PLCによるKEKデジタル加速器制御システム p.667

PLC-BASED CONTROL SYSTEM
FOR THE KEK DIGITAL ACCELERATOR
Eiichi Kadokura1,
Accelerator Laboratory, High Energy Accelerator Research Organization
1-1 Oho, Tsukuba, Ibaraki, 305-0801
Abstract
The KEK digital accelerator (KEK-DA), which is a small scale induction synchrotron and the renovation of the former
KEK 500MeV booster synchrotron, is under beam commissioning since July 22nd, 2011. For the control of all
equipment’s in the KEK-DA, the PLC (Programmable Logic Controller) made in a single company has been employed.
This enables us to easily develop the operation software and quickly deal with changes in the operation mode. There have
been no troubles caused by the control system since its start. We can say the present control system is highly reliable.
PLCによるKEKデジタル加速器制御システム
1. 概要
シンクロトロンに於ける誘導加速(デジタル加速)
方式を実証する為にKEK-PS-ブースター陽子シンク
ロトロン(500MeV)を改装して2011年7月22日からテ
スト運転を行っている。この加速器の全ての機器の
制御システムをひとつの会社で製作されている
PLC(Programmable Logic Controller)に限定する事によ
りソフトウェア開発が簡便になり、加速器の運転
モード変更に迅速な対応が出来るようになった。運
転開始以来、制御システムに起因する故障は皆無で
あり、非常に高い信頼度を得ている。
イオンビームを発生し、LEBTラインを通しDAリン
グに入射する。入射されたビームは誘導加速セルに
より12MeVまで加速し、取り出しラインに出射する。
現在はDAリングでのDC磁場での誘導加速セルによ
るビーム閉じ込め、DC+AC磁場での加速実験を
行っている。
デジタル加速器の特徴は低エネルギービームを線
形加速器なしに高エネルギービームまで加速できる
ことである。
3. 制御システム構成
誘導加速セル
ECR
イオン源
2. デジタル加速器
LEBT & DA
イオン源
PS
ECR PLC
LEBT PLC
各パルス電源室
DC
Tr Tr
DA PLC
PS
Optical FA Bus2
Safety PLC Timing PLC
TP
CPU
Optical FA Bus2
CPU
CPU
Optical FA Bus2
FA-LINK
CPU
TP
CPU
PC
PC
Control Network
図2: 制御システム ハードウェア構成
図1: デジタル加速器の構成
デジタル加速器はECR イオン源で200KeVの陽子
1
図2に制御システム ハードウェア構成を示す。安
全とビーム スイッチ(Safety)、タイミング(Timing)、
ECR イ オ ン 源 、 LEBT 、誘導加速 (DA) と入射出射
(Inj/Ext Pulse)には、PLC親機(CPU)を置き、制御する。
PLCの構成はPLC親機(CPU)と各制御機器と接続する
PLC子機(IO)とから成る。親機と子機はOptical FA
Bus2(10Mbps)で接続して絶縁を図る。各PLC親機間
はFA-Link(250Kbps)で接続してデータを共有する。
すべてのPLCはタッチパネル(TP 15inch)と信号通信
を行う。
E-mail: [email protected]
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図3: 運転操作とソフトウェア開発環境
図3に運転操作とソフトウェア開発環境を示す。
運転操作は基本的にTPからすべて行う。TPからの
PLCの操作対応時間は最大で100msec以下にする。
ノートPCにはTPのViewerソフトを動作させ、TP画
面を出し、TPと非同期で同じ操作を行う。ノート
PCは各場所に配置してあり、無線LAN接続すること
で室内を自由に移動できる。ソフトウェア開発は居
室にTPとノートPCを置き、開発ソフトの動作確認
を行ってCCRのTP、現場のPLCにダウンロードする。
転を停止する。図4にBeam SWとMain TPを示す。運
転するには画面中部ボタンのSystem Key (Permission
Button:4桁数字入力)をONにする。次に上部ボタン
のイオン源(Ion Source)、Dump、Extractionモードの1
つを選択し、Beam SWボタンをONする。TP下部ボ
タンで各機器の操作TPに移る。
図5にBeam SWのシーケンスを示す。イオン源
モードのBeam ONは前のKEK陽子加速器のすべて非
常停止SWと放射線モニタが条件になる。Dump、
Extractionモードではイオン源モードに加えて加速室
に通じるすべてのドアと、パーソナル キーが条件
になる。非常停止SWとドアの位置及び、状態は図4
画面中部のDoor、Emergencyボタンを押すことで確
認できる。図6にドア、パーソナル キー、回転灯表
示TPを示す。図7に非常停止SW 表示TPを示す。
Beam ON/OFF は Ion Source Trigger 、 F-Cup 、 Gate
Valveによってコントロールする。イオン源高圧電源
はイオンのコンディションを保つためにシーケンス
に加えない。これらはすべてSafety PLCが行う。
4. 安全とビーム・スイッチ
図6: ドア、パーソナルキー、回転灯表示TP
図4: Beam SWとMain TP
図7: 非常停止SW 表示TP
RESET
Door Limit SW
AND
パーソナルキー
非常停止SW
BEAM SW
放射線量モニタ
30 sec
OR
Ion SourceTrigger
AND
BEAM SW SYSTEM KEY
( Permission Button )
Close F-CUP
イオン源単独モ
ード
回転灯
Close Gate-Valve1
AND
IS mode
NOT
Dump
モード
BEAM SW
AND
Close Gate-Valve2
OR
Dump mode
NOT
30 sec
Extraction
モード
BEAM SW
Open Gate-Valve1
OPEN
LimitSW
AND
Extraction mode
図5: Beam SWのシーケンス
加速器運転のBeam ON/OFFはTPで操作する。緊急
時はコントロール室内の非常停止ボタンを押して運
図8: Beam ON/OFFと安全系履歴表示TP
図8にBeam ON/OFFと安全系履歴表示TPとWeb表
示を示す。Beam ON/OFFと安全系履歴は項目とその
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発生時間と復旧時間が履歴として保存される。また、
各運転モードのBeam ONの時間積算も記録する。
5.
タイミング システム
図11: モード プログラマーTP
図 9: DA Ring 磁場と Timing Delay 値設定 TP
タイミング システムは DA Ring 磁場 10Hz を基本
とする。1 周期 100msec 間に各機器にタイミング信
図11にモード プログラマーTPを示す。モード プ
ログラマーTPで100msec Gate毎に各タイミング信号
のON/OFFをする。各タイミング信号はタイミング
の ス タ ー ト か ら PLC Delay Module(20MHz 24bits
Counter)で遅延させて作る。Delay用ClockはDA Ring
の10Hzを定倍した約10 MHz Clockを使用する。
号を送る。DA Ring 磁場波形の立ち下がり中に、AC
PG100MHz
成分が 0 になった時をタイミングのスタートとする。
C
PLC Output 40bits
主なタイミング信号は、デジタル加速前(Inj Master)
S
C
Revolution Clock
に Ion source Trigger 、Chopper 、Inj Kicker、デジタ
S
ル加速後(Ext Master)、Ext Septum、Ext Bump、Ext
8bits Counter O
C
D 8bits
S
C
Ext Bump Trigger
S
Kicker がある。図 9 DA Ring 磁場と Timing Delay 値
R
SET
CLR
Q
S
8bits Counter O
Ext Kicker 1
D 8bits
8bits Counter O
Ext Kicker 2
D 8bits
8bits Counter O
Ext Kicker 3
D 8bits
Q
C
設定 TP を示す。
S
8bits Counter O
Ext Kicker 4
D 8bits
Ext Bump
DA Ring
Clock
1Hz Gate
1/10
G
CL
Pulse
Ext Kicker Charge Trigger
Counter 32 Bit
Ext Kicker Charge
3msec
J1
Ext Kicker Charge
Ext Bump
ADC
16 Bit
VFC
1/10
1/10
1/10
Latch
1/10
Ext Kicker
1KHz
10usec
10KHz
13 Bit
100KHz
Data
図12: デジタル加速取り出しタイミング
1MHz
10MHz
ASIC
Decoder
ROM
FPGA
図10: タイミング・クロック発生器
図10にタイミング クロック発生器を示す。DA
Ring磁場からの10HzのClockを1/10にして1Hz Gateを
作る。このGateの間107countsになるようVFCをコン
トロールする。これにより、常にDA Ring磁場に同
期した10MHz clockを作る。
デジタル加速器からの取り出し用Ext Bump、Ext
Kicker信号は周回周波数(取り出し時:2MHz)と同期
をとる。Ext Kicker信号はExt Bump信号から周回周
波数を使い 10usec遅らせて、そのあと4台あるExt
Kicker の 1 台 毎 に NIM Delay Module(100MHz 24bits
Counter)で遅延させて入れる。各Ext Kickerの充電は
4msce前から行う。図12にデジタル加速取り出しタ
イミングを示す。モード プログラマーは最大
19.8sec(9 * 22)間のパターン制御が可能である。す
べてTiming PLCが行う。
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6.
電源制御システム
Matrix
M Fan Alarm
M Fan Alarm
Trigger
12
M Temp
RESET
Modulator
9
Enable
Trigger
OK
M Temp
RESET (always)
Enable
Enable
Power
Power
CAV TEMP50
DCHV
Cell
7
9
CAV TEMP70
OK
CAV OIL
Match R Water1
Match R Water2
図16: DA加速電源インターロック結線構成
図13: イオン源操作とTrend表示TP
DA加 速 電 源 は DC 充 電 器 7 台、 Modulator 9 台、
Trigger機器3台(1台:4 Trigger)、加速セル9台で構
成される。これらの装置のインターロックと電源を
PLC IOに個別接続して制御する。運転条件により機
器の組み合わせを変える。それに伴ってインター
ロック結線をTPで選択する。図15にDA加速電源操
作TP、図16にDA加速電源インターロック結線構成
を示す。
7.
データベース
図 14: LEBT 操作、Recipe と
Data Logger
流しインフォメーション TP
Data Trend
Alarm Log
Data Base
デジタル加速器のECRイオン源、LEBT、DA加速
とInj/Ext Pulse電源の制御を行っている。各パート電
源にTP画面を作り、電源の電圧、電流のTrend(1sec
step)表示も行う。TrendデータはTP内のUSBメモリ
にCSVファイルで保存する。電源の設定値は5つ
Recipeファイルを用意し、Save/Loadできる。電源が
落ちた時はTP下に流しインフォメーションを出す。
また、Interlock、ON/OFF Statusの履歴表示も行って
いる。
CSV File
OPC Server
Ethernet
Server
PLC
図17: データベース構成
図15: DA加速電源操作TP
図18: OPC Server とData Loggerソフト
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データベースはOPC ServerによりPLCからEthernet
を通して設定値、Trend Data、Alarm LogをData Base
Serverに保存する。図17にデータベース構成を示す。
また、図18にOPC Server とData Loggerソフトを示
す。Data Loggerソフトによりイオン源データのCSV
ファイルとTrendグラフを表示している。
8.
おわりに
運転開始以来、制御系の故障もなく安定的に動作
している。次期ステップとしてExtractionラインの電
源制御、安全システム拡張が必要である。また、
Beam Monitor信号が制御系に繋がっておらず、早急
に行いたい。それに伴いデジタル加速器情報Web
Pageの製作も必要である。
参考文献
[1] E.Kadokura, S.Noguchi, “Beam Operation and Safety
System for the Proton LINAC of the JAERI/KEK Joint
Project”
Submitted to the Second Asian Particle Accelerator
Conference, APAC’01, Media Center, Beijing, China Sept.
17-21, 2001
[2] E.Kadokura, J.Kishiro and T.Ishida “The Timing Control
System for KEK Proton Synchrotron using PLC”
The 3nd International Workshop on Personal Computers
and Particle Accelerator Controls, PCaPAC2000, DESY,
Hamburg, Germany Oct. 9-12, 2000
[3] E.Kadokura, T.kawakubo and M.Saotome “KEK-PS
Operation Record and its Statistical Calculation by
Computer” The 2nd International Workshop on Personal
Computers and Particle Accelerator Controls, PCaPAC’99,
KEK, Tsukuba, Japan Jan. 12-15, 1999.
[4] E.Kadokura, et al., “The improvement of the KEK PS
control system” International Workshop on Controls for
Small-and Medium-Scale Accelerators (IWCSMSA96)
KEK, Tsukuba, Japan Nov. 11-15, 1996
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