A-7-8 鉄骨工事 Q&A集 溶融亜鉛めっき 制定 異種金属 2011年7月1日 改訂 Q. 亜鉛めっき鋼材と他の金属部材を組合せて使用できるか? ← A. 亜鉛めっき鋼材と他の金属を組み合わせて使用するときに最も懸念される問題は、電食です。電 食は二種類の異なる金属が同時に電解質溶液に接触したとき、金属間の電位差によりイオン化 傾向の強い金属から弱い金属に電子が移動し、電荷を失った金属原子がイオンとして溶液中に溶 け出すことで金属が腐食する現象です。つまり二種類の金属が接触するとイオン化傾向の大きい 金属の腐食が進みますので、亜鉛よりイオン化傾向が小さい金属と接触すると亜鉛の腐食が進 むことになります。 この電食の起こりやすい条件としては 主な金属のイオン化傾向 ①電位差が大きい ②水と接触する 金属名 元素記号 標準単極電位 リチウム Li -3.0400 ③高温多湿である カリウム K -2.9300 ④塩分が多い カルシウム Ca -2.7600 ※ ⑤卑金属 側の面積が大きい ナトリウム Na -2.7100 大 等が、挙げられるとのことです。 マグネシウム Mg -1.5500 また、電食の対策としては ①同一材料を使う ②電位差の小さい材料を使う ③めっきなどにより電位差を小さくする ④塗装により絶縁する ⑤樹脂材料により絶縁する 等が考えられます。 Al Mn Zn Cr Fe Cd Co Ni Sn Pb (H) Cu Hg Ag Pt Au -1.6620 -1.1850 -0.7620 -0.7440 -0.4470 -0.4030 -0.2800 -0.2570 -0.1380 -0.1262 0.0000 0.3420 0.8510 0.8000 1.1180 1.4900 イ オ ン 化 傾 向 → 鋼材に対する亜鉛めっきには亜鉛の皮膜に よって鉄の表面を保護する保護皮膜作用の 他に、万が一亜鉛めっき表面に傷ができてし まった場合も、上記のイオン化傾向の違いに よる電気化学的な犠牲防食作用によって鉄 を守るという効果があります。 アルミニウム マンガン 亜鉛 クロム 鉄 カドミウム コバルト ニッケル すず 鉛 (水素) 銅 水銀 銀 白金 金 小 注記)水素は金属ではありませんが目安として記載し ています。 亜鉛めっき鋼材と電食をおこす例として、ステンレス鋼材が挙げられます。亜鉛めっき鋼材をステ ンレスボルトで締め付けると電食による不具合が発生する可能性がありますので注意してください。 ※卑金属 化学的には、イオン化傾向が水素より大きく、安定性が低い。空気中で熱したりすると容易に酸化 される金属を指す。アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛などがこれに属する。 日建連/鉄骨専門部会
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