金融論A 資料 2 金融制度

金融論A 資料 2
担当:楠美 将彦 e-mail:[email protected]
http://www.takachiho.ac.jp/˜mkusumi/index.html
2
金融制度
キーワード
アンダーライター業務
インターバンク市場
オーバーボローイング
オーバーローン
カウベル効果
株式の相互持合
間接金融
起債調整
業務分野規制
金融機関の同質化
金利スワップ取引
公的金融システム
財政投融資制度
市場の失敗
セリング業務
ソフトな予算制約
デ ィーラー業務
デリバティブ 取引
日本版ビッグバン
ブローカー業務
メインバンク制
モラルハザード
利益相反
ファイナンシャル・デ ィスインターミデ ィエーション
2.1
2.1.1
日本の金融構造
金融制度と金融構造
金融制度( 狭義)
銀行法や証券取引法など 、各種の法律によって定義される一国全体の金融組織の形態
金融制度( 広義)
法律によって規定された金融組織の形態にとど まらず、行政指導や慣行など によっても形づくられ
る金融取引の枠組み
金融構造( 金融システム )
法律、行政、慣行など に形成される広義の金融制度を中心にし て、金融市場の競争条件や金融の技
術水準、さらには 、経済の歴史的発展段階によっても規定される金融取引の仕組み、ないし 金融取引
の担い手である各経済主体を取り巻く金融環境
2.1.2
日本の金融構造の変化
50∼70 年代初頭まで (高度成長期)
• 企業の活発な設備投資
• 輸出の高い伸び
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→ 各種の競争制限的規制が行われた
( 業務分野規制、金利規制、内外市場分断規制、起債調整など )
( 目的 1:個人部部門の貯蓄資金を基幹産業を中心とする企業部門に低利で安定的に供給)
( 目的 2:設備投資・輸出主導による経済成長を金融面から支える )
高度成長期の金融構造の 4 つ特徴
間接金融の優位
企業部門が恒常的に金融機関からの借り入れに依存し 、個人部門から金融機関を介して企業部門
に資金が流れるという状況が支配的であった
• 個人部門が金融資産の選択において収益性よりも流動性・安定性を重視し 、預貯
金を中心とする資産に傾斜
• 間接金融の担い手としての金融機関の経営が安定していた
• 公共債の発行量が少なかった
• 資本市場の発展が阻害されていた( 金利規制、内外市場分断規制)
オーバーボローイング
企業部門の資金調達において金融機関の借り入れの依存度が著し く高い
• 企業の自己資金が不十分であり、外部資金調達に依存せざ るを得ない
• 株式や社債の発行による資金調達コストが割高であった
オーバーローン
日本の銀行部門が全体として恒常的に日本銀行借入れに依存している状況
• 金融機関が資金不足をもっぱら日本銀行借り入れによって調達したため
( 銀行など が企業の資金需要に積極的に応じたため資金不足が生じた)
資金偏在現象
都市銀行が恒常的に資金不足に陥る一方、その他の金融機関が恒常的に資金余剰であった。
そのため、インターバンク市場において前者は資金の借り手、後者は資金の貸し 手となる状況が
支配的であった
• 取引先に輸出・投資関連企業が多い都市銀行に資金需要が集中
• 社債の応募者利回りが低位に固定され 、都市銀行に多く割り当てられたた
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部門別資金過不足( 対 GDP 比率)の特徴( 安定成長期以降の状況)
1973 第一次オイルショック、変動相場制移行
個人部門 資金余剰幅は趨勢的に低下傾向
企業部門 近年は資金余剰基調が続いている( 資金不足&減量経営→バブル期の資金不足拡大→ 90 年
代の資金余剰)
公共部門 国債の大量発行など により 70 年代後半から 80 年代前半まで資金不足が深刻であったが財政
再建により不足幅は減少した。しかし 、近年は再び高水準の資金不足で推移
海外部門 80 年以降は資金不足(日本の経常黒字、輸出超過)拡大傾向にあったが 、近年は資金不足幅
が縮小している
金利自由化と金融国際化
2.1.3
金利自由化
• 国債の大量発行 → 国債流通市場の発展 → 現先・CD・TB・FB市場の発展 & 預金
金利自由化への圧力
ファ イナンシャル・デ ィスインターミデ ィエーションが生じた
( 金融機関からオープン市場への資金の流出)
(オープン市場の利回り > 金融機関の利回り )
→ 魅力ある商品の提供の必要性の高まり
新しい金融商品導入の流れ
1979
1981
CD
期日指定定期預金
ビッグ( 収益満期受け取り型貸付信託)
ワイド( 利子一括払い型利付金融債)
1985.3
1985.10
MMC( 市場金利連動型預金)
1994.10
普通預金など 流動性預金金利(当座預金を除く)の自由化
大口定期預金の金利自由化
金融国際化の進展
国内金融機関の対外進出の増大と国際業務の拡大、内外資金交流の活発化や円の国際化など の総称
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円の国際化
国内通貨とし ての円が貿易取引や資本取引の国際的な決算手段として用いられ 、さらには 、国際的
な価値尺度や価値貯蔵手段としても機能する
→ 日本は国際化にはほど 遠い
しかし
国際業務の比重増大や内外資金交流の活発化の点では進展している
( 都市銀行など の有力金融機関は 、世界の主要都市に現地法人を設立し 、証券業務、デリ
バティブ取引など を展開している。)
金融国際化の要因
• 変動相場制以降( 1973.2 )の内外の資金移動の活発化
• 情報技術の高度化
2.2
2.2.1
日本の金融制度と金融機関
日本の金融制度の特色
分業主義がその特徴
業務分野規制
金融機関を特定の業務分野に専門化させるため 、1 つの金融機関が複数の分野の業務を兼営するこ
とを制限ないし 禁止すること
目的:経済の自立と成長のために効率的、安定的に供給する体制が必要があった
長期金融と短期金融の分離( 長短分離) 長期金融を専門とする金融機関( 長期信用銀行、信託銀行)を新たに設けること
銀行業務と信託業務の分離
預金業務を専門に行う金融機関と信託業務を専門に行う金融機関とを分離する( 信託
専門銀行には預金業務は認められている) ←非常に厳しい
銀行業務と証券業務の分離( 銀証分離) 銀行が公共債以外の有価証券の引き受け・デ ィーリングなど の証券業務を行うことを
禁じる( 米国のグラススティーガル法を参考に「 証取法 65 条」で規定)
1. 価格変動のリスクが大きい株式や債券など の保有は 、銀行経営の安定性
を損なう可能性が大きいため
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2. 兼業することによって、預金者と投資家との間に利益相反が生じやすい
ため
3. 証券会社の保護育成を通じて過度の間接金融への依存を改めるため
この一連の流れの中で 、
公的金融機関が相次いで創設され 、公的金融の比重が極めて高いという特徴を生み出した 2.2.2
日本の金融機関
普通銀行( 商業銀行) 1. 預金の受け入れ 、2. 貸し 出し 、3. 為替を本業とする金融機関
1. 大都市に本店を置き、全国に多数の支店網を展開している都市銀行
2. 全国の代・中都市に本店を有し 、本店所在の都道府県を主な営業基盤とし ている地方銀行
3. 相互銀行から普通銀行に転換した第二地方銀行協会加盟行( 第二地銀)
都市銀行は大企業を含めた幅広い取引先をもつ。
地方銀行や第二地銀は 、主として中小企業向けの貸出を行う一方、預金の過半は個人の定期預金
で占められている
長期信用銀行
金融債を発行し 、長期貸し 出しを行う
( 預金の受入れ業務も可能だか、相手先が貸付先・国・地方公共団体など に限られ 、資金調達が
普通銀行とは異なる )
金融債:償還期間 5 年の利付金融債、償還期間 1 年の割引金融債がある( 長信銀以
外にも 、農林中央金庫、商工組合中央金庫など が発行可能)
信託銀行
信託業務と銀行業務がある( 分別管理のため、勘定も別である。)
信託業務
資金運用機能 資金の運用委託を受け、これを原資に証券投資や主に長期の融資を行う
財務管理機能 信託された様々な資産を管理する
預かる資産の種類からの分類
• 金銭の信託( 金銭信託、年金信託、貸付信託、証券投資信託など )
• 金銭以外の信託( 土地信託、動産信託、遺言信託など )
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表 1: 日本の金融組織
中央銀行
日本銀行
民間
預金取扱
金融機関
金融機関
普通銀行
都市銀行
地方銀行
第二地方銀行協会加盟地方銀行
在日外国銀行
長期金融機関
長期信用銀行
信託銀行
共同組織金融機関
信用金庫
信用組合
労働金庫
農業協同組合
漁業協同組合
共同組織金融機関の
信金中央金庫
中央機関等
全国信用協同組合連合会
労働金庫連合会
農林中央金庫
信用農業協同組合連合会
信用漁業協同組合連合会
商工組合中央金庫
その他の
証券関連
金融機関
証券会社
証券金融会社
証券投資信託委託会社
投資顧問会社
保険
生命保険会社
損害保険会社
各種共済制度
消費者信用
消費者信用会社
事業者信用
事業者信用会社
リース会社
その他
抵当証券会社
短資会社
公的
郵便貯金特別会計( 郵便局)
金融機関
財政融資資金・簡易保険・産業投資特別会計( 財投原資)
銀行
日本政策投資銀行
国際協力銀行
公庫等
国民生活金融公庫
中小企業金融公庫
中小企業信用保険公庫
農林漁業金融公庫
住宅金融公庫
公営企業金融公庫
沖縄振興開発金融公庫
政府関係融資事業団等
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協同組織金融機関
• 信用金庫
• 信用組合
• 労働金庫
• 農業協同組合など 農林漁業系統金融機関
共同組織形態の金融機関であり、会員または組合委員の相互扶助を目的とする非営利法人である
( 利益追求を目的として不特定多数の個人や企業と取引を行う銀行とは異なる )
( 貸出先も構成員である中小企業、勤労者など が主たるもの )
( 中央機関を設置し 、効率的な運用や相互協力を行っている)
保険会社
生命保険会社と損害保険会社がある( 1996 年以降は子会社方式による相互加入が可能)
不測の事故に備えようとする多数の保険加入者から保険料を徴収し 、所定の事故が発生した場合
に、契約した保険金を支払う
集められた保険料は、貸付金や有価証券投資など の形で運用されている( 産業資金の供給者であ
り、重要な機関投資家である)
証券会社
次の 4 つの業務がある
1. デ ィーラー業務( 自己売買)
2. ブローカー業務( 委託売買)
3. アンダーライター業務( 発行時の売れ残りを引き取る)
4. セリング業務( 発行時の売れ残りを引き取る義務はない )
※ 1998 年 12 月より免許制から登録制に移行した
2.2.3
金融機関の同質化
従来の分業主義の目的
• 専門化の利益の追求
• 安定的な金融制度の構築
• 信用秩序の維持
都市銀行と中小企業専門金融機関や長期金融専門金融機関との同質化が強まっている
( 金融構造の変化を背景に業務分野の規制が崩壊してきている )
例)都市銀行が融資対象の重点を中小企業や個人向け貸出に向けてきた
都市銀行が長期貸し 出しのウェイトを高めてきた
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業態別子会社方式の導入( 93 年 4 月 金融制度改革関連法)
銀行は、証券・信託業務を
信託銀行は 、証券業務を
証券会社は 、銀行業務または信託業務を
それぞれの子会社を通じて営むことができる
さらに 、デリバティブ 取引によって長期の資金と短期の資金を交換することが容易となり、実態と
して長短分離の原則が崩れつつある( 貸出債権の証券化も銀証分離の原則と矛盾する)
2.2.4
メインバンク制
メインバンク制の特徴
1. 企業が取引関係を持つ企業のうち、融資比率の最も高い銀行であり、企業とそのメインバンクの
間には長期的な取引関係が維持されている
2. 両者の取引関係は 、貸出取引だけでなく総合的・多面的ある
3. 「 株式の相互持合」や企業への役員派遣という資本関係、人的関係を通じて補強される
4. 企業が経営困難に陥ったときには 、メインバンクは大口債権者とし てイニシアティブをとり、関
係金融機関のなかで再建を目指して主導的な役割を果たす
5. 企業集団の中核となり、自ら属するグループ企業に優先的に資金を供給する( 系列融資)
メインバンク関係の弱体化
銀行借入の比率の低下
• 企業の内部資金依存度の増大
• 資本市場からの資金調達の拡大
企業はその時々において最も有利な金融サービスや取引条件を示した金融機関を選択する
ような状況が強くなってきた
情報通信技術の進捗や格付け機関の発達に伴って、情報生産の独占が困難になってきた
中小企業やベンチャー企業にとっては株式や社債の発行に制約があるため、借り入れが重要な資金
調達手段となっている
2.3
公的金融システム
財政投融資制度
郵便貯金、公的年金(厚生年金、国民年金)
、簡易保険積立金など 国の制度・信用に基づいて国民か
ら集められた資金が 、
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国の特別会計、政府系金融機関、公団・事業団、地方公共団体など の財政投融資対象機関を通じて
最終的には個人や民間企業あるいは地方公共団体など に貸し 出されたり、
国債の引き受けなど に用いられる仕組み
財政投融資活動( 第 2 の予算)
• 政府系金融機関を通じて貸し 出される政府の仲介活動( 公的金融)
• 高速道路や空港の整備など 、公共的事業の遂行
政府系金融機関:日本政策投資銀行( 日本開発銀行)、国際協力銀行( 日本輸出入銀行)、
住宅金融公庫など
2000.4 より預託義務の廃止( 全額自主運用 (市場での運用) )
従来:郵便貯金や公的年金など の形で集められた資金は 、資金運用部資金法に基づき、
原則とし て全額を大蔵省 (現財務省) 資金運用部に 一定の預託金利で預託する ことが 義務づけ
られ 、
その預託された資金を原資として特殊法人など 財投機関に
預託金利と同じ 財投金利で融資 してきた
財投機関の今後の資金調達手段
1. 自らの信用力を背景に「 財投機関債」を発行する
2. 信用力の劣る財投機関債には政府保証債を発行する
3. 自力で資金調達が困難な特殊法人( 財投機関)のために 、資金運用部に代わる財政融資資金特別
会計が「 財投債」を発行し 、調達した資金を貸し 付ける
財投融資制度( 公的金融制度)の目的
• 基幹産業( 電力、鉄鋼、造船など )や輸出産業の育成
• 基盤産業( 道路、港湾、地域開発など )の整備
• 中小零細企業の保護・育成
• 生活関連基盤の整備
公的金融の意義
政策的な観点から資金供給を確保することが必要であるにもかかわらず、
融資対象先の信用リスクが高すぎたり、
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長期・固定金利にも続く貸出のため金利変動リスクが無視できなかったり、
あるいは融資先の信用や担保力が不足しているなど の理由から 、
民間金融機関による資金供給が困難で、市場メカニズムになじ まない分野に
優先的かつ安定的に資金を供給する役割
• 市場の失敗が生じ る分野にも融資が行われる
• 政府系金融機関が最初に融資をすることで 、民間金融機関の融資を促進する効果( カ
ウベル効果( 呼び水効果))がある
公的金融システムの問題点
郵便貯金の増加、企業の借り入れ依存度の低下を背景に問題が顕在化
• 官業による民業の圧迫
• 資金の調達・仲介・運用が制度的に分離され 、政府の金融仲介機関とし て一体化した仕組みに
なっていない →金利の連動が不十分で、調達資金がそのまま運用に回る非効率が生じ る
• 政府の失敗と呼ばれるような公的部門特有の非効率が生じている
ソフトな予算制約と言われる予算に縛られずに、ずさんな支出を行ったり、採算を無視して非効
率な投資を行う
( 理由:経営責任の所在が不明瞭、最終的には公的支援が得られるだろうという当事
者の甘え(モラル・ハザード )がある)
• 財投機関が政策コストを十分に分析し ないまま融資を行い、結果として後年度の国民負担を招
いた
• デ ィスクロージャーが不十分
• ( 官庁の役人が特殊法人に天下りをする?)
市場規律を働かせ、市場メカニズムを活用することは避けられない
2.4
日本版ビッグバン
日本の金融制度は抜本的な改革が不可欠になってきた
金融サービ スの利用者が効率的な資金の運用・調達ができるように利便性の向上を図り、
また、海外の金融機関と競合する日本の金融機関の競争力を高め、環境変化に柔軟に対応
するため
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郵便貯金
自主運用
財投機関債
金融市場
( 政府保証債)
年金積立金
自主運用
( 厚生年金・
特会債
財政融資資金
財政投融資
( 財投債)
特別会計
対象機関
国民年金)
融資
特別会計余裕金等
預託
( 資金)
産業投資
投資
特別会計
表 2: 財政投融資の仕組み
3 つの基本理念( 96 年提唱、01 年完成目標)
1. フリー
2. フェア
3. グローバル
改革の内容
1. 金融業者間の相互参入を促進し 、自由で競争的な市場を作る
• 業態別子会社方式のもとでの業務範囲の見直し
• 証券会社の免許制の廃止
• 金融持株会社制度の活用( 米国では金融機関の大半がこの形 )
(この持株会社は企業の株式を投資目的ではなく、事業活動の支配のために保有する会社)
• 証券会社における取引所集中業務の撤廃
• ノンバンクの資金調達の多様化
• 株式委託手数料の完全自由化
2. 金融商品・サービスの選択肢の拡大や利便性の向上
• 証券総合口座
• 銀行における証券信託や保険の窓口販売
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• 有価証券の店頭デリバティブ取引
• 会社型投資信託
3. 信頼できる構成で透明な取引の枠組みやルールの整備( 市場インフラの整備)
• 金融当局の検査・監視・処分体制の充実
• 利益相反行為の防止
• インサイダー取引の禁止
• 今後:会計制度の整備、デ ィスクロージャーの促進、法制度の改革、など
国際基準(グローバル・スタンダード )との整合性が重要になる
金融の変化の問題点
4.
• 金融業者の種類や商品・サービスの種類に応じて取引ルールが異なるという事態は好まし くない
• すべての投資家に共通して適用し うる横断的で包括的なルールを整備する必要
※ 英国では 、ビッグバンの 1 年後の 87 年に「 金融サービス法( 現:金融サービス市場法)」が施
行された
投資家、投資物件を包括的に定義するとともに詐欺的もし くは誤解を招く説明や行為の禁
止など 一般的な規則を定めている
※ 日本でも 2001 年 4 月から金融商品販売法が施行された。しかし 問題点も残っている。
( 1. 顧客の知識・経験や資産状況に応じた販売を義務づけていない(「適合性の原則」の
欠如)、2. 金融機関と顧客との紛争を中立的に処理する第三者機関の創設の見送り、など )
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簡易用語集)
利益相反
例)ある企業に貸し付けを行っている銀行が、その企業の業務悪化を知りながら 、株式や社債の
発行を仲介し 、それで得た資金で貸し 付けを返済させる
CD( negotiable certificate of deposit )
:譲渡性預金証書 第三者に譲渡可能な銀行の預金証書
債券現先
一定期間後に一定価格での反対売買を約束して行う債券の購入( 売却)取引( 証券会社の重要な
資金調達手段であり、証券会社は、売り現先を行うことで資金を調達している。実質的には債券
を担保とする短期の資金貸借取引である。)
TB( Treasury Bills )
:短期国債、短期割引国債、割引短期国債 TBは、1970 年代後半から大量に発行された国債の、償還・借換えを円滑に行うための資金繰
りとし て、1986( 昭和 61 )年 2 月から公募入札方式で発行されている。
FB( Financing Bills ):政府短期証券 日本の政府が 、国庫の一時的な資金不足を補うために発行する短期の国債である。
( 従来は 、一
般会計が発行する大蔵省証券( 蔵券)
、食糧管理特別会計が発行する食糧証券( 糧券)、外国為替
資金特別会計が発行する外国為替資金証券( 為券)の 3 種類が発行されていたが 、1999 年 4 月
に政府短期証券とし て統合された。)
金融債
特定の金融機関が発行する債券であり、利付金融債と割引金融債がある。調達した資金は、いろ
いろな企業の長期資金の貸付に使われる。金融債は 、主に個人投資家によって購入されている。
利付金融債
利札(クーポン )が付いている債券で 、固定金利で、半年ごとに利息が支払われる。
( 償還期限 5 年( 信金中央金庫には 2 年物がある ))
( 発行元:みずほ 銀行・みずほコーポ
レート 銀行( 旧 日本興業銀行)、新生銀行、あおぞら銀行、農林中央金庫、商工組合中央
金庫、信金中央金庫)
割引金融債
発行時に利息相当分を額面金額から割り引いて発行し 、額面金額を返済する。
( 償還期限 1
年)
( 発行元:みずほ銀行・みずほコーポレート銀行( 旧 日本興業銀行)、新生銀行、あお
ぞら銀行、農林中央金庫、商工組合中央金庫)
購入時の割引額( 利息)に対する源泉分離課税は 18 %で、通常の金融商品の 20 %に比べ
て割安となっている。
ノンバンク
預金を受け入れずに融資業務を行う金融業者の総称( 登録制)
( 消費者向け貸金業者、クレジット会社、信販会社、リース会社など )
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期日指定定期預金
1 年間据え置けばいつでもペナルティなしで引き出せる定期預金である。同期間のスーパー定期
に比べて流動性は優れているが 、金利は低い。
ビッグ( 貸付信託収益満期受取型) 信託期間中に運用収益を再運用( 半年複利)する貸付信託で、収益配当金は満期時に一括して支
払われる。変動金利のため金利上昇期に強みを発揮する。半年毎に収益配当金を受け取らない
で、さらに大きく殖やし たい場合に利用することが基本となる。
ワイド( 利子一括払い型利付金融債) 利子一括支払型利付金融債。金利が固定のため、高金利時や金利低下局面で強みを発揮する。
大口定期預金
大口定期預金は定期預金の中で一番金利が高い商品である。金利については金融機関との相対
( 交渉)により決定される。
会社型投資信託
『会社型投信』は 、ファンド 自体が法人格を持っており、有価証券など への投資を専業とする会
社が 、株式( 投資証券)を発行し 、それを投資家が購入することで運用資金を集めるファンド で
ある。ファンド の購入者が、株主(投資主)となることにより、ファンド 運営に参加することで、
ガバナンス( 統治)機能の確立・自己責任原則の明確化など が図れる。
( 98 年 12 月より開始)
契約型投資信託
委託者( 投信会社)と受託者( 信託銀行等)との間で取り交わされる「 信託契約」に基づいて設
定された投資信託である。
( 日本の投資信託のほぼ全ては契約型投資信託である。)
コール市場
コール市場は 、金融機関のご く短期の資金( 原則として 1ヶ月未満)の貸借を行う市場である。
「 呼べばこたえる」というところから 、
「コール 」という名がついている。
東京ド ルコール市場
東京ドル・コール市場は、外国為替公認銀行間で短期の外貨資金貸借取引を行う場として、1972
( 昭和 47 )年 4 月に創設された。
円建BA (Banker’s Acceptance( 銀行引受手形)) 市場
輸出入業者など が貿易決済のために振り出し 、銀行が引き受けた期限付為替手形をBAという。
銀行は、自らを支払人とし て期限付為替手形を引き受け、BA市場で投資家やデ ィーラーに売却
して資金を調達している。BA市場は、ニューヨークやロンド ンでは発達しており、主要な短期
金融市場となっている。
円建BAは、円建期限付為替手形である。円建BA市場は 、金融機関や事業法人など が自由に参
加できる市場であり、1985( 昭和 60 )年 6 月の創設直後には 587 億円の残高( 1985 年 6 月末)
があったが 、現在のところ取引はほとんど ない。
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