ソフトウェア ライセンス管理の負荷軽減

テクニカルノート
ソフトウェア ライセンス管理の負荷軽減
Jeff Anders(プロダクト マーケティング担当シニア ディレクタ)
エンバカデロ・テクノロジーズ
2009 年 9 月
〒102-0072 東京都千代田区飯田橋 4-7-1 ロックビレイビル 8F
TEL 03-4577-4520 FAX 03-6843-0961
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ソフトウェア ライセンス管理の話になるとしばしば登場するのが、ソフトウェア ベンダーもその顧
客も直面する 2 つの競合する要件、柔軟性と管理性です。ライセンス管理のこれら 2 つの側面は直接
関係する傾向があります。つまり、柔軟性が高まれば高まるほど、管理しにくくなることがあります。
逆に、ライセンスの制限を強めれば強めるほど、管理しやすくなる傾向があります。そのうえ、柔軟
性の程度つまりレベルはライセンス価格にも影響を及ぼす傾向があります。簡単に言えば、柔軟に使
用できるようになればそれだけ高くつく傾向があります。費やす価値のあるもっともな費用である場
合がほとんどですが、それでもやはり費用は費用です。もちろん、これに反する極端な例は常にあり
ます。たとえば、オープンソース ライセンスは、ほとんどの場合、きわめて柔軟性が高いにもかか
わらず、エンド ユーザーによる使用であれば通常は無償になります。あるいは、アカデミック ライ
センスや企業向けサイト ライセンスも、やはり非常に柔軟性が高い傾向がありますが、単位当たり
のライセンス費用は比較的小さいことがあります。
一方で、顧客は製品の使用形態という点では最高の柔軟性を求めています。これは通常、製品をいつ
でもどこでもどのようなマシンでも誰でも使用できることを望んでいるということです。極端な場合、
自分が所有していないマシンでソフトウェアを実行したり、直接雇用していない誰かにソフトウェア
を実行させたいと思うかもしれません。柔軟性に関して見過ごされることがあるもう 1 つの側面は、
製品のライセンスと価格の関係です。問題は、すべての製品が同じ尺度に基づいて値段が付けられて
いるわけではないため、ライセンス体系が大幅に異なることがあり、ひいてはユーザーとして保証さ
れている柔軟性のレベルが非常に異なるおそれがあるということです。時には、CPU の数(コアや
ソケットについては問わない)、ソフトウェアを実際にインストールするマシンの数、同時にアクセ
スできるまたは個人ユーザーとしてアクセスできるユーザーの数に基づいて、あるいは従量課金制で
値段が決まることがあります。それからもちろん、永久ライセンスなのか期間ライセンスなのか、あ
るいはサブスクリプション(これも製品に関するユーザーの柔軟性を考えるうえでの 1 つの要素)な
のかを考慮しなければなりません。
他方、顧客には、自ら求めてあるいは通常は法令遵守の要件に基づいて、ライセンスの高度な管理性
が必要になります。具体的には、ライセンス使用の統制、監査、報告が必要です。誰がいつ製品を使
用しているかを知る必要があります。場合によっては、使用している場所(たとえば、どのマシン)
や使用時間などの詳細な情報さえ必要になるかもしれません。誰が製品にアクセスできるか(特に、
製品を使用するライセンスを誰が取得できるか)、製品を使用できる時間帯(たとえば、PT 午前 9
時から午後 5 時までなど)、製品が使用されなくなったときにユーザーへのライセンスの割り当てが
維持される時間(リンガ時間と呼ばれることもあります)を統制しなければならない場合もあります。
さらに、必要時のアクセスを保証するために、特定のユーザーのライセンスを予約しておいたほうが
よい場合もあります。
ライセンス費用を最小限に抑え、ライセンス管理の苦労を軽減しつつ、ユーザーや組織にとっての最
高の柔軟性を実現するためのヒントをここでいくつか紹介します。
1.
製品のライセンスには通常、技術的な要素とある種の使用契約(いわゆるライセンス書類)の両
方が関係してくることを認識してください。ソフトウェアにはライセンス サーバーやライセン
ス管理システムが付属していたりそれらと連動する場合がある、あるいはソフトウェアの使用を
統制する何らかの手段が組み込まれている場合がありますが、それはおそらく、使用契約に詳し
く記載されている条項のすべてに対応しているわけではありません。しかし、だからと言って、
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データベースパフォーマンス向上のための高速 SQL プロファイリング
ユーザーがこれらの条項に従わなくてもよいというわけではありません。必ず製品のライセンス
契約書を読み理解してください。このような契約書は、エンドユーザー使用許諾契約書
(EULA)、ソフトウェア使用許諾契約書(SLA)、使用権利書(RTU)などと呼ばれることが
あります。製品の使用を開始する前に使用条項を知り理解しておけば、後でユーザー個人または
ユーザーの組織が監査を受ける場合に時間と費用を節約できます。
2.
実現可能であれば、複数のベンダーから提供される複数のスタンドアロン製品を、複数の製品を
1 つのライセンスの下に含んだ単一ベンダー製品(言うなれば、組織内の複数のユーザーおよび
ロールのニーズに応えるスイート)に統一しましょう。管理しなければならないベンダーとライ
センスの数を減らすことで、時間と管理費用(ソフトウェアの "ソフト面での" 2 大コスト)を
大幅に節約できます。
3.
より一般的に使用されるライセンス管理システムのいずれかと連動する製品を探しましょう。そ
うすることで、ライセンス スキームまたはポリシーがそれぞれ異なる複数の製品がある場合で
も、ライセンス管理を一元化でき、その結果、複数のライセンス管理システムを習得し維持管理
するのに必要な時間とコストを節約できます。
4.
ベンダーから独自のライセンス管理システムが提供される場合は、ライセンス使用の管理、監査、
統制、報告を行うためにどのようなツールが用意されているかを必ず確認しましょう。これらの
ツールがなければ、多大な時間とリソースを注ぎ込んでライセンスの管理、監査、報告を手動で
行う羽目になるおそれがあります。
5.
柔軟性、管理性、要件に合うライセンス費用のバランスを実現するには、さまざまなモデルでラ
イセンスを取得でき、それに応じて価格が設定される製品または製品スイートを探しましょう。
場合によっては、特定のユーザーまたはマシンに固定された専用ライセンスが必要になるかもし
れませんし、ネットワーク上の複数のユーザー間でライセンスを共有する必要があるかもしれま
せん。ライセンス ポリシーとそのようなシナリオに対応できる一元化されたライセンス管理シ
ステムがあれば、組織に適したこうしたバランスを実現するのに役立ちます。
6.
ライセンスおよびライセンス管理のコストを検討する際には、必ず、ハード面でのコストだけで
なくすべてのコストに目を向けましょう。ライセンス管理に関連するソフト面でのコストには、
複数のライセンス管理システムを維持管理するための IT スタッフのトレーニング、ユーザーが
必要なときに必要な場所で製品およびツールにアクセスできない場合の逸失機会費用、故意でな
くてもライセンス違反の場合にかかる可能性のある訴訟費用、ライセンス管理および統制が不十
分または存在しないために予期せず発生する調整コストなど多数あります。
7.
メタデータ リポジトリは、メタデータ管理を進める上で欠かせないツールです。メタデータ リ
ポジトリの選択は重要であり、リポジトリには、非構造化コンテンツの管理や、一連の主要ツー
ルに対するインポート/エクスポート、XML のような標準形式でのインポート/エクスポートなど、
主要な機能が備わっている必要があります。
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エンバカデロ・テクノロジーズについて
エンバカデロ・テクノロジーズは、1993 年にデータベースツールベンダーとして設立され、2008 年にボーラン
ドの開発ツール部門「CodeGear」との合併によって、アプリケーション開発者とデータベース技術者が多様な
環境でソフトウェアアプリケーションを設計、構築、実行するためのツールを提供する最大規模の独立系ツール
ベンダーとなりました。米国企業の総収入ランキング「フォーチュン 100」のうち 90 以上の企業と、世界で
300 万以上のコミュニティが、エンバカデロの Delphi®、C++Builder®、JBuilder®といった CodeGear™製品
や ER/Studio®、DBArtisan®、RapidSQL®をはじめとする DatabaseGear™製品を採用し、生産性の向上と革新
的なソフトウェア開発を実現しています。エンバカデロ・テクノロジーズは、サンフランシスコに本社を置き、
世界各国に支社を展開しています。詳細は、www.embarcadero.com/jp をご覧ください。
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