避難 計画 1 更新 弁 論 原告 ら 訴訟 代 理 人の 稲村 で す。 私た ちは 準 備書 面 2 2で 、現 在 つく ら れ てい る原 発 事故 避 難 計画 では 原 発 再稼 働は 到 底認 め ら れな いこ と を主 張 し まし た。こ の更 新弁 論で 改め て 説明 しま す。 2 そも そ も、 な ぜ 、こ の訴 訟 で、 原 発 事故 時の 避 難計 画 が 争 点 と な る の か 。 それ は、新 規制 基準 では 原 発の 過 酷 事故 を防 げ ない か ら です。福 島第 一 原 発事 故を 経 た今 、原 発に 絶対 の 安全 が な いこ とが 明 らか と な りま した 。今 で は国 も電 力 会社 も 原 発に 絶対 の 安全 が あ ると は決 し て言 わ ず 、新規 制基 準 で も、 過酷 事 故が 起 こ り得 るこ と が前 提 と され てい ま す。 過酷 事故 が 起き た と き、放出 さ れる 放 射 性物 質 を 完 全に 抑 え 込む 術は な く、 残念 なが ら 、周辺 住 民は 逃げ る しか あ り ませ ん 。逃 げ るこ と が 、原 発事 故 に 対す る住 民 防護 の 最 後の 砦と な りま す 。逆に 言え ば 、最 後 の 防護 手段 で ある 避難ができないのであれば、原発事故時に住民を守れないということです。 原 発 事故 時 の 避 難 計 画は 、原 発 施設 のハ ード 面に 対 する 安 全 対策 と同 等 の重 要性 をも ち ます 。し たが って 、原発 施 設 のハ ード 面 の 安 全 対 策が 万全 で ない とき に 原 発 稼働 が 許 され ない の と同 様、避難 計画 に 実効 性 が なけ れば 原 発稼 働は 許さ れ ませ ん 。 平成 2 5年 6 月 、国 は 、原 発事 故 時 の避 難計 画 を作 成 す るた めの 指 針( 原 子力 災害 対 策指 針 )を策 定し ま した 。現 在、この 指 針に 基づ き、原発 立 地 自 治体 、そ の周 辺 自治 体に おい て 避難 計 画 の策 定、その 計 画に 基づ いた 諸 施策 の実 施が 進 んで い ま す。 しか し、こ れか ら 述 べる とお り 、現 在 つ くら れて い る避 難 計 画で は住 民 は 安全 に避 難 する こ と がで き ま せ ん。 1 3 現 在 の 避難 計 画 の問 題点 を 考え る に あた って 、私た ち は どの よう な 物の 考 え方 をす べ きで し ょ うか 。 ⑴ 避難 計 画を 考 え るに あた っ て私 た ち が何 より も 参考 に す べき は、机 の上 でさ れた シ ミュ レ ー ショ ンな ど では な く 、実 際に 生 じた 福 島 第一 原発 事 故 です 。福 島 第一 原 発 事故 で生 じ た被 害 を 明ら かに し 、そ の 被 害を 防ぐ に は どの よう な 計画 を 作 成す べき か を 逆 算 し て考 えな け れば な り ませ ん 。 私 た ち は準 備 書 面 2 2 で 福 島第 一 原 発 事 故 に よ っ て 生 じ た 被 害 を、「 避 難」と い う観 点 から 詳細 に論 じ まし た 。被害 を直 視 する こ と は、す な わち 、 「避 難」 の あり 方 を 考え るこ と だか ら で す。 ⑵ こ こ で 、ご く 簡単 に 、福 島 第一 原 発事 故で 生 じた 被 害 を、事 故発 生 直後 、 避難 生活 中、避 難生 活終 了時 の 段階 に 分 けて 述べ 、ど の よう な避 難計 画 が 必 要 とさ れ る か を 述 べ ま す。 ア 事 故発 生 直 後、住 民は 正し い 情 報も ない ま ま着 の 身 着の まま 避 難を 開 始し まし た。医 療関 係の 書類 を 持ち 出 せ なか った た めに 、後 に体 調を 悪 化さ せる 人 もい ま し た。避 難途 中 、道 路 では 大渋 滞 が起 こ り 、普 段 なら 20 分で 行 ける 道 が 5時 間か か りま し た 。国が 場当 た り的 に 避難 範囲 を 拡大 し た た め、住民 はそ の度 に 避難 を 繰 り返 さな け れば な ら ず、福島 第 一 、第 二原 発 に近 い 町の 住民 の 70 % 前 後が 4回 以 上の 避 難 を強 いら れ まし た。住 民は 、こ の間 、精 神 的に も 身 体的 にも 疲 れ果 て 、被ば くし ま した 。 福 島第 一 原 発か ら2 0 km 圏 内 にあ った 病 院、介護 老人 保健 施 設で は、 避 難 途中 で、患 者や 入所 者が 次 々に 亡 く なり まし た。国 会 事 故調 査委 員 会に よれ ば、平 成2 3 年 3月 末 まで に、少な くと も 60 人 の 方が 亡く な って いま す 。 原 発 事 故さ えな け れば 、 永 らえ た命 で す。 原 発事 故 に よる 混乱 は 、多 く の 方々 の命 を 奪い ま し た。 イ 次 に、 避 難 生活 中に 生 じた 被 害 を見 ます 。 福 島で は、事故 から ま る4 年 が 経っ ても 、多 く の方 々が 避難 生 活 を 続 2 けて いま す 。福 島県 から の県 外 避難 者 だ けを みて も、平 成2 6年 3月 時 点で 約4 万 70 0 0 人が 避難 し てい ま す 。原発 事故 に よる 長 期避 難生 活 は、住 民に 重い 負 担 を課 して い ます 。家 族は 分断 さ れ、地 域 で培 われ て き た コミ ュ ニテ ィ も 失わ れま し た 。住 民 の 多 く が 生 業 や 生 き がい を失 い 、 心身 の健 康 も 蝕 ま れ てい ます 。例 え ば、双葉 町で 2 00 年 以 上農 家を 営 んで きた 舘 林て る 子 さん(7 8 歳)は、事故 後、い わき 市の アパ ート に 避難 しま し た。てる 子さ んは 、事 故 前ま では 毎日 田 畑に 出 て 草取 りを し てい まし た が、避 難 後、急 速に 足腰 が 弱 り、一 人で 階段 を 上 るこ とす ら でき なく な りま し た 。 平 成2 6 年 3月 末時 点 で、福 島 県の 震災 関 連死 の 死 者数 は1 7 04 名 に上 りま す 。こ の 中 には 、自死 した 者 1 3名 も含 ん でい ま す 。残 念 なが ら、原 状 で は 、避 難 生活 が続 く 限り 、こ の被 害は 拡 大し て い くの でし ょ う。 ウ 帰還 す る場 合 に も 被 害が 生 じま す 。 現在 、国 は 、一 部 地 域に つい て 、帰 還 政 策を とっ て いま す 。 しか し、原 発事 故 に よっ て近 隣 自治 体 と のあ らゆ る 共存 関 係 が断 たれ たこ と 、放射 線被 ば くへ の 不 安 が払 拭 で きな いた め に 、帰 還 は進 んで い ませ ん。例え ば、平 成2 4 年 1 月 末 に 帰 村宣 言を 発 した 川 内 村は、1 0 歳未 満の 帰 村率 が 1 0% 程度 に 過ぎ ず、高齢 化率 は 事故 前 の 2倍 に も の ぼっ てし ま いま し た 。他の 市 町村 でも 同 様の 事態 が 生じ て い ます 。原 発 事故でコミュニティや人とのつながりはほとんど失われてしまいまし た。 4 以上 述 べた と お り 、福 島第 一原 発 事 故の 経験 か らす れ ば 、避 難 計画 は、事 故直 後 に 住 民を 安 全 に逃 がし 、混 乱 によ る被 害を 防 ぐこ と は もち ろん 、長 期 にわ たる 避 難生 活 の 負担 を取 り 除き 、汚 染さ れた ふ るさ と の 原状 回復 を 行う もの でな け れば な り ませ ん。 3 しか し、現 在つ くら れて い る 避 難 計 画は、そ のよ う なも のに なっ て いま せ ん。 例え ば 、国は 、避 難範 囲を 3 0k m 圏 内に 限定 し てい ま す が、狭 すぎ ま す。 福島 第一 原 発事 故 時 、国 は、2 50 k m圏 内の 避難 ま で検 討 し たの です か ら、 避難 計画 を つく る 範 囲は 25 0 km 圏 ま で想 定 す べ きこ と は 明ら かで す 。福 島第 一原 発 事故 で 実 際に 避難 を 余儀 な く され た 範 囲 をみ て も 、原発 から 5 0 km 離れ た 飯舘 村 が 汚染 され 、村 民 は帰 村で きな く な り ま し た。現実 から 目 を背 け 、3 0 km 圏 内の 避難 で いい と す る国 の指 針 が誤 っ て いる こと は 明ら かで す 。福 島第 一 原 発事 故時 、住民 が 複 数回 やみ く もに 避 難 させ られ 、重大 な被 害が 生 じた こ と の教 訓が 全 く生 か さ れて いま せ ん。 さら に、原 発事 故 は 住民 に長 期 避難 生 活 を強 いま す が、長 期 避難 への 対 策 はほ とん ど 定め ら れ てお らず 、ふる さ と の原 状回 復 に不 可 欠 な、放射 性 廃棄 物の 処分・管 理方 法 も定 めら れ てい ま せ ん 。他 にも 、事 故時 に被 ばく し た者 への 医療 の 提供 に つ いて も、体 制が 不十 分で ある と 国会 事 故 調査 委員 会 で指 摘さ れて い たの に 、 解決 され て いま せ ん 。 市町 村 レベ ル で 作成 され て いる 避 難 計画 をみ て も、長 期 避難 計画 は もと よ り、事故 直後 の 避難 のレ ベル で さえ 、十 分な 情報 伝 達手 段 が 確保 でき て い な い、自家 用車 で 確実 に避 難で き る保 証 が ない 、高 齢者 や 病者 など の要 援 護 者 の避 難手 段 が確 保 で きて いな い 、避難 受 入れ 地域 と なる 自 治 体が 受 入 れ のた めの 物資 や 人員 を 確 保で きて い ない 、3 0キ ロメ ー トル 圏 外 の地 域の 避 難が 必要 にな っ た際 の 避 難計 画が な い、 な ど 多く の問 題 を抱 え て いま す。 結局 の とこ ろ、現在 の 避 難 計画 で は 、住民 は 事故 直 後で すら 安全 に 避難 す るこ とが で きま せ ん 。福島 第一 原 発事 故 時の 被害 が 再び 発 生 する こと は 明ら かで す。 5 最後 に 、現 在 の 避難 計画 が 、国 際 基 準も 満た し てい な い こ と を 述 べ ま す 。 国際 原 子力 機 関 IA EA は 、原 発 の 安全 対策 は それ ぞ れ 独立 した 5 層の 防 4 護に よっ て 行う こ と(深 層防 護)と し、その 5層 目 の防 護 は 、発 電所 外 での 緊急 時対 応 を準 備 し てお くこ と 、すな わ ち実 効性 の ある 避 難 計画 をプ ラ ント 建設 前に 策 定し て お かね ばな ら ない と し てい ます 。 こ の 国 際基 準 に 基づ き、アメ リ カで は、放 射 能が 放 出さ れる 緊急 事 故時 に 十分 な防 護 措置 が 取 られ る保 証 があ る と NR C(日 本 の原 子 力規 制委 員 会に あた る組 織)が 判断 しな けれ ば、原 発の 運転 許可 も 建設 許 可 も認 めら れ ませ ん。実 際、ア メリ カ の シ ョー ラ ム原 子 力 発電 所は 、自治 体 や 住民 が同 意 でき る緊 急時 避 難計 画 を 策定 でき ず 、商 業 運 転を 行う 前 に廃 炉 と なり まし た 。 安倍 首相 は「 日本 の 原発 の安 全 基準 は 世 界一 」と 言 い まし た が 、日 本の 原 発は 国際 基 準す ら 満 たし てい な いの で す 。 6 現在 の 原発 避 難 計画 は、長期 避 難生 活か ら生 じ る被 害 ど ころ か 、事故 直 後 に生 じる 被 害 す ら も 防ぐ こと が でき ま せ ん。国際 基準 も 満た しま せん 。む し ろ加 害性 を もっ た 計 画で ある と すら い え ます 。 住民 を 放射 性 物 質か ら守 る ため の 防 護の 砦の 1 つが 崩 れ てい る以 上 、原 発 の稼 働 は 許 され ま せ ん 。 以上 5
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