導入期の戦略 • 戦略の焦点 – 市場拡大、製品の認知、ブランド・アイデンティティ構築 • 取引先との関係 経営戦略論:第7回 製品寿命を管理する – 集中的に販促、大幅に割引する • 消費者との関係 – サンプルやクーポンで初期購入者を取り込む • 宣伝(規模は大) – 初期購入層を対象に、製品機能について訴求 宮崎正也 • 価格設定 – ①製品の初期投資を回収するため高くする • 上澄み価格戦略 – ②購入を促すため低くする • 成長志向価格戦略 1 5 価格政策と学習曲線 成長期の戦略 • 戦略の焦点 200 – 市場での浸透、ブランド選好 単 上澄み価格 位 100 当 た り 成長志向価格 コ ス 50 ト お よ び 価 格 10 1,000 • 価格設定 – ①最大限に利益を得るため高くする 利益志向価格 • 利益志向価格戦略 – ②製品を市場に浸透させるため低くする • 成長志向価格戦略(導入期から継続) • 取引先との関係 – 大規模な販促をひかえる(彼らから取引を求めてくる) コスト • 消費者との関係 – 顧客への割引よりも、広告宣伝を重視する(プル型) 10,000 累積生産量 • 宣伝(規模は中) 1,00,000 (Hofer & Schendel, 1978)(高橋, 2001) 6 – 大量に売れる市場を中心とし、 ブランド属性に焦点を当てる 成熟期の戦略 衰退期の戦略 • 戦略の焦点 • 戦略の焦点 – 市場シェアの防衛、ブランド・ロイヤリティ • 価格設定 – 市場に受け入れられる価格を維持 – 価格戦争を避け、競合が新規参入できない程度に 低くする • 取引先との関係 – 生産性の向上によるコスト削減 – 資産売却による現金化(撤退と他機会への投資) • 価格設定 – 不良在庫のリスクを避けるため低くする • 取引先との関係 – 棚スペースを確保するため大々的に販促・割引 – 大規模な販促をひかえ、利益の上がらない流通 チャネルを閉鎖する • 消費者との関係 – 自社ブランドへの切り替えを促す • 宣伝(規模は小) • 宣伝(規模は中) – 他社製品とのブランド力による差別化を徹底 7 – 在庫をなくすことに集中 9 (Doyle, 1976; Fleisher & Bensoussan, 2002)10 1 市場レベルの側面マーケティング ライフサイクルへの対処法 • ①既存顧客がその製品をより頻繁に多く使用するよ うに販売促進する • ②既存顧客がその製品を様々な用途で使用する方 法を開発する • ③その製品の市場を拡大することで新規の顧客を 創出する • ④その製品の全く新しい用途を見つけ出す • ニーズ – エネルギー補給飲料 – 体型補整下着 • ターゲット – 対象とする顧客グルー プを変更する – 女性用カミソリ – 大人向けサーカス » ①~④:再成長ベクトル(Levitt, 1965, p.89) • ⑤側面マーケティングで市場を再構築する • 場所 – 新しい効用を提供する • 時間 » (Kotoler & de Bess, 2003) • ⑥製品の寿命を宿命と受けとめて新製品の開発・ 投入を加速させる – 使用・消費の時機を変 更する » 「八ヶ岳マーチャンダイジング」(トリンプ) 12 – 昼用トリートメント – 時間貸し駐車場 – 使用・消費する新たな空 間を設定する – 店舗型靴磨き屋 – ニットカフェ • 状況 – 製品をイベントと関連づ ける – 受験と「キットカット」 – 土用の丑の日とウナギ • 経験 – 新たな経験を提供する – ロンドンバスで夜景ク ルージング・パーティー 16 トリンプ:八ヶ岳マーチャンダイジング 製品レベルの側面マーケティング • 代用:パッケージをガラスボトルから紙パック・PET ボトル・アルミ缶へ→ミルク, ジュース, ビール • 結合:ペダル+電気→電動自転車 • 逆転:書いても消えてしまうペン→ホワイトボード マーカー, フリクションボール(パイロット) • 除去:電話線のない電話→コードレスホン, ケータイ • 強調:毎日交換するコンタクトレンズ→使い捨てコン タクトレンズ • 並べ替え:石鹸を使う前に泡だけ欲しい→ハンド ソープ・ボトル • ショートセラーの連続投入(毎週、新製品投入) – 「いつ来ても新しい商品がある」=商品の鮮度を高める • 新製品の生産数量を従来比70%に抑制 • 生産は初回発注分のみ、追加生産はなし – 「今度来店した時にはもうない」=飢餓感をあおる • 売れ行きの鈍い商品は売れている店へすばやく移動 17 18 即買いの意思決定をもたらす要因 サントリーオールドの挑戦 • 1回の購入で終了 • 商品の目新しさが少ない=類似している • 購買・使用経験がユーザーに蓄積されている • 市場の再活性化につながる地道な啓蒙活動 • 「ウイスキーを愛する文化を創造する」 • ①酒販店を巻き込んだ「買い場づくり」 – 酒販店の店主などを山崎蒸溜所に招き,ウイス キーの良さを伝えて納得してもらう – ブレンダーも営業とともに店頭に立って説明する – ユーザーの好みが固まっている • 新製品の発売前から、情報誌や事前広告な どで製品情報が入手できる • 発売後、時間がたつと価値が減少していく • ②飲食店を巻き込んだ「飲み場づくり」 – 次々と新作が出る場合や、最新の流行に意味が ある場合 (新宅・和田, 2002) 20 – 大手居酒屋チェーンと共同で新メニュー開発 – 若者がウイスキーに触れて飲む機会を増やす (石井・廣田, 2009, pp.169-171) 21 2
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