「ファイナンス特講D①」 ∼FP技能士2級取得を目指す∼ 0. イントロダクション:講義の概要について 1. はじめに 履修条件に注意すること ・ FP技能士2級の試験範囲に沿って、金融サービス企業で活躍できる 実践的な金融知識と考え方を身につけるとともに、同資格の取得を 目指すことを目的とする。 ・ 2級も学科試験と実技試験の両方がある。実技試験についての 科目は、本講義では主に「個人資産相談業務」(金財)を想定した 内容をあつかう。 ・ 3級で必要とされる基本的な知識については、一通り学習済みで あることを前提に進めるので、必要に応じて、「ファイナンス特講C」の 講義資料をダウンロードするなど、準備をしておくこと。 Mari Hotta 1 (重要) 2.単位取得に必要な条件 以下の①+②+③すべてを満たすこと ① 2010年11月8日∼29日の受検申し込み期間の時点において (試験は2011年1月23 日実施) 取得済み 2級 → 合格を証明できるもの(コピーで可)の提出 1科目のみ合格 → 不合格科目の受検申込(2級) (学科のみ、実技のみ) 不合格 受検申込(2級) 取得済み 3級 1科目のみ合格 → 不合格科目の受検申込(3級) (学科のみ、実技のみ) ※ 未取得、不合格 → 受検申込(3級) ※ 3級が未取得の場合でも、AFP認定研修の修了などにより、直接2級の受検が 可能な場合には、2級の申込でよい。 2 (注意) ・ したがって、履修登録時点で3級を取得していない場合でも、履修は 可能である。 ・ 2級受検については、学科と実技の両方の受検が望ましいが、 一方の科目のみの受検も可とする。 ・ 取得済みであることの証明書の提出が必要になるのは、2級に両科目 とも合格している場合のみである。 (その他の場合については、何らかの受検申込が必要になる) 2級合格者以外は、2級か3級の受検申込が 必ず必要。 ② 受検申し込みについては、金融財政事情研究会HP上の 「インターネットによる団体とりまとめ方式」を利用する ※1 ※2 期限内の申し込み+期限内の支払い+成績のフィードバック (申し込みに必要となる団体コードについては講義要項を参照) ③ 期末定期試験において合格点(100点中60点以上)を獲得できること ※1 AFP認定研修などの関係上、「資産設計提案業務」での受検など、別の方法による申込が 必要な場合には、申込を証明できるもののコピーを提出すること。 3 ※2 最終的な結果は、各個人宛に送られるが、担当教員宛にも別途、連絡が届くことについての了承 (注意点) ・ 履修要件に関する確認は全履修者に対して行なう。 ・ 定期試験の点数が合格点に達していても、申し込みに関する条件が みたされていない場合には「評価対象外」 ・ 期末の時点で取得済みであるかどうかは評価には影響しない。 ・ 1月試験の最終的な合否そのものも、授業の評価には影響しない。 3.評価について 受検申し込みに関する条件をみたしている上で、 期末の定期試験による評価 成績は点数による (合格点は60点以上) 定期試験は持ち込み不可 (テキスト指定の問題集より出題予定) 出席は考慮しない 4.講義の進め方 ・ テキストに添って、重要事項についての指摘、補足説明を行なう ・ 配布プリントは、テキストの内容に関する補足部分のみ → プリントとテキストの両方が必要 ・ 問題集を用いて、確認を行いながら進める。 → 時間的な制約があるので、各自で問題演習を行ない、復習すること ※ 3級の場合と異なり、むしろ問題中心で必要な知識を補う 4 5.テキスト テキスト 「最短合格 2級FP技能士 (上巻)」10-11年版 「最短合格 2級FP技能士 (下巻)」10-11年版 (きんざい ファイナンシャル・プランナーズ・センター) 各2,000円+税 「FP技能士2級・AFP 完全攻略問題集 (FP教科書)」10-11年版 (FPアソシエイツ&コンサルティング株式会社 著、翔泳社) 2,200円+税 参考書: パーフェクトFP技能士2級対策問題集(学科編)10-11年版 (きんざい ファイナンシャル・プランナーズ・センター) パーフェクトFP技能士2級対策問題集実技編(個人資産相談業務) 10-11年版 (きんざい ファイナンシャル・プランナーズ・センター) 5 6. FP2級試験について 学科試験 各分野10題 × 6分野 = 計 60 題 時間: 120分 合格点: 60% (36点以上/60点満点) マークシート方式 4答択一式 60題 得意分野をつくると有利 実技試験 ※ 一般的には「個人資産相談業務」(金財)を選択 リスク管理を除く5分野 事例問題(5問) 計15題 形式は記述式(数値や計算過程など) (各3題×5問) 時間: 90分 合格点: 60% (30点以上/50点満点) ※ 日本FP協会の場合には「資産設計提案業務」になる。総合問題で計40題。 記述式だが、択一、語群選択、空欄記入などあり。合格基準は同様に60%。 6 第1章 ライフプランニングと資金計画 1.FPと倫理・関連法規 関連法規 復習 ・ 税理士法 個別具体的な税理士業務は× (有償か無償かを問わない) (例) 税務相談:節税などの相談業務 税務書類の作成:税務申告書などの作成 税務代理:税務申告などの代理・代行 but 一般的な税法の解説や資料提供、一般事例に置きかえた説明は○ ・ 保険業法 → 保険の募集の禁止 but 一般的な商品性と特徴の解説は○ ・ 金融商品取引法 × 投資顧問契約: 投資判断についての助言、具体的な投資判断 投資一任契約: 投資判断の一任、投資権限の委任 (例)有価証券のポートフォリオを組むようなプランニング →× but 投資判断の基礎となる景気動向や企業業績など、 一般的な基礎資料の提供 → ○ ・ 弁護士法 具体的な法律相談を含むプランニングの実行、法律的判断については× (例)遺言書の作成の代行、遺産分割にかかわる法律相談 but 法律の一般的な解説は○ 7 2.ライフプランニングの考え方・手法 キャッシュフロー表について 参考例題1 問題集P37 第3問より一部のみ抜粋、改題 経過年数 現在 1年後 2年後 ・・・ 西暦 2009 2010 2011 家族構成(木島家) 本人 妻 長女(8月生) 長男(2月生) 34歳 33歳 9歳 6歳 ライフイベント 35歳 34歳 10歳 7歳 36歳 35歳 11歳 8歳 車買換え 海外旅行 ① 収入合計(本人給与) 720 727 734 (単位:万円) 10年後 11年後 12年後 2019 2020 2021 45歳 44歳 20歳 17歳 46歳 45歳 21歳 18歳 44歳 43歳 19歳 16歳 大学進学(長女) 大学進学(長男) 795 803 811 (変動率1.0%) 1.01 ② ③ ④ 支出(変動率1.0%) 基本生活費 264 住居費 144 : 支出合計 530 年間収支 190 貯蓄残高 500 (変動率1.0%) 267 145 788 ▲61 ( ? ) ( ? ) ・・・ 147 ・・・ 8 キャッシュフロー表の構成項目 ③ 収入の合計−支出合計 = 年間収支 ① ② 貯蓄残高=前年貯蓄残高×(1+変動率)+年間収支 ④ (−) 年収 可処分所得 可処分所得 参考例題2 テキストp11より 可処分所得はいくらか? 給与所得源泉徴収票 所得税 住民税 社会保険料 年金保険料 健康保険料 介護保険料 雇用保険料 支払金額: 8,000,000 円 給与所得控除後の金額: 6,000,000円 所得控除額:2,625,000円 源泉徴収税額:247,500円 社会保険料等の金額:1,040,000円 ※ この他、住民税が360,000円である 9 具体的な値は、利率と期間年数の 組み合わせで決まっている 6つの係数 元となる金額 × 例 係数 =求める額 ? <係数早見表(年利2.0%の場合)> ①終価係数 ②現価係数 ③年金終価 ④減債基金 係数 係数 ⑤年金現価 係数 ⑥資本回収 係数 10年 1.219 0.820 10.950 0.091 8.983 0.111 15年 1.346 0.743 17.293 0.058 12.849 0.078 20年 1.486 0.673 24.297 0.041 16.351 0.061 ② 毎年の積立 貯蓄元本 借入残高 ︵ 年金原資︶ ④ 将来合計 将来 現在 ① ③ ⑤ ⑥ ⑤ ⑥ 取崩額 (受取年金額) 返済額 10 参考例題3 問題集P40−P41、P49、P53、P397より一部改題 ① ・手元にある480万円を年利2.0%で複利運用すると15年後はいくらか? ・ 基本生活費が年平均2.0%ずつ上昇するとしたとき、現在の年間基本生活費 が273万ならば10年後はいくらか? ③ 教育資金の準備として毎年36万円の積立をすることにした。年利2.0%で 複利運用した場合、10年後の合計額はいくらになるか? 36万 ? ・・・ 利息分 10年 36万×10年+α ④ 自家用車の購入資金として、毎年末に1回ずつ積み立てて、10年後に 350万円用意したい。年利2.0%ならば毎年いくらずつ積み立てればよいか? 350万 −α 10年 ?? ・・・ ? 10年 利息を含めて 350万円 11 ⑤ 事業をリタイアする際に、老後の生活資金として毎年200万ずつ20年間 取り崩せる金融資産を持ちたい。年利2.0%とすると、必要原資はいくらか? 将来利息がついて200万 ? 200 200 ・・・ 200 200万×20年−α 20年 ⑥ いままで貯蓄した2500万円を、年利2.0%で複利運用しながら将来の生活費に 充てたい。20年間で毎年均等に年1回ずつ取り崩す場合、毎年いくら受け取る ことができるか? どの係数を用いるかは、 だいたいの概算値から 予測可能 ?? ・・・ ? 2500万円 20年 2500万 利息分 +α 20年 12 参考例題4 ⑥資本回収係数を用いた住宅ローンのケースへの応用例 (テキストP9) 融資残高800万円 残存期間 5年 借入金利年利 5% 融資残高800万円 残存期間 5年 借入金利年利 3% 借換え 軽減される利息負担額は? 借入残高 元本部分 ⑥資本回収係数 5%: 0.2310 3%: 0.2184 ?×5年分が 利息を含めた返済総額 ? ? ? ? ? 800万 5年 (利息を含めた) 借入残高 × 資本回収係数 = 1年あたりの 均等返済額 × 5%のとき: 800万 × 0.2310 = ? 残存期間5年の 返済総額は? 5 差額分 が軽減 13 3%のとき: 800万 × 0.2184 = ?
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