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1 今回は、12 月 3 日(金)、「モバイルとの連携による鉄道広告の価値

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今回は、12 月 3 日(金)、
「モバイルとの連携による鉄道広告の価値向上」をテーマに
実施した座談会の内容を掲載しています。
座談会には、㈱NTTドコモの第一法人営業部担当部長の佐藤一夫氏とKDDI㈱の
新規ビジネス推進本部事業開発部モバイルIC企画グループ担当部長の阪東謙一氏をお招
きし、当技術開発委員会の浅沼委員長、吉田委員、山本委員の5名で、モバイルの技術進
化の現状、鉄道広告とモバイルとの連携等の話題で実施しました。
(浅沼)
私たちは、JAFRA(日本鉄道広告協会)で活動しております。
この組織は、会員数 336 社(2010.10.1 現在)の団体で、今年、
公益社団法人として認められました。会員は、鉄道広告を扱ってい
る広告代理店とJR、民鉄の媒体社で構成されています。
鉄道広告は、平額や電照広告を、何十年も販売してきました。
しかし、広告業界には、大変な変革の波が押し寄せています。本日お集まりいただいた主
旨は、鉄道広告の中に、皆様方の持っておられる最先端技術をいかに取り込めるだろうか、
ということです。
まず、モバイルそのものの技術進化の現状についてNTTドコモ様とKDDI様から
お聞きしたいと思います。それでは、NTTドコモの佐藤様からお願いします。
モバイルの技術進化の現状
(佐藤)
携帯との連動、技術進化と言いますと、まず、ネットワークの進化があると思っていま
す。ネットワークの進化を一言で申し上げると、
「ブロードバンド(※1)化」です。それ
はどういうことかと言いますと、高速になってきているので、ネ
ットワークを使う方のコストも下がっているということです。こ
れまでは、文字メールに対して写真で送ったり、動画で送ったり、
より多くの情報を送る場合は、料金を気にしないといけなかった
のですが、現在は、映像のやり取りも、
「定額料金」で料金を気に
しなくて大きなコンテンツをやり取りできます。そういうネット
ワークのブロードバンド化が技術進化の一つとしてあります。
これがベースにあるのですが、もう一つは、端末の進化があります。携帯の進化がモシ
モシハイハイという通話からきて、弊社でいうとiモードというネットワークでインター
1
ネットに繋がるようになりました。これが第2フェーズです。その次の段階で、生活イン
フラいう言い方をしていたのですが、
「ネットに繋がり、より実生活に役立つ携帯」という
コンセプトで「おサイフケータイ」ができました。ケータイを身につけて持ち歩くように
なり、時計機能やカメラ機能に加え、非接触ICカードが一緒になったことによって、
「お
サイフケータイ」という言い方をしてきました。実際、リアルな場所でケータイにより決
済ができます。後は、かざすことによって情報を取り組むことができます。ネットワーク
ではなく、端末を使ってその場所でかざすことによって、情報を取るということもできる
ようになってきました。そういった意味で端末が進化してきて、生活インフラの中で、日
本の独自の言い方かもしれませんが、「リアル連携」といったようなキーワードを使って、
ネットワークだけではなくて、リアルの中でどれくらい連携できるのか、といった進化が
あります。そして、
「リアル連携」のツールとして、2次元バーコードがありますが、これ
は、2次元バーコードにより読みとった情報を、紙の内容とネットが紐つくことによって、
より深く内容を知ることができます。しかし、2次元バーコードは、実空間情報がより詳
細に読めますが、操作が尐し面倒でした。
「おサイフケータイ」であれば、カメラで撮ると
いうことから、ケータイをかざすということで情報を取得したり決済をしたりできるよう
になってきました。もう尐し進化してくると、かざさなくても近づくと反応する技術もあ
り、今、その実証実験として、
「RFID」(※2)を搭載したケータイの試作を行ったり
しています。これは、近づいた時に反応し、情報をケータイに送るとか、デジタルサイネ
ージ等と組み合わせて、近づいた時に、デジタルサイネージの情報をケータイに配信した
り、デジタルサイネージに気づいてもらう、といったこともできるようになってきます。
最近では、家庭用の基地局という「フェムトセル」(※3)といったものもあります。ケータ
イというのは、大きなネットワークの基地局、ビル用の基地局というものと、もう尐し小
さい家庭用、部屋用の基地局があります。これが「フェムトセル」基地局です。現在は、
部屋の電波の届かない所に置いて電波を出して、それで、携帯電話を使えるようにすると
いう目的で使っているのですが、逆に小さな電波なので、部屋の入室や退室が分かります。
それがもう尐し公衆エリアにも適用できないか、ということを検討しています。公衆エリ
アにそういったものを設置すると、公衆エリアの小さい電波エリアに入ったとか、出たと
いうのが分かるので、先程申し上げていたような「RFID」のような、近距離で気づい
てもらうようなことができるようになるかもしれません。話は拡散しましたが、ネットワ
ークの高度化と端末の高度化という所で、
「リアル連携」というトレンドが、技術的に交通
広告等に割と接点をもってきます。
(浅沼)
ありがとうございました。大筋の説明をしていただいた訳でありますが、阪東様、それ
をさらに補足していただけますか。
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(阪東)
佐藤様に概念的に俯瞰していただきましたので、尐し違う側面からお話させていただき
ます。もともと携帯というのは、通話手段としての「電話機」という時代がずいぶん長く
ありました。その後、ドコモ様を中心に、5年程前からですが、
「おサイフケ-タイ」というコンセプトで、携帯をお財布として
使うようになってきました。他にも、カメラ機能が入ったり、時
計が入ったりしていたのですが、カメラケータイや時計ケータイ
など、コンセプトとしては言われて来ませんでした。
「おサイフケ
-タイ」というコンセプトで3キャリアが共同で告知したのは大
きなポイントです。しかし、おそらく今後は、おサイフ機能だけでなく、より幅広いシー
ンで、また、より生活に密着した使い方がされていくことが想定され、
「生活ケータイ」と
いうようなコンセプトがふさわしいのではないかと思っています。免許証を読み込んだり、
ポイントを貯めたり、ポスターにかざして情報を取得したり、おサイフの範囲を超えた使
い方になっています。そして、それを実現する技術、ローカル通信技術として、私もずっ
と携わってきているのですが、QRコードや赤外線(IrDA)
(※4)があり、それから、
5年程前に FeliCa が出てきました。おそらく今後は、FeliCa と海外で既に普及している
TypeA/Bを含めた広い用語での「NFC(Near Field Communication)
」という
ものに、だんだん収斂されていくのかなと思います。もちろん印刷物などではQRコード
は、残るかと思いますが、今後、ネットとリアルとの接点を携帯電話でいかに設けていく
かというのが、今後一番注目される点ではないかと思います。
(浅沼)
ありがとうございます。今までの進化を違った側面からそれぞれ説明していただきまし
た。
日本の広告費は、GDPと連動していますが、弊社の場合を取っても、鉄道広告の部分
の収入は、会社が発足して20年間変わっていない状況です。この間、技術革新や生産性
を上げて来なかったと反省をしています。このため、生活携帯まで来ていると言われてい
るモバイルと広告媒体との連携が不可欠と考えています。吉田委員から、モバイルと広告
の連携事例について現状をお話いただければと思います。
広告媒体とモバイルとの連携
(吉田)
今お話があったように、QRコード、FeliCa という方向は、広告でも同じです。市中広
告で言いますと、以前広島の不動産会社様が、建築中のマンションにギネス級のQRコー
ドを設置しました。巨大なものであり、
「あれを読みとれるのか」ということも言われまし
3
たが、それがまた Web 上で話題になりました。また、文化放
送様が、浜松町に移転した時に、社屋壁面に巨大なQRコー
ドを置き、業界で話題になりました。QRコードを一つのア
イコンとして出したというのが話題でした。広島の不動産業
者様の場合も、実際に見られる人は尐ない状況でしたが、ギ
ネスに出たということで、Web 上の写真画像で知ることがで
き、PR効果が非常にあったのではないかなと思います。そ
の後は、ポスターに FeliCa の「リーダー/ライター」
(以下省略して「FeliCa」と表記)を
設置するというのが流行りました。最近になってデジタルサイネージにも付けられるよう
になりました。例えば、コンビニエンスストアのローソン様やファミリーマート様が広告
事業としてデジタルサイネージを展開されましたが、必ず FeliCa が搭載されています。そ
こで、クーポンやキャンペーン情報を出そうとしています。また、小田急様が、新宿駅で
46 面展開する「デジタルピラー」にも設置されています。その他、FeliCa との連動はタク
シー広告にも、広がってきています。
また、商業施設で言えば、六本木ミッドタウンの中や銀座のベルビア館の入り口にデジ
タルサイネージがあり、タッチにより店舗の情報を知るサイネージとして利用されていま
す。QRコードや FeliCa から携帯電話でお店の詳細情報やクーポンなども提供するような
使い方をしています。最近では、森ビル様がラフォーレ原宿で、お店の方がタイムリーな
情報をツィッターでつぶやき、それを店内に設置されたデジタルサイネージに表示すると
いうツィッター連動の企画をキャンペーンの一環で実施されました。今、注目しているの
が、イトーヨーカドー様の一部で実施されている「サンプリン」というデジタルサイネー
ジが付いたサンプリングマシーンです。これは、会員登録をすれば限度はありますが、商
品の無料サンプルがもらえるというものです。あらかじめケータイ専用サイトでQRコー
ドをゲットしておいて、店で「サンプリン」にそれをかざすと、サンプルが出てきます。
だいぶ好評なようです。秋葉原や神田の商店街の店舗にも、FeliCa を取り付けたデジタル
サイネージを設置し、ネットワークで運営しているものがあります。
最近では、AR(Augmented Reality、拡張現実)を使えないかということで、一つの
AR機能、スマートフォン(すいません iphone 用です)のアプリケーションの部分ですが、
電通様の「アイバタフライ」や東急電鉄様の「ピナクリ」というのを使い、日本橋や(銀
座等)や渋谷等でOOH連動展開をしたことがあります。位置情報連動型ソーシャル・ゲ
ーム的要素もありますが、AR自体は、実験にとどまらず実用化の方向にあります。
(浅沼)
モバイル化が進んでいる中で、個人のレベルでは携帯はかなり生活の中に入ってきてい
ます。しかし、それを広告と連動させることは、ビジネスとしては、まだ、実験段階なの
か、浸透しているの、ビジネス的には、どのようなウェイトなのか教えてください。
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(吉田)
割合は分かりませんが、まだ、そんなに多くはありません。常設でモバイルサイトを作
成している企業様がキャンペーンで、モバイルサイトを作成することは多くなってきまし
た。それをOOHと結びつけるという発想も、浸透はしてきましたが、まだまだ尐ないと
思います。今後、モバイルサイトでの顧客拡大のキャンペーンが増えていけば、そこにO
OHとの接点があるかもしれません。ただ、純粋な連携ではないのですが、かつて六本木
ヒルズのメトロハットという場所を、参天製薬様が、携帯で撮った写真を募集し、その「発
表の場」として使ったというのはありました。こういう連携のやり方が、もっと増えるの
ではないかと思います。最近では、KDDI様が六本木ヒルズで実施された「auミリオ
ンプレイ」というツィッターの創業者が絶賛したというキャンペーンがありました。ツィ
ッターのアイコンを募集して、それを様々なKDDI様の広告に使われたのですが、アイ
コンを花火の模様にして、六本木ヒルズで音とともに打ち上げるシーンをプロジェクター
で出すという試みもされました。機械的な連携ではないのですが、広い意味ではモバイル
を使った Web プロモーションとの連携になるのではないでしょうか。もっともモバイル広
告の一環で、
「FeliCa メール」という FeliCa タッチで許諾した方に対してメールを送付す
る商品があります。これは、モバイル側の商品なのですが、OOHメディアと連動できな
いかと考えています。
(浅沼)
では、鉄道広告とモバイルとの連携については、山本委員にお願いします。
(山本)
交通広告では、Web やモバイルとの連携は、何年も前から取り組んでいます。一番基本
的なフォーマットというのは、検索窓、メールとQRコード
です。QRコードは、当然ながら、カメラで撮るというアク
ションが伴います。電車の中では、中づりやまど上広告は、
検索窓や空メールが主に利用されています。一方、駅の方は、
若干のレギュレーションはありますが、それにプラスしてQ
Rコードが利用できます。先程の佐藤様のお話で、生活者、
ユーザーから見て、その情報取得がプッシュかプルという話
がありましたが、これは大きなポイントです。プルの情報は、利用者にインセンティブが
しっかりと認識されないと成立しにくいです。ご承知かどうか分かりませんが、弊社は
2006 年に「Suica ポスター」という商品を作りました。このサービスは、今年度終了し、
スキームを見直したところですが、具体的にどのようなものかと申しますと、カードタイ
プの Suica のIDを読み取るリーダーをポスターの脇に設置して、読み取ったIDをサー
バに送り、あらかじめ登録されたユーザー様のIDと紐づいているメールアドレスに対し
5
て情報を発信するものです。このサービスを3年半程実施してみて分かったことがいくつ
かあります。一つは、クライアント様の立場に立った時、交通広告とモバイルと連動する
目的が、たぶん2つあるということ。モアインフォメーション、要するに本来の交通広告
は、しっかりと見せておいて、もっと詳しい情報は、携帯に誘導してご覧いただくという
使い方です。もう一つは、ファストフード様やゲームサイトのようにモバイル会員を増や
したい、携帯に誘導すること自体が交通広告の目的だという場合です。どちらも一定の需
要は見込めます。それともう一つが、クライアントから見たコストパフォーマンスです。
たとえば、QRコード、検索窓、空メールの表示には、コストはそれほどかかりません。
タッチデバイスの場合、単純に FeliCa のリーダー/ライターの取り付けですと、比較的に
コストは安いのですが、サーバを設置し、さらにメールアドレスの管理機能まで整備する
と、かなりのコストがかかります。そのコストを広告料に反映させると、本来の広告にと
って付加価値である「モバイル連携」のコストがクライアント様にとって割高になってし
まうということになります。また、モバイル連携した場合には、タッチ数やサイト誘導率
がデータとして出てきますから、1ビューあたりいくらかかったのか、単純に計算が可能
になり、一定以上の効果があったとしても、Web 率に比べると費用対効果では割高になら
ざるを得ないという課題もありました。
話は変わりますが、他の事業者と情報交換する中で、いわゆるタッチデバイスを活用し
た広告とモバイルの連携がいまひとつ普及していかないことには、2つの要因があるので
はないかということが、話題になっています。1つは、携帯自体がある種完結してしまっ
ているメディアであるという点です。交通広告からモバイルへ誘導できても、ユーザーが
一回登録(ブックマーク)してしまうと、交通広告の役目は終了してしまいます。もう一
つは、実際に FeliCa にしてもQRコードにしても、あるアクションを取る必要があるとい
う点です。一定のアクションを起こさせるためのメリットをビジュアルで訴求できるかど
うかが重要だと思っています。具体的には、利用者から見た時に、メリットがしっかりと
分かり、さらに「これにタッチして大丈夫なのか」
「これにタッチしたら迷惑メールがくる
のではないか」
「自分の個人情報が盗られるのではないか」
「課金されるのではないか」等、
様々な懸念を払しょくさせるようなメディアとしての見せ方が必要だということです。そ
の2つを最低クリアしていかないと、興味はあるけれどタッチするのは怖い、そもそも興
味がわかない、という訳で、なかなかハードルが高いと思っています。
以上のように、クライアント様から見た時のコストバランスの話、使う側の使いやすさ、
タッチへのモチベーション等々、毎日のように広告にタッチしていただけるようなビジネ
スモデルは造りにくいということが、試行錯誤を通じて分かってきた生の声です。
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(浅沼)
一般広告、鉄道広告について、吉田委員、山本委員からご説明をいただきましたが、佐
藤様、阪東様からご覧になって、広告とモバイルとの親和性について、どんな印象をお持
ちになったかお話いただけますか。
モバイル技術進化による鉄道広告の価値向上のための施策
(阪東)
私たち通信事業者から見ますと、携帯は皆が持っているものなので、たとえば、会員化
されていない方をどう会員にするかというツールとして使う時に、携帯は有効なツールと
なり得ます。よって、広告メディアとしての価値は尐し違うのではないかと思っておりま
す。佐藤様も私もあまりネットの話はしていませんが、ネットで完結しているような広告
の話は、ここでしてもあまり意味がないかと思っています。むしろ、バーチャルとリアル
の接点を、携帯電話を活用することで設ける事ができるという点に価値があるのだと思っ
ています。それには、先程山本様から話があったように、
「使いやすさ」という観点と、利
用する方が受ける「不安感」という観点をクリアする必要があります。
「使いやすさ」とい
う観点では、QRコードではカメラを起動し、ピントを合わせなくてはいけないため、屋
外での利用にはなかなか障壁が高いと思います。また、「不安感」についてですが、「RF
ID」とか「QRコード」
、FeliCa と比べると、今後のTypeA/TypeBというのは、
よりセキュリティーが高くなっている一方、ノンセキュアな対応も可能です。周辺の技術
もいろいろ組み合わせて、それぞれのニーズに対応していく必要があるのかなというのが
感想です。また、その点をしっかりと理解していただく活動を行っていく必要もあります。
そして、もう一点、
「コスト」という観点もあります。FeliCa でポスターを実現するために
は、auのケータイで読み取るには、ポスター側をリーダーにしなくてはいけません。リ
ーダーを設置する場合には、コストとしてポスター1枚あたり数万円かかっていまします。
2次元バーコードは、無料でしたから広がりましたが、2次元バーコードを応用したカラ
ーコードは注目されたもののライセンス料が高かったため、広がりませんでした。今後は、
このように、コスト問題や技術進化により、相応しい物と相応しくない物が取捨選択、淘
汰されてくるのではないかと思います。最後に、通信事業者から見た2つのトレンドも意
識する必要があります。一つは「オープン化」。SIMロックの解除や、スマートフォン化
といった技術としてのオープン化です。もう一つは、今後、海外端末比率が高まってくる
こと。こういうトレンドを意識した上でどうあるべきかを互いに議論しなくてはいけない
と思っています。
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(浅沼)
いくつかのポイントがありますが、一つには、安全性の問題があります。たとえばヨー
ロッパのマーケットは、国民性で、かざしても安全という認識で、どんどん流布している
のでしょうか。日本は危ないと感じる人が今までは多いようですが。そこは、違いがあり
ますか。逆に言うと進んでいる所がありますか。
(山本)
いわゆる技術的な問題はクリアしていますが、問題は一般のご利用者に、どう見えてい
るかということです。タッチデバイスを設置するロケーションの問題もありますが、JR
東日本の駅構内で設置されていて、
「Suica ポスター」と名づけられていることから、意外
にタッチ率は良かったです。問題は、メリットと安心感を、どのように利用者に伝えるか
ということだと思います。
(浅沼)
そこが問題だと思うのです。要するに、機械の構造上は安心だけど、鉄道の利用者がど
う思うかというところだと思います。山本委員は、
「Suica ポスター」で実験された時に、
タッチに関するアンケート調査をされたのでしょうか。
(山本)
タッチ数と登録者数は、尐しずつですが増えていきました。最初は登録者のみを対象と
して Suica ユーザーとモバイル Suica ユーザーに絞ったサービスとしていました。ところ
が、おサイフケータイも増えて来たため、1年半経ってシステム改修をする時に、その制
約も取り払い、おサイフケータイをお持ちの方は、どなたでも情報を取得いただけるよう
にしました。合わせて Suica 以外のICカード(WAON や PASMO 等)を登録可能とし、
サービスの間口は非常に広くなりました。ただ、なかなか稼働率があがらなかったという
ことで、ビジネスとしては残念ながら軌道に乗らなかった、というのが結論になろうかと
思います。それは、モバイル連携の仕組みにコストがかかったため、料金を高く設定せざ
るを得なかったこと、またモバイル連携を求めるクライアントニーズが想定していたほど
大きくなかったということが原因と思っています。
(阪東)
今までの技術の進歩は、そこまで追い付いてなかったということでしょうか。企業のニ
ーズに、私たち通信キャリアなどが、応えられてなかったということですね。
8
(山本)
デジタルサイネージも一般論として、技術先行というところがありますが、実はそうで
はありません。クライアント様や生活者から見て、サービス全体としてバランスが取れて
いかないと、広告商品として定着していかないと思います
なお、現在のモバイル誘導は、クライアントニーズがあれば既存のポスターやサインボ
ードに安価なリーダー/ライターをレンタルで提供できるような、柔軟な商品設定をしてい
ます。
(阪東)
今後NFCのリーダー/ライターでは、クレジット決済まで出来て、100 ドルを切るもの
が出て来ています。2~3万円と7千円では導入される企業から見ても大きな違いがあり
ます。ただ、先程の質問で、かざすという動作に対して安全面から見た不安があるとあり
ましたが、逆に、今後JRグループ様と、通信キャリアが組み、信用できる広告を作り、
ユーザーの不安感を取り除くことができれば、市場を広げる余地がまだまだあるのではな
いでしょうか。
(佐藤)
広告という所に話を戻すと、OOHである鉄道広告とテレビも含めて、マス向けのイン
プレッション広告というカテゴリーだと思っています。逆にケータイは、マス向けなのか
もしれませんが、よりパーソナライズで、ターゲティングが得意ですね。だから、そこの
違いで、OOHとケータイを組み合わせる時も、インプレッション広告とターゲティング
広告を組み合わせるという所で、多分マスからパーソナライズへという流れがあると思い
ます。そこの組み合わせをどのように設計するかというのが結構重要なのではないかと思
います。ケータイが得意な所は、パーソナライズ広告とかターゲティング広告であって、
その人にあった広告が出せないかということです。後は、位置連動広告であり、
「ここに来
た時に出しましょう」というものが、ケータイ単独で得意な所です。そのケータイ単独で
得意な所と、場所のOOHをうまく結び付けていただく、それがQRコードとかNFCと
かになるのではないでしょうか。そうすると、今までインプレッションだけだったのが、
もう尐し成果報酬型であるとか、広告モデルも変わる可能性もあります。コストでいうと
サプライヤコストという考え方と利用者コストという考え方があると思います。ケータイ
というのはやはり、大勢の方が利用されるので、利用者コストが低い上に、持っているデ
バイスにいろいろ機能が入っているので、それを活用すると利用者コストが下げられます。
利用者に対して訴える道具のように使用すると、サプライヤコストが上がってくるわけで
す。QRコードというのは、サプライヤコストは低いのですが、操作も含めて利用者コス
トは、どうなんでしょうか。たとえばおサイフケータイで言うと、サプライヤコストはか
かるのですが、かざすという行為で見るとQRコードよりは操作は楽であり、そういうバ
9
ランスも含めて、トータルで考える必要があるのではないでしょうか。実際サプライヤコ
ストはかかるのですが、利用者コスト、利用者心理も含めて判断する必要があると思いま
す。面倒臭いことをするには、相当なインセンティブが必要であり、その側面でID登録
とか会員登録とかは敷居の高い話で、ある程度のインセンティブがない限り、近づいてか
ざしたり、会員登録はなかなかしていただけません。だから匿名性が担保できる仕掛けだ
とか、何かおもしろいことを提供してあげる仕掛けであるとか、そういうものがあると利
用者心理がさがります。利用者心理というのは、結構モバイル広告には重要になってくる
のではないかと思います。
(吉田)
山本様の Suica ポスターの話はその通りだと思うのですが、ちょっと早すぎたのかなと
思います。その間、
「グーパス」というサービスもありました。それは自動改札と連携して
いて、いいシステムだと思いましたがこれも一部のサービスを除き終了しています。今は、
明らかに年代格差が出ており、タッチする人としない人に大きな差が出ています。広告利
用で大成功と言われたのは、イベント利用の「東京ガールズコレクション」です。会場に
来た人が次々にタッチして、携帯で服を買う訳です。その利用という現象は、男性として
全く理解できませんでした。セキュリティの問題もありますが、恥ずかしいという「恥」
の文化もあると思います。クーポンを取るのが恥ずかしいとか、行動様式として身につい
ていない、と言われていましたが、10~20 代の女の子たちは、抵抗ないと言われます。
電車内でのモバイル連携の実験
(浅沼)
さて、モバイル技術の進化を活用した鉄道広告の価値向上のための施策について、皆様
から、様々なご意見をお聞きしました。当技術開発委員会といたしましては、この技術進
化を新たな媒体開発につなげていきたいと考えております。私は、鉄道広告とモバイルと
の連携を図るべき場所は、電車の車内だと考えており、委員会の本年度の取組の一つとし
て、
「フェリカによる車内インタラクティブ広告」の実証実験も計画しています。この計画
の概要について事務局から説明してください。
(事務局)
お手元に「車内インタラクティブ広告」についての資料をご用意しましたので、それを
ご覧ください。
(配付資料は、次頁)
10
車内インタラクティブ広告
交通広告メディアについては、近年デジタルサイネージ需要が増加し紙メディアのデジ
タル化が進んでいる。また、携帯電話を活用した双方向インタラクティブのマーケット拡張
は必至であり、車内においてもいち早く媒体化すべき内容である
観光案内
クーポン
オンライン決算
携帯電話でポス
ター部分をタッ
チして、URL
コードを取得し、
アクセス。
車内広告枠にフェリカ機能を
貼り込む
音楽配信
動画配信
地図・GPS
【参考】
ICタグ
留意点
フェリカリーダーライター
フェリカライト
NFC
電源が必要
読み取りアプリのダウンロードが必要
国際標準規格
最薄でも0.9cmの厚み
タッチするためにアプリを立ち上げる必要
普及途上
充電アダプタ使用時、厚み3cm、
そのための周知方法をどうするか
連続動作1.5日~ 6日
携帯
台数
国内3キャリアで推定6000万台以上
docomoのみ
2000万台
docomo 、 auが標準装備予定
車内インタラクティブ広告(フェリカライトでの実証実験)
車内
事前準備
⇒ おサイフケータイ ⇒
④
②
① 「iCタグリーダー(iアプリ)」
のダウンロード
iメニュー
お店等
フェリカライト( iCタグ)を事前に埋め込んだ
ドア横ステッカー、吊革
icタグリーダー
③
(おすすめサービス)
クーポン等所持者限定
のサービス、コンテンツ
の提供
携帯電話でタッチし、URL
コードを取得しアクセス
でicタグリーダー(iアプリ)をダウンロード
※2010冬モデル以降プリインストール
ホームページ
①アプリを起動して同
意
②icタグに翳す
③icタグに反応すると
読み取り開始
11
④対象がURL接続の場合、
上記画面が表示
⑤ブラウザを起動すると
対象サイトに接続
これまで、車内においては、ドア周辺やまど上の広告、中づり広告、ステッカー広告な
どの紙メディアが主でした。しかし、最近では、
「トレインチャンネル」に代表されるよう
に車内でもデジタル化が進んでいます。このデジタル化に伴い、新たな媒体開発として、
携帯電話を活用した双方向インタラクティブの実証実験を計画しています。現在計画して
いるのは、非接触ICカード技術「FeliCa」を活用した実験です。実験としては、①車内
に FeliCa リーダー/ライターを設置し、お客様の「おサイフケ-タイ」をかざしてホーム
ページ等に誘導、②FeliCa ライトを車内広告枠に貼りこみ、
「おサイフケータイ」をかざし
て同じくホームページ等に誘導する実験です。①の場合は、NTTドコモ様、KDDI様、
ソフトバンク様の3キャリア全てが対象となります。しかし、課題として、電源が必要と
なります。②の場合は、現在のところ、NTTドコモ様だけがアプリケーションを持たれ
ている状況ですが、リーダー/ライターを設置する場合に比べ、IC タグはシールとしてど
こでも貼付が可能となります。媒体価値を向上させるため、ぜひ、実験ができればと思い
ます。
(浅沼)
電車車内は、東京でも大阪でも、平均乗車時間は 15 分程度です。よく「鉄道時間」と言
われるこの時間は、広告にとって一番重要な時間です。車両メディアにとっては、この車
内におけるモバイル連携商品の開発が大変重要だと必要性を強く感じています。
吉田委員、クライアント様のご意見は、どうでしょうか。
(吉田)
時代的にフリーダイアルから始まり、ホームページ等へ導入するため、アドレス、QR
コード(一部)、そして検索窓が、印刷物に表記されて来ました。これに加えて、例えば、
吊り皮部分での FeliCa 媒体は、実施可能ならニーズはあると思います。
(山本)
弊社では、昨年、許可を得て、電車内のつり革にQRコードを付ける試行を行いました。
当然、携帯電話の基本的なマナーとして電車内での通話はダメですし、優先座席付近も使
用しないという制約の中での試行でした。QRコードは、カメラの立ち上げ、撮影という
アクションが必要ですが、一定程度のお客様の利用はあったと思います。また利用者心理
を考えると、QRコードで行うよりも、フェリカを使う方がハードルは、低いと思います。
一方、つり革に関して言えば、ユニバーサルデザインを考えた時に、手が届かない方に対
してどうするのかという問題もあり、検討すべき課題は多いと思います。しかし、電車内
での情報提供は、私たちにとって大きなテーマだと思っています。
12
(阪東)
実験はした方がいいと思います。ただ、QRコードか FeliCa かという観点では、つり革
については、QRコードでも比較的に焦点を合わせやすいので、あまり変わらないと思い
ます。FeliCa では、リーダーアプリケーションを立ち上げることに対して、まだ慣れてい
ないのではないでしょうか。ドア横広告等には、FeliCa の方がよいと思います。
(浅沼)
最後になりますが、今後のグローバル化を睨み、海外との連携について、ご意見をいた
だけますか。
グローバル化を睨んだ広告の在り方
(佐藤)
今後、NFCが国際標準となります。携帯電話をかざすという文化は、日本は、FeliCa
もあり、比較的ある方だと思います。利用者にとっては、NFCでも FeliCa でもいい訳で
すから、海外においても、タッチをするシーンが当たり前にする必要があると思います。
ネットワークについては携帯電話でも、場所によっては有線との組み合わせでも可能であ
り、日本のモデルでの展開の可能性はあると思います。
(阪東)
これからクラウドの時代が来ます。海外で広告展開されたい場合には、現地との間でネ
ットワークサーバ運用すればいいのかなと思います。日本からブランチサーバを使うこと
により、可能となってきます。当社でもデータセンターを各主要都市で、すでに展開中で
あり、十分に協力することができます。
(浅沼)
本日は、お忙しい所、ありがとうございました。現在、鉄道広告は、デジタルサイネー
ジを導入するなど、新たな広告価値向上に取組んでいます。しかし、携帯電話の普及と技
術の進化により、生活者の行動様式は大きく変化しています。このため、鉄道広告の更な
る価値向上のためは、モバイルとの連携が不可欠だと考えます。モバイルを通じて広告の
詳細内容やクーポンの取得、或いは広告に気づいていただくことが最重要課題だと認識し
ています。モバイルにおいては、NFC規格に基づく携帯電話が投入されるなど、更に進
化があるとお聞きしましたので、ぜひ、鉄道広告とモバイルとの連携を図り広告価値の向
上を図りたいと思いますので、今後ともご協力よろしくお願いいたします。
13
用語解説編 (出典 : IT 用語辞典 e-Words)
※1 ブロードバンド【broadband】(広域帯)
高速な通信回線の普及によって実現される次世代のコンピュータネットワークと、その上で提
供される大容量のデータを活用した新たなサービス。光ファイバーや CATV、xDSL などの有線
通信技術や、FWA、IMT-2000 といった無線通信技術を用いて実現される、概ね 500kbps
以上の通信回線がブロードバンドである。
電話回線や ISDN 回線による数十 kbps の回線(ナローバンド)が主体の現在のインターネ
ットにはない、様々な可能性が眠っているとされる。現状では実用にならない映像や音声など大
容量のデータを使ったまったく新しいサービスが登場し、既存のサービスも映像や音声の力を得
てまったく変わったものになると考えられている。
各社の取り組みの差によってインターネット業界の勢力図も大きく塗り替えられると予想される
ため、通信事業者や各種のサービス事業者、ポータルサイトなどのコンテンツ事業者は、こぞって
ブロードバンド時代に向けた投資を進めている。
※2 RFID【Radiio Frequency Identification(RF-ID)】
微小な無線チップにより人やモノを識別・管理する仕組み。流通業界でバーコードに代わる商
品識別・管理技術として研究が進められてきたが、それに留まらず社会の IT 化・自動化を推進
する上での基盤技術として注目が高まっている。
耐環境性に優れた数 cm 程度の大きさのタグにデータを記憶し、電波や電磁波で読み取り器
と交信する。近年ではアンテナ側からの非接触電力伝送技術により、電池を持たない半永久的
に利用可能なタグも登場している。タグは、ラベル型、カード型、コイン型、スティック型など様々な
形状があり、用途に応じて選択する。通信距離は数 mm 程度のものから数 m のものがあり、こ
れも用途に応じて使い分けられる。
将来的にはすべての商品に微小な RFID タグが添付される可能性がある。食品を買ってきて
冷蔵庫に入れると自動的に識別し、保持している食品のリストを作ったり消費期限を知らせたり
するインテリジェント冷蔵庫などの IT 家電が構想されている。
製品に ID 情報を振るための規格では、米マサチューセッツ工科大学(MIT)が中心となって
進めている「Auto-ID Center」の取り組みが先行している。これには、Wal-Mart Stores
社や Procter and Gamble 社など大手流通業者や消費財メーカーのほか、バーコード管理
団体の UCC(Uniform Code Council)や国際 EAN 協会が参加している。また、日本でも、
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東京大学の坂村健教授などが中心となって「ユビキタス ID センター」が設立され、大手電機メー
カーなどが参加している。
※3 フェムトセル【femtocell】
極めて小規模な携帯電話基地局によって実現される、宅内やオフィスの 1 フロア内など、極め
て狭いカバー範囲のこと。
携帯電話網で一つの基地局のカバーする範囲のことを、生物の体を構成する細胞になぞらえ
て「セル」(cell)という。通常の携帯電話ではセルのカバー範囲は半径数 km、小出力の電波を
用いる PHS の「マイクロセル」(micro-cell)は半径数百 m であるが、フェムトセルはカバー範
囲が半径 10m 程度であり、一般家庭の家屋内やオフィスの一つの部屋、フロアなどをカバーす
る。「フェムト」(femto)とは単位の接頭辞の一つであり、10 のマイナス 15 乗、すなわち 1000
兆分の 1 を意味する。極めて狭い範囲のセルのことである。
フェムトセルはバックボーンとして家庭に引き込まれた光ファイバーなどのブロードバンド回線
を利用することが想定されている。第三世代携帯電話(3G)は高い周波数を利用するため、電波
の直進性が高く、屋内に電波が届きにくい性質があるため、利用者は間近に基地局があることで
通信・通話品質の向上が見込まれる。また、フェムトセルは携帯電話会社(キャリア)の無線ネット
ワークや基地局の通信回線、バックボーン回線にかかる負荷を軽減するため、料金の低廉化や
定額制の導入などを期待できる。
キャリアにとっては、一般の基地局を利用する人が減るため設備の負担が軽くなり、フェムトセ
ルの普及が進展すれば基地局の増強などを回避してコストを低減することが期待できる。
※4 赤外線通信【infrared transmission】
赤外線通信とは、電磁波の一種である赤外線を利用して実現される無線データ通信のことで
ある。
赤外線は、可視光線の赤色光よりも波長が長く、電波よりは短いという特徴を持っている。赤
外線通信を行うためには、基本的に赤外線送信部を機器の受信部に向けて、遮蔽物の無い状態
で操作する必要がある。テレビやエアコン、ビデオなどのリモコンや、携帯電話間のデータ通信な
どで多く利用されている。
赤外線リモコンは、異なるメーカー間に共通する規格はなく、互換性がないが、通信速度は
300~1200 ビット/秒程度、赤外線ビームの広がりは 5 度以下、通信距離は 5~10m 程度であるこ
とが多い。
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ノートパソコンや携帯機器向けの赤外線通信規格としては、標準化団体によって定められた
IrDA(Infrared data Association) がある。通信可能距離は最大 1m 程度で、赤外線ビームの広が
りは 30 度程度である。通信可能距離や通信速度が異なる 5 つの仕様、バージョン 1.0、1.1、1.2、
1.3、1.4 がある。この中で、バージョン 1.4 は通信速度が 16Mbps と最も速く、通信距離が 1m とな
っている。また、IrSimple や IrSS といった派生規格も多数登場している。
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