第136回:暴徒剣を舞う・・意在沛公

ひと息コラム『巨龍のあくび』
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第136回:暴徒剣を舞う・・意在沛公
中国全土が文化大革命に熱狂していたころだから、50年近く前のことである。東京は文京区の小石川に
善隣友好会館という建物があり、もともとは満州国の留学生施設として建設運営され、戦後も日本と中国の
共産党が蜜月関係にあったころは、日本共産党の協力支援により華僑留学生の宿舎として運営されていた。
ところが1966年、上海で行われた宮本顕治と毛沢東の首脳会談がケンカ別れに終わり、日中の共産党が
関係を断絶してから、この会館をめぐる日本人関係者と中国人利用者との関係が悪化し始め、翌年2月に
は流血沙汰のトラブルが発生した。
この事件を知った中国共産党は激怒し、北京放送は「『日本共産党修正分子』は日本の警察の協力の下
に暴徒を組織して善隣会館になだれ込み、日本に住む華僑の青年と、日中友好を守る日本の友人を殴打
するという重大な流血事件を作り出した」云々と日本共産党を非難した。文中に「日本の修正主義分子は
『チャンコロをぶち殺せ』とヒステリックに叫び」という個所があり、あのころの日本の左派には右翼をも凌ぐ
蛮勇があったのかと思い、多少の感慨がないでもなかったけれど。日本共産党はこの非難を完全否定し、
逆に中共を批判したが、左派の論客井上清京都大学教授が「共産党員ともあろうものが『チャンコロを殺せ』
とは情けない」と嘆いた記録が残っているので乱闘騒ぎのなか、売り言葉に買い言葉でホントに飛び出した
罵声であったのかもしれない。なにせ世情荒らぶる Swinging Sixties の時代だから。
いま中国人に対し、こんな心ない蔑称を使う日本人は皆無に近い。筆者も固有名詞として知ってはいるが、
使ったことはない。最近の日本の若者に至っては意味すら知らないだろう。英語にも中国人への蔑称として
チャイナマン(Chinaman)やチンキー(Chinkie)という単語は存在するが、日常使う言葉ではない。
ところが中華思想のかの国では、嫌いな国や人種への蔑称が日常生活のなかで普通に使われている。
さすがは東夷・西戎・南蛮・北狄の真ん中に華があると信じ、正式国名で中華を、一般呼称で中国を名乗る
人たちだ。中国人がひとたび罵声を発すれば老子さまも震えあがる。日本人は「小日本(シャオ・リーベン)」、
朝鮮人は「高麗棒子(ガオリ・バンズ)」、黒人は何と「黒鬼(ヘイ・グイ)」だ。「ちびくろさんぼ」どころじゃない。
身体障がい者の「残廃人」にも差別の匂いがしてイヤだ。最近パラリンピックを意識してか「残疾人」に変更
する動きがあるようだが、これとて障がい者への配慮に欠けるような気がする。だから尖閣諸島デモもとい
暴動に登場したスローガンは凄まじい。「宣戦」はまだマシだ。「殺光小日本!」といったベタな罵詈雑言が
山ほど並んでいた。殺光小日本とは善隣友好会館で飛び出し、井上教授が嘆いた暴言そのものである。
こんな光景を毎晩ニュースで見せつけられ、暴徒の凄まじい民度を知ると、中国嫌いの日本人が増える
のは当然だ。しかし二本棒に腹を立てても仕方ないだろう。世界に恥を晒しているのは彼らであるし問題は
彼らの受けてきた教育にあるわけだから、ここは冷然と打ち眺めておけばよい。そもそも人口に膾炙してい
る中国脅威論や中国崩壊論を聞くたびに違和感を覚えるのだが、中国嫌いに限って、中国を過大評価する
傾向があるようだ。中国の政治・経済・軍事・教育のレベルはみな低く、「脅威」のレベルには達していない。
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まして「崩壊」なんてとんでもない。崩壊する資格があるのは頂点を極めた国だけである。中国初の空母が
完成間近になったとき艦載機着艦用のワイヤーが国内でつくれないことが判明し大騒ぎするような技術で
ある。名目GDPは世界で第二位だが、一人当たり国民所得では日本の1割程度、従って民度も日本の1割
程度なのである。今回の反日デモと反日暴動の裏には中国当局の影が見え隠れしており、人の口に戸は
立てられぬというように、ネット上には「当局からバイト料を貰った」、「警察署長がデモ隊の先頭に立ってい
た」といった書き込みが多い。当局がネット検閲と削除を強めるなか、淀みに浮かぶうたかたのように、かつ
消えかつ結びて、を繰り返す「反日スローガン」を紹介しよう。70年安保の経験者は中島みゆきの「世情」を
思い出しながら、シュプレヒコール調で音読してほしい。
我々に~医療保険と社会保険はないが~心の中には魚釣島があるぞ~我々に~老後の政府保障はな
いが~この島の奪還だけは保障するぞ~我々に~人権はないが魚釣島の主権だけは争うぞ~我々は~
家も墓も買えないが~日本人には一寸の土地も譲らないぞ~! 注:日本語名は釣魚島ではなく魚釣島
(なるほど。社会保障に老齢化、人権問題に強制立ち退き、不動産バブルと、いま中国が抱える社会問題
の総動員。中国研究家は七面倒くさい共産党文献なんぞ読まないで、フィールドワークに徹すべきだ)
我が家を取り壊したのは誰だ~故郷の山河を汚したのは誰だ~我々は日本独裁政府を打倒するぞ~
(おいおい、日本政府と地上げ屋を一緒にするつもりかよ。きみたちの故郷の山河を工場排水や乱伐で
破壊した責任まで日本がとらなければいけないの?)
城管を数千人動員して魚釣島を奪還するぞ~党中央の汚職官僚を数百人派遣して日本征服だ~
(「城管」とは都市の美観を守るために、ダフ屋や露天商を取り締まる地方政府の木っ端役人のこと。これが
皮肉なことに街のダニとなっているケースが増えている。街のチンピラ役人や中央政府の腐敗官僚がどれ
だけ恐ろしいかがよくわかる。薄熙来ではないが、人民解放軍より強くて凶暴であることは確実だ)
ここにきて反日デモが反政府デモに転じないよう中国当局が慌ててデモを禁止し始めたわけが分かるだ
ろう。「項荘舞剣、意在沛公」、へたすると鴻門の会が現代に甦るかも。(了)
文中の見解は全て筆者の個人的意見である。
平成24年9月24日
筆者プロフィール
杉野光男
東洋証券株式会社 主席エコノミスト
一橋大学商学部卒、 三菱信託銀行(現三菱 UFJ 信託銀行)入社、上海華東師範大学へ留学
同行北京駐在員、上海駐在員事務所長、理事中国担当部長を経て、2007年より現職
著書
日本の常識は中国の非常識(時事通信社)、中国ビジネス笑劇場(光文社)等
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