明日の建設産業 一普遍的価値に基づく多様な組合運動を

明 日の建 設 産業
一普遍的価値に基づく多様な組合運動を求めて一
【論 文 要 旨 】
明 日の 建 設 産 業
一 普 遍 的 価 値 に 基 づ く多 様 な 組 合 運 動 を 求 め て 一
論文 の [は じめに]で 現場で働 く労働 者 の悲嘆 と希望 のな さにふれ、建設産業 の構造
に 問題が ある こと。そ して この論文で の筆者 の立 場 を普遍 的価値 を基軸 に した 労働 と労
働運動 の創造 にある ことを示す。
本文では [パ ー ト 1ら な にが 問題 か ]で 2点 の構造的な問題 をあ げた。すなわち、ひ
とつ は 「国家意志 に支配 された建設産業」で、昨今の建設不況が大 幅な建設投 資 の落ち
込み と就労人 口の多 さの矛盾、 また戦後 の 国家主導 の建設産業 の歩み、さ らに遡 って 明
治 か らの国家意志 に全 面的 に支配 された歴 史 を明 らかにす る。別 のひ とつ として、建設
産業 が労働者 の犠牲 の上に成 り立 って いる ことを指摘す る。 現在 の劣悪な賃金・ 労働条
件 に触れ、巧妙な収奪 システム としての重 層下請 け制度 と出来 高払 い賃金で労働者 を分
断 して支 配 している こと。 それが労働災害 の多発 を招 くこと。
次 に [パ ー ト2・ 建設労働者 の 闘 いの軌跡 ]で 賃金 をめ ぐる運 動 として 協定賃金 と公
契約・ 条例制定 を とりあ げた。社会 保障 の運動は国保組合 の 成立 と発展 を述 べ た。そ し
て 2、
3の 視点 として、建 設労働者 の労働者性 につ いて とアスベス ト問題、 及び地域 に
根 ざした運 動 とした住宅 デー をと りあ げた。 これ らは今後、大事な課題 として配慮 され
な けれ ばな らな いか らである。
[パ ー ト3・ 明 日の建設産業 ]で は 3つ の テー マ を掲 げた。 「国家か らの 自立」では、
地域主椎 へ の流れ、そ して住 民主体 によるコミュニ ティの創造 をクロポ トキ ンのアナキ
ズム を援用 しなが ら想 定 し、そ の 中での建 設労働組合 のは たす 役割 の重 要性 を取 り上 げ
た。次 に 「公契約法・ 条例か ら労働 協約 へ 」 は、労働者が 人間 らしい暮 らしを取 り戻す
ことと建設産業 の近代化 、 民主化 をはたすために、 ことに重層下 請 け構造 の打破 の ため
に組 合が直接行動 を武器 に産業別 、職種別 の 労働協約 を獲得 す る ことを示 した。そ して
「ものづ く りの喜 び をもとめて 」で、本来、建設労働 にあった労働 の喜び を地 域 に生き
る生活者 としての生き方 の提 え直 しと、 これか らNGO・
NPO、
そ して社会的企業の
発展がみ られ、そのなかでは賃金 のみ に拘束 されな いで働 ける こと、 また建設労働者 の
存分 の活躍が期待 され る ことを記 した。
一 日次―
明 日の建設産業
一普遍的価値 に基づ く多様な組合運動を求めて一
は じめに
パー ト1・ なにが問題か
(1)国 家意志に支配 された建設産業
① 昨今の建設不況
② 戦後 の建設産業 の歩み
③ 戦前の建設産業 の成立 と変遷
(2)労 働者 の犠牲 の上に成 り立つ建設産業
① 劣悪な賃金・ 労働条件で働 く労働者
② 巧妙な収奪 システムー重 層下請 け制度
③ 出来高払 い賃 金― 「分割 して統治せ よ」
非雇用 日給制 につ いて
下が り続 け る賃金
④ 労働災害 の多発
アス ベ ス ト被害
パー ト2・ 建設労働者の間 いの軌跡
・ 賃金 を巡 っての運 動
(協 定賃金運動
)
(公
契約法・ 条例制定運動〉
・ 社会保障 をめ ぐる運動
(国 保組合 の 成立 と発展〉
・ 多次元か つ 多様な運動 をめ ぐって
建設労働者 の 労働者性 につ いて
アス ベ ス ト問題 の取 り組み
地域 に根 ざしての運 動― (住 宅 デー )
パー ト 3・ 明 日の建設産業
(1)国 家か らの 自立
地域主権 へ
住 民主体 のコミュニ ティ (共 同体 )の 創造
地域 に根 ざした建 設労働組合
(2)公 契約法・ 条例か ら労働協約 ヘ
牙 をむ け、建設労働組合よ―直接行動 を武器 に
(3)も のづ くりの喜 び をもとめて
賃金労働者 か ら地域 を支える生活者 へ
NGO・ NPO、
結 び として
そ して社会的企業 の発展
明 日の建 設産業
― 普遍的価値 に基づ く多様な組 合運動を求めて 一―
六 草 勝 三
は じめ に
いま大手ゼネ コンの建設現場に足を踏み入る者は建設労働者・ 職人の悲嘆 と希
望 のなさに暗然 とするだろう。彼 らは低賃金と、一昔前 とは違った意味での厳 し
しい労働条件 の 中で仕事があるだけましだ と思 いなが ら羊のように黙 々 と働 いて
いる。野丁場 (大 手ゼネ コンの現場)だ けではな い、町場でも新野丁場 (住 宅メー
カー の現場)で も多少の違 いがあってもその実態は変わ らない。 これが近代化を
成 し遂げた といわれる 21世 紀 の 日本 の建設現場の偽 らぎる姿である。
私 は誇張 しているので あろうか。む しろそ うであるな ら喜 ば しいけれ ど、現場で
40年 ほど働 いてきたわた しの経験 か らみて否定できない。大阪で働 く私は最近、
60才 以上の労働者 を現場 に入れな い とい う某大手ゼ ネヨンの現場に直面 した
誰
もがおか しい、許せないと思った。労働組合を通 じて大阪労働局 と交渉 したが、今
だ に進 展がみ られな い。 …
,。
もっ とも、そ うは いって も 1960年 代、 70年 代 の高度成長期、あるいはバ ブ
ル景気の頃はそ うではなか った。協定賃金は実 質賃金 とほぼ近 く、仕事量 に事欠 く
こともなかった 。バ ブル景気が は じけた後 も、建設業 界は他産業か らの失 業労働者
の受 皿 となったが 、低 成長 の下で はそれが過剰な建設従事者 を生 み出 した。 また、
重層下請け構造や 民主化 の遅れが一層あ らわ にな った。
すなわち、 この諭稿では主 に建 設労働 と労働 組合運動 につ いて書 くことになるが、
広 い視野 を持 たな けれ ば、一 人よが りの片寄 った諭調 になる。、 日本並び に世 界 の
流れ、歴史 を踏ん まえた 幅広 い展望が欠かせな い。 わた しは、短 いスパ ンで はな く
50年 な い しは 100年 さきの 展望 を試みた い。むろん、 この小論文ではス ケ ッチ
程度 しかできな いか もしれな い。
わた しの立 場 を 明確 に しょう。普遍的価値 を基軸 に した労働 と労働運動の創造であ
る。平た くいえば、人間 らしい労働 と人間解放 の労働運動 を求めて といえる。 しか し
なが ら、普遍的価 値 がかな らず しも即人間的な価値 とはな らないか もしれない。重 要
な点 は幻想 をもたず に現 実 を しっか りと見 る ことで ある。
パ ー ト 1・ な にが 問題 か
「ひ とはパ ンのみで生きるにあ らず」 という。 しか し、パ ンな くして は生 き られ
「
な い。かっては こう言われた、 土方 殺す に刃 物は い らぬ。雨が十 日も降れば いい」
と。 いまでは しか し、建設労働者・ 職 人は晴れ間 の 日々 を浮かぬ顔で過 ごしている
.
賃 金は低 くて もいい、仕事 さえあればな ぁ…、 と思 いなが ら。
この一見単純 にみえる建設業で 働 く人 々の 問題 は景気 さえよくなれば解決 で きる
筋合 いの ものではな い。 なるほ ど、一時は解決 で きたふ うに思 う。 しか しなが ら、
問題 をまたぶ り返す。経営者 も、建設労働者・ 職 人 の暮 らしと仕事 を守 る労働組合
も、対処療法 で は根本 的な解 決 にな らず 、 とき には 問題 を こじ らす ことが ある と思
わね ばな らな い。 す なわ ち、 日本 の建設産業 は他 産業 に比 べ て、 きわ めて 構造 的な
様 々 な 問題 を抱 えて いるの だ。
(1)国 家意志 に支配 された建設産業
まず ここ数年 の仕事不足 と低単価 、低賃金 の主な理 由のひとつ は仕事量 と就業者 と
の アンバ ランスにある。そ して この ア ンバ ランスは 1990年 以後 のパ ブル景気 とそ
の破綻 、そ の後 の景気回復 をめ ぐる政府 の経済対策が どの産業 にまして建設産業 に色
濃 く影響 したのである。 しか し、 この関係 は今 に始 まった ことではな い。 日本が明治
にな ってか ら建設 産業 は国家の重 要基幹産業 として 国家意志 の下で強 く支配 されてお
り、そ のくびきか らいまだ自立できな いでいる。
① 昨今の建設不況
ユ
_992年 度はバ ブル 景気 で建 設投資は 84兆 円で、 1996年 度 までは 80兆 円前
後 、そ の後公共投資 の 削減があ り、 2000年 度は 60兆 円、 2005年 度は 52兆 円
2008年 度 では 50兆 円を割 り込んだ。 また、 新設住宅着 工戸
数 でみ ると 1990年 の 171万 戸 をピー クに 2000年 代 になる と景 気 の 回復 もあ り、
120万 戸代 で推 移 したが、 2007年 は耐震偽装 による改 正建築基 準法 の影響 で 10
6万 戸 、 2008年 は 109万 戸 、そ して 2009年 は 42年 振 りに 80万 戸 と大幅 に
減 った。それ にたい して建設従事 者 は 1992年 は 619万 人、 2000年 は 653万
は 559万 人、 552万 人、 537万 人で投資の
人、 2006、 2007.2008年
と減少 し、 2007、
落 ち込 み、新設住宅着 工 戸数 に くらべ て過剰 な労働者 をかかえている。
これ は、政府が従来か らのケイ ンズ流の景 気刺激策 として公共投 資 をお こな い、失業
者 の雇用 の受 皿 とした結果 である。 しか も 1992年 か ら 2000年 にか けてほぼ 30
2
兆 円前後 の公共投資 を行な ったけれ ど、財政赤字 の増大 と政策効果 の少な さか ら、 以後
大幅 に公共投資 を削減 した。 2008年 秋 に リー マ ン・ シ ョ ックが世界 中 に深刻な財政・
経済不況 をひきお こした。グ ローバル化 した世界 の脆弱性 があき らか にな り、戦後最長
の 「実感なき好景気」は終わ り、建設不況 は一層深 まった。そ して、 2009年 9月 に
2009年 9月 には 「コ ンク リー トか ら人へ 」 を唱える民主党連立政権が 誕生 し、 20
10年 度予算では公共投 資 を前年度 比で 18%の 減少 となつた。深刻な建設 不況 を打開
す る有効な 政策 を期待す る ことはきわめてむ つ か しい。
② 戦後の建設産業の歩み
さかのぼって 戦後 の歩み を見 て みよ う。
戦後 の疲弊 した経済 を立 ち直 らせたのは 1950年 の朝鮮戦争 による特需景気で あっ
た。 ビル建 設 ブームがお こ り、電源 開発 のダム建設が各地で行なわれた。 1956年
には経 済 白書 は 「もはや戦後ではな い」 と記 した。 高度経済 成長が始 まった。
196
0年 代、池 田内閣 の 「国民所得倍増計 画」 の下、建設投資は増 大 した。 東京オ リンピッ
ク、東海道新幹線、名 神高速、等 々。 60年 の建設投資 2兆 5千 億 円か ら 64年 には
5兆 5千 億 円 と増加 率 22%の 急激な伸び を示 した。 68年 は 10兆 円を こえ、 72
年 には田 中内閣 の 「 日本列島改造計画」で列 島改造 ブームがお こり、 73年 には 21
兆 5千 億 円の建設投資 となった。
(GDP)の 20%で 、特 徴的なのは欧
米 に比 して 公共投資 の割合が高 く、建設 投資 の 35∼ 40%を 占めて いる。建 設産業
の波及効果 は 1.2倍 といわれて いるが、政 府 は第 2の 国家予算 といわれ る財政投融
高度 成長期 の建設投資はお よそ国民総 生産
資 を も活用 しなが ら、国家経済 を コ ン トロール して いるのだ。 これは不 景気 の ときの
景気刺激策 で あ り、 また失業者 の受 皿 として機能す る。
1973年 に第 1次 オイル シ ョックがお こ り、高度成長 は終わ った。景気は低迷 し、
74年 には経 済成長 は戦後 初 めてマイナス となつた。 77年 、 78年 は景 気刺激策 と
して公共投資 を増や した。 79年 、 第 2次 オイル シ ョックで 景気 は再 び低迷。 82、
83年 には建 設投資が 60年 以降初めて下回った。 85年 、 ブラザ 合意で 円高不況 と
なったが、それ 以後 、関西 国際空港、東京湾横 断道路等 の 巨大 プ ロ ジェ ク トな どで 9
2年 までバ ブル景気 とな り、建 設投資は過去最大の 84兆 円で、やがで崩壊 した。
新設住宅の着工戸数でみると、 1950年 代は20∼ 30万 戸160年 前半は4o∼
80万 戸、高度成長期の60年 後半から増大し、68ギ は120万 戸。住宅建設ブー
ムが続 き、 73年 は 191万 戸 と過 去最高 とな り、住宅の量 的不足 は解消 した。
3
③ 戦前の建設産業の成立 と変遷
さて、近代産業 として 成立 した建 設業 の、 戦前 の成立 と変 遷 をた どるわ けだが、私 の
方法 につ いて 少 し記 してお こう。大 げさ にいえば、歴 史 に客観的歴史や正 しい歴史観が
ある のであろ うか …。結局 の ところ、蟹 は 自分 の 甲羅 にあわせて 穴 を掘 るのだ。私 の論
の基本 は常 に現在 の建設不況 に苦 しむ労働者・ 職 人 の抱 く疑 問、感 情 に ある。だか ら、
それ を起点 に、わた しは疑問を ときほ ぐす。それ はサル トルのいう遡 及的方法だ と言 え
る。
建設産業 は国家意志 に支配 されて いる、 とい う観点か らいえば、近代 日本 の明治期 は
まざれ もな くそれ は国家事業で あった といえる。帝 国主義列強 に対抗 し、殖産興業 、 富
国強兵 の もと、建設産業 は社会 のイ ンフラ整備 を担 った。
明治 の前半 は鉄 道建設 、河川改修 を 中心 に始 まった。国家主導 の直営であった。現在 の
大手ゼ ネ コンの 鹿島、清水 も資材 を持たな い 「人夫 出 し」 か ら始 まった。 明治 の 中頃、
請負方式へ 移行 。 1889年 、会計法 の公布で競争入札制度が始 まった。 「安 く早 く大
大量 に」 とい う要請 の もと、劣悪な労働条件 を強 い られた。すなわち、重 層下請 け制度
の 成立 とタコ労働 の形 成である。大正か ら昭和 の初期 は重工業 の発展か ら電 力需要 の増
大 のため ダム建 設がすす み、 また鉄道網 の整備か ら トンネルエ事が増 えた。
基盤整備 をになった建設 産業 は、国家意志 の下で、主 としてふたつ の役割 をはた した。
つ ま り、ひ とつは 日本資本主義 の産業 、 軍事 、海外侵略 の先兵的役割で あ り、別のひ と
つは
最底辺 の社会階層か らの収 奪であ る。
基幹産業 としての建 設産業 は国家意志 に深 く支配 され、 また依存 して いる。 巨大 さに
もかかわ らず産業 の 自主性 、 自立性が乏 しい。
(2)労 働者 の犠牲の上 に成 り立 つ建設産業
/
①劣悪な賃金・ 労働条件で働く労働者
いま建設労働者・ 職 人を取 り巻 く状況 は嘆かわ しいほ ど厳 しい。賃金は 30年 前 の賃
金水準 といわれ、企業 の社員 でない零 細事業主、 一 人親方、職人はボー ナス も退職金 も
な く、雇用保険 もな い。仕事がなけれ ばす ぐ失業者 となる。 厚生年金や社会保険はな く、
みずか ら国民健康保険 に入 らなけれ ばな らず、`「 生活できる年金」 には程遠 い国民年金
で老後 を託 さなけれ ばな らな い。 3K職 場 といわれ る、汚 い 。きつ い 。危険な労働環境。
「ケガ と弁 当は 自分持ち」 といわれて い るよ うに、 いまで は労働基準法 、労働者災害保
険法 上の 「労働者」 はひ とりもいな いで、労災特別加入 を強 い られた零 細事業主、一人
親方 ばか りだ、 と皮肉 られるほ どだ。
4
こんな例が ある、私が働 く高層 マ ンシ ョンでは、朝礼 に 1分 で も遅れれ ば現 場か ら退
場 しな けれ ばな らな い。 また、一 度入場すれ ば、昼食 どきも含めて作業終 了まで一切現
場 か ら離れ る ことが 許 されない。 仲間は我慢 しなが ら、俺達 は四人だな、 自嘲 している。
これ が大手ゼネ コ ンの現 場な のだ。
恵 まれぬ労働者 に大幅 に依存 している建設産業。 まずそ の特徴 をみてお こう。(al労 働
集約型生産 (bl屋 外作業 (C)作 業場所が定 ま らな い (dl受 注型産業 (e)一 括請負 等である。
振 り返 って み る と、大手ゼネ コンは もともと明治初期 か ら 「人夫 出 し」か ら始 まった。
資本 も資材 も持たな い労務供給が主な仕事で、 「出来るか ぎ り少ない資本投下で、速や
にか つ 多大な効果 をお さめる」基盤整備産業 として、社会 の底辺 の労働者 を必 要 とした。
すなわ ち、ヤ クザ組織 を利用 した囚人労働者 、 貧農化 した出稼 ざ農民、 賃金労働者 となっ
た伝統 的な親方・ 職 人たちであった。 また、 同時 に請 負制度 は過 当競争、低価 格 を招 き、
それ を可能 とす る生 産組織 を生んだ。
② 巧妙な収奪システム ー 重層下請け制度
日本 の建設業 をもっ とも特徴付 ける のは、重 層下請 け制度で ある。元請 けは低価格の
請負で あって も、確実 に利益 を確保 し、一 次下請 け に請 け負わせ る。元 請 けは営業 と工
程 の管理 を行な う。 ときには、利鞘 を抜 いて丸 投 げをす る。一次下請 けは 2次 下請 けに
一括 、あるいは部分請負 をさせ る。 こ うして 3次 、 4次 と自分 の利益 を確 保 しなが ら底
辺 の業者 に下 りて い く。低価格で も利益 の 出る巧妙な収奪 システムな の だ。 もちろん、
この システムが可能なのは、低賃金や劣悪な労働条件で働 く労働者が存在す るか らであ
る。近代化 した といわれ る建 設業 、大 手 のゼ ネ コンで もそ の 内実は虐 げ られ た労働者 に
依存 して いるの だ。高度成長期 の 頃は 「建設労働者 は泉の ごと く湧 き出る」 といわれた
けれ ど、都市化 に ともなって建 設労働者が増大 し、釜 ヶ崎や 山谷 の底辺労働者 も大量 に
生 まれた。 1970年 の大阪万 博の ときは、労働者不足が 最大 とな り、そ の翌 年 には第
\
]_次 釜 ヶ崎暴動が起 こっている。
しか しなが ら、好景気 の ときは 多少 の潤 い もあ り、 この矛盾は隠 されて いるが、 不景
気 にな る とこの不合理 は一 層明確 にな る。昨今の極端な仕事不足は大幅な低 賃金 を招 き、
労働者 の暮 らしを危機 に陥れて いる。 そ して、残念な ことに労働組合はそれ を阻止 する
ことがで きな い。
欧米で は 日本 のよ うな重層下請 け制度がな い。せ いぜ い 1次 下請 けまでで、 いわゆる、
ピンハ ネがな く、他産業 の労働者 よ り賃金が高 い。技能労働者だか ら、高 くて 普通なわ
けで、 強固な労働組合があ り、産業別 、職種別 の労働協約 に守 られて いる。
5
③ 出来高払い賃金 ― 「分割 して統治せよ」
「よ り安 くよ り早 く」 とい う要請 を可 能 にす るため建 設産業 は重層下請け構造 を作 る
とともに出来高払 い賃金制度 を必然的 に作 り出 した。それ は仕 事 の種類 ごとに単価 を決
め、仕事量 に応 じて賃 金が支 払われ るため、 労働者 はできるだ け取 り分 を増やそ うと効
率 よ く、また長時間働 く。 しか し、 もともと工事 の請負額が きまっているので、発 注主
はあ らか じめ 自分 の利益 を確保 した後 、単価 を決 めるか ら、全体では損害は生 じな いば
か りか個 々労働者 を競 争 に駆 りたて工期 を早める ことがで きる。 これ は、専制統治者 の
「分割 して統 治 せ よ」 といわれ る巧みな支配方法 と同 じものなので ある。 つ ま り、元請
け (資 本家、経営者 )に は良 く、労働者 には悪 い。
非雇用 日給制 につ いて 。
正 社員 でな い建設労働者・ 職 人 の賃金は普通、出来高払 いか、 または非雇用 の 日給制
になって いる。 日給制 の 労働者 は仕事がない とあぶれ る し、仕事 日の 日給 は出来高払 い
を考慮 した上での低 い賃金 に設定 されている。 いずれ にしろ、雇用主 はアメ (出 来高払
い)と ムチ (職 務賃金)で 働か せ、損 を しな い。
下が り続 ける賃金。
実感 にお いて 30年 前 の賃金 にほぼ等 しい と言われている。 ここ 10年 ほ どで みて も、
公共 工 事 の設計労務単価 は年 々 さがっている し、国税 庁 の給与調査で も勤労者 の賃金 は
下が り続 けて いる。 今で は年収 200万 円以下 の ワーキ ングプアが
1,ooo万 人を越
えて いる。 2008年 の全建総連 の調査では全 国平均で大 工で 日額 13,870円 、各
職 で 12,790円 とな って いる。 賞与 、退職金がな く、 また道具代 、社会保険、車両
交通費 も自分持ち とすれ ば、概 算 、 ワーキ ングプア層 になる といえる。 また、他産業 の
勤労者 が平均年収 600万 前後 と比べ る、おお まか に言 って 200万 円ほ どの 開きがあ
る。デ フレ経済の 中で勤労 者 の所得は減 りつづ けて いるけれ ど、建 設不況で仕事不足 と
低賃金 で働 く労働者 は一層ひ どくな り、その暮 らしは危機的で さえある。それ に対 して
ゼネ ヨ ンの 大手 5社 (大 林 、 鹿島、大成、清水、竹 中)は 内部留保 を倍 増 している。
④ 労働災害の多発
10%を し
めて いるが、全死傷者数 の 30%近 くが建設従事者である。 また、死亡 者数ては 200
2年 か らほぼ 1600人 の うち 600人 が建設従事者で 35%前 後 の高率 となって いる。
建設業 は他産業 と比べ て労働 災害がず いぶん多 い。建設従事 者 は全 産業 の約
建設現場で は ヒュー マ ン・ エ ラー の 防止が しき りに強調 され るけれ ど、 労災防止 の基
本は 「人間は誤 りをな くす ことができな い」 ことを前提 に防止 措置、施設や 環境 の 整備
6
の
を上げ
を施主や元請 けに義務 づ けて いる。 しか しなが ら、 「最小 の経費 で最大 利潤」
3K職 場 で労働者
た い元請 け は労働安全衛 生の経費 をできるだ け削 りた い。そ の結果 、
の災害 が多発す る。
アス ベ ス ト被害。
の
の
アス ベ ス ト被害 が建設業 に集 中的 にあ らわれ て いる。肺ガ ン、 中皮腫 労災認定 半
で、高度成長 の 1970年
数 ほ どが建設業 である。石綿 の輸入量 は約 1,000万 トン
。アス ベス ト疾患 の発
年以 降大量 に使用 され、そ の 70∼ 80%が 建材 として使われた
の
が 1990年 代 か
症 は 10年 ∼ 30年 後 といわれて いる けれ ど、建設作業者 労災認定
のアス ベ ス
ら急増 し、 ます ます増 える。そ して また、解体 による暴露被害 や居住者住 民
ト粉塵暴 露 も明 らかにな って いる。
に比べ規制が大
政府 は早 い段階 か らアス ベ ス トの危険性 を知 って いたけれ ど、諸外 国
「
を制定 したが、
幅 に遅れ て被害 を拡大 した。 2005年 、 クボタ シ ョックで 石綿新法」
。
した。
国 と製造企業 の責任 を不 問 に し、救済範囲 も中皮腫 肺ガ ンに限定
。
の
、現場で労働者
建設労働 者 の 労災認定 にお いて、零細事業 主・ 一 人親方 職 人 場合
い い
に
として働 きなが ら、労働災害補償 法 上の労働者 で な いため に認定 されな と う実態
あわな い不合 理が指摘 されて いる。
7
パ ー ト2・ 建 設労働者 の聞 いの軌跡
い うまで もな いが、 時系列 に したが って建設 労働者 の闘 いの軌跡 をた どる ことが 目的
ではな い。 [パ ー ト1・ な にが 問題か ]で 記 した観点 か ら、主 として 労働組合の間 い を
再検証 し、 「明 日の建設産業」 に生 産的 につながる様 々 なテーマ を見 いだす こと。
た とえば、建 設労働組合のナ シ ョナル・ セ ンターで ある全建総連の主 要な運動 のひ と
つ、 〈
協定賃金運動 )は 後で詳 しく記述す る けれ ど、 ここ 10数 年 の賃金低下 を見 る と
き、結局 の ところ、方 向を間違 えたので はな いか、 と思わ ざるをえ な い。実際それ にた
ず さわ った者 としては、認 めた くな いの はや まや まだが、 あ りのままの事実 を受 け入れ
る ことか ら、生産的な運 動が生 まれ るのだ。 「真実が人間 を解放す る」 と言われ る。 …
もっ ともそ のなかか ら、 「公契約法・ 条例 の制定 を求める」運動が実 を結 び始 めてお り、
少なか らず評価 できる点 もあるのだ けれ ど。
さて、 ピンチはチ ャ ンス、 ともいわれ るように深刻な不況 にみまわれ る建設産業、 こ
とに建設労働者 に とって い ま こそ、 先鋭的 に問題 の根底が明瞭 にな り、人 間 らしい労働
と暮 らしを求 める方向が見 えてきた といえ る。
労働組合は主 として 3つ の役割をもって いる。相互扶助 を基本 として、①賃金、労働
条件 の改善、②組合共済 、③政策要求である。ある旅館で従業員組合ができた とき、 団
交 の席でひ とりの仲居さんが いった、 「専務 さんにお願 いがある。わた しをお亀、お亀
と呼ばないで欲 しい」 と。すると、専務は 「そんなに苦病を与えて いたとは知 らなかっ
た」 といい謝罪 した という。まさしく、組合 の魂は人間の尊厳を守ることにある。
戦後 の建設労働組合は、労務加配米や地下足袋 をよこせ、 という差 し迫った要求 か ら
始まった。全 日土建、東京土建 一般労組 の機関誌 「建設労働者」をみると、今 日の建設
組合がかかえる課題、すなわち協定賃金、健康保険、税金、政治等があ らかた問題 とし
て表出 して いる。 1951年 9月 の 「建設労働者」の記事には、 「公安条例廃止せよ、
戦争中は文句が云へ なかった」、 「仲間は人権 をふみにじられている。イ ンネ ンつ けて
飯場 をぶちこわす」、 「横浜 の大工。ガ ッチ リ固まって、協定賃金で賃上げ」、 「調査
責任 をもて。仲間のタンカに課 長沈黙」 (事 業税 について)、 「日雇 の健康保険ばどう
なって いる」等 々がある。題字 の横 には、スローガン 「再軍備する金があるな ら、おれ
たちの健康保険を作れ !」 が掲げられている。
すでに 1947年 には全 日本土建一般労働組合が結成され,て いるけれ ど、ナショナル・
セ ンター として本格的に組織化 され始めたのは、 60年 か ら 70年 初 めの高度成長の最
中であった。 60年 に全建 総連、 69年 に全港湾建設支部、 70年 に全国出稼組合連合
会等である。
8
全建総連 は 1960年
11月 、 「す べ ての建設労働者 を全建 総連 に結集 し ょう」 と結
成 された。そ の ときは 75,000人
年 で約
で、 97年 には 715,000人
とな り、 30数
10倍 となった。 有数 のナシ ョナル・ セ ンター となった全 建総連 こそが建設 産業
の 明 日を創 出 しな けれ ばな らな い。
これか ら、全建総 連 の運動 を振 り返 って建 設労働者 の問 いの軌跡 としたい。
・ 賃金 を巡 っての 運動
(協 定賃金運動)
昨今 の協定賃金運動 は行 き詰 まって いる。 要求賃金 としての協定賃金 と実質賃金 の乖
離 ははなはだ しく、賃 金 よ り仕事確保 の方が大事 だ と運 動 に熱意が見 られな い。関西地
区では ここ数年 、 26,000円
の要求 にた い して 実質賃金は 15,000円
前後で推
移 して い る。毎年 、 日額 (年 収)方 式か賃金 ア ップ方式か と議論 され るが、それぞれ特
徴が あるけれ ど、戦術 の課題で あって戦略のそれではな い。 そ して今、建設労働者 の賃
金は 30年 前 の賃 金である と言われて いる。た しか に、 30年 前 の協定賃金は関西、 関
東 ともにほぼ 15,
000円 で、機 関誌 「全建総連」 1980年 10月 16日 号 にとま職
ンい」 とい う記事が ある。
人集会 「年収 300万 円は欲 モ
どうして こん な に賃金が落 ち込んだか、 につ いて は私 は [パ ー ト・ 1な にが 問題か ]
で指 摘 した。 資本 主 義社会 の宿命 としての景 気 の波や グ ローバル化 経済 の脆弱 さもある
けれ ども、根本的 には 日本 の建築産業 の構造 にある といえる。 しか しなが ら、組合運 動
の観点 で みる と、協定賃金運動 に欠 ける点が あったので はないか、 と思われ る。そ う見
な い と一 向 に組合運動 は前進 しないのだ。
さて、振 り返 って み よ う。
全建総連が結成 された
1960年
は池 田内閣 の 「所得倍増計画」 の もと、建 設 ブーム
で あった。機 関誌 には 「建設 ブームの もた らす もの。深刻 さ増す 技 能工 不足、望 まれる
建設産業 の 民主化」 とあ り、 「忙 しいだけで 良 くな らない生活 」 とある。翌 年 の記事 に
「低賃金 を打 破 し、大幅 賃 上 げを」 と掲 げ、 日雇健保 問題 とともに協定賃金運動 の取 り
組み の運動方針が示 され ている。それ をみ る と PW賃 金の即時廃止 もあるが、全体 にお
いて 陳情す る とか協 力を求 める とかあ り、 きわめて穏や かである。 ここに は、 労働組合
の 武器 である直接行動 (デ モ、ス トライキ等 )や 労働協約 につ いて何の言 及 もな い。
60年 の大 工の賃金 は 日当 800円 で、 日雇 い労働者 は 494円
(値 段史年表 )。 建
。
設労働者 職 人 の賃金 は戦前か ら主食の米の値段が基 準 となっていて、 当時 白米 1 0kg
の標琳価格 は 870円 で あった。 この 賃金 は戦前 の大 工 と比べ て はるか に低 い。 けれ ど
9
も、 65年 になる と、 白米 1 0kgが
1, 125円 で大工の賃 金が 2,000円
とな り、
よ うや く米価 を追 い越す ことになる。
60年 か ら 90年 初め まで、 ドル・ シ ョックや 2度 の石油危機 、 また 80年 か らのグ
ローバル化 された経済 の変化 に もかかわ らず、 多少 の変動があった として も建設労 働者
の 賃 金は伸び 続 けた。おお よそ、 73年 -6,000円
0年 -26,000円
、 80年 -15,000円
、9
。 70年 代 に入 って高度成長が終わ り低 成長 に 日本経済が推移 し
たが、建設業 界は不況対策 としての公共事業投資 のおか げで成長 を持続 した。 92年 に
は公共工事 は史上空 前 の伸び を しめ した。その後、バ ブルの崩壊が あ り、従来型 の公共
工事 による景気対策で景気刺激 をはかったが、 2001年 の小泉政権 になって ネオ・ リ
オ・ リズム政策で建設不況 は一層 深 くなった。 こ うして、建設労働 者 の賃金 はバ ブル 崩
壊 以後 L限 りな く下落 したのだ った。
(公 契約法・ 条例 制定運動〉
もちろん、全建総 連 はそれ に対抗 して いる。東京都 連は 1976年 には建設・ 住宅企
業交渉 を始めて いる し、 1983年 には全建 総連 は労働省、建 設省、大手ゼネ コン、プ
レハ ブ住宅 等 の 中央交渉 を行 なって い る。そ して この交渉は毎年繰 り返 され ているが、
多少 の 成果が あるに して も賃金 をめ ヾっては実 質的 には効果がな い。 2009年 の 中央
建設 4団 体 との交渉では、 「生活 に必 要な賃金」 として 週 40時 間で月 50万 円、 日額
26,000円 以 上や 公共 工 事設計労務単価 の 引き上 げ、不払 いの元請 け の立 替払 いな
どの 10項 目で要請 して い るけれ ど、 この交渉 は産業別・ 職種別 の 労働協約 を結ぶ段階
か らず いぶ ん遠 い。むろん、 大手ゼネ コン・ 住宅企業 にお いて も個 別企業 との労働協約
は、重層下請 けシステム とか らんで きわめて 難 しい。
さて、 ここでそ の行 き詰 ま りを打 開す る運動 として 〈
公契約法・ 条例 )の 制定運動が
持ち上が って きた というべ きか。 公的機構 にお いて 建設労働者の道性 賃金 を確 保す る こ
と。そ して、そ の賃金 を民間 の賃金 に及 ば して い くこと。 1987年 に初 めての公契約
法 の学習会 が開かれ、 94年 には公契約法・ 条例 の要綱試案 を公表 して い ると 2001
年 の大会議案書では具体的運動 として①議会へ の請願、②首長へ の要望 (首 長 による議
会へ の提案)、 ③直接請求、をかかげてお り、同時 に ILO第 94号 条約 の批准を求め
て いる。そ の翌年か ら「公契約法 の制定を求める意見書」、また条例制定 の要請を採択、
あるいは継続審議 の 自治体が出始 まり、 2009年 には国へ の意見書は 771白 治体 と
な り全自治体の半数近 くに至った。また国会では政権交代 した民主党が 「公共工事作業
従事者 の道性な作業報酬等 の確保 に関する法律」 を作成 し、提案 を予定 している。
lo
2009年
9月 に千葉県野 田市で全国初 の公契約条例が成立 した。 この条例 は、前年
の尼崎市議会での廃案 になった公契約条例 の審議 をふん まえてできた。建設労働者 の最
低賃金 を設計労務単価 の 8割 程度 として いる。むろん、 設計労務 単価が年 々下落 し、 す
で に 「生活で きる賃金」か ら大幅 に下回って いる点か らみれば問題 もある。 しか しなが
ら、 これ は 国、各 自治体 へ の 制定運動 の大 きな一 歩で あろ う。
全建総 連 の賃金・ 労働条件 をめ ぐる運 動で、特徴的なのは組合員の構 成 に小規模事 業
主、親方、一 人親方、手 間受 け職 人が多 く含 まれている ことで あろ う。 この層 の労働者
が ブル ジ ョア的な意 識 を持つ ことが しば しば あ り、 ときには賃金運動 の進展 を阻む の で
はないか。 日本 に特有な企業別組合 はか ってはス トライ キ、ボイ コ ッ ト、 ピケ、あるい
はゼ ネス トをお こなっ た けれ ど、建設労働組合 にお いて そ の よ うな直 接行動は ごくまれ
だ。組織統一の必 要か ら、全建 総連では止 むを得な いので あろか。 産業別 の、個 人加盟
による居住地 の組 合がそ うさせ る筈はな い。ただ、 現今 の建設不況がそのブル ジョア意
識 を打 ち砕 き、実態 として 労働者である ことの意識 を強 い ている。 これ を組合 は大 いな
るチ ャ ンス としな けれ ばな らな い。
・ 社会保障をめ ぐる運 動
「社会保障 の全建総連」 といわれている。 しか し、運 動 の実態か らみれば、 「建設国
保組合 の全建総連」 とい うほ うが事 実 に近 い。組 合員 の大半は国保加入 を 目的 に入 って
いる といって も過言で はな い。国保組合 の優位性 な くして組織の拡大発展はなかった。
ところが 今、 マ ス メディアは国保組合攻撃 を始 めて いる。 「入院医療 費タダ」、 「多
額 の積 立金が あるのに補助金」、 「無資格者が多数加入」等 の攻撃で ある。 社会保障 費
の 削減 を企 図す る政 府 とのつなが りも憶 測 されて いるが、 ここで真 に問われて いる こと
は運動 の姿勢 の在 り方で ある。平た く言えば、国保組合 へ の政府補助金増額 の運動 に多
大 のエ ネルギイ を使 い 、他の雇用保険、年金な どの運動 をおろそか に し、他産業 の勤労
大衆 の 欲求 に応えて いな い ことで ある。 マ スメデ ィア の 国保組合攻 撃が正 しい といって
いるのではない。誤解 に基づ く批判が あ り、 また恵 まれな い建設労働者の実態 を知 らな
い無理解がある。 しか しなが ら、 もっ とも重 要な ことは 「勤労大衆 に理 解 され 支持 され
な くては本当の運動 にな らな い」 ということだ。 日本 に多 い企業別組合 は組 合員 のサー
ビス に力をいれ るが、他 の 労働者 には冷淡だ。かって最大のナ シ ョナル・ セ ンター の連
合 は非正規 雇用 、パー トの労働者か ら 「正 社員 クラブ」 と椰 楡 されたが、 い ま 「 18%
の 利益や幸せ を迫求す るのでな く、働 く者全体 の幸せ を どう追求す るのかで 国民 の 共感
を呼ぶ のか どうかが 決 まる」 (古 賀伸明 。新連合会長、 2009年 )と いってぃる。
た しか に建 設国保組合は傷病手 当て、償還払 い等 の付加給付があ り、恵 まれな い労働
者 に とって命綱 といえる。 しか し、め ぐまれな いが故 に国保 に過大な負荷 をかけ、本来
の 闘 い を疎か に しなかったか。 社会保障全体 の底 上 げ、 セ フテ ィネ ッ トの構築、 「安心
して暮 らせ る年金」、な どの聞 い。 いずれ に しろ、 「勤労大衆 に根 ざ した運 動」 を欠 け
ば、組合 エ ゴイズム の批判 を免れな いの だ。
(国 保組 合 の 成立 と発展 )
1970年
8月 に国保組合が成立 した。 60年 に全建 総連が結成 されて 10年 後 にな
る。その間、全建総連は 日雇健保 の改善 に取 り組んできたc61年 には厚生 省 にテ ン ト
を張 って座込み を し、 政府 の保険料 30円 の値 上 げ案 を 26円 に修正 させて いる。協定
賃金運動 にま して健保問題が労働者 に とって切 実だ ったのだ。政 府 は 日雇健保 の増大す
る赤字 に悩み、 日雇健保 の廃上 を言 明 した り、 65年 には保険料 を 2倍 か ら 6倍 の値 上
げ案 を持 ちだ して くる。そ して、 政府 は 日雇健保廃上 に反対す る運 動 に報復 して、建 設
労働者 に対 して 日雇健保 の提制適応廃止 を決定。政府は市町村国保 に移行 させ よ うとし
て いたが、徹底 した反対 にあい しぶ しぶ 新設 の回保組合 を認 めたのである。
目保組合 の 成立後、母 体 の 労組 は大幅な組織 数 の減少 に襲われた。建 設労働者 の 国保
組 合は職種別 、 居住別 と中央 の組織が あるけれ ど、 国保組合 の赤字は組合 の責任 である
ため、当初急激な値上 げを余儀な くされ、大量 の脱退者が 出た。全建総連ではほぼ 4割
減少。 「保険 の切れ 目が縁 の切れ 日」 といわれた。
この ときの医療 費給付 は本人 10割 、家族 7割 で、国庫 補助 25%と 臨時補助金が 付
いた。以後、全建総連 は国保 の補助金獲 得 に奔走す る。 76年 には国保 の補助金 40%
法制化 を勝 ち取 る。 2010年 では、定率 32%+普 通調整補助金
(0%∼ 23%)+
特別調整補助 金 となって いる。運動 としては組合員 一 人ひ とりが 補助金増額 の要請 ハガ
キ を書 き、幹部は国会議員 要請 を行 な うとともに中央では様 々な集会や 各党へ 要請行動
を毎 年実行 して いる。そ して、全建 総連は国保組合 の優位性 を武器 に組織 の強化拡大 を
はかった のだ った。 90年 には 50万 人、 2000年 には建設不況 にもかかわ らず 72
人 を越え、現在
2010年
では不況深刻化 もあ り 70万 人弱 の組織 数 となっている。
これか ら国保組合は どうな って い くのか。医療保険の一元化の流れが強 ま り、 国保補
補助 金の見直 しも喧伝 されて いる。国保組合 の盛衰が母体組 合に とって決定 的 に重 要 で
あ る ことは、 いまで も言 える。保険料
100%徴
収や労災紛れ込みのチ ェ ック、アス ベ
ス ト検診 、傷病手当金等の保険者機能 を発揮 して いる 国保組合。 この 良さを主張す るの
は当然 として も、全体の医療 保険制度お よび社会保障 の在 り方 を勤 労者大衆 の立 場 にたっ
て運動 の再構築 をはかる必 要が ある。
12
・ 多次元かつ多様 な運動 をめぐつて
全建総連 の 50年 史 、また各建設労働組合 の戦後 の歩み は多次元か つ多様な運動 の歴
い い
史 を持 って いる。その一 つひ とつ は働 く者 の切実 な要求か ら生 まれたに違 な 。 しか
しなが ら、つね に重要な ことは、要求す る労働者が本 当の ところ何 を望 んで いるか をしっ
か りと見極 め、それ を労働者 に返 して、先見性 を もって運動 を作 り出す ことである。運
一
動 の担 い手 、 また指導す る幹部 は働 く者 に寄 り添 い、共苦 し、 しか も 歩先 を歩かなけ
れ ばな らな い。 盲 人が盲 人 を導 く ことのな いよ うに…。
二 、三 の視点 か ら振 り返 る
。建設 労働者 の労働者性 について
い
し今、
戦 前は どんな雇用関係 で あろ うと現場 で働 く者 は労働者 と見 なされて た。 しか
い。全建総連は手間受 け
雇用 された者 でな い と、労働者 としてなかなか認 めて もらえな
従事者 の労働者 性 を巡 って粘 り強 い聞 いを続 けて きた。
した大
例え ば、 2000年 に聞 い始 まった佐藤労災裁 判 である。左手 の 4本 指 を切 断
工の佐藤 さんは労災認定 されなかった 。労働基準監督署 は 「手間受 けだか ら労働者では
な い」 と不認定。 1998年 の 「労基研」 報告 の、実態 によって労働者性 を判 断す る、
とい う立場 か ら「審査請求」 を労働局 に行な ったが、却下 されて裁判 に持ち込 まれた。
最高裁 まで闘つた けれ ど結局、敗訴 となった。
一 人親方 を含む手間受 け従事者 、零細事業 主 の労災認定 はす こぶ る難 しい。元請 けは
コス ト削減 のため、外注請負 や派遣 、手間受 け化 、労災隠 L/等 をお しすす めて いるが、
「
労働者 として認 め られな い現場従事者 は任意加入 の 労災特別加 入」 に入 らざるをえな
い。そ して、問題 はそれだけ に とどま らな い。 賃金不払 いの場合 、労働債権 として認め
い
られ な いか もしれな い。 また、税金 申告 の際 、事業税が かかる。ある はまた、公契約
法 。条例 や労働協約 にお いて適用外扱 いも想定 される。
。
の
を
もちろん、全建総連 は強 い られた 「労災特別加 入」 に抗議 し、請負 手間受 け 労務
らな い運
労働債権 として認め させ る こと、実 態 にお いて労働者であ るな ら事業税 はかか
の
「
動 を各県連・ 組合 とともに取 り組んで きた。 ここ 10年 は 労働者性 シンポジウム」
いる。
開催 にみ られ るよ うに、今後 の運動 に とつて主要 な課題 と lノ て取 り上 げ られて
・ アス ベ ス ト問題 の取 り組み
1987年
6月
10日 の機 関誌 「全建総連」 は 「アス ベ ス ト対策特集 号」 を出 し、ア
いる。そ
ス ベ ス ト対策委員 会 の設置 と詰 団体 とともに 「全面使用禁 止 を求 める」 として
の 年 の 5月 、 10月 には労働省 に様 々な 申 し入れ を して いる。アス ベ ス トの全面禁 上、
13
代替 品 の使用、解体作業 の暴露防止、被害補償等 々。特集号 には海老原勇医師 (労 働科
学研究所 )が 健康被害 につ いて話 り、建設労働者 の肺ガ ンの 7割 はアスベス ト起 因 といっ
て いる。 アス ベ ス トの大半は 「安 くて施工 しや す い」 として建 材 に大量 に使われてお り、
当然なが ら建設労働者 に被害が多 い。 しか も、発症が 10年 ∼ 40年 後で、アスベス ト
使用 の ピー クが 70年 ∼ 80年 なので今後 、被害が 増大す る。
87年 に石 綿対策全国連絡会議が全建総連 を幹事会員 として 結成 された。 90年 には
アス ベ ス ト規制法 の制定要求署名運動が始 まる。 2006年 、クボタ尼崎工場 周辺 の住
民 の被害が明 らか にな り (い わゆるクボタシヨ ック)、 「石綿救済法 」が施行。 この年
には 「石綿被害 の原点」 といわれた 大阪府泉南 の被害患者 と家族が 「泉南 アスベス ト訴
訟」 を起 こして いる。 首都圏 の 「アス ベ ス ト患者、家族の会」 は 2008年 に 「首都 圏
アス ベ ス ト訴訟」 を提起 し、国の不作為責任 と製造企業 の製造責任 を追求。全建総連 は
それ らの訴訟 を全面的 に支 援 し、 2001年 には 「早期全面禁止 の実現」 を要求 し、 0
2年 に ビデオ 「静 かな 時限爆弾 アス ベ ス ト」 を作成。多様な運動 のなかで ことに 力を い
れて いるの は、 アス ベ ス ト疾患患者 の掘 り起 こしと労災認定 の推進で あろ う。国保組合
と連携 しなが ら、胸部 レン トゲ ンの再読影 、 レセ プ ト点検等 を行 い、石綿 管理手帳 の取
得交付 とともに辛抱強 く労災認定 に取 り組んで いる。 しか しなが ら、被 害 を受 けなが ら
零細事業 主・ 親方・ 手間受 け従事者 は労災認定が受 け られな い。 ある いは、従 事証 明 の
困難 なケース もある。 これか ら、建設労働者 のみな らず、被害者の 労災補償並みの全 面
救済 を求 めての運動 も欠かせ な い。
・ 地域 に根 ざ しての運 動― 〈
住宅デー )
地域 に拠点 をお く建設労働組合は地域 に根 ざした運 動が つね に重 要な意味 を持 って い
る。住宅 デー はそ の運動のひ とつで あるが、そ こか ら明 日へ の展望 も見える
1978年
6月 に初めて住宅デーが全国で開かれた。 この頃、町場 にプ レハ ブ住宅が
進 出 し、大工や左官 の仕事が減 り、先行 きに不 安があ った。意 図す るところは 「地域住
民 との信頼関係 を築 き、地 元 の仕事 を確 保す るために」で あった。機関誌 の 「住宅デー
特集号」 では、 「国民 の住宅 は私 たちが」 と見 出 しがあ り、盛 況だった各地 の取 り組 み
を載せ ている。 トップ記事 は神奈川県連 `川 崎北部建職組合 のお祭 り騒 ぎのよ うな住宅
デー で、市建築課 職員 の行政相談、地元信用金庫 の融資相談 .住 宅施工 相談、宮城沖地
震が あった ので建物 の安全性 を模型 とパ ネルで説明、またお神典 の製作実演 、子供 の工
作 コーナ等が行なわれた。それ をNHKが 大 き く放送す る。翌 年 になる と大半の組合が
取 り組む。まな板削 り、包 丁研 ざか ら始 ま り、住宅相 談や診断が約 200カ 所、奉仕活
動 7、 8百 力所、一般宣伝 。ポスターやチ ラシ、職人地図の作 製 、職 人憲法学習会、 住
民 へ の住宅 アンケー ト調査な ど。 こうして 毎年 、 6月 下旬か ら 7月 上 旬 にか けて様 々な
趣 向で 開催 された。 87年 には住宅相談が
1, 140カ 所 とな る。 90年 の機 関誌 には
14
「 これが住宅デー の神髄 だ」 の見 出 しで、東京土建 の桜井 さんが 幼稚園で木工教室 を年
26回 奉仕 した とある。
5
■ロロ
バー ト3・ 明 日の建 設産業
い ま建設 現場 に働 く者 に 「あなたに
明 日が見 えますか 」 と聞 いてみ るが いい。
誰が確
信 をもって応 えるで あろ うか。 大半 の労働者 は
自分 の息子 には稼業 を継がせた くな い と
思 って いる。 ものづ くりの喜びが失われて久 しい。
た しか にバ ンは大事だ。 しか し、事
実 にお いて 「人はパ ンの みに生 きるに あ らず」 とぃぇる
。わた した ちは `人 間なのだ つ。
わた しは、現場労働者 をまるで 囚人のよ うに
扱 う大手ゼ ネ コ ンの実態を指 摘 した 。物 の
よ うに見 る、か っての 「ロウム シャ」 を想起 させ
るで はな いか。 明 日にお いては、 人間
としての誇 りある労働 をわた した ちは望 んで い
る。
シモ ーヌ、 ヴェー ュ は 「労働 日記」 になかで、
ぁる疲れた女工 の哀 しげな微笑 につ い
て 記 して い る。彼女 はそ の微笑 に人間の証 を
み、労働 を貫 く自然 の法貝Jを 感 じ取 った。
「重力 と恩寵」 とい ぅ思 索 の書 の っこに
根
は、機械部 品工場での労働 体験が ある。
労働
とは何か、を考える とき、それ は 同時 に 「人間
とは何か」 を考えて いる こ とで もある。
わた しは 冒頭で 「普遍的価値」 につ いて少 し した
記
が、そ こには労働 とい ぅ現 実 との
たえ ぎる緊張 関係 へ の洞察が人 間解 放 をにな
う組 合運動 に不可欠 と考えるか らだ。 労働
の 人間化 は 良 いけれ ど、 労働 には 人間性 を越え
た法則が隠 され て いるの だ。
(1)国 家 か らの 自立
地 域主権 へ 。
建設 産業 は国家意 志 に深 く支配 され る とともに
依存 し過 ぎている。 国家か らの 自立な
しには健全な発 展はな い。パー ト 1で みたよ
うに、 昨今 の建設不況は 国家の政策が重
要
な要 因であった。 ぃ ま、仕事 不足 に悩む建 設産業
はふ たたび、公共工 事投 資 の増大 を
期
待 して いるが、それは今の 国家主 導型で あるかぎ り、
早晩行 き詰 まる。 やがて 9oo兆
円にな る財政赤字 を抱えて いる政府 は、従来か ら
繰 り返 して きた手法 の経験か らもそれ
を望 まな い。 しか しな が ら、 それぞれの地域 には、
公共事業 の需要は あるの だ。 とくに
身近な生活 関連の公共事 業 が切 実 に必 要 とされて いる。
徴税や 政治、行政な どの運営主
体が地 域 に あれ ば、そ れが 可能になる。た とえば、
大都市 圏か ら離れた地域 の地元 建設
業者 は仕事不足で倒産 に追 いや られて いる けれ ど、
それ はその地域 の雇用が 失われ 地元
経済 の疲弊 を招 くので あるか ら、地域住 民は自 の
分 問題 として解決 策 を創意工 夫す るに
違 いな い。む ろん 今や、地域 自治体が地元 業者 を
優先す る ことは当然 の ことにな って い
るが、 「 3割 自治」 と椰楡 され るよ うに国家の
意志か ら自立 できないでい るのが実情だ。
地域主 権 の主 張は都市 化 の加速 とグローバル化 の
流れ のなかで必 然的 に起 こった。 中
央集権国家 の矛盾 と弊害が 明瞭 とな り、 国家の枠組みが ロ
グ ーバル 化社 会に合わ な くなっ
16
た。都市化 に取 り残 され た地方、 「限界集落」 になった過疎地 …。地 域主権 は、 自分 の
地域 の ことは 自分たちで決 めた い、 自分 の運命は 自分が決めるとい う極 めて人 間的な要
求 に基づ く。国家 を こえて、地域主権が明 日の社会 を切 り開 くのだ。
しか しなが ら、地域 といって も様 々だ。都市化で空洞化 した地 域 もあれ ば、過密で 悩む
地域 もある。大前研― は 「地域国家論」のなかで、 資本・ 企業・ 情報 。消費 の グ ローバ
ル化が国境 をボー ダ レス とし、国家はす で に極桔 とな り、それ に対応 した地域が い ま重
要な役割 を担 って いる、 という。そ してかれ は、た とえば北九州、関西、名古屋、 関東
圏は国家 の枠組 みをな くせ ば、グ ローバル経済 によって 飛躍的に発展す る、 とい う。か
の い う 「地域 国家」はまった く経済主体 の効率至上 の地域であ り、経 済的繁栄か ら取 り
の こされた地域、過疎 Tヒ に悩む地 域な ど、まるで眼 中 にない。 しか し、重 要な点 はグ ロ
ー バル化 した世 界 を拒む ことがで きない ことだ。 というよ りむ しろ、地域 の実情 を考慮
しなが ら先見性 をもって積極的 かつ選択的 にうけ いれなければな らな い。
住 民 主体 のコ ミュニ テ ィ (共 同体 )の 創造
市町村町単位、都道府県単位、ある いは道州 単位 に しろ、核 になるのは住民主体 の有
機体 としての地 域であ り、それはいわば、人 間 の暮 らしを尊重す る共同体 といえる。
ク ロポ トキ ンは 「相 互 扶助諭」 のなかで、 ダー ウイ ンの進化論 を批判 して 自然 の原理
としての相互扶助 を強調 し、それ を原理 とす るアナキズム社会 を設計 した。それは今か
みれば 、 自給 自足 の 田園都市や農村で あ り、やや ユ ー トピア的であるけれ ど、強欲資本
主義が跛雇 し、人 間 らしい暮 らしを情 け容赦な く破壊す るグ ローバル世 界 をみる とき、
再評価 して しか るべ き共 同体論 であろう。 「人が 人を食 う」 ジ ャ ングルの原理 に対抗す
る、相 互 扶助 の原理 に基づ く社会。地域がそれぞれ 多様であるよ うに、多様 な コ ミュニ
テ ィの創造。あす の社会 は このよ うな多様な コ ミュニ ティ とその輻湊 した連合体が大 き
な柱 となるべ きだ。
その とき、 グ ローバル 社会 はそ の肯定的な側面 をみせ るだろ う。
ITは 有 力な武器 と
な り、世界か ら多様 な情 報 、人、 ものが コ ミュニ ティを豊 にす る。 結局 の ところ、 人間
の有 り様が同われて いるの だ。
地域 に根 ざ した建設労働組 合
建設労働者・ 職 人 の 労働組合は コ ミュニテ ィの主要な支 え手 となれ る。 常 に衣食住 の
ひ とつ をにな い、社会 の基盤 を作 る建設労働 者・ 職 人は産業別、職種別 の労働組合 を作
る と同時 に居住地 にその活動 の拠点 をもって いる。 日本 に特有な企業別組合 とは違 って、
ごくあた りまえの ことだが、 自分 の意志 にもとず く個 人加盟であ りその組 合意識は高 い。
そ して 当然 の ことなが ら、生活者 として コミュニ ティに依存 している。
17
ナ
また、元来、労働組合の存 立基盤が 「相 互 扶助」にあ り、賃金や労働条件の改善 を求
めつつ 人間の暮 らしと人間の尊厳 を守 る役割 を担って いる。単 に賃金 、 労働条件 の 向 上
の みな らず、 コ ミュニ ティに様 々 な形 の多様な役割が期待 され、 またはた し得 る
ひ とつの例 を示そ う。 「全逓ルネ ッサ ンスー地 域社会 に密着 した 労働組合の新潮流」
は郵便配達夫 の様 々な地域 貢献 の運動 を紹介 して いる。 過疎地 の 人 々の給食サー ビスや
見守 り、災害 どきの 救助、な ど。 こうした運動 は 同時 に、労働組合が社会 にとって いか
に重 要 であるか の証 となるので ある。 コ ミュニテ ィ に 自分 の権利 を主張 し要求す るだ け
でな く、そ の社会 に責任 をになって生 産的な義務 を喜んではたす こと。それ は結局 、地
元 に根 ざして生きる企業、 労働者、組合 を コ ミュニテ ィが逆 に助 け支える ことにつ なが
るのだ。
グ ローバル化 社会 で根源 的 に問われ て いる ことは、 人間 の暮 らしの本 当の豊か さは 何
か、である。地 域 に根 ざ して生 きざるをえな い建設企業 、労働者や労働組合は、 「グ ロ
ーバル・ シンキ ング、 ローカル・ アク ト」 の姿勢が常 に求め られ る。 これが、普遍的価
値 に基づ く多様 な組合運動 を生 み出 して い くのである。
(2)公 契約法・ 条例 か ら労働協約 ヘ
公契約法・ 条例 は公共工事 にお ける現場労働者 の最低賃金 を定 めた ものである。バー
ト・ 2の 聞 いの軌跡で述 べ たよ うに千葉県野 田市 をかわ き りにようや く実現の段階 に入
り始めた。 しか しなが ら、それ は国、地方 の公共 工事 に限定 されてお り、 民間で は適 用
されな い。民間にお いて、 生活で きる賃金 、また技能 に相応 しい賃金 を確保す るには産
業別 、職種別 ある いは地域別 の労働協約が不可欠な ので ある。
建設労働者 の労働協約 は様 々 な現場 を渡 り歩 くので、個 別 の企業経営者 とのそれで な
く、経営者・ 使用者 団体 と労働組合 との協 約 となる。協約 は職種別 の賃金だけでな く、
労働安全 、衛生や練 々 な社会保 障 、また紛争 の解決 のルール を定 める。
労働協約 がで きる と、 日本 の建設産業 に特有 の重 層下請 け制度が成 り立たな くなる。
つ ま り、労働者 の道正な賃金 と公正なルールが確立 し、 いわ ゆる ピンハ ネができな い。
働 くものに犠牲 を しいる低入札 価格 の受注がむ つか しくなる。経営者 。使用者 は賃金 の
みな らず、様 々 な労働条件や 社会保障 を応 分 に負担 しな けれ ばな らな い。 労働者の犠牲
の上でな りたった偽装 の近代化 をよそ う建設産業 は、痛み をともな う民主化 を成 し遂 げ、
文字通 りの近代化が かかせな いのだ。欧米の場合、下請 けは基本的 に 1次 までで元請 け
企業 は直轄の労働者 を多 く抱えて いる。現場 にお いて施 工管理 の社員 のみ の 日本 の場合
とは違 う。一般 には CM(Construction
18
Management)方
式の
施 工が み られ、設計監理 と施工 とは分離 されてお り、 日本 のゼ ネ コ ンの一括請負 は禁止
されて いる。
牙 をむ け 、建設労 働組合 よ― 直接行動 を武器 に
労働協約 に至 るプ ロセスは欧米の経験 をみて も長 い粘 り強 い闘 いが予想 され る。全建
総連 の大手建設・ 住宅企業交渉 は 1984年 か ら始 まって いる けれ ど、部 分的成果が あ
る として も労働協約 に結ぴ つ くもので はな い。 まず もって、交渉相手 の経営者 。使用者
団体が明瞭 ではない。幾つかの団体があるが、産業別 の労働協約 を成立 させ るには相手
側 の、その産業 の統 一 された経営者・ 使用者 の 団体が不可欠である。
欧米 の 労働協約獲得 の歩みをみ る と、労働組合の団結 と要求 の高 ま りの反作 用 として
経営者 。使用者 の 団体が 生 まれて いる。すなわち、労働組合 の 力量次第なのだ。それ は
結局 、 こういわれて いるので はな いか、 「労働組合 、恐れるにた らず」 と。率直 にいっ
て、聞 いを見直す ことだ。資本 と労働 との、支配 と隷従 との関係 を打 破す る道 は赤裸 々
な 力 と力 との関 いで ある。 もちろん、団体交渉は必要だ。 しか しなが ら、 20数 年 に渉
る交渉 にもかかわ らず 成果が きわめて少な い ことをかえ りみる とき、働 く者の赤 裸 々な
力 の行使 、直接行動がかかせな い。 中南米 の 労働者 は い ま、従来 よ くみかけたス トライ
キ、サボター ジ、ゼ ネ ス トではな く、 ク レー ン運転手が ク レー ンを とめて建 設現場 を上
めた り、ダ ンプ運転手が現場 につなが る道路 を封鎖 した り、電気工が現場の電 気 を遮 断
した りとい う少数者 の効果的な直接行動が報告 されて いる。
もっ とも、欧米の労働協約獲得 のプロセス をみる と、様 々 な段階があ り、一 筋縄 で は
いかないのがわかる。イギ リスでは 19世 紀 の前半 に職能別組合 (ク ラフ ト・ ユニ オ ン
)
が結成 され、 自分たち のみで労働規制 を行なった。 19世 紀後半 に全 国的な組合が作 ら
れ、地域規模 の 労使交渉がお こない、 19世 紀末 か ら 20世 紀初 めになって全 国的な労
使 団体交渉が行なわれた。戦後、産業別組織 として建設労働者・ 技術者組合 (UCAT
T)と 、建設部 門 をかかえた運 輸 。一般労働者組合 (TGWV)と があ り、交渉 機構 と
して 「建設産業合 同労使協議会」 が ある。 中央 では職種別 の標準賃金、労働時間、残業
等 をきめ、そ の上で 現場別 の協約 を決 める。
フランス の労働協約 の著 しい特徴 は、組合 に加入す る、 しな いの 自由を認 める ととも
にそれが準法律化扱 い されて いる ことだ。 ナ シ ョナル・ セ ンターが 5つ あるけれ ど、組
織率 は 10%も な く、建設産業では 2∼
3%に す ぎな い。 しか し、労働 協約が法律並み
の扱 いをされ るので、社会的影響力は大 きい。組合 員 は活動家集 団 として先 進 的な役割
をもって いる。ア メ リカでは、AFL―
CIO(ア
メ リカ労働総同盟)が ハ イ ア リング
ホール とよばれ る建設労働者・ 職 人 の供給 システム を持 ち、仕事 口に対す る支 配権 を握
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って いる。
19
戦前 の 日本 にお いて 、愛知方面で繊 維産業 で職種別 の労働協約が 結ばれた ことが ある。
それ は好景 気 で繊 維技術者、 ことに捺染 工が 引っ張 りだ こにな り、経 営者がす すんで労
働協約 を結 び、 引抜きを防止 しよ うとしたか らで ある。
戦後 、初 めて 産業別 の最低賃金制度 を実現 したのは、海員組合である。 1951年 に
職種別最低賃金 を確立 した。そ の後、炭鉱労働者、私鉄労働者、港湾労働者な どと続 い
た。
(3)も のづ く りの喜 びを もとめて
賃金労働者 か ら地 域 を支 える生 活者 ヘ
岩国哲 人は 「部 の論理」のなかで、地元産 の木材で地元業者 を使 って ド ーム型 の 出雲
体育館 を作 り上 げた経験 を語 って いる。市 長 としてかれ は生 まれ 育 った 故郷 をグ ロー バ
ル 化 された世 界 で 独 自性 を発 信で きる と確 信 していたの だった。事実 、 どの地域 もそれ
ぞれ固有 の歴史 を持 ち、見 つ めなおせ ば、個性 的な豊か さを見 いだせ るに違 いな い。
建 設にたず さわ る 労働者 は地 元地域で働 き、 また生活 の拠 り所 としてお り、 地域主権
になれば、地域 のイ ンフラ整備 に深 くかかわ る ことがで きる。地域 の 明 日を考 え、地域
に責任 をもつ な ら、企 画段階か ら創 造的 にかか わ る こと もできる。そ の とき、建設労働
は賃金労働か ら普遍 的価値 を求める労働 に変わる。 また、 変わ らなければな らな い。
普遍的価値 とはな にか。それ は、人 間 の尊厳 を守 る こと、暮 らしを豊 にす る こと、 自
然 へ の畏敬 を失わずそれ を こわ さな いこ と、野放 図な欲望 を抑制 し公平・ 公正である こ
と、な どである。建設労働が普遍 的価値 に基づ く労働 になれ ば、それは必然 的 に 「 もの
づ くりの喜 び 」 を伴 う。
労働組合 は仕 事確保 の運動 として、地域社会か ら事業共 同組合 による共同受 注や NP
O立 ち上 げ による受注 もできる。 ドイッでは労働組合 の代表が経営 陣 に参画 して い る。
場合 によって は 自立 した 労働者 による労働者管理 の事業体 も可 能で あろ う。
NGO・ NPO、
そ して社会 的企業 の発展
グ ローバル 社会 にお ける資本の冷徹 で 野蛮な動 きに人々は、 「労働 とは何か」 と改め
て 自分 に岡 って い る。なんのた めに働 くのか、 と。 NGO.NPO、
そ して 「雇用 を守
る」社会的企業 は、 営利 を 目的 としない。 ともに、公共 の福祉 を 目的に多元 的 に、かつ
多様 な活動 を展開 して い る。 とくに、注 目され るのは社会的企業 である。それ は、営 利
を 目的 としな い けれ ど、営 利 をな いが しろに しない。 持続的に雇 用 を守 りなが ら、事 業
20
の利潤 を公共の福祉 に再投資 していくのだ。社員はボランティアではない。仕事 自体が
ボ ランタ リティにもとづいているわ けだ。
建設労働は このよ うな事業体によくなじむ。社会のイ ンフラ基盤 にかかわる建設労働
者・ 職人はもともと、公共の福祉 のために働 いて いるのではないか。歪め、虐げた のは
己れ の手 を汚 さない資本家、経営者たちなのだ。
結 び として
建設労働者・ 職 人は い ま、先行 きの見通せな い建設不況 に苦 しん でいる。
明 日のな い
人生 は耐えがた い。 この苦 しみ、 この耐えがた さをなん とか理 解 した い
。そ して希望 の
もてる仕事 と暮 らし、 魅力ある建設産 業 の 明 日を展望 したい。 また、 20数
年 にわた り
組合活動を して きた ことの反省 と確信 の もて る運動の構築 を願 って この
文章 を書 いた。
片寄 って いるか も しれ な い。学者 の論文で は無諭ない。私 はむ しろ、
働 く者の生の声や
姿が紡彿 とす る 「建設労働 者 の、建設労働 者 による、建 設労働者のた めの
論文」 を書 こ
うとした。 この試みが十 分 はたせた と思えな い けれ ど、そ れな りの
妥協のな い、持続 し
た試 みであった と言 える。
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産で,1947,50年 は会計年度。産業別就業者数の1960年 以前,65。 70,75'80。 85'90。
査の各年10月 1日 の産業別就業人口,他 は「労働力調査」の年平均計数。なお
∼72年 は沖縄県を含まず。
経済企画庁「国民所得白書」 (1960年 度版),同 「国民経済計算年判
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伴設省「建設統計要党」および日本統計協会「 日本長期統計総覧」による。名目額の計数。1997年 度は
本績見込み額,98年 度は見込み額,99年 度は見通 し額。
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の新設とは,新 築,増 ・改築により住宅の戸数が増加したものである。1970年 までは沖縄県を含まず。
│
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O「 新 しい労働社会一雇用 システムの再構築 へ 」 岩波新書 2009年
浜 口桂 一郎・ 著
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日本能率協会 マ ネ ジメン トセ ンター 。刊 1997年
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編著者・ 厚生労働省労使関係担 当 参事官室
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I
O「 新版 。世界 の労働組合―歴史 と組織 」 編著名・ 堀 田芳明
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〇 「数字 で み る 日本 の 100年 、 改訂第 4版 」編集・ 矢野恒太郎 発行 。(株 )国 勢社
O「 建設産業事典」発行・ 鹿島出版会 編者・ 建設産業史研究会 2008年
○ 「相 互扶助諭―近代 の 1要 素」著・ ク ロポ トキン 訳・ 大杉栄 春陽堂 1927年
O「 田園工場及仕事場」著・ ク ロポ トキ ン 訳・ 室 伏高信 世界大思想全集 34所 収
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O「 近代科学 とアナーキズム」著 6ク ロポ トキ ン 世界 の名著 42 1967年
○ 「 日本国勢図会」
ノ
中央公論社
O「 地域 国家論」
著・ 大前研 一
講談社
○ 「人はなぜ 誤 るのか 」 著・ 海保博之
1995年
福村 出版 1999年
i