利用の手引き 本用語集は英語のアルファベット順に配列されている。 用語集本体中の各用語は、以下の要素から成り立っている。 用語: 英語、対応する日本語 定義:用語の意味を提示する。 コメント(任意):定義の説明。 出所:情報の出所を表示。 関連用語(任意) :関連する用語への相互参照。 5 カ国語の対応用語: 以下の順番で並べられている。スペイン語、ドイツ語、 フランス語、イタリア語、ポルトガル語 訳注: 本日本語版では、約4割の用語に対し、日本の読者向けに簡単な訳注をつけて いる。 付録には、以下を収録した。 - 英語の語順を並び替えた索引。用語を構成する単語一つを手がかりにその用語を見つ けられるようにした。 - 英語のアルファベット順索引。 24 1 access to education and training 教育・訓練へのアクセス 1 教育・訓練機関又はプログラムへの入学・参加に関する条件・環境・要件(たとえば資 格・学歴・スキル、職務経験など) 1 (出所)Unesco(1995)を編集。 1 (スペイン語) acceso a la educación y la formación (ドイツ語) Zugang zur (Berufs-)Bildung (フランス語) 1 accès à l‟éducation et à la formation (イタリア語) accesso all‟istruzione e alla formazione 1 1 (ポルトガル語)acesso à educação e à forma 1 21 accreditation of an education or training programme 教育・訓練プログラムの認定 2 1 教育・訓練プログラムに認定を与え、所定の基準を満たすことにより適切な立法機 1 関ないし専門機関によって是認されていることを示す(品)質保証プロセス。 11 1 (出所)Canadian Information Centre for International Credentials(2007)を編集。 1 (関連用語)accreditation of an education or training provider 1 (スペイン語) homologación de un programa de educación o formación (ドイツ語) 1 Akkreditierung eines Bildungs- oder Ausbildungsprogramms (フランス語) homologation d‟un programme d‟enseignement ou de formation 1 (イタリア語) accreditamento di un programma d‟istruzione o di formazione (ポルトガル語)homologação de um programa de ensino ou de formação 1 3. 3 accreditation of an education or training provider 教育・訓練提供者の認定 3 教育・訓練提供者に団体認定を与え、所定の基準を満たすことにより適切な立法機関・ 1 専門機関によって是認されていることを示す(品)質保証プロセス。 1 1 25 (出所)Canadian Information Centre for International Credentials(2007)を編集。 (関連用語) accreditation of an education or training programme, education or training provider (スペイン語) autorización / homologación de un proveedor de enseñanza o de formación (ドイツ語) Akkreditierung eines Anbieters der allgemeinen oder berufl ichen Bildung (フランス語) agrément d‟un prestataire d‟enseignement ou de formation (イタリア語) accreditamento di un erogatore d‟istruzione o formazione (ポルトガル語)certifi cação de um prestador de ensino ou de formação accreditation of learning outcome recognition of learning outcomes; certification of learning outcomes; validation of learning outcomes accreditation of prior learning (APL) recognition of learning outcomes; certification of learning outcomes; validation of learning outcomes 4 を参照。 を参照。 adaptability 適応性 4 ある組織又は個人が、新たな技術・市場条件・仕事パターンに適応する能力。 1 1 1 1 1 1 (出所)Canadian Information Centre for International Credentials(2007)を編集。 (関連用語) accreditation of an education or training programme, education (スペイン語) adaptabilidad (ドイツ語) Anpassungsfähigkeit (フランス語) adaptabilité / capacité d‟adaptation (イタリア語) adattabilità (ポルトガル語)adaptabilidade / capacidade de adaptação 1 26 adult education 5 成人教育 5 業務上及び/又は個人的な目的により、初期教育・訓練を終えた成人を対象として提供 4 される一般教育又は職業教育で、以下の狙いを持つもの。 - 特定の関心事項に関する一般教育を成人向けに提供する(例えば、全入の通信制大学) 1 - 過去に初期教育・訓練において習得できなかった基本的スキル(識字能力、計算能力 など)について補完的な学習を提供する 1 - 様々な理由で初期教育・訓練システムにおいて取得されなかった資格へのアクセスを 提供する。 1 - 1 特定分野における知識・スキル・コンピテンスを取得・改善・更新する。これは継続 教育・訓練である。 1 コメント:成人教育は「継続教育・訓練(continuing education and training)」に 近いが、同義ではない。 1 (出所)European Training Foundation(1997),Cedefop(2004)を編集。 (関連用語) compensatory learning, continuing education and training, lifelong learning (スペイン語) educación de adultos (ドイツ語) Erwachsenenbildung (フランス語) formation des adultes / formation d‟adultes / éducation des adultes (イタリア語) istruzione degli adulti (ポルトガル語)educação de adultos / ensino de adultos / formação de adultos alternance training 6 交互訓練(デユアル訓練) 6 教育機関又は訓練センターにおける時期と職場における時期を組み合わせた教育・訓練。 1 交代プログラムは週ベース・月ベース・年ベースで実施される可能性がある。国及び該当 する地位によっては、参加者が雇用主との契約上の関係を保ち、及び/又は報酬を受け取 1 1 1 27 る場合もある。 コメント:ドイツの「デュアルシステム」は交互訓練の一例である。 (出所)Cedefop(2004)に基づく。 (関連用語) apprenticeship (スペイン語) formación en alternancia (ドイツ語) alternierende Ausbildung / duale Ausbildung (フランス語) formation en alternance (イタリア語) formazione in alternanza (ポルトガル語)formação em alternância alternating training alternance training を参照。 apprenticeship 7 見習い訓練制度 7 職場における時期と教育機関又は訓練センターにおける時期を交互に過ごす体系的な長 1 期訓練。見習い実習生は雇用主との契約上の関係を保ち、報酬を受ける(賃金又は手当)。 雇用主は、特定の職務につながる訓練を訓練生に与える責任を負う。 1 1 1 コメント: - フランス語の「apprentissage」という用語は、見習い訓練制度及び学習プロセスの 双方に関連している( 「学習 learning」を参照のこと) 。 - ドイツの「デュアルシステム」は見習い訓練制度の一例である。 1 (出所)Cedefop(2004) 1 1 (関連用語)alternance training (スペイン語) aprendizaje profesional / formación de aprendices (ドイツ語) Lehrlingsausbildung / Lehre (フランス語) apprentissage (professionnel) (イタリア語) apprendistato (ポルトガル語)apprendistato 28 (訳注)見習い訓練制度(apprenticeship)は、ドイツ、オーストリア、スイス、デンマー ク等の「後期中等教育(日本の高校段階)」で大きな柱となっているが(2007 年では、ドイ ツで 42.8%、デンマークで 47.5%の在学生が「学校・企業連携プログラム」を受講してい る。OECD ”Education at a glance 2010”の TableC1.4)、近年ではイギリス、フランス等他 の欧州諸国でも、政府の助成と奨励により急速に導入が進んでいる(ないし復活している)。 日本においては、日本版デュアルシステムとして、文部科学省が、主に専門高校(専門 教育を主とする学科などを置く高等学校等。農業高校や工業高校等)で 2004 年度からモデ ル事業として試行した数週間のインターンシップと、厚生労働省が独立行政法人雇用・能 力開発機構や都道府県を通じて 2003 年から現在まで継続して行っているものとがある。後 者は、正規職業能力開発大学校等の専門課程(2 年間。有料)によるもの、職業能力開発促 進センター(6 ヶ月。無料)によるもの、民間の専修学校等が委託訓練として行うもの(標 準 4 ヶ月。無料)と一部都道府県職業訓練校からなり、正社員経験の尐ない若年者を対象 に行われていたが、2011 年度から対象者が広がり、実践力修得が必要な求職者となった。 8 assessment of learning outcomes 学習成果の評価 1 所定の基準(学習期待値、学習成果測定)に照らして、個人の知識・ノウハウ・スキル 1及び/又はコンピテンスを評価するプロセス。通常は、評価の後に認定(validation)・認 証(certification)が行われる。 1 コメント:文献においては、一般に「assessment」は個人の評価を指すのに対して、 1 1 「evaluation」は教育・訓練方法又は教育・訓練提供者の評価について述べるのに用いら れる。 1(出所)Cedefop( 2004) (関連用語) certification of learning outcomes (スペイン語) evaluación de resultados de aprendizaje (ドイツ語) Bewertung von Lernergebnissen (フランス語) évaluation des résultats/acquis d‟apprentissage (イタリア語) accertamento dei risultati dell‟apprendimento (ポルトガル語)avaliação dos resultados da aprendizagem 29 awarding body 9 資格授与機関 1 評価及び認定手続きを経たうえで、個人の学習成果(知識・スキル及び/又はコンピテ 1ンス)を公式に認め、資格(認定証、修了証書、称号)を発行する機関。 1(出所)Cedefop( 2004)に基づく。 (関連用語) certificate / diploma / title, certification of learning outcomes, 1 validation of learning outcomes 1 (スペイン語) organismo certificador 1(ドイツ語) ausstellende Stelle oder Behörde (フランス語) organisme certificateur (イタリア語) ente certificatore (ポルトガル語)organismo certificador basic ICT skills basic information and communication technology (ICT)を参照。 basic information and communication technology(ICT) skills 10 情報通信技術(ICT)基本スキル 10 情報通信技術の基本的機能を効率的に利用するために必要なスキル(実質的には、文書 1/画像/データ処理、インターネット及び電子メール)。 コメント:一部の著者はハードウェア面のスキル(機器の接続、ソフトウェアのインストー ル、基本的な故障の修復)又はさらにソフトウェア面のスキル(プレゼンテーションプ ログラムや表計算ソフトの活用、ファイル管理、データ検索など)も含めている。また、 ICT 基本スキルは今や主要スキル/主要コンピテンスの一部であるとさえ考える著者も いる。 (出所)Cedefop( 2004)に基づく。 (関連用語) basic skills, information and communication technology (ICT), key skills, new basic skills 30 (スペイン語) competencias básicas en tecnologías de la información y la comunicación (TIC) (ドイツ語) grundlegende Kompetenzen im Bereich der Informations- und Kommunikationstechnologie (IKT) / grundlegende IKT-Kompetenzen (フランス語) compétences de base en technologies de l‟information et de la communication (TIC) (イタリア語) competenze di base in materia di tecnologie dell‟informazione e della comunicazione (TIC) (ポルトガル語)competências de base em tecnologias da informação e da comunicação (TIC) 11. 11 basic skills 基本スキル 現代社会で暮らしていくために必要なスキル。たとえば、聞く・話す・読む・書く・ 計算。 コメント:基本スキルと新基本スキル(new basic skills)を合わせたものが主要スキル (key skills)である。 (出所)Cedefop, Bjørnåvold(2000), Cedefop, Tissot(2000), Cedefop(2004) (関連用語) basic information and communication technology (ICT) skills, key skills, new basic skills (スペイン語) competencias básicas (ドイツ語) Grundkompetenzen / Grundfertigkeiten / Basis-, Kernqualifi kationen (フランス語) compétences de base (イタリア語) competenze di base (ポルトガル語)competências de base 31 1 12 certificate/diploma/title 認定証、修了証書、称号 11 資格授与機関が発行する公式文書で、所定の基準に照らした評価及び認定を経たうえで 個人の達成を記録するもの。 (出所)Cedefop( 2004)に基づく。 (関連用語) assessment, awarding body, certification of learning outcomes, qualification (スペイン語) certificado / diploma / título (ドイツ語) Befähigungsnachweis / Bescheinigung / Diplom / Zertifikat / Zeugnis / Titel (フランス語) certificat / diplôme / titre (イタリア語) certificato / diploma / titolo (ポルトガル語)certificado / diploma / título 13 certification of learning outcomes 学習成果の認証 13 個人が獲得した一群の学習成果(知識・ノウハウ・スキル及び/又はコンピテンス)が、 所定の基準に照らして、適格性のある機関により評価・認定されたことを公式に証明する 2 認定証、修了証書、称号が発行されるプロセス。 コメント:認証は、公式、ノンフォーマル、インフォーマルな状況で獲得された学習成果 を認定することもある。 (出所)Cedefop( 2004)に基づく。 (関連用語) assessment of learning outcomes, awarding body, certificate / diploma / title, qualification, validation of learning outcomes (スペイン語) certificación de resultados de aprendizaje (ドイツ語) Zertifizierung von Lernergebnissen (フランス語) certification des résultats/acquis d‟apprentissage (イタリア語) certificazione dei risultati dell‟apprendimento 32 (ポルトガル語)certificação dos resultados da aprendizagem (訳注)「公式学習」 、「ノンフォーマル学習」 、「インフォーマル学習」については、 それぞれ、36、64、40 を参照。 14 civil society 市民社会 1 「国家」と「市場」以外の社会の「第三部門」であって、 (構造的であるかインフォーマ ルであるかを問わず)協会(institutions) ・集団(groups)・組合(associations)を包含し、市 民と公的機関との間の仲介者として行動する可能性のあるもの。 (出所) European Commission(2004)による Cedefop(2001) 又は、 一般の利益を目標とし、その責任を負うような構成員を持ち、公的機関と市民との間の 仲介者としても行動するすべての組織構造の総体。 (出所) Economic and Social Committee(1999) (スペイン語) sociedad civil (ドイツ語) Bürgergesellschaft / Zivilgesellschaft (フランス語) société civile (イタリア語) società civile (ポルトガル語)sociedade civil 15 compatibility of qualifications 資格の互換性 1 複数の資格(認定証、修了証書、称号)のレベル及び内容の同等性を、部門・地域・国 家のあいだで、又は国際的な水準でどの程度認めさせることが可能かの度合い。 コメント:資格が互換可能となることで、個人の就業能力・移動可能性が改善される。こ 33 の用語を、 「資格の同等性(equivalence of qualifications) 」と混同してはならない(こ ちらは、認定証又は修了証書の類似性をさす用語である)。 (出所)Cedefop, Bjørnåvold(2000) (関連用語) mutual recognition of qualifications (スペイン語) comparabilidad de cualificaciones (ドイツ語) Vergleichbarkeit von Qualifikationen (フランス語) comparabilité des certifications / comparabilité des qualifi cations (イタリア語) comparabilità delle qualifiche (ポルトガル語)comparabilidade das certificações / comparabilidade das qualifi cações 16 compensatory learning 補完的学習 1 教育・訓練の間に個人が累積した欠落部分を埋めることを狙った学習。主に、これらの 個人の訓練参加を可能にすることをめざす。 (出所)Cedefop(2004) (関連用語) adult education, basic skills (スペイン語) formación compensatoria (ドイツ語) kompensatorisches Lernen (フランス語) apprentissage compensatoire (イタリア語) apprendimento compensativo (ポルトガル語)aprendizagem complementar 17 competence コンピテンス 1 学習成果を規定された状況(教育、業務、自己開発ないし職業面での発展)において適切 に適用する能力 34 コメント:コンピテンスは、認識的要素(理論や概念、明示的な知識の活用を含む)に限 定されず、機能的な側面(技術的スキルを含む)、さらには対人的属性(たとえば社交 的又は組織的スキル)及び倫理的価値も包含するものである。 (出所)Cedefop(2004), European Commission(2006a) (関連用語) know-how, knowledge, skills (スペイン語) competencia (ドイツ語) Kompetenz (フランス語) compétence (イタリア語) competenza (ポルトガル語)competência (訳注)EQF(欧州資格枠組み)に対する欧州議会・欧州理事会合同勧告(2008)付属文書 Ⅰでは、「仕事や学習状況、専門的ないし個人的な発展・成長において、知識、スキル、 個人的・社会的・方法論的な能力を使いこなす能力を意味し、EQF の文脈においては、責 任と自律の観点から表現される。」と定義されている。 („competence‟ means the proven ability to use knowledge, skills and personal, social and/or methodological abilities, in work or study situations and in professional and personal development. In the context of the European Qualifications Framework, competence is described in terms of responsibility and autonomy.) 18 compulsory education 義務教育 1 義務的な学校教育に関する最低限の法的基準と期間。 (出所)ILO(1998) (関連用語) initial education and training, post-compulsory education (スペイン語)educación obligatoria / escolaridad obligatoria (ドイツ語) Pflichtschule / Pflichtschulbildung / Schulpfl icht (フランス語)enseignement obligatoire / scolarité obligatoire / éducation obligatoire 35 (イタリア語)istruzione dell‟obbligo (ポルトガル語)escolaridade obrigatória computer skills 19 Information and communication technology (ICT) skills を参照。 continuing education and training 継続教育・訓練 1 初期教育・訓練の後に、又は職業生活に入った後に行われる教育・訓練で、以下の点で 個人を支援することを目的とするもの。 - 知識及び/又はスキルの改善・更新。 - 転職のための新たなスキルの獲得又は再訓練。 - 自己開発ないし職業面での発達の継続。 コメント:継続教育・訓練は、生涯学習の一環であり、あらゆる種類の教育(一般教育、 専門教育又は職業教育、公式教育又はノンフォーマル教育など)を包含する可能性が ある。個人の就業能力にとって、こうした教育・訓練は不可欠である。 (出所)Cedefop(2004) (関連用語) adult education, compensatory learning, initial education and training, lifelong learning (スペイン語) formación continua (ドイツ語) Fort- und Weiterbildung (フランス語) enseignement et formation continus (イタリア語) istruzione e formazione continua (ポルトガル語)educação contínua / formação contínua (訳注)OECD“Learning for Jobs”(2010)(p208)では、継続的 VET(職業教育訓練) を、 「企業の従業員訓練や特に失業した者のために提供される訓練等、初期 VET 以外 の全ての職業教育訓練」”Continuing VET is all other sorts of VET, including enterprise training of employees, and training provided specifically for those who have lost their jobs.”と定義されている。 36 core skills key skills / key competencesを参照。 counselling 20 guidance and counselling を参照。 credit system (履修)クレジット制度 11 公式学習・ノンフォーマル学習及び/又はインフォーマル学習の状況において得られた 学習成果の蓄積を可能とし、ある環境から別の環境に移転して認定・承認することを容易 にすることを目的とする仕組み。(履修)クレジット制度は以下のように設計することが可 能である。 - 教育または訓練プログラムを規定し、その構成要素(モジュール、課程、成績、学位 論文など)にポイント(クレジット)を付与する。 - 学習成果単位を用いて、各単位にクレジットポイントを付与することにより、資格を 規定する。 (出所)Cedefop( 2004), European Commission(2006c)に基づく。 (関連用語) European credit system for vocational education and training (ECVET), European credit transfer system (ECTS) (スペイン語) sistema de créditos (ドイツ語) Leistungspunktesystem (フランス語) système de crédits (イタリア語) sistema di crediti (ポルトガル語)sistema de créditos (訳注) ”credit”と“unit”の訳は、本書では、”credit” →「クレジット」ないし「履修 クレジット」、“unit” →「単位」としている。「公式学習」、 「ノンフォーマル学習」 、 「インフォーマル学習」については、それぞれ、36、64、40 を参照。 21 curriculum カリキュラム 1 教育・訓練活動を設計・編成・計画するために実施される活動の一覧。学習目標・内容・ 37 方法(評価を含む)・教材の指定や、教員・指導員の訓練に関する措置も含む。 コメント:「カリキュラム」という用語は、学習活動の設計・編成・計画を指す言葉で、 「プ ログラム」という用語はこれらの活動の実施を指す言葉である。 (出所)Cedefop(2004), Landsheere(1979)に基づく。 (関連用語) programme of education or training (スペイン語) currículo (ドイツ語) Curriculum (フランス語) curriculum (イタリア語) curriculum / piano di studi (ポルトガル語)currículo 22 digital divide / digital gap デジタルデバイド/デジタルギャップ 11 人々のなかで、情報通信技術(ICT)に効果的にアクセスし、活用できる者とできない者 の格差。 (出所)Cedefop(2004)に基づく。 (関連用語) basic information and communication technology (ICT) skills, information and communication technology (ICT) (スペイン語) fractura digital / barrera digital (ドイツ語) digitale Kluft / digitale Spaltung (フランス語) fracture numérique / fossé numérique (イタリア語) fossato digitale / divario digitale (ポルトガル語)fosso digital / gap digital 23 digital literacy デジタルリテラシー 11 情報通信技術(ICT)を活用できる能力(コンピテンス) 。 38 (出所)Cedefop(2004)に基づく。 (関連用語) basic information and communication technology (ICT) skills, digital divide, information and communication technology (ICT), key skills (スペイン語) alfabetización digital / cultura digital (ドイツ語) digitale Kompetenz / Medienkompetenz (フランス語) compétence numérique / culture numérique (イタリア語) alfabetizzazione digitale (ポルトガル語)literacia digital 24 distance education and training 遠隔教育・訓練 11 書籍、ラジオ、テレビ、電話、郵便、コンピューター、ビデオといった情報伝達メディ アを介して遠隔地から伝達される教育・訓練。 (出所)ILO(1979)に基づく。 (関連用語) e-learning, open learning (スペイン語) educación y formación a distancia (ドイツ語) Fernunterricht in der allgemeinen und beruflichen Bildung (フランス語) enseignement et formation à distance (イタリア語) istruzione e formazione a distanza (ポルトガル語)ensino e formação a distância distance study 25 distance education and training を参照。 dropout ドロップアウト 11 教育・訓練プログラムからその修了前に脱落すること。 コメント: 39 (a) この用語はコース修了をしないプロセス(早期退学)及び修了できない人々(早期 退学者)双方について用いられる。 (b) ドロップアウトのなかには、早期退学者の他に、教育・訓練を終了したものの試験 に不合格となった者が含まれる場合もある。 (出所)Ohlsson(1994)に基づく。 (スペイン語) abandono escolar / abandono prematuro de estudios / fracaso escolar (Aus-)Bildungsabbruch (ドイツ語) abandon des études / abandon en cours d‟études (フランス語) / décrochage / sortie précoce (ou prématurée) du système éducatif abbandono scolastico (イタリア語) (ポルトガル語)abandono escolar (訳注)EUは、ドロップアウト(教育・訓練からの中途脱落者)の減尐を重視しており、 2020年までの新経済・社会戦略「欧州2020:賢く持続可能で包括的な成長」では、 「教 育」 ( 「ET2020: 欧州教育・訓練協力戦略枠組み」では、 「教育・訓練」として同じ数字 を使っている。)からの中退者(18-24歳)比率を、2020年までに10%未満にすること を目標に掲げている(2009 年実績 14.4 %) 。 dropping out dual system dropout を使うこと。 alternance trainingを参照。 early school leaving education dropout ECTS dropoutを参照。 dropoutを参照。 European credit system for vocational education and training (ECVET) を参照。 ECVET European credit transfer and accumulation system (ECTS) を参照。 40 26 education or training path 教育・訓練経路 11 ある個人が知識・スキル・コンピテンスを得るためにたどる学習連鎖の総和。 コメント:学習経路として、公式・ノンフォーマルの学習連鎖(これを認定すること により認証に至る)が複合している場合もある。 (出所)Cedefop; European Commission(2006c) (関連用語) education or training pathway, European credit system for vocational education and training ECVET, learning, open learning (スペイン語) itinerario de educación o formación (ドイツ語) Verlauf der allgemeinen und beruflichen Bildung (フランス語) parcours d‟enseignement ou de formation / parcours pédagogique (イタリア語) percorso scolastico o formativo (ポルトガル語)percurso de ensino ou de formação / percurso pedagógico 27 education or training pathway 教育・訓練課程 11 学校、訓練センター、高等教育機関、VET(職業教育訓練)事業者により提供される一 連の関連した教育・訓練プログラムで、活動部門内又は活動部門間での個人の進歩を促す もの。 (出所)Cedefop; European Commission(2006c) (関連用語) education or training path (スペイン語) vía educativa o formativa (ドイツ語) Weg der allgemeinen oder beruflichen Bildung / Zweig der allgemeinen oder beruflichen Bildung 41 (フランス語) filière d‟enseignement ou de formation (イタリア語) iter scolastico o formativo (ポルトガル語)itinerário de ensino ou de formação 28 education or training provider 教育・訓練提供者 11 教育・訓練サービスを提供する組織又は個人。 コメント:教育・訓練提供者には、この目的のために特に設置された組織もあれば、それ 以外の、たとえば雇用主が事業活動の一環として訓練を提供する場合などもある。ま た教育・訓練提供者には、サービスを提供する自営の個人も含まれる。 (出所) Cedefop(2004)に基づく。 (スペイン語) proveedor de enseñanza o de formación (ドイツ語) Anbieter der allgemeinen oder berufl ichen Bildung (フランス語) prestataire d‟enseignement ou de formation (イタリア語) erogatore d‟istruzione o formazione (ポルトガル語)prestador de ensino ou de formação (訳注)国際標準化機構(ISO)は、 「非公式」の教育・訓練サービス(公式教育・訓練 機関以外の教育・訓練サービス)提供者が行うサービスの質保証基準、ISO 規格 29990 を、2010 年 9 月に発行したが、この ISO 規格 29990 には、国内審議委員会による定 訳がある。そこでは、”learning service provider (LSP) “を、「学習サービス事業者」 と訳しており、当初は、本項の”provider“も「事業者」と訳す方針であった。しかしなが ら、本用語集では、上記 ISO 規格と異なり、①多くの場合、公立の学校、訓練センターも 含めて使用していると考えられること、②「コメント」にあるよう、雇用主が事業活動の 一環として訓練を提供する場合も含む、としていることから、結局、「教育・訓練提供者」 と訳すことにした。 29 e-learning e ラーニング 11 42 情報通信技術(ICT)に支えられた学習。 コメント: - e ラーニングは、 「デジタルリテラシー」(ICT スキルの取得)に限定されるもので はない。また、ソフトウェア、インターネット、CD-ROM、オンライン学習又はその 他の電子/双方向性メディアによる学習など、複数のフォーマット及びハイブリッド (混成)な方法にまたがって行われる場合もある。 - e ラーニングは、遠隔教育・訓練のツールとしても、また対面学習を支援するため にも利用できる。 (出所)Cedefop( 2004)に基づく。 (関連用語) digital literacy, distance education and training, information and communication technology (ICT) (スペイン語) e-learning (ドイツ語) eLernen (e-learning) (フランス語) apprentissage électronique (e-learning) (イタリア語) e-learning (ポルトガル語)aprendizagem com recurso às TIC (e-learning) 30 employability (労働市場価値を含んだ)就業能力 11 キャリアの過程で、個人が就業機会に近づく、又は就業する、あるいは就業を維持し向 上していくことを可能とする要因の組み合わせ。 コメント:個人の就業能力を左右するのは、(a)個人の属性(知識及びスキルが十分である ことを含む)、(b)そうした個人の属性が労働市場にどのように提示されるか、(c)環境 的・社会的な状況(知識及びスキルの更新・認定に向けて提示されるインセンティブ 及び機会)、(d)経済的状況である。 (出所)Scottish executive(2007), the institute for employment studies(2007) に基づく。 (関連用語) adaptability, lifelong learning, mobility 43 (スペイン語) empleabilidad (ドイツ語) Beschäftigungsfähigkeit (フランス語) employabilité (イタリア語) occupabilità (ポルトガル語)empregabilidade (訳注)“employability”は、”employ”(雇用する、仕事に従事する)と”ability”(能力)を合成 した用語で、文脈によっては、「雇用されうる能力」、「就業(雇用)可能性」が適切な場 合もある。”employment”は「雇用」以外の「自営業」を含み、EU では自営業での就 業拡大も重要視していることに留意して、本用語集では、 「就業能力」と訳した。1990 年代以降、欧州等で盛んに使われており、2000 年 3 月のリスボン欧州サミット(首脳 会議)で、 「より多くより良い就業とより強い社会的きずなを伴う持続可能な経済成長 を可能とする世界で最も競争力のあるダイナミックな知識基盤経済を 2010 年までに実 現する」との戦略( 「リスボン戦略」)が打ち出されたが、その 4 本の柱の一つが「就 業能力」 (employability)であった。なお、他の3つは、起業家精神(entrepreneurship), 「適合能力」(adaptability)、「均等機会」 (equal opportunities)である。日本でも、 1999 年に日本経営者団体連盟が発行した『エンプロイアビリティの確立をめざして』 以降、「継続して雇用されうる能力」と「転職しても雇用される(就業できる)能力」 の両面を意味するものとして、社員教育の場等で多用されるようになった。 EQF 31 European qualification framework for lifelong learning(EQF)を参照。 credit system for vocational education and training, ECVET 職業教育訓練クレジット制度 1 資格が、(履修)クレジットポイントが付与された学習成果の単位として表現され、それ が学習成果の認定手続きと組み合わされているような仕組み。この制度の狙いは、以下の 各々を促進することにある。 - 訓練を受けた者の移動可能性(mobility) - 異なる国々で得られた学習成果(公式、ノンフォーマル、インフォーマルの別を問わ ず)の蓄積・移転・認定・承認 (訳注) 公式学習(formal learning)、ノンフォーマル学習(non-formal learning)、 インフォーマル学習 (informal learning)については、それぞれ、36、64、40 を 参照のこと。 - 生涯学習の実施 44 - 資格の透明性 - 欧州内の職業教育訓練提供者の相互信頼・協力 コメント:ECVET は、クレジットポイント付与の対象となる移転可能・蓄積可能な学習単 位にまとめられ、個人の学習成果証明書に登録された学習成果(知識・スキル及び/ 又は能力(コンピテンス) )で表現される資格の規定に基づいている。 (出所)Cedefop; European Commission(2006c) (関連用語) credit system, European credit transfer and accumulation system (ECTS) (スペイン語) Sistema Europeo de Créditos de Formación Profesional (ECVET) (ドイツ語) Europäisches Leistungspunktesystem für die Berufsbildung (ECVET) (フランス語) Système européen de crédits d‟apprentissage pour la formation et l‟enseignement professionnels (ECVET) (イタリア語) sistema europeo di trasferimento dei crediti per l‟istruzione e la formazione professionale (ECVET) (ポルトガル語)Sistema europeu de créditos para a educação e formação profissional (ECVET) (訳注)教育・訓練成果のEU全域での一層の共有化を進めるため、ECVET(欧州職業教 育訓練クレジット制度)が2009年の欧州理事会・議会合同勧告で本格推進されること ととなった。学んだ場所(国、学校その他機関)や教育訓練期間ではなく、学習訓 練成果に基づいてポイントを与え、ポイントの蓄積に応じ単位を認定し、必要な単 位を満たした場合に資格を認証するというもの(60ポイントが1年間フルタイムの VETによる学習訓練成果に相当)で、EQF(欧州資格枠組み)の全レベルでのVET 資格に2012年から漸進的に適用が進められるための必要な条件整備を、上記勧告で は各国政府に要請している。 32 European credit transfer and accumulation system, ECTS 欧州クレジット移転蓄積制度、ECTS 11 高等教育プログラムの要素(モジュール、課程、成績、論文など)にクレジット(成果 ポイント)を付与することにより、そのプログラムを表現する体系的な方法。目的は以下 45 のとおり。 - 学習プログラムを、国内・国外問わず、すべての学生にとって読みやすく比較しやす いものとする。 - 学生の移動可能性と、公式、ノンフォーマル、インフォーマルな学習の承認を 促進する。 - 大学による学習プログラムの編成・改訂を支援する。 コメント:ECTS は、プログラムの目標を達成するために求められる学生の負荷(得られ る学習成果によって示される)に基づいている。欧州における全日制の学習プログラ ムでは、学生の負荷は、ほとんどの場合、年間約 1500~1800 時間に相当し、こうした ケースでは約 25~30 時間で 1 クレジットが与えられる。これと異なる学習状況で類似 の学習成果を得たことを証明できる個人は、学位授与機関から承認・単位(履修免除) を得ることができる。 (出所)European Commission(2004)に基づく。 (関連用語) credit system, European credit system for vocational education and training (ECVET) (スペイン語) Sistema Europeo de Transferencia y acumulación de Créditos (ECTS) (ドイツ語) Europäisches System zur Übertragung und Akkumulierung von Studienleistungen (ECTS) (フランス語) système européen de transfert et d‟accumulation de crédits (ECTS) (イタリア語) sistema europeo di accumulazione e trasferimento dei crediti (ECTS) (ポルトガル語)Sistema europeu de transferência e de acumulação de créditos (ECTS) (訳注)ECTS (欧州クレジット移転蓄積制度)は、大学以上の高等教育に限定された、単位 (クレジット)の移転・蓄積に関する欧州の枠組みである。「欧州単位互換制度」と訳す 研究者も多い。ECVET(欧州職業教育訓練クレジット制度)同様に、60 ポイントが 1 年 間フルタイムの公式学習に付与されるもので、ECVET より早く、1989 年から 95 年の 試験期間を経て 1999 年のボローニャ宣言で打ち出され、全欧州での単位の互換を推進し ている。公式学習(formal learning)、ノンフォーマル学習(non-formal learning)、イン フォーマル学習 (informal learning)については、それぞれ、36、64、40 を参照のこと。 46 33 European governance 欧州ガバナンス 11 欧州レベルでの権力の行使に関して実施されているルール、プロセス及び行動。 コメント:ガバナンスは、公的な資源及び問題が効果的・効率的に、また社会 の重要なニーズに応える形で管理されることを保証しなければならない。効果的なガ バナンスのためには、一般市民の参加、説明責任、透明性、実効性、統一性が必要で ある。 (出所)Eurovoc Thesaurus(2005)に基づく。 (スペイン語) gobernanza europea (ドイツ語) Europäisches Regieren / Europäische Steuerung / Europäische „Governance“ / Regieren in Europa (フランス語) gouvernance européenne (イタリア語) governance europea (ポルトガル語)governação europeia 34 European qualification framework for lifelong learning、EQF 生涯学習に資する欧州資格枠組み 11 国内・国際・部門レベルで開発された様々な資格制度における資格レベルの規定と比較 を行うための参照ツール。 コメント:EQF の主な構成要素は、学習成果(知識・スキル及び/又はコンピテンスの組 み合わせ)に関して規定される 8 段階の参照レベルと、自発的連携のための仕組みと 諸原則である。8 段階のレベルは、基本的な知識・スキル・コンピテンスを承認する資 格から、学術的、専門的または職業的な教育・訓練の最高レベルで授与される資格に 至るまで、あらゆる範囲の資格を対象としている。EQF は資格制度の翻訳手段なので ある。 (出所)European Commission(2006a)に基づく。 47 (関連用語) qualification framework, qualification system (スペイン語) Marco Europeo de Cualificaciones para el aprendizaje permanente (EQF) (ドイツ語) Europäischer Qualifikationsrahmen für lebenslanges Lernen (EQR) (フランス語) Cadre européen des certifications pour l‟apprentissage tout au long de la vie (イタリア語) Quadro europeo delle qualifiche per l‟apprendimento permanente (EQF) (ポルトガル語)Quadro europeu de qualificações para a aprendizagem ao longo da vida (訳注)EQF は、2004 年の欧州理事会で構築の合意がなされ、2008 年の欧州議会・欧州 理事会合同勧告で正式に定められた。各国の全てのレベル、職種の教育・訓練に関す る様々な資格につき、その資格保有者がどのようなレベルの知識、スキル、コンピテ ンスを持つか、欧州全域で比較可能にするものである。EQF の主な狙いは、一般教育、 職業教育を通じ、また EU 全体で、各教育・訓練コース間の乗り換え促進と生涯学習 を容易にすることであり、その核は、義務教育(前期中等教育)修了レベル(レベ ル 1)から博士号取得レベル(レベル8)までの8つの資格参照レベルである。この EQF は、国単位の資格枠組みである NQF の整備を通じ、各国に職業教育訓練(VET)と高 等教育の「分裂」 (デバイド)の見直し等教育・訓練体系全体の見直しを促す起爆剤と なっており、2012 年末までに各国 NQF(国単位の資格枠組み)レベルの基準を EQF レベルに合わせる(referencing)ことになっている。 experiential learning 35 informal learningを参照。 first stage of tertiary education, ISCED 5 高等教育の第一段階 11 このレベルには、(1)概して理論的な学術志向(タイプ A)、(2)通常タイプ A より短期間 で労働市場への参入をめざす職業志向(タイプ B)が含まれる。タイプ A のプログラムは、 高度なスキルを要求される先進的な研究及び職業へのアクセスを提供する。タイプ B は、 学生を特定の職業への直接的な参入に向けて訓練する。ISCED レベル 5 への入学には、通 常、ISCED レベル 3 又は 4 を首尾よく修了していることが必要とされる。 48 コメント:レベル 5 において、学術志向を持つ A プログラムは、通常、VET(職業教育訓 練)の対象範囲外となる。 (出所)Unesco(1997), Eurydice(2006) (関連用語) lower secondary education (ISCED 2), postsecondary (non-tertiary) education (ISCED 4), upper secondary education (ISCED 3) (スペイン語) primer ciclo de la educación terciara / primera etapa de la educación terciaria (nivel CINE/ISCED 5) (ドイツ語) tertiäre Bildung – erste Stufe (ISCED 5) (フランス語) premier niveau de l‟enseignement tertiaire / premier niveau de l‟enseignement supérieur / enseignement supérieur – premier niveau (CITE 5) (イタリア語) primo ciclo dell‟istruzione superiore (CITI 5) (ポルトガル語) primeiro nível do ensino superior (CITE 5) (訳注)ISCED とは、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)が 1975 年に定めた国際標 準教育分類(International Standard Classification of Education)のことで、教育段 階や教育分野の定義の基礎となっているものである。ISCED-97 によると、 「就学前教育 (Pre-primary education ; ISCED レベル0) 」 、 「初等教育(Primary education ; ISCED レベル1)」 、 「前期中等教育(Lower secondary education ; ISCED レベル2) 」、 「後期 中等教育(Upper secondary education ; ISCED レベル3) 」、 「高等教育以外の中等後教 育(Post-secondary non-tertiary level of education ; ISCED レベル4) 」、 「大学型高等 教 育 ( Tertiary-type A education ; ISCED レ ベ ル 5 A) 」、「 非 大 学 型 高 等 教 育 ( Tertiary-type B education; ISCED レ ベ ル 5 B) 」、「 上 級 研 究 学 位 プ ロ グ ラ ム (Advanced Research Qualification ; ISCED レベル6)」からなる。 (http://www.unesco.org/education/information/nfsunesco/doc/isced_1997.htm) OECD 『図でみる教育 -OECD インディケータ(2010 年版),”Education at a Glance”』 (明石書店発行)では、ISCED 5A 及び ISCED5B を以下のように説明している。 大学型高等教育(ISCEO 5A)(Tertiary・type A education(ISCED5A)): 大学型高等教育プログラム(ISCED5A)は、主として理論中心・研究準備型プログラム で、上級研究学位プログラムへ進学したり、医学や歯学、建築学といった高い技能を要求 される専門的職業に従事するのに十分な資格・技能を習得できるようになっている。大学 49 型高等教育プログラムの通算教育年数は、高等教育段階の理論上の期間ではフルタイム換 算で3年間となっているが一般的には4年以上であることが多い。これらのプログラムを提 供しているのは大学だけではない。逆に、各国で大学教育と認められているプログラムが すべて大学型高等教育というカテゴリーに分類されるための基準を満たしているとは限ら ない。大学型高等教育プログラムには、アメリカ合衆国の修士課程のような、第二学位プ ログラムなども含まれる。第一学位プログラムと第二学位プログラムは、各プログラムの 通算教育年数、すなわち学位を得るまでに必要とされる教育年数等によって区別する。 非大学型高等教育(ISCED 5B)(Tertiary・type B education(ISCED5B)) 非大学型高等教育プログラム(ISCED5B)は、通常、大学型高等教育よりも修業年限が 短く、就職に直接結び付く実践的、技術的及び職業技能に焦点を絞ったプログラムである。 それぞれのプログラムの中で、基礎理論を教える場合もある。プログラムの通算教育年数 は、高等教育段階のフルタイム換算で最低2年間である。 36 formal learning 公式学習 11 組織的・構造的環境(教育・訓練機関又は就業中)において生じる学習で、 (目標・時間・ 資源の点で)学習であることが明示されている。公式学習は学習者の視点から見て意図的 なものである。通常、認定、認証につながる。 (出所)Cedefop(2004)に基づく。 (関連用語) certification, informal learning, learning, non-formal learning (スペイン語) aprendizaje formal (ドイツ語) Formales Lernen (フランス語) apprentissage formel (イタリア語) apprentissage formel (ポルトガル語)aprendizagem formal (訳注)”formal learning”に入る学習内容は拡大傾向にある。ISCED(ユネスコの国際標 準教育分類)97(1997 年版)では、 「一般に、5 歳から 7 歳までの年齢で始まり、20 歳 または 25 歳まで続く、児童ないし若年者のための全日制教育の連続的なはしごを構成 する学校、大学その他の公式学習システムで提供される教育(デュアルプログラムを含 む) 」とされ、その後の EC(European Commission)”Memorandum on Lifelong 50 Learning”(2000)では、 「教育・訓練機関で行われ、承認された修了証書や資格につなが るもの」と定義された。そして、OECD ”Recognition of Non-formal and Informal Learning, Project Plan and Rationale for the activity”(2007)と本用語集で、①教育訓 練機関以外の職場での学習が入り得る、②資格とのつながりは絶対的なものではない、 より広範な定義になっている。 (P. Werquin,”Terms,Concepts and Models for Analysing the Value of Recognition Programmes”,2007, OECD,p22)。なお、”64 non-formal learning “の訳注も参照。 37 guidance and counseling / information, advice and guidance( IAG) ガイダンス及びカウンセリング/情報・アドバイス・ガイダンス 11 労働市場に参入する前と後において、個人が教育や職業上の、または個人的な決断をし、 その決断を実行するのを援助するために計画された一連の活動。 コメント:ガイダンス及びカウンセリングには次のような内容が含まれる場合がある。 - カウンセリング(自己開発又はキャリア開発、教育ガイダンス) - 評価(心理的又はコンピテンス/パフォーマンスに関する評価) - 学習及び労働市場機会、キャリアマネジメントに関する情報 - 同僚、関係者、教育者とのコンサルティング - 就業準備(求職のためのスキル/コンピテンス及び・経験の特定) - 紹介(学習・キャリア専門家への紹介) 指導及びカウンセリングは、学校、訓練センター、ジョブセンター(訳注:日本でハロ ーワーク)、職場、地域社会、その他の状況で提供される可能性がある。 (出所)Cedefop(2004)に基づく。 (スペイン語) orientación y consejo / información y orientación (ドイツ語) Beratung und Orientierung / Information, Beratung und Orientierung (フランス語) orientation et conseil (イタリア語) orientamento e consulenza (ポルトガル語)orientação e aconselhamento (訳注)欧州理事会は、2004 年、2008 年と 2 回にわたり、生涯を通じガイダンスとカウン セリングが受けられるよう必要な体制整備を EU 加盟国に勧告する決議をしている。 51 human capital 3 38 人的資本 11 諸個人に体現された知識・スキル・コンピテンス・属性で、個人的・社会的・経済的な 福利を促進するもの。 (出所)OECD(2001) (スペイン語) capital humano (ドイツ語) Humankapital (フランス語) capital humain (イタリア語) capitale umano (ポルトガル語)capital humano (訳注)人的資本理論は、生産に必要とされるスキル、知識、理解(=「人的資本」 )の所 有とその投資の重要性(投資によって人間の生産能力を高めることができる)を強調 するもので、 「投資」には、健康への投資、就業機会に関する情報への投資など人間の 生産力を高める行動すべてが含まれる。古くはアダムスミスまで遡るとされるが、近 年ではゲーリー・.ベッカー・シカゴ大学教授(1992 年ノーベル経済学賞受賞)の定式 化(どこの企業でも通用する「一般的人的資本」と、転職すると目減りする「企業特 殊的人的資本」との区別等)により、多方面の分析に活用されている。 IAG guidance and counselling / information, advice and guidance (IAG) ICT information and communication technology (ICT)を参照。 ICT basic skills ICT literacy ICT skills basic information and communication technology (ICT) skillsを参照。 basic information and communication technology (ICT) skillsを参照。 information and communication technology (ICT) skills を参照。 52 39 individual learning account 個人学習口座 11 成人(たとえば、まだ公的資金に支えられた教育・訓練による恩恵を受けていない者な ど)による学習へのアクセスを促進するための公的インセンティブ制度。 コメント:個人学習口座は、学習者が自分の選んだ機関において費やすことのできる金額 または時間で表現される支援を提供することにより、職業面での発展及び自己開発へ の参加を拡大することをめざしている。 (出所)Cedefop(2008) (関連用語) lifelong learning, open learning (スペイン語) cuenta / credito individual de formación (ドイツ語) individuelles Lernkonto (フランス語) compte individuel de formation (イタリア語) carta prepagata di credito formativo individuale (ポルトガル語)crédito individual à formação (訳注)individual learning account(個人学習口座)には、狭義と広義があり、狭義は、 OECD“Learning for Jobs”(2010)の定義、すなわち、「成人の学習目的だけに使わ れる銀行預金口座(bank account) 。通常、政府、成人、企業、セクター団体等多数の 利害関係者が口座に投資する。 」“A bank account to be used only for adult learning purposes. Normally, multiple stakeholders including the government, adults, firms, and sectoral bodies invest in the account”というものである。広義では、いわゆるバ ウチャー(受講クーポン)等も含む。 40 informal learning インフォーマル学習 11 仕事や、家庭または、余暇に関連した日常的な活動の結果として得られる学習。目標や 時間ないし・学習支援の点で組織的・構造的なものではない。ほとんどの場合、インフォ ーマル学習は学習者の視点から見て意図的なものではない。 53 コメント: - インフォーマル学習の成果は通常、認証にはつながらないが、従前学習承認制度の枠 組みの中で、認定、認証される場合がある。 - 経験的又は偶然的/無作為の学習についてもインフォーマル学習と呼ばれる。 (出所)Cedefop(2004)に基づく。 (関連用語) formal learning, learning, learning outcomes, nonformal learning, validation of learning outcomes (スペイン語) aprendizaje informal (ドイツ語) informelles Lernen (フランス語) apprentissage informel (イタリア語) apprendimento informale (ポルトガル語)aprendizagem informal (訳注)多くの場合、「経験による学習」ないし「経験」と称されるものである。「フォ ーマル(公式)学習の反対概念として欧米では広い合意がされているが、その「承認」 は通常大変難しいとされる。「64.Non-formal learning」の訳注も参照。 なお、「コメント」中の従前学習承認制度(recognition of prior learning schemes)は、ノンフォーマル、インフォーマルの従前学習(訓練)の認定(validation) と承認(recognition)を行う手続きのことで、フランス、デンマーク等ではすでに国民の 権利とされており、また、ブルージュ・コミュニケ(2010 年 12 月の欧州職業教育訓練 担当大臣会議宣言)では、遅くとも 2015 年までに、NQF に適切に支援されながら、国 として、ノンフォーマル、インフォーマルな学習(訓練)の認定(validation)と承認 (recognition)を行う手続きの展開を開始するよう、各国政府に勧奨している。 information, advice and guidance (IAC) guidance and counselling / information, advice and guidance (IAC)を参照。 41 information and communication technology、ICT 情報通信技術 11 情報を電子的に入力・保存・検索・加工・伝送・普及するための技術。 (出所)Cedefop(2004) 54 (関連用語) basic information and communication technology (ICT) skills, information and communication technology (ICT) skills (スペイン語) tecnologías de la información y la comunicación (TIC) (ドイツ語) Informations- und Kommunikationstechnologie (IKT / IuK-Technologie) (フランス語) technologies de l‟information et de la communication (TIC) (イタリア語) tecnologie dell‟informazione e della comunicazione (TIC) (ポルトガル語)tecnologias da informação e da comunicação (TIC) information and communication technology(ICT) skills 42 情報通信技術スキル 11 情報通信技術(ICT)を効率的に利用するために必要なスキル。 コメント:OECD は、ICT スキルと雇用に関する報告書のなかで、簡潔な分類を提案して いる。 - ICT 専門スキル:高度な ICT ツールを利用する、及び/又はそのようなツールを開 発・修復・創造する能力。 - ICT 応用スキル:一般的な職場状況において簡単な ICT ツールを利用する能力。 - ICE 基本スキル(又は「ICT リテラシー」 ):基本的な業務向けに、また学習ツール として ICT を利用する能力。 (出所)Cedefop(2004), OECD: Lopez-Bassols(2002) (関連用語) basic information and communication technology (ICT) skills (スペイン語)competencias en tecnologías de la información y la comunicación (TIC) (ドイツ語) Kompetenzen im Bereich der Informations- und Kommunikationstechnologie (IKT) / IKT-Kompetenzen (フランス語)compétences en technologies de l‟information et de la communication (TIC) (イタリア語)competenze in materia di tecnologie dell‟informazione e della comunicazione (TIC) 55 (ポルトガル語)competências em tecnologias da informação e da comunicação (TIC) 43 initial education and training 初期教育・訓練 11 初期教育システムにおいて実施される一般教育または職業教育訓練で、通常は職業生活 に入る前に行われる。 コメント: (a) 職業生活に入った後に行われる一部の訓練も初期訓練と見なされる場合がある(た とえば再訓練など)。 (b) 初期教育・訓練は、一般教育または職業教育の諸課程(全日制学校ベース又は 交互訓練)又は見習い実習期間のあらゆるレベルにおいて行われる可能性がある。 (出所)Cedefop(2004)に基づく。 (関連用語) compulsory education, continuing education and training (スペイン語) educación y formación iniciales (ドイツ語) Erstausbildung (フランス語) enseignement et formation initiaux (イタリア語) istruzione e formazione iniziale (ポルトガル語)ensino e formação inicial (訳注)初期教育・訓練は、一般に就学年齢の青年を対象とし、学校教育の範疇ないしそ の延長線上で、通常は職業生活に入る前に行われるものである。なお、OECD“Learning for Jobs”(2010)は、 「初期職業教育訓練」を、職歴の初め、通常は労働市場に入る前 に、主として若年者のために考案され、また若年者により利用されるプログラム(我々 は30歳以下のプログラムを提案している)等をさす。」”Initial VET includes programmes mainly designed for and used by young people (we propose those under 30) at the beginning of their careers and commonly before entering the labour market.”(p208)と定義している。 key competences key skills / key competencesを参照。 56 key skill / key competence 44 主要スキル/主要コンピテンス 11 現代の知識社会で生きていくために必要なスキルの総体(基本スキルと新基本スキル)。 コメント:欧州委員会は、 「生涯学習のための主要コンピテンスに関する勧告」 (2006b)の なかで、主要コンピテンスとして次の 8 つを挙げている。 - 母国語によるコミュニケーション。 - 外国語によるコミュニケーション。 - 数学、科学、技術におけるコンピテンス。 - デジタル分野におけるコンピテンス。 - 学習のしかたを学ぶ。 - 対人的・異文化交流的・社会的コンピテンス及び市民的コンピテンス。 - 起業家精神。 - 文化的表現。 (出所)Cedefop(2004), European Commission(2006b) (関連用語) basic skills, new basic skills (スペイン語) competencias clave (ドイツ語) Kernkompetenzen / Kernfertigkeiten / Schlüsselkompetenzen (フランス語) compétences clés (イタリア語) competenze chiave (ポルトガル語)competências-chave (訳注)「生涯学習のための主要コンピテンスに関する勧告」(2006b)では、上記8つの 主要コンピテンスを、全ての若者が初期教育終了時までに、生涯を通じた継続学習 や就労のため必要なレベルまで開発すべきものと定義している。また、成人が生涯 を通じ主要コンピテンスを開発し向上させることを支援すべしとしている。 57 know-how 45 ノウハウ 11 実践的な知識又は専門性。 (出所)New Oxford Dictionary of English(2001)に基づく。 (スペイン語) saber hacer (ドイツ語) Know-how (フランス語) savoir-faire (イタリア語) know-how (ポルトガル語)saber-fazer knowledge 46 知識 11 学習を通じた情報の集積の結果。知識とは、ある学習分野・業務分野に関連した事実・ 原則・理論・実践の集合体である。 コメント:知識とは何かという定義はたくさんある。とはいえ、現代の「知識」概念は、概 ね、いくつかの基本的な特徴を備えている。 (a) アリストテレスは、理論的な論理と実践的な論理を区別した。この区別に倣って、 現代の理論家(Alexander 他、1991 年)も、陳述型(理論的)知識と手続型(実践的) 知識を区別している。陳述型知識は、特定の事件・事実・経験の一般化、また現実の 本質(the nature of reality)に関するより深い原理についての主張を含んでいる。手 続型知識は、経験則・方法・計画・慣習・手続き・所定の動作・戦略・戦術・技法・ コツを含んでいる(Ohlsson、1994 年)。 (b) 世界について学ぶ様々な方法を表わす知識の様々な形式を区分することが可能であ る。こうしたリストをまとめるためにさまざまな試みが行われてきた。次のようなカ テゴリーが頻繁に提示されているように思われる。 - 客観的(自然的/科学的)知識。確実性を基準として判定される。 - 主観的(文学的/美学的)知識。真正性(authenticity)を基準として判定される。 - 倫理的(人格的/規範的)知識。集団的承認(正邪)を基準として判定される。 - 宗教的/神的知識。神聖な権威(神)を基準として判定される。 58 知識に関するこうした基本的理解は、知識の探求において問われる疑問、用いられ る方法、与えられる回答の基盤となっている。 (c) 知識には暗黙知と明示的知識の双方が含まれる。暗黙知(Polanyi、1967 年)は、 学習者が保有している知識で、認知処理に影響を与える。だが、学習者は必ずしもそ の知識を表現し、又はそれを意識するわけではない。明示的知識は、学習者が自覚し ている知識であり、そのなかには、暗黙知のうち、 「思考の対象」となることで明示的 な形式へと転換されたものも含まれている(Prawat、1989 年)。 (出所)Cedefop(2004), European Commission(2006a) (関連用語) competence, know-how, learning, learning outcomes, skill (スペイン語) conocimiento / saber (ドイツ語) Wissen (フランス語) savoir (イタリア語) conoscenza (ポルトガル語)conhecimento / saber (訳注)EQF(欧州資格枠組み)に対する欧州議会・欧州理事会合同勧告(2008)付属文 書Ⅰでは、「知識(knowledge)は、学習を通じ吸収された情報の成果を意味する。知 識は、仕事や学習分野に関連する、事実、原理、理論、実践の集まりである。EQF の 文脈では、知識は、理論ないし事実に結び付けて表現される。」と定義されている。 ( „knowledge‟ means the outcome of the assimilation of information through learning. Knowledge is the body of facts, principles, theories and practices that is related to a field of work or study. In the context of the European Qualifications Framework, knowledge is described as theoretical and/or factual) 47 knowledge society / knowledge-based society 知識社会/知識基盤社会 11 様々なプロセスや実践が知識の生産・配分・利用に基づいているような社会。 (出所)European Commission(2001)によるCedefop(2001) (スペイン語) sociedad del conocimiento (ドイツ語) Wissensgesellschaft 59 (フランス語) société de la connaissance / société basée sur la connaissance (イタリア語) società della conoscenza / società basata sulla conoscenza (ポルトガル語)sociedade do conhecimento / sociedade baseada no conhecimento 48 learning 学習 11 個人が情報・アイデア・価値観(values)を吸収蓄積し、それによって知識・ノウハウ・ スキル及び/又はコンピテンスを得るプロセス。 コメント:学習は個人的な省察、再構成(reconstruction)、社会的交流を通じて生じるも のである。学習は、公式、ノンフォーマル、インフォーマルの状況において生じうる。 (出所)Cedefop(2004), European Commission(2006a) (関連用語) formal learning, informal learning, learning by doing, learning by using, non-formal learning (スペイン語) aprendizaje (ドイツ語) Lernen (フランス語) apprentissage (イタリア語) apprendimento (ポルトガル語)aprendizagem (訳注)「公式学習」 、 「ノンフォーマル学習」 、「インフォーマル学習」については、 それぞれ、36、64、40を参照。 learning achievements learning attainment learning outcomesを参照。 learning outcomes を参照。 60 49 learning by doing 実践を通じた学習 11 ある課題(task)を繰り返し実践することにより得られる学習。事前の指導がある場合 とない場合がある。 (出所)Cedefop(2004)に基づく。 (関連用語) learning, learning by using (スペイン語) aprender haciendo (ドイツ語) Lernen durch Praxis / Praxislernen / Learning-by-doing (フランス語) apprentissage par la pratique (イタリア語) imparare facendo / learning by doing / apprendimento pratico (ポルトガル語)aprendizagem pela experiência / aprendizagem pela prática 50 learning by using 習熟学習 11 学習ツール又は設備を繰り返し使用することにより得られる学習。事前の指導がある場 合とない場合がある。 (出所)Cedefop(2004)に基づく。 (関連用語) learning, learning by doing (スペイン語) aprendizaje por el uso (ドイツ語) Anwendungslernen / Lernen durch Anwendung / Learning-by-using (フランス語) apprentissage par l‟utilisation (イタリア語) imparare usando / learning by using (ポルトガル語)aprendizagem pelo treino / aprendizagem pelo uso 61 51 learning community 学習コミュニティ 11 コミュニティのあらゆる部門の間の効果的な地域的パートナーシップを涵養することに より学習する文化を推進し、個人・組織の学習を支援し動機づけるコミュニティ。 (出所)Cedefop(2004) (関連用語) learning region (スペイン語) comunidad de aprendizaje (ドイツ語) lernende Gemeinschaft (フランス語) communauté apprenante / communauté d‟apprentissage (イタリア語) comunità che apprende / comunità d‟apprendimento / collettività che apprende (ポルトガル語)comunidade de aprendizagem / comunidade aprendente 52 learning content 学習内容 11 学習プロセスを通じて、個人又は学習者のグループの学習事項を構成する主題や活動。 (出所)European Training Foundation(1997)を編集。 (スペイン語) contenidos de aprendizaje / contenidos de formación (ドイツ語) Lerninhalt / Lernstoff / Unterrichtsstoff (フランス語) contenu d‟apprentissage / contenu de formation (イタリア語) contenuto dell‟apprendimento (ポルトガル語)conteúdo da formação 53 learning facilitator 学習ファシリテーター 11 望ましい学習環境を確立することにより、知識と・スキルの獲得を促進する者。教育、 62 訓練、監督、ガイダンスといった機能を果たす全ての者を含む。ファシリテーターは、学 習プロセスを通じて指針やフィードバック、アドバイスを提供することにより、学習者が 知識とスキルを発達させることを助ける。 (出所)Cedefop(2004) (スペイン語) mediador del aprendizaje (ドイツ語) Lernförderer (フランス語) médiateur d‟apprentissage (イタリア語) mediatore di apprendimento (ポルトガル語)mediador de aprendizagem 54 learning organization 学習する組織 11 学習を促進することにより、諸個人が自分自身やお互い同士、また組織全体の利益のた めに、業務状況を通じて学習し発展する組織で、そうした取り組みが公開・認識されてい るもの。 (出所)Cedefop(2004) (関連用語) learning community, learning region (スペイン語) organización de aprendizaje (ドイツ語) lernende Organisation (フランス語) organisation apprenante (イタリア語) organizzazione che apprende / organizzazione d‟apprendimento (ポルトガル語)organização aprendente (訳注)組織全体が学習する能力を備えている組織のことである。 63 55 learning outcomes / learning attainments 学習成果(学習による達成内容) 11 公式、ノンフォーマル、インフォーマルの別を問わず、個人が学習プロセスを完了した 後に習得し、及び/又は実証することのできる、一群の知識、スキル及び/又はコンピテ ンス(能力) 。 (出所)Cedefop(2004)に基づく。 (関連用語) assessment of learning outcomes, certification of learning outcomes, formal learning, informal learning, non-formal learning, validation of learning outcomes (スペイン語) resultados de aprendizaje / logros de aprendi (ドイツ語) Lernergebnisse (フランス語) résultats d‟apprentissage / acquis d‟apprentissage (イタリア語) risultati dell‟apprendimento (ポルトガル語)resultados da aprendizagem (訳注)「生涯学習に資する欧州資格枠組み(European qualification framework for lifelong learning、EQF)に関する勧告」 (2008)付属文書Ⅰでは、 「学習成果とは、知 識、スキル、コンピテンスの観点から定義された、学習プロセスの修了時に学習者が 知り、理解し、することができること」としている。 “ „learning outcomes‟ means statements of what a learner knows, understands and is able to do on completion of a learning process, which are defined in terms of knowledge, skills and competence.” すなわち、学習訓練期間、場所、教育方法のような「インプット要素」よりはむしろ、 学習プロセスの最後において、学習者が知り、理解して、することができると予測され ることが重要という「学習成果アプローチ」が、近年のEUにおける多くの教育・訓練 政策に反映されている。なお、 「公式学習」 、「ノンフォーマル学習」、 「インフォーマル 学習」については、それぞれ、36、64、40 を参照。 learning path education or learning pathを参照。 learning pathway education or learning pathway を参照。 64 56 learning region 学習する地域 11 利害関係者が、特定地域の学習ニーズに対応し、共同の解決法を考案するために資源を 共有する地域。 (出所)Cedefop(2004)に基づく。 (関連用語) assessment of learning outcomes, certifi cation of learning outcomes, formal learning, informal learning, non-formal learning, validation of learning outcomes (スペイン語) región de aprendizaje (ドイツ語) lernende Region (フランス語) région apprenante (イタリア語) regione che apprende / regione d‟apprendimento (ポルトガル語)região de aprendizagem / região aprendente 57 lifelong learning 生涯学習 11 個人的・社会的及び/又は職業的理由のために生涯を通じて行われるすべての学習活動 で、知識・ノウハウ・スキル・コンピテンスの改善及び/又は資格をもたらすもの。 (出所)Cedefop(2004)に基づく。 (関連用語) adaptability, adult education, continuing education and training, lifewide learning (スペイン語) aprendizaje a lo largo de la vida (ドイツ語) lebenslanges Lernen (フランス語) apprentissage tout au long de la vie / éducation et formation tout au long de la vie (イタリア語) apprendimento permanente / istruzione e formazione lungo tutto l‟arco della vita (ポルトガル語)aprendizagem ao longo da vida / educação e formação 65 ao longo da vida (訳注)日本において「生涯学習」というと、 「定年後の高齢者や専業主婦などが生涯続けら れる趣味について学ぶもの」と認識されがちであるが、欧米諸国では、急速な高齢化と 知識集約社会の進展に対応した労働生産性向上の側面が大変重視され、1990 年代以降、 各国際機関(OECD, UNESCO, ILO 等)の共通推進テーマとなっている。EU(欧州連 合)も積極的に推進し、2010 年までの教育・訓練政策の工程表である「教育・訓練 2010 ワークプログラム(ET2010)」、同じく 2010 年から 2020 年までの教育・訓練政策の工 程表である「欧州教育・訓練協力戦略枠組み(ET2020)」とも、生涯学習の推進がプロ グラム全体を貫く基本原則となっている。また、EQF(34 参照)も、厳密には、「生涯 学習に資する欧州資格枠組み」と称され、生涯学習のための諸改革のための枠組みを提 供し、改革を誘導するものとされている。欧州では、教育・訓練での学習成果(learning outcome)の重視、一般教育・職業教育を問わず各教育コース間の乗り換え促進、ノンフ ォーマル学習(64 参照)・インフォーマル学習(40 参照)の認定・承認等が強調されて いる。 58 lifewide learning 生活全般にわたる学習 11 公式、ノンフォーマル、インフォーマルの別を問わず、(個人的・社会的又は職業的な) 生活活動の全般にわたり、またあらゆる段階において生じるような学習。 コメント:生活全般にわたる学習は生涯学習の一つの側面である。 (出所)Cedefop(2004)に基づく。 (関連用語) adult education, continuing education and training, lifelong learning (スペイン語) aprendizaje a lo ancho de la via / aprendizaje en todos los contextos de la vida (ドイツ語) lebensumspannendes Lernen (フランス語) éducation et formation embrassant tous les aspects de la vie (イタリア語) apprendimento che abbraccia tutti gli aspetti della vita / lifewide learning 66 (ポルトガル語)educação e formação em todos os contextos da vida (訳注)”lifewide learning”は、 「人々は、どこでも、いつでも、どのような状況でも学習 する(individuals learn everywhere and all the time, in any kind of setting)」を意 味する概念として、近年多用される用語 という(Werquin,”Terms,Concepts and Models for Analysing the Value of Recognition Programmes”,2007, OECD,p22)。 なお、「公式学習」 、「ノンフォーマル学習」 、「インフォーマル学習」については、それ ぞれ、36、64、40 を参照。 lower secondary education、ISCED2 59 前期中等教育 11 前期中等教育では一般的に初等教育の基本プログラムを継続するが、その指導は通常よ り教科に焦点を合わせたものになり、多くの場合、より専門的な教員が授業を行うことに なる。 コメント:一部の国では、このレベルが国内の教育システム(ISCED レベル 2 を含むよう な 9 年間の基本教育)に対応しない人為的な区分として映る場合がある。このような 場合、ISCED2 は、 「第二期基本教育」と呼ばれる。 (出所)Unesco(1997), Eurydice(2006) (関連用語) European qualifications framework (EQF), first stage of tertiary education (ISCED 5), post-secondary (non-tertiary) education (ISCED 4), upper secondary education (ISCED 3) (スペイン語) primer ciclo de la educación secundaria o segundo ciclo de educación básica (CINE/ISCED 2) (ドイツ語) Sekundarbildung – Sekundarstufe I (ISCED 2) (フランス語) premier cycle de l‟enseignement secondaire (CITE 2) (イタリア語) istruzione secondaria inferiore / secondo ciclo dell‟istruzione di base (CITI 2) (ポルトガル語)terceiro ciclo do ensino básico (CITE 2) (訳注)日本では、中学校段階に相当する。ISCED(国際標準教育分類)については、 「35.first stage of tertiary education(高等教育の第一段階))の訳注を参照。 67 60 mentoring メンタリング 11 若年者又は初心者(つまり新たな学習コミュニティ又は組織に参加した者)に対し、役 割モデル、ガイド、指導教官(チューター)、コーチ、相談相手として振る舞う経験豊富な 者がさまざまな形で提供するガイダンス及び支援。 (出所)based on Bolton(1980)に基づく。 (関連用語) learning community, learning organisation, tutoring (スペイン語) mentoría (ドイツ語) Mentoring (フランス語) mentorat (イタリア語) mentoring (ポルトガル語)monitoragem 61 mobility 移動可能性 11 個人が新たな職業環境に移動し適応する能力。 コメント:移動可能性は、地理的な意味もあれば、「機能的」な意味もある(一つの会社の 中での新たなポストへの異動又は新たな職種への転職) 。移動可能性が高ければ、個人 は新たなスキルを取得することができ、したがって就業可能性を高めることができる。 (出所)Cedefop(2004) (関連用語) adaptability, employability (スペイン語) movilidad (ドイツ語) Mobilität (フランス語) mobilité (イタリア語) mobilità (ポルトガル語)mobilidade 68 mutual recognition of qualification 62 資格の相互承認 11 一つないし複数の国又は組織が、一つないし複数の他の国において又は他の組織によっ て授与された資格(認定証・修了証書又は称号)を承認すること。 コメント:相互承認は、バイラテラル(二国間又は二組織間)又はマルチラテラル(多国 間たとえば欧州連合内、同一部門に属する企業間など)である場合がある。 (出所)Cedefop(2004)に基づく。 (関連用語) recognition of learning outcomes (スペイン語) reconocimiento mutuo de cualificaciones (ドイツ語) gegenseitige Anerkennung von Qualifikationen (フランス語) reconnaissance mutuelle des qualifications (イタリア語) riconoscimento reciproco delle qualifiche (ポルトガル語)reconhecimento mútuo de qualificações 63 new basic skills 新基本スキル 11 情報通信技術(ICT)スキル、外国語、社交・組織・コミュニケーション面でのスキル、 科学技術的教養、起業家精神、などのスキル。 コメント:基本スキルと併せ、新基本スキルは、現代の知識社会において成長(develop) していくために必要な主要スキルを形成する。 (出所)Council of the European Union(2000) (関連用語) basic skills, information and communication technology (ICT) skills, key skills (スペイン語) nuevas competencias básicas (ドイツ語) neue Grundkompetenzen / neue Grundfertigkeiten / 69 neue Basisqualifi kationen (フランス語) nouvelles compétences de base (イタリア語) nuove competenze di base (ポルトガル語)novas competências de base 64 non-formal learning ノンフォーマル学習 11 計画された活動に埋め込まれているが、 (学習目標、学習時間又は学習支援などの点で) 明示的に学習として示されていない学習。ノンフォーマル学習は、学習者の視点から見て 意図的なものである。 コメント: - ノンフォーマル学習の成果は、認定され、認証につながる場合がある。 - ノンフォーマル学習は、「準構造的学習」と表現されるときがある。 (出所)Cedefop(2004)に基づく。 (関連用語) formal learning, informal learning, learning, validation of learning outcomes (スペイン語) aprendizaje no formal (ドイツ語) nicht formales Lernen (フランス語) apprentissage non formel (イタリア語) apprendimento non formale (ポルトガル語)aprendizagem não-formal (訳注)ノンフォーマル学習は、公式学習(36参照)とインフォーマル学習(40参 照)の間にあるもので、欧米でも定義については十分な合意が得られていない概念で あるが、欧州諸国では、生涯学習(lifelong learning)を推進するため、ノンフォーマル 学習、インフォーマル学習の承認、認証に近年力を入れている。2010年12月に発表さ れたブルージュ・コミュニケ(欧州職業教育訓練担当大臣会議宣言)では、遅くとも 2015年までには、EQF(欧州資格枠組み) ・NQF(国単位の資格枠組み)等に支援さ れながら、国として、ノンフォーマル、インフォーマルな学習(訓練)の認定(validation) と承認(recognition)を行う手続きの展開を開始するよう、各国政府に勧奨している。 なお、国際標準化機構(ISO)は、「非公式」の教育・訓練サービス(公式教育・訓 70 練機関以外の教育・訓練サービス) 提供者が行うサービスの質保証基準、ISO 規格 29990 を、2010 年 9 月に発行した。国内審議委員会は、”non-formal education”を「非公式 教育」とし、その定義を次のように日本語訳している。 「<学習サービス>組織化された教育活動で、確立され社会に認知された公式な初 等中等教育制度又は高等教育制度以外のもの。 (例)職業訓練、生涯にわたる学習、社 内研修(外注又は組織内で実施されるもの)。 」 “ 〈learning services〉 organized educational activity outside established recognized formal systems of elementary, secondary or higher education. [EXAMPLE ] Vocational training; life-long learning; in-company training (either outsourced or in-house). 本用語集の定義では、職業訓練、社内研修等は「公式学習」 (”formal learning”)に 含まれるであろう。ISO の”non-formal education” 「非公式教育」と本用語集の “non-formal learning”「 ノンフォーマル学習」とは一致した概念ではないことに注 意されたい。 65 off-the-job training 職場外訓練 (Off-JT) 11 平常の労働状況から離れて行われる職業訓練。通常、訓練プログラム全体の一部にすぎ ず、オン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)と組み合わされて実施される。 (出所)Unesco(1979)に基づく。 (関連用語) on-the-job training (スペイン語) formación fuera del trabajo (ドイツ語) Ausbildung außerhalb des Arbeitsplatzes (フランス語) formation en dehors du poste de travail (イタリア語) formazione all‟esterno dell‟azienda / addestramento fuori sede (ポルトガル語)formação fora do local de trabalho 66 on-the-job training オン・ザ・ジョブ・トレーニング( OJT) 11 71 通常の労働状況のなかで行われる職業訓練。訓練すべてがオン・ザ・ジョブ・トレーニ ングという場合もあれば、職場外訓練(Off-JT)と組み合わされることもある。 (出所)Unesco(1979)に基づく。 (関連用語) off-the-job training (スペイン語) formación en el puesto de trabajo Ausbildung am Arbeitsplatz (ドイツ語) (フランス語) formation sur le poste de travail (イタリア語) formazione sul lavoro / formazione sul posto di lavoro / formazione on the job (ポルトガル語)formação no local de trabalho 67 open learning オープン学習 81 学習者が主題・場所・ペース及び/又は方法をある程度柔軟に選択できるような学習。 1 (出所)Cedefop(2004)に基づく。 (スペイン語) aprendizaje abierto (ドイツ語) offenes Lernen (フランス語) apprentissage ouvert (イタリア語) formazione aperta / open learning (ポルトガル語)aprendizagem aberta 68 post-compulsory education 義務教育後教育 11 義務教育 - 義務的な学校教育に関する最低限の法定基準と期間が定められている - の終了後に個人が受ける教育。 (出所)European Training Foundation(1997)に基づく。 (関連用語) compulsory education 72 (スペイン語) educación postobligatoria (ドイツ語) nachschulpfl ichtige Bildung (フランス語) éducation postobligatoire / enseignement postobligatoire / scolarité postobligatoire (イタリア語) istruzione post-obbligatoria (ポルトガル語)educação pós-obrigatória / escolaridade pós-obrigatória 69 post-secondary(non-tertiary) education、ISCED4 高等教育以外の中等後教育(ISCED4 レベル) 11 これらのプログラムは、後期中等教育と高等教育の境界をまたぐものであり、後期中等 教育修了者の知識を拡大する。これらのプログラムは、学生を高等教育の第一段階におけ る学習に向けて、あるいは労働市場への直接参入に向けて準備させることを意図している。 高等教育における資格にはつながらない。 コメント:[この教育に]参加する学生は、通常、後期中等教育を修了している。プログラ ムは全日制に換算して 6 ヶ月~2 年の期間となっているのが普通である。 (出所)Unesco(1997), Eurydice(2006) (関連用語) European qualifications framework (EQF), first stage of tertiary education (ISCED 5), lower secondary education (ISCED 2), upper secondary education (ISCED 3) (スペイン語) educación postsecundaria no terciaria / educación postsecundaria no superior (CINE/ISCED 4) (ドイツ語) postsekundare (nicht-tertiäre) Bildung (ISCED 4 (フランス語) enseignement postsecondaire hors tertiaire / enseignement postsecondaire non supérieur (CITE 4) (イタリア語) istruzione post-secondaria non superiore (CITI 4) (ポルトガル語)ensino pós-secundário não superior / cursos de especialização tecnológica (CET) (CITE 4) (訳注)英国の継続教育カレッジ、米国のコミュニティ・カレッジ等が相当する。日本で 相当する制度をあえて挙げれば、高等学校の専攻科、短大の別科等が挙げられる。 73 ISCED(国際標準教育分類)については、35(first stage of tertiary education ; 高等 教育の第一段階)の訳注を参照。 70 programme of education or training 教育・訓練プログラム 11 教育・訓練の目標(知識・スキル及び/又はコンピテンスの獲得)を達成するために、 所定の期間にわたり合理的な順序で編成された、活動・内容及び/又は方法の一覧。 コメント:「教育・訓練プログラム」という用語は学習活動の実施を指すのに対し、「カリ キュラム」という用語は学習活動の設計・編成・計画を言う。 (出所)Cedefop(2004)に基づく。 (関連用語) curriculum (スペイン語) programa de educación o formación (ドイツ語) Programm der allgemeinen oder berufl ichen Bildung (フランス語) programme d‟enseignement ou de formation (イタリア語) programma d‟istruzione o formazione (ポルトガル語)programa de ensino ou de formação 71 qualification 資格 1 「資格」という用語はさまざまな側面を対象としている。 (a) 公式の資格:評価・認定プロセスの公式結果(認定証・修了証書・称号)であって、 ある個人が所定の基準に沿った学習成果を達成した、及び/又は特定の業務分野において 働くために必要なコンピテンスを持っている、と適格性のある機関が判断した場合に得ら れるもの。資格は、労働市場における、また教育・訓練における学習成果の価値について 公式の承認を与えるものである。資格が、ある業務を行う上での法的な資格となる場合も ある(OECD)。 (b) 職務上の要件:労働における特定の地位に付随する具体的な任務を行うために必要と される知識・適性・スキル(ILO) 。 74 (出所)Eurydice(2006), European Training Foundation(1997), OECD(2007), ILO(1998)に基づく。 (関連用語) certification of learning outcomes, competence, European qualification framework, formal learning, informal learning, learning outcomes, non-formal lear (スペイン語) cualificación (ドイツ語) Qualifikation (フランス語) qualification (イタリア語) qualifica (ポルトガル語)qualificação (訳注)”qualification”は日本の「資格」よりは幅広い概念であり、日本での、法令等に 基づく国家資格(技能検定を含む) 、国等が認定した審査基準を基に民間団体や公益法 人が実施する公的資格、職業能力評価基準、ジョブカード、その他学士・修士・博士 号等が(a)の公式の資格に相当する。また、いわゆる社内資格等は、(b)の「職務上 の要件」に相当する。 qualification framework 72 資格枠組み 11 一群の基準(たとえば資格レベル説明指標を使うなど)に沿って、特定のレベルの学習 成果に適用される資格(各国・部門レベルなど)を開発・分類するための仕組み。 コメント:資格枠組みは以下のような目的に利用できる。 - 知識・スキル及びコンピテンスに関する国内的な基準を確立する。 - 教育の質を向上させる。 - 資格を調整及び/又は統合するシステムを提供し、資格を相互に関連づけることに より、資格の比較を可能にする。 - 学習へのアクセス、学習成果の移転、学習における進展を促進する。 (出所)European Commission(2006a),OECD(2007)に基づく。 (関連用語) European qualification framework (EQF), qualification system (スペイン語) marco de cualificaciones 75 (ドイツ語) Qualifikationsrahmen (フランス語) cadre des certifications (イタリア語) quadro delle qualifiche (ポルトガル語)quadro de qualificações (訳注)資格レベル説明指標(descriptor)としては、EQF( 欧州資格枠組み)や欧州各国 で策定ないし策定を検討している NQF(国単位の資格枠組み)では、知識、スキル、 コンピテンスが多く使われている。但し、英国(スコットランドを除く)では、「知 識と理解(knowledge and understanding)」 、「適用と行動 (application and action)」 、 「自律性と説明責任 (autonomy and accountability)」を用いるなど、国により微妙な 違いがある。 73 qualification system 資格制度 11 学習成果の承認に関連するすべての活動及び教育・訓練を労働市場・市民社会に結びつ けるその他の仕組み。これらの活動には、以下のものが含まれる。 - 資格の定義に関する指針、訓練の設計及び実施、制度的な調整、 資金調達、訓練の(品)質保証。 - 学習成果の評価、認定、認証。 (出所)European Commission(2006a)に基づく。 (関連用語) assessment of learning outcomes, certification of learning outcomes, qualification framework, validation of learning outcomes (スペイン語) sistema de cualificaciones (ドイツ語) Qualifikationssystem (フランス語) système de certification (イタリア語) sistema delle qualifiche (ポルトガル語)sistema de qualificações (訳注)EQF(欧州資格枠組み)に関する欧州議会・理事会合同勧告(2008)付属文書1 では、”national qualification framework (国レベルの資格枠組み)” と ” national qualification system (国レベルの資格制度)の違いにつき、以下のように述べている 「国レベルの資格枠組みは、達成した特定の学習レベルを評価する一連の基準セット 76 に応じた資格分類のための仕組みを意味し、各国における下位の資格制度を統合、調 整し、労働市場や市民社会との関連で、諸資格の透明性、アクセス、発展、そして質 を改善することを目的にする。」( „national qualifications framework‟ means an instrument for the classification of qualifications according to a set of criteria for specified levels of learning achieved, which aims to integrate and coordinate national qualifications subsystems and improve the transparency, access, progression and quality of qualifications in relation to the labour market and civil society;) 「国レベルの資格制度は、学習の認証、そして、教育・訓練を労働市場や市民社会に リンクさせる他のメカニズムに関する加盟国の活動の全ての側面を意味する。これは、 質の保証、評価、そして資格の授与に関する制度的な取り決めとプロセスの発展や実 施などを含む。」 ( „national qualifications system‟ means all aspects of a Member State's activity related to the recognition of learning and other mechanisms that link education and training to the labour market and civil society. This includes the development and implementation of institutional arrangements and processes relating to quality assurance, assessment and the award of qualifications. A national qualifications system may be composed of several subsystems and may include a national qualifications framework.) 74 recognition of learning outcomes 学習成果の承認 11 (a) 公的な承認:以下のいずれかを通じて、スキル及びコンピテンスに対して公的な位置づ けを与えるプロセス: - 資格の授与(認定証、修了証書、称号)又は - 等価評価、クレジット単位またはウェーバー(履修単位の免除)の付与、取得された スキル及び/又はコンピテンスの認定。 及び/又は (b) 社会的な承認:経済的・社会的な利害関係者による、スキル及び/又はコンピテンスの 価値の確認。 (出所)Cedefop(2004) (関連用語) certification of learning outcomes, mutual recognition of qualifications, validation of learning outcomes 77 (スペイン語) reconocimiento de resultados de aprendizaje (ドイツ語) Anerkennung von Lernergebnissen (フランス語) reconnaissance des résultats/acquis d‟apprentissage (イタリア語) riconoscimento dei risultati dell‟apprendimento (ポルトガル語)reconhecimento dos resultados da aprendizagem (訳注)”recognition”は、通常、 「技術的要素」 (スキル、コンピテンス等の存在の確認、 認定)と「社会地位的要素」(獲得されたことの社会的承認)の2つの面を有する概念 である(Werquin,”Terms,Concepts and Models for Analysing the Value of Recognition Programmes”,2007, OECD,p8)。 recognition of prior learning recognition of learning outcomes; certification of earning outcomes; validation of learning outcomes を参照。 75 regulated profession 規制対象職種 11 ある職業活動又は一群の職業活動であって、それに対するアクセス及びその実践(又は その形態の一つへのアクセス)が、直接的又は間接的に、特定の資格の保有に関する法令・ 規制・行政上の規定の対象となるもの。 (出所)European Commission(2002)に基づく。 (関連用語) qualification (スペイン語) profesión regulada (ドイツ語) Ausbildungsberuf / reglementierter Beruf (フランス語) profession réglementée (イタリア語) professione regolamentata (ポルトガル語)profi ssão regulamentada 76 retraining 再訓練 11 新たな職業又は新たな専門的活動に対するアクセスを与える新たなスキルを、諸個人が 取得することを可能にする訓練。 78 (出所)Cedefop(2004)に基づく。 (関連用語) continuing education and training, further training (スペイン語) formación de reconversión / recualifi cación (ドイツ語) (berufl iche) Umschulung (フランス語) reconversion / conversion (イタリア語) riqualifi cazione (ポルトガル語)reconversão secondary school leaving certificate / baccalaureate 77 中等教育修了証書 /バカロレア資格 1 後期中等教育(日本の高校期)の最後に、評価手続きに続いて、学習者の学習成果を認 定・認証するために行われる試験。 コメント: - すべての中等教育修了証書が制度的に高等教育へのアクセスを保証するわけではな い。 - 各国レベルでの学校修了証書の呼称はさまざまである。たとえば、 オーストリア - Reifeprüfungszeugnis(一般後期中等教育、一般的な高等教育への進学ルート)又は Reife- und Diplomprüfungszeugnis(後期中等職業教育、二重資格:高等教育での一般 的な職業資格取得ルート) ; - Berufsreifeprüfungszeugnis(高等教育への進学が一般に可能。職務において取得さ れた知識・スキル・コンピテンスの認定を含む)。 ドイツ Abitur(アビトゥア) Fachabitur(高等アビトゥア) アイルランド 修了証書(leaving certificate) 79 フランス バカロレア - 総合バカロレア(一般教育) - 技術系バカロレア(一般教育及び技術系教育) - 専門バカロレア(特定の職業につながる職業訓練) ポルトガル - diploma do ensino secundário(一般教育) - diploma de qualifi cação(一般教育・職業教育/二重認定証) イギリス (a) 学術教育レベル - GCSE(中等教育修了一般資格) - GCE-A レベル(中等教育修了一般資格Aレベル)及び AS レベル(GCE 前期 A レベル) - 標準グレード(スコットランド) - 高等グレード(スコットランド) - 上級高等グレード(スコットランド) (b) 職業教育レベル - 中等職業教育修了証明書(VCSE) (出所)Cedefop(2004), Ministère de l‟éducation (スペイン語) título de bachiller / certificado de educación secundaria (ドイツ語) Gymnasialabschluss / Abitur (Deutschland) / Reifeprüfung (Österreich (フランス語) baccalauréat / diplôme de fin d‟études secondaires (イタリア語) diploma di scuola secondaria (ポルトガル語)diploma do ensino secundário (訳注)バカロレアは、後期中等教育と高等教育入学の基礎資格を合わせて認定する フランス等の国家資格。 80 sector 78 部門 1 主要な経済活動(化学産業など)が共通する企業の一群。 又は、 さまざまな企業に共通する横断的な専門的活動(マーケティングなど) 。 (出所)Cedefop(2008), European Commission(2006a) (スペイン語) sector (ドイツ語) Sektor (フランス語) secteur (イタリア語) settore (ポルトガル語)sector 79 skill スキル 11 課題(tasks)を実行し問題を解決する能力。 (出所)Cedefop, European Commission(2006a) (関連用語) competence, knowledge, know-how (スペイン語) destreza (ドイツ語) spezifische bzw. berufliche Fähigkeiten und/oder Fach-/ Sachkenntnisse (フランス語) aptitudes professionnelles / capacités professionnelles (イタリア語) abilità (ポルトガル語)aptidões profissionais / capacidades profissionais (訳注)EQF(欧州資格枠組み)に対する欧州議会・欧州理事会合同勧告(2008)付属 文書Ⅰでは、 「知識を適用しノウハウを使用して仕事を完成し問題を解決する能力 (ability)を意味する。EQF の文脈では、スキルは、認知的なもの(論理的、直観的 ないし創造的思考の使用を伴う)ないし実践的なもの(手の器用さと手法、用具、道 具、装置の使用を伴う)として表現される。」と定義されている。 81 („skills‟ means the ability to apply knowledge and use know-how to complete tasks and solve problems. In the context of the European Qualifications Framework, skills are described as cognitive (involving the use of logical, intuitive and creative thinking) or practical (involving manual dexterity and the use of methods, materials, tools and instruments).) 80 skills audit スキル審査 11 ある個人のキャリア発展計画を明確にし、及び/または、職業の再方向付けあるいは訓練 プロジェクトを計画するため、本人の知識・スキル・コンピテンス(適性・モチベーショ ンを含む)を分析すること。 コメント:審査の目的は、以下の点で個人を支援することである。 - キャリア経歴の分析。 - 就業環境での立場についての自己評価。 - ノンフォーマル又はインフォーマルな学習成果の認定に 向けた準備。 - キャリア課程の計画。 (出所)Code du travail français(2003), Cedefopに基づく。 (関連用語) informal learning, non-formal learning, validation of learning outcomes (スペイン語) balance de competencias (ドイツ語) Überprüfung von Fähigkeiten (フランス語) bilan de compétences (イタリア語) bilancio di competenze (ポルトガル語)balanço de competências 81 social dialogue 社会的対話 1 協議、対話、団体交渉を促進するための社会的パートナー同士の交流プロセス。 82 コメント: (a) 社会的対話は二者(労働者側代表者・使用者側代表者)の場合もあれば、三者(公的 機関及び/又は市民社会・NGO などの代表者を伴う)の場合もある。 (b) 社会的対話はさまざまなレベルで行われる場合がある(企業、部門/複数部門、特定 地域/地方/国家、国家間) (c) 国際的なレベルでは、社会的対話は、参加する国の数により、二国間・三国間・多国 間となる場合がある。 (出所)Cedefop(2004) (関連用語) civil society, social partners (スペイン語) diálogo social (ドイツ語) sozialer Dialog (フランス語) dialogue social (イタリア語) dialogo sociale (ポルトガル語)diálogo social (訳注)ILO による「社会的対話」の定義は、「政府、使用者、労働者の代表が、経済・社会政 策に関わる共通の関心事項に関して行うあらゆる種類の交渉、協議、あるいは単なる情報 交換」 (http://www.ilo.org/public/english/dialogue/ifpdial/downloads/papers/dialogue-in-brief1-1.pdf)となっている。 social inclusion 82 社会的包摂 11 個人(又は個人からなるグループ)が、市民として又はさまざまな公共社会ネットワー クの成員として社会に統合されること。労働市場又は経済的統合の根底には社会的包摂が ある。 (出所)Cedefop( 2004) (スペイン語) inclusión social / integración social (ドイツ語) soziale Eingliederung 83 (フランス語) insertion sociale / intégration sociale (イタリア語) inclusione sociale (ポルトガル語)inserção social / integração social / inclusão social (訳注) 「社会的包摂」は、 「社会的排除」 (social exclusion)- 貧困や所得格差はもちろ ん、言語や情報(教育)の格差、健康の不平等、市民権の壁などのために、社会のい ろいろな場面に一人前のメンバーとして参加できないこと - をなくすため、EU (欧州連合)の主要目標一つとして、1997 年のアムステルダム条約(EU 改正基本条約) 以降、欧州で重視されている政策理念である。 social partners 83 社会的パートナー 11 社会的対話の双方のサイドを形成する使用者団体及び労働組合。 コメント: - 社会的パートナー(social partner)という概念はフランスとドイツで生まれ、その後 EU 全体で採用された。 - 三者による社会的対話においては、公的機関及び/又は市民社会・NGO などの代表 を伴う。 (出所)Cedefop(2004)に基づく。 (関連用語) civil society, social dialogue (スペイン語) agentes sociales / interlocutores sociales (ドイツ語) Sozialpartner (フランス語) partenaires sociaux (イタリア語) parti sociali (ポルトガル語)parceiros sociais (訳注)Cedefop, ”Glossary – Quality in Education and Training“(2011)では、 「VET(職 業教育訓練)における利害関係者(stakeholders in VET)」という項目があり、 「VET に、金銭関係を問わず、何らかの利害関係を有する全ての者、例えば、政策立案者、 市民/顧客、使用者/労働者、学会(society)、公的サービス機関など。」と定義してい る。 84 special needs education 84 特殊ニーズ教育(特別支援教育) 11 障害児又は最適な発達を妨げることが知られている多くの他の理由により学校活動を履 行できない児童の、特殊なニーズに対応することを意図した教育活動及び支援。 コメント:「特殊ニーズ教育」という用語は、現在「特殊教育」というよりも好んで使われ ている。 「特殊教育」という用語は、もっぱら通常の学校・大学制度の外部に隔離された 特殊学校又は施設において行われる障害児の教育を指すものと理解されていた。今日では、 多くの国で、多くの障害児が実際通常の教育制度に属する施設で教育を受けている。 (出所)Unesco(1997)に基づく。 (スペイン語) educación para necesidades educativas especiales / educación especial (ドイツ語) Sonderpädagogik / Ausbildung für hilfsbedürftige Schüler (フランス語) éducation répondant à des besoins spéciaux (イタリア語) istruzione per discenti con bisogni educativi speciali (ポルトガル語)necessidades educativas especiais (訳注)日本の「特別支援教育」に該当する欧米諸国の概念は”special needs education”で あるが、日本と違い、障害のある児童に限らず、外国人移民等通常の学校活動が遂行 しがたい者を含んでいる。 standard 85 基準 1 当事者によりその内容が明確にされている一連の要素。 コメント: いくつかのタイプの基準を区別することができる。 - ある職務の実践に関連した知識・スキル及び/又はコンピテンスを指す「コンピテン ス基準」 。 85 - 学習目標・カリキュラム内容・入学条件・学習目標を達成するために必要な資源の記 述を指す「教育基準」 。 - 特定の職務及びその実践に関する活動及び任務の記述を指す「職業基準」 - 評価対象となる学習成果及び用いられる評価方法の記述を指す「評価基準」 - 評価対象となる者が達成すべき成果のレベル及び用いられる評価方法の記述を指す 「認定基準」 - 認定証・修了証書、また与えられる権利の取得に関する規則の記述を指す 「認証基準」 制度に応じて、これらの基準は別個に定義されることもあれば、一つの文書に含まれる こともある。 (出所)Cedefop(2008). (スペイン語) norma / estándar (ドイツ語) Standard (フランス語) référentiel (イタリア語) standard (ポルトガル語)referencia (訳注)Cedefop, ”Glossary – Quality in Education and Training“(2011)では、 「与えられた状況で従うべき規則ないし達成すべき結果を規定し、承認された団体によ り是認され定式化されたもの」 (Statement approved and formalised by a recognised body, which defines the rules to follow in a given context or the results to be achieved.)と定義され、以下のような「コメント」が付けられている。 「基準は、絶対的ないし比較的数値ないし指標を使った定量的言い回しで、または、具 体的で的確な言葉を使った定性的言い回しで、表現されうる。」 (a standard may be expressed in quantitative terms, stating absolute or relative figures or using indicators, or in qualitative terms, using wording which has to be specific and accurate.) 本用語集や上記「教育・訓練での質に関する用語集」の定義はやや抽象的であるが、 「基 準」に基づき評価がなされ資格が授与されるのであり、まさに資格の基礎をなすもので ある。 86 86 teacher 教員 11 教育・訓練機関において学習者に対し知識・ノウハウ又はスキルを伝達することをその 機能とする者。 コメント:教員は、訓練プログラム/講座の編成・実施や、一般/特殊の別や理論的/実 践的の別を問わず知識を伝達することなど、複数の任務を担う場合がある。職業教育 志向の教育機関においては「訓練指導員(trainer) 」と呼ばれることもある。 (出所)Cedefop(2004), AFPA(1992) (関連用語) learning facilitator, trainer (スペイン語) profesor / docente (ドイツ語) Lehrkraft / Lehrer (フランス語) enseignant (イタリア語) docente (ポルトガル語)professor (訳注)Cedefop ,”Comparative Presentation – Training VET teachers and trainers” (以下のCedefopのHPで随時更新) によると、欧州では、「教員」(teacher)と「訓練 指導員」(trainer)の相違については、次のような5つの分類方法があるという。 (http://www2.cedefop.europa.eu/etv/Information_resources/NationalVet/Them atic/criteria_replycop.asp) 1)学習状況(learning context)を基礎として分類する国 ① 教員は教育施設 -典型的には民間 -典型的には公的システム-で働き、指導員は企業や組織 -で働く(デンマーク、エストニア、フィンランド、ルク センブルグ、ノルウェイ、ポルトガル、英国) 。 ② 教員は教育界で働き、指導員は産業界、商業界で働く(ドイツ、アイルランド、 オーストリア)。 2)VET(職業教育訓練)の型を基礎として分類する国 教員概念は主として IVET(初期職業教育訓練)で使われ、指導員は CVET(継続 職業教育訓練)で使われる(ベルギー、チェコ、フランス)。フランスでは、 「指導 員」は、CVET 内の学習促進者(learning facilitator)全てに使われる。 3)学習内容(理論―実践の次元)を基礎として分類する国 87 教員は VET の理論的部分を担当し、指導員は実務的部分を担当 (ギリシャ、スペイン、ハンガリー、ポーランド、スロヴァキア)。 4)法的要件(資格や就業経験、仕事負担、給与関連)を基礎に分類する国 (スロヴェニア) 5)何の違いもない国 同一システム(ラトヴィア)、何ら公的ないし法的定義がない(キプロス)。 trainer 87 訓練指導員 11 教育・訓練機関又は職場のいずれかにおいて、(理論的又は実践的な)訓練機能に関連す る一つないし複数の活動を行う者。 コメント: (a) - 訓練指導員には二つのカテゴリーを設けることができる。 専任指導員は、訓練の専門家であって、その職務は職業訓練施設における教員と 一致する場合もある。 - 非専任もしくは臨時指導員は、さまざまな分野における専門家であり、通常の業 務のなかで、社内(新入社員・見習い実習生の指導者・教育係として、もしくは訓 練提供者として) 、もしくは外部(訓練施設における臨時の役務提供により)におい て、非専任での訓練活動を担当する。 (b) 訓練指導員は以下のようなさまざまな任務を行う場合がある。 - 訓練活動の設計 - これらの活動の編成・実施 - 実際の訓練の提供、すなわち知識・ノウハウ・スキルの伝達 - 見習い訓練期間を通じて、見習い実習生への助言・指示・意見の提供による 実習生のスキル開発の支援 (出所)Cedefop(2004), AFPA(1992) (関連用語) learning facilitator, teacher (スペイン語) formador (ドイツ語) Ausbilder (フランス語) formateur (イタリア語) formatore 88 (ポルトガル語) formador (訳注)アメリカでは、訓練指導員を「トレーナー」と言わず「インストラクター」 と呼ぶが、教員とインストラクターの違いは明確でない(『諸外国における職業教育訓 練を担う教員・指導員の養成』第 1 章p13 及び第 2 章p49 以降、職業能力開発総合大 学校、2011 年3月)。 training 88 vocational education and training (VET)を参照。 training course planning and design 訓練コースの計画・設計 11 所定の目標に対して訓練構想及び制度を設計・計画する際に用いられる、一貫性ある方 法論的活動。 コメント:訓練コースの計画・設計には、訓練需要及びニーズの分析、プロジェクトの設 計・調整・実施監視、また訓練効果の評価が含まれる。 (出所)Le Préau(2002)に基づく。 (関連用語) training needs analysis (スペイン語) diseño y planifi cación de la formación (ドイツ語) Ausbildungsplanung und -design (フランス語) ingénierie de (la) formation (イタリア語) ingegneria della formazione / ingegneria pedagogica (ポルトガル語)engenharia da formação 89 training needs analysis 訓練ニーズ分析 11 効率的な訓練戦略を実施するために、現在利用できるスキルと対比して、現在及び将来 のスキルニーズを体系的に分析すること。 コメント: - 訓練ニーズ分析の基本は、(a)スキルニーズの特定、(b)労働力(従業員)の中で利用 89 可能なスキルの評価、(c)スキルのかい離(skills gaps)や不足の評価、である。 - 訓練ニーズ分析は、個人・組織・部門・国内・国際といったレベルで実施すること ができる。置かれる焦点が量的側面になることもあれば、質的側面(たとえば訓練の レベル及び種類)になることもある。また、訓練が効果的かつコスト効率のよい方法 で提供されるよう配慮すべきである。 (出所)Cedefop(2008) (関連用語) training course planning and design (スペイン語) análisis de necesidades formativas (ドイツ語) Analyse des Ausbildungsbedarfs (フランス語) analyse des besoins de formation (イタリア語) analisi dei (fab)bisogni formativi (ポルトガル語)análise das necessidades de formação training of trainers 90 指導員訓練 11 教員及び訓練指導員のための理論的・実践的訓練。 コメント:訓練指導員の訓練は、 (a) (i)専門的な教員又は指導員として、又は(ii)業務環境において訓練生に随伴する任 意の分野の専門家(臨時教員・指導員)として従事する教育・訓練担当者のためのも のである。 (b) 幅広いスキルを対象とする。すなわち、当該分野(一般的、技術的、科学的)に特 有の知識、教育的・心理学的・社会学的スキル、管理スキル、労働の世界を熟知する こと、訓練制度及び対象となる訓練生に関する知識などである。 (c) また、訓練課程の設計・編成・実施、また訓練活動の内容(すなわち知識・ノウハ ウ・スキルの伝達)に関する訓練も扱う。 (出所)Cedefop(2004) (関連用語) learning facilitator, teacher, trainer (スペイン語) formación de formadores (ドイツ語) Ausbildung der Ausbilder 90 (フランス語) formation de formateurs (イタリア語) formazione dei formatori (ポルトガル語)formação de formadores (訳注)欧州諸国その他諸外国の職業教育訓練を担う教員・指導員の養成状況に については、職業能力開発総合大学校『諸外国における職業教育訓練を担う教員・ 指導員の養成』(2011 年3月発行)を参照されたい。 (http://www.uitec.ehdo.go.jp/schoolguide/09/50th_04/index.html) transferability of learning outcomes 91 学習成果の移転可能性 1 知識・スキル・コンピタンスを、新たな職業・教育環境においてどれくらい活用できる か、及び/又は認定・認証を受けることができるかを示す程度。 (出所)Cedefop(2004)に基づく。 (スペイン語) transferibilidad de resultados de aprendizaje (ドイツ語) Übertragbarkeit von Lernergebnissen (フランス語) transférabilité des résultats/acquis d‟apprentissage (イタリア語) trasferibilità dei risultati dell‟apprendimento (ポルトガル語)transferabilidade dos resultados da aprendizagem transition from school or training to work 92 学校又は訓練から仕事への移行 11 教育・訓練から就業への移行。教育の場から離れ労働市場に入るあいだの期間を対象と する。 コメント:学校と就業のあいだの移行(統合の経路、レベル及び地位に関する就業の種別、 期間)は複雑である。統合は多くの要因からの影響を受ける(性別、年齢、資格、雇 用政策、ガイダンス及びカウンセリングの提供など) (出所)Cedefop(2004) 91 (スペイン語) transición de la escuela o formación a la vida activa / transición formación-empleo (ドイツ語) Übergang von der Schule ins Berufsleben / Übergang vom Bildungs- bzw. Ausbildungssystem ins Erwerbsleben (フランス語) transition de l‟école à l‟emploi / transition formationemploi / transition de l‟enseignement vers la vie active (イタリア語) transizione dalla scuola o dalla formazione al lavoro (ポルトガル語)transição da escola para o emprego / transição formação-emprego / transição do ensino para a vida activa 93 transparency of qualifications 資格の透明性 11 資格が、その内容や(部門・地域・国内・国際的なレベルでの)労働市場における、ま た教育・訓練システムにおける価値の点で、どれくらい可視的で認識しやすいかの程度。 (出所)Cedefop(2004)に基づく。 (関連用語) comparability of qualifications, mutual recognition of qualifications (スペイン語) transparencia de cualificaciones (ドイツ語) Transparenz von Qualifikationen (フランス語) transparence des qualifications (イタリア語) trasparenza delle qualifiche (ポルトガル語)transparência das qualificações 94 tutoring チュータリング 11 経験豊富で資格のある専門家により学習者に対して行われるガイダンス・カウンセリン グ・監督の、あらゆる活動。チューターは(学校、訓練センター、職場における)学習プ ロセス全体を通じて学習者を支援する。 コメント:チュータリングは、以下の様々な活動を対象にする。 92 - 学術的テーマ(学業成績を改善するため) - キャリア(学校から就労への移行を容易にするため) - 自己開発(学習者が賢明な選択をすることを促すため) (出所)Cedefop(2004) (関連用語) learning facilitator, mentoring (スペイン語) tutoría (ドイツ語) Tutoring (フランス語) tutorat (イタリア語) tutorato (ポルトガル語)tutoria unit(ECVET) 95 (履修)単位(ECVET) 11 資格における一貫性ある部分を構成するような、一群の知識・スキル及び/又はコンピ テンス。 (履修)単位は、評価、移転、認定、そして恐らくは認証の対象となりうる資格の 最小部分になりうる。 (履修)単位は、ある一つの資格に特有である場合も、また複数の資 格に共通する場合もある。 コメント:(履修)単位の性質(内容、規模、資格を構成する総単位数など)は、適切なレ ベルの資格を担当する適格性のある機関により規定される。 (履修)単位に関する定義及 び規定は、当該の資格制度及び所轄機関の手続きによって異なる場合がある。しかし ECVET(欧州職業教育訓練クレジット)制度では、あらゆる(履修)単位について以下の 点を規定することを提案している。 - 単位の一般的呼称。 - 一単位に含まれる知識・スキル・コンピテンス。 - (単位に)対応する学習成果の評価基準。 (出所)European Commission(2006c) (関連用語) European credit system for vocational education and training (ECVET), European qualifications framework (EQF) (スペイン語) unidad (ECVET) 93 (ドイツ語) Einheit (ECVET) (フランス語) unité (ECVET) (イタリア語) unità (ECVET) (ポルトガル語)unidade (ECVET) (訳注) ”credit”と“unit”の訳は、本書では、”credit” →「クレジット」ないし 「履修クレジット」、“unit” →「単位」としている。 96 upper secondary education、ISCED3 後期中等教育 11 中等教育の最終段階であり、標準的には、義務教育が終わるとともに開始される。入学 年齢は通常 15 歳又は 16 歳である。一般に、入学資格(義務教育の修了)及びその他最小 限の入学要件を満たすことが求められる。教育内容は多くの場合、前期中等教育(ISCED1) よりも学科中心である。ISCED レベル 3 の典型的な期間は 2~5 年である。 (出所)Unesco(1997), Eurydice(2006) (関連用語) European qualifications framework (EQF), first stage of tertiary education (ISCED 5), lower secondary education(ISCED 2), post-secondary (non-tertiary) education (ISCED 4) (スペイン語) segundo ciclo de educación secundaria / educación secundaria superior (CINE/ISCED 3) (ドイツ語) höhere Sekundarbildung – Sekundarstufe II (ISCED 3) (フランス語) deuxième cycle de l‟enseignement secondaire (CITE 3) (イタリア語) istruzione secondaria superiore (CITI 3) (ポルトガル語)ensino secundário (CITE 3) (訳注)日本では、高校段階に相当する。ISCED(国際標準教育分類)については、 35(first stage of tertiary education ; 高等教育の第一段階)の訳注を参照。 94 97 upskilling 技能向上 11 通常は初期教育・訓練に続いて提供される短期的かつターゲットを絞った訓練であり、 それまでの訓練で取得された知識・スキル及び/又はコンピテンスを補足・改善・更新す ることを狙いとする。 (出所)Cedefop(2004) (関連用語) continuing education and training, initial vocational education and training, retraining (スペイン語) formación de perfeccionamiento / perfeccionamiento profesional (ドイツ語) Ausbau von Qualifi kationen (Upskilling) (フランス語) perfectionnement professionnel (イタリア語) sviluppo delle competenze (ポルトガル語)aperfeiçoamento profi ssional 98 validation of learning outcomes 学習成果の認定 11 個人が公式、ノンフォーマル、インフォーマルの状況において取得した学習成果(知識・ スキル及び/又はコンピテンス)が、あらかじめ定められた基準に照らして評価され、認 定基準の要件を満たしていることを適格性のある機関が確認すること。通常、認定は認証 (certification)につながる。 (出所)Cedefop(2008)ほ (関連用語) assessment of learning outcomes, certification of learning outcomes (スペイン語) validación de resultados de aprendizaje (ドイツ語) Validierung von Lernergebnissen (フランス語) validation des résultats/acquis d‟apprentissage (イタリア語) convalida dei risultati dell‟apprendimento (ポルトガル語)validação dos resultados da aprendizagem 95 (訳注)「公式学習」 、「ノンフォーマル学習」 、 「インフォーマル学習」については、それ ぞれ、36、64、40を参照。 99 valuing learning 学習の価値づけ 11 学習に内在する価値に対する意識を向上させ、学習への見返りを与えるために、(公式、 ノンフォーマルの別を問わず)学習への参加及び学習成果を促進するプロセス。 (出所)European Commission(2001)によるCedefop(2001) (関連用語) learning organisation, learning region (スペイン語) valorización del aprendizaje (ドイツ語) Valorisierung des Lernens (フランス語) valorisation de l‟apprentissage (イタリア語) valorizzazione dell‟apprendimento (ポルトガル語)valorização da aprendizagem VET provider 100 training provider を参照。 Vocational education and training, VET 職業教育訓練 特定の職業において、ないしより広範な労働市場において必要とされる知識・ノウハウ・ スキル及び/又はコンピテンスを人々に身につけさせる目的を持った教育及び訓練。 (出所)European Training Foundation(1997)を編集。 (スペイン語) formación profesional (FP) / enseñanza y formación profesional (EFP) (ドイツ語) Berufsbildung / berufl iche Bildung (フランス語) enseignement et formation professionnels (EFP) (イタリア語) istruzione e formazione professionale (IFP) (ポルトガル語)ensino e formação profissional (EFP) (訳注)OECD“Learning for Jobs”(2010)では、次のように説明されている。「職業教育 96 訓練は、特定の仕事ないし仕事類型のために計画され、通常はそこにつながる教育・訓 練などを指す。通常、関連する理論の学習と同様実地訓練が加わる。例えば数学のよう な(学術)教育とはまったく異なり、かなり広汎な仕事に関連するものである。米国で は、職業教育訓練に通例使われる用語は『キャリア・技術教育』 (career and technical education;CTE)である。医学や法学などいくつかの高レベルの職業は、職業教育訓練の 定義に見合うが通常はVETとは説明されない。」 ”Vocational education and training includes education and training programmes designed for, and typically leading to, a particular job or type of job. It normally involves practical training as well as the learning of relevant theory. It is distinct from (academic) education – for example in mathematics, which is relevant to a very wide range of jobs. In the United States, the usual term for vocational education and training is career and technical education (CTE). Education and training for some high-level professions such as medicine and law meets the definition but is not normally described as VET.” (OECD“Learning for Jobs”,p208) vocational training vocational education and training (VET)を参照。 (VET) 97
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