクト 全体に関与します。フェーズ 1 ではすでに建築物の一部が引き渡されており、エコロジカル・フット プリントの削減に向けた活動が実施されています。 2. 5 ヵ年協定 リヨン都市共同体とリヨン・コンフリュアンス公社(SPLA)は、WWF フランス支部との間で 5 ヵ年 協定に調印し、リヨン・コンフリュアンス計画に関して持続性についての活動パイロットプラン (PAD)の作成と施行に取り組むことを約束しました。WWF フランス支部の役目は、環境問題の緊 急性という点から、PAD を共同で作成してそれを承認し、関係者への啓蒙活動に参加することで、 環境の緊急課題に提携者が挑み、グット・プラクティスが普及するのを支援することです。WWF の 他の持続可能性ある地区と交流することで、有意義な経験交換できるでしょう。WWF との提携期間 はプロジェクト期間に対応して、5 年更新が可能となっています。WWF の「ワン・プラネット・リ ビング(OPL)」の持続可能性に関する 10 の目標の達成度は、毎年評価されます。さらにこの評価 は、実施された持続可能性活動に対する第三者の調査会社による外部監査、ならびにリヨン・コンフ リュアンス計画におけるエコロジー・フットプリントの分析により補完されます。 3. 持続可能性に関する最初の計画: リヨン・コンフリュアンス地区における WWF の持続可能性目標 「WWF 持続可能な地域づくり」への取り組みは、「ワン・プラネット・リビング」の 10 原則と世界 的目標を中核に据えて作成された PAD に依拠しています。最初の PAD は、リヨン・コンフリュアン ス計画に関する WWF の分析を基に、プロジェクトの全ての関係者との協議を通じて 2012 年内に作 成されます。 1.カーボンレス:大いなる野心 環境面における高水準の要求に対応した 100 万 m2 の建設スペースは、新たに住民 8000 人と就労者 2 万人を受け入れることができます。熱供給ネットワークの配置、旧地区のエコリノベーション、住民 の啓蒙を進め、同地域の建築物の地球温暖化ガスの平均排出量は、2020 年には 2000 年以下のレベル に抑えられます。 2.廃棄物ゼロ 都市ゴミ用コンポーストプラントの設置などによる、家庭用廃棄物の削減と再利用を促進するための 調査が開始されました。 3.持続可能な輸送 リヨン・コンフリュアンスは中心部の伸張にあたり、代替輸送手段の利用促進に努力を集約していま す。その例として、2014 年にはジェルラン地区からパールデュー駅までトラムが連結された他、大 規模な企業間の輸送計画、カーシェアリングの促進、サイクリングロードの拡充、民間の河川シャト ルなど挙げられます。再開発後の新地区の周縁に配置されるイノベーティブな駐車システムもあり、 新中心街の交通渋滞の緩和を目的に、住民、ビジネスマン、ビジターが駐車スペースを共有します。 商店と公共設備を接近させて、買い物をしたりソーヌ川沿いで休息んだりといった歩行者の往来を促 します。 4.持続可能な地元産原材料 不動産デベロッパー・建設業者向けの仕様書には、健全でリサイクル可能な地元産の資材の利用を優 先する、といった環境に関する提案が段階的に盛り込まれるようになります。またこの仕様書では、 施主に、現場で使用する建設資材のカーボン・フットプリントの算定が求められます。 5. 持続可能な地元産食品 関係者及び地元のアソシエーションのネットワークが住民に対して、持続可能な食品の選択を促しま す。このネットワークとしては、AMAP(伝統農法、有機農法の維持を提唱するアソシエーション) と地元農家、共同菜園の設置のための Pass Jardin(共同菜園の設置を提唱するアソシエーション)と コンポースト経験者などが挙げられます。野菜、果物、乳製品など地元で取れる季節の産物に関する 情報アクセス及び消費を容易にし、より和やかな雰囲気を作ることで、仲介の少ない代替流通形態が 同地区内で定着することになります。 6. 持続可能な水の管理 公共スペースは、雨水の回収を可能にするように設計され、回収された雨水は、緑地への散水に利用 されます。水の分離が標準となり、汚水は都市圏南部にあるピエール=ベニト浄水場まで運ばれ、余 剰の雨水は排水路を経由してソーヌ川に戻されます。 7.自然な住居と生物多様性 拡張した中心街にあるブラウンフィールドの開発も、野心的な選択に基づいて行われました。ソーヌ 川と接触する 60%のスペースは公園やウォーターガーデンに変換され、川と繋がる天然池の回りに 大広場が作られました。この取り組みにより、緑地帯の設置や川畔林と水草の植え込みのための土壌 の浄化が進みました。全てが生物多様性の回復に適した生物生息空間づくりに貢献しています。これ らの場所には「都市の生物多様性観測所」としての役割が期待されており、環境保護団体も緻密にミ ニタリングをします。 8.文化と遺産 都市文化は町の歴史に立脚しています。コンフリュアンス の文化は、長い間、工業、物流、港湾といった産業の影響 を受けていました。この地区で実施された最近の整備には、 前世紀の建築物の再利用も含まれます。ペラーシュ駅近く の旧郵便物仕分け所はリヨン市立古文書館に改造され、か つては砂糖や食塩を保管していたランボー港地区の建築物 は、レストラン、オフィス、文化イベントの展覧会場 (ラ・シュクリエールでの現代美術ビエンナーレ、旧税関 建物のアートギャラリーなど)へと改装されました。旧卸 売市場建築物の一部が今後、手工業、商業、文化活動を受 け入れる市場地区に組み込まれます。19 世紀に建造された 2 つの刑務所も、リヨン・カトリック大学、学生向け住宅、 低家賃公団住宅を迎え入れ、新たな任務につきます。 9.公正さと経済的発展 住宅、雇用、商業、施設などに誰もがアクセスできること。 コンフリュアンス地区は、「社会階層と都市機能」が地域 全体を通じて混在することが当然である市街地として設計されています。整備プロジェクトは、リヨ ン都市圏の持続可能な経済的発展の一環として実施されます。都市中心地区の密度が高まると同時に、 コンフリュアンス地区を創造の場の中心とし、経済的及び革新的な活動の源とするという意向が高揚 しています。 10.クオリティ・オブ・ライフとウェルネス コンフリュアンス地区とそのなかの建築物は、全ての住宅に太陽光が差し込むように建築物の向きが 決められています。日照には、福祉としての要素と暖房節約という二重の利点があります。地区の中 心部では土と植木が、ヒートアイランド現象の防止を促し、夏の間は日陰を住民に提供してくれます。 補遺 1 リヨン・コンフリュアンス / キーとなる数字 計画の対象となる地区:150ha、うち新開発地区:70ha 協議整備地区(ZAC) フェーズ 1:41ha 事業開始 2003 年 建築可能面積:40 万 m2 32 万 m2 が 2012 年までに納入(住宅 1000 戸/住民 2500 人) 住宅:14 万 m2 - 1900 戸/住民 4000 人 事業活動(オフィス):15 万 m2(外法純面積) 商業:7 万 7000 m2 公共施設:3 万 1500 m2 雇用数 7500 口 フェーズ 1 における公共スペース(道路を含む):22.5 ha(プロジェクト全体では 35ha) フェーズ 1 における緑地:17 ha(プロジェクト全体では 25ha ないし 30ha) 協議整備地区(ZAC) フェーズ 2:35ha 事業開始 2010 年 建築可能面積:42 万 m2(外法純面積) 住宅(13 万 8500m2) オフィスと関連活動(22 万 9000 m2) 低所得層向け公団住宅(PLUS と PLAI)25%、 低所得層向けと通常家賃の間の中間的住宅(PLS と持家取得援助)15% 規制家賃の住宅 10%、家賃自由設定住宅 50% サント=ブランディーヌ地区 60 万 m2 (現時点) 住宅:35 万 m2(外法純面積) 住民:7500 人 事業活動:20 万 m2(雇用数 6000 口) (開発) 新規建築可能面積:13 万 m2 住宅:4 万 5000 m2 住民:1000 人 2 事業活動:7 万 5000m (雇用 2500 口) -コンフリュアンス地区の建築可能面積: 100 万 m2 の追加 計画完了後の雇用数:2 万 5000 口、計画完了後の住民数:1 万 6000 人 フェーズ 1 への投資 リヨン都市共同体:1 億 5300 万ユーロ リヨン市:2500 万ユーロ SYTRAL(ローヌ・リヨン都市圏公共輸送管理組合):3700 万ユーロ ローヌ県(博物館):1 億 5000 万ユーロ ローヌ=アルプ地域圏:1 億 2000 万ユーロ 公共投資総額:4 億 8500 万ユーロ 民間投資:6 億 8000 万ユーロ 総投資:11 億 6500 万ユーロ 再生可能なエネルギー生産量 フェーズ 1:3 メガワット フェーズ 2(目標):5 メガワット ペラーシュ/サント=ブランディーヌ地区:2.5 メガワット 補遺 2 計画日程 2009 年 卸市場のコルバ(リヨン市の南東部)への移転。係船ドック地区の一部引き渡し(最初の住宅)。刑 務所のコルバへの移転。 係船ドック地区への歩道路設置。ソーヌ川の 1km の遊歩道・ランボー港の 公共スペースのオープン。水中公園北部の完成(ソーヌ公園)。 エファージュ・グループ、エスパ ス・グループ、カルディナル、ル・ベック・レストランといった 企業本社の引き渡し。 2010 年 WWF 仏支部と協定調印(2010−15 年の 5 ヵ年提携協定)。ソーヌ川に繋がるカジミール・ペリエ通 りとクール・バイアールのオープン。A、B、C 区画の最終引き渡し(住宅 660 戸とオフィス 1 万 5000m2)。協議整備地区フェーズ 2 のソーヌ・クレアシヨン公園(35ha)のオープン。E 区画と F 区 画の工事開始。アルシーブ広場(自動車 632 台収容可能な駐車場)とオフィス「エスパス・コンフリ ュアンス」の引き渡し。 2011 年 ローヌ=アルプ地域圏議会本部の引き渡し。都市開発地域計画(PLU)の簡略化。E 区画と F 区画の 一部引き渡し。 2012 年 レジャー&ショッピングモールのオープン。GL イベント本社の引き渡し。E 区画と F 区画の引き渡 し(住宅 240 戸)。ジェルメーヌ・ティヨン学校の開校(9 クラス)。フェーズ 2 に関する建築家/不 動産プロモーターとの協議開始。H 区画と K 区画の工事開始。協議整備地区フェーズ 2 実施文書策定。 2013 年 ユーロニュース社本社の完成。MJC(青少年文化会館)などの引き渡し。リヨン・オステオパシー 高等研究所の開校。 2014 年 ジェルラン地区までのトラム路線とローヌ川の通行橋のオープン。H 区画と K 区画の完成。 2015 年 旧刑務所内のリヨン・カトリック大学開校、住宅・オフィスプログラムの開始。「Hikari」ビル(P 地区)の完成。
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