ダウンロード - 技研商事インターナショナル

GSI Monthly Report
2011. May.Vol.4
コラム
『消費トレンドの空間解析の意義』
~アンケートデータの小地域空間表現について~
自主調査
『センサスデータで測る鉄道沿線イメージ』
~IPFデータで見る沿線の魅力~
イベント
5月無料セミナーのご案内(東京・大阪)
過去セミナー資料無料進呈中
6月展示会のご案内
4月セミナーご報告(東京・大阪)
リリース
最新サービス、データのリリース情報
技研商事インターナショナル株式会社
Giken Shoji International Co., Ltd. (GSI)
1 エリアマーケティングコラム
『消費トレンドの空間解析の意義』
~アンケートデータの小地域空間表現について~
ファイン・アナリシスLLC
代表 鈴木 英之
エリアマーケティングにおいて国勢調査等のいわゆるセンサスデータは、その信頼性から必須のデータとなっています。た
だ、元来エリアマーケティング用に設計された調査データではない為、定性的な観点でエリア分析をするには限界があるのも
事実です。消費トレンドindexデータは、こうした背景から生まれたデータです。
1
小地域「定性」情報の重要性
【はじめに】
消費市場の成熟化とライフスタイルの多様化・複雑化は、
マーケティングターゲットを捉えにくいものにしています。
また、国内市場規模は、中長期的には横這い若しくは漸減化
傾向をたどるものと思われますが、このことは「需要の規
模」よりも、「需要の質」に着眼したマーケティングの一層
の必要性を示唆するものと思われます。需要予測に基づいた
生産計画や在庫・販売計画ももちろん重要ですが、異質な需
要セグメントの峻別やそこから新たな需要ニーズを発見する、
または微かな兆候から時代の変化を読み取るといった需要の
微妙な「質」に着眼したマーケティングは現在、製造業から
小売・飲食・サービス業に至るまで、およそ勝ち組と呼ばれ
る企業に共通する手法です。具体的には、ID付POSデータ
ベースを活用したCRMやインターネット販売における優れた
レコメンデーションシステムを挙げる事が出来ます。これら
の個人顧客を識別するマーケティングとは別に、エリアを単
位にしたエリアマーケティング、エリアマネジメントといっ
た施策が、近年クローズアップされています。その背景を2
つご紹介します。
【場の空間的格差の顕在化】
これまでもチェーン企業の店舗開発において、「中心市街
地VS郊外ショッピングセンター」や、「ニュータウンVS都
心型タワーマンション」といった、マーケットの質をめぐる
対比軸は存在しました。しかし大局的な市場の拡大成長基調
の中で、エリア間の差異に着眼したマーケティングよりも、
将来計画や時系列予測的なマーケティングが重要視されてい
ました。低成長の時代になると事情は異なります。市場が成
熟し全体のパイが限られてくると、その中で如何に有利なポ
ジションを取れるかという既存市場の再活性化や潜在市場の
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掘り起こしを通じた差別化競争になってきます。エリアの異
質性や格差そのものに着眼し、そこから新しい市場(価値)
を創出するマーケティングが重視されるようになる訳です。
こうした時代のエリアマーケティングはミクロ視点のものに
なります。空間的には500m~5㎞(半径10km以上に及ぶ大
型ショッピングセンターの場合でも核となる足下商圏は数キ
ロ以内です。)程度の店舗商圏単位になります。小売・飲
食・宿泊・サービス業界であれば、ミクロエリア分析を経営
戦略や様々な意思決定に役立てるのは当然ですが、リテール
サポート(小売業支援)を行うメーカー・卸売業でも、こう
したミクロ視点のエリアマーケティングやエリアマネジメン
トが採用され始めています。
リテールサポートを行う企業は川下の店舗・施設を「顧客」
として捉えます。店舗が重点顧客の絞り込みを行ったり、客
層の転換を図ったりするのと同じ考え方で、様々な店舗を業
態やエリア属性によってセグメント化して、店舗の選別(有
望な店舗とエリアの絞り込み)や資源の集中投下(ターゲッ
トマーケティング)が行われます。「その店舗・エリアに
フィットするのはどのブランド・ラインか?」、「有望店
舗・エリアの広域的な分布はどうか?」、「そうした店舗・
エリアの将来性・持続性はどうか?」、「空白エリアは潜在
市場となり得るか?」、「その際の切り札となる施策は?」、
「競合他社のエリア展開はどうか?」、このように商品(ブ
ランド)とエリア(ミクロ・マクロ)に関する分析と施策が
縦横無尽に行われるのです。
【海外進出戦略の策定】
2009年6月、経済産業省から「アジア消費トレンド分析報
告書」という調査結果が発表されました。これは、我が国の
製品やサービスのアジア進出を後押しするために、マーケ
ティング情報に関するインフラを整備することを意図したも
のです。
アジア各国の消費者に対して、「ファッション衣料」、「自
センサス程の統計的な厳密性はないものの、業界や業種別に
動車バイク」、「携帯電話」、「漫画、ゲーム、映画、音楽、
微に入り細を穿つ調査項目が設計されています。又的を射た
アニメ」、「エステサロン、フィットネスクラブ」の各分野
レポートが提供されているケースも少なくなく、実務の現場
に関する購買行動や購買意向を尋ねるとともに、デモグラ
では欠かすことが出来ないリソースとなっています。最近で
フィック属性(性・年齢・年収等)の他、ライフスタイルに
はインターネットを利用した調査が可能なためコストはかな
関する価値観指標を質問し、それぞれの国ごとに消費者をセ
り下がってきたため、オーダーメイドのアドホック調査をリ
グメントして示したものです。
クエストする企業も増えてきました。リサーチ会社が保有す
各国それぞれ歴史・文化に相違があり、置かれている社会
るモニター数の限界にもよりますが、市区町村別にデータを
構造や経済状況も異なるので、マーケティングセグメントも
用意してもらえる場合もあります。そうした場合には、地域
それぞれその国独自のあり方を示しています。たとえばマ
性の違いは重要なマーケティング情報とすることが出来ます。
レーシアでの富裕層セグメントに対する戦術は、ベトナムの
しかし現状のところ、店舗商圏のようなミクロな空間情報を
富裕層相手には全く通用しない可能性があります。集計単位
取得するところまでには至っておりません。
は国別ですから、従来の各国民性の分析調査に近いものかも
知れません。今後、アジア進出企業が、現地を舞台に海外資
【センサスとアンケートデータの合成法】
本や現地法人と互角に戦うためには、国から地域(都市)、
センサスは小地域の違いを表現するが、知りたい項目が無
さらに地域(都市)から店舗商圏といったミクロ空間レベル
い。アンケートデータは知りたい項目が得られるが、小地域
で、このような市場の「見える化」マップが求められるもの
の違いを知るための十分なサンプル数が無い。
と思われます。
こうした事情から、センサスと他のアンケート調査を組み合
わせる方法が、国外では試みられてきました。(欧米諸国で
2
現状のデータ活用状況
は、センサスの匿名標本データ:Samples of
Anonymised
Recordsが利用できるという事情があり、国内と比較してセ
【センサス小地域統計データ】
ンサスの利活用が進んでいます)マイクロシミュレーション
ミクロ空間で市場を「見える化」する基本ツールとして、
という技法では、センサスと標本データを組み合わせること
国勢調査や商業統計といったセンサス(各国政府が実施する
によって、得られた小地域の様々な合成データから応用的な
全数調査による統計資料)の小地域統計データが挙げられま
推計や将来予測を行います。
す。既にGISを利用して、統計データをメッシュや町丁目単
アンケート調査はモニター数に限りがありますから、空間
位で地図表示している企業は少なくありません。しかし、先
的な分布に極端な偏りが見られる事も少なくありません。ま
にお話ししたような「市場の質」に着眼し、経営戦略におけ
たモニターが全く存在しない空白地区が目立つ場合も少なく
るクリティカルな状況判断で用いられている例は、国内では
ありません。しかし、例えば要介護認定者数の推定や輸入自
ほとんど見受けられません。もともとセンサスは民間利用、
動車の保有台数の推定などのように社会的、経済的に安定し
特に企業のマーケティング用には設計されていませんので、
たモデルを想定することが可能な場合には、モデルの助けを
マーケティングに必要な基本的な項目が公表されていない
借りて空白地区の数値の補完や推定をすることが出来ます。
ケースがよくあります。例えば商圏内の「庭付き一戸建て居
住の退職者高齢世帯数」や「子育て中専業主婦人数」といっ
た数値を知りたいと思っても、統計表から探し出す事は出来
ません。別途、推計モデルを作成して推定のための計算が必
3
小地域空間表現・推計方法の考え方
それでは、センサスとアンケートデータから作成された合
要になります。そのため、GISを利用している企業でも、商
成データについて、消費トレンドindexを例に説明します。
圏内の年齢別人口や世帯数の把握程度にしか用いられず、
このデータベースは、ミクロ視点で、商圏の定性的な特徴を
マーケットの核心に迫るには程遠い状況です。
「見える化」するためのマップとして作成されました。主な
リソースとして国勢調査の小地域統計と日経リサーチ社によ
【リサーチ会社によるアンケートデータの利用】
センサス以外のリサーチデータとして、民間各社がリサー
るアンケート調査データを用いて、マーケティング現場で使
いやすい項目を厳選しています。
チパネルやモニターに対する有用な調査を実施しています。
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消費トレンドindex(基本項目)
月2回以上のゴルフコースラウンドをまわる
月1回以上、片道100km以上のドライブをする
月1回以上の観劇、音楽、オペラ、ミュージカル鑑賞に行く
話題の電子機器テレビゲーム家電は並んででも購入する
週3回以上のスポーツクラブ通い
週1回以上、ギャンブルをする
クレジットカードの年間利用額は300万円以上
年間獲得エアライン搭乗マイルは10万マイル以上
高級ブランドやビンテージものへのこだわりが強い
食材にはお金をかけている
月1回以上、高級ブランド店で買い物をする
高級ブランド品を買えば間違いはないと思う
月1回以上、高級レストランで食事をする
こだわりがあるものは、値段が高くても購入する
月2回以上、話題のファッションタウンやショッピングモールで買い物をする
趣味にお金をかけることにいとわない
【消費トレンドindexデータ(基本項目)】
消費トレンドindex(オプション項目)
ユニクロ
ビール
メルセデス・ベンツ車
医療・がん保険
その他趣味・専門誌
ジーンズメイト
プレミアムビール
BMW車
個人年金保険
男性ヤング・ヤングアダルト誌
Right-on
発泡酒
フォルクスワーゲン車
任意自動車保険
男性ミドルエイジ・シニア誌
シップス
第三のビール
アウディ車
その他の損害保険
女性週刊誌
UNITEDARROWS
サワー系
ボルボ車
オール電化住宅
女性ティーンズ誌
BEAMS
焼酎
プジョー車
マイホーム発電住宅
女性ヤング誌
しまむら
日本酒
大口定期預金
スポーツクラブ
女性ヤングアダルト誌
GAP
ワイン
株式(国内株)
海外旅行
女性ミドルエイジ誌
ZARA
ウィスキー・ブランデー
株式(外国株)
総合週刊誌
生活実用情報誌
H&M
トヨタ車
債券
ビジネス・マネー誌
ビューティ・コスメ・ナチュラルライフ誌
POLO・ラルフローレン
レクサス車
外貨預金
モノ・トレンド誌
マタニティ・育児誌
セイコー
日産車
投資信託
スポーツ誌
子供誌
シチズン
ホンダ車
金(ゴールド)貯蓄
自動車・オートバイ誌
フリーペーパー誌
ロレックス
マツダ車
FX
パソコン・コンピュータ誌
折込チラシ
オメガ
三菱車
先物取引
テレビ情報誌
タグホイヤー
スバル車
投資目的の不動産
食・グルメ、旅行・レジャー誌
ブルガリ
ダイハツ車
生命保険
健康誌
【消費トレンドindexデータ(オプション項目)】
【説明モデルの作成】
こうした推計をする場合には、まず既存の社会学や経済学
における定説や、企業内のマーケティング仮説に基づいた説
に表現しているのでなければ、別のモデルを想定する必要が
出てきます。
明モデルが必要です。Williamson(1996)らは、小地域に
おける世帯の水道の需要量を推定するために、世帯当たりの
部屋数や皿洗い機の有無の推定値を説明変数にしたモデルを
【IPF合成】
地域居住者のデモグラフィック変数は、センサス(国勢調
作成しました。消費トレンドindexでは、消費行動の多くが
査)から得られます。しかし公表されているデータはごく一
コーホート(出生が同じ年代に属する世代層、例として団塊
部の限られたものです。例えば、世田谷区池尻1丁目で、女
世代等)によって大きく左右されることに着眼してモデルを
性且つポストバブル世代の人口は国勢調査から調べる事が出
検討しています。例えば、バブル崩壊以前に成人になった、
来ます。また、未婚女性の数も同様に調べる事は出来ます。
言わば「プレバブル世代」と、バブル崩壊以降に成人になっ
しかしポストバブル世代で未婚の女性の人口の集計値は、公
た「ポストバブル世代」とでは、消費に対する意識や行動が
表されていません。これを何らかの方法で推定する必要があ
全く異なると言われます。また婚姻の別(未既婚)も大きく
ります。マイクロシミュレーションでは、こういう場合にい
消費行動に影響しています。都市部の未婚層や非婚層は消費
くつかの推定法を用意しています。その中で最も広範に用い
に対して特有の行動をしている事が大いに考えられます。小
られているものの一つがIPF(Iterative Proportional
地域において、これらの居住者デモグラフィック変数を説明
Fitting)法です。消費トレンドindexではこのIPF法が採用さ
変数として、日経リサーチ社のアンケートデータを説明する
れています。こうして得られた合成データを、先のモデルに
モデルを想定しました。もちろん全てのアンケート項目がこ
投入し小地域推計が行われます。
れらの変数で表現できる訳ではありません。統計的な検定を
このようにしてアンケートデータの結果を小地域(町丁目)
行った上で推定に妥当性があり、かつ小地域の多様性を充分
レベルで活用することが可能となったのです。
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以ってして、事業計画の信頼性を保証する事には成り得ませ
ん。当然ですが、競争が厳しいエリアでは潜在顧客数をこの
ようなやり方で予測するのは不適切です。サービスタイプ別
の競合数や顧客数等の細かな条件等をいろいろ検討する必要
があります。推計値の正確さを追及するよりも、その推計値
を何のためにどのように経営判断に用いるのかというデータ
の使い方の吟味の方がより重要でしょう。データの使い方や
仮説の立て方によっては、使用するモデルも異なってきます
し、別の計算方法を検討しなくてはならなくなります。
マーケティングは仮説と検証の繰り返しでレベルを高めてい
【ポストバブル世代の分布】
きます。検証のためのものさしであるデータもまた、その使
用用途と使い方が適切かどうか、常に仮説と検証を繰り返す
4
小地域推計データの活用法と留意点
このような推計計算に対して、精度や信頼性に対する質問
ことを通じて精度と信頼性を高めていく必要があります。
参考文献
がたびたび寄せられます。どのような考え方や仮定に基づい
Williamson P, Clarke G P, McDonald A T (1996)
て推定を行ったのか、どの程度の予測誤差を織り込んでいる
“Estimating small-area demands for water with use of
かということについて統計的な説明をするのは簡単ですが、
micro simulation” in Micro simulation for Urban and
実務で使用する際にはもっと重要な留意点があります。たと
Regional Policy Analysis
えば、要介護認定者の小地域推計値は、介護事業所開発の参
ターゲット・インサイト '09-'10
考にはなるかもしれませんが、市場が成熟しサービスの差別
年9月1日号別冊
化競争の段階に至っている都市圏のエリアでは、その数値を
岩崎学 (2002)『不完全データの統計解析』
2
(2009)
宣伝会議2009
IPFデータとは!?
人口統計学の分野で用いられる高次元的呼称にマイクロシミュレーションというものがあります。“IPF法(the iterative
proportional fitting method)”
がその中の1つの手法で、既知の統計から未公表の値を推計することができます。
エリアマーケティングで用いられるメッシュや町丁字単位
のセンサスデータは、いわゆる周辺分布というものがほとん
どです。IPF法により公表されている同時分布のデータと掛け
あわせて、本当に欲しいターゲット指標を導きだすことが可
能となります。
例)持ち家且つ一戸建てエリアを知りたい
国勢調査には持ち家世帯数という項目と、一戸建て世帯数
という項目は勿論あるのですが、持ち家且つ一戸建て世帯と
いう項目はありません。持ち家でも共同住宅、一戸建てでも
賃貸住まいという可能性があります。(周辺分布)一方、市区
【IPF法で推計できるターゲット指標の例】
町村単位であれば、持ち家且つ一戸建て世帯数という項目が
存在します。(同時分布)これらを掛けあわせて「小地域単位
の持ち家且つ一戸建て世帯数」を推計するのです。
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3 自主調査レポート
『センサスデータで測る鉄道沿線イメージ』
~ IPFデータで見る沿線の魅力~
技研商事インターナショナル株式会社
マーケット分析ソリューション事業部
統計士・データ解析士
新井 誠
駅中、駅前開発…“駅”というキーワードが小売や飲食業界においてよく現れます。駅は、特に都心部において、TG(トラ
フィックジェネレーター:注)と言われ人々の移動の起点や中継点として重要な分析ファクターとなっています。さらにひと
つひとつの駅単位だけではなく、その路線全体に対する分析ニーズが高まって来ているようにも感じます。今回の自主調査で
は、神奈川県横浜市を走る各鉄道路線沿線を、それぞれの駅勢圏における居住特性という観点で分析・比較してみました。
1
ライフスタイルマトリクスとは?
地域の居住特性を把握する切り口は様々ありますが、今回
は「ライフスタイルマトリクス」を用いて調査します。ライ
出発し、結婚して子供が出来ると、中央上方に上がっていき
ます。やがて、子どもが独り立ちし、配偶者の死を迎え、高
齢単身者となり、右下部の高齢単身世帯ゾーンに移行してい
きます。
フスタイルマトリクスとは、居住世帯の属性と年齢別に、そ
の構成比率をバブルチャートで示したものです。ライフマト
2
自主調査概要と期待する結果
リクスを理解いただくために、本誌2月号にてご紹介した、
全国と夕張市のライフマトリクスを再度ご紹介します。
横浜市にある4つの鉄道沿線を取り上げ、それぞれの沿線
居住者の世帯特性の差異を明らかにし、沿線開発の展望やプ
ロモーション効果の最大化への示唆を提示します。
沿線の各駅を地図上にプロットし、次にそれぞれの駅に半
径1kmの円形商圏を作成します。同時に、センサスデータ
(2005年国勢調査メッシュデータ)にマイクロシミュレー
ション(IPF法)を施し、年齢別・家族類型別データを推計、
1km圏内で集計し、ライフスタイルマトリクス表を作成しま
【全国のライフスタイルマトリクス】
した。先の全国と夕張のライフスタイルマトリクスは世帯主
の年齢別の世帯属性で表現していますが、今回は世帯主では
なく、全人口の年齢別の世帯属性で分析を行いました。
【夕張市のライフスタイルマトリクス】
上の2つのチャート図は世帯の属性を縦軸に、世帯主の年
齢を横軸にとり、それぞれの構成比率でバブルの大きさを表
現しています。チャート上で、居住者世帯は逆Uの字を描い
て遷移します。はじめに左下部の単身若年世帯のゾーンから
GSI Monthly Report_110506
10 km
【横浜市を通る鉄道路線】
3
各路線沿線の考察
【相模鉄道本線】
それでは、各路線沿線のライフスタイルマトリクスチャー
トを比較し、沿線毎の居住形態の違いを考察してみましょう。
【東京急行電鉄田園都市線】
【京浜急行本線】
開発が古くから進み、人口集中がすすんでいる一方、10歳
以下の小さな子どもがいる世帯が多く、また、全年齢を通じ、
ひとり世帯、夫婦世帯、高齢者世帯が少ないことがわかりま
す。現在でもいわゆる新興住宅街的な世帯属性の構成比率が
高く、ニューファミリー層に魅力的な沿線であることがうか
がえます。
【東京急行電鉄東横線】
相模鉄道本線と京浜急行本線の世帯構成はかなり類似して
いることがわかります。他の沿線に比べ、高齢者の比率がや
や高く、3世代同居の世帯も少し高くなっていることがうか
がえます。この沿線はファミリー層と高齢者層が消費の主役
です。
4
鉄道沿線分析におけるGISの活用
今回は沿線の居住世帯構成に着目した分析を試みました。
個別駅の駅勢圏への展開も同様にアプローチすることが重要
です。
技研商事インターナショナルでは、電鉄分野においても高
大学があり20歳代のひとり暮らしが多いことはもちろん、
30~40歳代のひとり暮らしが多いことがわかります。通勤と
度な分析ノウハウと機能・データを保有しております。詳細
は是非お問合わせ下さい。
生活の利便性のバランスがよく、若い世代の社会人に人気の
沿線ということでしょうか。さらに他の沿線と比較して子供
参考文献
がいない夫婦世帯がやや多いようです。
月刊GSI_Feb_Vol1
「街の寿命・業態の栄枯盛衰」(鈴木
英之)
注:
トラフィックジェネレーター(TG)とは、交通の発生源であり、人々が集中するところを言います。駅もTGのひとつであり、
マクロに見れば路線や駅単位ですし、ミクロに見れば改札口やロータリー前、駅ビルへの入り口などが相当します。
その他大型商業施設やレジャー施設もTGですし、自動車であればサービスエリアや大型交差点もTGのひとつとされます。
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4
5月無料セミナーのご案内(東京・大阪)
販促における消費活動分析セミナー
~消費者にリーチするための販促プラン策定~
消費行動の多様化に伴い、従来の画一的なマーケティングから消費者の需要に合わせた販促プランの策定が求められてい
ます。本セミナーではGISとマーケティングデータから消費者にリーチする販促プラン策定事例をご紹介致します。
(東京会場と大阪会場では開催日と時間が異なります。ご注意下さい。)
東京会場
大阪会場
日時
2011年 5月24日(火)
14:30~17:30 (14:15~受付)
日時
2011年 5月27日(金)
14:30~16:30 (14:15~受付)
会場
東京国際フォーラム G502会議室
・JR有楽町駅より徒歩1分
・JR東京駅より徒歩5分
会場
梅田センタービル 322会議室
・JR大阪駅より徒歩10分
・地下鉄/阪急梅田駅より徒歩7分
第1部:ライフログデータを用いた時空間分析
携帯GPS等の各種ライフログデータを活用した、今までにない新たな切り口での分析が求められております。この課題
に対して本パートでは、統計情報を絡めた生活行動別(居住・通勤、通学・回遊)性年代別人口や生活行動圏を時空間分
析という切り口で分析しました。フラッシュマーケティングに活用できるような新たな分析領域のご紹介です。
第2部:効果的な販促エリアの設定
「販促ツールに力を入れたのにも関わらず思ったよりも効果が現れなかった」という事はありませんか?いくら良いク
リエイティブの販促ツールを作成しても、ターゲットに届かなければ効果を期待する事はできません。予算内で販促ツー
ルをターゲットに効率的に届けるための販促エリア設定手法について事例を交えてご紹介します。
第3部:レスポンスデータからみる販促エリアの再設定
販促プラン策定におけるPDCAサイクルを回すためには、C(チェック:効果測定)とA(アクション:プランの再設
定)が必要です。本編ではレスポンスデータとエリアマーケティングデータを活用した販促プランの効果測定~消費者の
需要分析によるプランの再設定をご紹介します。
第4部:エリアマーケティングGISのお役立ち情報
エリアマーケティングに役立つGIS活用法や、ちょっとお得な情報をご紹介いたします。「こんな使い方はできない
か?」「それってどうなってるの?」・・・日々頂くユーザー様の声にお応えする場になればと考えつつ、来場された
方々にもちょっとした“発見”をご提供できれば幸いです。今回は店舗と商圏のポジショニングについてご案内します。
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過去セミナー資料無料進呈中
エリアマーケティングの事例紹介や最新の分析手法、GISやデータのご紹介等、毎月定期開催するようになってから、早6年
がたちました。当初は20名程度の参加から、最近では100名ものお申し込みをいただくようになりました。「興味はあったけ
ど、仕事上参加できなかった。」というお声をよく頂きます。実施済のセミナーは、講演資料をご請求いただければ無料にて
進呈しているのをご存知ですか?弊社ホームページよりご請求下さい。
GSI Monthly Report_110506
過去実施済の主なセミナー
◯リテールサポートでのGIS活用講座 ~小売店支援のための様々な店舗分析手法紹介~
◯店舗開発・店舗分析におけるGIS活用セミナー
◯消費者嗜好・市場特性分析事例セミナー
~ジオデモを用いて効果的な出店戦略・販促戦略を~
◯売れる立地はどこだ?店舗開発戦略立案
~統計解析を用いて立地選定・売上予測を~
◯売上予測モデル構築セミナー ~業態変換・店舗開発における需要予測事例~
◯業種別エリアマーケティング事例紹介
~エリアマーケティングGISを用いた分析事例紹介~
◯POSデータを活用した市場分析の事例紹介
◯ネットやモバイルのアンケートデータ活用術
セミナーテキストご請求方法
セミナーテキストのご請求は弊社ホームページよりお願いします。
http://www.giken.co.jp/datainsights/seminar/finished.php
内容詳細、お申し込みは弊社HPにて。
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6月展示会のご案内
『高齢者住宅フェア2011』
高齢者の住まいと介護・医療の明日を考える2日間!
安心・安全・快適な高齢者の住まいを実現するために不可欠
な最新の商品・サービス・システムなどを展示している展示
会です。弊社ブースでは、仮想化環境で利用するGIS、医療
分野におけるGIS活用事例、介護スタッフ訪問巡回最適化を
テーマに、各種マーケティングソリューションを展示・ご紹
介いたします。
6月1日(水)~2日(木):東京流通センター
開催概要
名称 :高齢者住宅フェア2011in東京
会期 :2011年6月1日(水)・2日(木)
10:00~17:00
会場 :東京流通センター
東京モノレール「流通センター駅」下車駅前
主催 :株式会社高齢者住宅新聞社
『フューネラルビジネスフェア2011』
6月28日(火)~29日(水):パシフィコ横浜
“お客様から選ばれる”葬祭ビジネスをサポートするフュー
ネラルサービスの最新情報を発信。弊社ブースでは、会館の
開設マーケティング分析、互助会の会員分析、高齢者MAPを
テーマに、各種マーケティングソリューションを展示・ご紹
介いたします。
開催概要
名称 :フューネラルビジネスフェア2011
会期 :2011年6月28日(火)・29日(水)
9:30~17:00(29日は16:00まで)
会場 :パシフィコ横浜
みなとみらい線「みなとみらい駅」徒歩3分
主催 :綜合ユニコム株式会社
Copyright 2011 Giken Shoji International Co., Ltd. All Rights Reserved.
4月セミナーご報告(東京・大阪)
7
4月22日(金)、東京会場と大阪会場にて毎月恒例のエリアマーケティングセミナーを開催いたしました。
多くの皆様にご参加いただき、真剣に耳を傾けていただきました。アンケートでいただいた内容を一部ご紹介します。
【東京】エリアマーケティング戦略講座
~業種業態別の商圏の捉え方~
【各部で参考になった点】
[第1部]業種業態別の商圏の捉え方とこれからの商圏戦略
[第3部]小地域出店計画における余地
・流出入経路、TG(トラフィックジェネレーター)という
考え方。
・円形ではなく、流線型で広がる商圏という考え方。
・マクロとミクロのデータの使い方。検証・検討方法。
・統計データをベースにした人的な解釈の重要性がわかり
非常に参考になりました。
・小地域での商圏設定について参考になりました。
・居住分類データとリサーチデータの融合については実際
に実施を検討しようと思った。
・出店を決める際に各企業がどのような情報を使っている
かということや、地図上のエリア分析の手法にどのよう
な手法があるかということが知れてよかった。
・現実務での活用手法のヒントとなる可能性を感じた。
・買い物弱者を分析する上での定義。
[第2部]マーケティングプロセスと商圏戦略
・商圏戦略の捉え方が分かりやすかった。
・商圏の捉え方や新規出店の仕方に色々と考え方があると
参考になった。
・何を基準にして商圏を知るべきなのかを考えるきっかけ
となった。
・ボロノイ商圏の考え方が参考になった。
・分析手法のアプローチ手段をどのようにするかヒント
になった。
順位
人気キーワード(東京セミナー)
[第4部]エリアマーケティングGISのお役立ち情報
・初めての情報を沢山聞けた。
・震災情報関連も参考になった。
・実際に使用するにあたり、どの様なポイントに注意しな
ければならないのかが具体的にわかった。
・分析ロジックの再確認に役立った。
割合
1位 TG(トラフィックジェネレーター)
15%
2位 居住特性分類とリサーチデータの融合
13%
3位 買い物弱者
13%
4位 流入率
8%
5位 ボロノイ商圏を使った出店戦略
8%【講演で登場したキーワードで興味を持ったもの】
【大阪】エリアマーケティング戦略講座
~成功と失敗はエリアマーケティング分析で決まる~
【各部で参考になった点】
・具体事例など(業種別)
・商圏と相関分析(商圏定義)、クラスタリング
・具体的な事例に沿ってのご説明でわかりやすかった。
・実際の操作でデータセットなどの手順をもっと詳しく
知りたい。
・全くソフトを利用したことがないのだが、今後利用する際
の参考になった。
順位
人気キーワード(大阪セミナー)
・具体事例や参考資料
・出店計画の前後比較分析や販促 etc..
・活用事例、類似エリアの検索で野外広告看板設置エリア
を提案するといった項目で、ターゲットの実在地を洗い
だせるシステムがあり活用できると思った。
・多変量分析とGISの関係がわかった。どういった情報
からセグメント化するかのイメージがつかめた。
割合
1位 店舗クラスタリング
23%
2位 ハフモデル
14%
3位 居住特性分類データと
リサーチデータとの融合
11%
4位 商圏レポートからのMD提案
7%
5位 ジオデモグラフィクスデータ/ブランド別嗜好性MAP
7%【講演で登場したキーワードで興味を持ったもの】
GSI Monthly Report_110506
8 NEW TOPICS
最新サービスのリリース予定
インターネットに接続して すぐにMarketAnalyzerが利用できる!!
~MarketAnalyzerクラウドサービス~
既に様々なWebGISが提供されるなか、「高度なマーケティ
ング分析はスタンドアロンソフトウェアで」というのがこれま
でのエリアマーケティングGIS業界の常識でした。しかしこれ
を覆す新たなサービスを提供いたします。
WebGISとスタンドアロンGISの長所を融合し、クラウド
サービスとして、MarketAnalyzerを提供します。
MarketAnalyzerクラウドサービスは、サーバー上の仮想デス
クトップにインストールされたMarketAnalyzerを準備し、これ
をSSLリモートデスクトップ接続で利用します。
MarketAnalyzerシリーズの高機能・多機能はそのままにイン
ストールを必要としないクラウドサービスとして利用していた
だけます。
※2011年リリース予定です。ご期待下さい!
分析処理
・クライアント側でのインストール不要
・地図とデータの更新をサーバー側で一括処理
・複数の人間が利用しても同じシステムデータを利用
最新データのリリース
「時間帯別商業人口データ」 リリース開始しました!
買い物客の増減が時間帯によるバラツキがあることは経験則的に認識していてもそれを統計的に観察することは
困難でした。「時間帯別商業人口」は、各商業地をクラスター分類し、各クラスターにおける時間帯別の人々の行動
データをもとに、商業人口(買い物指数)を按分し、時間帯別の商業地の購買力を可視化します。
【平日11時~14時の買い物人口】
【平日14時~17時の買い物人口】
「推計貯蓄階級別世帯数データ」 リリース開始しました!
年収という観点からは見えてこない富裕層をセグメント
したり、貯蓄から負債を差し引いた“純貯蓄”の分布を
把握することによって一層高度なマーケティングを行うこ
とができます。富裕度を測るのは勿論、自社の店舗商圏や
顧客分布がどういう貯蓄層が多いのかを把握し、各種戦略
立案にご活用いただけます。
住宅・土地統計調査と国勢調査データから年収階級別世
帯数の比率を算出し、さらに「家計調査年報」の年収階級
別の貯蓄高の分布表に掛け合わせて算出しています。
出典:平成20年住宅・土地統計調査(総務省)
平成17年国勢調査データ (総務省)
平成20年家計調査年報
(総務省)
【近郊の純貯蓄2000万円以上の世帯数分布】
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今日の日本のマーケティング市場において、多様化した消費
者の特性やニーズを把握し、それに基づいた店舗開発・販売
促進・商品企画を行うことが重要になってきています。当社
は16年に渡って1300社以上のお客様のマーケティング課題
解決で培ったノウハウを武器に、GIS技術と融合した新たな
マーケティング分析事業に取り組んでまいります。
www.giken.co.jp
技研商事インターナショナル株式会社
マーケット分析ソリューション事業部
東京支店 TEL:03-3506-1800(代表)
千代田区霞が関3-5-1
霞が関IHFビル4F
大阪営業所 TEL:06-6227-4660(代表)
大阪市中央区瓦町4-5-9
井門瓦町ビル4F
本社 TEL:052-972-6544(代表)
名古屋市東区主税町2-30 GSIビル