政治体制改革プロジェクト報告(粋) ~政治制度改革・財政改革・統治機構

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政治体制改革プロジェクト報告(粋)
~政治制度改革・財政改革・統治機構改革一体の見直し~
自民党国家戦略本部
政治体制改革プロジェクトチーム
はじめに
明治以降の100年で日本の生活水準は30倍になったと云われます。この急激な成長を可能
にしたのは、日本国民の〈変化への対応能力〉と〈中央集権システム〉という時代に合った政治
体制があったからにほかなりません。
しかし時代が変化した今、これまでと同じ体制で政治を行っていてはあらゆるところに歪みが
生じ、日本は立ち行かなくなってしまいます。今こそ政治がリーダーシップをとり時代の変化を
見据えた体制を確立しなければなりません。
今後10~15年での道州制の導入を前提に「人・財源・権限」を地方に託す新しいシステムと
それを可能にする政治・経済・国の統治の方向性を考え直してみたいと思います。
この新しい制度改革実現の為には国民の皆様にも変化への対応をお願いしなくてはなりま
せんが、何より大切なのはまず私達政治家が定数削減等自ら身を削る覚悟を持つことです。
Ⅰ政治制度改革の方向性
①
今の日本の政治は官僚が国会と内閣をコントロールする「官僚内閣制」である。
さらに「政府・与党二元体制」が首相・大臣のリーダーシップを弱め官僚主導に
拍車をかけている。そこで政府・与党を一元化し政党本位の議員内閣制を確立す
る。
② 国の二院制のあり方を再定義し、国・地域とも一貫して政党本位の政治を確立す
る。
③
今後 10~15 年で移行する道州制の新体制構築に併せて縦割り(業界別)行政か
ら横割り行政(機能別)へ省庁再再編を行い、行政システムの効率化を徹底す
る。
衆議院
… 「首班指名の府」 任期 4 年、単純小選挙区
定数 200(現行 480)
与党議員の半数は内閣に参画し政府・与党一元体制の強化
「政党・首相候補、マニフェスト」三位一体選挙の実施
首相は議員任期満了の 4 年間強いリーダーシップを発揮す
ることを原則とし、解散は特別の事態に限る。
・
国…二院制
参議院
… 「再考の府」 任期 6 年(3 年半数改選)
定数 50(現行 242)…道州代表各 2 名、全国区(個人名記入)
政党色の廃除
官に対するチェック機能強化のため州・市を含めた行政監察
権を附与
・
州政府…一院制
議員数約 1,500 (10 程度の州×定数 150)
現在の都道府県議会議員 2,783 名
・
市政府…一院制
議員数約 15,000
(300 程度の市×定数 50)
現在の市町村会議員 41,014 名
※地域政治においても政党を強化し現行の「首長公選制」から、国と同様の
「議員内閣制」を導入する。「政党・首長候補・マニフェスト」三位一体選挙の実施
省庁再々編のイメージ図
現在 1府11省
内閣府
中央省庁再々編 1府8省
内閣府
・・・官邸主導
→
道州制移行 1府6省
内閣府
・経済財政諮問会議
・経済財政諮問会議
・経済財政諮問会議
・総合科技会議
・総合科技会議
・総合科技会議
・金融庁
・日本版NSC
・日本版NSC
・公取委
・日本版CIA
・日本版CIA
(人事院)
・金融庁
・金融庁
・国家公安委・警察庁
・公取委
・公取委
・情報通信委
・情報通信委
・人事庁
・人事庁
・通商代表部
・通商代表部
・予算局
・予算局
・政府資産・債務管理庁
・政府資産・債務管理庁
・国家公安委・警察庁・消防庁
・公租公課庁
総務省
・消防庁
財務省
・消費安全庁
・文化観光庁
・国税庁
経済産業省
・資源エネルギー庁
・特許庁
財務省
大蔵省
・国税庁
・中小企業庁
農林水産省
・林野庁
・水産庁
産業省
(州政府へ移行)
・水産庁
・特許庁
・中小企業庁
環境省
文部科学省
環境省
環境省
厚生労働省
内務省
内務省
・社保庁
分割・解体
国土交通省
交通省
(州政府へ移行)
法務省
法務省
法務省
外務省
外務省
外務省
防衛省
防衛省
国防省
Ⅱ財政見直しの方向性
①
一般会計と特別会計を連結決算化し、国の資産・債務状況についてはバランスシー
トを用い、経営的発想による「新たな財政健全化目標」を策定する。
・ 毎年基礎的財政収支黒字を対 GDP比 1%を出す財政運営をめざす。このた
めにまずデフレ脱却、国有資産の活用、政府資産圧縮、歳出削減、制度改革等
できることを行い増税論議はその後とする。
中央・州政府の財政規律をめざす「財政健全化法」を制定し州・市政府が
財政破綻に陥った際債務の減免などを規定する「債務調整条項」や州の危機
的状況を国が限定的に救済できる「セーフガード条項」等を導入する。
・
②
官主導から政治主導システムの転換に併せて特定業界に偏らない「中立」で「成
長」を促進する税制、中央集権システムから地域主権システムへの転換に併せて
地域主体の「公平」「簡素」な税制を確立する。
・ 税目ごとに国税と地方税を分け地方分権制度確立のため国から地方へ税源
移譲する(20兆円程度)
国税…原則である応能税、人税、累進的課税に基づくもので構成する
地方税…原則である応益税、物税、比例的課税に基づくもので構成する。
消費税を基幹的税とする。
・
国税・地方税の徴収は国(「公租公課庁」仮称)に事務を委託し一元化する
Ⅲ統治機構改革の方向性
① 地方自治体自らの責任の下、必要な事項を決定し実行できる地域主権を確立す
るため中央集権システムから地域主権システムへと移行させる。(国・道州・
市の3層体制)
・
②
全国を 10 程度の「州政府」と 300 程度の基礎的自治体「市政府」へ移行
する
社会保障については、年金・医療・福祉・介護・生活保護の一元的実施を図
り、一定の範囲内でそれらの給付割合を個人の裁量で変更できるよう社会保
障国民番号制を導入。
※ 州政府のイメージ
北海道政府
東北州政府(青森、岩手、秋田、福島、宮城、山形)
関東州政府(群馬、栃木、茨城、新潟、山梨、長野)
首都州政府(千葉、埼玉、神奈川)
東京州政府
中部州政府(静岡、愛知、岐阜、富山、石川、福井、三重)
関西州政府(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
中国州政府(鳥取、岡山、島根、広島、山口)
四国州政府
九州州政府
沖縄州政府
※各政府の役割
中央政府
…
グローバル世界の中で存在感のある国づくり
国境管理、国家戦略の策定、国家的基盤の維持・整備
全国的に統一すべき基準の制定等
年金制度の実施
州政府
…
社会づくり
公共事業、産業振興、高等教育、文化・社会的政策等
医療・保険制度の実施
市政府
…
人づくり
シビルミニマムの確保
社会福祉(障害者、児童、母子、公衆衛生等)の実施
※国と地方の財政規模(イメージ)
国
従来
新しい姿
国税収
50兆円
35兆円
国債等
30兆円
20兆円
社会保障
20兆円
20兆円
その他一般歳出
25兆円
10兆円
交付税
15兆円
5兆円
国債費
20兆円
20兆円
国 歳入・歳出計
80兆円
55兆円
歳入
歳出
地方(州・市)
歳入
地方税収
40兆円
60兆円
交付税
15兆円
5兆円
国庫金
10兆円
5兆円
地方債等
15兆円
20兆円
一般行政・給与
50兆円
55兆円
公共投資
15兆円
20兆円
地方債費
15兆円
15兆円
80兆円
90兆円
歳出
地方 歳入・歳出計
※現時点の予算規模を前提
※役人の数のイメージ
従来
国
新しい姿
30万人
国
10万人
35万人
州
15万人
市町村
105万人
市
20万人
計
170万人
計
45万人
都道府県
(注)国は、一般職の非現業国家公務員。
都道府県は、消防・警察・教育を除く。 市町村は、消防・警察を除く。