がん哲学外来研修センター ニュースレター No75

がん哲学外来研修センター ニュースレター No.75 発行:NPO 健康工房 SAKU(2016.07.26)
市民学会「石巻大会」に参加して
グリーフケア特級アドバイザー
メディカルヴィレッジ in 万座 シンポジウム
山崎 純子
私は最愛の家族を失いグリーフケアに出会いました。
生きる希望を見出せた6年前、乳癌を発症し震災時は入
院中でした。私に出来る事を探し3年前盛岡市にてケア
帽子の講習会があったので参加。その際石巻市門脇地区
に立ち寄りました。谷山先生の講演では日本人特有の宗
教観や公共性を担保した宗教者としての活動がより深
く理解出来ました。多くの命と向き合う中で必然的に誕
生した臨床宗教師、共通点も多くグリーフケアに携わる
ものとして視点を変えるアイデアを沢山頂きました。
患者・家族が「死」と向き合う中に、悲嘆の前兆であ
る「予期不安」が広がります。そっと傍で「祈ること」
を共有できれば抜苦与楽も可能なのではないかと思い
ました。
「自分の心を無にして対話できるか」
「相手を疲
れさせていないか」
。毎日内省しながら研鑽の日々です。
また、遺族が継続してグリーフケアを受けられたら、
「死者と生きる」哲学的意味を掴み取る事もできるでし
ょう。ケア帽子活動に参加された高校の先生が「教え子
に癌が見つかった。どの様に接して良いか分からない。
彼女の為に帽子を作りたい」と。樋野先生が紹介されて
いた教育プログラムの必要性とこれからの広がりを信
じています。身近に立ち寄れるカフェがあり多くの人が
病と人生を語られたら凄い。カフェデモンクで分けて頂
いた手作りのおじぞうさんが合掌するお姿。自身もこう
でありたい…。
「死者の花嫁」という本に東北地方のムカサリ絵馬が紹
介されていました。何時かは訪れたいと思いながら、機
上からの穏やかな海を見て祈りを捧げました。
「生と死に寄り添う~臨床宗教師の視点」谷山洋三先生
「カフェデモンク」の会場に並べられた愛らしい「て
のひら地蔵」
。山崎純子さんの10グループでは熱の入
った話し合いが続きました。
がん哲学外来研修センター
長野県佐久市前山 321-3
Tel:0267-63-5369
mail:[email protected]
日進舘シニアアドバイザー
市村 雅昭
群馬県の万座温泉に於いて「ガン哲学外来カフェ in
万座」を開催してから足掛け 5 年を迎えます。万座温
泉の立地は嬬恋村に所属しますが村の人家が在る所ま
で 23km、標高 1800mの原生林に囲まれた上信越国立公
園内に在ります。この万座温泉を含む嬬恋村を「がん
哲学外来メディカル・ヴィレッジ」にと樋野先生は 2012
年に既に示唆なされており、昨年 9 月 25 日には樋野先
生お立会いの下、この万座温泉の従事者たちで「がん
哲学外来メディカル・ヴィレッジ in 万座」の立ち上げ
宣言がなされ、今年 6 月 25 日には嬬恋村長を始め村議
員、村役場担当職員、地域企業主、そして万座でのが
ん哲学外来カフェに当初から応援頂いている佐久市の
がん哲学の関係者等の皆様方総勢 40 名で改めて「がん
哲学外来メディカル・ヴィレッジ in 嬬恋村万座」への
推進協力を宣言致しました。
現在この地域ではがん哲学市民学会認定のコーディ
ネーターが1名、養成中が3名居ます。そして今年度
に地域医療振興協会の下、
「住民主役で健康長寿の村作
り」事業が始動されています。村民の死亡原因の第1
位ががんであり(28%)その現状を真摯に受け止めなが
ら、がん患者とそのご家族が安心して治療に専念でき
る場所を目指すのがメディカル・ヴィレッジであり、
そして益々増える高齢者の介護問題を同様に考えるべ
きで医療施設と共に介護施設、介護士の確保が最重要
事項になります。それには在宅医療並びに医療施設の
設置を行い、そこに介護研修生を招聘し養成します。
嬬恋村の高齢者、そして万座温泉を訪れる湯治客の
皆様が病気になっても安心して生活を送れる「新しい
医療の共同体」としての成熟した村が目指すところで
あり、これは一般人が医療ボランティアとして参加す
ることも重要な要素のひとつと考えます。
今月 22 日、樋野先生御出生地の出雲市議会の副議長
と議員が嬬恋村議会を訪問され、メディカルヴィレッ
ジ構想へ向けての熱の入った会議をされました。全国
でこの嬬恋村と出雲市の鵜鷺の 2 か所が「がん哲学外
来メディカル・ヴィレッジ」です。そして群馬県の「が
ん哲学外来メディカル・カフェ in 前橋」からも嬬恋村
との連携のオファーが来ていて力強いです。
パネルディスカッションのあとの「万座カフェ」では職
種を越えた人たちの熱い議論が沸騰!時間があっという
間に過ぎて課題は引き続いて今後に持ち越されました。