熱抵抗、TIM、サーマルランナウェ ●熱抵抗による温度上昇の計算 先のペンティアム4 2.4GHzの熱抵抗計算例を 振り返ってみよう。 TDP(W) Tj (℃) Ta (℃) 24.5 100 50 ジャンクション(ダイ)・周囲間熱抵抗Rthj-aは(100 -40)/24.5から2.04℃/Wが計算できる。 57.8W Tjmax 24.5W Tj Tjmax Rthj-c Tc Tj (70-40)/57.8 70℃ Rthc-a 100℃ (100-40)/24.5 0.519℃/W Rthj-a Ta 2.04℃/W 40℃ 熱抵抗その1 ケ ー ス 温 度 Tc70℃、周 囲 温 度 Ta40℃、電 力 57.8Wなのでケース・周囲間熱抵抗Rthc-aは(7040)/57.8で0.519℃/Wと計算できる。本来、ジャン クション(ダイ)温度が最高ジャンクション温度 Tjmaxに収まるかどうかが問題だが、ケース温度 Tcを70℃、周囲温度を40℃以下に抑えればダイ 温度TjはおのずとTjnax以下となる。これはRthj-c がCPUの構造で決まり、Rthc-aは接触熱抵抗を 含むヒートシンクの熱抵抗なので、これもリテール ヒートシンクを使えば特定の数字だからである。 上図は次のように書き換えることができる、 Ta 50℃ 熱抵抗その3 取り上げた例はいずれも温度が分かっていて 熱抵抗を求めたものである。多くの場合は熱抵 抗が既知で、これから温度上昇を計算する。参考 としてダイオードでの計算例を2つ示しておく。 57.8W Tjmax Tj ジャンクション(接合)温度計算例 (アキシャルリードダイオードでリード温度から接合温度を計 Rthj-a Ta 40℃ 熱抵抗その2 これは Rthj-a=Rthj-c+Rthc-a の関係があるからである。 この関係をペンティアムM (Centriono)に適用し てみよう。ペンティアムM 1.6GHzでは次のように TjとTaが規定されている。 ジャンクション(接合)温度計算例 その2 (Fully Molded TO-220ダイオードでフィン温度から接合温度を計算) 20+1 熱抵抗、TIM、サーマルランナウェ なおヒートシンク熱抵抗は周囲温度や風速な どに影響される。これについてはヒートシンク熱抵 抗の項で取り上げる。 TIM自体の話の前に接触熱抵抗と圧力との関 係に触れたい。圧力が高くなれば接触抵抗は小 さくなるが機械的ストレスが増すことになる。加圧 にはバネが利用され、その圧力は図のよう点、す なわち、圧力に対して熱抵抗がほぼ飽和する点 に設定されている。接触熱抵抗云々は適正な圧 力がかけられているのが前提である。リテール品 でないCPUクーラーでは、とかく材質やファンの 大きさや回転数に目が向きがちだが加圧力は重 要なポイントである。 接触熱抵抗 ●サーマルインターフェイスマテリアル(TIM) サーマルコンパウンド、あるいは、シリコングリー スとよばれるものがこれに属する。Rthc-aは接触 抵抗Rthc-fとヒートシンク熱抵抗Rthf-aの和であ る。このうちの接触熱抵抗を下げる役割を果たす のがTIMである。先に計算したようにRthc-aはペ ンティアム4 2.4GHzでは0.519℃/W、3.06GHzで は0.379℃/Wとかなり小さな熱抵抗が要求されて いる。このためにインテルが想定する接触熱抵抗 は 0.15℃ /W で あ る。こ れ は AMD が 想 定 す る 0.35℃/Wと較べてもかなり小さいが、0.379℃/W 中の0.15℃/Wと考えるとこれ以上大きくはできな い数字といえる。 0.15℃/W Rthc-f 接触熱抵抗 Rthc-a 圧力 Rthf-a 0.519℃/W (P4 2.4GHz) 0.379℃/W (P4 3.06GHz) 圧力と接触熱抵抗 ヒートシンク 熱抵抗 接触熱抵抗 Rthc-f そもそものTIMがなぜ必要かといえば、接触面 にある程度の凹凸があるのは避けられず、この空 隙を埋めて熱伝導を改善するのがTIMである。 接触面の平坦度は25µm程度(JISでの仕上げ▽ ▽)から数µm(同 ▽▽▽)の仕上げが前提であ る。IHSとリテールヒートシンクはともにこのような 仕上げになっているはずだが、TIMはこの空隙を 埋めて接触熱抵抗を0.15℃/W以下を実現する ことになる。当然TIMは熱伝導が良好なことが求 められる。 さてインテルの資料ではペンティアム4用TIMと して具体的な製品名は挙げられてはいない。 *熱抵抗(が低いこと) *Wetting / filling特性(がよいこと) と書かれている。一方、Xeonの熱設計資料には 信越化学工業 G749とG751が、ペンティアムMと AMDのアスロン64の資料ではG751が挙げられ ている。結論を先にいえば、接触熱抵抗を低く抑 え、Wetting / filling特性、経時劣化を考慮すると このあたりに落ち着きそうだ。TIMは熱伝導がい いことはもちろんのこと、それ以外の要素にも目 を向けなければいけない。その例の2つを見てみ よう。 TIM ヒートシンク IHS 変質(分離)したTIM Intel : Thermal Performance Challenges from Silicon to Systemsより 接触熱抵抗を改善する インターフェイスマテリアル 20+2 熱抵抗、TIM、サーマルランナウェ TIMには温度上昇と下降を繰り返すとオイル成 分がなくなり、バサバサになるものがある。この状 態では接触熱抵抗を下げる役割は期待できず、 むしろ逆効果になる可能性がある。 いる。 Elastomeric Padsはヒートシンクに銀紙のよう なものが貼ってあったことがあるが、その類のもの で、扱いやすいが接触熱抵抗はあまり下がらず、 電力が小さ目の用途向きである。 PCMは相変化型(Phase Change Material)で、 常温では固体、高温では液体に変化する性質を 持っている。(変移温度は例えば48℃)シリコング リースのようにべたつかないので扱いやすく、低 い接触熱抵抗が得られる。FCMはペンティアム4 用リテールヒートシンクに使われている比較的新 しいTIMである。 それでは手に入るTIMを紹介する。 pump-outした(逃げてしまった)TIM Intel : Thermal Performance Challenges from Silicon to Systemsより 信越G746 白色グリース これはせっかく塗ったはずのTIMが接触面から 逃げてしまった例である。 もうひとつ忘れていけないことがある。パワー半 導体の世界ではよく知られているが、シリコング リースのなかにはプラスティックに悪影響を及ぼ すものがある。CPUの有機基板でも同様の現象 が起きるかどうかはわからないが要注意である。 さらにCPUダイのそばに搭載されたチップコンデ ンサへの影響もあるかも知れない。このような理 由でプラスチックモールドパワー半導体品用とし て推奨されているのが信越化学G746と東芝シリ コンYG-6260である。CPU用として名前が挙がっ ているG751はこれらの延長線上にあり、さらに熱 伝導を高めたものである。 熱伝導率 0.92W/m℃ 使用温度 -50∼+150℃ (2,980円/100g) 信越G751 灰色グリース 熱伝導率 インテルの資料によりTIMにどのようなものがあ るかを見てみよう。ここで左端はTIMのない場合、 右端は理想的に熱が伝わる場合である。それぞ れ接触熱抵抗が最大と最小の状態に対応して 4.5W/m℃ 使用温度 -50∼+170℃ (1,480円/1g 信越 FCシート 灰色 35×35×0.13mm 熱伝導率 4.7W/m℃ (480円/1枚) サーマルインターフェイスマテリアルの熱抵抗 Intel : Thermal Performance Challenges from Silicon to Systemsより 20+3 熱抵抗、TIM、サーマルランナウェ がある。(この理由でAMDは推奨していない) *隙間を埋めるのだからグリースは薄く塗る *長期間経ってTIMの劣化により温度上昇が明 らかに大きくなり、それが許容できないのであれ ば新しいものに換える。 信越 FCシート 白色 35×35×0.1mm 熱伝導率 ●サーマルランナウェイ(熱暴走) サーマルランナウェイと混同されがちなのは 単なる温度の上がり過ぎである。 3.3W/m℃ 相変化温度 48℃ (450円/1枚) 例えば *ヒ−トシンクを傾けて取り付けてしまい冷却効 果が低い *ヒートシンクのファンが止まって(止めて)し まった *動作周波数を上げたために損失が増えた 銀入りグリース Ag compound 25% Si compound 30% Carbon compound 20% Metal oxide compound 25% 熱伝導率 7.5W/m℃ (680円/1.5g) これらのTIMはすべて非導電性である。導電性 があってジョイントコンパウンドとよばれるTIMも あるが、CPU用としては導電性は必要でないし、 万一CPUのピンの側に回り込むとショートする恐 れがある。 金属の熱伝導率はアルミが237Wm/K、銅は 398Wm/Kである。TIMだけの熱伝導率を較べる 大きな差があるように感じる。しかし、アルミや銅と 比較すればかなり低い。TIMは隙間を埋めて、熱 の流れよくする補助的な役割を果たしている。そ のために熱伝導率の数字ほどに接触熱抵抗を 下げる効果があるわけではない。雑誌で実験し た結果を見ると、CPU温度が45℃でTIMの違い による差は1℃程度である。 TIMの選択と使い方をまとめると *メーカの推奨品を使う。 *人体に無害なものでなければいけない。取り扱 いには十分な注意が必要で、手に付いたときは 乾いた布で拭き取り十分に水で洗う。 *相変化型は使いやすく、一般的には優れてい る。ただしヒートシンクを外すことがあればシリコン グリースを使ったほうが無難である。相変化型は しっかり貼り付いてヒートシンクが外れない恐れ などの理由で、損失が100Wで熱抵抗が2℃/ W、あるいは損失が50Wで熱抵抗が4℃/Wとな れば、いずれの場合も温度上昇は200℃であ る。この電力がかかりつづければシリコンを素 材とする半導体は確実に焼損、破壊してしま う。これは過度の温度上昇であり、サーマルラン ナウェイではない。 サーマルランナウェイとは温度が上がると損 失が増加して、これがさらに温度が押し上げる という現象を繰り返すことである。温度は加速 温度が上がる 損失が増える 度的に上昇することになる。 熱抵抗を使った温度上昇の計算式は発熱と 放熱のバランスを表していると見ることもでき る。温度上昇∆T、損失Pなら ∆T=Rth×P であり、熱的にバランスする点を表している。例 えば損失が100Wで熱抵抗が1℃/Wなら温度 上昇が100℃の点で発熱と放熱のバランスがと れるというである。この式をもとにして温度に対 する損失の変化分を∆Pとすると ∆P/∆T=1/Rth となる。もしバランスが崩れて ∆P/∆T < 1/Rth となれば温度上昇による損失増を冷却系が吸 収しきれなくなる。このためにサーマルランナ ウェイが起きることになる。これは損失が正の温 度係数をもっていてはじめて起きうる現象であ 20+4 熱抵抗、TIM、サーマルランナウェ る。 サーマルランナウェイに注意しなければいけ ない代表的なパワー半導体はマザーボードに も見うけられるショットキーダイオードである。逆 電流がもともとPNダイオードに較べて1000倍も 大きく、かつその温度係数が正だからである。 最高ジャンクション温度Tjmaxが175℃のショッ トキーダイオードのデータシートに dP/dTj < 1/Rthj-a がサーマルランナウェイを起こす条件であると の断り書きがされているものがある。これは先 の式そのものである。この式のいわんとするとこ ろは発熱と放熱のバランスがとれる熱抵抗で ないとTjmaxの175は保証できませんである。と ころが現実的にはこの条件を満たす低い熱抵 抗 は 実 現 で き ず は、結 局 の と こ ろ Tjmax の 175℃は絵に描いた餅に過ぎない。 損失 dP dT 温度 サーマルランナウェイの起きる条件 ●温度が上がれば損失は増えるか CPUの損失は温度が上がれば増えるかどう かを実際に試してみた。No.2PCでダクトファン の回転数をコントロールしてCPU温度を変え た。Hot CPUで負荷をかけながらCPU単独の 電力は測定できないのでPC全体の電力を測 定したところ、CPU温度が60℃から66℃に上 がって1Wくらい増えるかどうかだった。このとき に シ ス テ ム温 度(周 囲 温 度)は 37℃ だ っ た。 CPU温度と電力の変化を観察すると、この程度 の温度ではサーマルランナウェイの兆しは見 られなかった。(インテル推奨使用条件はTcが 70℃以下、Taが40℃以下) 少なくともインテルの推奨するTcとTaを守り、 リテールヒートシンクを使い、これをきちんと取り 付け、規定周波数で動作させればサーマルラ ンナウェイは起きない。(ように推奨条件を定め ている) 推奨条件から外れる動かし方では、サーマル ランナウェイという現象を意識したほうがいい だろう。CPUの損失は周波数に比例する成分 と、コア電圧の2乗に比例する成分との和であ る。このうち後者はシリコン基板の漏れ電流で あり、温度が上昇すると増えると考えられる。発 熱と放熱のバランスが前者に極端に偏ってい ればあっという間にサーマルランナウェイが起 きる。ところが、CPUの発熱でTaが徐々に上昇 していき、ぎりぎりでバランスしているような場合 は特に要注意である。 これは温度が上がり、1/RthがdP/dTより大きく なればサーマルランナウェイが起きる様子を 図示したものである。dP/dTは温度対損失特性 の傾きで、温度とともにこの傾斜は増している。 以上の説明では熱抵抗を一定としている。し かし、自冷(風を吹かせない)ヒートシンクないし 風量が極めて少ない状態では温度が上がれ ば放熱効率が低下するので熱抵抗自体が大 きくなることがありうる。これは、もし損失が温度 の影響を受けないとしても温度が上昇すれば サーマルランナウェイは起き得る危険があるこ とを意味する。具体的にはファン騒音を避ける ために自冷ヒートシンクに取り替えて動かす場 合がこれにあたる。自冷時温度上昇の時定数 は長いので1時間とか2時間にわたりCPUダイ 温度が上昇し続けることがないかどうかを注意 深く監視してサーマルランナウェイが起きない かを確かめたい。 20+5 どうしてCPU温度が測れるのか? て、逆に何mVかのVFを温度に読み替えることに なる。 温度と電圧との関係を図示するとは次のように なる。熱抵抗は通電開始から十分時間が経過し て、温度が飽和してから測定する。 小電流でのダイオード順電圧 どうしてCPU温度が測れるのか? CPUではパワーを発生しているダイそのものの 温度を知ることができる。パワー半導体でもダイ 温度をもとにして過熱保護機能を働かせるのは 珍しくはない。しかし温度を外部から見られるわ けではない。CPUは動作させながらダイ温度が 見られるので、これを熱設計に利用できる。ここで はCPU温度をモニタする仕組みとその精度を確 かめていきたい。 ●パワーデバイスの熱抵抗測定 CPUをはじめパワー半導体の熱抵抗測定には ダイオードの順電圧特性が利用される。 ① ② 大電流 約2mV/℃ 温度 小電流 ダイオード順電圧の温度依存性 DUT ヒートシンク つき DUT : Device Under Test ① ② ① ② ① DUT電流が大電流から小電流に切り換わると ダイ温度は下がる。このために速やかに温度を 知りたいわけだが、大電流通電の影響を避け、か つ、大電流通電時との温度差が少ない時点とし ② ① ① 温度測定点 電流 DUT 時間 熱抵抗測定の原理図 大電流 大電流 0.5ms 小電流 ダイ温度 これが熱抵抗測定の原理図である。被測定デ バイスDUT (Device Under Test)は規定のヒート シンクに取り付けられる。さらに風冷5m/sのように 風を当てて冷却する場合にはDUTを取り付けた ヒートシンクは規定風速の風洞にセットされる。 左側の大電流とはデバイスの定格電流で、例 えば100Aのデバイスであればこの電流である。 右側の小電流は大電流の1/1000以下の切りの いい電流、例えば100Aに対しては100mAであ る。定格の1/1000程度の電流はダイ温度上昇に ほとんど影響しない。大小2つの電流は時間的 に、例えば19:1の割合で周期的に切り換えられ る。100Aが19ms間、100mAが1ms間のように周期 的に電流が流れることになる。 ダイオードの小電流領域での順電圧VFは温度 に対して約2mV/℃の割合でリニアに減少する。 この性質を利用して大電流が流れた直後のダイ 温度を知ることができる。この例では100mAでの VF が何℃で何mVなのかを予め測定しておい 電圧 DUT 時間 ダイオード順電圧によるダイ温度測定 20+6 どうしてCPU温度が測れるのか? て切り換え後0.5msの時点でのダイオード順電 圧を温度に読み替える電圧とする。 以上はダイオードを例としてダイ温度測定を説 明した。このやり方はバイポーラトランジスタ、 MOSFET、その他にオペアンプでも適用できる。 バイポーラトランジスタのベース・エミッタはダイ オードの代わりに温度センサとして使われるくら いでコレクタとベースをショートすればダイオード となる、MOSFETでも内臓ダイオードはダイオー ドそのものである。 イオードを熱抵抗測定用サンプルとして利用す る方法がとられている。 ダイ温度ではなくケース・周囲間熱抵抗Rthc-a 測定用としてインテルが用意するCPUパッケー ジ に 収 め ら れ た 抵 抗 (TTV : Thermal Test Vehicle)を紹介しよう。 熱抵抗測定用TTV バイポーラ MOSFET ダイオードとしてのトランジスタ オペアンプでは寄生ダイオードが利用される。 オペアンプとしての動作させておき、停止させた 直後にダイオードに小電流を流してその順電圧 を測定する。 2種類あるTTVは60Ω±5%、あるいは51Ω±5% (いずれも25℃)の抵抗を組み込んでいる。これ は、部品を実装しない、または、レギュレータ部品 を外したマザーボード上ソケットに装着される。 CPUの複雑な動作は避けて単純に直流電流を 流して、その発熱からケース温度、ヒートシンク温 度を測定して熱抵抗を求める。 TTVを取り付ける部品なしのマザーボード オペアンプの寄生ダイオード さらに複雑なパワー半導体では、同一寸法のダ ICダイをダイオー ドに置き換える ICチップをわざわざダイオードチップに置き換 えたサンプルを用意したり、インテルが抵抗を パッケージしたTTVを供給するのだろうか?これ は繰り返しになるが動作時温度がそれだけ重要 だからである。動作時温度は信頼性(動作の安 定性や寿命)を考える上でのおおもとなのであ る。 熱抵抗測定用としてダイオードを組み込む 20+7 どうしてCPU温度が測れるのか? ●オンダイ サーマルダイオード ペンティアム4にはピン番号B3がアノード、C4が カソードとするダイオード(コレクタとベースを短 絡したトランジスタ)がオンダイで組み込まれてい る。このダイオードはサーマルダイオードとよば れ、インテル製CPUではペンティアムⅡの時代か ら組み込まれていた。また、AMD製ではアスロン XP(開発コードK7パルミノコア)から、VIA製でも C3には組み込まれているといわれている。このダ イオードは温度センサとして利用するための特 性が明らかにされており、モニタチップとよばれる ICによってCPU温度が測定できる。CPU温度測 定結果はディスプレイに表示されたり、測定した 温度に応じたファン回転数コントロールに利用さ れる。ただしCPU動作そのものをコントロールす るような使われ方はしない。できないと言った方 が正しく、それはユーザがピンを折ってしまう、電 流や電圧をかけすぎて壊してしまうといった危険 があるからである。 順電流 (A) 小電流領域で の温度特性を 利用する 順電圧 (V) ダイオードの順電圧特性 これは1Aダイオードの順電圧特性である。こ のダイオードの小電流、例えば1mAでの順電圧 VFは温度に対して約2mV/℃でリニアに変わる。 ダイオードのVF を利用して、いかに正確に温度 そのものに読み替えることができるかはダイオー ド特性のばらつきを以下に小さく抑えるかにか かっている。 Min. Typ. Max. Unit 300 µA ペンティアム4、そして、参考のためにペンティア ム3(0.13µm)のサーマルダイオードのパラメータ をデータシートから抜き出した。ペンティアム4で はペンティアム3に較べてnの範囲が狭められ、 Rsが追加された。nのばらつきとRsは測定誤差に 効いてくる。 小電流でのダイオードVF は理想ダイオードに 近いとされ、次式に従う。 IFW=Is (eqVF/nkT-1) ここで IFWは順電流 Isは飽和電流で10-14程度 qは電荷素量で1.602×10-19クーロン VFは順電圧 nはIdeality Factor kはボルツマン定数で1.38×10-23 Tは絶対温度 で あ る。n は 回 路 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の 世 界 で は Emission Coefficientとよばれている。 eqVF/nkTは1に較べて十分い多きいので前式は IFW=Is eqVF/nkT となる。 この式は順電圧、順電流、そして、温度を関係 づけるもので、Isを除いては定数である。いいかえ るとIsを特定すれか、消去すれば、IFWとVFとは一 義的に関係づけられことになる。 表の定数を使ってダイオード順電圧特性を計 算してみよう。ここではIsは10-14とし、ペンティアム 3ではRsの規定はないがペンティアム4と同じ 3.64Ωとした。これらサーマルダイオードの順電流 80mAでのVFは約1Vなので数10mAクラスのダイ オードといえる。 ペンティアム3 at 75℃ n 5 1.000807 1.009528 1.018249 ペンティアム4 at 75℃ IFW 5 n 1.0011 RT 300 1.0021 3.64 µA 1.0030 Ω 1.000807 1.009528 1.018249 5µA 401 401 409 mV 50µA 477 477 488 mV 300µA 534 534 546 mV ペンティアム4 at 75℃ ペンティアム3 at 75℃ IFW n n 1.0011 1.0021 1.0030 5µA 401 401 401 mV 50µA 477 478 478 mV 300µA 533 534 535 mV 300µAで見るとペンティアム3では12mVあった 幅がペンティアム4では2mVに縮まり、測定精度 の向上を目指したことがわかる。 20+8 どうしてCPU温度が測れるのか? ●ダイオード個体差の影響を受けない温度測 定 Isは不定のままでVFから温度を求める方法とし て、マキシム、ナショナルセミコンダクタ、アナログ デバイスなどの温度モニタICでは巧妙な方法を とっている。これは規定された順電流範囲内で2 つの電流を流すことである。例えば10µAと100µA のように2つの電流を流してVFの差を測定するの である。電流比をN、2つの電流でのVF差を∆VFと すると ∆VF=n * (kT/q) * ln(N) が成り立つ。 また、この式を変形すると温度(℃)は次式で計 算できることになる。 T= q ∆VF/[n k ln(N)]−273.15 IFW ティアム3ではサーマルダイオードの特性差のせ いで避けられない温度誤差が6℃あったものが ペンティアム4ではコンマ何℃以下に改善された ことを意味する。 ダイオード電流をいくら流すかは悩ましいとこ ろである。というのはPC内はノイズの巣窟のような ところなのに、温度に対応する信号∆VFはせいぜ い数10mVと小さく上に0.2mV/℃の分解能が要 求されるからだ。このためにNを大きくしたいのだ が、電 流 の 上 限 は 300µA で あ る。電 流 比 10 で 10µAと100µAが標準となっている。 ペンティアム4でダイオード個体差を小さく規定 したために浮上したのがシリーズ抵抗分誤差で ある。3.64Ωに300µAを流せばその電圧降下は 1.09mVであり、温度にして5℃の誤差に相当する からである。 Terror=[RT*(N-1)*IFWmin]/[(nk/q)*lnN] N×IFW 1.09mV 5℃に相当 (0.2mV/℃) 300µA VF 3.64Ω シリーズ抵抗による温度誤差 2つの電流でVFを測り差を求める ●温度誤差 n=1、N=10として∆VFうを計算してみよう。 25℃ 59.1mV 75℃ 69.0mV であり、温度に対しては0.198mV/℃で変化するこ とになる。ダイオードの個体差であるn (Ideality Factor)が∆VFに効く様子を表にまとめると次のよ うになる。 ペンティアム3 at 75℃, N=10 n 1.000807 1.009528 1.018249 ∆VF 69.06 69.66 70.25 ∆VF巾 1.19 mV mV ペンティアム4 at 75℃, N=10 n 1.0011 1.0021 1.0030 ∆VF 69.08 69.14 69.21 ∆VF巾 0.13 mV mV ∆VF 巾はペンティアム3では6℃(±3℃)、ペン ティアム4では1℃以下に相当する。これはペン ペンティアム4データシートより がシリーズ抵抗RTによる温度誤差である。これは IFWminとN*IFWminの2つの電流を流し、RTによる 電圧降下の差 (N-1)*RT*IFWmin からきたものである。PCユーザがPC画面上で見 るCPU温度はこの誤差分をソフトウェアにより補 正されたものとなる。 ペンティアム4では理論的な温度誤差は1℃以 下ということになる。インテルがこのようにより正確 な温度測定を目指し、AMDもサーマルダイオー ドを取り入れた理由はCPU電力増大と無関係で はない。 20+9 どうしてCPU温度が測れるのか? ●ハードウェアモニタIC 代表的温度モニタICとしてマキシムMAX1617 と、この互換品であるナショナルセミコンダクタ LM83 が 挙 げ ら れ る。前 者 は カ ー ト リ ッ ジ 外 形 (SECC)ペンティアム3の時代にこれを組み込ん だ温度測定キットをインテルが用意していた。ここ では多くの機能を統合したLM85を使った代表 的回路例を見てみよう。 LM85は *CPUダイ、外付けトランジスタ(ダイオード)、そし て、LM85内臓トランジスタの3つの温度モニタ *5電圧のモニタ *4つのファンの回転数モニタ *3つのファン回転数コントロール用PWM出力 *電圧アンダー/オーバー、ファン回転数異常、温 度オーバー信号出力 *SMBusインターフェイス (SMBus-System Management Bus ‘95にインテルによって定められた システム管理やパワーマネージメントなどに利用 されているコミュニケーションインターフェイス) などの機能をもっている。 冒頭でお見せしたPCのハードウェアモニタ機 能のすべてを、このICで実現できることがわかる。 マザーボードに多く搭載されているのは WinBond、ITE、SMSC製の同等機能をもったIC である。WinbondとITEのモニタICとその機能は 表の通りである。 P/N W83781D W83782D W83783S W83L784R W83L785R W83791D Feature H/W Monitor: 3 Temp., 7 Vol., 3 Fan Input and ON/OFF Control H/W Monitor: 3 Temp.(Thermal Diode), 9 Vol., 3 PWM Fan Control H/W Monitor: 3 Temp.(Thermal Diode), 6 Vol., 2 PWM Fan Control Notebook H/W Monitor: 3 Temp.(Thermal Diode), 4 Vol., 2 Smart Fan, PWR OK, PWR Down Mode Condensed H/W monitor with temperature fault function Hardware monitor with speech synthesizer and ASF functions W83L784AR W83L784R with CPU temperature fault detection W86L785TS-S H/W Monitor for CPU Over Temperature Management WinBondのハードウェアモニタIC P/N Feature IT8712F LPC I/O +KBC +Power-Up functions +Fan Control +Smart Card Reader I/F +CIR+H/W Monitor IT8705F LPC I/O +H/W Monitor +Flash ROM I/F +CIR +Smart Card Read I/F IT8722F IT8712F +SD/MS/SM/SCR/SDIO/MMC I/F ITEのハードウェアモニタIC LM85使用回路例 20+10 どうしてCPU温度が測れるのか? モニタICを自身で組み込む、使いこなすという 観点で配慮すべき点は信号が小さいのでEMI、 異種金属の熱電対効果、配線インダクタンスへ の対応である.具体的には *アノードとカソード配線を近接させる *センサとモニタICを隣接させる *ICのセンサ入力にコンデンサをつける *センサ配線をクロックなどノイズの大きな配線か ら遠ざける、やむをえない場合は直交させる *ソケットは避ける(良質なソケットを使う) *配線抵抗を下げる(1Ωに200µA流れれば1℃ に相当する温度誤差が生ずる) *異種金属接合(特にはんだ接合)は極力減らし. アノード配線とカソード配線それぞれの接合点 数を同じにする などである。 ハードウェアモニタICは大きく、マーキングが はっきりしているので見つけやすい。各社マザー ボードを観察すると、モニタICの位置はバスとの 関係でPCIソケットそば、または、電源コネクタそ ばのいずれかである。CPUのそばがいいといって も電源回路、メモリ、インターフェイス回路が陣 取っていて場所がないのである。モニタIC周りの 配線パターンをどう設計するかはマザーボード メーカの腕の見せ所である。 CPU温度測定の理論的誤差はペンティアム4 では十分1℃以内だが、総合的な誤差はNS、マ キシム、アナログデバイス、TIなどの温度測定専 用ICでは ±3℃ といったところである。ただし、WinBond、ITEの温 度測定以外の機能を追加したICの温度誤差が 同等かどうかははっきりしないところがある。いず れにしてもマザーボードメーカの使い方次第で 誤差も影響されることは間違いない。 GIGABYTE GA6OXET上のIT8712F (ハードウェアモニタ、ファンコントロール機能に キーボードやカードリーダI/Fを統合している) コラム Ideality Factor n — CPU、トランジスタ、ダイオード インテル製CPUのnは導入当初にくらべて巾を約1/10に収めている。ただし 新しいCPUほど小さいというわけではない。2N3904はハードウェアモニタIC の標準的な温度センサとされる小信号トランジスタである。 Min. Typ. Max. 巾×1000 Pentium2 (FSB:100MHz) 1.0000 1.0065 1.0173 17.3 Pentium3 (CPUID: 067xH) 1.0000 1.0065 1.0173 17.3 Pentium3 (CPUID: 068xH) 1.0057 1.0080 1.0125 6.8 Pentium3 (FCPGA2) 1.000807 1.009528 1.018249 17.4 Pentium4 0.13µm 1.0011 1.0023 1.0030 1.9 AMD Athlon XP Model 8 1.00000 1.00374 1.00900 9 AMD Opteron 1.008 1.096 88 MMBT3904 (2N3904) 1.003 2SC1815 0.904* 1S1588 1.802* 10EDB20 (1A, 200Vダイオード) 1.0293* * 筆者測定をもとにした値 20+11 コラム 実測からIdeality Factor n を求める ここではごくありふれたダイオードの順電圧特 性を測り、これからnを求めてみよう。ハードウェ アモニタICの温度測定時電流は10µAと100µA が 基 準 と な っ て い る。被 測 定 ダ イ オ ー ド 10EDB20は1A 200V定格であるが、CPUと同様 に5µAから300µAを対象とする。 でのデータとするためにエクセルのForecast関 数で表を作り直す。なお27℃のデータが必要 なので24℃と入れ換えてある。 n、そして、飽和電流IsをPSpice Model Editor IF(µA) 27℃ 50℃ 75℃ 80℃ 85℃ 5 345.2 292.9 236.0 224.7 213.2 IF(µA) 24℃ 50℃ 75℃ 80℃ 85℃ 10 361.6 310.3 254.2 243.1 232.4 5 352 293 236 225 213 25 388.3 337.5 282.6 271.5 259.9 10 368 311 254 242 233 50 403.5 356.2 304.0 293.4 283.1 25 395 337 283 273 259 100 423.5 376.5 325.8 315.6 305.7 50 409 357 305 293 283 250 449.3 403.9 354.2 344.1 334.2 100 430 376 326 315 306 300 454.1 408.9 359.8 350.0 340.5 250 455 404 355 344 334 300 460 409 360 349 341 温度と順電流を変えたときの順電圧 これがテクトロニクス370を使った測定結果で ある。測定時誤差を軽減し、さらに小数1位ま 温度と順電流を変えたときの順電圧(補正値) を 使っ て 求 め て みよ う。この 評価 版(Student Version)はケイデンス社のウェブからダウン ロードできる。 Pspice Model EditorでIsとnを求める 20+12 http://www.cadencepcb.com/products/ downloads/PSpicestudent/default.asp ここで27℃での354.2V/5µAと454.1V/300µA とから、nは1.0293、Isは1.1684E-11となる。 さらに、この定数であれば順電圧特性がどう なるかを確かめる。これには評価版に含まれる PSpice A/D Liteを用いる。 24 ℃ IF(µA) 75℃ 実測 PSpice 実測 PSpice 5 352 353 236 209 10 368 371 254 231 25 395 396 283 259 50 409 414 305 280 100 430 432 326 302 250 455 456 355 330 300 460 461 360 335 に感じられる。しかし、10µAと100µAとの差は 72mVと71mVでよく合っている。ここが「差を見 る」というやり方のみそであり、巧妙な温度測 定法といえる。 最後に10µAと100µAでの順電圧差を実測、 補正した実測値、そして、PSpiceで求めたnと Isからの計算値を表にまとめておく。 IF(µA) 24℃ 50℃ 75℃ 80℃ 85℃ 実測 62 65 72 73 73 実測補正 61.9 66.2 71.6 72.5 73.3 PSpice 61 66 71 73 73 10μAと100μAでの順電圧差 (mV) 実 測 値 と シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 と を 24℃ と 75℃で比較したのが上表である。24℃での対 応は良好である。75℃では隔たりが大きいよう PSpice A/D Liteでの順電圧特性の検証 20+13 どうしてCPU温度が測れるのか? ●ペンティアム4のシャシ温度に応じたファン回 転数コントロール ハードウェアIC自身に内蔵する温度センサ、ま たは、別途マザーボード上に配置された温度セ ンサにより、シャシ温度(CPUにとっては周囲温 度)をモニタICが測定している。 CPU ロールしているわけではない。騒音を別にすれ ば最高回転数で回っていれば熱管理の面では 何も問題ないからである。 ●ペンティアム4のもうひとつのオンダイ サーマ ルダイオードとTCC ペンティアム4にはもうひとつのサーマルダイ オードがオンダイで組み込まれている。これは もっぱらCPU内部処理に利用されているので外 部への端子はないし、動作もブラックボックスであ る。目的はCPU温度をもとにした過熱回避と破壊 保 護 で あ る。こ の 保 護 回 路 を イ ン テ ル は TCC (Thermal Control Circuit)とよんでいる。内容は 温度センサ メモリ Intel D875PBZの システム(シャシ)温度検出用センサの位置 この温度に応じてファン回転数をコントロール して低温時は回転数下げて騒音を抑え、高温に なれば回転数を上げて温度を下げようとする。 1、特定の温度を超えれば電力を下げる 2、135℃を越えればクロック停止してシャットダウ ンをかける ファン回転数 の2点である。 1を働かせるには予めBIOSでこの機能を有効 に し て お く 必 要 が あ る。(ASUS P4G8X と MSI GNB MAXでは無効にする設定はない)CPUダ イ温度が上昇していき、ある線を越えるとのオン デュティが強制的に30から50%に下げられる。こ れにより処理能力は低下するがCPU電力もこの 割合で下がることになる。クロックのオンする割合 は高い周波数のCPUほど小さく設定されている。 電力を低減したことによってCPU温度が特定温 度を下回れば自動的に通常動作に復帰する。こ 1: 0.3∼0.5: シャシ温度によるファン回転数のコントロール http://support.intel.co.jp/jp/support/processors/ pentium4/thermal.htm クロックオン これはコントロールの様子を示している。シャシ 温度40℃以下がインテルの要求条件であり、例 えば3GHz未満の478ピンパッケージのペンティ アム4では X=33℃、Y=40℃, Z=43℃ である。具体的には33℃まではファンは設定され た最低回転数で回り、33℃から43℃までは次第 に回転数を増し、43℃以上では最高回転数で回 ることになる。(ペンティアム4 3.0GHz以上では X=32℃、Y=38℃, Z=41℃) この機能はオプションであり、ペンティアム4用 のすべてのマザーボードがファン回転数をコント クロックオフ クロックオン TCCによる電力損失低減の観念 実際のTCC動作 20+14 の機能はプログラムでの設定も可能でデュティ は12.5%オン/87.5%オフから87.5%オン/12.5% オフまで変えられる。ただし上記温度以上になれ ば、この設定は解除され、通常の保護動作に復 帰することになる。 ファンが故障して回らないなどの理由で、さらに 温度が上昇してCPUダイ温度が約135℃に達す るとシャットダウンがかかる。CPUはこのようにして 破壊を避けようとする。 CPU自体の過熱防止と保護動作まとめると次 のようになる。 オプション シャシ温度 33℃ ファン回転数が上がり始める マザーボード 上センサとモ ニタICによる 43℃ ファンは最高回転数で回る 自体の機能 CPU CPUダイ温度 ??℃ オンデュティを下げて電力損失を減らす 135℃ CPUは動作を停止する ペンティアム4の熱管理 (3GHz未満の例) ペンティアム4がインテルCPUとしてはじめて組 み込んだ過熱保護機能はパワー半導体の世界 ではIPM (Intelligent Power Module) をはじめと してずっと前から取り入れていた機能である。とこ ろがインテルCPUでは当たり前の動作中のダイ 温度モニタはパワー半導体の世界ではまだ見 当たらないようである。CPUはIPMに較べて単純 な仕事をしている割に価格が高いのが大きな理 由だろう。 CPUはますます高速化していく。熱管理の仕組 みを理解するのは大切である。 20+15
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