地域緑のまちづくり事業による住民の関心と主観的効果に関する研究

公益社団法人日本都市計画学会 都市計画報告集 No.14, 2016 年 2 月
Reports of the City Planning Institute of Japan, No.14, February, 2016
地域緑のまちづくり事業による住民の関心と主観的効果に関する研究
-横浜市錦が丘地区を対象として-
A study on inhabitants consciousness and subjective effect of local greenery activities
- A case study of Yokohama Nishikigaoka area 有賀 楓* 松澤 匠* 室田 昌子**
Kaede Aruga* Takumi Matsuzawa* Masako Murota**
This study aims to clarify the promotional factors of inhabitants’ consciousness and subjective effects by local
greenery inhabitants’ activities. We focused on Yokohama Nishikigaoka area where residents do local greenery
activities including street plants maintenance activities and planting of retaining walls. In this study, we make dear by
interview and questionnaire survey, and consider available countermeasure for future activities in an area doing
greenery activities with a focus space of roadside tree and road.
Keywords:
Greenery activities, Community activity, Inhabitants consciousness, Subjective effect, Yokohama city
緑のまちづくり、地域活動、住民関心、主観的効果、横浜市
1. 研究の背景と目的
2-2 調査対象地の選定
地域住民らで取り組む地域緑化活動は、
緑化による環境や景観
平成 21 から 25 年度までの旧事業対象地は全部で 16 地区、そ
の向上のみならず、コミュニティ形成などへの影響も想定され、
のうち住宅地中心の地域は 9 地区、
商工業地中心の地域は 7 地区
多様な効果が期待される。横浜市の「地域緑のまちづくり事業」
であった。本研究では、住宅地での活動における住民の関心・効
は、地域住民らで取り組む地域緑化活動であり、本研究では本事
果意識の把握を目的とすることから、
住宅地で既に実績のある地
業に着目し、
活動を実施している地域で住民の関心や効果の感じ
域を対象とする。
方を把握し、
地域緑化に対して住民が感じる主観的な効果と関心
本研究では、既に調査が行われた牛久保西地区、白根台第九地
を深める要因を把握する。
区を除き、実績のある地区として錦が丘地区を対象とした。本地
既存研究としては、伊藤・福島(2014)らは住民の参加意欲に関
区は、街路樹・道路空間を中心に緑化事業を進めているという特
する研究を行い、青木・高井・横澤(2015)らは住民の関心・意欲
徴があり、
沿道緑化や民有地を中心とする両2地区とは異なる活
に関する研究を行っている。
本研究では、
既往研究を踏まえつつ、
動タイプとなる。
2 論文とは異なる活動(街路樹・道路空間を中心とした緑化活動)
【表-2】 錦が丘地区概要
を中心に展開する地域で、
緑化活動への関心や主観的に感じる効
自治会名/加入率
人口/世帯数/面積
平均年齢
果が何によって決定づけられるのかを明らかにし、
活動を促進す
るための提案を行うことを目的とする。
2. 調査対象地と研究方法
2-1 横浜みどりアップ計画
横浜みどりアップ計画は、
横浜市が緑の減少を防止するために、
市民、行政、事業者が協働で取り組む事業である。
平成 21~25 年度末までの計画であったが、これまでの取組の
錦が丘町内会/約93%
1,799人/1,055世帯/約14.4ha
約44.1歳
第一種低層住居専用地域/第一種住居専用地域
用途地域
近隣商業地域
土地利用
戸建て・集合住宅が中心
錦が丘街路樹継承宣言(2009年)
まちづくりに関する計画
錦が丘・街づくりデザインプラン(案)(2010年)
土地開発者
東京急行電鉄株式会社
緑化推進団体
錦が丘地区地域緑のまちづくりの会
緑化協定期間
2012年2月~2016年2月
最寄駅
菊名駅(JR横浜線・東急東横線)に隣接
公示地価
340,000円/m²
2-3 研究方法
成果や課題、市民意識調査の結果などをふまえた「横浜みどりア
住宅地での対象地域ごとの活動や進め方を把握するために、
住
ップ計画」
(計画期間:平成 26-30 年度)が現在継続中である。
「横浜みどりアップ計画」の改定にしたがって、重要な柱の一つ
宅地で協定を結んでいる 9 地区で文献調査とインタビュー調査
の要素である「地域緑のまちづくり事業」も大幅な修正が行われ
を行い、現在までの進行状況や課題を明らかにした。
た(表 1 参照)。
対象地域での実際の取り組み状況を把握するために、
フィール
ド調査やインタビュー調査を行った。
町内会に属する住民向けの
【表-1】 地域緑のまちづくり事業概要
平成21~25年度
協定期間
約5年間
実施規模
大(自治会・町内会レベル)
計画策定のサポーター コーディネーター派遣
助成金額
1億1200万円(五年間)
緑化場所の制限
原則として民有地のみ
緑化整備・維持管理・景観木・
活動内容
研修・広報の全て
*
**
平成26年以降
約3年間
小(自治会の班レベル)
コーディネーター等による支援
500万円(年間)
原則としてなし
地域ごとに適したメニューを選択
アンケート調査を行い、住民の属性、地域評価、参加意欲等を質
問し、それを集計・分析した。なお、アンケートについては町内
会を経由して配布、回収した。
非会員 東京都市大学環境情報学科(Tokyo City Univercity)
正会員 東京都市大学環境情報学科(Tokyo City Univercity)
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Reports of the City Planning Institute of Japan, No.14, February, 2016
【表-3】 横浜市地域緑のまちづくり事業住宅対象地の概要※
地区
白根台第九
協定締結日
2011年11月14日
人口
1,100
10
面積(ha)
組織 第九緑の会
運営
名
組織
人数
31人
不明
活動の
きっかけ
一
般
住
宅
活
動
の
進
捗
状
況
(
H
2
7
年
1
1
月
迄
の
情
報
学
校
上白根国際
上飯田
名瀬たかの台
山手
錦が丘
平楽
湘南桂台
牛久保西
2011年11月
2011年11月
2011年12月15日
2012年2月23日
2012年4月26日
2012年11月21日
2014年3月
2013年4月18日
800
19,600
800
4,853
1,779
3,030
5,900
3,454
5
300
4.5
16
14.4
21.5
64.4
57
フラワー&グリーンクラ 花と緑の会
みどりのまちづくり会 みどりの会
地域緑のまちづくりの 緑のまちづくり運営委 みどりの会
花と緑の会
ブ
会
員会
19人
14人
16人
12人
15人
21人
横浜市から事業の提 緑の価値を再認識・保 モデル事業として戸塚 既存の街路樹を保全 樹木の伐採に歯止め 地区内不法投棄の相
案をうけた
全するため
区から提案をうけた
するため
をかけ、歴史的価値を 談をし、横浜市から提
守るため
案をうけた
①まちのゲート部の街 ①脇玄関空間 7件
①マンション等の一階 ①団地入口の緑化1件 ①一般住宅 3件
①一般住宅 10件
①一般住宅 6件
角植栽 2件
②沿道緑化 27件
工事
②メイン通り周辺
②景観木認定 53本 ②ハンギングバスケッ
③擁壁緑化 20件
②一般住宅
・擁壁部の緑化
ト 34基
④フラワーコンテナ
・玄関プランター設置
187件
・庭木の充実311件
①上白根小学校
なし
①飯田北いちょう小学 なし
なし
なし
①平楽中学校
擁壁緑化 1件
校
プランター設置
擁壁緑化 1件
なし
なし
)
①ひなた山
②向ヶ原
③向ヶ丘
公園整備
①ファミリー会館
なし
①地区センター184.3
自
公
・プランター・育苗棚設
㎡
治
民
置
・屋上緑化
会
館
・グリーンカーテン
館
①街路樹植栽桝の緑 ①上白根1丁目バス停 ②ごみの集積場
化 52か所
前の緑化
14か所
道 ②街路樹沿いの緑化 ②町の玄関口の彩
路 約90件
2か所
③南北アプローチ道の
沿道緑化 10件
なし
なし
なし
店
舗
寺公
院園
①空き家を利用した自
給システム 2か所
②雨水システム 10か
所
②維持管理用倉庫の
設置 1か所
主要対象地 万遍なく
広 「グリーン第九」
報 「第九のつどい」
誌
広
①コンテナ寄せ植えの
報
実習
講
活
②苗床研修
習
動
③リース講習会
活
④挿し芽研究会
動
⑤ハンギングバスケッ
ト講習会
・回覧板による勧誘
そ
の
他
担い手の
確保
なし
なし
①丘公園前
花壇整備
②駐車場緑化
①プランター設置
・沿道のゴミ置き場
4か所
・駐車場
①街路樹・植栽枡の再 ①沿道緑化:
整備
・駐車場
・歩道沿い
なし
なし
①街路樹の維持管理・
植え替え 9本
・新植 31本
・伐採 15本
②植栽枡の緑化
③ロータリー整備
なし
①交番前
プランター設置
①コンビニ
・沿道 ・駐車場
②郵便局
・プランター設置
なし
①CARBOX社
街角緑化
メイン通り周辺
店舗
①雨水システム 6か所 ①自動灌水システム
②維持管理用倉庫の
設置 2か所
①灌水装置の設置,維 なし
持管理用倉庫の設置
20件
①ホウキの購入
①花苗自給システム
1か所
民有地
民有地
公共施設
道路
公共施設
「たかの台ニュース」
(毎月発行)
「自治会報」
①ハンギングバスケッ
ト講習会
②プランター花苗植え
付け講習会
③ガーデニング講習会
年2回
・広報誌
(13回発行)
・「緑の街並み通信」
(27回発行)
なし
・町内会がうまく機能し ・講習会を通じて新規 ・講習会・民有地緑化
ていない為、自治会館 獲得を図る
を通じて、人材を育成
を確保し、市民活動を
していく方針
活発化させることが重
・平楽会に園芸部をつ
要
くる
公共施設
「緑のまちづくり緑化活 不明
動通信」
①桂台保育園
②桂台中学校
③桂台小学校
植栽・外周の緑化
①スポーツ広場
外周のみ緑化
・「地域緑の、まちづく
りニュース」
(6回発行)
①ハンギングバスケッ ①寄せ植え教室を年2 ①毎月開催
ト 講習会
回(春/秋)
一年目は基礎的な草
②樹木剪定 研修会 現在は春のみ開催で、 花の知識をテーマに、
一回につき約50人参 二年目以降はプロの
加
園芸士を呼んでいる
不明
・花や緑に興味がある
住民に直接声をかける
・お祭り等の際に焼き
そばを売って住民と交
流を図る
・アサガオやゴーヤの
種を配付
・各町内会長が主導と
なり行う
・緑化により景観が高
まり、
各戸が植栽枡を行うよ
うになった
・多年草の育成
・住宅周りは個人負担 ・期間終了まで3年あ ・町内会で費用を捻出 ・平楽会の園芸部から ・見通しは立っていな
るため、考えていない するか検討中
支援を受けることで、 い
費用を捻出
※2013 年 10 月 31 日~2015 年 11 月6 日インタビュー実施
3. 住宅地における事業の特徴
①公開講座 適宜開
催
(現在まで7回開催)
①地域ケアプラザ
・植栽・外周の緑化
各種研修会
・空き家を利用した育 ・見通しは立っていな
協定終了後
苗システム
い
の
・地域内のお祭りで資
費用確保策
金を確保
14人
大学のある環境で大
学と連携した活動を進
めたいと考えたため
①スポット作戦 15箇
所
(回覧板で呼びかけ、
住民からの希望で緑
化)
①東京都市大学
・北東角
・ビオトープ
・西側空地
なし
①第二公園周辺の再 ①緑の広場づくり:
整備,東側水路部を中 「ブラフ99ガーデン」
心とする空間整備 1か
所
なし
なし
①平楽公園
②増徳院横
③西有寺横
花壇整備
①平楽会館
・プランター設置
約30人
まちをリフレッシュ、活
性化させたいと考えた
ため
①一般住宅 20軒
①マーマ保育園
・沿道緑化
・駐車場緑化
・広報誌
(2回発行)
大学及び大学を通じた
講習会
①ビオトープ講習会
②草花の寄せ植え講
習会
・町内会を通じたチラシ
を全戸配布
・アンケートを実施し、
参加意欲・活動の周知
を図る
・アンケート結果と緑の
会の一年間の活動を
全戸配布
・見通しは立っていな
い
4. 錦が丘地区の特徴と地域緑化活動の内容
4-1 フィールドの特徴
3-1 地域の規模・活動場所の傾向
各地域の活動領域を比較したところ、学校や公園・寺院、自治
・新規入居者の積極的
な支援
・講習会を通じた担い
手の確保
・公共の緑化は各施設
の職員やボランティア
で担当
①町内会館
錦が丘地区は、昭和初期に開発された住宅地であり、東横線・
JR 横浜線菊名駅に隣接する利便性の高いエリアである。勾配の
会館や公民館等の地域拠点となる場所の緑化を行っている地区
ある丘陵地で坂が多く、また 1934 年に桜と楓が植えられ、地域
は名瀬たかの台・山手・平楽、上飯田・牛久保西・湘南桂台・白
のシンボルとなっている。
この桜と楓を守る住民組織として、
「錦
根台第九地区の 7 地区、逆に公益・拠点施設の緑化をせず、道路
が丘・緑豊かな街並みを創る会」が 2009 年に発足しており、自
や一般住宅を中心に緑化活動を行っている地区は錦が丘・上白根
治会と一体
国際地区の 2 地区、9 地区を大きく分けて2つに分類することが
となって活
できた。
動を行って
3-2 協定期間終了後の体制
いる。
担い手の確保については、
どの地域においても重要視されてい
【図-1 】錦が
る傾向にあった。
丘地区の緑
また、五年間の協定期間が終了した後、いかにして費用を捻出
化-範囲(地図
していくかも課題となっており、
町内会から支援を受けることを
は i マッピー
考えている地域や多年草の育成・育苗システムの構築で緑化を継
続していこうとしている地域も見られる。
より引用)
4-2 錦が丘地区の緑のまちづくり事業
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錦が丘地区は、地区内に特徴的な公益・地域拠点施設が存在し
まちづくりの重視項目として(表 8)
「街路樹保全による美し
ておらず、
地域のシンボルはロータリーと街路樹の桜・楓である。
い街並みづくり」には過半数が重視すると回答しているが、緑
従って緑化活動も道路空間の緑化や街路樹と一般住宅の緑化が
化・維持管理活動の経験のある住民は 3 割足らずで、落ち葉の清
中心である。
特に地区内で道路幅員の割に交通量が多いロータリ
掃も 4 割強は意欲なしとしている。
ーから中央通りを中心に「グリーン軸」として、街路樹植栽マス
地域への錦が丘に対する愛着意識(表 10)は、とても好きが 4
の緑化や、ロータリーの改修と緑化を行い、併せて、古い街路樹
割、まあまあ好きを含めると全体の 90%以上にものぼり、非常に
の植え替えや手入れ、
コンクリート擁壁やブロック塀等の緑化を
高い結果であるが、
地域評価から考えるとアクセスの良さがその
施すことで緑豊かな景観づくりを目指している。また、交通量の
主な要因として考えられる。
地域の緑化活動に対する、
住民の主観的な効果の感じ方につい
多い道路で安全面に考慮して街路樹の千鳥配置を実現した。
他に
も、各種研修会・講習会の開催等、多くの活動を行っている。
ては(表 11)
、中央通りの植栽マスの緑化と配置が評価され、
「自
動車の速度低下」が最も効果ありと認識された。
「地域イメージ
5. 緑化活動への関心と経験の有無
の向上」
「景観・緑の豊かさの向上」等の視覚的に結果が見え、
5-1 アンケート回答者から見た住民の特性
日常生活で実感しやすい項目も効果を感じている。
アンケートの男女構成は女性の割合が 6 割であり、
年齢別では、
また、
「地域緑化によって近隣住民との交流のきっかけが増え
高年齢層ほど回答者数が増加している。また、居住年数は 10 年
たと思うか」
「地域緑化によって近隣住民との交流が深まったと
未満と 31 年以上の該当者が共に約 35%を占めた。(表 5 参照)
思うか」という項目において、交流のきっかけとしては少なくと
【表-4】 アンケート概要
も効果を感じている人の割合が 49%であったことに対し、深まっ
実施年月日
ていると感じている割合は 28%と低く、交流のきっかけにはなっ
町内会の各班長から回覧板形式
で配布
1131 回収(回収率) 298(26.3%) 有効票
294
平成27年2月 実施方法
配布数
ているものの、深めるとまではいっていないと言える。
5-3 事業全体の関心からみたクロス集計
5-2.アンケート調査の単純集計結果
地域緑化活動に対する住民の関心については、
緑のまちづくり
事業全体の関心と関連すると考えられる項目をクロス集計し
事業全体への関心がある人は約 70%と高い(表 6)ものの、各活
た。(表 12 参照) 地域への愛着意識とのクロス集計では、錦が丘
動への関心は「庭の玄関先等へのプランターの設置」が最も高く
を好きな人ほど事業に関心を持つ人の割合が多くなった。
地域へ
約 55%であり、個別事業への関心がやや低い傾向にある。
の愛着意識が高い人ほど地域の環境改善や人間関係構築への意
錦が丘の地域評価については(表 7)
、
「都心へのアクセス性」
識を持ちやすいため事業への関心を持つのではないかと考察す
が特に高評価であるが、
それ以外は逆に評価が必ずしも高いとは
る。また、その他項目とのクロス集計では緑化活動に関連のある
言えない。本事業に関係のある緑や景観は、満足の回答が 2 割前
項目ほど、事業全体での関心が高まり、特に緑化活動の経験があ
後であり、地域活動や交流については 1 割前後と低い。
る人においては極めてその傾向が高くなった。
【表-5】回答者属性
属性
性別
年齢
職業
居住
形態
分類
男性
女性
合計
20代
30代
40代
50代
60代
70代以上
合計
会社員
公務員
自営業
主婦
学生
農業・造園業
無職
その他
合計
移り住んできた
生まれた頃から
合計
【表-6】事業全体と各活動への関心
人数 割合 属性
104
187
291
16
15
45
50
73
93
292
79
2
18
115
2
0
52
21
289
251
41
292
35.7%
64.3%
100%
5.5%
5.1%
15.4%
17.1%
25.0%
31.8%
100%
27.3%
0.7%
6.2%
39.8%
0.7%
0.0%
18.0%
7.3%
100%
86.0%
14.0%
100%
居住
年数
自宅
の
分類
居住
人数
分類
0~10年
11~20年
21~30年
31年以上
合計
戸建て持家
戸建て賃貸
戸建て二世帯
集合住宅持家
集合住宅賃貸
その他
合計
1人
2人
3人
4人
5人
6人以上
合計
人数 割合
90
48
17
95
250
186
5
22
29
46
3
291
77
77
69
47
13
7
290
36.0%
19.2%
6.8%
38.0%
100%
63.9%
1.7%
7.6%
10.0%
15.8%
1.0%
100%
26.6%
26.6%
23.8%
16.2%
4.5%
2.4%
100%
【表-8】まちづくりに重視する点
重視する
人数 割合
1 防犯活動
190 64.6%
2 高齢者の支援活動
164 55.8%
3 街路樹による美しい街並みづくり
161 54.8%
4 防災・減災活動
146 49.7%
5 乱開発から街を守る活動
83 28.2%
6 子育て支援活動
78 26.5%
7 ガーデニングによる街並みづくり
77 26.2%
まちづくりに重視する点
【表-9】緑化・維持管理活動
緑化・維持管理活動
緑化・維持管理活動経験の有無
落ち葉の清掃意欲
有り
人数 割合
82 27.9%
140 52.0%
事業全体と各活動への関心
1 緑のまちづくり事業全体への関心
2 庭の玄関先等へプランターの設置
3 街路樹の手入れと維持管理
4 自宅の擁壁などへの緑化
5 ロータリーの緑化
6 グリーンカーテン等の壁・窓の緑化
7 花の育成に関する研修・講習
8 樹木に関する研修・講習
とても関心 少し関心が どちらとも あまり関心
全く関心
合計
がある
ある
いえない
が無い
が無い
人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合
50 17.1% 120 41.1%
55 18.8%
16 5.5%
3 1.0% 292 100%
44 16.7%
97 36.9%
67 25.5%
40 15.2%
16 6.1% 263 100%
43 16.5%
95 36.4%
75 28.7%
36 13.8%
13 5.0% 261 100%
37 14.0%
97 36.6%
80 30.2%
36 13.6%
17 6.4% 265 100%
34 12.9% 103 39.2%
79 30.0%
40 15.2%
11 4.2% 263 100%
34 12.9%
93 35.4%
73 27.8%
45 17.1%
20 7.6% 263 100%
31 11.8%
68 25.9%
83 31.6%
64 24.3%
19 7.2% 263 100%
26 10.0%
68 26.2%
77 29.6%
70 26.9%
20 7.7% 260 100%
【表-7】地域評価
地域評価
1 都心へのアクセス性
2 緑の充実度
3 まち全体の景観
4 町内会や地域活動の充実度
5 道路・交通の安全性
6 地域内の歩きやすさ
7 商業・サービス施設の充実度
8 防犯等の安全性
9 地域内の交流
満足
やや満足
普通
やや不満足
不満足
合計
人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合
202 71.6%
51 18.1%
24 8.5%
4 1.4%
1 0.4% 282 100%
66 23.2%
85 29.9% 113 39.8%
18 6.3%
2 0.7% 284 100%
50 17.9%
80 28.6% 128 45.7%
19 6.8%
3 1.1% 280 100%
39 14.1%
45 16.3% 172 62.3%
17 6.2%
3 1.1% 276 100%
30 10.6%
58 20.5% 128 45.2%
52 18.4%
15 5.3% 283 100%
29 10.2%
56 19.7% 128 45.1%
52 18.3%
19 6.7% 284 100%
28 9.9%
44 15.6%
84 29.8%
79 28.0%
47 16.7% 282 100%
27 9.6%
58 20.6% 161 57.3%
26 9.3%
9 3.2% 281 100%
23 8.3%
33 12.0% 186 67.4%
26 9.4%
8 2.9% 276 100%
【表-10】地域への愛着意識
地域への愛着意識
錦が丘が好きか
どちらとも
あまり好き
好きではない
合計
言えない
ではない
人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合
121 41.7% 146 50.3%
22 7.6%
0
0%
1 0.3% 290 100%
とても好き
まあまあ好き
そう思う
少しそう思う
【表-11】活動効果の実感
活動効果の実感
1 中央通りの自動車の速度
2 地域イメージの向上
3 中央通りの街路樹による安全性の向上
4 景観や緑の豊かさの向上
5 緑による住民の交流のきっかけ
6 落ち葉の清掃の負担度
7 地域活動の活発さ
8 夏の快適さ
9 緑化活動による交流の深まり
- 287 -
人数
87
79
64
63
53
45
34
39
27
割合 人数 割合
30.3%
78 27.2%
27.6%
82 28.7%
22.5%
73 25.6%
22.0%
94 32.8%
18.5%
90 31.4%
16.3%
84 30.4%
12.2%
70 25.2%
13.7%
64 22.5%
9.7%
49 17.7%
どちらとも
あまりそう
全くそう
合計
いえない
思わない
思わない
人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合
66 23.0%
34 11.8%
22 7.7% 287 100%
82 28.7%
27 9.4%
16 5.6% 286 100%
66 23.2%
51 17.9%
31 10.9% 285 100%
86 30.0%
35 12.2%
9 3.1% 287 100%
91 31.7%
41 14.3%
12 4.2% 287 100%
100 36.2%
34 12.3%
13 4.7% 276 100%
126 45.3%
39 14.0%
9 3.2% 278 100%
111 38.9%
54 18.9%
17 6.0% 285 100%
124 44.8%
57 20.6%
20 7.2% 277 100%
公益社団法人日本都市計画学会 都市計画報告集 No.14, 2016 年 2 月
Reports of the City Planning Institute of Japan, No.14, February, 2016
清掃に関心を持っている人②落ち葉の清掃意欲がある人ほど
5-4 事業の効果からみたクロス集計
事業の効果と関連すると考えられる項目をクロス集計した。
③地域内をよく散歩する人、防災減災のまちづくりに注目し、ま
(表 13 参照) 「事業による景観・緑の豊かさの向上効果」とロー
ちの特徴を意識している人ほど、
地域の景観の変化に気づくこと
タリーの緑化への関心のクロス集計を行った結果、
関心が高けれ
が多いため効果を感じ易いのではないかと考えた。
ば高いほど事業による景観・緑の豊かさの向上効果を感じ易い結
7. まとめと考察
果となった。まちづくりに重視する点のクロス集計では、影響を
及ぼしている項目として「街路樹による美しい街並みづくり」が
緑のまちづくり事業全体への関心を集めるには、
第一に地域の
挙げられる。いずれの項目においても、緑化や維持管理意識に好
シンボルでもあり住民の重視する視点でもある
「街路樹による美
意的な考えの人が効果を感じ易い結果となった。
しい街並みづくり」を意識し、地域イメージの向上を図ることが
重要である。第二に、何らかの「緑化活動の経験」を持ってもら
6.事業全体の関心と緑の効果の重回帰分析
うことが効果的である。他の地区においても、事業の関心を高め
6-1 事業全体の関心を高める要素
るためにはその地区のシンボルとなる箇所の緑化や住民の重視
「事業全体への関心」を目的変数、説明変数を「地域評価」
「緑
項目に即したまちづくりを進めること、
様々な年代の人たちが気
化活動経験」
「活動による緑の効果」
「まちづくりに重視する点」
軽に参加できるような緑化活動を行うことが大切である。
「地域への愛着意識」
とし、
変数減少法で分析した(表 14 参照)。
また、
「景観・緑の豊かさの向上効果」を感じる人は錦が丘の
分析から、
錦が丘への愛着が高い人ほど地域内の活動に関心を持
シンボルである「ロータリーの緑化」に関心を持っている人や、
ち易い、
街路樹による街並みづくりを重要視している人は街路樹
地域内の歩き易さや景観に満足している人が効果を感じている
中心の活動を行っている事業に関心を持つ、
緑化経験のある人ほ
ことが明らかとなった。
地域の景観への向上効果を高めるために
ど緑化活動を行う事業にも関心を持つ、
緑化や景観に関連する満
は、目のつき易いシンボル的な場所を中心に緑化し、歩行環境を
足度が高い人ほど事業に関心を持つと考えられる。
充実させて地域内を歩き回りやすくし地域の緑化活動の成果が
6-2 事業の効果に対する重回帰分析
視覚的に実感しやすい工夫をすることが重要である。
緑のまちづくりの効果に対する住民の評価はどの様な要因に
参考文献
1)伊藤・福島・室田(2014),「横浜市地域緑のまちづくり事業における住民の意識と参
加意欲に関する研究―牛久保西地区を対象として―』都市計画論文集No.12
2)青木・高井・横澤・室田(2015)
『地域緑化活動に対する住民の関心と評価に関す
る研究―横浜市白根台第九地区の地域緑のまちづくり事業を事例として―』都市計画
論文集No.13
4)横浜市「錦が丘・緑豊かな街並みを創る会」
〈http://www.geocities.jp/greenery_nishikigaoka/aboutus.html〉
5)横浜市環境創造〈http://www.city.yokohama.lg.jp/kankyo/〉
6)横浜市統計ポータルサイト
〈http://www.city.yokohama.lg.jp/ex/stat/〉
よって決定づけられるのかを明らかにするために、
重回帰分析を
行った。目的変数は「緑のまちづくり事業を始めたことによる景
観・緑の豊かさの向上」
、説明変数を「事業全体への関心」
「各活
動への関心」
「地域評価」
「まちづくりに重視する点」とし、6-1
と同様に分析を行った (表 15 参照)
分析から、①地域のシンボルとなっているロータリーの緑化・
【表-13】景観・緑の豊かさの向上効果とのクロス集計
【表-12】緑のまちづくり事業全体とのクロス集計
項目
錦が丘が好きか
(表10)
街路樹による
街並みづくり(表8)
緑の充実度
(表7)
表11
活
動
効
果
の
実
感
緑のまちづくり
による景観や
緑の豊かさの
向上
中央通りの
街路樹による
安全性の向
上
夏の快適さ
経験の有無
(表9)
分類
とても好き
まあ好き
どちらとも
重視する
重視しない
満足
やや満足
普通
やや不満
不満足
そう思う
少し思う
どちらとも
あまりない
全くない
そう思う
少し思う
どちらとも
あまりない
全くない
そう思う
少し思う
どちらとも
あまりない
全くない
あり
なし
とても関心
がある
人数 割合
36 30.0%
11 7.6%
3 13.6%
43 26.9%
7 5.3%
17 26.6%
21 24.7%
7 6.2%
3 16.7%
0 0.0%
23 37.7%
20 21.3%
3 3.5%
1 2.9%
0 0.0%
26 41.3%
13 17.8%
3 4.6%
2 3.9%
4 12.9%
13 34.2%
13 20.6%
15 13.5%
3 5.6%
2 11.8%
28 34.6%
22 10.4%
緑のまちづくり事業全体への関心
少し関心 どちらとも あまり関心 事業を
がある
いえない
が無い
知らない
人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合
51 42.5% 13 10.8%
3 2.5% 16 13.3%
60 41.4% 34 23.4% 11 7.6% 29 20.0%
6 27.3%
6 27.3%
2 9.1%
3 13.6%
77 48.1% 16 10.0%
4 2.5% 20 12.5%
41 31.1% 39 29.5% 12 9.1% 30 22.7%
25 39.1% 10 15.6%
3 4.7%
9 14.1%
41 48.2% 11 12.9%
2 2.4% 10 11.8%
41 36.3% 29 25.7% 11 9.7% 22 19.5%
8 44.4%
3 16.7%
0 0.0%
4 22.2%
0 0.0%
1 50.0%
0 0.0%
1 50.0%
30 49.2%
4 6.6%
1 1.6%
3 4.9%
47 50.0% 14 14.9%
4 4.3%
9 9.6%
27 31.8% 25 29.4%
5 5.9% 25 29.4%
10 28.6% 11 31.4%
5 14.3%
8 22.9%
2 25.0%
1 12.5%
1 12.5%
2 25.0%
31 49.2%
2 3.2%
1 1.6%
3 4.8%
38 52.1% 12 16.4%
2 2.7%
8 11.0%
27 41.5% 16 24.6%
6 9.2% 13 20.0%
10 19.6% 19 37.3%
4 7.8% 16 31.4%
8 25.8%
5 16.1%
3 9.7%
9 29.0%
18 47.4%
4 10.5%
0 0.0%
3 7.9%
33 52.4%
9 14.3%
3 4.8%
5 7.9%
43 38.7% 26 23.4%
5 4.5% 22 19.8%
19 35.2% 13 24.1%
6 11.1% 13 24.1%
2 11.8%
3 17.6%
2 11.8%
6 35.3%
33 40.7% 12 14.8%
3 3.7%
5 6.2%
85 40.3% 43 20.4% 13 6.2% 45 21.3%
総計
項目
人数 割合
120 100%
145 100%
22 100%
160 100%
132 100%
64 100%
85 100%
113 100%
18 100%
2 100%
61 100%
94 100%
85 100%
35 100%
8 100%
63 100%
73 100%
65 100%
51 100%
31 100%
38 100%
63 100%
111 100%
54 100%
17 100%
81 100%
211 100%
変数
錦が丘が好きか
街路樹による美しい街並みづくりの重要性
経験の有無
緑の充実度の満足度
街路樹による安全性の向上効果への意識
街路樹による夏の快適さへの意識
0.40153
0.37203
係数
0.20336
-0.3484
0.26471
-0.2428
-0.3572
0.20554
関心あり
ロータリーの緑 少しあり
化への関心 どちらとも
(表6)
あまり無し
関心無し
満足
表7 地域内
やや満足
の歩きや 普通
すさ
やや不満
不満足
地
満足
域
やや満足
評
まち全体
普通
価
の景観
やや不満
不満足
そう思う
人数 割合
20 58.8%
20 20.6%
9 11.5%
1 2.5%
0 0.0%
12 41.4%
16 28.6%
22 17.7%
7 13.7%
2 11.1%
26 53.1%
19 24.7%
12 9.5%
1 5.3%
0 0.0%
景観・緑の豊かさの向上
少し
どちらとも あまりそう まったくそ
総計
そう思う いえない 思わない う思わない
人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合
9 26.5%
3 8.8%
2 5.9%
0 0.0% 34 100%
44 45.4% 23 23.7%
9 9.3%
1 1.0% 97 100%
23 29.5% 35 44.9% 11 14.1%
0 0.0% 78 100%
8 20.0% 19 47.5%
9 22.5%
3 7.5% 40 100%
1 10.0%
3 30.0%
2 20.0%
4 40.0% 10 100%
12 41.4%
5 17.2%
0 0.0%
0 0.0% 29 100%
21 37.5% 17 30.4%
2 3.6%
0 0.0% 56 100%
38 30.6% 45 36.3% 16 12.9%
3 2.4% 124 100%
16 31.4% 15 29.4% 10 19.6%
3 5.9% 51 100%
3 16.7%
4 22.2%
7 38.9%
2 11.1% 18 100%
11 22.4%
9 18.4%
3 6.1%
0 0.0% 49 100%
26 33.8% 27 35.1%
3 3.9%
2 2.6% 77 100%
45 35.7% 43 34.1% 21 16.7%
5 4.0% 126 100%
5 26.3%
7 36.8%
5 26.3%
1 5.3% 19 100%
0 0.0%
0 0.0%
3 100%
0 0.0%
3 100%
重視する
35 24.8%
53 37.6%
35 24.8%
15 10.6%
3 2.1% 141 100%
重視しない
27 18.8%
41 28.5%
51 35.4%
20 13.9%
5 3.5% 144 100%
街路樹に 重視する
よる街並
みづくり
重視しない
54 34.6%
61 39.1%
32 20.5%
8 5.1%
1 0.6% 156 100%
8 6.2%
33 25.6%
54 41.9%
27 20.9%
7 5.4% 129 100%
40 29.4%
17 13.3%
53 39.0%
34 26.6%
33 24.3%
48 37.5%
10 7.4%
22 17.2%
0 0.0% 136 100%
7 5.5% 128 100%
防災・減
災活動
表8
落ち葉の清掃 ある
ない
意欲(表9)
【表-15】景観・緑の豊かさの向上効果に対する重回帰分析
【表-14】緑のまちづくり事業全体に対する重回帰分析
重決定 R2
補正 R2
分類
重決定 R2
補正 R2
標準誤差
0.10314
0.13404
0.13889
0.1208
0.1344
0.14062
t
1.97171
-2.5994
1.9059
-2.0095
-2.6578
1.4617
P-値
0.05059
0.01032
0.05868
0.04638
0.00877
0.14603
変数
ロータリーの緑化への関心の高さ
落ち葉の清掃意欲
街路樹による美しい街並みづくりの重要性
防災・減災活動の重要性
まち全体の景観の満足度
地域内の歩きやすさの満足度
- 288 -
0.44588
0.42263
係数
0.26956
0.13577
-0.5837
-0.328
0.22514
0.21685
標準誤差
0.07297
0.06216
0.14404
0.13096
0.09014
0.07057
t
3.69435
2.18416
-4.0523
-2.5046
2.49756
3.07274
P-値
0.00031
0.03058
0.00008
0.01338
0.01364
0.00254