「平成 16 年度パソコンソフトウェアの市場動向調査」報告書 平成 16 年度 パソコンソフトウェアの市場動向調査 〔縮小版〕 JPSA サマリー 市場全体の動向 ◆平成 16 年度のパソコンソフトウェアの市場規模(国内出荷金額)は、8,257 億円となり、対前 年度で 9.5%の成長 ◆日本経済の回復に伴う企業の IT 投資が回復基調にあわせ、パソコン・PC サーバーなどシステ ムのリプレース需要が発生し、同様にソフトウェアもシステムのリプレースに伴って堅調に推 移 ◆IT 投資促進税制の有効活用による適正な IT 投資の実現 ◆平成 17 年度 4 月の個人情報保護法の完全施行による、企業や個人でのセキュリティ意識の高ま りと、それに伴うセキュリティ関連市場の成長 ◆ブロードバンドの普及に伴う、オンラインゲーム市場の急成長 ◆ソフトウェア市場のビジネスモデルの変革期 供給形態の変化 ◆「ライセンス契約」が 42.5%。企業向けソフトウェアの利用形態が、パッケージからライセン スへと移行 供給先の変化 ◆従来型の「ソフトウェア卸」が中心。バンドルやプレインストールとして「ハードウェアメー カー」がやや増加 エンドユーザー ◆「企業向け」が 8 割弱を占める。 「コンシューマ向け」は 2 割強 カテゴリー別の傾向 ◆「サーバー系ソフトウェア」 ◇ハードウェアの伸びに伴い、ハードウェアの運用・管理やセキュリティニーズが高まる ◇電子商取引市場の拡大により、Web サーバー、アプリケーションサーバー、電子商取引向け のサーバーで顧客情報などを抱えるバックエンドのデータベースソフトウェアが成長 ◇DWH サーバーなど情報の戦略的利用となる BI(ビジネス・インテリジェンス)システムが 急成長 ◆「オフィスソフト」 単体ソフトウェアが統合ソフトに集約されるかたちで引き続き成長 ◆「特定分野ソフト」 ◇製造業や建設業における IT 投資の回復により、需要が回復から成長へ ◇スーパーコンピュータレベルの分野に、パソコンや PC サーバーが進出し始め急成長 ◆「ゲーム」 従来型のパソコンゲームは減少傾向、パソコン用のオンラインゲームが急成長 1 「平成 16 年度パソコンソフトウェアの市場動向調査」報告書 平成 16 年度 〔縮小版〕 JPSA カテゴリー別 パソコンソフトウェアの市場全体の動向 平成 16 年度のパソコンソフトウェアの市場規模(国内出荷金額)は、8,257 億円となり、対前 年度で 9.5%の増加となった。ビジネス市場を中心に市場回復傾向が続くパソコンハードウェア市 場とともに、引き続き堅実な成長を遂げている。 日本経済の回復に伴い、企業の IT 投資が回復基調にある。企業市場では、2000 年に導入の進 んだクライアントサーバーシステムがリプレース期を迎え、これによりパソコン・PC サーバーな どシステムのリプレース需要が発生している。同様にソフトウェアもシステムのリプレースに伴 って堅調に推移している。また、企業ユーザーでの IT 投資は、大企業だけでなく中小企業でも回 復・成長をみせている。中小企業における IT 投資の回復要因の一つとして、IT 投資促進税制の 活用があげられる。企業ユーザーは、ハードウェア・ソフトウェアの購入に際して IT 投資促進税 制を有効活用することによって、適正な IT 投資を実現することができている。 平成 17 年度 4 月に完全施行された個人情報保護法により、企業や個人でのセキュリティ意識が 高まり、セキュリティ関連市場の成長が見込まれる。また、ブロードバンドの普及に伴い、オン ラインゲーム市場が急成長している。 サーバー系のソフトウェアでは、需要の拡大する PC サーバーに対しての効率化を図る運用・ 管理や、セキュリティ管理ソフトが成長している。また、電子商取引の拡大に伴い、データベー ス、DWH、Web サーバー、アプリケーションサーバー、EAI ツールの需要が拡大している。 また、HPC[High Performance Computing(ハイパフォーマンスコンピューティング)]の投入 や、バーチャルコンピューティングなど、パソコン及び PC サーバーによるハイエンドコンピュ ーティングに対する需要が高まり、技術計算/AI など特定分野市場も成長している。 クライアント系のソフトウェアでは、統合オフィスや単体のプレゼンテーションソフトなどが 成長している。 平成 17 年度の予測については、ビジネス市場では景気のさらなる回復を反映するとともに、個 人情報保護法が施行されたことにより、セキュリティを向上するためのシステムの再構築なども 進み、セキュリティソフトウェアが成長し、サーバー系のシステム再構築などがビジネス系のソ フトウェア市場を牽引するとみられる。一方、コンシューマ市場では、ブロードバンド環境がさ らに普及し、オンラインゲームや音楽配信などのコンテンツの市場が成長すると予測される。こ れに伴い、オンラインコンテンツ関連のパソコンソフトの利用も伸びると予測される。しかし、 世界経済の混迷が招く日本経済に対する影響など、先行き不透明な状況もある。 パソコン向けのソフトウェアは、パッケージからライセンス契約へと、販売形態が変化してき ている。形あるソフトウェアから、形のない権利を契約で保証するという売り方へと大きく移行 している。ライセンス契約の販売形態が普及することにより、初期導入費用の低下や複数年単位 でのライセンス契約によるディスカウント、サブスクリプション化、などが起こり、サーバー系、 クライアント系共に、ソフトウェアの低価格化がより進むとみられる。また、インターネットの 普及により、数多くの人が利用してより使いやすくなっているソフトウェアが、シェアウェアや フリーウェアのかたちで広がるために、ソフトウェアの無償化が進んでいる。 ソフトウェア単体としてではなく、デジタルカメラやポータブルデジタルオーディオのように、 ソフトウェアがハードウェアを利用するためのプロモーションツールとしての位置づけで、出荷 されるケースも増加している。また、フリーウェアなどのソフトウェアを活用して、サービスで 売上をたてる事業形態が登場してきた。このように、ソフトウェアは、システムとしてインフラ 化やユーティリティ化された商品の一部としての動きが出ている。今後、パッケージやライセン スなどのソフトウェア事業としてのビジネスモデルを進めていくのか、システムやサービスなど を組合せた中でソフトウェアを付帯的なビジネスモデルとして事業を展開していくのか、ソフト ウェア市場は、変革期にきているといえる。 これらの要因により、ソフトウェアの国内出荷金額は平成 16 年度に引き続き増加するものの、 伸びは鈍化すると見込まれる。 2 「平成 16 年度パソコンソフトウェアの市場動向調査」報告書 平成 16 年度 カテゴリー別 パソコンソフトウェア 国内出荷金額 平成15年度 平成16年度 (百万円) (百万円) 16,823 17,260 クライアントOS OS JPSA 〔縮小版〕 構成比 前年比 2.1% 102.6% 19,707 20,725 2.5% 105.2% 36,530 37,985 4.6% 104.0% 48,488 38,259 4.6% 78.9% 4,130 5,277 0.6% 127.8% 運用管理 24,758 43,792 5.3% 176.9% セキュリティ管理 84,750 94,073 11.4% 111.0% 21,766 27,261 3.3% 125.2% サーバーOS サーバー系・統合業務系 サーバー統合 サーバー データベース・サーバー 系・その他 DWHサーバー・ELTツール の合計 Webサーバー、アプリケーションサーバー EAIツール 2,146 3,709 0.4% 172.9% 23,270 30,241 3.7% 130.0% 452.3% 416 1,883 0.2% 54,436 72,512 8.8% 133.2% 215,672 278,748 33.8% 129.2% 165,333 173,953 21.1% 105.2% 4,051 3,755 0.5% 92.7% 7,980 6,879 0.8% 86.2% 5,819 5,115 0.6% 87.9% 3,557 4,200 0.5% 118.1% 186,739 193,901 23.5% 103.8% 2,304 2,165 0.3% 94.0% 開発支援/言語 14,160 13,500 1.6% 95.3% 業務系ソフト(単独) 17,436 17,637 2.1% 101.2% 13,354 15,271 1.8% 114.4% 44,840 53,017 6.4% 118.2% 416 1,069 0.1% 257.0% 58,610 69,357 8.4% 118.3% 通信 15,696 17,467 2.1% 111.3% デザイン・グラフィックス 22,486 21,886 2.7% 97.3% データ集 8,328 6,618 0.8% 79.5% 教育・学習 6,583 6,465 0.8% 98.2% ゲーム 6,745 13,064 1.6% 193.7% 家庭・趣味 5,510 4,846 0.6% 87.9% 音楽・映像 3,487 2,662 0.3% 76.3% セキュリティツール(クライアント) 63,773 62,156 7.5% 97.5% ユーティリティ他 41,367 38,936 4.7% 94.1% 753,915 825,654 100.0% 109.5% コラボレーション 統合オフィス 表計算・グラフ作成 オフィスソフ ワープロ ト データベース プレゼンテーション コラボレーション(クライアント用) 特定分野 特定業務 CAD/CAM/CAE/AEC/GIS 技術計算/AI TOTAL ※百万円未満は四捨五入 3 「平成 16 年度パソコンソフトウェアの市場動向調査」報告書 平成 16 年度 カテゴリー別 パソコンソフトウェア JPSA 〔縮小版〕 国内出荷金額 構成比 カテゴリー別 パソコンソフトウェア 国内出荷金額構成比 100% 4.8% 4.6% 6.4% 4.6% クライアントOS・サーバーOS サーバー系(統合業務系) サーバー系(その他) 80% 28.6% オフィスソフト 33.8% コラボレーション(クライアント用) 開発支援/言語 60% 業務系ソフト(単独) 特定分野 24.8% 23.5% 通信 40% 0.3% 1.9% 2.3% 1.6% 2.1% 7.8% 20% 0.3% 2.1% 4.1% 1.6% 0.9% 0.5% 教育・学習・家庭・趣味 8.4% ゲーム 2.1% 3.5% 1.4% 音楽・映像 1.6% 8.5% 7.5% 5.5% 4.7% 平成15年度 平成16年度 0% デザイン・グラフィックス・データ集 0.3% セキュリティツール(クライアント) ユーティリティ他 ■(社)日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会〔JPSA〕 社団法人 日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会(会長:淺田隆治、略称 JPSA)は、 パーソナルコンピュータソフトウェアに係わる企業が約 500 社集まり ソフトウェア産業の発 展に貢献している公益団体です。 現在、政策提言、ベンチャー支援、マーケティングサポート(市場動向調査、広報研究)、ビ ジネスアライアンス、知的財産保護、税制改正要望、人材育成、国際交流など、さまざまな活 動を通じて、ソフトウェア産業の発展に貢献しています。 ■問い合わせ先 (社)日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会(JPSA) 事務局:宮下(E-mail:[email protected]) 〒100-0014 東京都千代田区永田町 2-4-2 秀和溜池ビル 4F TEL:03-5157-0780 FAX:03-5157-0781 http://www.jpsa.or.jp/ 4
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