Ⅲ 現代ガラスの半世紀 【これくしょん・ぎゃらりい2階】 1960年代のアメリカで始まり、世界中に広がったスタジオ・グラス運動は、小型のガラス溶解炉を個人 のス タジ オに 設置 する こと で、 大規 模な 工場や職人との共同作業からガラス作家を解放し、作家自身の構想を手ずから形にすることを可能にするものでした。その結果、20世紀後半には、 自由な発想と技法における試行錯誤によって、かつてないほどの多彩な作品が生み出されてきました。そうした中でガラス作品は、工芸という 分野だけに留まらず、現代美術の文脈の中でも語り得るようになり、素材を充分に活かした作品のみならず、ガラスの 概念 その もの を覆 すよ うな 作品も作られるようになりました。 当 館 で は 、 ガ ラ ス の 作 品 収 集 を 進 め な が ら 、 国 内 外 の ガ ラ ス 芸 術 を 紹 介 す る 企 画 展 を 開 催 し て き ま し た 。 そ の 中 で 1982 年 か ら 1994 年 ま で 3年毎に5回にわたった「世界現代ガラス展」、1997年の「The Glass Skin ガラスの新世紀」展、2003年の「Outspoken Glass 遠慮のないガラス」展 はいずれも現代ガラスの動向を紹介するものでした。本展では、これらの展覧会を振り返りながら、多様で刺激にあふれる現代ガラスの 世界をご紹介します。 作家名 作品名 制作年 材質:技法 1 ベルト・フレインス 張る 1987 ガラス、ワイヤー:板ガラス変 形 2 ベルト・フレインス 丸める 1988 ガラス:板ガラス変形 ガラス:被せガラス、ホット ワークによる成形、カット ガラス:型吹き、エナメル焼 付、エングレーヴィング ガラス、金属:真空蒸着、研 磨、カット ガラス、金属:真空蒸着、研 磨、カット ガラス:色ガラス棒溶着、スラ ンピング、カット 3 ハーヴィー K. リトルトン 向かい合う放物線の形 1981 4 エルヴィン・アイシュ インター=ネット 1997 5 ヴァーツラフ・ツィグレル 陰の気 1988 6 ヴァーツラフ・ツィグレル 陽の気 1988 7 クラウス・モイェ 走路 1981 頭 89 1989 ガラス:キャスト 9 ジョエル・フィリップ・マイヤーズ 水 1985 ガラス:ガラス片はりつけ、サ ンドブラスト、エッチング 10 ベッティル・ヴァッリーン 静かなる旅 1985 ガラス:サンドキャスト 11 デイル・チフーリ 海の形 1989 8 スタニスラフ・リベンスキー /ヤロスラヴァ・ブリフトヴァ ガラス:宙吹き ガラス:スランピング、着色、 サンドブラスト ガラス:スランピング、着色、 サンドブラスト ガラス:宙吹き、ガラス粉溶着 による着色 ガラス、鉛箔:カット、接合、 エングレーヴィング 12 オーサ・ブラント カイト 1988 13 オーサ・ブラント カイト 1988 フルーツの静物 1994 15 マテイ・ネグレアヌ 星の伝説 1988 16 フランツ・クサヴァ・ヘラー バルーンⅢ 1994 ガラス:宙吹き・カット 14 ジョーイ・カークパトリック /フローラ C. メイス 17 ジェイ・マスラー 街景 1982 ガラス:カット、サンドブラス ト、着色 18 デイヴィッド・ホッパー ブラック・ポイント 1988 ガラス:サンドブラストと着色 によってつくられた頭部を再加 熱し体の部分を接合、さらに鋳造 19 ベルナール・ドゥジョング 白の上昇 1997 ガラス:光学ガラス、フュージ ング、失透、のみによる研削、 研磨 20 ジェルジィ・ブツコ 半円と垂直の形 1990 ガラス、ロープ:フュージング 21 ギゼラ・シャボーコヴァ 最後の門 1992 ガラス:キャスト、着色、カッ ト 22 ハンク・ムルタ・アダムス 鋭利なるもの 1987 ガラス、銅:キャスト 23 コリン・リード 無題 鋳型R290 1988 ガラス:シール・ペルデュ、研 磨 24 コリン・リード 無題 鋳型R287 1988 ガラス:シール・ペルデュ 25 イヴァン・マレシュ 卵 1997 ガラス:キャスト・部分的に カット 26 リチャード・マイトナー ジャック 1997~2000 ガラス:ホウケイ酸ガラス、宙 吹き、エナメル焼付、金箔、一 部色水を満たす 27 伊藤 孚 セールスマン 1993(平成5) ガラス、コンクリート:ホット グラス・テクニック、サンドブ ラスト 28 扇田 克也 アメノヒモアル 1991(平成3) 29 扇田 克也 ワタシノアヲゾラ 1991(平成3) ガラス、銀箔:キャスト、サン ドブラスト ガラス、銀箔:キャスト、サン ドブラスト 30 池本 一三 SCENE 0212 2003(平成15) 31 正木 友梨 ガラスと光の造形Ⅳ 1990(平成2) 32 家住 利男 P.040901 2001(平成13) 33 高橋 禎彦 花のような 2002(平成14) ガラス:宙吹き、エナメル焼付 板ガラス:サンドブラスト、研 磨 板ガラス:接着、ハンド・グラ インダーによる彫刻、研磨 ガラス:被せガラス、宙吹き、 研磨
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