化粧品受託製造市場に関する調査を実施(2016 年)

2016 年 7 月 5 日
プレスリリース
化粧品受託製造市場に関する調査を実施(2016 年)
【調査要綱】
矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内における化粧品受託製造市場の調査を実施した。
1.調査期間:2016 年 4 月~6 月
2.調査対象:化粧品受託製造企業、化粧品ブランドメーカー等
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談調査、電話等による間接調査、ならびに文献調査併用
<化粧品受託製造市場とは>
本調査における化粧品受託製造市場とは、化粧品ブランドメーカーや異業種企業、小売事業者等から委託され、
スキンケアやメイクアップ、ヘアケア、その他化粧品を製造する市場を指し、化粧品受託製造企業の事業者売上高
ベースで市場規模を算出した。
【調査結果サマリー】
‹ 2015 年度の化粧品受託製造市場は、前年度比 105.5%の 2,403 億円
2015 年度の国内化粧品受託製造の市場規模(事業者売上高ベース)は前年度比 105.5%の 2,403 億
円となった。化粧品受託製造市場が拡大している要因としては、2005 年の改正薬事法施行を背景として、
化粧品ブランドメーカーの製造のアウトソーシングの進行、訪日外国人客によるインバウンド需要の拡大、
アジア諸国を中心とした日本製化粧品の輸出増加の 3 つが挙げられる。
‹
市場は拡大基調で推移し、2020 年度の化粧品受託製造市場を 2,861 億円と予測
大手化粧品ブランドメーカーは、国内化粧品市場の需要予測を見据え、従来のマルチブランド・マル
チチャネル体制におけるブランド・製品ポジションの事業ポートフォリオの明確化と再配置を行っており、
国内での化粧品製造はアウトソーシングが更に進展する。加えて、インバウンド需要の恩恵や、メイドイン
ジャパンとして評価が高い日本製化粧品の輸出などアウトバウンド需要の拡大も期待できると考える。
2016 年度の国内化粧品受託製造の市場規模(事業者売上高ベース)は前年度比 104.2%の 2,504 億円、
2020 年度には 2015 年度比 119.1%の 2,861 億円になると予測する。
◆ 資料体裁
資料名:「化粧品受託製造・容器・原料市場の展望と戦略 2016 年版」
発刊日:2016 年 6 月 24 日
体 裁:A4 判 455 頁
定 価:120,000 円(税別)
‹ 株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝
設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/
本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/)
㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected]
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。
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2016 年 7 月 5 日
プレスリリース
【 調査結果の概要 】
1.市場概況
2015 年度の国内化粧品受託製造の市場規模(事業者売上高ベース)は前年度比 105.5%の 2,403 億
円となった。化粧品受託製造市場が、引き続き順調に拡大している要因としては、2005 年の改正薬事法
施行を背景として、化粧品ブランドメーカーの製販分離政策による製造のアウトソーシングの進行や訪日
外国人客によるインバウンド需要の拡大、アジア諸国を中心とした日本製化粧品の輸出増加(アウトバウ
ンド)の 3 つが挙げられる。
2. 注目すべき動向
2-1.
化粧品ブランドメーカーの製販分離が進行、化粧品受託製造市場は順調に拡大
化粧品ブランドメーカーは、大手を中心に国内化粧品市場の需要予測を見据えた生産ラインの整理
統合を引き続き進めるとともに、従来のマルチブランド・マルチチャネル体制のスリム化を目的として、化
粧品受託製造企業へのアウトソーシングを更に進展させている。また、化粧品受託製造市場では、訪日
外国人客(主に中国人観光客)によるインバウンド需要に向けた化粧品の増産で恩恵を受けるとともに、
中国や ASEAN 諸国など日本製化粧品の需要拡大に伴う輸出(アウトバウンド)が着実に増加している。
2-2. 化粧品市場への新規参入企業の増加が、受託製造市場の成長エンジンに
異業種からの新規参入が続く化粧品市場であるが、近年は化粧品との接点が乏しい全くの異業種から
の新規参入企業は少なくなってきている。
一方で、健康食品メーカーや製薬メーカーは、健康と美容の相関性を訴求する形で、内外美容(体の
外側からだけでなく、サプリメント等を摂取し体の内側からも美しさを目指す美容法)をキーワードに化粧
品市場への自然な形での参入を果たしており、食品メーカーや食品素材メーカーは、自社で取扱う素材
や原料の抽出・加工工程から発生する成分を、化粧品素材へ応用する研究を進めている。また、アパレ
ル業界や雑貨店といった業界でも、技術ノウハウや専門性は乏しいものの、商品戦略において化粧品と
密接にリンクした業界であり、トータルファッションを構成する身だしなみの一つとして化粧品の提案を強
化する動きが高まっている。
このように、自社の業種とその製品流通ルートの特性の中にビジネスチャンスを見出す、化粧品生産設
備を持たない異業種企業の参入は今後も続くものと考えられ、化粧品受託製造市場の成長エンジンとし
て注目される。
2-3.
中国・ASEAN 諸国向けに、現地生産とバルク販売事業の展開を強化する動きが活発化
日本の化粧品ブランドメーカーの海外進出に伴い、化粧品受託製造企業も持続的な事業の拡大を目
的に、大口ロットの受託が見込まれる海外マーケットへの進出をこれまで進めてきた。特に購買意欲が高
く、今後も 20 代以上の消費人口の増加が見込まれる中国・ASEAN 諸国向けに、現地生産とバルク販売
事業の展開を強化する動きが活発化しており、中国やタイ、ベトナム等に生産拠点を設ける化粧品受託
製造企業の動きが顕著である。
化粧品受託製造企業は海外生産拠点の確保により、商社や代理店を介し、製品(完成品)やバルク
(半製品)の第三国への輸出や日本国内への逆輸入を行っており、化粧品受託製造市場のグローバル
化が進むとともに、その海外マーケットへの進出アプローチも多様化が進むと考える。
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2016 年 7 月 5 日
プレスリリース
3. 将来予測
国内の化粧品受託製造市場は、化粧品ブランドメーカーや新規参入企業による化粧品受託製造企業
へのアウトソーシングが進むことで、今後も市場規模の拡大を予測する。日本の大手化粧品ブランドメー
カーでは、国内市場の需要予測を見据え、従来のマルチブランド・マルチチャネル体制におけるブラン
ド・製品ポジションの事業ポートフォリオの明確化と再配置を行っており、スリム化を目的としてアウトソーシ
ングを更に進展させていくと考える。
こうしたことから、化粧品受託製造企業へのアウトソーシングは更に進み、2016 年度の国内化粧品受託
製造市場規模(事業者売上高ベース)が前年度比 104.2%の 2,504 億円、2020 年度には 2015 年度比
119.1%の 2,861 億円になると予測する。
成長への不確定要因としては、今後も国内の化粧品市場を活性化させたインバウンド需要が続くのか
否か、また、2019 年 10 月実施が濃厚な消費税増税による消費者心理への影響等が挙げられるが、メイド
インジャパンとして評価が高い中国・ASEAN 向け日本製化粧品の輸出などアウトバウンド需要拡大は、
化粧品受託製造市場への追い風として期待できる。
図 1. 化粧品受託製造の市場規模推移と予測
(単位:百万円)
300,000
286,100
250,400
250,000
240,300
201,000
208,500
219,600
227,700
200,000
150,000
100,000
50,000
0
2011年度
2012年度
2013年度
2014年度
2015年度
2016年度
(予測)
2020年度
(予測)
矢野経済研究所推計
注 1:化粧品受託製造企業の事業者売上高ベース
注 2:(予測)は予測値
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