別紙報告書 別紙報告書 様式1- 様式1-② 1-②(終了時評価: 終了時評価:複数機 複数機関用) 「攻めの 攻めの農林水産業の実現に向けた革新的 農林水産業の実現に向けた革新的技術緊急展開事業」 実現に向けた革新的技術緊急展開事業」 マーケティング研究 マーケティング研究 研究成果報告 研究成果報告書【 成果報告書【終了時 書【終了時評価 終了時評価用 評価用】 「海外市場に対応した粉末茶のマーケティング戦略の構築」 海外市場に対応した粉末茶のマーケティング戦略の構築」 平成27 平成27年 25日現在 27年2月25日 研究グループ名: 研究グループ名:海外粉末茶マーケティングコンソーシアム 研究代表者:中村順行[静岡県公立大学法人静岡県立大学] 構成員:公益財団法人世界緑茶協会 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機 構野菜茶業研究所 株式会社エヌケービー 1.試験研究計画名 「海外市場に対応した粉末茶のマーケティング戦略の構築」 2.研究グループ名及び 2.研究グループ名及び研究代表者名 名及び研究代表者名 海外粉末茶マーケティングコンソーシアム 中村順行 [静岡県公立大学法人静岡県立大学] 3.研究実施 .研究実施期間 実施期間 平成26年度 4.試験研究計画の構成 構成員名 (参画機関) 静岡県公立大学 法人 静岡県立 大学 研究 実施者名 研究項目名 ◎中村順行 研究総括 〇中村順行 岩崎邦彦 3-1) 内野 稔 〇西川 博 公益財団法人世 佐藤真紀 界緑茶協会 長坂麻子 秋山麻子 独 立 行 政 法 人 農 〇堀江秀樹 業・食品産業技術 江間かおり 総合研究機構野 菜茶業研究所 株 式 会 社 エ ヌ ケ 〇日吉 徹 ービー 3-2) 1-1) 1-2) 2-1) 粉末茶の飲用場面におけるマーケテ ィング戦略の構築 粉末茶の食品素材としてのマーケテ ィング戦略の構築 粉末茶の飲用利用実態の解明 粉末茶の他用途利用実態の解明 日本から直接輸出される粉末茶関連 商品の解明 1-3) 流通する粉末茶の成分の解明 2-2) 2-3) 粉末茶の飲食素材としての利活用法 開発商品のインターネット調査 5.研究体制 研究の実施体制は別紙1に示すとおりである。 6.研究目的 日本茶、特に抹茶は他国の追随を許さない高品質な製造技術と文化性をもち、粉 末茶全体としても海外需要が急増している。しかしながら、海外における粉末茶の 利用実態や求められる品質についての情報が十分に整理されていない。 そこで、粉末茶の海外市場での競争力をより一層高めるため、本研究では輸出の 約半数を占める米国を視野に汎用性が高く、需要拡大が著しく、付加価値のつけや すい粉末茶をターゲットとし、他国産との内容成分による差別化や成分増強法の現 場への波及など海外輸出に対応した生産体系をベースに日本産の高品質化を活かす とともに消費実態や商品提案に基づいたマーケティング戦略を構築する。さらに、 今後は他国への波及を前提としたマニュアル化を図るとともに、差別化成分による 日本産品質のデフォルト化を念頭に日本茶輸出の倍増化を目的とする。 7.達成目標 1) 粉末茶の利用実態の解明 海外、特に米国における粉末茶や、粉末茶を利用した他用途商品の商品形態、 販売場所、価格等の流通の実態と流通する商品の成分を明らかにする。 2) 粉末茶を用いた輸出対応型商品の開発 米国で販売されている粉末茶や、その関連商品の実態が解明される。 さらに、粉末茶を利用した飲食品のレシピとそのレシピに基づいて開発された 商品をWeb上で調査することにより、その嗜好特性や商品価値を明確化する。 3) 粉末茶のマーケティング戦略の構築 粉末茶の飲用場面及び食品素材におけるマーケティング戦略の構築については アンケートやインターネット調査等からSWOT分析により、マーケット状況 の適切な把握を可能とし、ターゲティング(見込み客の特定と市場規模測定) を行い、品質の違いによる他国産との差別化、価格競争力の強化、販売を促進 可能な戦略を策定する。なお、生産者所得の向上には他国産との色、香味など の成分による差別化を高める栽培法の増強により、さらには輸出業者所得の向 上にはパッケージ、名称、販売法などとともに差別化商品のブランド化に寄与 する。 (1)1年目の達成目標: (1)1年目の達成目標 「該当なし」 (2)終了時の達成目標: ①米国をターゲットに粉末茶の飲用利用時や他用途利用時における商品形態、販売 場所、価格などの実態を 100 サンプル以上の調査により明らかにする。 ②粉末茶やその関連商品のアミノ酸組成、カテキン、クロロフィル等品質に関わる 成分の含量を定量し、他国産粉末茶などと成分比較することにより、多変量解析 等の手法により日本産であることの判別を可能とする。 ③米国で販売されている日本から直接輸出される粉末茶関連商品 100 サンプル以上 の調査により実態を明らかにする。 ④粉末茶の飲食素材としての利活用法を開発し、レシピを作成し、3種類以上の商 品を試作開発する。 ⑤前項で試作開発した商品のインターネット上による嗜好調査を行い、100 件以上の データをもってその商品価値を明確化する。 ⑥飲用粉末茶及び加工用粉末茶の製品の差別化は、成分分析による多変量解析法を 用いて日本産と外国産を判別する。また、ブランディングに関しては SWOT 分析に よりターゲットを絞り、日本産茶の品質特性を活かした粉末茶のマーケティング 戦略を策定し、今後はその戦略を他国への輸出に波及するためのマニュアルを作 成する。 ⑦以上のことを達成することにより、他国産粉末茶との成分による差別化を可能と することで、今まで以上に緑色の強化、アミノ酸含有率を高める栽培法の増強に 寄与する。さらには、日本産粉末茶による輸出対応型商品の開発、成分による差 別化を活かしたトップグレードマーケティングにより品質基準のデファクト化を 促進する。 そのことにより、より発展的に、日本産生産経営体にとっては海外輸出向けに焦 点を絞った粉末茶の供給が可能になるとともに、輸出関係者・経営体にはターゲ ットが絞ぼられた商品の販売強化が可能となる。 8.研究成果(研究全体) (1)終了時 (1)終了時までの要約 終了時までの要約 米国の茶市場は拡大の一途を辿っている。日本から輸出されている粉末茶は高 価格であるが、高学歴、高所得層、若い世代の男性を中心に品質面で高く評価さ れ、米国西海岸や東海岸、五大湖周辺で購入比率が高い。一方、他国産の粉末茶 も出回っているがそれらとはクロロフィルやアルギニンなどの成分で判別可能で ある。また、日本産茶には日本文化や和食、グルメ志向の消費者が多いため、客 層を絞り、安価な他国産との価格競争を避け、高品質で美味しく、機能性もある ことを前面に打ち出し、日本文化や和食と絡めたマーケティングを行うことが適 当と考えられた。 (2)最終 (2)最終年度の要約 最終年度の要約 (1)に記載。 (3)研究成果の詳細 1)粉末茶の利用実態の解明 ア 実施状況 粉末茶の利用実態を米国内におけるアンケート調査(インターネット調査を含 む。調査件数 300 名以上)により明らかにした。また、米国において収集した粉 末茶の主要成分を分析し、日本産と他国産との違いを明確化した。 イ 得られた研究成果 ・米国人にとって日本茶を高く評価す る人が全体の 64%を占めた。また、 女性より男性、若い世代において評 価が高く、機能性や香味の良さとと もに、美味しさ、健康面、リラック スを目的として選んでいた。 ・販売されている粉末茶の種類として は、抹茶、抹茶入り粉末茶、甘い抹 茶入り粉末茶が同程度に販売されて いた(図 1-3)。 ・多用途利用としては、飲み物や料理 に比べお菓子への利用が5割を超えていた。 ・粉末茶及び抹茶に求める価値について、キーワードマッピングにより解析する と、美味しさ、品質の高さをはじめ、機能性、健康、香味、価格についても関 心を示していた(図1-7)。 ・緑茶の最も重要な成分であるカテキンでは、日本産と他国産の差は認めがたか った。 ・抹茶など粉末茶については、鮮やかな緑色が求められ、クロロフィルa、bとも に、高価格の日本産粉末茶に多い傾向が認められた。 ・日本産とそれ以外の国の試料を用いて判別分析を行った結果、「クロロフィル のフェオフィチンへの変化率」、 「アルギニン含量」及び「グル タミン酸含量」の3つの変数に 基づき判別的中率91.7%で判 別された(図1-11)。 ウ 考察 米国市場における茶は、今後 も拡大が期待されるが、米国の 茶流通業者からはコストパフォ ーマンスが高く、消費者に分か り易い飲み方の提案と普及を進 めるべきであるとの意見がみら れた。 一方、粉末茶の価値は、美味 しさ、機能性があり、味が良く、 情緒的で満足感を得られる飲料 として認知されていると考えら れた。 成分値に基づく判別分析により、 日本産と他国産の茶の判別を試み たところ、「フェオフィチンへの変 化率」が最も重要な変数であり、ク ロロフィルaやアルギニン含量を指 標として、他国産と判別することは 容易と考えられた。 日本産と判別 その他に判別 エ 見込まれる波及効果 米国において日本産粉末茶は高 価格で、他国産の粉末茶を飲用す ることも多い。しかしながら、成 分を指標として判別を可能とし、 美味しく、健康に良く、文化性豊 かで情緒的な飲み物であることを明確化することは、日本茶の需要拡大に高い 波及効果をもたらすものと考えられる。 オ 代表する研究成果 別紙3 別紙3に記載。 に記載 2)粉末茶を用いた輸出対応型商品の開発 ア 実施状況 粉末茶関連商品の解明については、1)項と同様のアンケート調査や粉末茶を用 いたレシピを作成し、そのレシピや写真による Web 調査を行い、販売単価、包装 形 態 、 販 売 事 業 者 の 所 在 地 な ど の 実 態 を 明 ら か に し た 。 さ ら に 、 RED U35 (Ryorinin’s Emerging Dream Under 35)入賞シェフによる粉末茶を用いたレシピ を作成し、輸出対応型商品としての商品価値を明らかにした。 イ 得られた研究成果 ・日本及び米国で流通する粉末茶の小売価格は低価格帯(1000~3000 円)と高価格帯 (5000~20000 円)に 2 極化している(図 2-1)。 ・包装形態は、主にアル ミ袋と缶に大別され、 缶入りの粉末茶はより 高額の商品として販売 される傾向がみられた。 ・米国国内の粉末茶の販 売事業者は、西海岸に おいて最も多く、次い で東海岸と五大湖周辺 に位置していた。 ・2014 年に決定した RED U35 で入賞した 4 人のシェフによる5種類のレシピを用い て、アンケート 表2-4 5種のレシピを見てどのように感じますか? 調査した結果、 アンケート結果(%) いずれも非常 レシピ名 メニュウ概要 最も食べて 見た目の 新しさ 伝統的 美味しそう 凝っている に高い比率で みたい 美しさ 「 食 べ て み た グリーンポップ 粉末茶、チョコレートを合わせた外国人 23.0 15.0 45.0 11.0 20.0 2.0 好みのグリーンポップコーン コーン い」と評価され 世界的にブームの麺に粉末茶を入れ、 25.0 37.0 17.0 21.0 36.0 8.0 たが、その根拠 チャーメンサラダ 茶の香りも楽めるヘルシーサラダ は 料 理 に よ り グリーンティ 米国の朝食用に米とパンを合わせたお 17.0 47.0 18.0 15.0 24.0 15.0 茶の香り豊かな新感覚の一皿 ボール 異なり、見た目 の美しさ、斬新 Japanese tea 緑茶をだしの一種として捉え、豆腐の 11.0 26.0 14.0 36.0 27.0 4.0 ceremony soup 下からスープが出てくる驚きの逸品 さ、日本の伝統 緑茶を汎用性のあるバターソースにし、 24.0 42.0 25.0 18.0 33.0 20.0 的、美味しそう 茶漬けサンド 寿司感覚で食べられるお茶漬け さ、などが上げ られていた(表 2-4)。 ・今後の日本産高級緑茶の需要や消費を増やすための方策として、飲み方や食べ方 の紹介や、さらにスーパーなどで手軽に買えるようにすること、レストランのメ ニューに入れることなどが提案された。 ウ 考察 米国における粉末茶の商品は、日本産は約 2,291 円/kg と中国産(450 円/kg)に比 べ 5 倍以上の高価格で取引されている。価格競争を避け、高級感を意識した少量、 缶入りが有効であると考えられた。また、日本産の緑茶や加工品に対する知名度は 高いものの、実際に食べたり飲んだりしたことのある比率は低いため、脆弱な販売 網の強化や飲み方・食べ方の紹介を行う必要性もある。 エ 見込まれる波及効果 今回の調査から、日本産の緑茶加工品や緑茶に対して「とても良いもの」「良 いもの」と大部分の米国人が感じている。また、日本茶やその加工品を知っては いても実際に食べたり飲んだりしたことのない人も多いため、飲み方や食べ方の 紹介はもとより気軽にスーパーで購入できたり、レストランで今回提案したよう なメニューを取り入れることで更に消費は拡大するものと考えられる。 オ 代表する研究成果 別紙3 別紙3に記載。 に記載 3)粉末茶のマーケティング戦略の構築 ア 実施状況 米国におけるマーケティング戦略を構築するうえで、米国人消費者を対象にア ンケート調査を実施するとともに、統計表(全米茶業協会)やAnnual Bulletin of Statistics (2014 Int. Tea Com.)などから日本茶の全 米における飲用状況等に ついて実態を把握し、日本 茶のSWOT分析やポジ ショニングを行った。 イ 得られた研究成果 ・米国における茶の消費量 は、毎年1000t以上増加 し続け、マーケット規模 は1兆円程度(2012)とな り、その半分をRTDが占 めている。緑茶の大部分は中国から輸入したものであるが、中国産に対し日本 産を良いとする人が多い。 ・アンケート調査によれば、日本茶は家庭内や日本食料理店で飲むことが多く、 主に食品スーパーで購入し、休憩時にティーバッグで飲む比率が高い。 ・日本産の粉末茶は、苦味が少なく、香味に優れ、機能性が高いと評価する人が 多い(図3-12)。 ・また、日本茶を購入したい人ほど「日本食や日本文化への関心は高く」「日本 食やグルメ志向の人」が多い。 ・これらの結果 と、1)、2)項か ら、SWOT分 析を行った。日 本茶の強みと しては「品質が 高い」「文化性 が高い」「健康 イメージが高 い」などがあ り、弱みとして は「価格が高 い」「シエアは 低い」「飲用方 法が異なる」な どが上げられた。しかしながら、日本茶を増やす機会としては「和食ブーム」 「健康ブーム」があり、それらを絡め、緑茶としてよりも日本茶としてのブラ ンドを掲げてマーケティングする必要がある(図3-13)。 ウ 考察 米国における茶の消費量は機能性などが評価され今後も増加し続けると考えら れる。その大部分は、簡便に飲用可能な茶であるが、高学歴者で高所得者は日本 茶の持つ高品質性や高い文化性をもつものと評価し、それなりの金額を払う。 また、SWOT分析の結果から、弱みとしての「価格が高い」「シエアが低い」 ことがあるが、そこを逆手に取り、価格競争に巻き込まれないよう品質表示など を含め高価格帯商品に狙いを絞るのが良い。また、ターゲットは、日本食やグル メ志向が強く、日本の文化にも高い興味を抱いている消費者や茶の購入比率も高 い西海岸や東海岸、五大湖周辺に販売場所を絞り、高品質性を前面に打ち出し、 日本文化や和食と絡めたマーケティングを行うのが適当と考えられた。 エ 見込まれる波及効果 日本茶の特質を活かした製法で作られた粉末茶の高品質性を前面に打ち出し、 日本食やグルメ志向が強く、日本の文化にも高い興味を抱いている消費者にター ゲットを絞り、日本文化や和食と絡めた高価格帯の粉末茶の販売を行うためには、 生産者は被覆栽培の強化、蒸熱処理後の品質の劣化防止、製品の鮮度保持を強化 することにより他国産との成分による差別性を強めることや、消費者に分かりや すい日本文化や機能性などの提案も重要である。 オ 代表する研究成果 別紙3 別紙3に記載。 に記載 9.研究成果( 9.研究成果(研究項目別) 研究成果(研究項目別) 研究項目名:1.粉末茶の利用実態の解明 研究項目名:1.粉末茶の利用実態の解明 研究実施者氏名:内野 稔(公益財団法人世界緑茶協会・専務理事) 西川 博(公益財団法人世界緑茶協会・企画部長) 佐藤真紀(公益財団法人世界緑茶協会・主任) 長坂麻子(公益財団法人世界緑茶協会・主任) 秋山麻子(公益財団法人世界緑茶協会・研究補助) 堀江秀樹(独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構野菜茶業 研究所・上席研究員) 江間かおり(独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構野菜茶 業研究所・研究補助) (1)達成目標 海外、特に米国における粉末茶や粉末茶を利用した他用途商品の商品形態、販 売場所、価格等の流通の実態と流通する商品の成分を明らかにする。 ア 1年目の達成目標: 「該当なし」 イ 終了時の達成目標: ①米国をターゲットに粉末茶の飲用利用時や他用途利用時における商品形態、 販売場所、価格などの実態を 100 サンプル以上の調査により明らかにする。 ②粉末茶やその関連商品のアミノ酸組成、カテキン、クロロフィル等品質に 関わる成分の含量を定量し、他国産粉末茶などと成分比較することにより、 多変量解析等の手法により日本産であることの判別を可能とする。 (2)研究項目の成果の (2)研究項目の成果の要約(大項目) 米国の消費者は日本茶を美味しさ、機能性、リラックスの面で評価し、比較 的若い男性が支持し、健康的で便利な飲料として、カフェ等でもラテ、スムージ ー等のブレンド用として広く利用している。日本産と他国産の茶は、「フェオフ ィチンへの変化率」やアルギニン等の成分を指標として、容易に判別することが できる。 (3)研究成果の詳細 ア 1-1)粉末茶の飲用利用実態の解明 1)粉末茶の飲用利用実態の解明 ① 実施状況 粉末茶の利用実態の解明(飲用・多用途)においては、日本茶の専門的な 知 識を有する在米の日本茶インストラクターをはじめ、全米茶業協会に加盟する販 売事業者、茶の購入量が多い地域に在住する購買層の米国人消費者を対象にアン ケート調査(インターネット調査を含む。調査件数 300 名以上)を実施した。調 査項目の設定についてはマーケティング戦略を立てやすいように設定し、アンケ ート調査から得られた結果を分析し、粉末茶の飲用利用における商品形態、販売 場所、価格、消費者層などの実態を明らかにした。 ② 得られた研究成果 ・日本茶は、米国人にとって紅茶、ペットボトル入りのお茶、フレーバーティーに 次ぐ 4 番目に人気のお茶として考えられ、中でもその消費の多くはティーバッグ を飲用し、リーフ茶は人気度の点でやや低いことがわかった(図表略)。 ・一方で、日本茶の評価については、「良い」または「やや良い」と評価する人が 全体の 64%を占め、女性より男性、若い世代において評価が高かった。内容的 には、機能性や香味の良さを高く評価していることがわかった。飲料として日本 茶を選ぶ理由としては、美味しさ、健康面、リラックスを目的として選んでおり、 購入する場所は食品スーパーが最も多く、他の購入場所との差も大きかった。飲 用場所は自宅、日本食レストランが多い傾向が認められた。飲用する世代として は、比較的若い世代が多く飲用すると回答があった(図 1-1、1-2、その他省略)。 ・販売されている粉末茶の種類としては、抹茶、抹茶入り粉末茶、甘い抹茶入り粉 末茶が同程度に販売されている傾向があることが分かった。表示については、 見ないとする人が多いものの、栄養表示の次に原産地の表示に関心を占めす消 費者が多くみられた(図 1-3、1-4)。 ・粉末茶を飲む方の飲用方法としては、湯や水で溶かして飲むケースが最も多くな った(図 1-5)。 ③ 考察 日本茶は昨今米国で需要が拡大しているが、一般の米国人にとっての人気度は、 4 番目となっている。全米茶業協会が 2012 年に発表したデモグラフィックサマリ ーでは、茶(紅茶、フレーバーティー、RTD を含む。)消費の 64%は女性で、多く はアイスティーであると報告され、流通量の多くは紅茶である。今回の調査では 日本茶は男性においてより評価が高く、さらに年齢が若い人に支持されていた。 日本市場と比較して米国市場においては、更なる市場の拡大が期待されるが、米 国の茶流通業者からはコストパフォーマンスが高く、消費者に分かり易い飲み方 の提案と普及を進めるべきであるとの意見がみられた。 一方、粉末茶の価値は、美味しさ、機能性、リラックスとしていることから、 味の良い健康飲料で情緒的な満足感が得られる飲料として認知されていると考え られた。 ④ 要約 米国の消費者は日本茶を美味しさ、機能性、リラックスの面で評価し、年齢が より若い男性が支持しているが、日本茶は紅茶等の他のお茶に比べ人気度がやや低 かった。 イ 1-2)粉末茶の他用途利用実態の解明 2)粉末茶の他用途利用実態の解明 ① 実施状況 粉末茶の他用途利用実態の解明においては、1-1)項と同様に、アンケート調査(イ ンターネット調査を含む。調査件数 300 名以上)を実施し、その調査から得られた結 果を分析し、粉末茶の他用途利用における商品の種類や考慮すべき点などについて明 らかにした。 ② 得られた研究成果 ・多用途利用の実態としては、WEB上に掲載されている粉末茶を利用しているレ シピを検索したところ、飲み物や料理に比べお菓子への利用が5割を超えていた (図 1-6)。 ・一方で、粉末茶と聞いて何をイメージするかとの問いについては、水やお湯に混 ぜて作る簡便な飲料と回答した方が多く、お菓子や料理等の他用途に使用すると 回答した方は少なかった。 ③ 考察 粉末茶の他用途利用方法としては、抹茶アイスクリームに代表されるようにケ ーキ類、クッキー類などスイーツ(菓子)への利用の提案と販売が販売業者を主 体として広く行われている。しかしながら、一般消費者への調査からは機能性が あって便利な飲み物という捉え方が多いものの、粉末茶を菓子や料理へ利用する 発想は乏しいことが示唆された。 今回の調査では、バルクで業務用に取引されている粉末茶の飲用状況について 明らかにできたことは少ないが、米国最大手カフェチェーン店担当者やその他茶 業関係からの回答により、抹茶ラテやスムージー等の飲料のブレンド用に使用し ているとの回答が得られたことから、今後もカフェチェーン店の事業規模に応じ た消費拡大が見込まれると推定された。 ④ 要約 米国の消費者は粉末の緑茶について、水や湯に溶かして簡単に飲める健康的で 便利な飲料として捉えており、カフェ等でラテ、スムージー等のブレンド用とし て広く利用されているが、消費者個人が菓子や料理、入浴剤等へ利用することに ついての意識は低い。 ウ 1-3)流通する粉末茶の成分の解明 3)流通する粉末茶の成分の解明 ① 実施状況 世界緑茶協会が米国において収集した粉末茶の成分分析を実施した。収集され た粉末茶試料は全部で25品、うち日本産と表記されたものが16品(それ以外は、 中国3、台湾2、韓国1、不明3)であった。分析項目として、カテキン(主要な4種 類)とカフェイン、アミノ酸(主要なもの7種類)及び、クロロフィル関連色素(ク ロロフィルa、クロロフィルb、フェオフィチンa、フェオフィチンb)とし、それ ぞれを所定の溶媒で抽出し、高速液体クロマトグラフィにより分析した。 ② 得られた研究成果 ・分析した粉末茶について日本産とそれ以外の差が明確な分析値について、100g 当たりの販売価格を図の横軸として記載した。 ・緑茶の最も重要な成分はカテキンであるが、主要な4種類のカテキンの合計値、 あるいは最も多く含まれるエピガロカテキンガレート(EGCG)では、日本産と それ以外の差は認めがたかった(図略)。エピガロカテキン(EGC)については、 高価格の日本産茶において含量が低い傾向が認められた(図1-8)。 ・抹茶など粉末茶については、鮮やかな緑色が求められる。そこで、緑色に関係 するクロロフィル類の分析値を比較した。クロロフィルaとクロロフィルbとも に、高価格の日本産粉末茶に多い傾向が認められた。図には、標品の入手が比 較的容易なクロロフィルaの結果を示した(図1-9)。 ・100gあたり5000円以上の日本産粉末茶には、300mg/100g以上のクロロフィルaが 含まれ、他国産のものにはこの値を超えるものはなかった。また、緑茶の退色 には、クロロフィルがフェオフィチンに変化することが一因とされるので、フ ェオフィチンへの変化率を比較した結果、高価格な茶において低い値を示した (図略)。 ・茶道用の抹茶には旨味が求められ、旨味にはアミノ酸の寄与が大きいとされて いる。価格と個別のアミノ酸含量の関係を比較したところ、茶葉中最大含量を 占めるテアニンよりもアルギニン含量において生産国による差異が大きかった ( 図1-10)。 ・100g当たり5000円以上の日本産粉末茶については、アルギニン含量が50mg/100g 以上を示し、一方他国産のものでこの値を超える試料は認められなかった。 ・茶以外のものの混合が推察される1試料を除く24試料の分析値に基づき、日本産 か他国産かについて判別分析を試みた。日本産の15試料と、それ以外の8試料の 間では、「クロロフィルのフェオフィチンへの変化率」、「アルギニン含量」 及び「グルタミン酸含量」の3つの変数に基づき判別的中率91.7%で判別された (図1-11)。なお、日本産の表示がありながら、他国産と判別された試料にの み「green tea powder」の表示(他の試料は「matcha」表示)となっていた。 ③ 考察 成分値に基づく判別分析により、日本産と他国産の茶の判別を試みたところ、 「クロロフィルのフェオフィチンへの変化率」が最も重要な変数であり、日本産 において低い傾向が認められた。日本産の緑茶は、茶葉の収穫後直ちに蒸熱で殺 青することや製品の鮮度保持技術に優れることにより、クロロフィルのフェオフ ィチンへの変化が少ないものと考察される。 茶道用等記載された比較的高価なものについては、クロロフィル含量やアミノ 酸含量が高いために、クロロフィルaやアルギニン含量を指標として、他国産と判 別することは容易と考えられる。また、このような試料については、EGCの含量も 低く、長期間被覆栽培した本来の「抹茶」であると推測される。一方で、100g当 たり数千円以下の粉末茶については、日本産と他国産の間で成分的な差異はほと んどなかった。また、このような安価な粉末茶であっても、日本産、他国産を問 わず「matcha」と表記されていた。本来の抹茶について、これらと区別するため 表示になんらかの工夫が必要と考えられる。 さらに、他国産とされる一部の試料について、日本産の5000円程度のものに成 分的に近いものが認められた。今後、諸外国での技術革新の結果、日本産の上級 品に近い品質のものが生産されるようになれば、日本産との判別は困難になるも のと予想される。 ④ 要約 米国で収集した粉末茶の成分分析を実施した結果、100gあたり5000円以上の日 本産上級粉末茶(抹茶)については、クロロフィルaやアルギニンの含量が高いこ とから、これらの成分値に基づき他国産の粉末茶と判別することは可能である。 (4)図表等 図 1-7 粉末茶に対して求める価値(テキストマッピング) 太い線で結ばれた語句はより つながりが強いことを示す 図1-7 粉末茶に対して求める価値(テキストマッピング) 図1-8 価格とエピガロカテキン含量の関係 図1-10 図1-9 価格とクロロフィルa含量の関係 価格とアルギニン含量の関係 図 1-11 産地(日本産か否か)の判別分析結果 9.研究成果( 9.研究成果(研究項目別) 研究成果(研究項目別) 研究項目名:2.粉末茶を用いた輸出対応型商品の開発 研究実施者氏名:内野 稔(公益財団法人世界緑茶協会・専務理事) 西川 博(公益財団法人世界緑茶協会・企画部長) 佐藤真紀(公益財団法人世界緑茶協会・主任) 長坂麻子(公益財団法人世界緑茶協会・主任) 秋山麻子(公益財団法人世界緑茶協会・研究補助) 日吉 徹(株式会社エヌケービー・部長) (1)達成目標 米国で販売されている日本から直接輸出される粉末茶関連商品の実態が解明さ れる。 さらに、粉末茶を利用した飲食品のレシピとそのレシピに基づいて開発された 商品をWeb上で調査することにより、その嗜好特性や商品価値を明確化する。 ア 1年目の達成目標: 「該当なし」 イ 終了時の達成目標: ①米国で販売されている日本から直接輸出される粉末茶関連商品 100 サンプ ル以上の調査により実態を明らかにする。 ②粉末茶の飲食素材としての利活用法を開発し、レシピを作成し、3種類以 上の商品を試作開発する。 ③前項で試作開発した商品のインターネット上による嗜好調査を行い、100 件 以上のデータをもってその商品価値を明確化する。 (2)研究項目の成果の (2)研究項目の成果の要約(大項目) 高価格粉末茶商品の包装は缶入りで少量が良い。販売の重点マーケットは、西 海岸、東海岸及び五大湖周辺地域とすべきである。料理コンテストで入賞した 4 人 の料理人により提案されたレシピ 5 種類は、いずれも非常に高い比率で「食べてみ たい」とされ、その根拠として見た目の美しさ、斬新さ、日本の伝統的、美味しそ うなどが評価された。今後日本産高級緑茶を増やすためには、飲み方や食べ方の紹 介、スーパーやレストランで手に入れやすくすることが重要である。 (3)研究成果の詳細 ア 2-1)日本から直接輸出される粉末茶関連商品の解明 1)日本から直接輸出される粉末茶関連商品の解明 ① 実施状況 日本から直接輸出される粉末茶関連商品の解明については、1)項の課題と同様 に、アンケート調査結果を活用するとともに、Web 上で北米と日本の事業者が販売 している粉末茶の内容を調査し(米国商品 115 商品、日本 93 商品)、日米の販売 単価の違い、有機製品の表示の有無、包装重量の違い、米国で販売されている粉 末茶の産地、包装形態、販売事業者の所在地などについて明らかにした。 ② 得られた研究成果 ・日本及び米国で流通している粉末茶の 100g あたりの小売価格を WEB 上で調査した 結果、100g 当たり 1,000~3,000 円の低価格帯、ないしは 5,000~20,000 円の高 価格帯に 2 極化しており、全体としては日本に比較して米国における小売価格が やや高い傾向が認められた(図 2-1)。 ・一方、米国の消費者調査の結果から、消費者が考える粉末茶の平均小売価格は、 500~600 円/100g 程度であるとみていることが分かった(表 2-1)。 ・米国で販売されている粉末茶の包装重量と小売価格の関係をみると原点に対して 凸型の双曲線状を示し、単価が高く包装重量の小さいものの多くは日本産であり、 単価が安く包装重量の大きいものは海外産である傾向がみられた(図 2-2)。 ・有機製品の表示の有無については日米の違いが顕著であり、米国の商品には 60% 以上に有機の表示がある一方で、日本の商品ではわずか 6%商品に限り有機の表 示が見られただけであった(図 2-3)。 ・米国の WEB 上で販売されている粉末茶の原産地表示については、日本、中国、台 湾、韓国の順に多かったが、日本産はその約 70%を占めた(図 2-4)。 ・包装形態は、主にアルミ袋(68 商品)と缶(32 商品)に大別され、平均小売価格 はそれぞれ 4,773 円と 6,310 円であり、缶入りの粉末茶はより高額の商品として 販売されている傾向がみられた(図表略)。 ・米国国内の粉末茶の販売事業者は、西海岸において最も多く、次いで東海岸と五 大湖周辺に位置していた(図 2-5)。 ③ 考察 米国における粉末茶の商品は、ITC(国際茶委員会)が発表した 2013 年の米国に 輸入された中国産緑茶の価格が 1kg 当たり約 450 円、インド産緑茶約 427 円のとこ ろ、日本産は約 2,291 円/kg と他国産の緑茶に比べ 5 倍以上の高価格で取引されて いるが、農水省の報告によると、実際には流通業者の手数料が加算されることから、 通常、国内倉庫渡し価格の約 3 倍になるケースが多いとしている。また、消費者の 考える相場価格が 100g 当たり 500~600 円であることを考えると、高級なハイエン ドの粉末茶のブランディングに加え、低コスト粉末茶の製造方法についても検討す る必要があると考えられた。 消費者の有機認証への関心の高さを反映した表示についても、商品開発と販売 方法において特に考慮すべき点としてあげられた。 高級な粉末茶としての位置づけがなされている抹茶に代表される商品は、高級感 を意識した少量、缶入りの商品が有効であると考えられた。 また、販売事業者の所在地は、全米茶業協会が 2012 年に発表したデモグラフィ ックサマリーに示された茶の購入比率の高い地域の結果とほぼ一致していること から、粉末茶販売のマーケットは、米国の西海岸、東海岸及び五大湖周辺の比較的 豊かな州とすべきであることが考えられた。 ④ 要約(150字以内 要約(150字以内) 米国で流通する日本産の粉末茶は小売価格が高く包装重量が小さい傾向にあり、 高価格粉末茶商品の包装は缶入りで少量が中心である。有機認証の表示をする商品 が過半数を占めた。販売の重点マーケットは、西海岸、東海岸及び五大湖周辺地域 とすべきである。 イ 2-2)粉末茶の飲食素材としての利活用法 2)粉末茶の飲食素材としての利活用法 ① 実施状況 2014年11月に決定したRED U35(Ryorinin’s Emerging Dream Under 35) と称した35歳未満の新時代の若き才能を発掘する日本最大級の料理人コンペティ ションで入賞した4人のシェフに日本の高級抹茶を使用した米国市場向け料理レ シピを依頼し、思考を重ね、今後の輸出促進に繋がるよう、必然性や相乗効果な どを兼ね揃えた発明とも言えるレシピを5種類作成した。 ② 得られた研究成果 ・レシピは4人の料理人により5種類完成した(表2-2)。 ・レシピの名称は、「Green Popcorn」「Cha-men salad」「Green tea bowl」「Japanese Tea Ceremony Soup」「Ochazuke Rice Sandwich」である。 ・Green Popcorn(グリーンポップコーン)は、米国で定番のスナック「ポップコー ン」を使って、気軽に粉末緑茶の美味しさを味わってもらいたいと発想した一品。 粉末緑茶と相性の良いチョコレートをあわせて見た目にもきれいなグリーン色の ポップコーンに仕上げた。ポップコーンの塩味とチョコレートの甘味、そこにお 茶の渋みが絶妙な癖になる一品である(図2-6)。 ・Cha-men Salad(チャーメンサラダ)は、世界的に大ブームのラーメンの麺の太さの 日本のうどんにお茶を練りこんだ。のど越しつるつる&もちもちの食感のあとに 広がるお茶のさわやかな香りは、「茶そば」よりお茶の香りが楽しめる。コシが 強い麺のため、ラーメンスープやうどんスープ、パスタソースに合わせても美味 しい。安価で量産しやすく、また調理も簡単で、ヘルシーな一品である(図2-7)。 ・Green Tea Bowl(グリーンティー・ボウル)は、日本の主食の「米」を粥状にし、 お好みのフルーツ(苺、バナナ等)やナッツ(くるみ、カシューナッツ等)にホ ット抹茶ミルクをかけたブレックファーストに最適な一品とした。トッピングに 米国の主食の「パン」を揚げて添えることで軽やかな食感をプラス。シリアルに 牛乳をかけるブレックファーストが一般的な欧米で、朝食の新たな一品として提 案。お米と合わせ、朝の活力になるメニューとして考案した(図2-8)。 ・Japanese Tea Ceremony Soup(豆腐とお茶のグリーンスープ)は、旨味を含む粉末 緑茶を「だし」の一部として捉え、アサリと昆布、ベーコンの旨味にお茶の旨味 を加えたほろ苦いグリーンティスープである。柔らかく仕上げた豆腐をスープの 上に重ね、茶道でお茶を点てるように混ぜると、下から翡翠色のスープが混ざり 合い、クラムチャウダーのような味わいになる。ミルクではなく豆乳を使う点が 非常にヘルシーで、且つ、白い豆腐の下から濃いグリーンのスープが現れる意外 性という、目と舌で楽しむ一品である(図2-8)。 ・Ochazuke Rice Sandwich(お茶漬けサンド)は、炊いたお米にお茶をかけて食べ る日本のソウルフード「お茶漬け」を片手で手軽に食べられる寿司感覚のサンド イッチ風に仕立てた。マヨネーズ、しょうゆ、バター、ピーナッツオイルに緑茶 を混ぜて固めた固形バターソースと焼きたての鰻の蒲焼を熱々のご飯で挟み、ご 飯と蒲焼の熱で緑茶バターがゆっくり溶け出し、リッチで爽やかな風味が広がる ように工夫した(図2-9)。 ③ 考察 誰でも簡単に作れる抹茶入り創作料理のレシピ5品を作成した。ポップコーン のような軽食からサラダ、スープ、サンドまで幅広いレシピとした。いずれも色 合いは抹茶の緑色が映え、抹茶の特質を活かしたもので米国人がどのように評価 し、購入するのか次項の課題で評価する。粉末茶は飲用するだけでなく他用途に 様々使用できるとともに、その使用量も多くなるため、輸出の一方策として需要 の拡大が期待できる。 ④ 要約 2014年11月に決定したRED U35で入賞した4人のシェフにより抹茶を使 用した米国市場向けに粉末茶の特質を活かしたポップコーンのような軽食からサ ラダ、スープ、サンドまで幅広い5レシピを作成した。 ウ 2-3)開発商品のインターネット調査 3)開発商品のインターネット調査 ① 実施状況 2-2)項で作成したレシピを用いて、ニューヨークとロサンゼルス在住の中~高 所得者層100人に対してWEBアンケート実施した。概要は、一般的な食事に関す る事項や日本の緑茶加工品や緑茶に対する知識や好みなどの基本調査を始め、開 発したレシピについての商品価値としての評価を行った。 ② 得られた研究成果 得られた研究成果 ・夕食時の外食の比率は週に1回程度から2~3回程度が多く、その時に10~100ドル 程度使用する(図2-10、11)。 ・緑茶が使用されている菓子類、飲料、食べ物やその他の加工品などについて、知 っている人は多いが、食べたり飲んだりしている人の比率はやや低い。しかしな がら、それらの緑茶加工品や緑茶について「とても食べたい」「やや食べたい」 とする人は80%程度と高率であった(表2-3)。 ・その場合、緑茶加工品や緑茶に「日本産緑茶使用」との表示をした場合には「と ても良いもの」「良いもの」とする人は70%以上であった(図2-12)。 ・緑茶加工品や緑茶を使用した料理については、年代によりやや異なるが、総じて 味が良い、香りが良いなどの高品質に対する評価や健康に対する評価が高かった (図2-13)。 ・2-2)項で開発したレシピについては、いずれも高い評価があったが、特にグリー ンポップコーン、チャーメンサラダ、茶漬けサンドなどを最も食べたいとする人 が多かった。また、グリーンポップコ-ンには斬新さが、チャーメンサラダには 見た目の美しさ、美味しそうさが、茶漬けサンドには見た目の美しさが高く評価 されていた(表2-4)。 ・また、これらにお好みには年代別に違いが見られ、とくにグリーンティボールは 30代の評価が高く、茶漬けサンドでは40代、グリーンポップコーンでは30代の評 価が他の世代に比較してやや低かった(図2-14)。 ・今後、日本産高級緑茶の消費を増やすためには、飲み方や食べ方の紹介、スーパ ーなどで手軽に購入可能にすることやレストランなどのメニューに入れることな どの意見が見られた(図2-15)。 ③ 考察 緑茶加工品や緑茶に対して、予想以上に知っている人の比率が高く(菓子 71%、 飲料 84%)、80%弱の人が食べたいと評価している。そのような背景の中、5 種 類のレシピを提案した結果、いずれも非常に高い比率で「食べてみたい」と評価 されたが、食べてみたい根拠としては料理により異なり、見た目の美しさ、斬新 さ、日本の伝統的、美味しそうなどで評価されていた。また、今後の日本産高級 緑茶の需要や消費を増やすための方策として、飲み方や食べ方の紹介やスーパー などで手軽に買えるようにすること、レストランのメニューに入れることなどが 提案されていることから、日本産茶の供給力や販売網の強化が望まれる。 ④ 要約 今回提案したレシピ5種類も、いずれも非常に高い比率で「食べてみたい」とさ れ、その根拠として見た目の美しさ、斬新さ、日本の伝統的、美味しそうなどが 評価されていた。また、今後日本産高級緑茶を増やすためには、飲み方や食べ方 の紹介、スーパーやレストランで手に入れやすくすることが重要である。 (4)図表等 表 2-1 米国の消費者が考える粉末茶の 100g あたりの平均小売価格 価格水準 350 円以下 600 円前後 600~1200 円 1200~2400 円 2400~3600 円 3600 円以上 わからない 計 ※1 ドル約 118 円換算 回答割合(%) 5.7 23.7 10.7 2.7 0.7 0 56.7 100.0 図 2-3 ⽇⽶粉末茶における有機表記の有無 図2-5 米国粉末茶販売事業所の位置 表2-2 粉末茶を利用した5種類のレシピ概要 レシピ名 グリーンポップ コーン チャーメンサラ ダ グリーンティ ボール Japanese tea ceremony soup 茶漬けサンド シェフ名 兼子大輔 杉本敬三 内海 亮 内海 亮 望月雄介 メニュウ概要 粉末茶、チョコレートを合わせた外国 人好みのグリーンポップコーン 世界的にブームの麺に粉末茶を入 れ、茶の香りも楽めるヘルシーサラダ 米国の朝食用に米とパンを合わせた お茶の香り豊かな新感覚の一皿 緑茶をだしの一種として捉え、豆腐の 下からスープが出てくる驚きの逸品 緑茶を汎用性のあるバターソースに し、寿司感覚で食べられるお茶漬け 価格(原価) 使用茶量 250円 (85 5g/1人 円) 500円(150 20g/4人 円) 800円(200 10g/4人 円) 1800円 2g/4人 (300円) 680円(220 6g/6人 円) 図2-6 兼子大輔 シェフ 図2-7 杉本敬三シェフ 図2-8 内海亮シェフ 図2-9 望月雄介シェフ 図2-10 夕食時の外食の比率は? 図2-11 外食時に使用する金額は? 表2-3 緑茶加工品・緑茶を使用したも のについては如何ですか? 知って いる (菓子類) 図2-12 緑茶加工品・緑茶を使用した料 理に「日本産緑茶使用」と記載されて いたらどう感じますか? 図2-13 71.0 食べたこ とても食 やや食 全く食べ と飲んだ べたい べたい たくない ことがある 49.0 42.0 35.0 9.0 (飲料) 84.0 63.0 47.0 37.0 5.0 (食べ物) 54.0 35.0 40.0 36.0 5.0 (その他 の緑茶 加工品) 44.0 27.0 24.0 38.0 9.0 緑茶加工品・緑茶を使用した料理などについてどのように感じま すか? 表2-4 5種のレシピを見てどのように感じますか? レシピ名 グリーンポップ コーン メニュウ概要 粉末茶、チョコレートを合わせた外国人 好みのグリーンポップコーン アンケート結果(%) 最も食べて 見た目の 新しさ 伝統的 美味しそう 凝っている みたい 美しさ 23.0 15.0 45.0 11.0 20.0 2.0 チャーメンサラダ 茶の香りも楽めるヘルシーサラダ 25.0 37.0 17.0 21.0 36.0 8.0 グリーンティ ボール 17.0 47.0 18.0 15.0 24.0 15.0 11.0 26.0 14.0 36.0 27.0 4.0 24.0 42.0 25.0 18.0 33.0 20.0 世界的にブームの麺に粉末茶を入れ、 米国の朝食用に米とパンを合わせたお 茶の香り豊かな新感覚の一皿 Japanese tea 緑茶をだしの一種として捉え、豆腐の ceremony soup 下からスープが出てくる驚きの逸品 茶漬けサンド 緑茶を汎用性のあるバターソースにし、 寿司感覚で食べられるお茶漬け 図2-14 図2-15 5種のレシピのなかで一番食べたいものはどれです 日本産高級緑茶の消費を増やすための方策 9.研究成果( 9.研究成果(研究項目別) 研究成果(研究項目別) 研究項目名:3.粉末茶のマーケティング戦略の構築 研究実施者氏名:中村順行(静岡県公立大学法人静岡県立大学・特任教授) 岩崎邦彦(静岡県公立大学法人静岡県立大学・教授) (1)達成目標 粉末茶の飲用場面及び食品素材におけるマーケティング戦略の構築について はアンケートやインターネット調査等からSWOT分析により、マーケット状 況の適切な把握を可能とする。また、消費者層を絞り品質の違いによる他国産 との差別化、価格競争力の強化、販売を促進可能な戦略を策定する。なお、生 産者所得の向上には他国産との色、香味などの成分による差別化を高める栽培 法の増強により、さらには輸出業者所得の向上にはパッケージ、名称、販売法 などとともに差別化商品の提示などによりブランド化に寄与する。 ア 1年目の達成目標: 「該当なし」 イ 終了時の達成目標: 飲用粉末茶及び加工用粉末茶の製品の差別化は成分による多変量解析法を 用いて日本産と外国産を判別する。また、販売促進に関しては様々なデータ を解析し、主要要因の特定を行う。さらに、ブランディングに関しては SWOT 分析によりターゲットに即した製品モデルを開発し、日本産茶の品質特性を 活かした粉末茶のマーケティング戦略を策定し、今後その戦略を他国への輸 出に波及するためのマニュアルを作成する。 (2)研究項目の成果の (2)研究項目の成果の要約(大項目) 米国における茶の消費量は簡便に飲用可能な茶種を中心に増加の一途をたど っている。高価格な日本茶の需要を拡大するためには、価格競争に巻き込まれな い高品質、高い文化性などで他国産との違いを明確化し、「価格が高い」「シエア が低い」などの弱点をブランド化することにより強みに変え、日本文化や和食と 絡めた高付加価値型販売戦略を構築する必要がある。 (3)研究成果の詳細 ア 3-1)粉末茶の飲用場面におけるマーケティング戦略の構築 1)粉末茶の飲用場面におけるマーケティング戦略の構築 ① 実施状況 粉末茶の米国におけるマーケティング戦略を構築するうえで、まずは日本茶の 専門的な知識を有する在米の日本茶インストラクターをはじめ、全米茶業協会に 加盟する販売事業者、茶の購入量の多い地域に在住する購買層の米国人消費者を 対象にアンケート調査を実施するとともに、基本的なデータについては全米茶業 協会が公表している統計表、International Tea Committeeが出版しているAnnual Bulletin of Statistics(2014)などから日本茶の全米における飲用状況などにつ いて実態を把握した。また、その実態の中から、日本茶のポジショニングを明ら かにした。 ② 得られた研究成果 ・米国における茶の消費量は、毎年1000t以上増加しつづけているが、緑茶の大部 分は中国から輸入したものであり、安価である(図3-1,表3-1)。 ・米国の茶に関するマーケット規模は急激に増大し、2012年には1兆円程度となっ ているが、その半分をRTDが占めている(表3-2)。 ・米国における茶の飲用状況は、紅茶のアイスティーが圧倒的で、茶はインスタ ントティやRTDのような簡便な飲用方法が多い(図3-2)。 ・また、茶の飲用者は、白人系、高学歴、高所得者も多い(図3-3)。 ・アンケート調査によれば、日本茶は家庭内や日本食料理店で飲むことが多く、 主に食品スーパーでティーバッグを購入することが多い(図3-4~6)。 ・また、飲用時間は休憩時が多く、ティーバッグで飲む比率が高い(図3-7,8)。 ・日本茶に対して、良い、やや良いとする人が多く、美味しい、芳香がよい、機 能性が高いとする人が多く、今後の日本茶の需要は変わらない、あるいは増加 すると応える人が多い(図3-9~11)。 ・緑茶に対する嗜好は、中国産に対し日本産を良いとする人が41%と多い(表3-3)。 ・以上のような状況と日本茶以外の他国で生産される緑茶を比較した場合(図表前 掲)、日本茶のポジショニングは「品質」及び「文化性」が高く評価されている 一方、「価格」も高いことが特徴である(表3-4)。 ③ 考察 米国における茶の消費量は茶の持つ機能性などが評価され今後も増加し続ける と考えられる。その大部分は、簡便に飲用可能なティーバッグ、インスタントテ ィ、RTDなどが主体となっている。しかしながら、高学歴者で高所得者には日本茶 の持つ高品質性や高い文化性をもつものを評価し、それなりの金額を払うことも アンケートのコメントから明らかである。そのため、圧倒的な量と低価格の中国 産緑茶に対しては、焦点を絞った商品を開発し、価格競争に巻き込まれない品質 や文化性などで差別化した販売戦略を構築することが必要である。 ④ 要約 米国における茶の消費量は簡便に飲用可能な茶種を中心に増加の一途をたどっ ている。高価格な日本茶の需要を拡大するためには、価格競争に巻き込まれない 高品質、高い文化性などで差別化した販売戦略を構築する必要がある。 ア 3-2)粉末茶の 2)粉末茶の食品素材としての 粉末茶の食品素材としてのマーケティング戦略の構築 食品素材としてのマーケティング戦略の構築 ① 実施状況 粉末茶の米国におけるマーケティング戦略を構築するうえで、まずは日本茶の 専門的な知識を有する在米の日本茶インストラクターをはじめ、全米茶業協会に 加盟する販売事業者、米国人消費者を対象にアンケート調査を実施するとともに、 基本的なデータについては全米茶業協会が公表している統計表、International Tea Committeeが出版しているAnnual Bulletin of Statistics(2014)などから日 本茶の全米における食品素材に関連した実態を把握した。また、その実態の中か ら、日本茶のSWOT分析を行った。 ② 得られた研究成果 ・日本産の抹茶や粉末茶は、苦味が少なく、美味しく、香りが良く、機能性が高 いと評価する人が多い(図3-12)。 ・また、日本茶を購入したい人ほど「日本食への関心は高く」「日本食やグルメ 志向の人」が多い(図3-13~15)。 ・さらに、日本茶を購入したい人ほど日本文化への関心も高い(図3-16)。 ・これらの結果と、1)、2)項の結果から、SWOT分析を行った結果、日本茶の 強みとしては「品質が高い」「文化性が高い」「健康イメージが高い」などが あり、弱みとしては「価格が高い」「シエアは低い」「飲用方法が異なる」など が上げられた(図3-17)。 ・日本茶を増やす機会としては「和食ブーム」「健康ブーム」があり、追い風で はあるが、外国産の偽日本茶の増加がみられ、低価格茶の飲用頻度が高く、日 本茶の供給能力が低いなどの課題も見られた(図3-17)。 ③ 考察 SWOT分析の結果からも明らかなように、品質や文化性は高いが、弱みとし ての「価格が高い」「シエアが低い」ことが上げられる。価格の安い中国茶に対し て日本茶を購入したい消費者ほど、日本食やグルメ志向が高く、日本の文化にも 高い興味を抱いている。中国製の緑茶とは土俵を変え、価格競争にならないよう、 消費者や販売場所を絞り、日本産としての高品質性を前面に打ち出し、日本文化 や和食と絡め、高価格帯商品に狙いを定めたマーケティング戦略を構築するのが 良いと考えられた。 ④ 要約 日本茶の優れた品質や文化性などの特質を生かし、他国産との違いを明確化し、 「価格が高い」「シエアが低い」などの弱点をブランド化することにより強みに変 え、日本文化や和食と絡めた高付加価値型販売戦略を構築する必要がある。 (4)図表等 表3-1 米国における緑茶の輸入量と金額 2009 比率 トン 2013 % インド 中国 (単価) 日本 (単価) ドイツ ブラジル 台湾 604 8546 3.9 56.5 1416 9.2 1165 314 375 7.6 2.0 2.4 合計 15236 99.1 トン 1036 14234 3.8ドル/kg 1700 19.4ドル/kg 732 508 426 22534 比率 伸び率 % 倍 4.6 63.2 1.72 1.67 7.5 1.20 3.2 2.3 1.9 0.63 1.62 1.14 100.0 1.48 図3-1 米国における茶の消費量の推移 表3-2 米国における茶関係マーケットの規模 1990 2012 伸び率 スーパー、小売店な どの茶市場 0.87 2.3 2.6 RTD フードサービス 特殊茶 0.2 0.5 0.27 4.8 1.12 1.57 24.0 2.2 5.8 1.84 9.79 5.3 合計 ※Tea Association of the USA(2013) 1)フードサービス:外食産業関係の茶 2)特殊茶:こだわりの茶、スペシャルティなど 図3-2 図3-3 米国における茶の飲用状況 米国における茶消費者の実態 図3-4 米国における日本茶の飲用場所 図3-5 米国における日本茶の購入場所 図3-6 米国で好まれる日本茶の種類 図3-7 米国での日本茶の飲用時間 図3-8 米国での日本茶の飲用方法 図3-9 米国における日本茶の評判 図3-10 米国における日本茶の評価 図3-11 米国における日本茶の今後の需要 表3-3 米国における日本産と 中国産緑茶の嗜好 表3-4 日本産緑茶と他国産緑茶のポジショニング 図3-12 米国における粉末茶・抹茶の評価 図3-13 米国人の日本食への関 心度と日本茶購入意欲 図3-14 米国人の日本食への知 識度と日本茶購入意欲 図3-16 米国人の日本文化への関 図3-15 米国人のグルメ度と日 心度と日本茶購入意欲 本茶購入意欲 米国における日本茶に関する SWOT 分析 Strengths Opportunities ・品質(旨味)が高い ・和食ブーム ・文化性が高い ・健康ブーム ・安心感がある ・日本茶の高級感の認識度が高い ・日本茶の認知度が高い ・市場規模の拡大 ・健康イメージが高い Weaknesses Threats ・価格が高い ・外国産の日本茶が増加 ・シエアが低い ・低価格茶(ティバッグ、インスタント ・販売網が少ない ティ)の飲用頻度が高い ・残留農薬による懸念 ・急須の保有者が少ない ・飲用方法が異なる ・日本茶の供給力が低い ・広報宣伝力が弱い 図3-17 米国における日本茶に関するSWOT分析 別紙3 当該試験研究計画を代表する研究成果 当該試験研究計画を代表する研究成果 研究成果名:米国内で販売される粉末茶は 米国内で販売される粉末茶は成分により 成分により産地の判別が可能 産地の判別が可能!! が可能!! 試験研究計画名:海外市場に対応した粉末茶のマーケティング戦略の構築 研究代表機関名:静岡県公立大学法人 静岡県立大学 研究成果の概要: 米国内では、抹茶・粉末茶を素材とした各種茶が販売され、消費者は栄養表示や原 産地に高い関心を示す(図1)。一方、日本独自と考えられている抹茶にも他国産抹茶 が見られるが、クロロフィルやアルギニンなどの化学成分を指標として判別がほぼ可 能である(図 2)。 図、表、写真:(わかりやすいもの2枚以内を添付する) 図1 米国内で販売される粉末茶の種類と表示内容 日本産と判別 その他と判別 図2 産地(日本産か否か)の判別分析結果 別紙3 当該試験研究計画を代表する研究 当該試験研究計画を代表する研究成果 画を代表する研究成果 研究成果名:米国では日本茶の美味しさ、香味などを高く 米国では日本茶の美味しさ、香味などを高く評価する 高く評価する!! 評価する!! 試験研究計画名:海外市場に対応した粉末茶のマーケティング戦略の構築 研究代表機関名:静岡県立大学 研究成果の概要: 米国人の茶関係商品に求める価値は、美味しさ、香味などの品質を第一とし、次に 機能性や価格である(図3)。実際のレシピ調査からも、食べてみたい料理は、見た目 が美しく、美味しそうであり、斬新さがあり、日本の伝統を意識させる項目の評価が 高い(表1)。 太い線で結ばれた語句はより つながりが強いことを示す 図3 表1 粉末茶に対して求める価値(テキストマッピング) 5種のレシピを見てどのように感じますか? レシピ名 グリーンポップ コーン メニュウ概要 粉末茶、チョコレートを合わせた外国人 好みのグリーンポップコーン アンケート結果(%) 最も食べて 見た目の 新しさ 伝統的 美味しそう 凝っている みたい 美しさ 23.0 15.0 45.0 11.0 20.0 2.0 チャーメンサラダ 茶の香りも楽めるヘルシーサラダ 25.0 37.0 17.0 21.0 36.0 8.0 グリーンティ ボール 17.0 47.0 18.0 15.0 24.0 15.0 11.0 26.0 14.0 36.0 27.0 4.0 24.0 42.0 25.0 18.0 33.0 20.0 世界的にブームの麺に粉末茶を入れ、 米国の朝食用に米とパンを合わせたお 茶の香り豊かな新感覚の一皿 Japanese tea 緑茶をだしの一種として捉え、豆腐の ceremony soup 下からスープが出てくる驚きの逸品 茶漬けサンド 緑茶を汎用性のあるバターソースにし、 寿司感覚で食べられるお茶漬け 別紙3 当該試験研究計画を代表する研究成果 当該試験研究計画を代表する研究成果 研究成果名:日本 日本産 日本産抹茶・粉末茶は品質で勝負するのが妥当 抹茶・粉末茶は品質で勝負するのが妥当!! ・粉末茶は品質で勝負するのが妥当!! 試験研究計画名:海外市場に対応した粉末茶のマーケティング戦略の構築 研究代表機関名:静岡県立大学 研究成果の概要: 米国における抹茶・粉末茶は香味において高品質な点が評価される(図4)。和食・ 健康食ブームのなか、他国産粉末茶とは文化性はもとより内容成分で差別性を明確化 したマーケティングを行うことが重要である(図5)。 図4 米国における日本茶に関する 米国における粉末茶・抹茶の評価 SWOT 分析 Strengths Opportunities ・品質(旨味)が高い ・和食ブーム ・文化性が高い ・健康ブーム ・安心感がある ・日本茶の高級感の認識度が高い ・日本茶の認知度が高い ・市場規模の拡大 ・健康イメージが高い Weaknesses Threats ・価格が高い ・外国産の日本茶が増加 ・シエアが低い ・低価格茶(ティバッグ、インスタント ・販売網が少ない ティ)の飲用頻度が高い ・残留農薬による懸念 ・急須の保有者が少ない ・飲用方法が異なる ・日本茶の供給力が低い ・広報宣伝力が弱い 図5 米国における日本茶に関するSWOT分析
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