抗悪性腫瘍剤 イリノテカン塩酸塩水和物 トポテシンによる下痢について 警 告 1. 本剤使用にあたっては、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与を開 始すること。 2. 本剤の臨床試験において、骨髄機能抑制あるいは下痢に起因したと考えられる死亡例が認められている。 本剤の投与は、緊急時に十分に措置できる医療施設及び癌化学療法に十分な経験を持つ医師のもとで、 本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与し、下記の患者には投与しないなど適応患者の選 択を慎重に行うこと。 (1)骨髄機能抑制のある患者 (2)感染症を合併している患者 (3)下痢(水様便)のある患者 (4)腸管麻痺、腸閉塞のある患者 (5)間質性肺炎又は肺線維症の患者 (6)多量の腹水、胸水のある患者 (7)黄疸のある患者 (8)アタザナビル硫酸塩を投与中の患者(「相互作用」の項参照) (9)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 3. 投与に際しては、骨髄機能抑制、高度な下痢等の重篤な副作用が起こることがあり、ときに致命的な経 過をたどることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)を行うなど、患 者の状態を十分に観察すること。 4. 骨髄機能抑制による致命的な副作用の発現を回避するために、特に以下の事項に十分注意すること。 (1)投与予定日(投与前24時間以内)に末梢血液検査を必ず実施し、結果を確認してから、本剤投与 の適否を慎重に判断すること。 (2)投与予定日の白血球数が3,000/mm3未満又は血小板数が10万/mm3未満の場合には、本剤の投 与を中止又は延期すること。 (3)投与予定日の白血球数が3,000/mm3以上かつ血小板数が10万/mm3以上であっても、白血球数 又は血小板数が急激な減少傾向にあるなど、骨髄機能抑制が疑われる場合には、本剤の投与を中止 又は延期すること。 なお、本剤使用にあたっては、添付文書を熟読のこと。 はじめに トポテシン(イリノテカン塩酸塩水和物、以下、イリノテカン)は、Ⅰ型トポイソメラーゼを阻害することに よりDNA合成を阻害し、抗腫瘍活性を示す癌化学療法剤です。1994年に販売開始後、現在までに小細胞肺癌、 非小細胞肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、胃癌(手術不能又は再発) 、結腸・直腸癌(手術不能又は再発) 、乳癌(手術 不能又は再発) 、有棘細胞癌、悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)に対する効能・効果を取得しています。 使用成績調査における本剤の主な副作用は、白血球減少(72.8%) 、好中球減少(60.6%) 、下痢(41.7%) 、 悪心・嘔吐(53.1%)でした。 本冊子では、特に「下痢」について、発現機序、発現状況、治療方法等を解説していますので、本剤を適正に 使用していただくためにご活用いただければ幸いです。 目 次 第Ⅰ章 イリノテカンによる下痢の発現機序 1 1 早発型 1 2 遅発型 1 第Ⅱ章 市販後における下痢の発現状況 2 1 下痢の報告例数 2 2 患者背景 2 3 下痢発現までの期間・投与回数 4 4 下痢の回復・軽快までの期間 5 5 下痢の処置 6 6 市販後における下痢の発現状況のまとめ 7 第Ⅲ章 下痢の治療方法 8 1 イリノテカンによる下痢対策 8 2 下痢の治療方法と作用機序 9 参考 Bensonらの抗癌剤における下痢の治療ガイドライン 10 第Ⅰ章 イリノテカンによる下痢の発現機序 1.早発型(本剤投与中あるいは投与直後に発現) :コリン作動性 イリノテカンのカルバミル基 (- O - CO – N -) は、アセチルコリンエステラーゼ阻害作用を示すと考えられます。 過剰となったアセチルコリンが、ムスカリン受容体を刺激して、コリン様作用〔平滑筋収縮(消化管、膀胱、 気管、胆嚢、子宮)、腺分泌亢進(唾液腺、涙腺、汗腺、膵液、胃液)、瞳孔収縮、徐脈〕を示すことにより、下 痢、腹痛等を発現すると考えられます。 C2H5 N イリノテカン N O O N O O N HO O C2H5 ・HCℓ・3H2O カルバミル基 図1.イリノテカンの構造式 2.遅発型(投与後24時間以降) :腸管粘膜傷害 イリノテカンは、肝臓のカルボキシルエステラーゼにより、活性代謝物(SN-38)に変換されます。さらに SN-38は、グルクロン酸転移酵素(UGT1A1)によりグルクロン酸抱合体(SN-38G)に変換され、胆汁から 腸管内へ排泄されます。 腸管内では、一部のSN-38Gが腸内細菌のβ-グルクロニダーゼにより脱抱合を受けてSN-38に変換されま す。SN-38によって、腸管粘膜が傷害され、遅発型の下痢を発現すると考えられます。 イリノテカン (CPT-11) P450 (CYP3A4/5) カルボキシル エステラーゼ (CES1/2) 活性本体 トランスポータ (SN-38) グルクロン酸 転移酵素 (UGT1A1) 別の代謝物 (APC・NPC) (MRP2/ABCC2, P-gP/ABCB1 BCRP/ABCG2) 解毒化 (SN-38G) 胆汁排泄 肝 腸管 SN-38G 下痢 尿中排泄 β-グルクロ ニダーゼ (腸内細菌) 腸肝循環 SN-38 SN-38 糞中排泄 抗腫瘍効果 骨髄抑制 図2.イリノテカン代謝経路 また、腸管内では、構造中のラクトン環がpHによって可逆的に開閉します。 SN-38の非イオン型(ラクトン体)が毒性を示すと考えられます。 C2H5 イリノテカン N N O O N C2H5 O N アルカリ性 O HO N N 非イオン型(ラクトン体) O N O 酸性 O C2H5 O N OH COOC2H5 HO イオン型(カルボキシル体) カルボキシルエステラーゼ C2H5 SN-38 N N OH O + HO O N N O HO O C2H5 アルカリ性 C2H5 HO 酸性 活性代謝物:非イオン型(ラクトン体) O N N HO OH COOC2H5 イオン型(カルボキシル体) UDP-グルクロニルトランスフェラーゼ(UGT1A1) C2H5 SN-38G グルクロン酸 O N C2H5 O N O HO O C2H5 非イオン型(ラクトン体) アルカリ性 酸性 グルクロン酸 O N HO OH COOC2H5 イオン型(カルボキシル体) 図3.イリノテカン及び代謝物のラクトン体/カルボキシル体の構造式 1 O N 第Ⅱ章 市販後における下痢の発現状況 1.下痢の報告例数 2007年4月から2010年3月までの3年間に、国内の副作用自発報告及び製造販売後臨床試験より、重篤*な下 痢が76例報告されました。 *: 重篤の基準 1.死亡: 副作用による死亡 2.死亡のおそれ: 副作用が起こった際に患者が死の危険にさらされていた場合 3.治療のための入院又は入院の延長 4.障害:日常生活に支障をきたす程度の機能不全 例)失明 5.障害のおそれ: 患者の体質によっては、日常生活に支障をきたす程度の機能不全に至るおそれのある 症状 6.1 ~5に掲げる症例に準じて重篤:上記1~5のような結果に至らぬように処置を必要とするような 重大な症状 7.先天異常: 妊娠前又は妊娠中に医薬品を曝露し、出生児に異常をきたしたと疑われる場合 2.患者背景 ①性別・年齢 男性(67%)が多く、患者の年齢は70〜79歳が32%、60〜69歳が37%でした。 9歳以下 2例(3%) 80歳以上 3例(4%) 女性 25例 (33%) 40-49歳 2例(3%) 50-59歳 17例 (22%) 70-79歳 24例 (32%) 男性 51例 (67%) 60-69歳 28例 (37%) 図4.性別 図5.年齢 〔平均:64歳〕 2 第Ⅱ章 市販後における下痢の発現状況 ②癌腫 重篤な下痢が発現した症例における癌腫別の内訳は、結腸・直腸癌(34%) 、小細胞肺癌(16%) 、非小細胞 肺癌(16%)が多く認められました。 胃癌 2例(3%) 原発巣不明 1例(1%) 乳癌 1例(1%) 適応外癌腫 12例(16%) 結腸直腸癌 26例(34%) 子宮頸癌 5例(7%) 適応外癌腫の内訳 卵巣癌 5例(7%) 非小細胞肺癌 12例(16%) 小細胞肺癌 12例(16%) 図6.癌腫別の内訳 食道癌 3 膵 癌 2 頭頸部癌 2 子宮体癌 1 子宮肉腫 1 肝 癌 1 前立腺癌 1 神経芽細胞腫 1 ③イリノテカンの投与方法 本剤は、他の抗癌剤との併用療法による使用(82%)が多く、単剤での使用は18%でした。 併用薬として、シスプラチン(CDDP, 20%) 、カルボプラチン(CBDCA, 18%) 、ティーエスワン(TS1, 18%)及びフルオロウラシル(5FU, 12%)が多く使用されていました。 5FUと併用された9例において、FOLFIRI療法〔本剤+5FU(急速及び持続点滴静注)+レボホリナート併用 療法〕が8例で施行されていました。 本剤とベバシズマブ(Bmab)との併用は3例で実施され、FOLFIRI+Bmab、IFL〔本剤+5FU(急速静注) +レボホリナート併用療法〕+Bmab、本剤+TS1+Bmab 各1例でした。 本剤とセツキシマブ(Cmab)との併用療法は3例で実施されていました。 Cmab併用 3例(4%) その他 7例(11%) 単剤 14例(18%) 5FU併用 9例(12%) CDDP併用 15例(20%) TS1併用 14例(18%) その他の内訳 ドセタキセル併用 2 2 マイトマイシンC併用 CBDCA併用 14例(18%) 図7.イリノテカンの投与方法 3 アムルビシン併用 1 ビンクリスチン併用 1 治験薬併用 1 第Ⅱ章 市販後における下痢の発現状況 3.下痢発現までの期間・投与回数 ①初回投与から下痢発現までの期間 本剤の初回投与から、2週以内に73例中48例(66%)、3週以内に73例中57例(78%)で下痢が発現してい ました。本剤の初回投与から3週以内は、特に下痢の発現に注意してください。 100 90 80 70 累 60 積 症 50 例 数 40 (%) 30 20 10 0 1週以内 2週以内 3週以内 4週以内 5週以内 6週以内 7週以内 8週以内 9週以降 図8.初回投与から下痢発現までの期間 〔中央値(範囲) :12(1〜1095)日〕 ②下痢発現までの投与回数 多くの症例では、本剤 2回投与以内(73例中52例:71%)で下痢が発現していましたが、3回投与以降で下 痢が認められる症例もありました。本剤 2回投与以内は、特に下痢の発現に注意してください。3回投与以降も 注意が必要です。 100 90 80 70 累 60 積 症 50 例 数 40 (%) 30 20 10 0 1回 2回 3回 4回 5回 6回 7回 8回以上 図9.下痢発現までの投与回数 〔中央値(範囲) :2(1〜32)回〕 4 第Ⅱ章 市販後における下痢の発現状況 ③最終投与から下痢発現までの期間 本剤の最終投与から、8日以内に72例中65例(90%)で下痢が発現していました。本剤の最終投与から8日 以内は、特に下痢の発現に注意してください。 100 90 80 70 累 60 積 症 50 例 数 40 (%) 30 20 10 内 以 日 14 日 以 内 内 13 内 以 日 12 以 日 内 11 内 以 日 10 内 以 9日 以 内 8日 以 7日 内 以 6日 内 以 5日 内 以 4日 内 3日 以 内 以 2日 1日 以 内 0 図10.最終投与から下痢発現までの期間 〔中央値(範囲) :5(1〜14)日〕 4.下痢の回復・軽快までの期間 下痢発現後、3週以内に53例中39例(74%) 、4週以内に53例中45例(85%)で回復・軽快していました。 100 90 80 70 累 60 積 症 50 例 数 40 (%) 30 20 10 0 1週以内 2週以内 3週以内 4週以内 5週以上 図11.下痢の回復・軽快までの期間 〔中央値(範囲) :12(2〜57)日〕 5 第Ⅱ章 市販後における下痢の発現状況 5.下痢の処置 ①処置の内容 重篤な下痢に対する処置が判明している症例は、88%(67/76)でした。 下痢の処置として、ロペラミド塩酸塩が投与された症例は、63%でした。そのうち8%の症例では、高用量の ロペラミド塩酸塩(注:日本では用法・用量外。Bensonらの抗癌剤における下痢の治療ガイドライン[P.10]参 照)が使用されていました。 その他の処置は、補液(45%) 、抗生剤(42%) 、半夏瀉心湯(24%) 、整腸剤(16%) 、収斂剤(11%)等が 実施されていました。 ロペラミド塩酸塩 8% 55% 補液 45% 抗生剤 42% 半夏瀉心湯 24% 整腸剤 16% 収斂剤 11% 抗コリン剤 8% オクトレオチド酢酸塩 7% 吸着剤 4% オピオイド系薬剤 4% 0% 10% 20% 30% 40% 図12.下痢に対する処置の内訳(重複あり) 6 50% 60% 70% 第Ⅱ章 市販後における下痢の発現状況 ②下痢発現前より使用された薬剤 下痢発現前より76例中15例(20%)で薬剤が使用されていました。 主に、半夏瀉心湯(12%)が下痢発現前より使用されていました。 不明 3例(4%) 有 15例 (20%) 無 58例 (76%) 図13.下痢発現前からの薬剤投与の有無 半夏瀉心湯 12% 経口アルカリ化剤 5% 整腸剤 3% ロペラミド塩酸塩 3% 0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14% 図14.下痢発現前より薬剤が使用された症例の内訳(重複あり) 6.市販後における下痢の発現状況のまとめ ・2007年4月〜2010年3月までの3年間に、国内の医療機関から報告された重篤な下痢は、76例でした。 ・本剤の最終投与から8日以内に72例中65例(90%)で下痢が発現し、発現後3週以内に53例中39例(74%) で回復・軽快していました。 ・下痢の治療には主にロペラミド塩酸塩が使用されていました。 7 第Ⅲ章 下痢の治療方法 1.イリノテカンによる下痢対策 早発型:コリン作動性と考えられ、副交感神経遮断剤の投与により緩和すると報告されています。 遅発型:下痢の程度に応じて、ロペラミド塩酸塩等の止瀉剤の投与を検討してください。 (腸管麻痺を引き起こすことがあるので、ロペラミド塩酸塩の漫然とした投与には注意が必要です) 開発時及び市販後の副作用報告から、次のような処置方法や注意点が考えられます。 ●軟便程度の軽度な下痢: ・経過観察、あるいはロペラミド塩酸塩や抗コリン剤等の投与により、回復すると考えられます。 ・トポテシンの投与を継続した場合「水様便」に高度化することがありますので、注意が必要です。 ●高度な下痢、腸炎: ・直ちにトポテシンの投与を中止してください。 ・水分・電解質バランスに十分注意し、必要に応じて適切な補液を検討してください。 ・高度な下痢に引き続き麻痺性イレウスを起こす例もありますので、ロペラミド塩酸塩等、腸管運動を抑制す る止瀉剤の継続投与は、注意が必要です。 ・高度な下痢の持続により、脱水、電解質異常、循環血液量減少性と考えられるショック(循環不全)を併 発するおそれがあります。 ・治療が奏効しない場合は、感染性腸炎(細菌性、真菌性、偽膜性腸炎等)の可能性も検討してください。 ●高度な下痢、腸炎に重篤な白血球・好中球減少を伴った場合 ・直ちに本剤の投与を中止し、腸管粘膜傷害による感染症、感染性腸炎を防止するため、G-CSFの投与や感 染症対策を検討してください。 ・偽膜性大腸炎の発現に注意が必要です。 8 第Ⅲ章 下痢の治療方法 2.下痢の治療方法と作用機序 表1. 下痢の治療薬と作用機序 分類 腸管運動抑制剤 薬剤 作用機序 使用時の注意事項等 ロペラミド塩酸塩 腸管のオピオイド受容体を 介して腸管蠕動運動の抑 制と水分・電解質の分泌抑 制・吸収促進を示す。 麻痺性イレウスを引き起こ すことがあるため、漫然と 使用しない。 コデインリン酸塩水和物 /モルヒネ塩酸塩水和物 腸管のオピオイド受容体に 選択的に作用して蠕動運動 を抑制する。 コデインリン酸塩水和物が 無効な場合、モルヒネ塩酸塩 水和物の使用を検討する。 抗コリン剤:ブチルスコ ポラミン臭化物 副交感神経遮断により、消 化管運動を抑制する。 早期下痢に使用する。 ポリカルボフィル カルシウム製剤 過剰の水分を吸着、消化管 通過時間を遅延させて排便 回数減少、水分吸収促進に より便性状を改善する。 天然ケイ酸アルミニウム 過剰の水分又は粘液等を 吸着する。また、粘膜被覆 作用を有する。 吸着剤 漢方製剤 抗生剤 ソマトスタチン アナログ 1日1〜2mg、分1〜2 コデインリン酸塩錠20mg の場合 1日60mg、分3 10〜20mg/回、 1日3~5回 1日1.5〜3g、分3 1日3〜10g、分3〜4 タンニン酸アルブミン 腸内でタンニン酸を遊離し て収斂作用を示す。 ロペラミド塩酸塩を吸着し て作用を減じるため、同時 併用しない。 併用する場合は2時間位あ けて使用する。 次硝酸ビスマス 収斂並びに粘膜面、潰瘍面 の被覆保護作用を示す。 — 耐性乳酸菌製剤 腸内を酸性化し、病原菌の 増殖を抑制して腸内細菌叢 を正常化する。 腸管内が酸性側に傾くこと が考えられるので、本剤と 同時併用を避けることが望 ましい。 1日3g、分3 半夏瀉心湯 腸内細菌のβ-グルクロニ ダーゼを阻害し、腸管内で SN-38グルクロン酸抱合 体の脱抱合を阻害すること により、SN-38による腸管 粘膜傷害を抑制する。 便秘の発現に注意する。 1日7.5g、分2〜3 (食前又は食間) ニューキノロン系抗菌剤 細菌のDNAジャイレース に作用してDNA複製を阻 害する。 細菌性の下痢に使用する。 レボフロキサシンの場合、 1回500mg、1日1回 オクトレオチド酢酸塩 腸管壁からの消化液分泌 の抑制、電解質・水分の吸 収促進、蠕動運動を抑制 する。 日本における効能・効果、 用法・用量外。 — 収斂剤 整腸剤 (乳酸菌製剤) ニューキノロン系抗菌剤の 吸収を阻害するため、同時 併用しない。 用法・用量※ ※ 用法・用量:各社の添付文書より抜粋。 ご使用に際しては、各薬剤の添付文書をご確認ください。 9 1日3〜4g、分3〜4 1日2g、分2〜3 参考情報 Bensonらの抗癌剤における下痢の治療ガイドライン(日本語訳)* 下痢症状の評価 ・下痢の発現日、持続期間 ・排便回数、便性状(例:水様便、血便、夜間下痢) ・発熱、目眩、腹痛・仙痛、衰弱の症状確認(敗血症、腸閉塞、脱水のリスクを除外) ・併用薬の確認(下痢を起こす薬剤の有無) ・食事内容の確認(下痢誘発性の食事の有無) 軽度な下痢で合併症無し 下痢 (グレード1∼2) 高度な下痢 又は 軽度な下痢で合併症あり リスクファクターがある場合 下痢(グレード3∼4)、又は 下痢(グレード1∼2)で以下の 症状あり −患者管理− 仙痛、悪心・嘔吐(≧グレード2)、 PS低下、発熱、敗血症、好中球減少症、 明らかな出血、脱水 ・乳糖含有食品、アルコール、高浸透圧性補助食品の中止 ・1日8-10杯の水分補給(例:スポーツドリンク、スープ) ・少量の食事を頻繁に摂取(例:バナナ、米飯、アップルソース、トースト、パスタ) ・患者を指導し症状を記録(排便回数、便性状、発熱/目眩等の随伴症状) ・グレード2の下痢の場合、症状が回復するまで化学療法を休薬し、次コースより 減量を考慮 −治療− ロペラミド塩酸塩4mg投与、以降4時間毎(又は軟便毎)に2mg投与 12∼24時間後に再評価 下痢未回復 下痢持続(グレード1∼2) ・ロペラミド塩酸塩を2時間毎に2mg投与 ・経口抗生剤の投与開始 ・症状観察 −下痢回復− ・食事指導の継続 ・固形食を徐々に追加 ・12時間以上下痢を認めない場合は ロペラミド塩酸塩の投与を終了 下痢増悪 (グレード3∼4) 12∼24時間後に再評価 下痢未回復 下痢持続(グレード1∼2) 下痢増悪 (グレード3∼4) (発熱、脱水、好中球減少症、及び血便なし) −入院管理− −外来にて再検査− ・便検査〔潜血、便中白血球、細菌検査(Clostridium difficile, サルモネラ, 大腸菌, Campylobacter, 感染性腸炎) 〕 ・末梢血液検査、電解質検査、腹部症状の検査 ・輸液と電解質補充を適宜交換 ・ロペラミド塩酸塩を中止、二次治療開始 オクトレオチド酢酸塩(100̶150μg皮下注、500μgまで増量) その他の二次治療薬(例:アヘンチンキ) ・オクトレオチド酢酸塩投与 (100-150μg皮下注、又は25-50μg/hr静注、 脱水が高度な場合は500μgまで増量) ・必要に応じて輸液や抗生剤の投与 (例:フルオロキノロン) ・便検査、末梢血液検査、電解質検査 ・症状が全て回復するまで化学療法を休薬し、 次コースより減量 *:Benson, AB et al: J Clin Oncol. 22(14), 2004: 2918-26 "Reprinted with permission. © 2008 American Society of Clinical Oncology. All rights reserved." 注意:ロペラミド塩酸塩、オクトレオチド酢酸塩については、日本における効能・効果、用法・用量と異なっていますので、ご使用に際しては 各薬剤の添付文書をご確認ください。 10 「投与時のチェックシート」をご活用ください 等 携帯用の 【付箋版】 【ポケット版】 11 12 (2)併用注意(併用に注意すること) 主な副作用の発現頻度 薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 他の抗悪性腫瘍剤、 放射線照射 骨髄機能抑制、下痢等 の副作用が増強するこ とがある。 患者の状態を観察しな がら、減 量 するか又 は 投与間隔を延長する。 併用により殺細胞作用が 増強される。 種 類 血 液 白血球減少 末梢性筋弛緩剤 末梢性筋弛緩剤の作用 本剤の動物実験で、筋収 が減弱するおそれがある。 縮増強作用が認められて いる。 CYP3A4 阻害剤 アゾール系抗真菌剤 (ケトコナゾール、 フルコナゾール、 イトラコナゾール、 ミコナゾール 等) マクロライド系抗生剤 (エリスロマイシン、 クラリスロマイシン 等) リトナビル ジルチアゼム塩酸塩 ニフェジピン モザバプタン塩酸塩 等 グレープフルーツジュース 骨髄機能抑制、下痢等 の副作用が増強するお それがある。 患者の状態を観察しな がら、減 量 するか又 は 投与間隔を延長する。 本剤は、主にカルボキシ ルエステラーゼにより活 性代謝物 ( SN-38)に変換 されるが、CYP3A4によ り一部無毒化される。 CYP3A4を阻害する左記 薬 剤 等との 併 用により、 CYP3A4 による無毒化が 阻害されるため、カルボ キシルエステラーゼによる SN-38 の生成がその分増 加し、SN-38 の全身曝露 量が増加することが考え られる。 本剤の活性代謝物 ( SN38) の血中濃度が低下し、 作用が減 弱するおそれ がある。 本剤投与期間中は左記 薬 剤・食 品との 併 用を 避けることが望ましい。 本剤は、主にカルボキシ ルエステラーゼにより活 性代謝物 ( SN-38)に変換 されるが、CYP3A4によ り一部無毒化される。 CYP3A4を誘導する左記 薬 剤 等との 併 用により、 CYP3A4による無毒化が 促 進されるため、カルボ キシルエステラーゼによる SN-38 の生成がその分減 少し、SN-38 の全身曝露 量が減少することが考え られる。 CYP3A4 誘導剤 フェニトイン カルバマゼピン リファンピシン フェノバルビタール 等 セイヨウオトギリソウ ( St.John'sWort:セ ント・ジョーンズ・ワー ト)含有食品 ソラフェニブトシル酸塩 * ラパチニブトシル酸塩 水和物 ( SN骨髄機能抑制、下痢等 本 剤 の活 性 代 謝 物 の副作用が増強するお 38)は、主 に 肝 のUDPそれがある。 グルクロン酸転移酵素1A1 患者の状態を観察しな ( UGT1A1)によりグルク がら、減 量 するか又 は ロン酸 抱 合 体 ( SN-38G) 投与間隔を延長する。 となる。UGT1A1阻害作 用のあるソラフェニブトシ ル 酸 塩との 併 用により、 本剤及び本剤の活性代謝 物 ( SN-38)の血中濃度が 上昇する可能性がある。 骨髄機能抑制、下痢等 の副作用が増強するお それがある。 患者の状態を観察しな がら、減 量 するか又 は 投与間隔を延長する。 承認時までの 市販後の 臨床試験 第Ⅲ相臨床試験 全症例調査注) (単独療法) 単独療法 併用療法 合計 (15,385例対象) (1,134例対象) (127例対象) (224例対象) (351例対象) 機 序 は 不 明 だ が、ラパ チニブトシル酸塩水 和物 との併用により、本剤の 活性代謝物 ( SN-38)の AUCが約 40%増加したと の報告がある。 4 .副作用 〈承認時までの臨床試験〉 単独投与による臨床試験において、本剤との因果関係が否定できない死 亡例が、 全投与症例1,245例中55例 (4.4%) に、 適格例1,150例中45例 (3.9%) に認められた。 本剤単独投与による安全性評価症例 1,134例中、認められた主な副作用 は次表のとおりであった。 〈非小細胞肺癌に対する第Ⅲ相臨床試験〉 非小細胞肺癌に対する第Ⅲ相臨床試験における本剤投与例(シスプラチン と本剤併用療法群234例:1コースを4週間としてシスプラチン80mg/m² を第1日に、本剤60mg/m²を第1、8、15日に投与、本剤単独療法群130例: 1コースを4週間として本剤100mg/m²を第1、8、15日に投与)において、 本治療との因果関係が否定できない死亡例が、全投与症例364例中3例 (0.8%: シスプラチンと本剤併用療法群2例、本剤単独療法群1例)に認められた。 シスプラチンと本剤併用療法群及び本剤単独療法群における安全性評価 症例351例中、認められた主な副作用は次表のとおりであった。 〈市販後の全症例調査〉 再審査期間中(平成 6年 4月〜平成 12年 1月)に、本剤との因果関係が否 定できない死亡例が、本剤投与例16,549例中188例(1.1%)に認められた。 市販後に行われた副作用発生状況調査(平成6年 4月〜平成 7年 3 月) 、使 用成績調査(平成 7年 4月〜平成 12年 1月)などの全症例調査における調 査終了症例15,385 例中、認められた主な副作用は次表のとおりであった。 78.9% 70.9% 90.6% 83.5% 73.1% (2,000/mm³未満 (2,000/mm³未満 (2,000/mm³未満 (2,000/mm³未満 (2,000/mm³未満 のもの33.5%) のもの11.0%) のもの39.3%) のもの29.1%) のもの34.5%) ヘモグロビン 54.8% 66.9% 90.6% 82.1% 57.3% 減少(貧血) 血小板減少 15.3% 2.4% 19.6% 13.4% 28.0% 消化器 下 痢 60.6% 72.3% 68.1% 43.0% 61.9% (高度なもの20.4%)(高度なもの15.0%)(高度なもの12.5%)(高度なもの13.4%)(高度なもの10.2%) 74.1% 71.7% 91.5% 84.3% 52.5% 悪心 ・ 嘔吐 75.4% 82.7% 94.6% 90.3% 48.1% 食欲不振 23.2% 25.2% 36.2% 32.2% 12.2% 腹 痛 2.3% 17.3% 16.1% 16.5% 1.6% 腸管麻痺 (腸閉塞0.8%) (腸閉塞1.6%) (腸閉塞1.3%) (腸閉塞1.4%) (腸閉塞0.4%) 0% 0% 0% 0% 0.03% 腸管穿孔 0.3% 0% 0% 0% 0.1% 消化管出血 0% 0% 0% 0% 0.1% 大腸炎 0% 0% 0% 0% 0.04% 小腸炎 0% 0% 0% 0% 0.1% 腸炎(部位不明) 肝 臓 肝機能障害 黄 疸 0% 0.1% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 1.2% 0.06% 腎 臓 急性腎不全 0% 0% 0% 0% 0.05% 呼吸器 間質性肺炎 1.3% 2.4% 0.4% 1.1% 0.9% 循環器 心筋梗塞 狭心症発作 心室性期外収縮 0% 0% 0.4% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0.01% 0.02% 0.04% 注)副作用発生状況調査1,040例、使用成績調査13,935例、非小細胞肺癌に 対する第Ⅲ相臨床試験 351 例、子宮頸癌・卵巣癌に対する併用第Ⅱ相臨 床試験 56例、非ホジキンリンパ腫に対する併用第Ⅰ相臨床試験 3例の 集計 (₁ )重大な副作用 副作用発現頻度は、承認時までの臨床試験( 1,134 例) 、市販後の全症例 調査(平成 6 年 4 月〜平成 12 年 1 月:15,385 例)及び副作用自発報告(平 成12 年1 月〜)の結果により記載した。 1 )骨髄機能抑制:汎血球減少(頻度不明) 、白血球減少(73.4%) 、好中 球減少( 60.2%) 、血小板減少( 27.2%) 、貧血( 57.1%)等があらわれ るので、末梢血液の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、 減量、休薬等の適切な処置を行うこと。 また、高度な骨髄機能抑制の持続により、次のような疾患を併発し、 死亡した例も報告されているので、頻回に血液検査を実施し、観察 を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な 処置を行うこと。 ・重症感染症(敗血症、肺炎等) 重篤な白血球・好中球減少に伴い、敗血症(頻度不明)、肺炎(頻度 不明)等の重症感染症があらわれることがある。 ・播種性血管内凝固症候群( DIC) 重篤な感染症、血小板減少に伴い、播種性血管内凝固症候群(頻度 不明)があらわれることがある。 2)高度な下痢、腸炎:下痢( 44.3%) 、大腸炎( 0.1%) 、小腸炎(0.04%) 、 腸炎(部位不明:0.1%)があらわれるので、観察を十分に行い、異常 が認められた場合には、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。 なお、高度な下痢の持続により、脱水、電解質異常、ショック(循環 不全:頻度不明)を併発し、死亡した例も報告されているので、十分 に注意すること。 3)腸管穿孔、消化管出血、腸閉塞:腸管穿孔( 0.02%) 、消化管出血(下血、 血便を含む:0.1%) 、腸管麻痺( 1.7%) 、腸閉塞( 0.4%)があらわれ ることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、 投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 なお、腸管麻痺・腸閉塞に引き続き腸管穿孔を併発し、死亡した例 が報告されている。これらの症例の中には、腸管蠕動を抑制する薬 剤(ロペラミド塩酸塩、モルヒネ硫酸塩水和物等)の併用例があるので、 腸管蠕動を抑制する薬剤を併用する場合には、特に注意すること。 4)間質性肺炎:間質性肺炎(0.9%)があらわれることがあるので、定期 的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、 投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 5)ショック、アナフィラキシー様症状:ショック(頻度不明) 、アナフィ (次頁に続く) 9 13 ラキシー様症状(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十 分に行い、呼吸困難、血圧低下等の異常が認められた場合には、投 与を中止し、適切な処置を行うこと。 6 )肝機能障害、黄疸:肝機能障害( 1.1%) 、黄疸( 0.06%)があらわれる ことがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常 が認められた場合には、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。 7)急性腎不全:急性腎不全(0.05%)があらわれることがあるので、定 期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、 減量、休薬等の適切な処置を行うこと。 8)肺塞栓症、静脈血栓症:肺塞栓症(頻度不明) 、静脈血栓症(頻度不明) があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められ た場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 9)脳梗塞:脳梗塞(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十 分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な 処置を行うこと。 10)心筋梗塞、狭心症発作:心筋梗塞( 0.01%) 、狭心症発作( 0.02%)が あらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた 場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 11)心室性期外収縮:心室性期外収縮( 0.05%)があらわれることがあるので、 観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するな ど適切な処置を行うこと。 ( ₂)その他の副作用 次表の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が 認められた場合には必要に応じ投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 消化器 50%以上 5〜50%未満 悪心・ 嘔吐 胃潰瘍、胃・腹部 食欲不振、 食道炎、吐血、 不快感、胃炎、 腹痛 腸管運動亢進、 しゃっくり、腹部膨満 消化不良、便秘 感、口内炎 5%未満 頻度不明 肝 臓 AST ( GOT)上昇、 ALT ( GPT)上昇、 ALP上昇、ビリルビ ン上昇、LDH 上昇、 γ-GTP上昇 腎 臓 腎機能障害 ( BUN 上 乏尿 昇、クレアチニン上昇 等) 、クレアチニンク リアランス低下、電解 質異常、蛋白尿、 血尿、尿沈渣異常 呼吸器 呼吸困難、 PaO2 低下、 咽頭痛、咳嗽 気管支炎、上気道炎、 咽頭炎、鼻炎 過敏症 皮 膚 精 神 神経系 脱毛 発疹、そう痒感 蕁麻疹 色素沈着、浮腫、 発赤 帯状疱疹、 粘膜炎 しびれ等の末梢神経 障害、頭痛、めまい、 精神症状、意識障害、 傾眠、興奮・不安感、 不穏 痙攣、耳鳴、 味覚異常、 抑うつ状態、 目のかすみ、 不眠、振戦、 構語障害 5%未満 頻度不明 循環器 50%以上 5〜50%未満 頻脈、心電図異常、 血圧低下、動悸 不整脈、徐脈、 心房細動、高血圧 その他 倦怠感、発熱、熱感、 発汗、顔面潮紅、 疼痛、腰痛、腹水、 鼻汁、好酸球増加、 総蛋白減少、 アルブミン減少、 カルシウム異常、 尿酸異常、尿ウロビリ ノーゲン異常、糖尿 脱水、コリン作動 性症候群、悪寒、 胸部不快感、 胸痛、関節痛、 筋痛、鼻出血、 脱力感、無力症、 疲労、体重増加、 体重減少、LDH 低下、 白血球増加、 血小板増加、 白血球分画の変動、 CRP 上昇、注射 部位反応(発赤、 疼痛等) 、血管炎、 流涙 (注)承認時までの臨床試験(1,134例) 、市販後の全症例調査(平成 6 年 4 月〜平 成 12年 1月:15,385例) 、副作用自発報告(平成 12年 1月〜)及び海外にお ける副作用報告の結果により記載した。 5 .高齢者への投与 一般に高齢者では生理機能が低下しており、排泄が遅れることから、骨 髄機能抑制、下痢等の副作用に注意し、異常が認められた場合には、回 復を十分に確認してから投与を行うなど、投与間隔に留意すること。 6 .妊婦、産婦、授乳婦等への投与 (₁ )妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。 [動物実験(ラット、ウサギ)で催奇形作用が報告されている。 ] (₂ )授乳中の婦人には授乳を中止させること。 [動物実験(ラット)で乳汁中 に移行することが報告されている。 ] 7 .小児等への投与 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立して いない(使用経験が少ない) 。 8 .適用上の注意 (₁ )調製時:本剤は細胞毒性を有するため、調製時には手袋を着用するこ とが望ましい。皮膚、眼、粘膜に薬液が付着した場合には、直ちに多 量の流水でよく洗い流すこと。 (₂ )投与経路:必ず点滴静脈内投与とし、皮下、筋肉内には投与しないこと。 (₃ )投与時: 1)静脈内投与に際し、薬液が血管外に漏れると、注射部位に硬結・壊 死を起こすことがあるので薬液が血管外に漏れないように投与する こと。 2)本剤は、輸液に混和後、できるだけ速やかに投与すること。 3)本剤は光に不安定なので直射日光を避けること。また、点滴時間が 長時間に及ぶ場合には遮光して投与すること。 9 .その他の注意 欧州における進行性小細胞肺癌を対象とした無作為化第Ⅲ相臨床試験に おいて、本剤とシスプラチン併用投与群(本剤 80mg/m2 を第 1 、8日目、 シスプラチン 80mg/m2 を第 1 日目に投与し 3 週毎に繰り返す)での治療関 連死が 39 例中 4 例に認められ、臨床試験が中断された。その後、本剤の 投与量を 65mg/m2 に減量し、臨床試験は再開され、試験は終了となった。 なお、本剤減量後の治療関連死は 202 例中7例であった。 *2011年8月改訂(第14版) 10 TOP7AT1502 2012年3月作成
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