[2008年11月](PDF)

No.2-2008
2008 年 11 月
(一部変更)
社団法人 日本海事検定協会
安 全 技 術 室
危険物船舶運送及び貯蔵規則一部改正の概要
U
(IMDGコードAmdt.34-08)
U
今回の国際海上危険物規程第 34 回改正(IMDG コード Amdt.34-08)は、危険物輸送専門家委員会勧
告(国連勧告)第 15 訂版の内容の取り入れが主体です。改正されたコードの規定は海上人命安全条約
(SOLAS 条約)に基づき 2010 年(平成 22 年)1 月 1 日から施行されることとなりますが、国連勧告第
15 訂版を取り入れた危険物の航空及び陸上国際運送規則の改正規定が共に 2009 年(平成 21 年)1 月 1
日から効力を有するとされているため、2009 年 1 月 1 日から 12 月 31 日の 1 年間は危険物の航空及び
陸上運送規則と海上運送規則との間に差異が生じることとなります。
IMO は、輸送モード間の運送規則の差異による不都合を解消し円滑な危険物運送を行うため、2010
年 1 月 1 日の IMDG コード第 34 回改正の発効に先立ち 2009 年 1 月 1 日から IMDG コード第 34 回改正の
規定を実施することを加盟国政府に推奨しており、わが国でも 2009 年 1 月 1 日に同コードの第 34 回
改正に基づいた「危険物船舶運送及び貯蔵規則(危規則)
」及び「船舶による危険物の運送基準等を定
める告示(告示)」等の一部改正が行われる予定です。
主な改正点は次のとおりです。
○ 微量危険物(Excepted Quantities)規定の新規取り入れ
○
海洋汚染物質の判定基準及び表示の変更
○ 液体用 IBC 容器の振動試験
○
引火性液体に係る各種要件に関する引火点(23℃)の取扱いについて
○ 新規危険物の追加(14 エントリー)
○
その他一部変更される主な規定
次頁以降に予定されている危規則一部改正等の概要を上記項目ごとにとりまとめました。
なお、あくまで予定ですので、正確な改正内容については、まもなく公布される官報*「危険物船舶
P
P
運送及び貯蔵規則の一部を改正する省令」等でご確認下さい。
*
P
P
官報については、インターネット版「官報」ホームページ: http://kanpou.npb.go.jp 又は官報販売所一覧ホームページ:
TU
http://www.gov-book.or.jp/asp/Contents/Hanbai/?op=1をご参照下さい。
TU
UT
UT
記
1 「危険物船舶運送及び貯蔵規則(危規則)」及び「船舶による危険物の運送基準等を定める告示(告
示)
」の一部改正関係
1.1
微量危険物(Excepted Quantities)規定の新規取り入れ
「少量危険物」規定が適用される量よりも更に少量の危険物を運送する場合に適用される「微量
危険物」規定が導入されます。同規定は、これまで航空危険物輸送規則においてのみ採用されてい
た規定です。微量危険物規定は、現行の少量危険物規定と比較すると更に緩和される要件と細分化
される要件とがあります。以下に関連規定の改正箇所を下線で示しました。
U
U
(1) 微量危険物の定義及びコンテナへの収納限度
【メモ】微量危険物の定義が新たに危規則第11条第1項に規定されます。同条で引用されてい
る危規則第8条は、容器・包装、標札及び品名等の表示等に関する荷送人の義務規定です。
(改正案)
第 11 条 第 8 条第 1 項の規定にかかわらず、告示で定める危険物(当該危険物について、それぞ
れ、告示で定める質量又は容量以下であるものに限る。)を運送する場合は、標札等及び品名等の
表示の一部を省略することができる。この場合において、当該危険物に係る品名等の表示は、告
U
U
U
U
示で定める方法によらなければならない。
2
第8条第1項の規定にかかわらず、船積地を管轄する地方運輸局長が安全上差し支えないと
認める場合は、標札等及び品名等の表示を省略することができる。
【メモ】微量危険物に関する具体的な定義が新たに告示第10条第三号に規定されます。また、
同一のコンテナに収納できる「微量危険物」輸送物の数量は1000個までとなります。同条で
引用されている危規則第8条第3項は、容器検査を必要とする危険物に関する規定です。
(改正案)
告示第 10 条 規則第 8 条第 3 項の告示で定める危険物は、次の各号のいずれにも該当しない危険
物とする。
一
放射性物質等
二
別表第一の品名の欄に掲げる物質のうち、少量危険物の許容容量又は許容質量の欄に容量又
は質量が掲げられている危険物であって次に掲げる要件に適合するもの(以下「少量危険物」と
いう。
)
イ
別表第一の国連番号の欄に、1044、1950、2037、2315(変圧器、コンデンサその他の機器に
内蔵されているものに限る。)、2794、2795、2800、3028、3151(変圧器、コンデンサその他の機
器に内蔵されているものに限る。
)
、3164、3269、3316、3473、3476、3477、3478 又は 3479と掲げ
U
U
られている危険物(以下「物品危険物」という。)以外の危険物にあっては、同表の小型容器又は
高圧容器の欄に定める組合せ容器に、物品危険物にあっては、同欄に定める小型容器に収納して
運送されるものであること。
ロ∼ハ(略)
三
U
別表第 1 の品名の欄に掲げる物質のうち、微量危険物の許容容量又は許容質量の欄に記号が
掲げられている危険物であって次に掲げる要件に適合するもの(以下「微量危険物」という。
)
イ
U
別表第 1 備考 5 の 2 注 3 に規定する容器に収納して運送されるものであること。
−2−
ロ
U
別表第 1 の微量危険物の許容容量又は許容質量の欄に掲げられている記号に応じ、同表備考
5 の 2 に規定する容量又は質量以下であること。
ハ
U
同一のコンテナに収納する場合にあっては、収納されている容器の数が 1000 を超えないもの
であること。
U
(2) 微量危険物に関するコンテナへの標識貼付免除規定
【メモ】微量危険物を収納するコンテナには、標識の貼付義務が免除されるとともに微量危険
物のみを収納する場合においても少量危険物規定のように「Limited Quantities」のような
表示、即ち、微量危険物の表示は必要ありません。微量危険物に関するコンテナへの標識免
除規定は、少量危険物規定と同様現行の危規則第28条第2項及び関連告示により規定される
ことになります。
(現行)
第 28 条 第 8 条第 1 項の規定により標札等を付すことが義務づけられている危険物を収納するコ
ンテナには、告示で定める様式による当該危険物の標識(等級の異なる火薬類を収納する場合は、
最も高い危険性を示す等級の標識)を 4 側面に付さなければならない。
2
前項の規定は、火薬類であって告示で定めるもの又は第 11 条第 1 項の告示で定める危険物に
ついては、適用しない。ただし、コンテナに収納された危険物が同項の告示で定める危険物のみ
である場合は、当該コンテナに告示で定める表示を四側面に付さなければならない。
3∼8
(略)
(3) 微量危険物に関する隔離の免除規定
【メモ】微量危険物は、少量危険物と同様隔離規定が適用されません。微量危険物に関する隔
離免除規定は、告示第15条に次のとおり規定されます。
(改正案)
告示第 15 条 規則第 21 条第 1 項の告示で定める基準は、別表第 1 の隔離の欄及び別表第 14(積
載する危険物がともに火薬類である場合にあっては別表第 14 の 2)に定めるとおりとする。ただ
し、規則第 13 条の規定によりばら積みして運送する危険物との隔離の基準は、別表第 15 に定め
るとおりとする。
2
規則第 21 条第 2 項の告示で定める基準は、別表第 15 に定めるとおりとする。
3
前2項の規定は、少量危険物及び微量危険物については、適用しない。
U
U
(4) 微量危険物に関する危険物明細書(コンテナ危険物明細書)の作成義務
【メモ】少量危険物と同様、微量危険物を海上運送する場合には危険物明細書(コンテナ危険
物明細書)を作成し船舶所有者又は船長に提出する必要があり、微量危険物の表示方法が告
示第14条の3第一号「ヘ」として新たに規定されます。航空輸送の場合は、運送書類の提出
が免除されています。
(改正案)
告示第 14 条の 3 規則第 17 条第 1 項第 6 号の告示で定める事項は、次に掲げる危険物の区分に
応じ、それぞれ当該各号に掲げるものとする。
イ∼ニ(略)
−3−
ホ
少量危険物として運送する場合にあっては、「少量危険物」(本邦各港間において運送する
場合に限る。)又は「Limited quantity」若しくは「LTD QTY」の文字
ヘ
微量危険物として運送する場合にあっては、「微量危険物」(本邦各港間において運送する
U
場合に限る。)又は「dangerous goods in excepted quantities」の文字
U
(5) 微量危険物の告示別表第1(記載例)
【メモ】告示別表第1に「微量危険物」の欄が追加されます。後述2.1の告示別表第1(案)を
ご参照下さい。
(6) 微量危険物の告示別表第1中の記号の意義及びその容器・包装
【メモ】告示別表第 1 備考 5 の 2 に微量危険物に関する記号の意義が次のとおり新たに規定され
ます。容器・包装は、組合せ容器(中間容器を含む。
)に限られます。容器の安全性は落下試験
及び積重ね試験により確認する必要がありますが、少量危険物と同様容器検査は不要です。
(改正案)
備考5の2
微量危険物の許容容量又は許容質量の欄に掲げる記号の意義は、次に定めるとおり
U
とする。
U
(1) 記号E1、E2、E3、E4及びE5の意義
U
記号
U
U
U
U
一内装容器当たりの許容容量又は許容
U
一外装容器当たりの許容容量又は許
質量(固体についてはg、液体及びガス 容質量(固体についてはg、液体及び
についてはmlを単位とする。)
U
ガスについてはmlを単位とする。ただ
し、混載される場合にはg及びmlの合
計量とする。
)
U
E1
30
1000
E2
30
500
E3
30
300
E4
1
500
E5
1
300
U
U
U
U
U
U
U
U
U
U
U
U
U
U
U
U
U
U
U
U
U
U
U
U
U
U
U
U
U
U
注 1 高圧ガスについては、内装容器に示される容量は内装容器の内容積を表し、外装容器
U
に示される容量は同一外装容器内に収納されたすべての内装容器の内容積の合計を表すも
のとする。
U
2 異なる記号が割当てられている微量危険物が同一外装容器内に収納される場合には、一外
U
装容器当りの総質量は最も制限的な記号に対応する量に制限されなければならない。
U
3 微量危険物を収納する容器は、次の要件に適合するものでなければならない。
U
イ 内装容器はプラスチック(液体の危険物を収納する場合は、その板厚は 0.2mm以上である
U
こと。
)、ガラス、磁器、せっ器、陶器又は金属を用いたものであること。
U
ロ
U
内装容器の閉鎖具は、針金、テープその他有効な方法により確実に固定されていること。
U
ハ
U
内装容器にねじ型のくびれがついている場合、その蓋は、漏れを防止できるねじ型のも
のであること。
ニ
U
U
各内装容器は、緩衝材とともに中間容器に確実に収納されていること。
U
−4−
ホ
U
中間容器は、その向きにかかわらず、破損又は漏洩した場合に内装容器内に危険物を完
全に包含できること。
U
ヘ
U
中間容器は、危険物が液体の場合に内装容器内の危険物を吸収するのに十分な量の吸収
剤を有していること。この場合において、その吸収剤を緩衝材として使用することができる。
U
ト
U
中間容器は、強固な外装容器(木製、ファイバ板その他強固な材質を有するもの)に確
実に収納されていること。
U
チ 各容器はIMDGコード 3.5.3 に規定する容器試験基準に適合するものであること。
U
U
(注)IMDG コード 3.5.3 には、微量危険物の容器試験(Tests for packages)要件が規定されて
います。(落下試験及び積重ね試験)
(7) 微量危険物の外装容器への表示方法
【メモ】現行告示第13条の2に微量危険物の容器、収納要件及び外装容器への表示方法が次の
とおり規定されます。
(改正案)
告示第 13 条の 2 規則第 11 条第 1 項の告示で定める危険物は、次の各号に掲げるものとする。
U
一
U
別表第 1 の品名の欄に掲げる物質のうち、少量危険物の許容容量又は許容質量の欄に容量又
は質量が掲げられているもの(物品危険物以外の危険物にあっては、別表第 1 の小型容器又は高
圧容器の欄に定める組合せ容器に、物品危険物にあっては、同欄に定める小型容器に収納して運
送されるものに限る。)
二
U
別表第 1 の品名の欄に掲げる物質のうち、微量危険物の許容容量又は許容質量の欄に記号が
掲げられているもの
(別表第 1 備考 5 の 2 注 3 に規定する容器に収納して運送されるものに限る。
)
2
U
規則第 11 条第 1 項の告示で定める質量又は容量は、次の各号に掲げる危険物の区分に応じ、
それぞれ当該各号に定める質量又は容量とする。
一
U
前項第一号の危険物
内装容器に収納される危険物の質量若しくは内装容器の容量又は物品
危険物の質量若しくは容量について別表第 1 の少量危険物の許容容量又は許容質量の欄に掲げら
れている質量又は容量(総質量(内装容器又は物品危険物の質量及び外装容器の質量を含む。
)に
ついては 30 キログラムとする。
)
二
U
前項第二号の危険物 別表第 1 の微量危険物の許容容量又は許容質量の欄に掲げられている
記号に応じ、同表備考 5 の 2 に規定する質量又は容量
3
U
規則第 11 条第 1 項の告示で定める表示は、次の各号に掲げる危険物の区分に応じ、それぞれ
当該各号に定める方法とする。
一
U
第 1 項第一号の危険物 収納する危険物の国連番号を「UN」の文字に続けて高さ 6 ミリメー
トル以上の大きさの黒色数字で、第四号様式の少量危険物国連番号用表示に記入することにより
表示すること。
二
U
第 1 項第二号の危険物 第四号様式の 2 様式の微量危険物用表示により表示すること。
U
−5−
【メモ】第4号の2様式(第13条の2関係)
微量危険物用表示
注
U
荷送人の氏名又は名称は、外装容器のその他の箇所に表示されている場合は、記載するこ
とを要しない。
U
部 分
U
地
U
U
U
U
彩
U
白又は表示が見やすい色
U
黒又は赤
U
記 号
U
U
U
線
U
1.2
色
U
U
U
黒又は赤
U
海洋汚染物質の判定基準
現行の「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行規則」及び関連告示の規定では、
「船舶に
よる危険物の運送基準等を定める告示」別表第 1 の品名欄に「P」又は「PP」が付された危険物、及び
それらを一定量以上含有している混合物を海洋汚染物質とすると規定していますが、今後は、告示に
新たに導入される環境有害物質の判定基準に基づき、海洋汚染物質に該当するか否かを判断すること
になります。しかしながら、現行規定で海洋汚染物質と指定されている物質については、今後も海洋
汚染物質として指定し、告示別表第 1 の品名欄に「P」を付すこととしています。
なお、新たに導入された判定基準は国連 GHS(Globally Harmonized System for classification and
labelling of chemicals ) 小 委 員 会 に て 策 定 さ れ た 環 境 有 害 物 質 ( Environmentally hazardous
substances (aquatic environment) )の判定基準と同一のものです。
クラス 1 から 8 のいずれかの危険物に該当している場合であっても、当該基準に該当する場合には
海洋汚染物質として規制を受けることとなります。また、海洋汚染物質マークも次のとおり変更とな
ります。ただし、現行のマークは 2009 年 12 月 31 日まで使用することができます。
U
U
−6−
U
(現行)
(新)
(1) 環境有害物質の基準の導入
【メモ】新たに環境有害物質の基準が導入されます。本基準は告示別表第1備考2(8)として次
のとおり規定されます。
(改正案)
(8)
U
環境有害物質
環境有害物質のタイプは、次の表に定めるところにより判定するものとする。
U
U
環境有害物質のタイプの判定基準
U
U
U
タイプ
U
試験液 1Lにつき試験物質 1mgを含んだ液で、魚類を 96 時間飼育したときにその
U
U
急性 1
U
死亡率が 50%以上のもの、ミジンコを 48 時間飼育したときにその遊泳阻害率が
50%以上のもの又は藻類を 72 時間飼育したときにその生長阻害率が 50%以上の
もの
U
試験液 1Lにつき試験物質 1mgを含んだ液で、魚類を 96 時間飼育したときにその
U
慢性 1
U
U
死亡率が 50%以上のもの、ミジンコを 48 時間飼育したときにその遊泳阻害率が
50%以上のもの又は藻類を 72 時間飼育したときにその生長阻害率が 50%以上の
ものであって、急速分解性でないもの又はオクタノールと水との間の分配係数測
定試験において、分配係数の対数が 4 以上であるもの(ただし、魚介類の体内に
おける化学物質の濃縮度試験において、生物濃縮係数が 500 以上のものに限る。
)
U
試験液 1Lにつき試験物質 10mgを含んだ液で、魚類を 96 時間飼育したときにその
U
U
慢性 2
U
死亡率が 50%以上のもの、ミジンコを 48 時間飼育したときにその遊泳阻害率が
50%以上のもの又は藻類を 72 時間飼育したときにその生長阻害率が 50%以上の
ものであって、急速分解性でないもの又はオクタノールと水との間の分配係数測
定試験において、分配係数の対数が 4 以上であって、慢性毒性無影響濃度が 1mg
/Lを超えないもの(ただし、魚介類の体内における化学物質の濃縮度試験にお
いて、生物濃縮係数が 500 以上のものに限る。
)
U
注 IMDGコード 2.9.3 に規定する環境有害物質の試験によるものとする。
U
U
(2) 海洋汚染物質の定義
【メモ】海洋汚染物質の定義は、「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行規則第30
−7−
条の2の3の告示(平成4年運輸省告示第323号)」に告示別表第1を引用し次のとおり変更され
ます。ただし、現行の定義も2009年12月31日まで使用することができます。
U
U
(改正案)−抜粋−
海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行規則第30条の2の3の告示で定める物質は、次
U
に掲げるもの(略)とする。
一
船舶による危険物の運送基準等を定める告示別表第1の品名の欄(備考の品名の欄及び化
U
学名の欄を含む。)に掲げる物質であって、肩文字「P」が付されているもの
二
船舶による危険物の運送基準等を定める告示別表第1備考2(8)の基準を満たすもの
U
U
(3) 「UN3077、環境有害物質(固体)」及び「UN3082、環境有害物質(液体)」の定義
【メモ】本物質は、クラス1からクラス8までの危険物に該当しないものであって、その判定基
準は告示別表第1備考1(4)に次のとおり規定されます。「海洋汚染等及び海上災害の防止に
関する法律施行規則第30条の2の3の告示(平成4年運輸省告示第323号)」で引用される判定
基準と同じものです。
(改正案)−抜粋−
(4)
品名の欄中「備考 1(4)の表に掲げられたもの」は、次の表の化学名の欄に掲げる環境有
害物質とする。
国連番号
化学名
品名
日本語名
3077
P
環境有害物質 塩化第一水銀
P
Mercurous ChlorideP
P
P
(以下 略)
(固体)
英語名
P
(以下 略)
備考 2(8)の環境有害物質の判定基準に該当するもの(固体
U
U
のものに限る。)
(火薬類、高圧ガス、引火性液体類、可燃性物
質類、酸化性物質類、毒物類、放射性物質等及び腐食性物質を
除く。
)
3082
環境有害物質 塩素化パラフィンP
P
(以下 略)
(液体)
U
P
Chlorinated ParaffinsP
P
P
(以下 略)
備考 2(8)の環境有害物質の判定基準に該当するもの(液体
U
のものに限る。)
(火薬類、高圧ガス、引火性液体類、可燃性物
質類、酸化性物質類、毒物類、放射性物質等及び腐食性物質を
除く。
)
1.3
液体用 IBC 容器の振動試験
液体用の IBC 容器に対する振動試験が新たに導入されます。当該試験は 2011 年(平成 23 年)1 月 1
日以降に製造される IBC 容器の設計仕様に適用されることとなります。本試験方法は、告示第 25 条の
5 第 2 項第一号トとして次のとおり規定されます。
(改正案)−抜粋−
告示第 25 条の 5 本条において、容器の種類の欄に掲げる記号については別表第 1 備考 6(3)(ii)
−8−
に定めるところによる。
2 IBC 容器は、船舶の航行中における湿度又は温度において、その容器の種類に応じ次の各号に
掲げる要件に適合するものであること。
一 金属製 IBC 容器
イ∼へ(略)
ト 液体の危険物を収納するIBC容器にあっては、容器容量の 98 パーセント以上の水で満たした
U
状態において、正弦波形で 25 ミリメートル±5 パーセントの複振幅を垂直に負荷し、IBC容器の
底部の一部が振動台から持ち上がる程度の振動数(容器が共振状態にならないもの)で振動させ
た場合に、漏えい又は運送の安全性を損なうおそれのある損傷がないこと。この場合において、
IBC容器の底部の一部が振動台から持ち上がるとは、厚さ 1.6 ミリメートル以上、幅 50 ミリメー
トル以上の金属薄片を 100 ミリメートル以上完全に挿入できることをいう。
二
1.4
以下(略)
引火性液体類に係る各種要件に関する引火点(23℃)の取扱いについて
現行規定では積載区画の防爆要件等が適用となる引火点基準が 23℃以下とされていましたが、引火
U
U
性液体類の容器等級の判定基準に合わせ、23℃未満に変更されます。該当告示は次のとおりです。
U
U
(1) コンテナの構造等(規則第 25 条関連)−抜粋−
告示第 15 条の 2 規則第 25 条の告示で定める基準は、次の各号に定めるとおりとする。
一
コンテナは、危険物の運送に十分耐える構造及び強度を有するものであること。
二(温度管理が必要な自己反応性物質及び有機過酸化物を収納するコンテナの防爆要件)(略)
三
引火点が摂氏23 度未満の危険物(前号の危険物を除く。)を収納するコンテナの電気器具は、
U
U
防爆型のものであること。ただし、当該危険物を収納するコンテナが、運送中常に当該危険物の
温度を引火点より 10 度以上低く保つことができ、かつ、冷却システムに故障が発生した場合、当
該システムの運転を停止し動力源から完全に遮断できる構造を有する場合には、この限りでない。
四・五(略)
(2) コンテナの積載方法等(規則第 32 条関連)−抜粋−
告示第 16 条の 4 規則第 32 条第 2 項の告示で定める積載方法は、次の各号に定めるとおりとす
る。
一
引火点が摂氏23 度未満の危険物又は引火性高圧ガスを収納しているコンテナと冷凍装置又
U
U
は加熱装置付きのコンテナを甲板下の同一貨物区域に積載する場合は、次に掲げる要件に適合す
ること。
イ
冷凍装置又は加熱装置の電気設備(ガス又は蒸気が内部に入りこまない構造のコンテナの内
部に取り付けられたものを除く。
)は、別表第 8 の 3 の電気設備の欄中分類が T4 で、グループが
ⅡB のものであること。
ロ∼ハ(略)
二
引火点が摂氏23 度未満の危険物(第 15 条の 2 第二号の危険物を除く。)を収納しているコン
U
U
テナを積載する場合は、当該コンテナの電気器具が防爆型のものである場合を除き、運送中常に
当該危険物の温度を引火点より 10 度以上低く保ち、かつ、冷却システムに故障が発生した場合に
は、当該システムの運転を停止し動力源から完全に遮断すること。
−9−
三
引火性高圧ガス若しくは副次危険性等級が 2.1 の危険物又は引火点が摂氏23 度未満の引火性
U
U
液体類若しくは副次危険性等級が 3 の危険物を収納しているコンテナを甲板上に積載する場合
は、発火源となる設備から水平距離で 3 メートル(コンテナのみを積載するための設備を有する
場所に積載する場合にあっては 2.4 メートル)以上離して積載すること。
四(略)
(3) 引火性液体類の積載方法(規則第 59 条関連)−抜粋−
告示第 19 条 規則第 59 条の告示で定める基準は、次の各号に定めるとおりとする。
一∼三(略)
四
引火点が摂氏23 度未満の引火性液体類であって、次に掲げる小型容器に収納されている場合
U
U
は、甲板上積載すること。ただし、コンテナに収納されている場合にあってはこの限りでない。
イ ドラム(容器記号が 1H1 又は 1H2 のものに限る。)
ロ ジェリカン(容器記号が 3H1 又は 3H2 のものに限る。
)
ハ 複合容器(容器記号が 6HH1 又は 6HH2 のものに限る。)
−10−
2
「船舶による危険物の運送基準等を定める告示(告示)」別表第 1 の一部改正関係
2.1
新規危険物の追加(14 エントリー)
【告示別表第 1(案)】
品
名(英語名:略)
国連
分類
番号
項目
隔
副次
容
少量危険
離
危険
器
物の許容
物の許容
区
性等
等
容量又は
容量又は
分
級
級
許容質量
許容質量
微量危険
U
等級
日本語
U
遭難信号筒
0505
火薬類
-
1.4
G
-
-
-
-
火薬類
-
1.4
S
-
-
-
-
火薬類
-
1.4
S
-
-
-
火薬類
-
1.3
C
-
-
-
-
-
8
-
5.1
Ⅱ
1L
E2
-
8
-
-
Ⅱ
1L
E2
4.1
-
-
Ⅰ
−
−
3
-
-
Ⅱ
1L
E2
4.3
-
-
-
(船舶用のもの)
遭難信号筒
0506
(船舶用のもの)
0507
発煙信号筒
1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(無水物)
0508
(乾性のもの又は 20 質量%未満の水で湿性とした
もの)
硝酸
腐食性
2031
(濃度が 65 質量%以上 70 質量%以下のものに限
物質
る。
)
硝酸
腐食性
2031
(濃度が 65 質量%未満のものに限る。)
物質
可燃
1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(無水物)
可燃性
3474
性物
(20 質量%以上の水で湿性としたもの)
物質類
質
エタノールとガソリンの混合物
(エタノールの濃度が 10 質量%を超えるものに限
引火性
3475
-
る。
)
物質類
[エタノールとモータースピリットの混合物]
[エタノールとペトロールの混合物]
燃料電池カートリッジ又は装置に組み込まれたも
水反
の又は装置と共に包装されたもの
可燃性
3476
応可
(水反応性可燃性物質を含むものであって、備考
物質類
500mL 又
燃性
は 500g
の欄の規定により当該危険物に該当するものに限
物質
る。
)
燃料電池カートリッジ又は装置に組み込まれたも
の又は装置と共に包装されたもの
腐食性
1L 又は
-
3477
(腐食性物質を含むものであって、備考の欄の規
物質
定により当該危険物に該当するものに限る。)
−11−
8
-
-
-
1kg
容器及び包装
小型容器又は
大型容器
IBC 容器
特
ポータブルタンク
積載
高圧容器
隔
容器
追加
容器
追加
容器
規定
規定
追加
IMO
UN
追加規
規定
タンク
タンク
定
-
-
-
-
国連
備考
別
方法
離
ES06
-
EmS
番号
規
定
F-B,
P135
-
-
-
-
-
-
0505
S-X
F-B,
P135
-
-
-
-
-
-
-
-
-
ES05
-
-
0506
S-X
F-B,
P135
-
-
-
-
-
-
-
-
-
ES05
-
-
0507
S-X
P114
PP48
F-B,
-
(B)
PP50
P001
PP81
-
-
-
-
-
-
-
IBC02
ES10
-
0508
-
TP2
T8
T8
B20
-
-
IBC02
F-A,
-
D
57
S-Q
TP2
T8
T8
B20
2031
-
TP28A
B15
PP81
-
S-Y
B15
P001
-
F-A,
-
D
-
2031
TP28A
S-B
F-B,
P406
PP48
-
-
-
-
-
-
-
-
D
20
SP28
3474
S-J
F-E,
P001
-
-
-
IBC02
-
-
T4
TP1
-
E
-
SP333
3475
S-E
P004
P004
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
−12−
-
-
-
-
-
-
A
A
SP328
F-G,
SP334
S-P
SP328
F-A,
SP334
S-B
-
3476
-
3477
品
名(英語名:略)
隔
副次
容
少量危険
離
危険
器
物の許容
物の許容
区
性等
等
容量又は
容量又は
分
級
級
許容質量
許容質量
2.1
-
-
-
120mL
-
2.1
-
-
-
120mL
-
-
9
-
-
Ⅱ
-
-
9
-
-
Ⅱ
-
-
2.3
-
-
-
-
国連
分類
番号
項目
微量危険
U
等級
日本語
U
燃料電池カートリッジ又は装置に組み込まれたも
引火
の又は装置と共に包装されたもの
3478
高圧ガ
性高
ス
圧ガ
(引火性の液化されたガスが充てんされているも
のであって、備考の欄の規定により当該危険物に
ス
該当するものに限る。)
燃料電池カートリッジ又は装置に組み込まれたも
引火
の又は装置と共に包装されたもの
3479
高圧ガ
性高
ス
圧ガ
(水素化金属を含むものであって、備考の欄の規
定により当該危険物に該当するものに限る。)
ス
リチウムイオン電池
有害性
3480
(備考の欄の規定により当該危険物に該当するも
-
物質
のに限る。
)
リチウムイオン電池
(装置に組み込まれたもの又は装置と共に包装さ
有害性
れたものであって、備考の欄の規定により当該危
物質
3481
険物に該当するものに限る。)
2.2
規定が一部変更される危険物(告示別表第 1:記載例)
毒性
1017
塩素
P
8
高圧
P
高圧
P
ガス
5.1
U
U
ガス
環境有害物質(固体)
(備考 1(4)の表に掲げられたもの及び備考の欄の
有害性
3077
規定により当該危険物に該当するもの又は備考
5kg
-
9
-
U
Ⅲ
U
E1
U
物質
U
SP944
S
S
2(8)の基準を満たすものであって、他の危険性を
有しないもの)
環境有害物質(液体)
(備考 1(4)の表に掲げられたもの及び備考の欄の
有害性
3082
規定により当該危険物に該当するもの又は備考
5L
-
物質
2(8)の基準を満たすものであって、他の危険性を
有しないもの)
−13−
9
-
U
U
Ⅲ
U
SP944
S
S
E1
U
容器及び包装
小型容器又は
大型容器
IBC 容器
特
ポータブルタンク
積載
高圧容器
隔
国連
備考
別
容器
追加
容器
-
P004
-
-
容器
規定
規定
P004
追加
-
-
-
-
-
追加
IMO
UN
規定
タンク
タンク
定
-
-
-
-
-
-
追加規
-
方法
離
B
-
EmS
番号
規
定
-
-
-
B
SP328
F-D,
SP338
S-U
SP328
F-D,
SP339
S-U
3478
-
3479
SP188
P903
-
-
-
-
-
-
-
-
-
SP230
F-A,
SP310
S-I
A
3480
SP957
SP188
F-A,
P903
-
-
-
-
-
-
-
-
-
A
-
3481
SP230
S-I
SP957
2.2
規定が一部変更される危険物(告示別表第 1:記載例)
D
F-C,
P200
-
-
-
-
-
-
T50
TP19
-
1
9
U
U
1017
S-U
SP274
F-A,
BK
U
P002
PP12
LP02
-
IBC08
B3
-
T1
TP33
A
2
-
3077
SP335
U
S-F
U
SP909
SP274
F-A,
TP2
P001
PP1
U
U
LP01
-
IBC03
-
T1
T4
-
A
-
S-F
TP29
SP909
−14−
3082
SP335
U
2.3
その他一部変更される規定
(1) 硝酸について
「UN2031、硝酸(濃度が 70 質量%以下のものに限る。)
、PGⅡ」が次の 2 のエントリーに分かれま
す。
①「UN2031、硝酸(濃度が 65 質量%以上 70 質量%以下のものに限る。)
、PGⅡ、隔離要件:57」
②「UN2031、硝酸(濃度が 65 質量%未満のものに限る。
)、PGⅡ、隔離要件:-」
(注)隔離要件 57 の意義は次のとおり変更されます。
「濃度が 50 質量%を超えるものは、別表第 14 に定める隔離基準においては、他の危険物から
S
S
腐食性物質に代えて酸化性物質として隔離することとし、甲板上積載をする場合には、可燃性
物質(1)、酸化性物質(2)及び放射性物質等から水平距離で 6m以上離して積載し、甲板下積載をす
P
P
P
P
る場合には、これらの物質とは同一の船倉又は区画に積載しないこと。」
(2) リチウム電池について
「UN3090、リチウム電池(備考の欄の規定により当該危険物に該当するものに限る。
)、PGⅡ」及
び「UN3091、リチウム電池(装置に組み込まれたもの又は装置と共に包装されたものであって、
備考の欄の規定により当該危険物に該当するものに限る。
)、PGⅡ」が次のとおりそれぞれの品名
に「金属」が加わり、リチウムイオン電池が「UN3480 及び UN3481」として新たに規定されます。
これに伴い、備考欄の SP188(危険物に該当しない要件)の内容の一部が改正されます。
、
① 「UN3090、リチウム金属電池(備考の欄の規定により当該危険物に該当するものに限る。)
U
U
PGⅡ」
② 「UN3091、リチウム金属電池(装置に組み込まれたもの又は装置と共に包装されたものであ
U
U
って、備考の欄の規定により当該危険物に該当するものに限る。
)、PGⅡ」
(3) 塩素について
高圧ガス「UN1017、塩素」の告示別表第 1 表中、副次危険性等級欄に「5.1(酸化性)」が、隔離
欄に特別要件「9」が新たに規定されます。
9:別表第 14 に定める隔離基準においては、他の危険物から高圧ガスに代えて酸化性物質として
隔離することとし、甲板上積載をする場合には、放射性物質等から水平距離で 6m以上離して
積載し、甲板下積載をする場合には、これらの物質とは同一の船倉又は区画に積載しないこと。
(4) 環境有害物質の追加 SP について
有害性物質「UN3077、環境有害物質(固体)」及び「UN3082、環境有害物質(液体)」の備考欄に
次の「SP335」が追加規定されます。
SP335:1 危険物に該当しない固体と国連番号が 3082 の危険物との混合物であって、容器又はコ
ンテナ(不漏性のものに限る。)に収納する際に、液体が分離していないものは、国連番号が
3077 の危険物として運送することができる。
2 次に掲げる要件を満たすものは、危険物に該当しない。
(1) 国連番号が 3077 の危険物であって、密閉された容器又は物品危険物に収納されており、
10g 未満であること。
(2) 危険物に該当しない固体と国連番号が 3082 の危険物との混合物であって、含まれる液体
が 10mL 未満であって、密閉された容器又は物品危険物に収納されており、かつ液体が分離し
−15−
ていないものであること。
(5) 容器・包装欄中の「P004」について
前記 2.1 表中の新規危険物「UN3476、UN33476、UN3477、UN3478 及び UN3479」及び現行危険物
「UN3473、燃料電池カートリッジ又は装置に組み込まれたもの又は装置と共に包装されたもの、
等級 3」に割当られる PACKING INSTRUCTIN「P004」が次のとおり新たに規定されます。
P004
U
U
内装容器の種類
U
U
U
内容容器の許容容量
外装容器の種類
U
U
外装容器の許容容量
U
又は許容質量
又は許容質量
U
U
P002 に規定する容器であって、容器等級がⅡの危険物を収納することができるもの
U
U
強固な容器(装置内に収納されているもの又は装置と共に収納されたものに限る。)
U
U
注 1 燃料電池カートリッジが大型で強固な装置内に収納されている場合には、無外装で運
U
送することできる。
U
2
U
燃料電池カートリッジが装置と共に収納されている場合には内装容器又は外装容器に収
納すること。外装容器に収納する場合にあっては、外装容器内での移動に起因する損傷を防
止するために、外装容器内に緩衝材又は仕切り材を用いなければならない。
U
3
U
装置内に組み込まれた燃料電池カートリッジは短絡を防止できるものであり、かつ、装
置は不用意な操作から保護されていること。
U
なお、本インフォメーションでご説明する改正内容は主要なもののみであり、他にも多くの改正が
行われています。従って、今後公布される官報により当該危険物の要件等が改正されているか否かを
確認する必要があります。事前に個々の改正事項をお知りになりたい場合には、弊会安全技術室まで
お問い合わせ下さい。
以
(禁複製)
社団法人
日本海事検定協会
安全技術室/収納検査クリアリング・ハウス
〒231-0002 横浜市中区海岸通 1-3(海事ビル 7F)
電話番号 :045-201-1218
FAX
:045-201-3882
−16−
上