商用車向けテレマティクス市場に関する調査結果 2014

2014 年 9 月 24 日
商用車向けテレマティクス市場に関する調査結果 2014
-2011 年度~2016 年度の CAGR は 31.5%で推移、ビッグデータ解析で成長の可能性も【調査要綱】
矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内の商用車向けテレマティクス市場の調査を実施した。
1.調査期間:2014 年 4 月~8 月
2.調査対象:国内外の商用車向けテレマティクス端末ベンダ等
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail 等によるヒアリング、及び文献調査併用
<商用車向けテレマティクスとは>
本調査における商用車向けテレマティクスとは、①運行動態管理システム端末、②オートリース車両(商用車)
運行動態管理システム端末、③複合機(端末)、④デジタルタコグラフ、⑤ドライブレコーダ、⑥スマートフォ
ン連携型運行動態管理システム端末を対象とする。運行動態管理システム端末とは搭載された GPS によって、走
行データをセンタ側で把握し、運行管理や、燃費、CO2 排出量などを把握し環境対策に活用するシステムである。
なかでもスマートフォン連携型とはこうした運行管理をスマートフォンに取り込まれたアプリケーションにて行
い、2015 年以降、車載器として活用が可能となる。複合機とは運行動態管理システム、デジタルタコグラフ、ド
ライブレコーダの内の 2 つ以上の機能を有するシステム端末である。デジタルタコグラフは法定三要素(速度、
時間、距離)をデジタル記録する車載器であり、2014 年の法改正により車両総重量 7 トン以上のトラックやバス、
タクシーに搭載義務が生じる。ドライブレコーダは映像や音声などの走行情報を自動的に記録する車載器である。
【調査結果サマリー】
◆国内商用車向けテレマティクス端末は順調に推移、2016 年度には 133 万台を予測
国内商用車向けテレマティクス端末の 2013 年度のメーカー出荷台数の合計は 552,000 台であり、2016
年度には 1,333,850 台まで拡大すると予測する。成長の背景には助成金など国によるユーザの導入
支援の後押しが挙げられる。また白ナンバー車両※においてもこうしたテレマティクス端末の搭載も想
定され、車両情報を活用したビッグデータ解析なども市場の成長要因と考える。
◆ 2030 年度の商用車向けテレマティクス端末は約 400 万台を予測、
ビッグデータ解析で成長の可能性
将来的にはテレマティクス端末から集約された走行データや運行動態などを活用したビッグデータ解
析ビジネスが本格化するとみる。現在、2030 年度の商用車用テレマティクス端末はメーカー出荷台数ベ
ースで約 400 万台を予測するが、こうしたビッグデータ解析ビジネスまでを含めると当該市場は
大きく拡大する可能性を秘めているものと考える。
◆ 資料体裁
資料名:「2014~15 年度版商用車向けコネクテッドカー/テレマティクス市場予測
-ITS 調査 VOL.1」
発刊日:2014 年 9 月 5 日
体 裁:A4 判 257 頁
定 価:150,000 円(税別)
◆ 株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝
設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/
本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/)
㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected]
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。
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2014 年 9 月 24 日
【調査結果の概要】
1. 市場概況と将来展望
国内商用車向けテレマティクス端末(本調査対象の主要品目)の 2013 年度のメーカー出荷台数の合
計は 552,000 台であり、2016 年度には 1,333,850 台まで拡大すると予測する。2011 年度から 2016 年度
までの年平均成長率(CAGR)は 31.5%で推移すると予測する。
この背景にはアナログ無線撤廃や緑ナンバー車両※へのデジタルタコグラフ搭載義務化があり、こうし
た措置に対する助成金等、国の支援体制が挙げられる。
またデジタルタコグラフについては 2014 年に法改正が実施され、更なる交通事故削減に向けて、こ
れまでの「車両総重量 8t 以上に搭載」から、当面は「同 7t 以上に搭載」となる。将来的には次世代運
行記録計(スマートタコグラフ)の装備が検討されており、緑ナンバー車両全てに搭載が義務づけられる
可能性があるものと考える。
さらに、白ナンバー車両※においてもこうしたテレマティクス端末の搭載拡大もあるとみており、車両情
報を活用したビッグデータ解析なども今後の市場の成長要因と考える。
将来的にはテレマティクス端末から集約された走行データや運行動態などを活用したビッグデータ解
析ビジネスが本格化するとみる。現在、2030 年度の商用車用テレマティクス端末はメーカー出荷台数ベ
ースで約 400 万台を予測するが、こうしたビッグデータ解析ビジネスまでを含めると当該市場は大きく拡
大する可能性を秘めているものと考える。
※ナンバープレートの色は事業用途により異なり、緑ナンバーは運送会社のトラックや宅配便、またバスなど、運賃制で輸
送を専門に行う事業者の車両である。白ナンバーは企業や店舗などが自社で所有する自家用車両であり、人や荷物の輸
送に伴い、運賃を得ることは禁じられている。
2.主要 4 品目別動向
2-1. 運行動態管理システム(オートリース車両を除く)
2013 年度の運行動態システム端末(オートリース車両を除く)のメーカー出荷台数は 147,000 台で、
2016 年度は 776,000 台を予測する。2011 年度から 2016 年度までの年平均成長率は 97.2%を予測する。
この急拡大の一因は、商用車専用車載システム端末のみならず、スマートフォン連携型運行動態管理
システムが本格化することである。特に白ナンバー車両(商用車)には、高価な専用車載システム端末で
なく、スマートフォン端末を利用するケースが増えていくものと考える。現下、スマートフォンの普及率を
考慮すると、こうした利用実態による拡大が予測される。
2-2. オートリース車両用運行動態管理システム
2013 年度のオートリース車両用運行動態管理システム端末のメーカー出荷台数は 130,000 台で、
2016 年度は 190,300 台を予測する。2011 年度から 2016 年度までの年平均成長率は 22.1%を予測す
る。
オートリース車両用テレマティクス端末は、一般的な運行動態管理システム端末とは違い、後付シス
テムのため、自社におけるシステム開発など独自色を出せるため、結果的に国内ではかなり先進的なシ
ステムとなった。車両情報や走行データ、走行中の画像データなどを組み合わせたリスク回避のシステ
ムとして、付加価値の高いデータの提供が可能であり、オートリース事業者にとっては収益に結びつくサ
ービスとなる。
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2014 年 9 月 24 日
2-3. 複合機
本調査における複合機(端末)は運行動態管理システム、デジタルタコグラフ、ドライブレコーダのうち、
2 つ以上の機能を有するシステムを対象とする。具体的には「デジタルタコグラフ+運行動態」「ドライブ
レコーダ+運行動態」「デジタルタコグラフ+ドライブレコーダ+運行動態」の 3 種類の複合機がある。
2013 年度の複合機のメーカー出荷台数は 203,000 台で、2016 年度は 282,550 台を予測する。2011
年度から 2016 年度までの年平均成長率は 14.6%を予測する。かつては装着が義務付けられていたデ
ジタルタコグラフを主体とした複合機が主流であったが、今後は複合機の多様化や搭載車両の拡大に
伴い、参入事業者間による競合が激しくなることが想定される。
2-4. 通信機能を持たない車載器(デジタルタコグラフ単体・ドライブレコーダ単体)
2013 年度の通信機能を持たない車載器(デジタルタコグラフ単体・ドライブレコーダ単体の合計)のメ
ーカー出荷台数は 72,000 台で、2016 年度は 85,000 台を予測する。2011 年度から 2016 年度までの年
平均成長率はマイナス 3.2%を予測する。この縮小の理由は、車両情報や走行データ等テレマティクス
の活用を見据え、通信機能が必須となってきたためと考える。
図表 1. 国内商用車向けテレマティクス端末出荷台数推移と予測
1,600,000
1,333,850
1,400,000
85,000
1,200,000
282,550
897,480
1,000,000
600,000
400,000
338,900
99,900
200,000
0
56,480
704,950
800,000
143,000
70,000 26,000
2011年度
393,550
51,950
72,000
240,000
203,000
96,550
160,000
105,000
552,000
280,000
173,000
776,000
150,000
130,000
2012年度
388,000
263,000
147,000
32,000
190,300
2013年度
2014年度
見込
2015年度
予測
2016年度
予測
(単位:台)
2011年度
26,000
①運行動態シ ステ ム端末(オートリース車両を除く )出荷台数
前年度比
②オートリース車両の運行動態シ ステ ム端末出荷台数
前年度比
③複合機(端末)出荷台数
前年度比
④デジ タル タコ グ ラフ単体・ドライブレコ ーダ単体出荷台数
前年度比
国内商用車テ レマテ ィクス端末出荷台数(主要品目合計)
前年度比
-
2012年度
2013年度
2014年度
見込
2015年度
予測
2016年度
予測
32,000
147,000
263,000
388,000
776,000
123.1%
459.4%
178.9%
147.5%
200.0%
70,000
105,000
130,000
150,000
173,000
190,300
-
143,000
150.0%
160,000
123.8%
203,000
115.4%
240,000
115.3%
280,000
110.0%
282,550
-
111.9%
126.9%
118.2%
116.7%
100.9%
99,900
96,550
72,000
51,950
56,480
85,000
-
338,900
96.6%
74.6%
72.2%
108.7%
150.5%
393,550
552,000
704,950
897,480
1,333,850
-
116.1%
140.3%
127.7%
127.3%
148.6%
2011年度~
2016年度
年平均成長率
97.2%
22.1%
14.6%
-3.2%
31.5%
矢野経済研究所推計
注 1. 国内出荷台数ベース
注 2. 商用車向けテレマティクス端末国内出荷台数は、①運行動態システム端末(オートリース車両を除く)、
②オートリース車両用運行動態システム端末、③複合機(端末)、④通信機能を持たない車載端末(デジタルタコ
グラフ単体・ドライブレコーダ単体)の主要品目の合計値
注 3. 見込は見込値、予測は予測値
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