Intel® CoreTM 2 Duo Processor-Based Embedded Computer AR2000 Model 420 武部建治 * 岡田 恭 * 南 悦子 * 坂井利一 ** 下野 満 ** Kenji Takebe Kyo Okada Etsuko Minami Toshikazu Sakai Mitsuru Shimono 野村隆弘 ** 宇都宮 智 *** 北 晋一 *** Takahiro Nomura Satoshi Utsunomiya Shin-ichi Kita * ** ** ProDeS グループ システムプロダクト事業部第二技術部 ProDeS グループ システムプロダクト事業部第三技術部 ProDeS グループ 開発技術部 エンベデッドコンピュータ AR2000 シリーズは,小型かつ耐環境性に優れた組込み用コンピュータであ る.今般,その後継機種として AR2000 モデル 420 を製品化した.デュアルコアプロセッサの搭載による 処理性能の向上と豊富なインターフェースの採用により,試験装置,工作機械,製造設備,デジタルサイネ ージ(電子看板) ,画像処理装置など,幅広い用途での適用が可能である. The AR2000 series embedded computer is a small and highly environmentally-resistant embedded computer. PFU has introduced the AR2000 Model 420 as its successor to the previous AR2000 model. Thanks to the enhancement of processing capability realized with a dual core processor and the adoption of a broad range of interfaces, this product can be applied to a wide range of uses such as testing devices, machine tools, manufacturing facilities, digital signage (electronic displays), and image processing devices. 1 まえがき 2 開発の背景とねらい PFU は組込み市場の小型コンピュータ分野におい A R 2 0 0 0 シリーズの従来機にはインテル 注1) て,高品質なコンピュータシステムを提供することを基 Pentium R 注1) M プロセッサを搭載している.しかし, 本方針として,2004 年 11 月よりエンベデッドコン 近年の組込み市場では画像処理等のデータ量の増加に伴 ピュータ AR1000 シリーズ,AR2000 シリーズの出 い従来機では対応できない高い処理性能が求められてき 荷を開始した.以降も顧客に満足いただける製品を提供 ている. すべく,AR2000 シリーズのエンハンスモデルを新規 投入し,ラインナップを強化してきた. 今般,AR2000 シリーズの新モデルとしてデュアル PFU は,CPU やチップセットなどの主要なコンポ ーネントを小型パッケージに凝縮したシステム オン モ ジュール 参2)を製品として持っている.その一つである コアプロセッサを搭載した AR2000 モデル 420 参1) AM120 の提供を開始した. Express 注2)標準規格に準拠し,二つの CPU コアを は,PFU が自ら策定に参画した COM 参3) 本稿では,本製品の仕様を紹介した上で,本製品に 活用されている技術,市場への適用例について紹介する. 18 注1)インテル,Pentium は,Intel Corporation の登録商標また は商標である. 注2)COM Express は,組込み向け PCI 製品の標準化を目的とし た国際的な標準化団体 PICMG(PCI Industrial Computer Manufacturers Group)が策定した組込み向け CPU モジュ ール規格である. PFU Tech. Rev.,21, 1,pp.18-24(05,2010) インテル R CoreTM 2 Duo プロセッサ搭載 エンベデッドコンピュータ AR2000 モデル 420 内蔵したデュアルコアプロセッサのモジュールである. のリプレース案件にも対応可能である.さらに,吸排気 今般,この小型高性能モジュールを採用した AR2000 の放熱エリアを前後のみとすることで,上下左右完全密 モデル 420 を開発し,2009 年 10 月から出荷を開 着可能となり,顧客装置に内蔵する場合においても設置 始した. 自由度を高くした.また,CF オプションを選択するこ とで,耐振を目的とした HDD レスでの運用も可能で 3 本製品の概要と特長 3.1 概要 ある. 3.2.3 高い拡張性 デジタル画面出力(DVI)をはじめ,LAN,USB, AR2000 シリーズは,国内設計,国内製造の 1 シリアルポート(RS-232C / RS-422 / RS-485) DIN サイズの小型組込み用コンピュータである.組込 など,豊富なインターフェースを装備しており,幅広い み市場における各種用途に対応できるよう, 省スペース, 用途での使用が可能である.また,各種 I/O,記憶装置 耐環境性,長期供給,長期保守に対応している. などの顧客要望によるカスタマイズも対応可能である. AR2000 モデル 420 の仕様を表−1に,外観を図− 3.2.4 高い操作性や保守性 装置前面にすべてのスイッチや LED,ケーブル接続 1に示す. 部分を配置し,操作面を集中させることで,顧客の装置 3.2 特長 やシステムに内蔵される場合でも,操作性や保守性に優 3.2.1 小型コンピュータでトップクラスの高い処理 れている. 3.2.5 多様な OS に対応 性能 本製品は,小型コンピュータでは業界トップクラ 本製品の OS は,Windows XP Professional, ス注3)となる高性能プロセッサ Core 2 Duo 2.2 Windows Embedded Standard 2009,Red Hat GHz とモバイル向け GME965 チップセットを搭載 Enterprise Linux 5 32 ビット版に対応しており, している.本製品(Core 2 Duo 2.2 GHz,4 GB W i n d o w s X P P r o f e s s i o n a l ,W i n d o w s DDR2 メモリ,シリアル ATA HDD)と従来機 Embedded Standard 2009 をプレインストールし (Pentium M 1.6 GHz,1 GB DDR メモリ,パラレ ル ATA HDD) と の 性 能 を 比 較 す る た め , PCMark05 によるベンチマークテスト結果を図− 参4) 2に示す.デュアルコアプロセッサ,DDR2 メモリ, て出荷するオプションも用意している. 3.2.6 安定稼働に向けたハードウェア監視機能も充 実 当社製監視ソフトウェア(E m b e d W a r e / シリアル ATA の採用により,従来機より CPU 性能 SysMon 参5),参6) Ver4.0)によって,ハードウェアの は 2.3 倍,メモリ性能は 2 倍,HDD 性能は 1.2 倍 監視が可能である. 向上している.また,グラフィックス性能は 3.5 倍も (1)EmbedWare / SysMon Entry Ver4.0 向上しており,従来機では十分に表示できなかった動き EmbedWare / SysMon Entry Ver4.0 は,エン の激しいフルハイビジョン動画でも滑らかに再生でき ベデッドコンピュータ AR シリーズの標準監視ソフト る. ウェアである.主な機能は以下のとおりである. 3.2.2 耐環境性に優れた小型筺体 本製品は耐環境性に優れており,工場等の過酷な環 1)温度/電圧/ファン/ HDD 異常監視 2)ウォッチドッグタイマー監視 境下においても使用可能である.HDD 非搭載時での動 3)異常検出時の自動シャットダウン 作温度は 0 ∼ 50 ℃,耐振動は 2.2 G,HDD 搭載時 4)BIOS イベントログ収集 での動作温度は 5 ∼ 45 ℃,耐振動は 0.4 G を実現し ている.耐衝撃は HDD 搭載時においても 20 G をク リアしている. 5)障害予兆情報の収集 (2)EmbedWare / SysMon SDK EmbedWare / SysMon SDK は,顧客プログラム 本製品の筺体サイズは,178 mm × 175 mm × に EmbedWare / SysMon Entry の監視機能を組込 50 mm と従来機とのサイズ互換を維持し,従来機から むための開発キットである.RAS 機能ライブラリ (DLL)により,顧客アプリケーションへの RAS 機能 注3)A4 サイズ以下,当社調べ PFU Tech. Rev.,21, 1,(05,2010) 組込みを容易に実現することができる. 19 インテル R CoreTM 2 Duo プロセッサ搭載 エンベデッドコンピュータ AR2000 モデル 420 ●表−1 AR2000 モデル 420 モデル名 AR2000 モデル420 型名 CPU チップセット メモリ(必須オプション) グラフィックコントローラ 表 示 制 御 DVI(アナログ)最大解像度 及び表示色 DVI(デジタル)最大解像度 及び表示色 HDD(オプション) CF スロット I / O イ ン タ ー フ ェ ー ス ディスプレイ LAN シリアル USB オーディオ PC カード(CardBus) EMC 対応 海外安全規格対応 RAS 機能 供給電源 最大消費電力 エネルギー消費効率 ※6 動作周囲温度 対応 OS 質量 外形寸法(W × D × H) 仕様概要● PD-AR2KD22AA PD-AR2KD22DA インテル CoreTM※1 2 Duo プロセッサ T7500 (2.2 GHz デュアルコア) PD-AR2KC20AA PD-AR2KC20DA インテル Celeron ®※1 550 プロセッサ(2.0 GHz) インテル GME965 + ICH8M-E 512 MB / 1 GB / 2 GB / 4 GB DDR2 SO-DIMM(ECC なし) チップセット内蔵グラフィックコントローラ(VRAM はメインメモリ使用) QXGA(2,048 × 1,536):1,677 万色 UXGA(1,600 × 1,200)/ HDTV(1,920 × 1,080):1,677 万色 2.5 インチ HDD(シリアル ATA)× 1 ※2 1(TrueIDE, DMA 対応) DVI-I × 1 2(LAN1:10 / 100 / 1000Base-T ※3, LAN2:10 / 100Base-TX) 2(COM1:RS-232C,COM2:RS-232C / RS-422 / RS-485) 4(USB2.0) ラインイン,ラインアウト 1 VCCI Class-A,FCC Class-A,EN55022 Class-A,EN55024 UL60950-1,CSA60950-1 NRTL/C ※4 CPU 温度監視,ファン監視,電圧監視,HDD 監視(S.M.A.R.T.)(専用ソフトウェア EmbedWare / SysMon ®※5 による 状態表示,異常通知),ウォッチドッグタイマー AC アダプタ入力 (AC 100 V, 50 / 60 Hz) DC 入力(16 - 24 V) AC アダプタ入力 (AC 100 V, 50 / 60 Hz) DC 入力(16 - 24 V) 90 W 80 W 60 W 56 W 0.00042(j 区分) 0.00032(j 区分) 0.00075(j 区分) 0.00058(j 区分) 0 ∼ 50 ℃(HDD 搭載時は 5 ∼ 45 ℃)※7 Windows ®※8 XP Professional,Windows Embedded Standard 2009,Red Hat ®※9 Enterprise Linux 5 32 ビット版 2.0 kg 以下 178 mm × 175 mm × 50 mm(ゴム足含まず) 振動 動作時:0.4 G(HDD 搭載時),2.2 G(HDD 非搭載時)/ 非動作時:1.0 G(HDD 搭載時),2.2 G(HDD 非搭載時) 衝撃 動作時 / 非動作時:20 G(HDD 搭載時 / HDD 非搭載時) 環境対応 RoHS 指令対応 ※1 インテル Core,Celeron は,Intel Corporation の登録商標または商標である. ※2 弊社提供の HDD(SATA)オプションのみ使用可能. ※3 LAN1 は PXE ブート,Wake on LAN に対応. ※4 UL60950,CSA60950 は認証機関 CSA にて NRTL/C で規格取得している. ※5 EmbedWare および EmbedWare/SysMon は,株式会社 PFU の日本国内における登録商標である. ※6 エネルギー消費効率とは省エネ法で定める測定方式により測定した消費電力を,省エネ法で定める複合論理性能で除したものである. ※7 当条件は,本体装置の値である.AC アダプタは,0 ∼ 35 ℃の条件で使用可能である. ※8 Windows は,米国 Microsoft Corporation の,米国,日本およびその他の国における登録商標または商標である. ※9 Red Hat は,米国その他の国で Red Hat, Inc. の登録商標もしくは商標である. 20 PFU Tech. Rev.,21, 1,(05,2010) インテル R CoreTM 2 Duo プロセッサ搭載 エンベデッドコンピュータ AR2000 モデル 420 外装ケース 内部シャーシ ●図―1 AR2000 モデル 420 外観● (Fig.1-External view of the AR2000 Model 420) ●図―3 スロットイン構造● (Fig.3-Slot-in system structure) 本製品 5,878 CPU 従来機 2,512 本製品 4,667 Memory 従来機 2,240 効に分散実装することで 3 次元的に空間を活用し,ス 本製品 4,072 従来機 3,276 HDD がさらに必要となるが,外形寸法は従来機同等以下を目 指した.そこでインターフェースコネクタを子基板に有 本製品 1,556 従来機 441 Graphics 内部シャーシユニットをスライドさせるためのスペース ロットイン構造を確保しながら従来機同等の省スペース 性を確保している. 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 PCMark05 スコア ●図―2 従来機との性能比較● (Fig.2-Comparison of performance against a conventional model) また,スロットイン構造では,内部ユニットの固定 部にがたつきが生じるという課題もあった.内部ユニッ トの後部はネジ止めすることが困難なため,装置後部に 樹脂の弾性を利用したシャーシ保持構造を設けること で,振動環境下でも HDD 等に衝撃力が加わらない構 造としている. 4 実装技術 4.1 スロットイン構造 4.2 リニア制御ファンによる装置冷却 従来機では,ファンの回転数を環境によって低速回 本製品の内部構造を図−3に示す.従来機で採用し 転,高速回転の 2 段階で制御する,2 速度制御を採用 ている作業性・保守性に優れた前面操作を更に進化さ していた.しかし,2 速度制御では高回転制御時は製品 せ,装置内部を前面に引き出すことのできるスロットイ の運用温度範囲上限における冷却性能を発揮しているた ン構造を採用し,完全前面保守と高設置自由度を実現し め,過剰冷却になりやすい特性がある. た.スロットイン構造とは,キャリアボードや HDD 本製品は図−4に示すように,搭載ファンの回転数 等の搭載部品すべてを内部シャーシに一体化し外装ケー をリニアに制御している.製品設置環境の変化に対応し スと分離することで,内部シャーシを簡易に着脱するこ て温度監視デバイスが設置温度を検知し,ファンの回転 とを可能とした構造である. 数を適切に制御している.具体的には環境温度が 本構造の採用により,HDD の交換やメモリの増設, 30 ℃を超えた時点でファンの回転数のリニア制御が始 塵埃に対する分解清掃など,様々な保守作業においての まり,環境温度が約 1 ℃上がるごとに回転数が 200 作業効率が,組込みコンピュータトップレベルとなった rpm ずつ上昇していく設定となっている. だけでなく,サービスエリアが装置前後面のみとなった リニア制御と 2 速度制御とを比較した場合,環境温 ことにより,装置の上下・左右面を密着させた設置が可 度 40 ℃時点でファンの消費電力は 35 %削減となる. 能となったことも,組込みコンピュータでの大きなアド 過剰冷却を避け,必要な冷却性能を過不足なく発揮する バンテージである. ことで低消費電力化を実現した. スロットイン構造とするにあたり,従来機に比較し PFU Tech. Rev.,21, 1,(05,2010) 21 インテル R CoreTM 2 Duo プロセッサ搭載 エンベデッドコンピュータ AR2000 モデル 420 6,000 1 分間あたりの 1,024 バイト データの書込み回数 12,000 11,000 回転数(rpm) 10,000 9,000 8,000 リニア制御 2 速度制御 7,000 本製品 5,000 4,000 3,000 2,000 従来機 1,000 0 6,000 0 10 20 30 40 50 60 周波数(Hz) 5,000 20 30 40 50 60 環境温度(℃) ●図―4 リニア制御ファン● (Fig.4-Linear control fan) ●図―5 振動環境下での HDD 性能測定比較● (Fig.5-HDD performance measurement comparison in a vibrating environment) 4.3 HDD の耐震マウント 本製品は組込み用コンピュータであり,用途によっ ては工作機械や車載など,組込み対象や周辺装置から振 動を受ける環境に設置されることも考えられる.本製品 は,設置環境を発振源とし,伝播する外部振動から HDD を保護するためにゲルマウント構造を採用してい 書込み性能低下率(%) 10 る.図−5は衝撃値 1.2 G の振動を 0 Hz から 50 ゲルマウント構造 8 ゲルマウント構造なし 6 4 2 0 6,500 Hz まで変動させて加振した状態での HDD の書込み性 7,500 8,500 9,500 10,500 11,500 ファン回転数(rpm) 能を測定したものである.一般的に地震は 10 Hz 以下, 公害振動については 20 Hz 以下が多く,これらを想定 して評価を実施した.測定ツールには Iometer 参7) ●図―6 ファンによる装置共振時での HDD 性能測定結果● (Fig.6-HDD performance measurement results when the device is resonated with the fan) version 2006. 07. 27 を使用し,値は 1 分間に 1,024 バイトのデータを書込みした回数である. 本製品は一定のアクセス回数を保っているが従来機 はアクセス性能が半減していることがわかる.HDD を の書込み性能が 7.5 %低下しているが,ゲルマウント 構造ではファン回転数の変化に対し HDD の書込み性 能の低下を一定以下に押さえていることがわかる. 防振性能の高いゲル部材で保持することにより,外部振 動に対する防振性を高めることで,クラッシュによる障 害防止や読書き性能の保持など,従来機と比べ高い信頼 性を確保している. 5 利用事例 5.1 大型ディスプレイデジタルサイネージ また,前述の通り,冷却性能の効率化のため,本製 本製品のグラフィックス処理性能を活かし,大型デ 品はファンの回転数をリニア制御しているが,制御仕様 ィスプレイにフルハイビジョンなどの高画質なデジタル 上ファンの回転数が線形に変化していくため,特定の周 サイネージシステムを構築することができる(図−7参 波数において装置筐体との共振が発生する可能性があ 照) .大型ディスプレイの背面に本製品を設置し,配信 る.共振が発生した場合,HDD に 0.1 G ∼ 0.2 G サーバからネットワーク経由で配信されるコンテンツを の振動が定常的にかかることになり,HDD のアクセス 本製品のギガビットイーサネットで受信し,表示スケジ 性能が著しく低下することがわかっている.図−6は, ュールなどを制御して表示する. ファンによる装置共振時での HDD 性能を確認するた め,ファン回転数を変化させて HDD の書込み性能を 5.2 メディア配信装置制御端末 測定した結果である.ゲルマウント構造なしではファン 本製品に搭載している RS-422 / RS-485 機能を の回転数が 11,000 rpm 付近で装置が共振して HDD 使用することで,一度に複数の端末の制御が可能となる. 22 PFU Tech. Rev.,21, 1,(05,2010) インテル R CoreTM 2 Duo プロセッサ搭載 エンベデッドコンピュータ AR2000 モデル 420 大型ディスプレイ 携帯端末 POS レジスタ 配信 サーバ アクセス ポイント DVI ネットワーク ギガビット イーサネット 携帯端末 携帯端末 ネットワーク AR2000 モデル 420 プリンタ コンテンツ配信 AR2000 モデル 420 オーダーサーバ ●図―7 デジタルサイネージ利用例● (Fig.7-Digital signage use example) ●図―9 POS オーダーサーバ利用例● (Fig.9-Example use as a POS order server) AR2000 モデル 420 RS-422/RS-485 で制御 また,本製品にデータバックアップ用として PC カ ードを搭載して,必要なデータは書込み可能な PC カ ビデオ サーバ マトリックス スイッチャー データ配信 センター装置 ードへ保存すれば,本製品の電源断後もデータが消去さ れることなく,データをバックアップすることが可能で ある. 各配信先へ (家庭・広告など) 6 ●図―8 メディア配信用端末利用例● (Fig.8-Example use as a media distribution terminal) 今後の取り組み 6.1 SSD オプションのラインナップ追加 組込みシステムでは,24 時間運用,温度や振動およ 例えば,放送局などで使用しているシステムを一括して び衝撃などの耐環境対策,シャットダウンなしでの強制 制御することが考えられる(図−8参照) .ビデオサー 電源断対応等の顧客要件により HDD レスの要望が高 バに蓄えられた番組や CM などの素材は,マトリック い.HDD レスシステムでは CF での運用が一般的で ススイッチャーによって複数の出力先に切替えられ,デ あるが,記憶容量が HDD に比べて少なく,OS や顧 ータ配信センター装置で変調や多重化を行い放送され 客で使用するアプリケーション等に制約を受ける場合も る.本製品の RS-422 / RS-485 をマスタとして,こ ある. れらの装置をマルチドロップで接続し,番組表データに 昨今 S S D の大容量化や低価格化が進んでおり, 沿って制御する.RS-422 / RS-485 は RS-232C HDD に代わるものとして注目が高まっている.さらに に比べてノイズに強く,高信頼の制御が可能である. SSD は CF と同様に消費電力も低く,可動部もないた め故障率が低いというメリットもある.SSD の採用へ 5.3 POS オーダーシステム の課題としては,書換え可能回数に制限があることや, 店舗において商品やサービスの注文を携帯端末から HDD に比べて容量当たりの単価が高いことなどが挙げ 受け付けるオーダーシステムに本製品を利用する例を られるが,市場動向や顧客ニーズに対応して取組んでい 図−9に示す.24 時間運営するシステムでは,CF を く. 採用して HDD レスとすることで,HDD クラッシュ によるシステム障害の懸念もなく,長期安定して運用す 6.2 PCI Express 対応 ることができる.OS には Windows Embedded PCI Express に対応することでさらに拡張性が高ま Standard や Linux などを採用することで,システム り,顧客のさまざまなシステムを柔軟に構築することが への書込み制限を設けることが可能となる.書込み制限 できるようになる.課題には,供給電源の確保,冷却機 を設けることで,システムデータやアプリケーションが 能の確保,筺体内に PCI Express カードを搭載する 変更されることを防いだり,不正なアプリケーションの ためのライザーカードを含む構造検討などがあるが,評 インストールを防止することが可能である. 価や冷却シミュレーションで確認しながら実現に向けて PFU Tech. Rev.,21, 1,(05,2010) 23 インテル R CoreTM 2 Duo プロセッサ搭載 エンベデッドコンピュータ AR2000 モデル 420 取組んでいく. 7 むすび デュアルコアプロセッサを搭載したエンベデッドコ ンピュータ AR2000 モデル 420 の投入により,組込 み市場での高い処理性能のニーズにこたえる製品を提供 することができた. また COM Express 対応の当社製システム オン モ ジュールを組込むことで,装置の小型化,開発工程の短 縮,初期品質の安定を実現した. 今後もシステム オン モジュールの機種展開に合わせ たタイムリーなモデル追加を行っていく. 24 参考文献 参1)エンベデッドコンピュータ ホームページ http://www.pfu.fujitsu.com/prodes/product/ar/ 参2)システム オン モジュール ホームページ http://www.pfu.fujitsu.com/prodes/product/som/ 参3)村 井 , 高 林 : Core 2 Duo プ ロ セ ッ サ 搭 載 COM Express 規格 システム オン モジュール「AM120 / AM160」,PFU Tech. Review.,18, 2,pp.31-36(2007) . 参4)PCMark05 ホームページ http://www.futuremark.com/products/pcmark05/ 参5)EmbedWare / SysMon シリーズ紹介ホームページ http://www.pfu.fujitsu.com/prodes/product/embed/ sysmon.html 参6)番 井 , 吉 本 : 組 込 み コ ン ト ロ ー ラ 監 視 ソ フ ト ウ ェ ア EmbedWare / SysMon シリーズ,PFU Tech. Review., 16, 2,pp.51-55(2005). 参7)Iometer ホームページ http://www.iometer.org/ PFU Tech. Rev.,21, 1,(05,2010)
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