1. 木質バイオマス利用動向調査

第1章
木質バイオマス利用動向調査
1. 木質バイオマス利用動向調査
本章では、木質バイオマス燃料の製造・木質バイオマス利用のなかで必要な技術及びそ
の機器についての調査を行った。
1.1 小国町における木質バイオマスエネルギー活用の意義
小国町は、町域の約 95%が森林という環境にあり、ここに温存されている森林資源を
薪・炭・柴などの木質バイオマス資源として、持続的に活用してきた。しかし、エネルギ
ーの利用形態が変化し、化石燃料の普及により、木質バイオマス資源は燃料としての用途
が激減し、現在では、間伐材などの利用も進まなくなってきている。そこで、町内から発
生する木質バイオマス資源の活用による二酸化炭素の削減と、森林の適正管理の推進、さ
らに、これらの動きに連関した企業の振興と起業を促し、地域活性化へと結びつけるもの
とする。
1.1.1 木質バイオマスエネルギー変換技術
木質バイオマスのエネルギー利用は大きく燃焼、熱化学的変換、生物化学的変換に分
類される。木質系バイオマスのエネルギー利用の方法として最も普及しているのは、直
接燃焼による熱利用や発電(熱電併給を含む)である。
また、排出源での排出主体による利用だけでなく、エネルギー供給事業者が一定の地
域から木質系バイオマスを収集し、発電事業を行うなどの事業形態も進められつつあり、
多様な形態による利用拡大も期待される。
図表 1-1
木質バイオマスのエネルギー利用技術の概要と利用形態
方式
燃焼
エネルギー利用用途
技術レベル
経済性
熱
◎
○
電気
○
△
ガス化
△
△
炭化
◎
△
エタノール発酵
△
×
直接燃焼
熱化学的変換
生物化学的変換
※1 技術レベル:◎実用例多数 ○実用事例あり
※2 経済性評価項目:○、△、×の 3 段階評価
1
△実証段階
第1章
木質バイオマス利用動向調査
図表 1-2
木質バイオマスエネルギー変換技術の概要
分類
技術の概要
直接
燃焼
チップやペレットなどの燃料を利用した直接燃焼による熱利用や発電
を行う。また、熱利用と発電を行うコージェネレーションシステムの利
用が増えている。特に製材工場などでは資源の有効利用の観点から、チ
ップボイラーの導入が増えている。ペレットに関しては、近年注目され
ており、技術的にはほぼ成熟しているため、需要側への普及方策が重要
である。
混焼
石炭火力発電所などで、石炭などとチップやペレットといった木質バイ
オマスを混合燃焼する技術。
固形
燃料化
ペレットはオガ粉や樹皮を 100 度~150 度程度に加熱・加圧し、成型固
化したもので、近年ペレットの生産拠点が増えている。
ガス化
熱化学的変換により、いったんガス化、利用することにより、エネルギ
ー変換効率を向上させ、エネルギーとしての利便性を高める各種の技術
が開発されつつあり、今後の実用化が期待されるところである。特にバ
イオマスの部分的な酸化によって得られるガスを発電や、液体燃料製造
に用いるガス化については技術開発が精力的に進められている。
・溶融ガス化
400~600 度で熱分解ガス化を行い、可燃性ガスを発生させ、更に焼
却灰を 1300 度以上の高温で溶融処理する技術。
・部分酸化ガス化
部分酸化により生成ガスを製造する。熱利用、発電のほか、調整によ
り一酸化炭素と水素を得やすく、これらを触媒を用いてメタノールに
変換することも期待。
・低温流動層ガス化
600 度程度でガス化する技術であり、ガスを用いて発電や熱利用を行
う。
・超臨界水ガス化
超臨界水中で加水分解を起こし、効率的にガス化する技術。
炭化
古くから利用されているが、コージェネレーション技術の実用化が進め
られている。
最近では土壌改良、床下調湿、水質浄化などマテリアルとしての利用も
増えている。
エタノー
ル発酵
セルロース系バイオマスである木質系廃材・未利用材を糖化してエタノ
ール発酵する技術開発は実証段階で進められている。
燃焼
熱化学
的変換
生物化学
的変換
参考:日本エネルギー学会「バイオマス・ニッポン総合戦略策定緊急調査報告書」
2
第1章
木質バイオマス利用動向調査
1.1.2 小国町で利用可能な木質バイオマスエネルギー利用技術
本調査では、小国町で既存の重油ボイラーをチップボイラーに転換していくことを前
提として整理する。これを利用する場合に燃料として木質チップがあげられるが、これ
は木質チップ加工時に利用する機器において、生産されるチップごとに長所・短所を持つ
ため、利用するチップボイラーにあった燃料を選択する必要がある。
(1) 木質チップ
木質チップの形状は、チップ生産設備が「破砕機」によるものと「チッパー」による
ものの 2 タイプに分けられる。それぞれのチップ特徴を図表 1-3 に示す。
チップボイラーで利用する場合、破砕チップは形状が細い繊維状なため、チップサイ
ロより燃料を供給する過程でブリッジを形成しやすく、燃料供給がストップするトラブ
ルが発生する可能性が高い。一方、切削チップは、形状が薄い方形状で整っているため、
燃料供給過程でブリッジを形成しにくく、トラブル発生する可能性が比較的低い。
したがって、チップボイラー燃料として利用する場合、切削チップを利用する方が望
ましい。
図表 1-3
種類
破砕チップと切削チップの特徴
破砕チップ
切削チップ
細長い繊維状
薄い方形状
形状
・ハンマーミル方式
ハンマーの打撃による衝撃力で破砕する。
製造方法
・カッターミル方式
カッターナイフまたはカッターディスク
で削り取っていく。
受刃と切断刃によるせん断力で破砕する。
カッターによる破砕は、石などの異物に
よりカッターが破損するため、木材の選
別が必要となる。石などの異物混入の可
能性ある木材はハンマーミル方式が望
ましい。
カッターによる破砕は、石などの異物によ
りカッターが破損するため、木材の選別が
必要となる。
用途
堆肥原料、マルチング材、吹きつけ材
製紙パルプ用原料
燃焼機器
利用性
燃料供給装置でチップがブリッジを形
成しやすく、燃料供給がストップするト
ラブルが発生する可能性がある。
燃料供給装置でブリッジを形成しにくく、
燃料供給トラブルの可能性が低い。
機械耐久性
3
第1章
木質バイオマス利用動向調査
(2) チッパー技術調査
本項目では、木質バイオマス燃料の主原料として考えられる林地残材(末口部)、
未利用間伐材、製材所残材(背板等)を処理できる能力(最大処理径 200mm 以上)
を有する機器を条件として、固定式、移動式、それぞれのチッパーついて調査を行っ
た。なお、形状をある程度一定に整えることが可能な切削型のチップを製造するチッ
パーについて調査を行っている。
本事業でチップ原料として想定している林地残材の末口部(根元部、枝状部)、切
捨て間伐材、製材所残材(背板等)をチップ化するには、ある程度の投入口の大きさ
特に幅とチップ化の動力が求められる。そのため、固定式・移動式チッパーとも「廃
棄物の処理及び清掃に関する法律」の対象施設となるチップ製造能力 5t/日を超える
施設に該当する可能性がある。また、チッパー稼動時には激しい騒音が伴うため、屋
内で十分な防音を行なうこと若しくは隣地への距離をとることなどの対策が必要と
なってくる。
① 固定式チッパー
図表 1-4
KMH-1006LL(旭機械)
【固定式タイプ】
項目
仕様
取扱会社(メーカー名)
旭機械
型式
KMH-1006
破砕方式
カッター
チップ形態
切削チップ
投入口寸法:幅×高さ
280 mm×150 mm
処理能力
7~10m3/h
寸法(搬送時):縦×横×高さ
4,010mm×1,620mm×2,630mm
定格出力
55 kW
特徴
・チップスクリーン
・サイクロン・ダクト
・投入コンベア付属
本体参考価格※
1,000 万円
※運転制御盤、設置工事費別
4
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木質バイオマス利用動向調査
② 移動式チッパー
図表 1-5
ブラッシュチッパーの仕様【移動式タイプ】
項目
仕様
取扱会社(メーカー名)
新キャタピラー三菱など(米国バーミア社)
型式
BC1000XLM(自走式)
機器外観
資料:メーカーカタログ、ホームページ
破砕方式
カッター
チップ形態
切削チップ
投入口寸法:幅×高さ
250 mm×430 mm
最大処理径
250 mm
処理能力
8 m3/h(投入材料の形状や作業条件によって変動)
機体重量
2,870 kg
寸法(搬送時):縦×横×高さ
4,010 mm×1,620 mm×2,630 mm
定格出力
63 kW
燃料タンク容量
95L
特徴
チップ粒度調整機能
粒度~5mm
本体標準価格
1,100 万円
5
粒度~15mm
粒度~25mm
第1章
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<参考>
図表 1-6
SR3000(コマツゼノア)
【移動式タイプ】
項目
仕様
取扱会社(メーカー名)
コマツゼノア
型式
SR3000
機器外観
資料:メーカーカタログ、ホームページ
破砕方式
カッター
チップ形態
切削チップ
投入口寸法:幅×高さ
250 mm×430 mm
最大処理径
165 mm
処理能力
1.5~5 m3/h(投入材料の形状や作業条件によって変動)
機体重量
1,330 kg
寸法(搬送時):縦×横×高さ
3,100 mm×1,100 mm×1,930 mm
定格出力
20.6 kW
燃料タンク容量
33L
特徴
・新開発の吸音ダクトを投入ホッパに採用することで騒音
をカットしている。
・チップサイズは送り速度を変更することで 2~15mm ま
で製造が可能。
本体標準価格
280 万円
この機種は、最大処理径が 165mm と移動式の小型チッパーである。背板や間伐丸太
をそのまま投入することは不可能であり、原料を投入口にあったサイズに加工しなく
てはならない。しかし、処理能力は低いが導入のコストは比較的安価である。ただし、
チップ製造時課題である騒音については無負荷時でも 80db(7m 周囲)あるため、作
業場所と隣家の距離をとるなど対策が必要である。
6
第1章
木質バイオマス利用動向調査
(3) 町内におけるチッパー保有状況
本項目では、小国町内に有する木質バイオマス燃料であるチップを加工している業
者に、チッパー保有状況の調査を行った。現在、小国町にはチッパー(破砕機)を所
有している業者が 2 社存在しており、各業者の概要を以下に示す。
① チップ生産業者
A社
町内に有するチップ生産工場であり、原材料については原木を購入または自社所有
林から切り出したもので、割合は 6:4 となっており、そのうち樹種別には針葉樹:
広葉樹=1:9 の割合でチップを生産・販売している。保有するチッパーはカッターに
よる切削方式で、チップの形状が 3,000mm×2,500 mm×500 mm と均一化しており、
チップボイラー用の燃料チップとして利用が可能である。
チップ生産能力は 1 時間あたり 10m3 で、最大で月 2,000m3 のチップ生産能力を有
する。現在(2006.9)、工場の稼働率が 40~50%で、約 800m3/月のチップを生産して
いるため、生産能力余剰分をチップボイラー用のチップ生産は可能である。
留意点として、チップ生産時に広葉樹と針葉樹のチップが混合すると製紙用チップ
としての品質が確保できないため業者に引き取ってもらえなくなることから、原材料
を広葉樹から針葉樹に切り替える時は、一連のシステムの清掃を行う必要がある。
図表 1-7
チップ生産業者(A 社)概要
原材料
針葉樹(スギ)、広葉樹
破砕形式
カッター
原材料投入条件
原木 1.8~2.0m(同形状の背板もチップ化可能)
チップ形態
切削型
寸法(搬送時)
約 3,000×2,500×500(燃料用として利用可能)
生産能力
10 ㎥/h、
2,000 ㎥/月
チップ形状
7
第1章
木質バイオマス利用動向調査
② チップ生産業者 E 社
町内における産業廃棄物処理業者であり、解体材、土木支障木、製材所廃材等をチ
ップ化し販売している。現在、解体材のチップを民間企業の自社発電用燃料として販
売している。
本施設で生産されるチップ形状は、ハンマーミル方式で砕いたピン(針状)チップ
であり、このチップは、チップサイロからボイラーへの燃料供給の過程でトラブルが
発生の原因となるため、本事業で利用するチップ燃料としては相応しくない。また、
産業廃棄物である解体材や土木支障木などが混在し、支障木には土や砂などが付着し
ているため性質上、木質バイオマス燃料としては向いていない。
図表 1-8
チップ生産業者(B 社)概要
原材料
解体材、支障木、製材端材等
破砕形式
ハンマーミル形式
チップ形態
ピン(針状)チップ
生産能力
約 200m3/週
チップ形状
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第1章
木質バイオマス利用動向調査
1.1.3 チップボイラーの技術動向調査
近年、環境意識の高まりにより木質バイオマスの熱利用が徐々に増えてきており、そ
れに伴い海外製木質バイオマスボイラーの輸入販売や、国内メーカーによる熱利用機器
開発が進んできている。
ここでは国内で入手可能な木質チップによる温水ボイラーについてまとめた。
図表 1-9
国内のチップボイラー取扱メーカー
メーカー名
国
内
製
取扱会社
オヤマダエンジニアリング株式会社
株式会社タカハシキカン
シュミット(スイス)
株式会社巴商会
住友商事株式会社
株式会社協和エクシオ
株式会社カナック
ポリテクニク(オーストリア)
海
外
製
ビンダー(オーストリア)
宇部テクノエンジ株式会社
KOB(オーストリア)
株式会社ヒラカワガイダム
タルボッツ(イギリス)
マルマテクニカ㈱
MAWERA(オーストリア)
サピオ株式会社
HERZ(オーストリア)
現在、国内で利用可能なチップボイラーは、含水率 100%以上といった高含水率(いわ
ゆる「生チップ」)に対応しているものが多い。
なお、ボイラーの価格については本体価格(実際に運転するためには機械室、チップ
サイロの土木・建築工事や電気・配管・煙突工事、その他据付工事費用が必要)のみで
あり、各社によって含まれている機器の範囲が異なるため単純に比較することはできな
い。
9
第1章
木質バイオマス利用動向調査
オヤマダエンジニアリング株式会社
特徴
(温水)
いわて型チップボイラーとして、岩手県と共同開発され、2005 年より販売を開始した最も新しいチップボイ
ラー。自社開発のため、機器の改造やトラブル時において対応が早い。
花巻市の保育園へ第 1 号機が納入され、2006 年冬より床暖房用として稼動している。また、県立の温水プー
ルへの納入された(100kW×1 基+200kW×2 基)
。
以下に特徴を示す。
独自の燃焼構造により含水率 120%(DB)の生チップにも対応可能である。また、他社の同規模ボイラーと
比較してコンパクトであるため、省スペースの設置が可能である。灯油バーナー(8L/h)を搭載し自動着火を
可能にしている。また、緊急時のバックアップ運転も可能である。安全装置として逆火防止センサー、耐震セ
ンサー、各種温度制御などがあり安全な運転が可能である。
現在は 200kW までの機種しかないため、大規模なものを導入する場合には複数台必要となる。
① 燃料供給:スクリュー搬送方式により、チップを定量供給。
② 燃料プレッシャー:燃焼出力、含水率に応じた動作間隔で燃料層の厚さを均一に保ち同時に灰を排出。
③ 1 次燃焼室:高含水率チップを乾燥させながら燃焼。
④ 2 次燃焼室:一次燃焼室で燃え残った未燃分を燃焼。
⑤ 熱交換部:高温の燃焼ガスから、暖房に必要な温水を発生させる。
⑥ 煙突
⑦ 灰トレー:燃焼により発生した灰を収納。燃焼中も開閉し灰を捨てることができる。
⑧ 灯油バーナー:含水率に応じた着火設定により、安定した自動着火を行なう。
⑨ 無圧式温水発生器:缶体は大気圧で運転される無圧式のため、
「ボイラーおよび圧力容器安全規則」による
届出や取扱者の資格免許を必要としない。
(資料:メーカーカタログ)
外観
(資料:メーカーカタログ)
機器
型式
単位
WB100
WB200
使用
定格出力
kW
100
200
%
万円
mm
mm
mm
m
m2
900
2,325
1,600
900
―
8.6
ボイラー効率
参考価格
高さ
寸法
長さ
巾
必要ボイラー室寸法
伝熱面積
80
1,450
2,600
2,060
1,250
―
19.0
着火・消火方式
灯油ガンタイプバーナーによる自動着火、消火は OFF 選択に
よる自動消火。
自動運転の可否
可能
灰除去方法
灰トレーに収納。灰トレーは燃焼中も開閉可能。
届出・資格者
労働安全衛生法上は不要。
※本体、燃料搬送装置、煙道・煙突(サイクロン、エグゼクター排風機)
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第1章
木質バイオマス利用動向調査
株式会社タカハシキカン
特徴
・ボイラー製造の歴史が古く導入箇所に合ったオーダーメードのボイラーにも対応ができる。
・温水(KT-OR型)・蒸気(KT-S型)どちらのボイラーもある。ただし、生チップなど高含水率
燃料の利用は困難であり、含水率は60%(DB)までとなっている。2段燃焼方式の燃焼炉に貫
流式蒸気ボイラー一を組み込んだ設計となっている。
・ボイラーへ自動燃料投入装置をつけることで 24 時間運転も可能となっている。
・国内の製材所を中心に木屑焚きボイラー導入実績が多い。
外観
KT-OR 型チップボイラー
KT-S 型チップ蒸気ボイラー
資料:タカハシキカン社製品カタログ
機器
仕様
KT-OR 型(温水ボイラー)
型式
単位
KT-OR30
KT-OR50
KT-OR100
出力
kW
850
1,000
1,100
ボイラー効率
%
参考価格
寸法
70
万円
-
-
-
高さ
mm
1,900
2,000
2,,200
長さ
mm
1,700
1,900
2,100
巾
mm
1,000
1,200
1,200
m
―
―
―
必要ボイラー室寸法
着火・消火方式
手作業もしくは着火バーナー(オプション)による。
自動運転の可否
可能
灰除去方法
基本は手作業(オプションとして自動灰出し)燃焼室、集塵器の灰
だし扉より手作業にて除去
届出・資格者
温水の場合は、無圧式のため労働安全衛生法上は不要だが、蒸気の
場合は労働基準監督署への届出、規模により落成検査及び性能検査
が必要。ボイラーの取扱は、規模によりボイラー技士資格者が必要
となる。
11
第1章
木質バイオマス利用動向調査
シュミット(スイス)(取り扱い:株式会社巴商会)
特徴
海外製チップボイラーでは、最近導入実績のもっとも多いメーカーである。
国内での販売は、㈱巴商会が行なっている。以下に特徴について説明する。
<生チップを燃やす燃焼技術>
独特な移動式ストーカーによって燃焼炉を二段階構造にして、燃焼炉の下段で燃焼ガスの熱で燃料の水分を蒸
発させ、中段で完全にガス化燃焼させる。これにより生チップを乾燥させながら燃焼させる工夫をしている。
<最適な燃焼状態を保つ制御技術>
缶水温度、燃焼炉温度、排ガス酸素濃度、炉内圧、燃焼室の湿気などを測定して燃料チップの送り、速度、燃
焼炉への送風量、煙道での吸引風量を制御し様々な燃焼条件でもボイラーを最適な燃焼状態を常に維持する。
<公害対策>
欧州でも公害問題に最も厳しい水準を持つ規格のもとに、最適燃焼制御システム、煙道での燃焼灰や排ガスの
煤じんを除去する装置(サイクロン)、燃焼炉内の NOx 低減室などを設け排気ガス中の煤じんや CO、NOx など
の有毒物質の発生量を極力抑える。
<灰などの処理>
ボイラー煙管部には自動掃除装置が取り付けられ、面倒なボイラー掃除は不要で、常にボイラー効率を維持で
きる。また燃焼炉下段で発生する燃焼灰、煙道部分のサイクロンで集められた排ガス中の灰や煤塵については、
それぞれ灰処理ボックスに送られ、定期的に廃棄すればよい。
<ボイラー検査や資格・免許が不要>
輸入されたボイラーは、圧力容器の適用の受けない無圧缶水式に改造できるので、ボイラー使用検査や労働基
準監督所への届および取扱者の資格は不要。
<簡単な設置及び配管、コンテナ搭載>
屋外タイプでは、温水ボイラー用コンテナとサイロ用コンテナにシステムが組込まれ、納入現場の基礎コンク
リートの上に設置し、負荷側への配管をすればよい。
外観
機器
仕様
型式
単位
UTSR
100
UTSR
180
UTSR
240
UTSR
300
UTSR
360
UTSR
450
UTSR
550
定格出力
kW
100
180
240
300
360
450
550
ボイラー効率
%
参考価格
寸
法
高さ
長さ
巾
必要ボイラー
室寸法
80
万円
1,390
1,700
2,200
2,500
2,700
3,030
3,750
mm
mm
mm
2,550
2,530
950
4.20
×5.28
×3.45
2,550
2,550
1,150
4.05
×5.78
×3.65
2,550
2,750
1,150
4.05
×5.98
×3.65
2,600
2,950
1,250
4.10
×6.44
×3.75
2,900
2,950
1,250
4.10
×6.52
×3.75
2,900
3,450
1,440
4.38
×7.52
×4.34
2,900
3,450
1,440
4.38
×7.52
×4.34
m
着火・消火方式
手動着火。消火は OFF 選択による自動消火。
自動運転の可否
可能
灰除去方法
火格子と煙管部を一定時間ごとに掃除する自動クリーニング装置で灰を
着脱可能コンテナ型バケットに収納。
届出・資格者
労働安全衛生法上は不要。
※1 本体価格のみ(サイロ、建屋、配管等工事費別)
12
第1章
木質バイオマス利用動向調査
ポリテクニク 取扱会社:株式会社協和エクシオ、株式会社カナック
特徴
国内では㈱協和エクシオ及び㈱カナックが取り扱っている。以下に特徴について説明する。
・ 出力範囲は 200kw~20,000kw までのラインナップがある。
・ 高含水率のチップ・バークの燃焼が可能である(150%ドライベース)。
・ 各種センサーにより、最適な燃焼状態を保つ。
・ 燃料供給から灰の排出まですべて自動運転。
・ 燃焼炉は耐火レンガにより 20 年以上の長寿命。
・ マルチサイクロン式により排気ガスがクリーンである。
・ 圧縮空気により煙管を自動清掃する装置により、人力による手間を省き、ボイラー効率を維持。
タイマー制御により清掃間隔の設定が可能。
・ バックファイア防止等安全対策を確保。
・ 燃焼室自動監視システムにより、燃焼室酸素量、燃焼室温度及び圧力、缶水温度等を自動的に
調整することで、燃焼室内の最適な C-N 比の維持が可能。
・ 自動監視システムは、現場でのモニター管理のみならず、通信システムを利用したメーカー及
びメンテナンス会社等による遠隔監視も可能。
・ ボイラー運転データを可視化処理し監視画面上表示機能や、システム効率やグラフ等の様々な
様式の統計データとして保存するデータ処理システムは、要望により提供することが可能。
・ 温水(~95 度)、熱水(~120 度)、蒸気(~440 度)等の取り出しが可能。温度は要求仕様に
より決定
現在、徳島県上勝町の温泉宿泊施設や高知県の木材加工所への導入実績がある。
外観
(資料:メーカーカタログ)
機器
定格出力
kW
仕様
ボイラー効率
%
参考価格
寸法
高さ
長さ
巾
必要ボイラー室寸法
伝熱面積
着火・消火方式
万円
mm
mm
mm
m
m2
250
500
1,500
87.2
4,000
5,000
6,800
3,400
4,150
5,450
2,500
2,980
4,270
1,250
1,400
2,000
-
-
-
24.0
44.0
128.0
手動着火。消火は OFF 選択による自動消火。
自動運転の可否
自動運転可能
灰除去方法
燃焼灰は、自動でアッシュコンテナに排出される
届出・資格者
・温水の場合は不要(無圧式としている)
・熱水・蒸気の場合は要する
※1 本体価格のみ(サイロ、建屋、配管等工事費別)
13
第1章
木質バイオマス利用動向調査
タルボッツ(イギリス)
特徴
取扱会社:マルマテクニカ㈱
z 簡便な操作性
コントロールパネルはユーザーが簡単に扱え、適切な調整ができるよう、すべてのモータ
に対してインバーター・コントロールを行っている。
z 広範囲な熱出力
小規模な 50kW クラスから大規模な 4,000kW までのラインナップがある。
(温風、給湯、蒸気:3,500kW 以上は給湯のみ)
z 高効率なシステム
英国においては補助金対象となりうる基準を満たしたシステムである。燃焼装置は 80%以
上の高効率である。また英国内の排気ガス規制に対応している。
z 多様な燃料
木くず以外にも間伐材、ペレット、廃材、ボード、藁など多様な燃料に対応している。ま
た、高水分の燃料対応可能である。
z 高い耐久性
燃焼室内はセラミックレンガで構成され耐熱性が非常に高く高温燃焼に対応、800 度以上
の燃焼に耐えボイラーの寿命が長い。
タルボッツ社製チップボイラー仕組みより
外観
マルマテクニカカタログより
機器
型式
単位
BIO-C-1
BIO-C-2
BIO-C-3
BIO-C-4
BIO-C-5
仕様
定格出力
kW
50
100
150
300
600
ボイラー効率
%
参考価格
高さ
寸法
長さ
巾
万円
mm
mm
mm
1,700
2,530
2,000
1,500
2,300
2,670
3,000
1,500
80
1,200
2,050
1,000
1,000
1,300
2,170
1,250
1,000
1,500
2,355
1,500
1,250
着火・消火方式
手動着火。消火は OFF 選択による自動消火。
自動運転の可否
タイマー式で自動運転可能
灰除去方法
火格子と煙管部を一定時間ごとに掃除する自動クリーニング
装置で灰をバケットに収納。
届出・資格者
労働安全衛生法上は不要。
※本体価格のみ。実際に燃焼するためにはチップバンカーや配管または運送費、据付工事費用が必要になる。
14
第1章
木質バイオマス利用動向調査
ビンダー(オーストリア)(取り扱い:宇部テクノエンジ 株式会社)
特徴
・燃料となる木質バイオマス燃料の含水率に合わせて、レトルト型火格子燃焼タイプやストーカー型
火格子燃焼タイプなど取り揃えている。
・コンピュータ制御により、電気ヒーター式熱風による自動着火から定常運転に至るまで全自動運転
を行なう。光学的な燃焼監視機能による異常燃焼検知システムがある。非常時に備え、バックアッ
プのオイルバーナーを取り付けることも可能である。
・1,000℃を超える燃焼温度に対応する堅牢な構造を持っており、負荷変動率 25%~100%の範囲に対
応しているため、連続運転が行ないやすい。無圧式のため、
「ボイラー及び圧力容器安全規則」によ
る届け出及び取扱者の資格免許は不要である。
・国内でのチップボイラーの導入実績は現在のところない。
外観
資料:宇部テクノエンジ株式会社製品カタログ
機器
型式
単位
RR
80-175
RRK
130-250
RRK
200-350
RRK
400-600
RRK
640-850
定格出力
kW
149
230
250
350
650
ボイラー効率
%
仕様
参考価格
万円
-
-
-
-
-
寸法
高さ
mm
1,510
1,720
1,730
2,340
2,320
(燃料サイ
長さ
mm
1,355
1,650
2,120
2,460
2,950
ロを除く)
巾
mm
1,740
1,860
2,100
2,100
2,440
-
-
-
-
-
必要ボイラー室寸
法
※
最大 90
m
着火・消火方式
電熱ヒーターを用いた熱風着火。
自動運転の可否
可能
灰除去方法
炉内発生燃焼灰は自動的に炉外へ排出されコンテナに貯留される。
燃焼ガスに同伴された燃焼灰はサイクロンで捕集され下部コンテ
ナに貯留される。これらのコンテナを切り離し搬出可能。
届出・資格者
労働安全衛生法上は不要。
記述以外の型番も有
15
第1章
木質バイオマス利用動向調査
KOB(オーストリア)(取り扱い:株式会社 ヒラカワガイダム)
特徴
・稼動中ボイラーの熱交換部を圧縮空気により断続的にクリーニングするので、伝熱効果を長期に
わたり維持できる。
・対応チップ含水率は WB35-40%となっているが、オプションの予備乾燥機を設置することにより
60%まで対応が可能となる。
・チップ形状目安としては 10mmW×60mmL×5mmt以下。
・燃焼に関しては、ガスと同レベルの燃焼効率が得られ、完全燃焼により CO、NOX の排出を低く
抑えている。
・無圧式のため、「ボイラー及び圧力容器安全規則」による届け出及び取扱者の資格免許は不要。
・導入の実績はなく自社工場での実証用として 2004 年 5 月頃より使用されている。
(約 2 年が経過)
外観
資料:(株)ヒラカワガイダムホームページ
機器
型式
単位
PYROT
100
PYROT
150
PYROT
220
PYROT
300
PYROT
400
PYROT
540
定格出力
kW
80-100
120-150
180-220
250-300
340-400
460-540
ボイラー効率
%
参考価格 ※2
万円
2,200
2,300
2,630
2,800
3,300
3,630
高さ
mm
1,765
1,765
2,013
2,013
2,270
2,340
長さ
mm
2,194
2,444
2,444
2,794
2,850
3,080
巾
mm
1,050
1,050
1,330
1,330
1,590
1,590
必要
ボイラ
ー室
高さ
mm
3,000
3,000
3,500
3,500
4,000
4,000
長さ
mm
4,000
4,000
4,500
4,500
5,000
5,000
寸法
巾
mm
4,000
4,000
4,500
4,500
5,000
5,000
仕様
寸法
85~89% ※1
着火・消火方式
電熱式の点火ブロワの熱風により着火。
自動運転の可否
可能
灰除去方法
・炉内から灰溜めボックスへ移し、冷えた灰をスクリューコンベアにより大
型コンテナへ移動させる方式。
・コンテナに溜まった灰を撤去する。
届出・資格者
労働安全衛生法上は不要。
※1 ボイラー効率は木質資源によって異なる。※2 本体価格のみ(サイロ、建屋、配管等工事費別)
16
第1章
会社
特徴
木質バイオマス利用動向調査
MAWERA(ドイツ)
取扱会社:サピオ株式会社
MAWERA 社は長年にわたり、特にモジュラー密閉型を含めた下部供給タイプ燃焼システ
ムの開発、設計に取り組んできている。高度な技術を駆使した高品質の製品シリーズを自社
生産している。
《FU-RIA 型シリーズについて》
・ 全製品シリーズ(付属品も含む)で TUV の承認を取得しています。(NO.02-221-674)
・ 装置全体を内マイクロプロセッサーで自動制御。25%から 100%の稼働率で燃焼の水分
を自動的に検知し燃焼値を管理。
・ 絶縁耐火煉瓦の炉と効率設計された空気供給。あらゆる燃料を最高効率で燃焼。
・ 自社生産の煙管3本の性能は最適で堅牢設計。
・ 燃料をスクリューコンベアでサイロから供給する装置、最適な煙管クリーニング装置な
どを組み合わせて、チップ燃焼システムを構成。
・ 装置は丸型サイロにも角型のチップ貯蔵庫にも適応可能。
・ 自動消化装置、火災防護蓋、セルラーホイール口等に安全装置を装備。
・ 最小コストで稼動。
外観
資料:MAWERA 製品カタログ
機器
仕様
FU-RIA シリーズ
型式
単位
定格出力
ボイラー効率
寸法
高さ
(燃料サ 長さ
イロ除く) 巾
kW
%
mm
mm
mm
型式
定格出力
ボイラー効率
寸法
高さ
(燃料サ 長さ
イロ除く) 巾
FU110RIA
110
FU140RIA
FU180RIA
FU220RIA
140
220
2134
2288
1180
FU280RIA
1928
2160
1090
1928
2160
1090
180
88
2134
2288
1180
単位
FU350RIA
FU440RIA
FU550RIA
FU700RIA
FU850RIA
kW
%
mm
mm
mm
350
440
700
850
2330
2916
1280
2552
2990
1380
550
88
2763
2990
1480
2943
2990
1600
275
2330
2916
1280
3105
3730
1700
着火・消火方式
消火は OFF 選択による自動消火。
自動運転の可否
可能
灰除去方法
自動クリーニング装置と灰出スクリューで灰収納ボックスに灰を送る。
届出・資格者
労働安全衛生法上は不要。
17
第1章
会社
特徴
木質バイオマス利用動向調査
HERZ(オーストリア) 取扱会社:サピオ株式会社
国内に進出しているオーストリアの木質バイオマスボイラーメーカーであり、チップ、ペレット、
薪といった木質バイオマス燃料を利用したボイラーを販売している。国内の取扱会社は、サピオ
株式会社が請負っている。
《バイオマスボイラーについて特徴》
・モジュールごとに分けて出荷しており、コンパクトなサイズでの運送、搬入が可能
・耐火煉瓦のような大きな蓄熱部分を組み込んでいないため短時間での熱コントロールが可能そのため部分負荷
状態での燃焼も効率よく行え安全対策用の追加熱交換器などの必要もない.
・回転数制御式の空気吸引ファンによって低圧をコントロールし、最適な燃焼を実現し煙突の故障や問題発生を
未然に防ぐ
・内蔵されている炎監視装置により点火作業も全自動
・大きな住面積の暖房に適しており排気ガスの温度を理想的な状態に保つことができ、高い燃焼効率が得られる。
・熱消費にあわせて素早く出力を適応させることができるので理想的な燃焼効率が得られ、大気汚染物質の排出
も非常に少ない。
・熱交換器内の掃除も全自動
・灰の除去作業も全自動
・ボイラーの全自動制御による稼動で操作性の簡易性
外観
Firematic-シリーズ
Firematic-SR シリーズ
※型式は、25kW の小規模から 1,500kW の型式まで有
資料:HERZ 製品カタログ、HP より
Firematic-シリーズ
firematic-25
firematic-50
firematic-90
型式
仕様
定格出力
kW
9-30
15-50
27-90
高さ mm
1,465
1,465
1,725
寸法
(燃料サ 長さ mm
1,415
1,555
1,555
イロ除く) 巾
mm
2,500
2,500
2,700
Firematic-SR シリーズ
firematic-SR180
firematic- SR 220
firematic- SR 250
型式
定格出力
kW
54-180
66-220
75-250
高さ mm
1,750
1,750
1,750
寸法
(燃料サ 長さ mm
1,800
1,930
2,060
イロ除く) 巾
mm
2,700
2,700
2,700
firematic- SR 350
firematic- SR 400
firematic- SR 450
型式
定格出力
kW
105-350
120-400
135-450
高さ
mm
1,960
1,960
1,960
寸法
(燃料サ 長さ mm
2,150
2,280
2,410
イロ除く) 巾
mm
2,830
2,830
2,830
ボイラー効率
%
85
着火・消火方式
自動着火。消火は OFF 選択による自動消火。
自動運転の可否
可能
灰除去方法
自動クリーニング装置で灰を下部のボックスに収納。
届出・資格者
労働安全衛生法は不要。
機器
18
firematic-150
45-150
1,725
2,225
2,700
firematic- SR 300
90-300
1,960
2,020
2,830
firematic- SR 500
150-500
1,960
2,540
2,830
第1章
木質バイオマス利用動向調査
1.2 小国町における最適な木質バイオマスエネルギー導入について
1.2.1 小国町で利用する木質バイオマス燃料について
小国町における最適な木質バイオマスエネルギー導入を考えた場合、町内の未利用な
木質資源として切捨て間伐材(林地残材)や製材所残材が考えられる。また、今後の人
工林の適正管理を行う上で、発生する間伐材や里山整備による広葉樹材といったものが
木質バイオマスエネルギーとして利用することが考えられる。
これらの木質バイオマス資源を収集し燃料として利用することで、山林の適正管理や
保全に繋がり、また、一連の作業は町内の産業育成効果が期待できる。そこで、木質資
源を利用する際の燃料形態はペレットやチップが考えられる。ペレット燃料を利用する
場合は、町内にペレット生産施設がないため新設する必要がある。それには設備の整備
に時間・コストが掛かり即時の導入は難しいものと考えられる。また、町外からペレッ
トを購入した場合も、地域産原料の活用の観点から、町内の木質バイオマス資源を町外
の工場へ運送し、加工したペレット燃料を町へ運び利用することが考えられるが、原料
やペレット運送の費用等が高コストになることが懸念され、経済的にペレットの利用は
難しい状況にある。一方、木質チップを利用する場合、町内にチップ化する事業所があ
るため、木質資源を運びこみチップ化することで、そのままボイラー燃料として利用す
ることができる。ペレットと比較しても町内で生産が可能なため、加工・運搬に伴うコ
ストを抑えられ、新規事業として取り組みやすいメリットがある。
したがって、ペレットとチップを比較しても、小国町で利用する木質バイオマス燃料
は、経済性や町内産業活性化の効果が期待できる木質チップが適している。
1.2.2 小国町で利用する木質バイオマスエネルギー導入箇所について
小国町では、昭和61年から地域エネルギー開発利用モデル事業として日本重化学工業
(株)小国工場の廃熱エネルギーを利用して温水造成を行い、町の中心部に敷設された
導管によって小国町役場庁舎の床暖房と駐車場消雪、町道電興社宅5号線の歩道消雪、小
国大橋歩道消雪への熱供給を行っている。
現在、日本重化学工業(株)の業務転換により工場電気炉の運転中止に伴い、平成6年
からは廃熱エネルギー利用から重油ボイラーによる温水供給に切り替わっており、年間
約30万リットルの重油を消費しており、多量の化石燃料を消費している。また、重油ボ
イラー設置から12年が経過しているため設備更新の時期を迎えている。そこで、設備更
新の際に、町中心部に敷設された既存の熱供給導管や熱利用システムを有効活用し、現
在、熱源として利用されている重油ボイラーから木質チップボイラーに転換することで、
重油の消費を抑え、温室効果ガス削減といった環境的観点及び地域資源の利用による産
業の活性化という地域振興の観点から木質資源の活用を目指す。なお、チップボイラー
の設置場所に関しては、本調査で効率的な熱供給を行うために十分に検討する必要があ
る。
19