PDF形式1904KB - 北海道開発局

第7章 橋梁付属物
第7章 橋梁付属物
承
3-7-1
7.1.1 支承の基本条件
3-7-1
7.1.2 橋座の設計
3-7-3
7.1.3 支承移動量の計算
3-7-8
7.1.4 段差防止構造
3-7-9
7.1 支
7.2 伸縮装置
7.2.1 一
3-7-10
般
3-7-10
7.2.2 必要伸縮量の算定
3-7-11
7.2.3 伸縮装置の種類及び選定
3-7-13
7.2.4 品 質 規 格
3-7-15
7.2.5 鋼製フィンガージョイント
3-7-19
7.2.6 プラウ系除雪車対策
3-7-25
7.3 排 水 装 置
3-7-27
7.3.1 排水装置の設計
3-7-27
7.3.2 高規格道路排水桝の使用区分
3-7-30
7.4 橋梁用防護柵
3-7-32
7.4.1 橋梁用防護柵の分類
3-7-32
7.4.2 橋梁用車両防護柵の種別と適用
3-7-33
7.4.3 橋梁用ビーム型防護柵の設計
3-7-38
7.4.4 コンクリート製壁型防護柵の設計
3-7-39
7.4.5 高欄兼用車両用防護柵の設計
3-7-40
7.4.6 高欄(歩行者自転車用柵)の設計
3-7-40
7.4.7 地覆の形状
3-7-41
7.4.8 橋梁用防護柵の支柱の定着
3-7-42
7.4.9 橋梁用防護柵の形状及び材料の選定
3-7-43
7.4.10 橋梁用防護柵の防錆
3-7-44
7.4.11 橋梁用防護柵の標準設計図
3-7-46
7.4.12 床版に与える影響
3-7-47
7.4.13 高速道路における中央分離帯の形状
3-7-48
7.4.14 転落防止施設
3-7-49
7.4.15 コンクリート製壁式防護柵の止水対策
3-7-50
7.5 落橋防止システム
7.5.1 落橋防止構造システム
7.6 橋梁維持・管理用施設
7.6.1 一
般
3-7-51
3-7-51
3-7-62
3-7-62
7.6.2 橋梁用検査路
3-7-62
7.6.3 維持用装置
3-7-65
7.7 踏 掛 版 等
3-7-67
7.7.1 踏掛版の設置箇所および版の長さ
3-7-67
7.7.2 踏掛版の設置位置および設置幅
3-7-68
7.7.3 踏掛版の設計
3-7-69
7.7.4 斜角を有する踏掛版
3-7-70
7.7.5 橋台背面処理
3-7-72
7.7.6 橋台ウイング(擁壁)端部の排水処理
3-7-74
7.8 落下物防止柵他
7.8.1 種
3-7-75
類
3-7-75
7.8.2 設置箇所
3-7-75
7.8.3 設置範囲
3-7-77
7.8.4 設置荷重条件
3-7-78
7.9 はく落防止対策
7.9.1 一
般
3-7-79
3-7-79
7.9.2 適用範囲
3-7-79
7.9.3 はく落防止対策工の選定
3-7-84
第7章 橋梁付属物
7.1 支
承
7.1.1 支承の基本条件
(1)
支承部の設計は道路橋示方書・同解説(以下「道示」という。) Ⅰ共通編4.1支承部およびⅤ耐震設
計編15章支承部の照査の規定により行うものとする。
【解
説】
従来は、レベル2地震動に対して支承部の機能を確保できる支承をタイプBの支承と定義し、変位制限
構造と補完し合って抵抗する構造をタイプAの支承と定義していた。しかし、支承部の点検や維持管理の
確実性及び容易さ、第三者被害が生じないように配慮し、レベル2地震動に対して支承部の機能を確保す
る構造のみを規定している。
また、変位制限構造の定義も廃止されているため、別構造でレベル2地震動に抵抗させる支承構造を採
用する場合は留意する必要がある。
なお、パッド型ゴム支承や帯状ゴム支承とアンカーバーの組合せによる支承部構造については、機能
分離型の支承部という位置付けになるため、レベル2地震動により生じる水平力を分担することが期待
されるアンカーバーの設計地震力は、H24 年の道示Vの15.4 の規定によることとする。
3-7-1 【H25.04改訂】
ゴム支承の適用
不可(大反力、大変位支承を必要とする橋など)
可能
支承の反力
<0
RD *1
≧0
支承の反力
<0
RD+RL+1*2
≧0
連続径間数
単純桁
連続桁
≧TO*3の2倍程度
免震構造の
固有周期
<TO*3の2倍程度
耐震設計上
の土質定数
=0
≧0
橋と
地盤の共振
共振する
共振しない
橋と
地盤の共振
共振する
共振しない
免震支承を
用いた免震構造
ゴム支承を
用いた地震時
水平力分散構造
ゴム支承または
鋼製支承を用いた
多点固定構造
ゴム支承または
鋼製支承を用いた
固定可動構造
鋼製支承を
用いた
固定構造
注)*1 RD :死荷重による支承反力
*2 RL+1 :衝撃を含む活荷重による最小反力
*3 TO :固定構造とした場合の固有周期
図7.1.1 支承形式の選定フローの一例
本フローは標準的な例であり、免震構造の採用については一般に、免震支承を用いない場合(固定支承とした)
の橋の固有周期の2倍程度以上とすることを目安としてよいが、2倍程度より小さくても免震支承に変形が集中
し、下部構造に変形が集中していないことを十分に確認することで採用が可能である。また、単純橋については
ゴム支承を用いた地震時水平力分散構造を採用することもあり得る。
3-7-2 【H25.04改訂】
7.1.2 橋座の設計
(1)
橋台および橋脚の橋座部は、支承部からの鉛直力や水平力に対して十分な耐力を有するよう設計
しなければならない。
(2)
支承の据付高さは、支承底面の突起が橋座コンクリートの中に入るよう設計し、橋座部は、D16
以上の鉄筋で補強すること。支承固定用の充填材には無収縮モルタルを用いることとする。また、
上揚力を伴う場合は、アンカーボルト、アンカープレートによる対処を検討するのがよい。
(3)
帯状ゴム支承またはパッド型ゴム支承を有するスラブ橋の支承縁端距離は、道路橋示方書・同解
説Ⅳ8.6により所要量を確保するものとする。
(4)
橋座部は、維持管理の確実性及び容易さを考慮して、施工空間の確保や支承交換に伴う仮受け部
の強度確保など、構造的な配慮を行うのがよい。
【解
説】
(1)
橋座部は、道路橋示方書・同解説Ⅳ8.6に規定するように、破壊に対する安全性を耐力照査によ
り確保するとともに、寸法については支承縁端距離Sを確保することとする。
1)
橋座部の水平耐力の評価
道路橋示方書・同解説Ⅴ15.2規定する支承部の設計水平地震力に対し、橋座部が十分な耐力を
有するように設計を行なう。橋座部の耐力に関しては次式により算出してよい。
Pbs=Pc+Ps
Pc=0.32α σck ・Ac
Ps=Σβ(1-hi/da)σsyAsi
ここに、
Pbs
:橋座部の耐力(N)
Pc
:コンクリートの負担する耐力(N)
Ps
:補強筋の負担する耐力(N)
α
:コンクリートの負担分を算出するための係数で、図7.1.2による。
σn :鉛直力による支承下面の支圧応力度(N/mm2)。支承に作用する死荷重反力を支承の
σck :コンクリートの設計基準強度(N/mm2)
Ac
:コンクリートの抵抗面積(図7.1.3参照)(mm2)
β
:補強筋の負担分に関する補正係数で、0.5としてよい。
hi
:i番目の補強筋の橋座面からの距離(m)
da
:支承背面側のアンカーボルトの中心から橋座縁端までの距離(m)
(図7.1.4参照)
σsy :補強筋の降伏点(N/mm2)
Asi
:i番目の補強筋の断面積(mm2)
3-7-3 【H25.04改訂】
1.2
α
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.15
2.66
0
0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
σn/√σck
図7.1.2 コンクリートの負担分を算出するための係数α
da
アンカーボルト
45°
45°
45°
45°
hi
45°
斜線部:コンクリートの抵抗面
(支承背面側のアンカーボルトの中心から側方お
よび下方へ45度の広がりを考慮した3つの面)
図7.1.3 コンクリートの抵抗面積Ac
2)
コンクリートの抵抗面
図7.1.4 hiとdaの取り方
支承縁端距離
支承縁端と下部構造頂部縁端との距離(支承縁端距離)S(m)は、次に示す値以上とする。
S=0.2+0.005λ(m)
ただし、
λ:支間長(m)
S
S
(a)ゴム支承
(b)鋼製支承
図7.1.5 支承縁端距離S
3-7-4 【H25.04改訂】
橋座部に段差がある場合の内側支承縁端距離は、図7.1.6による。
①Δh > S'+bの場合
S'
S'≧Sとする。
b
②Δh≦ S'+bの場合 S'≧20㎝とする。
S
S'
b
S
Δh
Δh
45°
45°
(a)鋼製支承、鋼製下沓のあるゴム支承
・Δhと支承(アンカー)からのせん断面に関係なくB≧2・Sとする。ただし、ゴム支承縁端から
もS"≧20㎝を確認するものとする。
B
S'
S
Δh
S″≧20cm
(b)ゴム支承(アンカーバーで水平力を負担する支承)
図7.1.6 内側支承縁端距離
(2)
支承に働く鉛直力には支承下面のコンクリートが抵抗し、上揚力、負の反力にはアンカーボ
ルトが抵抗する。また、水平力には下沓底面の突起とアンカーボルトが抵抗する。
これら支承部の設計は道路橋支承便覧(平成16年) 3.7「上部構造の支承取付部」3.8「下部構
造の支承取付部」によるものとする。支承の据付をより確実に行なうため無収縮モルタルを使用
することを原則とした。据付高さは、モルタルの流し込みの確実性と経済性から図7.1.8に示す
箱抜き標準図によるものとする。
また、突起による支圧抵抗を期待するためには、突起が下部工躯体に埋め込まれるのが望まし
いので少なくとも突起の一部が橋座コンクリートに入るように設計するものとした。下部工躯体
の開孔径は、円筒型枠のサイズに合せ統一した。
3-7-5 【H25.04改訂】
図7.1.7 箱抜きの標準形状
開孔径(D㎜)
アンカーボルト径(φ㎜)
125
25以下
150
26~50以下
175
51~75
200
76~100
225
101~125
250
126~150
(a)鋼製支承および積層ゴム支承の場合
b
ゴム支承(タイプ A)
a
a+100
50
30
b
20
50
b+100
b+100
(b)パッド型ゴム支承の場合
図7.1.8 支承据付箱抜き標準図
3-7-6 【H25.04改訂】
図7.1.9 沓座モルタル補強鉄筋
橋座部は、上部構造からの荷重を直接受けるので、計算上補強鉄筋の必要がない場合でも、鉄
筋で補強しておくのがよい。
(3)
道路橋示方書・同解説Ⅳ8.6の主旨は地震時における橋座縁端の欠け落ち防止と、桁の落下防
止である。この条文では、対象として桁橋を中心に据えている表現となっている。スラブ橋につ
いては必ずしも、対象として明言されていないが、道路橋示方書・同解説に準じて縁端距離を確
保するものとする。
関連規定:道路橋示方書各編
道路橋支承便覧
日本道路協会
日本道路協会
道路橋支承標準設計 日本道路協会
3-7-7 【H25.04改訂】
7.1.3 支承移動量の計算
(1)
可動支承の移動量は道路橋示方書共通編4.1.3によるものとする。なお、大規模橋梁(支間50m以
上の連続桁)、高橋脚(h>20m)を有する橋梁、軟弱地盤上の橋梁等地震時に橋脚天端変位の比較的
大きな橋梁にあたっては、橋脚天端の変位を加えて照査するのがよい。
(2)
場所打PC橋の場合には、プレストレスによる弾性変形を考慮しなければならない。
(3)
温度変化は、表7.2.3によるものとする。
【解
説】
計算移動量(常時)は、橋の種類や支承の設置方法により適切に算出しなければならない。橋種別
の計算移動量算定項目の一例を下記に示す。
計算移動量(Δ )
Δ =Δ t+Δ s+Δ c+Δ p+Δ d+Δ r+Δ α
表7.1.1 常時の水平移動量の項目
橋種
PC橋
鋼橋
移動量の項目
RC橋
プレキャスト桁
場所打ち
温度変化
Δ t
○
○
○
○
コンクリートの乾燥収縮 ※
Δ s
-
○
○
○
コンクリートのクリープ ※
Δ c
-
○
○
-
コンクリートのプレストレス
による弾性変形
※
Δ p
-
-
○
-
桁の死荷重によるたわみ※
Δ d
△
△
△
△
桁の活荷重によるたわみ
Δ r
○
○
○
○
桁を傾斜配置する場合
Δ α
-
▲
-
-
注) ○は必ず考慮する項目を示す。△は施工方法などによっては考慮する項目を示す。
▲は、主桁の縦断勾配が3%以下の桁形式で支承を桁に平行に据付ける場合に考慮する。
※は地震時の水平移動量と組合せる場合に考慮する項目を示す。
3-7-8 【H25.04改訂】
7.1.4 段差防止構造
(1)
耐震性能2を確保する橋の支承部においては、支承部に破壊が生じた場合においても、上部構造
を適切な高さに支持できるように配慮しなければならない。
【解
説】
支承本体の高さが高い支承部や台座コンクリートの高さが高い支承部等では支承部の損傷により数百
mm の段差が生じる可能性もあるため,構造的な対策が必要となる場合もある。その対策として,従来規
定されていた段差防止構造の設置は有効である。
段差防止構造としては,コンクリートや鋼製の台座を設けたりするものがある。なお,段差防止構造
は上部構造の鉛直荷重を支持できればよく,水平方向に設計地震力を考慮する必要はない。
段差防止構造の設計においては鋼部材の場合には許容応力度の割増係数1.7 を考慮してよい。コンク
リート部材の耐力としては,コンクリートの断面積に設計基準強度を乗じて求められる耐力を用いてよ
い。
鋼製受台あるいは
予備ゴム支承
図7.1.10 段差防止構造例
3-7-9 【H25.04改訂】
7.2 伸 縮 装 置
7.2.1 一
般
伸縮装置の型式は、下記の条件を総合的に検討のうえ選定するものとする。
(1)設置する道路の性格 (2)橋種型式
(3)必要伸縮量 (4)全体的な耐久性 (5)走行性(平坦性)
(6)排水性と水密性 (7)施工性 (8)補修性 (9)環境問題(騒音と振動) (10)経済性
説】
(1)
型式の選定は、最も大切なことであり、設置する場所ではまず何が優先するかを定め、総合的に
判断して決めなければならない。
(2)
積雪地では、冬期間のチェーン装着車などの通過によるわだち掘れ、段差の形成および衝撃の増
大による耐久性の低下が著しいので、ゴム部材が直接路面に出ているものおよび装置をボルト締め
にする構造のものは、特に理由がなければ使用しない方がよい。
(3)
特に縦断勾配の大きい橋、斜角のきつい斜橋および曲線橋などでは、伸縮装置に垂直方向のくい
ちがいが生じたり、大きなせん断力が働いたりするので、型式の選定にあたっては注意を要する。
可
動
沓
Δ
横軸方向
(可動) θ
Δ
s
Δ
θ
伸縮遊間
Δd=Δ ×tanθ
図7.2.1 縦断勾配による変位図
ΔS
θ
(固定)
け
た
端
遊
間
変位
Δd
Δ
d
【解
図7.2.2 斜橋の変位図
方向
移動
可
動
ΔS
θ
移動方向
固
定
沓
Δ
Δd
Δ
可 Δd
動
沓
図7.2.3 曲線橋の変位
斜橋および曲線橋の場合には、支承の移動方向の伸縮量、Δ は、橋端線方向にΔS、橋端線直
角方向にΔdの変位を伴う。
Δd=Δ
sin θ
θ:斜角
Δs=Δ
cos θ
Δ :伸縮量
ここで、支承の移動方向Δ の方向に測った遊間を伸縮遊間とし、橋端線に直角方向(Δdの方向)
に測った遊間を桁端遊間と呼ぶ。
(8)
伸縮装置部は供用性に極めて重大な影響を持つ部位であり、連結部の構造や伸縮装置の選定にあ
たっては、補修、取替えだけでなく、清掃、点検等の維持管理を確実かつ容易に行えるように十分
に配慮する必要がある。
3-7-10 【H25.04改訂】
7.2.2
必要伸縮量の算定
(1)
常
時
伸縮量は、温度変化、乾燥収縮・クリープ、活荷重たわみによる移動量による伸縮量と余裕量の合計をいう。
伸縮量の算定は、表7.2.1および表7.2.2によることを標準とする。
表7.2.1
伸縮量簡易算定式
(単位
項
橋
目
鋼
種
橋
鉄筋コンクリート橋
プレストレストコンクリート橋
温度変化
0.6 (0.72)
0.4 (0.5)
0.4 (0.5)
伸 縮
乾燥伸縮
-
0.2β
0.2β
クリープ
-
量
基本伸縮量
(①+②+③)
0.6
0.4β
(0.72)
余 裕 量
㎜)
+
(0.5 +
0.4
+
(0.5 +
0.2β
0.4
0.2β)
基本伸縮量×20%、ただし、最小10mm
(施工誤差等が大きい場合は別途考慮)
0.6β
0.6β)
 :伸縮桁長(m)
β :低減係数
注)
表中の(
)内は、寒冷な地域の内、最低気温が-25℃以下とならない地域(温度変化-20~+40℃)
に適用、その他の地域については、図7.2.4 最低気温分布図を参考のうえ、温度変化に対応した伸
縮量を算定するものとする。
表7.2.2
乾燥収縮・クリープの低減率
コンクリートの材令(月)
低
【解
減
係
数(β)
1
3
6
12
24
0.6
0.4
0.3
0.2
0.1
説】
(1)
温度変化については、表7.2.3および図7.2.4によるものとする。
(2)
余裕量には、桁のたわみによる桁端部の回転変位と施工誤差を含む。
(3)
表7.2.1は温度変化による伸縮量であり、地震による変位量は、支承の設計から得られる変位を
考慮するものとする。
表7.2.3
地
域
-25℃以下とならない
注)
温度変化(℃)
鋼
橋
コンクリート橋
-20
~
+40
-15
~
+35
-25℃
~
-35℃
-30
~
+40
-25
~
+35
-35℃
~
-45℃
-40
~
+40
-35
~
+35
温度変化による不静定力は道路橋示方書・同解説Ⅰ2.2.10による温度変化を用いるものとする。
3-7-11 【H28.04改訂】
図7.2.4
(2)
(1)
地
震
最低気温分布図(単位:℃)
時
伸縮装置は、レベル1地震動に対する照査においてその機能が確保されるように設計する。(2)ま
たは(3)のいずれかの規定による場合においては,これを満たすものとみなす。
(2)
伸縮装置の伸縮量は、式(7.2.1)により算出するレベル1地震動に対する地震時設計伸縮量以上
を確保する。ただし,道路橋示方書・同解説Ⅰ共通編4.2.2に規定する設計伸縮量の方が大きい場合
においては、その値を下回ってはならない。
LER=δR+LA (上部構造と橋台間)
・・・・・・・・・・・・・(7.2.1)
LER=CBδR+LA(隣接する上部構造の間)
ここに、
LER :伸縮装置の地震時設計伸縮量(mm)
LA :伸縮量の余裕量(mm)
δR :レベル1地震動が作用した場合に伸縮装置の位置における上部構造と下部構造の相対
変位(mm)
CB :遊間量の固有周期差別補正係数で、隣接する2連の上部構造の固有周期差⊿Tに基づ
いて道路橋示方書・同解説Ⅴ耐震設計編表-14.4.1の値とする。
(3)
伸縮装置は、レベル1地震動が作用したときに伸縮装置本体及び取付部材に生じる断面力以上の耐
力を確保する。この場合、伸縮装置本体及び取付部材の耐力は、割増係数 1.5 を考慮した許容応力
度から算出してよい。
【解
説】
(3)
基本的には伸縮装置本体及び取付部材がレベル1地震動に対して耐力を有するようにすること
が望ましいが、これによって伸縮装置本体の寸法が大きくなるなど、合理的でない場合には、別構
造の設置を検討してもよい。この場合には、別構造の設置により支承部の機能を阻害しないこと及
び支承部の維持管理の障害とならないことに十分留意する必要がある。また、当該構造が破損し、
部材や破片等が落下することによる第三者被害が生じないような配慮が必要である。
3-7-12 【H25.04改訂】
7.2.3 伸縮装置の種類及び選定
(1)
種
類
伸縮装置を表7.2.4のように分類する。
表7.2.4 伸縮継手の型式分類
分
類
埋
概念図
型 式
種 類
特
アスファルト混合物の伸縮
性を利用したジョイントで、路
面が平坦となり経済性、走行
性、補修性等に優れたジョイン
トである。
アスファルト混合物
歴青シート
設
方
伸 縮
分散型
埋 設
ジョイント
式
突
シール材等
せ
コンクリートor樹脂モル
突合せ型
方
式
目地部に、目地板・注入目
地・ゴム製シール材などを挿
入・注入・接着などした構造で、
目地材か輪荷重を指示せず止
水を目的としたものである。な
お、目地隅角部を鋼材・樹脂材
などで補強したものや、目地材
をアンカーで定着させるもの
も含む。
目地板
ジョイント
合
注入目地
ゴ ム
ジョイント
アンカー鉄筋
ゴム板
マット型
マット
ジョイント
アンカー
ミドルビーム
モジュール
型
色
モジュール
ジョイント
サポートビーム
伸縮量
使用可
(mm)
能橋種
t≦50
PC
RC
S
t≦50
RC
PC
目地部に架け渡したマット
状のゴム板または補剛材付き
のゴム板で直接輸荷重を支持
する構造である。
伸縮はゴム板の弾性変形など
でとらせている。
20≦t≦100
直接輪荷重がのるミドルビ
ームを、床版遊間に架け渡した
サポートビームで支持する構
造である。なお、止水のためゴ
ム製シール材が挿入されてい
る。
25≦t≦1200
S
RC
PC
S
RC
PC
櫛形のフェースプ
鋼フィンガー
ジョイント
(片持式)
支
持
鋼製フェースプレート
レートまたは櫛形に
形成した床版端部を
左右からかみ合うよ
片持ち型
方
コンクリート
フィンガー
ジョイント
式
S
20≦t≦1000
うに張り出した構造
RC
PC
である。
鋼製とコンクリート製とが
ある。
鋼重ね合せ
ジョイント
コンクリート
スライディ
ング型
特殊型
(2)
鋼フィンガー
ジョイント
(先端支持式)
デマーク式
リンク式
STジョイント
その他
矩形または櫛型の
鋼製フェースプレー
トを目地部に架け渡
した構造である。
他の形式に分類が
困難な特殊構造をし
ている。
選定にあたり検討すべき事項は「7.2.1 一般」による。
既製品を使用する場合は、必要機能を満足していることを確認すること。
3-7-13 【H27.04改訂】
S
t≦1000
RC
PC
400<t<2,000
S
PC
【解
説】
埋設ジョイントの採用にあたっては、使用実績、伸縮量、クリープ等について検討を行なう。
伸縮量(mm)
100
分類
埋設ジョイント
50
突合せ方式
50
支持方 式
マット型
20
モジュール型
片持ち型
200
300
400
500
600
800
1000
1200
2000
100
1200
25
20
1000
スライディング型
1000
特殊型
2000
400
図7.2.5 伸縮量による伸縮装置選定表
START
曲
線
橋
斜角が小さい橋
移動方向、縦断
方向変位への対
応を考慮した形
式選定が必要
YES
縦断勾配が大きい橋
NO
コンクリート橋
t≦50mm
埋設方式
鋼
t>50mm
伸 縮 量
突合せ方式
支持方式
鋼製フィンガージョイントで
対応可能な伸縮量
鋼製フィンガージョイント
支持方式
※
※
橋
NO
モジュール型
特殊型 等
鋼橋の場合、本体製作と同時に製作が可能となるため、鋼製フィンガージョイントが
一般的に経済的となる。
コンクリート橋の場合は、一般的に既製品ジョイントが使用される。
図7.2.6 伸縮装置選定フローチャート
3-7-14 【H28.04改訂】
7.2.4 品 質 規 格
伸縮装置に用いる各材料は、所定の品質規格を満足していなければならない。
【解
説】
(1)
ゴ ム 材
突合せジョイントなどに使用するゴム材は、良質のクロロプレン系ゴムより成型したもので、表
7.2.5 の規格を満足するものでなければならない。
表7.2.5 伸縮装置用ゴムの品質規格
項
試験方法注)1
目
引張強さ
JISK6301
ダンベル状3号形
単 位
規 格 値
N/mm2
15以上注)2
伸
び
〃
%
300以上
硬
さ
JISK6301
HS
55±10
N/cm
3.0以上
%
20以下
引裂強さ
JISK6301
B型
老 化 試 験
引張強さ
JISK6301
変化率
70℃×96hr
伸び変化率
〃
%
20以下
硬さ変化
〃
HS
+10以下
%
25以下注)2
圧縮永久ひずみ
JISK6301
70℃×22hr
注)1 試験頻度は引張強さ、伸び、硬さ、引裂強さについては1ロットにつき1回とする。老化試験、
圧縮永久ひずみは、同一配合コンパウンドについて3ヶ月に1回とする。
2
試験片は同一ロットより取り出した同一加硫条件の標準試験板とする。
3
突合せジョイントのうち、表皮ゴムと内部の発泡ゴムからなる伸縮装置において表皮ゴムの引
張強さの規格値は12N/mm2以上とする。
4
突合せジョイントのうち表皮ゴムと内部の発泡ゴムからなる伸縮装置において圧縮永久ひず
み試験は合成体に対して行ない35%以下とする。
ゴムにはキズ、気泡、異物の混入、クラック等があってはならない。さらに形状機能としては、
ゴム表面部材の最小厚は3㎜以上、最大圧縮時に上部が盛り上らないこと。
なお、一つの伸縮装置に用いるシールゴムは原則として一本物で現場に供給するものとし、加硫
の段階では2本以上に分かれる場合は、工場で加硫接着または同等以上の接着法により、一本物に
して出荷しなければならない。
3-7-15
(2)
エポキシ樹脂モルタル
エポキシ樹脂モルタルは表7.2.6の品質規格を満足するものでなければならない。
表7.2.6 エポキシ樹脂モルタルの品質規格
項
目
比
重
曲げ強度
圧縮強度
圧縮弾性係数
(3)
試 験 方 法
単 位
規 格 値
JISK6911に準じる。
-
21.5±0.10
N/mm2
25以上
〃
50以上
〃
0.4~8.0×10
JISA1106に準じる。
(4㎝×4㎝×16㎝)
JISA1108に準じる。
(φ5㎝×10㎝)
ASTMD-695に準じる。
(φ5㎝×10㎝)
4
エポキシ樹脂
エポシキ樹脂は表7.2.7の品質規格を満足するものを用いることを標準とする。試験頻度は同一
ロットにつき1回とする。
表7.2.7 エポキシ樹脂の品質規格
項
目
試 験 方 法
単 位
規 格 値
比
重
JISK6911に準じる。
-
1.15±0.10
粘
度
JISK6838に準じる。
CPS
1700±1000
2
曲げ強度
JISK6911に準じる。
N/mm
圧縮降伏強度
JISK6911に準じる。
〃
35以上
圧縮弾性係数
ASTMD-695に準じる。
〃
(0.05~0.35)×10
(4)
15以上
4
け い 砂
エポキシ樹脂モルタルに用いるけい砂はJISG5901に規定するものとし、完全乾燥して防水梱包し
たものを現場に搬入するものとする。なお、一度開袋したけい砂は使用してはならない。
現場配合時に残留水分は重量比で0.5%以下でなければならない。
(5)
注入目地材
注入目地材は、ポリサルファイド系シーリング材を用いることを標準とする。
JISA5757及び5758の規定に合格したものを用いる。(鋼フィンガージョイントの非排水形式のバ
ックアップ材とは異なる)
(6)
コンクリート
伸縮装置の設置に用いるコンクリートは本体コンクリートと同等以上の品質を有するものでな
ければならない。
3-7-16
(7)
鋼
材
鋼製フィンガージョイントに使用する鋼材の材質、板厚等は表7.2.8を標準とする。
表7.2.8 鋼製フィンガージョイントの使用鋼材
材
質
寸法、板厚、規格等
フェ-スプレート
SM400B
JISG3106最小厚25㎜
ウェブプレート
SM400A
JISG3106最小厚12㎜
下フランジプレート
SM400A
JISG3106最小厚12㎜
リ ブ プ レ ー ト
SM400A
JISG3106最小厚10㎜標準500㎜ピッチ
アンカープレート
SM400A
JISG3106最小厚9㎜フラットバー使用
ア ン カ ー バ ー
NSD400相当
D25㎜6本/リブ間隔、最小長300㎜
SUS304
JISG4305
F10T
ダブルナットとする。
排
水
関
係
セ ッ ト ボ ル ト
(8)
強化プラスチック
突合せジョイントでエポキシ樹脂モルタルを使用する場合には、強化プラスチック層を設けるか、
またはガラスチップを入れるものとする。ガラス繊維はJISR3412をたて糸とし、JISR3413をよこ糸
としたものを標準とする。
(9)
弾性シール材
鋼製フィンガージョイントの非排水形式の弾性シール材は、表7.2.9の性質を標準とする。
表7.2.9 弾性シール材
項
目
一般性質
試 験 方 法
20℃
1.1±0.2
JISK6350に準じる
20℃
8±5
-20℃
3以上
20℃
0.08以上
水中浸漬
0.08以上
200時間ウェザー
0.08以上
-20℃
500以上
破 断 時 伸 び
20℃
600以上
(%)
水中浸漬
500以上
200時間ウェザー
500以上
20℃
0.07±0.05
JISK-6767に準じる
50%圧縮
90以上
JISK-6301に準じる
7000回
異常なし
JISA-5758に準じる
比
条
重
硬
度
(ASKERC)
最大引張応力
N/mm
2
5 0 % 圧 縮強 度
(N/mm2)
復元性試験(%)
引張・圧縮
繰返し試験
件
3-7-17
SRIS0101-1968
(日本ゴム協会標準規格に準じる)
JISA5758に準じる
JISA-5758に準じる
(10)
バックアップ材
表7.2.10 バックアップ材
バックアップ材(ポリエーテル系ポリウレタン(高弾性タイプ))
項
目
密
温度条件
規 格 値
度
85.0±6.8
2
(kg/m )
硬
試験方法
さ
45.0±5.5
(kg)
反発弾性率
JIS-K-6401
(%)
に準ずる
60以上
反縮残留歪率
3.0以下
(%)
繰返し圧縮残留歪率
1.5以下
(%)
3-7-18
JISK6401に準ず
7.2.5 鋼製フィンガージョイント
鋼製フィンガージョイントは、図7.2.7を標準とする。
橋 台 側
桁
20+α≧30
20+α≧30
20+α
80
β
15
d
30
t1
50
側
12
35r
35r
25
0
6
8
D25
60
80
60
12
12
15
°1
5°
30
50
20
6
6
15r
12
15r
80
300
100
70
β-10
80
異形スタッド
(NSD400相当)
40
190
パラペット前面
注) ±α:温度変化または地震による設計伸縮量
β:ウェブ遊間
図7.2.7 鋼製フィンガージョイント標準図
1)
鋼製フィンガージョイントは支持型式を標準とする。
2)
鋼製フィンガージョイントは非排水式とする。
但し、縦断勾配の非常にきつい場合、斜角のきつい場合は片持型式についても検討する。
PC橋に使用する場合、T荷重をフィンガージョイント本体で受け持たせると、張出し床版長が
長いと不経済となる場合があるため、桁端部の張出し床版を打上げることを検討する。
図7.2.8に参考図を示す。
テーパー区間
(1:5)
図7.2.8 PC橋桁端部打下げ
3-7-19
付根厚)
h
h
端支点横桁厚
(張出し床版
b1 (伸縮装置用切欠き)
【解
説】
(1)
許容応力度
鋼製フィンガージョイントに用いる許容応力度は次のとおりとする。
1)
2)
(2)
鋼
材(SM400)
許容引張応力度
σta
=140N/mm2
許容圧縮応力度
σta
=140N/mm2
許容せん断応力度
τa
=80N/mm2
隅肉溶接許容せん断応力度 τa
=80N/mm2
床版および橋台コンクリート
設計基準強度
σck
=24N/mm2
許容付着応力度
τoa
=1.6N/mm2
許容支圧応力度
σba
=12N/mm2
設計荷重
鋼製フィンガージョイントに用いる設計荷重Pおよび衝撃係数iは次のとおりとする。
P=100kN
ゴム材、鋼材からなる伸縮装置:i=0.4
表面に張り出しを有する鋼部材を持つフィンガージョイント等:i=1.0
(3)
ウェブ遊間と非排水構造
ウェブ遊間は必要伸縮量(鋼橋の場合は0.864λ)で決まらず、ウェブと樋の間隔で決まる。
なおバックアップ材がフラットバー根本の溶接箇所に直接接する場合は、下図のようにバッ
クアップ材底面偶角部を10mmずつカットする。
A部詳細
図7.2.9 非排水構造標準図
弾性シール材充填厚み(t1)
最小厚さを70mm、最大厚さを100mmとして、標準温度時ウェブ遊間の1/3程度とする。
弾性シール材充填遊間(W)
固定側は標準温度時ウェブ遊間で弾性シール材の充填をおこない、可動側は表7.2.12による。
バックアップ材厚みと底面加工(t2)
標準時ウェブ遊間により、以下の厚みを確保すること。
表7.2.11 バックアップ材の厚み区分
記号
標準時ウェブ遊間
<250mm
t2
60mm
250mm≦標準時ウェブ
遊間<350mm
80mm
350mm≦標準時ウェブ
遊間<400mm
100mm
3-7-20
400mm≦標準時ウェブ
遊間<500mm
120mm
支持プレート幅
バックアップ材下の支持プレート幅(C)は、充填材に支持機能を満足させるために、最大圧縮時
に最小フィンガー遊間(20mm)が残る長さとすること。
図7.2.10 最大圧縮時
弾性シール材填充時のウェブ遊間は次表による。(可動側)
表7.2.12 填充時のウェブ遊間
地
域
填充時のウェブ遊間
-25℃以下とならない
-10℃の時の遊間
-25℃ ~ -35℃
-15℃の時の遊間
-35℃ ~ -45℃
-20℃の時の遊間
注)1 固定側は標準温度時10℃のウェブ遊間で填充を行なう。
2
(4)
地域については図7.2.4を参照のこと。
フィンガープレートの計算
曲げモーメントは、端固定、他端単純支持とする梁として計算する。
β
P
支間中央の曲げモーメント :MC=
P
A
β2
C
5
Pβ
32
固定端の曲げモーメント
:MB=-
3
Pβ
16
∴設計曲げモーメント
:MB=-
3
Pβを使用する。
16
B
β2
β
フィンガープレートの抵抗幅を500mmと仮定し、フィンガープレート厚(t)の計算をする。
σ =
MB
3
6
18 Pβ
=
Pβ× 2 =
× 2
1/6bt2
16
bt
16
bt
18×100000×(1+1.0)
18×100000(10.000)×(1+i=2.0)
t2
=
= 3.214 (mm)
16×50×14000(1400)
β
16×500×140
※ 衝撃を考慮して計算を行う。
※ 板厚が40mmを超える場合には、σ=125 N/mm2として計算を行う。
3-7-21 【H22.04改訂】
表7.2.13 フィンガープレート厚(t㎜)
(5)
β
t(計算値)
t(使用板厚)
200
25.4
28
225
26.9
28
250
28.3
30
275
29.7
30
300
31.1
34
325
32.3
34
350
33.5
36
375
34.7
36
400
35.9
38
425
37.0
38
450
38.0
38
475
39.1
40
500
42.4
43
異形スタッドジベルおよびリブ
異形スタッドジベルおよびリブは共同して荷重を受け持つものとし、その荷重分担には異形スタ
ッドジベルが5/6、リブが1/6を受け持つものとする。
リブアンカープレートとフィンガーの控長
フィンガーの控長はフィンガープレートの設計曲げモーメントに対して、リブとアンカープレー
トの共同作用により抵抗するものとして計算する。
d
M≦MR
M
M
25
0
R
M :フィンガープレートの設計曲げモーメント
MR :リブ及びアンカープレートによる抵抗モーメント
MR :MRR+MRF
MRR :1本のリブによる抵抗モーメント
10
MRF :2本のアンカープレートによる抵抗モーメント
40
表7.2.14 ウェブ遊間(β)とフィンガー控長(d)の計算
ウェブ遊間
抵抗曲げモーメント
決定控長
(β)
曲げモーメント(M) 仮定控長
(N・mm)
(d0)
d0のとき(M)
(d)
100
3,750,000
180
10,311,000
180
125
4,687,500
〃
150
5,625,000
〃
175
6,562,500
〃
200
7,500,000
〃
225
8,437,500
〃
250
9,375,000
275
10,312,500
220
〃
300
11,250,000
〃
325
12,187,500
〃
350
13,125,000
〃
375
14,062,500
〃
400
15,000,000
〃
425
15,937,500
450
16,875,000
〃
475
17,812,500
〃
500
18,750,000
〃
250
15,216,800
20,040,400
3-7-22 【H22.04改訂】
220
250
50
(6)
1)
リブによる抵抗モーメント(MRR)
n
d
10
σmax
= τa・2・0.707・Sより
MRR
=
σmax・(d-10)2
3
= 0.4714・τa・S・(d-10)2 N・mm
S
τa
:すみ肉溶接許容せん断応力度=80N/mm2
S
:すみ肉溶接サイズ=6㎜
σmax
アンカープレートの抵抗モーメント(MRF)
FR
1.1547Fa
2)
FR
1
FR
2
Fa
MRF
=1.1547・Fa・(d-40) N・mm
Fa
:F1~F4の最小値とする。
①
アンカープレートの引張による耐荷力 (F1)
M
60°
Fa
774
5
.
0
F
σT
= 0.5774・F 2
M
F
=
+
より
Z
A
F1
=
σta
0.5774・
Z
2
+
1
A
(N) ……………①
σta
:許容引張応力度=140N/mm2
A
:アンカープレート2本当り断面積
z
:
〃
断面係数
2
②
コンクリートの付着による耐荷力 (F2)
1
F2
τoa
F
774
0.5
③
ba
コンクリートの支圧による耐荷力(F3)
0.5774・F3 =
2
σ
1
F
774
0.5
2・9・ 1・σba
より
2
1・σba
(N) …………………………③
0.06416
F3
=
σba
:コンクリートの支圧応力度
0.5σba= 12N/mm2
④
58
H=2F
S
= 4・(50+9)・ 1・τoa (N) ……………②
:アンカープレートの許容付着応力度=0.8N/mm2
θ=60°
溶接部のせん断応力度による耐荷力 (F4)
H
F
=
より
0.707・S・4・58
82.012・S
τ
=
F4
= 82.012・S τa (N) ……………………④
τa
:すみ肉溶接許容せん断応力度=80N/mm2
S
:すみ肉溶接サイズ= 6㎜
F
50
3-7-23 【H22.04改訂】
(7)
床版端部切欠き部の検討
PC及びRCの床版あるいは桁形式では伸縮装置設置のため床版端部に切欠きを設けるが、伸縮装置
設置施工に車輌等が通過することもあるので、端支点上について断面欠損を考慮したせん断応力を
照査しなければならない。
(8)
フィンガーの形状
図7.2.11に示す形状を標準とする。
歩道又は
地覆
車 道
100
100
100
60
斜橋の場合は
形状を考慮し
て決定のこと
40
3
60
20
6
6
40
60
20φ孔 400~600程度 水抜又は空気抜
床版コンクリート施工後セメントペーストで埋込みの事
図7.2.11 フィンガーの形状
(9)
床版張出部の照査
床版張出部等でコンクリートの端横桁または端ブラケット、橋台に支持しない箇所における鋼製
フィンガージョイントのフランジ及びウェブの断面は、橋軸直角方向により決定する。
(10)
樋
1)
樋は地覆端部のスライド板までとする。
2)
地覆部の形状は図7.2.12を参考とし決定すること。
弾性シール材
樋
バックアップ材
図7.2.12 樋
注)1 ステンレス樋には、横断勾配最低部に水抜きパイプ(φ20×50、SUS304)を設置すること。
注)2 設置については、支承の位置等を考慮すること。
注)3 輸送の関係で分割製作する場合、接合部の樋は施工が容易な構造とすること。
3-7-24 【H25.04改訂】
7.2.6 プラウ系除雪車対策
除雪計画のある路線の橋には、伸縮装置のスノープラウなどによる引っかけ破損を防止するため、伸縮
装置にスノープラウ誘導板を設置するものとする。
説】
伸縮装置の両側に配置する誘導板間隔の目安としては225mmピッチ程度で配置するのが良いが、ジョイ
ント構造や形式により配置が困難な場合もある。よって、スノープラウ誘導板の長さ(最小PL=260mm)
とテーパー部寸法(最小TL=150mm)と配置ピッチの照査を行い、適切な構造配置とするものとする。
走行車線が上下に分離されている場合など除雪車の走行方向が定まっている場合では、走行方向の片
面側(手前側)のみにスノープラウ誘導板を配置する対応としてもよい。
スノープラウ誘導板の板厚は22mmを標準とし,ジョイント設置高さは,舗装計画高さと同じ高さとす
る。
40
65
80
50
30以上
35 10
アスファルト舗装
TL寸法
150
85
伸縮装置本体部
板厚 t=22mm
PL寸法
90
85
35
130
10
TL寸法 150
15 25
【解
22
30
50
PL寸法
図7.2.13 スノープラウ誘導板(参考図)
注)1 スノープラウ誘導板がパラペットに収まらない場合は、パラペット頭部を厚くする。
2
スノープラウ誘導板の寸法及び開口寸法は、パラペット及び床版の鉄筋との取り合いに注意
して決めるものとする。
3
スノープラウ誘導板と基部コンクリートは一体構造とし、伸縮装置本体の損傷を防止するも
のとする。
4
補強鉄筋までのかぶりは、30mm以上確保するものとする。また、通し筋設置箇所のスノープ
ラウ開口部は閉塞形状とする。
5
新設する伸縮装置スノープラウ誘導板部の路面は、アスファルトで処理するのを原則とする。
但し、補修において、既設伸縮装置をそのまま使用する場合はこの限りでない。
6
排水性舗装の場合、スノープラウ誘導板は、防錆処理(タールエポキシ、亜鉛溶射など)を
適確に行なうこと。
7
排水性舗装の場合、床版端部に設けられるスノープラウ誘導板部は、端部防水処理を十分に
行なうこと。
3-7-25 【H25.04改訂】
(2)
スノープラウ誘導板の設置間隔の決定方法
図7.2.14および7.2.15(a)(b)を参考に決定するとよい。
除雪 進 行 方 向
斜角
CL
90°
=
W
θ
30°
TL
伸縮装置
ス ノ ープ ラ ウ 誘 導 版
(T L= 150 と し た 場 合 )
プ ラ ウが 同 時 に ・ 点 に
到 達 す る W を求 め る 。
プラウ角度
W≦
150
(W=225mmを採用する。
)また,誘導板長さPL≧2・W・tan30°となる。
tan 30
図7.2.14 直橋の場合
(a)左斜角の場合
(b)右斜角の場合
除雪進行方向
伸縮装置
除雪進行方向
CL
CL
斜角
斜角
W
W
伸縮装置
θ
θ
TL
TL
30 °
30°
スノープラウ誘導版
プラウ角度
スノープラウ誘導版
プラウ角度
W≦
150
tan 30 tan 90
θ
W≦
但し,W<225mmとなる場合はW≧225mm(標準)
とし を算出する。
TL≧ W tan 30 tan 90 θ
tan 30
150
tan 90
θ
但し,最大で300mm程度とする。
図7.2.15 斜橋の場合
3-7-26 【H25.04改訂】
7.3 排 水 装 置
7.3.1 排水装置の設計
橋面には排水をすみやかに行なうために必要な横断勾配、また、高架橋には、排水を考慮し縦断勾配をつ
け路肩には必要な間隔に十分な大きさの排水桝を設けるものとする。排水桝の間隔は20m以下とするのがよ
い。
排水管の内径は最小部で15㎝以上とし、ごみ・泥など除去しやすい構造とするものとする。箱桁、トラス
部材などの閉断面で、構造上水のたまりやすい場所には水抜き孔を設けるのがよい。
排水管の設置は、橋梁本体の景観デザインの支障とならないよう配慮すること。
高規格道路の排水桝には長尺桝を使用するものとする。
【解
説】
(1)
(2)
排水桝は第6集標準図集「排水装置(排水桝)」によるものを標準とする。
排水桝の設置間隔は20m以下を基本とするが、設置条件により排水桝間隔を拡げる必要がある場
合には計算式により設置間隔を決定するものとする。
(計算は道路土工排水工指針に準拠する)
計算式による必要間隔長が橋脚間隔より長い場合には、各橋脚位置で排水するものとする。また、
計算式による必要間隔が橋脚間隔より短い場合でも、できる限り桁腹板に添わした導水管が短くな
る様に排水桝位置の計画を行うものとする。
(3)
排水装置は、清掃が可能な構造とする。
(4)
材質は凍結による破損の恐れのないものとする。
(5)
上部構造の振動により接続部、取付装置が外れない構造とする。
(6)
排水管の末端は、一般の河川上の橋梁では桁フランジより20㎝下で切り放し、たれ流してよい。
ただし、支承の付近では沓座面より20㎝程度下げておくこと。
(7)
排水管の屈曲はなるべくさけること。
(8)
排水桝の設置位置については、橋梁下の道路や鉄道から外れた位置に設置することを検討する。
(9)
縦断勾配および片勾配の関係で橋面が凹になる場合には、必ずその凹部の最低部に排水桝を設け
ること。また、その付近での排水桝の間隔は3~5m程度とするのが望ましい。
(10)
伸縮装置の近くには排水桝を設けて伸縮装置への流入量を極力減じるなど配慮することが望ま
しい。
(11)
排水管を地盤面まで下げる場合は、橋脚位置で行なうとよい。
(12)
水平に近い排水管は、極力避けること。構造上、水平に近い排水管を設ける場合は、ヒーティ
ングを施すこと。
(13)
受け桝の使用は極力避け、フレキシブルダクトを基本とする。
3-7-27 【H20.04改訂】
(14)
排水桝を設けるため床版等の鉄筋を切断するときは、図7.3.1に示すように切断した鉄筋に相当
する補強鉄筋を排水桝の周囲に配置しなければならない。
(15)
高架橋などで橋軸方向に配置する排水管は、(図7.3.2~7.3.4)を参考に設計するとよい。
(16)
排水管及び排水管桝は、耐久性、維持管理を考慮し、亜鉛メッキを標準とする。ただし、排水
管においては景観への配慮が必要な箇所は、亜鉛メッキの上に塗装を行なってよい。また、塩害
の影響を受ける箇所に設置するものは、別途考慮を行うこと。
(17)
(18)
流末処理を適切に検討する。
伸縮装置は、非排水形式を採用することとなっているが、伸縮装置上の越流計画はしないもの
とする。ただし、中小橋で伸縮装置に埋設ジョイント等を使用した場合、橋梁上に排水桝を設置
しなくても良い。
排水桝
補強鉄筋
地覆
図7.3.1 排水桝補強鉄筋
内径 150mm
以上の円管
継手
勾配は 3%以上とする。
フレキシブルダクト
図7.3.2 排水桝装置の設置例(a)
フレキシブルダクト
図7.3.3 排水桝装置の設置例(b)
3-7-28
道路機能から
決まるF.L
排水から決まるF.L
橋脚
図7.3.4 排水桝装置の設置例(c)
(19)
排水管の取付けは従来、排水設備としての機能、維持管理の面からのみ考えられ、景観に与え
る影響が考慮されていない例が多かった。そのため、景観が特に悪い橋でなくても、排水管のた
めに醜くなってしまう場合、あるいは、本体構造は景観に配慮した美しい形であっても、排水管
の不適切な取付けがそれを損ねてしまう場合が多い。したがって、例えば以下に示すような工夫
を行なうとよい。
(図7.3.5)
①
排水管を桁内部に引き込む。
橋台壁面に切欠きを設け、排水管を埋め込んで流下させる。
なお、排水管を主桁に通す場合には、排水管の腐食による水漏れ等により桁が損傷することが
ないよう留意すること。
また、排水管を屈曲させる場合は、滞水、目詰まり等、その機能がおろそかにならないように
排水管の勾配及び桁部から下部工部への接続に留意すること。
曲部詳細
排水補強板
L2
60
φ139.8
内径150mm以上
B2
B1
60
φ139.8
内径150mm以上
図7.3.5 景観に配慮した排水設備の設計例
関連規程:道路橋示方書 Ⅰ共通編 日本道路協会
道路土工排水工指針
6
t
60
R
t
B1
B2
B3
H2
φ1
φ2
R
日本道路協会
3-7-29 【H20.04改訂】
60
H1
~
腹板厚
~
L1
注意事項
1.補強板の材質は、主桁と同一とする。
2.補強板の板厚は腹板と同等以上とする。
7.3.2 高規格道路排水桝の使用区分
排水桝は、橋梁規模、設置位置等のよりA、Bの2タイプに区分して適用するものとする。
【解
説】
(1)
排水桝の使用区分
排水性舗装を用いる場合の排水桝の使用区分を以下に示す。
排水桝タイプ(A、B)は、
“第6集 標準設計図集 第3章 高規格道路 9.橋梁”を参照のこと。
※1
※1
※1
〔拝み勾配の場合〕
〔片勾配の場合〕
注意事項 中央分離帯の※1については、Bタイプの排水桝を設置することを基本とし、省略する場
合は、路面排水について十分に検討すること。
図7.3.6 排水桝設置例
3-7-30 【H27.04改訂】
(2)
排水桝の設置位置
長尺排水桝の設置位置は、地覆の内側に入れてはならない。
長尺排水桝の設置高さは、その位置における舗装表面より10mm下げるものとし、設置勾配は路
面勾配に合わせるものとする。
図7.3.7 長尺排水桝の設置方法(Aタイプの場合の例)
3-7-31 【H19.04改訂】
7.4 橋梁用防護柵
7.4.1 橋梁用防護柵の分類
橋梁用防護柵の設置にあたっては、機能、経済性、施工条件、美観、維持管理等を十分勘案したうえで、
設置目的及び設置箇所に応じて種類等を選定しなければならない。
(1)
車両用防護柵
車両用防護柵、車両の橋梁外への逸脱を防止するために設置される防護柵である。
橋梁における車両用防護柵はたわみ性防護柵(橋梁用ビーム型防護柵・ガードレール)と剛性防護
柵に分類される。
(2)
高欄(歩行者自転車用柵)
橋梁における歩行者自転車用柵は、歩行者及び自転車の橋梁外への転落を防止するため、歩道地
覆に設置されるSP種の防護柵である。
(3)
高欄兼用車両用防護柵
高欄及び橋梁用ビーム型防護柵の機能を兼ね備えた防護柵であり、(2)において、歩道幅が狭い、
または除雪等の理由により歩車道境界部に車両用防護柵の設置が困難な場合は、歩道地覆部に設置
できる。また、形状についても双方の機能を有したものとする。
【解
説】
橋梁用防護柵の分類は、
「防護柵の設置基準・同解説」(平成20年1月、日本道路協会)によった。
橋梁用防護柵の基本的な分類を示した。適用区分は、7.4.2を参照すること。
山間部等の小規模橋梁で景観等に問題がない場合や前後の状況によりガードレールについて検討し、
適用の可否を検討する。
「防護柵の設置基準・同解説」で示されている防護柵の代表的な型式を下のフローチャートに示す。
本要領で規定する「橋梁用防護柵」の範囲は、下記の着色部である。
ガードレール
ガードパイプ
ビーム型防護柵
ボックスビーム
たわみ性防護柵
ケーブル型防護柵
(ガードケーブル)
木製防護柵
橋梁用
ビーム型防護柵
車両用防護柵
フロリダ型
剛性防護柵
コンクリート製
壁型防護柵
単スロープ型
直
壁
防護柵
P種
高欄
(歩行者自転車用柵)
高欄兼用
車両用防護柵
SP種
橋梁用ビーム型防護柵+笠木
図7.4.1 代表的な防護柵の分類
3-7-32 【H25.04改訂】
型
7.4.2 橋梁用車両防護柵の種別と適用
(1)
橋梁用車両防護柵の種別
橋梁用車両防護柵は、強度(車両が衝突したときに突破されない衝撃度の大きさ)および設置場
所に応じて表7.4.1のように種別を設定する。
表7.4.1 橋梁用車両防護柵の種別
種
別
歩車
路側
分離帯用
用
道
車両質量
衝突速度
衝突角度
(トン)
(km/h)
(度)
境界
強 度
(衝撃度)
(kJ)
用
C
Cm
Cp
26以上
45以上
B
Bm
Bp
30以上
60以上
A
Am
Ap
45以上
130以上
SC
SCm
SCp
SB
SBm
SBp
65以上
280以上
SA
SAm
-
80以上
420以上
SS
SSm
-
100以上
650以上
Is
=
25
50以上
15
1
V
・m・(
・sinθ)2
2
3.6
160以上
衝突角度 θ
ここで、
衝突速度 V
Is
:衝撃度
m
:衝突車両の質量 (t)
V
:衝突速度
(km/h)
θ
:衝突角度
(度)
(kJ)
車両重量 m
図7.4.2 衝撃度算定式
(2)
適用区間
車両用防護柵は、道路の区分、設計速度および設置する区間に応じて、原則として表7.4.2に示
す種別を適用するものとする。尚、次ページ以降に橋梁用防護柵適用区分(参考)を掲載してい
るので参照されたい。
表7.4.2 種別の適用
道路の区分
設計速度
高速自動車国道
80km/h以上
自動車専用道路
60km/h以下
その他の道路
一般区間
A,Am
重大な被害が
新幹線などと
発生するおそ
交差または近
れのある区間
接する区間
SB,SBm
SS
SC,SCm
SA
60km/h以上
B,Bm,Bp
A,Am,Ap,SC
50km/h以下
C,Cm,Cp
B,Bm,Bp,SC注)
注) 設計速度40km/h以下での道路では、C,Cm,Cpを使用することができる。
3-7-33
SB,SBp
橋梁用防護柵種別適用区分(参考)
(1)
一般国道の場合
防護柵の適用区分は、
「一般区間」
,
「重大な被害が発生するおそれのある区間」
,
「新幹線などとの
交差または近接する区間」に区分し,逸脱防止を図ることを基本とする。
なお、※印箇所については代表的事例であるため、フロー選定においては「防護柵の設置基準・同
解説」により諸条件を十分検討し選定すること。
橋梁に設置する防護柵
<路側以外>
設置箇所
① 歩道端および歩車道境界
② 中央分離帯
<路側設置>
無
重大な被害のおそれが
あるか? ※1
一般区間
橋梁用ビーム型防護柵またはガードレール
有
重大な被害が発生するおそれのある区間
跨道部、跨線部等:コンクリート製壁型防護柵
その他:橋梁用ビーム型防護柵またはガードレール
(注2:設計速度が40km/h以下の場合は一般区間を
適用しても良い)
図7.4.3(a) 橋梁用防護柵の適用フロー
※1 重大な被害のおそれのある区間
(1)
重大な乗員被害
乗員被害が考えられる区間で、逸脱車両の乗員が致命的な傷害を被るおそれのある区間。
1)
路外の危険度が極めて高い区間等であり、路外の段差・交通・沿道状況を考慮し判断する。具
体的には河川橋の場合、路面から河床までの高さが4m以上の範囲がこれに相当する。
2)
(2)
北海道においては、路面の凍結を考慮し判断する。
重大な二次被害
二次被害が考えられる区間で、走行中の車両等と衝突することにより多大な二次被害を発生させ
ることが想定される区間。
1)
鉄道・他道路に進入するおそれのある区間。
2)
鉄道、高速自動車国道、自動車専用道路などと交差、近接区間。
3)
走行速度が特に高く、かつ交通量の多い分離帯設置区間。
4)
その他重大な二次被害の発生するおそれのある区間。
その他
新幹線、ガスタンク、危険物貯蔵施設等と近接する区間、走行速度や線形条件などにより衝撃度
が高くなりやすい区間。
3-7-34 【H20.04改訂】
① 歩道端および歩車道境界
重大な被害のおそれが
あるか? ※1
無
一般区間
有
重大な被害が発生するおそれのある区間
Case1:歩道端のみ設置
高欄兼用橋梁用ビーム型防護柵
Case2:歩車道境界部・歩道端設置 ※2
歩車道境界部に車両用防護柵
歩道端に縦桟型高欄SP種
Case1:歩道端のみ設置
跨道部、跨線部等:コンクリート製壁型防護柵
その他:高欄兼用橋梁用ビーム型防護柵
Case2:歩車道境界部・歩道端設置 ※2
歩車道境界部に車両用防護柵
歩道端に縦桟型高欄SP種
(注2:設計速度が40km/h以下の場合は一般区間を
適用しても良い)
図7.4.3(b) 橋梁用防護柵の適用フロー
※2 歩車道境界部に設置する場合(Case2)
(1)
車両の歩道等への逸脱から歩行者および施設等を二次被害から守る必要のある区間は、特に安全
性の向上を図るため歩車道境界部に車両用防護柵を設置する。
1)
走行速度が高い区間や線形が視認されにくい曲線区間などで、沿道の人家・広場・グラウンド
などの人の集まることの多い施設で特に必要と認める区間。
(重大な被害が発生するおそれのあ
る区間に該当する)
2)
走行速度が高い区間や線形が視認されにくい曲線区間などで、歩行者の通行が多い区間や児
童・園児の登下校に利用される区間は必要に応じ設置する。
橋梁前後の道路土工区間で歩車道境界柵が設置される場合は、防護柵の連続性を考慮し、歩車
道境界部に車両用防護柵を設置する。
(2)
歩道端への設置が認められる区間
1)の条件の場合は歩車道境界に設置することを原則となるが、下記条件の場合はCase1を採用す
ることができる。
・跨線橋、跨道橋でコンクリート製壁型防護柵を設置する区間。ただし、上記2)に該当する場合
は別途考慮すること。
・歩道幅員が狭く歩車道境界部に設置が困難な区間。
・除雪等が著しく困難となる場合。ただし、上記2)に該当する場合は別途考慮すること。
3-7-35 【H26.04改訂】
② 中央分離帯
車両の対向車線逸脱を
防止する必要があるか ※3
無
設置不要
有
重大な被害のおそれが
あるか? ※1
無
一般区間
橋梁用ビーム型防護柵またはガードレール
有
重大な被害が発生するおそれのある区間
橋梁用ビーム型防護柵またはガードレール
図7.4.3(c) 橋梁用防護柵の適用フロー
※3 車両の対向車線逸脱を防止する必要がある場合
(1)
(2)
高速自動車国道および自動車専用道路
走行速度が高い区間で縦断勾配または線形条件が厳しい区間で特に必要と認められる区間
・視認性の良い区間や沿道のアクセスが少ない区間では走行速度が高く、対向車線に逸脱した場
合に事故被害が大きくなりやすいが、分離帯自体が対向車線への逸脱防止を図ることから、縦
断勾配または線形条件が厳しい区間で特に必要とみとめられる場合に防護柵を設置する。
3-7-36 【H20.04改訂】
(2)
高規格道路の場合
図7.4.4 防護柵設置の基本的考え方(参考)
3-7-37
7.4.3 橋梁用ビーム型防護柵の設計
(1)
構 成
橋梁用ビーム型防護柵は支柱と横梁を強度部材とし、横梁は1本の主要横梁と1本以上の下段
横梁にて構成するものとする。なお、横梁は丸型、角型またはこれに類する形状を有し、閉断面
でなければならないものとする。
(2)
設計諸元
橋梁用ビーム型防護柵は表7.4.3の設計諸元を満足しなければならない。
表7.4.3 設計諸元
ブロックアウト
各部高さ(cm)
(kN・m)注2
主要横梁
横梁合計
下段横梁
主要横梁
種 別
量(mm)
横梁の極限曲げモーメント
注1
下段横梁
支柱間
隔(m)
1本使用時 複数本使用
の単体
時の単体
主要横梁 下段横梁
上端高さ 中心高さ
(路面から)
C
40以上 25以上
23以上
17以上
6以上
4.0以上
B
45以上 30以上
26以上
17以上
9以上
4.5以上
2.0
以下
A
55以上 45以上
50以上
36以上 14以上
7.0以上
SC
65以上 55以上
66以上
49以上 17以上
8.5以上
SB
75以上 70以上
89以上
68以上 21以上 10.5以上
1.5
SA
75以上 70以上
110以上
68以上 42以上 21.0以上
以下
(地覆面から)
90以上, 25以上,
100以下
60以下
注1 ブロックアウト量は、支柱の最前面から横梁最前線までの距離をいう。
注2 橋梁の極限曲げモーメントは支点間隔2mの静荷重試験値とする。
(3)
橋梁用ビーム型防護柵の高さは路面から主要横梁上端まで110cmを標準とする。
(4)
橋梁用ビーム型防護柵に車両が衝突時した場合には、それによって橋梁の床版部分に付加的な
力が加わるので、床版の設計にあたっては、道路橋示方書によりその影響を考慮しなければなら
ない。床版の許容応力度については、割増することができる。
【解
説】
(1)
ビーム型の橋梁用車両防護柵設計法の詳細については、「防護柵設置基準・同解説」及び「車両用
防護柵標準図集・同解説」別添2「橋梁用ビーム型防護柵設計方法」によるものとする。
(2)
ビーム型の橋梁用車両防護柵の主要横梁上端高さは90cm~100cmとなっており、「防護柵設置基
準・同解説」には防護柵と車両の関係が示されている。
※1 北海道では冬期間に路面に圧雪が残る可能性があることから横梁中心までの高さは高い方
が望ましい。また、上端までの高さを110cmとすると、高欄兼用とできることから、本要領
では条文のように定めた。
(3)
衝突荷重による床版への影響は7.5.12を参照。
3-7-38 【H26.04改訂】
7.4.4 コンクリート製壁型防護柵の設計
(1)
剛性防護柵の種別を以下に示す。
一般国道(V=60km/h以下) :SC種(直壁型)
高規格道路(V=80km/h以上):SB種(フロリダ型)
(2)
荷重の組合せ
コンクリート製壁型防護柵は、橋梁上部構造の一部と考えるべきものであるので、道路橋示方
書を適用すべきである。ゆえに道示(Ⅰ)2・2荷重の組合せを適用し衝突荷重と風荷重の組合せは、
行なわないものとする。
(3)
衝突荷重と許容応力度の割増し
表7.4.4 防護柵種別と衝突荷重
1)
種 別(衝突条件)1)
衝 撃 度 (kJ)
衝突荷重F(kN)
SC(25t-50km/h-15度)
160
43(直壁型)
SB(25t-65km/h-15度)
280
58(フロリダ型)
車両質量-衝突速度-衝突角度
照査断面での構造計算
構造計算に用いる断面力として、縦方向(高さ方向)のモーメントMyおよび横方向(道路縦
断方向)のモーメントMxは以下の式で算定する。
①
縦方向のモーメント(My)
My
=F・L・αR・(1-B/7.5)
(kN・m)・・・・・・・・・・・・・・・ 式(7.5.1)
ここに、
αR
:縦方向断面係数=0.5
F
:衝突荷重(kN)
L
:Fの作用位置から断面照査位置までの高さ(m)
(Fの作用位置は、路面からの高さが1.0m以上の防護柵では、路面から1.0mの
高さ、1.0m未満の防護柵では路面から最上点までの高さとする。)
B
②
:有効幅(m)=2×L
横方向のモーメント(Mx)
Mx
=F・βR
(kN・m)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式(7.5.2)
ここに、
βR
③
:横方向断面係数 = 0.25
コンクリートおよび鉄筋の応力照査
①、②より求めたモーメントから、それぞれ照査断面における縦方向および横方向のコンク
リートおよび鉄筋の応力を計算する。この計算は、道路橋示方書に準拠した鉄筋コンクリー
トの応力計算方法に従って行なう。得られた応力度とその許容値を比較することにより照査
する。
【解
説】
コンクリート製壁型防護柵は、
「防護柵の設置基準・同解説」において、フロリダ型、単スロープ型、
直壁型の3タイプが示されている。高規格道路では乗員の安全性、車両誘導性により優れたフロリダ型
を標準とした。一般国道では従来からの形状を踏襲して直壁型を標準とした。
3-7-39 【H26.04改訂】
7.4.5 高欄兼用車両用防護柵の設計
高欄兼用車両用防護柵は、高欄及び橋梁用ビーム型防護柵の機能を兼ね備えた防護柵であり、それぞれ
の設計条件を満たすものとして設計するものとする。
【解
説】
高欄兼用車両用防護柵は、橋梁用ビーム型防護柵としての耐荷力と、高欄としての形状(路面からの高
さ110cm)を満足させること。
7.4.6 高欄(歩行者自転車用柵)の設計
(1)
高欄の設計条件を以下に示す。
種
別:SP種
水平荷重:2,500N/m
鉛直荷重:
(2)
980N/m
床版に与える影響については、その推力、歩道等の等分布荷重の組合せに対して安全性を照査
しなければならない。この場合、許容応力度について割増を行なわない。
【解
説】
「防護柵の設置基準・同解説」により110cmとした。
ここでの高さは歩道等の路面から高欄の柵面の上端までの高さをいう。なお、設計推力2,500N/mは従
来通りのものである。
3-7-40 【H26.04改訂】
(1)
歩道部地覆
40cm
2%
歩道部の地覆の幅は40cm、高さは、歩道等の路面より10cmを標準とする。
10cm
7.4.7 地覆の形状
図7.4.5
(2)
車道部地覆
車道部の地覆は幅60cm、高さ25cmを標準とする。また、6cmのテーパーを
60cm
2%
25cm
つけることとする。
6cm
図7.4.6
(3)
歩道部境界
歩車道境界に橋梁用ビーム型防護柵を設置する場合の定着部は幅50cm、
50cm
20cm
高さ20cmを標準とする。また、6cmのテーパーをつけることとする。
6cm
図7.4.7
【解
説】
橋梁用防護柵を定着する地覆等の形状をここに示した。
「鋼道路橋設計便覧」(昭和55年 日本道路協会)
と矛盾した内容となっているが、本要領に示した値を使用するものとする。またテーパーについては、
前後の縁石と通りが合うようこれを定めた。
3-7-41
7.4.8 橋梁用防護柵の支柱の定着
(1)
定着位置
①
高欄(歩道地覆)
支柱を地覆(幅40cm)の中心に設置することを標準とする。
②
橋梁用ビーム型防護柵、高欄兼用車両用防護柵(車道地覆)
上横梁前面を地覆の車道側前面より25cm後方に設置する。
(2)
定着方法
支柱の定着方法は下記のいずれかとする。
①
埋込み方式
②
ベースプレート方式
(3)
埋込み長
①
埋込み方式の場合
②
1)
高欄
20cm以上
2)
橋梁用ビーム型防護柵、高欄兼用車両用防護柵
25cm以上
ベースプレート方式の場合
アンカーボルトの埋込み長は、計算にて決定する。ただし、標準図と設計条件が同一の場合
はこの限りではない。
(4)
支柱定着部の補強
橋梁用防護柵支柱の定着部については、
「防護柵設置基準・同解説」(平成21年1月、日本道路協
会)(別添2「橋梁ビーム型防護柵の設計」
)に示されている各種の応力照査を行ない、支柱部の補
強鉄筋を配筋するものとする。ただし、標準図と設計条件が同一の場合にはこの限りではない。
【解
説】
(1)
高欄の定着位置については特に定められたものはないので、構造上最も望ましいと考えられる地
覆の中心とした。車道地覆の建築限界については、道路構造令によると路肩を設けない道路、また
は長さ50m以上の橋梁で地覆部も路肩としてカウントしている場合についてのみ②の地覆の車道側
前面より25cm後方設置となるわけだが、ここでは車両と防護柵との接近による損傷を考慮して一般
にこれを拡大運用することとした。
(2)
定着方法としては、埋め込み方式とベースプレート方式の2種類がある。
埋込み方式の構造について、
「防護柵の設置基準・同解説」では〔埋込鋼管+モルタル充填〕とな
っている。これは施工方法として箱抜き方式による防護柵の後施工をイメージしたものと考えられ
るが、標準図では支柱定着部の凍結等を考慮してこれによらず、従前から行なっていた防護柵と地
覆の同時施工によるものとし、埋込鋼管に対する代替措置としてスパイラル鉄筋を配筋した。
これまで、埋込み方式では支柱の四隅にクラックが発生するなど、品質、維持管理の面で何らか
の対策を必要とする場合があった。そこで、地覆部の品質確保や部分取替えなどの維持管理性の向
上を目的としベースプレート方式の標準図を作成した。
また、I型断面の支柱をアンカーボルトで地覆に定着する方法についても、維持管理性については
ベースプレート方式と同様であり、かつ支柱の内側にアンカーボルトが収まるという特徴がある。
(3)
埋込み方式の埋込み長は、
「防護柵の設置基準・同解説」に示されている値を確保するものとし
た。また、ベースプレート方式の標準図作成にあたっては、
「車両用防護柵標準仕様・同解説」の
「解説・参考資料
2-2支持条件の変更の適用例」に従って計算を行った。
3-7-42 【H26.04改訂】
7.4.9 橋梁用防護柵の形状及び材料の選定
橋梁用防護柵は、構造的な強度、景観、防錆等を考慮して、形状及び材料を適切に選定しなければなら
ない。
特に、景観に関しては、
「景観に配慮した防護柵の整備ガイドライン」(平成16年3月、日本道路協会)の
趣旨を踏まえた計画が必要である。
【解
説】
橋梁用防護柵は前述した構造的な強度を有していることが第1条件であるが、景観に対して十分な配慮
が必要である。したがって形状、材料の選定は、
「景観に配慮した防護柵の整備ガイドライン」の趣旨を
踏まえ、架橋位置および利用状況に適したものを選定しなければならない。
3-7-43 【H26.04改訂】
7.4.10 橋梁用防護柵の防錆
(1)
防護柵に用いる金属材料は十分な防錆・防食処理を施すものとする。防錆・防食法は設置する
区間の地域環境及び気象条件等を勘案して選定するものとする。
(2)
色彩計画に関しては、
「景観に配慮した防護柵の整備ガイドライン」(平成16年3月、日本道路
協会)の趣旨を踏まえた計画が必要である。
【解
説】
(1)
防護柵に用いる金属材料などに錆または腐食が生じると、強度が著しく低下するなどにより防護
柵の機能に大きな問題が生じる。このことから、これら錆または腐食を生じる金属材料などについ
ては、JIS規格または同等以上の効果を有する方法により十分な防錆・防食処理を施すものとして
いる。また、海岸地帯または重工業地帯に存する区間や交通量が非常に多い区間など防錆・防食に
対して厳しい環境の区間に設置される防護柵については、さらに防錆・防食処理を高めた処理を施
すものとしている。
また、防錆・防食性能を有する材料についても、設置する区間の地域環境および気象状況を勘案
して対策の必要性を検討することが重要である。
架橋位置の周辺環境を考慮して、必要により、亜鉛メッキ面に塗装仕上げを行なう場合は,
「防
護柵の設置基準・同解説」に準拠し,熱硬化性アクリル樹脂塗料,熱硬化性ポリエステル樹脂塗料
またはこれと同等以上の塗料を使用し,塗膜厚は最小20μmを確保する必要がある。
また,亜鉛メッキ面の塗装については,
「鋼道路橋塗装・防食便覧」においても塗装仕様が示さ
れている。
(表7.4.5(a)(b)参照)
「第6集 標準設計図集」における鋼製防護柵(ガードレールを除く)は「鋼道路橋塗装・防食便
覧」の仕様を標準とする。
この場合、溶融亜鉛メッキ面は、通常の鋼材素地と比較した場合、塗装との付着性が劣るので、
メッキ面の素地調整には十分注意する必要がある。
(2)
色彩の決定においては、周辺環境の中で必要以上に目立たせない塗装色の選定が重要である。防
護柵の色彩に景観的な配慮が必要な場合の基本的な考え方※1を下記に示す。
<鋼製防護柵の場合>
・橋梁ビーム型防護柵等、塗装面が比較的小さい防護柵は、明度、彩度が低く目立ちにくいダー
クブラウンを基本色とする。
・ガードレール等、塗装面が比較的大きい防護柵はダークブラウンとすると重たい印象となるた
め、若干明度の高いグレーベージュを基本色とする。
・地域特性(例えば、歴史的建造物の周辺など)に応じて、ダークグレー、オフホワイトも基本色
の候補色に加え、適切な色彩を選定する。
<鋼製防護柵以外の場合>
・アルミ製防護柵やステンレス製防護柵については、素材そのものの色彩を活かすことを基本と
する。周辺環境との融和を図る場合で、周辺の基調色がYR系を中心とする場合は、鋼製防護柵
の基本色に近い色彩を基本とする。
・コンクリート製防護柵については、素材が本来有している色彩を活かすことを基本とする。
・木製防護柵において塗装や紡織処理を行う際には、素材そのものの色彩や木目等の活用に配慮
する事を基本とする。
※1 「防護柵の設置基準に関する講習会 講義要旨P.3-27~28」(平成16年度 日本道路協会)より
抜粋
3-7-44 【H26.04改訂】
表7.4.5(a) 新設溶融亜鉛めっき面塗装系(ZC-1)
工 程
前処理
塗装
塗料名
回数
塗装方法
使用量
目標膜厚
塗装間隔
(g/㎡)
(μm)
(20℃)
スィープブラスト処理(ISO Sa1)、(あるいは、リン酸塩処理)
4時間以内
(7日以内)
第1層
亜鉛めっき用エポキシ樹脂塗料
下塗
1
スプレー
200
(はけ・ローラー)
(160)
スプレー
170
(はけ・ローラー)
(140)
スプレー
140
(はけ・ローラー)
(120)
40
1~10日
第2層
ふっ素樹脂塗料用中塗
1
第3層
ふっ素樹脂塗料上塗
1
30
25
1~10日
注)1:素地調整においてブラスト処理が困難な場合は、リン酸塩処理とし、
処理後7日以内に第1層を塗装する。
注)2:塗装使用量の( )内は、はけ・ローラー塗りの使用量を示す。
表7.4.5(b) 既設溶融亜鉛めっき面塗装系(Rzc-1)
工 程
塗料名
素地調整 1種
下 塗
使用量
塗装間隔
(g/㎡)
(20℃)
※
1
4時間以内
200
亜鉛めっき用エポキシ樹脂塗料下塗
1~10日
中 塗
弱溶剤形ふっ素樹脂塗料用中塗
170
上 塗
弱溶剤形ふっ素樹脂塗料上塗
140
※
1:素地調整程度1種であるがブラストグレードは、ISOSa1とする。
3-7-45 【H19.04改訂】
1~10日
7.4.11 橋梁用防護柵の標準設計図
橋梁用防護柵の標準設計図として以下のものを制定するので参照されたい。
【解
(1)
車両用防護柵(A種)
(7)
高欄兼用車両用防護柵(C種)
(2)
車両用防護柵(B種)
(8)
コンクリート壁式防護柵(SB種)
(3)
車両用防護柵(C種)
(9)
コンクリート壁式防護柵(SC種)
(4)
歩道用高欄(縦桟型)
(10)
ガードレール(A種)
(5)
高欄兼用車両用防護柵(A種)
(11)
ガードレール(B種)
(6)
高欄兼用車両用防護柵(B種)
(12)
ガードレール(C種)
説】
前述した各規定により設計を行ない上記標準設計を定めた。橋梁用車両防護柵については、各部材に
ついて建設省土木研究所において静荷重試験を行ない安全性を確認した。
また、電子計算機による衝撃シミュレーションも実施して性能を確認している。
また、歩道用高欄および高欄兼用車両用防護柵は、幼児のすり抜け防止を計る目的で「縦桟型」を標
準とする。この場合、部材間隔は15cm以下とするのが良い。
なお、標準設計を用いる場合は橋梁の線形(曲線橋や縦断曲線)を勘案し十分な検討を行った上で
採用の可否を決定すること。
参考文献
(1)
防護柵の設置基準・同解説(平成21年1月・日本道路協会)
(2)
車両用防護柵標準仕様・同解説(平成16年3月・日本道路協会)
3-7-46 【H26.04改訂】
7.4.12 床版に与える影響
床版片持ち部の設計における衝突荷重による曲げモーメントは標準図使用の場合には表7.4.6によって
算定するものとする。これ以外の防護柵を用いる場合には、支柱が有する最大支持力を用いて算定するも
のとする。
表7.4.6 支柱の最大支持力
支柱の最大支持力
支柱の間隔
kN
m
A 種
58.8
2.0m程度
B 種
41.2
〃
C 種
26.5
〃
歩道用高欄
-
〃
種 別
衝撃荷重による曲げモーメント
Ms
k×P×h
=
(kN・m/m)
Bo
P
:支柱の最大支持力(kN)
k
:低減係数(=0.5)
h
:床版中心からの主要横梁中心までの高さ(m)
Bo
:荷重を受けるコンクリート床版有効長(m)
(床版中間部は、支柱間隔、床版端部は、床版中間部有効長の1/2)
Bo
=Lp
Lp
:支柱間隔(m)
図7.4.8 衝突荷重による曲げモーメント
コンクリート製壁型防護柵を用いる場合には、7.4.4に示す衝突荷重を用いて照査するものとする。
3-7-47
7.4.13 高規格道路における中央分離帯の形状
(1)
中央分離帯の形状は、中央分離帯幅によってガードレールあるいは鉄筋コンクリート壁式防護
柵に対応した形状とするのがよい。
(2)
跨道橋、跨線橋の場合、中央分離帯幅に関わらず鉄筋コンクリート壁式防護柵を設置するもの
とする。
【解
説】
(1)
中央分離帯の形状は、中央分離帯幅によって図7.4.9、図7.4.10の様にガードレール、鉄筋コン
クリート壁式防護柵に対応した形状とする。
なお、中央分離帯の高さはガードレールの場合120㎜とする。
(2)
分離帯遊間からの落下による2次的災害を防止するため跨道橋、跨線橋の場合には中央分離帯幅
に関わらず鉄筋コンクリート壁式防護柵を設置するものとした。
図7.4.9 完成形分離構造の場合(中央帯幅4.5m)
(参考)
図7.4.10 完成形分離構造の場合(中央帯幅4.5m超)
(参考)
3-7-48
7.4.14 転落防止施設
(1)
4車区間(ダブルウェイ)の分離橋梁部箇所では、金網または鋼製蓋等による中央帯からの転
落防止、落下物防止のための必要な対策を行うものとする。
(2)
【解
鋼製蓋タイプの設計荷重は、
(0.75kN×2人)とし、雪荷重は考慮しないものとする。
説】
(1)
分離橋梁区間では、地覆間に以下の目的のために転落防止施設を設置するものとする。
a)
緊急時の中央分離帯の横断
b)
維持管理者の緊急横断
c)
跨線橋、跨道橋部等で、橋下への落下物、落雪等を避ける必要のある箇所
金網タイプは、通常の転落防止施設として用いる。本タイプについては「道路設計要領 第
6集(標準設計図集)
」を参照されたい。
鋼製蓋タイプは、落下物防止を兼ねた施設であり、跨道橋、跨線橋等の桁下空間の利用計画
がある部分に適用し、端部小口を閉塞する構造とする。
(2)
鋼製蓋対応の設計荷重は、0.75kN×2人=1.50kNとするものとした。なお、雪荷重については、
除雪を前提として考慮しないものとした。
3-7-49 【H19.04改訂】
7.4.15 コンクリート製壁式防護柵の止水対策
コンクリート製壁式防護柵には、水のしみ出しを防止するための対策を行うこととする。
対象箇所を以下に示す。
①
コンクリート製壁式防護柵の目地部
②
主桁伸縮装置位置のコンクリート製壁式防護柵の不連続部
なお、伸縮装置は非排水型を使用するものとする。
【解
説】
(1)
コンクリート製壁式防護柵の目地部には、つららの発生や目地部付近のコンクリートの劣化を防
止するため、止水対策を行う。対策方法としては、10㎜の目地部に、バックアップ材の充填の他に、
目地部外部にシール材等の充填等を施すのが良い。
(2)
主桁伸縮装置位置のコンクリート製壁式防護柵の不連続部には間隙が生じるため、除雪時の残雪
等により地覆付近につららが発生したり、橋座の凍害の原因となっている。よって、この間隙を覆
う対策を行うものとする。対策に際しては桁の伸縮、維持管理、壁高欄との一体化等に配慮する必
要がある。
(3)
つらら防止対策は中央分離帯のみならずコンクリート製壁式防護柵全般に対応するものとする。
3-7-50
7.5 落橋防止システム
7.5.1 落橋防止システム
落橋防止システムは、道路橋示方書V耐震設計編の規定による。
【解
説】
下部構造が倒壊等の致命的な状態に至っていない段階において、支承部の破壊によって上部構造と下
部構造が構造的に分離し、これらの間に大きな相対変位が生じる場合にも上部構造の落下を防止する目
的で、落橋防止システムは設置される。
落橋防止システムは、(1)桁かかり長、(2)落橋防止構造、(3)横変位拘束構造のうち、必要な要素によ
り構成される。
(1)
落橋防止システムの適用性
落橋防止システムの選定にあたっては、設計荷重の大小、平面線形、空間性などによって適用可
能な構造形式、適用困難な構造形式があるため、適用条件を十分考慮し選定するものとする。検討
すべき項目・留意点を以下に列記する。
1)
立地条件に対する留意点
以下の橋梁に関しては、景観性や桁下制限内の設置可否を踏まえた検討を行う必要がある。
a)
公園内の橋梁
b)
跨道橋
c)
河川橋梁
2)
構造形式に対する留意点
構造形式によっては適用が困難な落橋防止構造もあるため、各構造形式により最適な構造を選
定するものとする。
a)
プレキャスト桁
b)
箱桁(1室箱桁)・床版橋
c)
斜橋・曲線橋
d)
軟弱地盤上の橋梁 (上部工突起など反対側下部工に依存する形式に対し留意が必要)
3)
(上部工突起などの後打ち施工が困難な形式)
(下部工突起などの設置が困難な形式)
(設置方向に留意が必要)
維持管理に対する検討事項
a)
維持管理(橋梁点検を含む維持管理業務)に支障がないような配慮が必要。
b)
維持管理を考慮し、桁端部に管理用の通路スペースを確保する等の配慮も必要。
c)
耐候性鋼材など桁端部を通風性の良い構造とすることが望ましい橋梁形式においては、通
風性を確保できる形式の検討が必要。
3-7-51 【H25.04改訂】
図7.5.1 落橋防止システム選定フローチャート
3-7-52 【H25.04改訂】
表7.5.1 落橋防止システム適用表
設計荷重
平面線形
空 間 性
建
直
大
中
斜
小
築
線
橋
橋
限
界
橋
等
(
橋
軸
方
向
桁・桁連結
支
支
主
承
承
高
高
が
が
低
高
低
広
い
い
い
い
が
特
に
景
経
観
済
性
性
桁
間
隔
が
パラペット定着
◎
◎
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
堅壁定着
◎
◎
○
○
○
○
×
○
△
○
○
△
○
◎
◎
○
○
○
△
○
○
○
○
○
△
○
○
◎
◎
○
△
△
×
○
△
○
○
△
◎
PCケーブル、連結板 等
PCケーブル、連結板 等
上部工突起 鋼製ブラケット
)
落
橋
防
止
構
造
上・下部工連結
桁
高
曲
突起形式
鋼製ブラケット
沓座突起
○
◎
◎
○
△
△
○
△
○
△
△
○
◎
コンクリートブロック
沓座突起
○
◎
◎
○
△
△
○
△
○
△
△
○
◎
鋼製ブラケット
桁端部突起
○
◎
◎
○
○
○
○
○
○
○
○
△
◎
桁端部突起
○
◎
◎
○
○
○
○
○
○
○
○
△
◎
桁間突起
○
◎
◎
○
○
○
○
△
○
△
△
○
◎
△
○
◎
○
○
○
○
○
○
○
○
○
◎
下部工突起
(
橋
軸
直
角
方
向
)
横
変
位
拘
束
構
造
突起形式
下部工突起 コンクリートブロック
鋼製ブラケット
アンバーカーバー
記号説明 ◎:適用性が高い、○:適用、△:検討のうえ適用、×:適用が困難
表7.5.1 落橋防止システム適用表は、一般的な適用区分を示したものである。
落橋防止構造には、PCケーブル等の上下部工を確実に連結するタイプや、上部工突起形式等の反対
側の下部工に依存するタイプ等の種々の形式がある。そのため、落橋防止システムの選定にあたっては、
橋梁本体構造の形式・規模を考慮し、検討のうえ最適な形式を選定するものとする。
3-7-53 【H25.04改訂】
表7.5.2 落橋防止システム種別表
端
支
点
かけ違い部
中間支点部
備 考
-
桁かかり長
上・下部工連結
落
-
連結方法としては、
以下の種類があ
る。
・PCケーブル
・連結板 等
-
連結方法としては、
以下の種類があ
る。
・PCケーブル
・連結板 等
橋
防
止
桁・桁連結
構
-
造
(
橋
上部工突起
軸
方
向
)
突
起
形
式
-
-
鋼製ブラケット
コンクリートブロック 等
下部工突起
)
橋
軸
直
角
方
向
同 左
同 左
同 左
同 左
同 左
同 左
突起形式
(
横
変
位
拘
束
構
造
アンカーバー
※ 形式選定にあたっては、経済性・構造性・施工性を考慮の上、最適な形式を選定するものとする。
3-7-54 【H25.04改訂】
(2)
桁かかり長
桁かかり長は式(7.7.1)により算出するものとする。ただし、この値が式(7.7.2)による桁かかり
長の最小値を下回る場合には、桁かかり長は式(7.7.2)により算出する値以上とする。なお、斜橋
や曲線橋のように橋軸方向と橋台に働く土圧の作用方向が一致しない場合には、桁かかり長は支承
線に直角な方向に確保する。(道路橋示方書・同解説Ⅴ16.2)
SER =UR+UG ………… 式(7.7.1)
………… 式(7.7.2)
SEM =0.7+0.005
UG =εGL ………… 式(7.7.3)
ここに、
SER :必要桁かかり長 (m)。
UR :レベル2地震動により生じる支承部の最大応答変形量 (m) で、道路橋示方書・同解説
Ⅴ耐震設計編8章に規定する橋に影響を与える地盤の液状化または流動化が生じると
判定される場合においては、この影響を適切に考慮する。ただし、URの算出に際して落
橋防止構造及び横変位拘束構造の効果は考慮してはならない。
UG :地震時の地盤ひずみによって生じる地盤の相対変位(m)
SEM :桁かかり長の最小値(m)
εG :地震時地盤ひずみで、地盤種別がⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種に対して、それぞれ、0.0025、0.00375、
0.005とする。
L :必要桁かかり長に影響を及ぼす下部構造間の距離(m)。
:支間長(m)。1橋脚上に2つの上部構造の端部が支持され両側の桁の支間長が異なる場合
には、大きい方の支間長を用いる。
実際の桁かかり長SE≧必要桁かかり長SER
橋脚
桁かかり長
橋台
桁かかり長
SE
SE
(a)端支点
図7.5.2 桁かかり長
(3)
落橋防止構造
落橋防止構造は、次の構造を標準とする。
1)
上・下部構造を連結する構造
2)
上・下部構造に突起を設ける構造
3)
2連の上部構造を相互に連結する構造
落橋防止構造の選定に際しては、機能、経済性、施工性、耐震性能等を十分勘案したうえで採用
しなければならない。落橋防止構造の耐力は、式(7.7.4)の設計地震力HFを下回ってはならない。
耐力算定にあたっては、鋼部材の場合においては割増係数1.7を考慮した許容応力度から算出し
てよい。コンクリート部材の場合においては、その耐力を用いてよい。
1)上下部構造を連結する形式の落橋防止構造の場合
HF = PLG
・・・・・・式(7.7.4)
ただし、HF ≦1.5Rd
2)2連の桁を相互に連結する形式の落橋防止構造の場合
HF = 1.5Rd
ここに、
HF
:落橋防止構造の設計地震力 (kN)
:当該支点を支持する下部構造の橋軸方向の水平耐力 (kN)
PLG
:死荷重反力 (kN)。ただし、2連の桁を相互に連結する形式の落橋防止構造を用い
Rd
る場合においては、いずれか大きい方の鉛直反力の値を用いる。
3-7-55 【H25.04改訂】
また、落橋防止構造の設計遊間量は式(7.7.5)の値SFをこえない範囲で可能な限り大きな値とし
なければならない。ただし、必要桁かかり長の値自体が大きく、落橋防止構造の遊間量が過大に
なる場合には、支承部の機能や維持管理に障害にならない範囲でCFを小さくしてもよい。
SF
= cF SE
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式(7.7.5)
ここに、
SF
:落橋防止構造の設計最大遊間量 (m)
SE
:桁かかり長 (m)
cF
:落橋防止構造の設計変位係数で,0.75を標準とする。
なお、PCケーブルの箱抜きはVP管を標準とする。
3-7-56 【H25.04改訂】
鋼 橋
PC橋
δ:落橋防止構造の設計遊間量
(a)橋台と上部構造を連結する落橋防止構造
図7.5.3 橋台部落橋防止構造例(1)
鋼 橋
PC橋
δ:落橋防止構造の設計遊間量
(b)コンクリートブロックを用いる落橋防止構造
図7.5.4 橋台部落橋防止構造例(2)
鋼 橋
PC橋
δ:落橋防止構造の設計遊間量
(c)鋼製ブラケットを用いる落橋防止構造
図7.5.5 橋台部落橋防止構造例(3)
※ 突起形式の採用にあたっては、橋座周りの維持管理などに十分配慮し選定を行うものとする。ま
た、下部工に突起を設ける場合、橋座幅が必要以上の幅(S、SE以上の幅)を要する場合もあ
るため十分な検討が必要である。
3-7-57 【H25.04改訂】
鋼 橋
PC橋
鋼 橋
δ:落橋防止構造の設計遊間量
a)2連の上部構造を相互に連結する落橋防止構造
b)橋脚と上部構造を連結する落橋防止構造
図7.5.6 橋脚部落橋防止構造例(1)
※ 2連の上部構造を連結する際には、固有周期差、反力差、構造的取合いによる桁連結の可否につ
いて十分に検討する必要がある。
鋼 橋
PC橋
δ:落橋防止構造の設計遊間量
c)コンクリートブロックを用いる落橋防止構造
図7.5.7 橋脚部落橋防止構造例(2)
鋼 橋
PC橋
δ:落橋防止構造の設計遊間量
d)鋼製ブラケットを用いる落橋防止構造
図7.5.8 橋脚部落橋防止構造例(3)
3-7-58 【H25.04改訂】
図7.5.9 上部工突起による落橋防止構造例
※ 上部工に突起を設ける場合、特に道示Ⅴ 16.1(4)解説文に該当する斜橋・曲線橋に対しては設置
方向に留意する必要がある。
3-7-59 【H25.04改訂】
(4)
横変位拘束構造
横変位拘束構造は、次の構造を標準とする。
1)
上・下部構造を連結する構造
2)
上・下部構造に突起を設ける構造
横変位拘束構造は、式(7.7.6)の設計地震力HSを下回ってはならない。耐力算定にあたっては、
鋼部材の場合においては割増係数1.7を考慮した許容応力度から算出してよい。コンクリート部
材の場合においては、その耐力を用いてよい。
Hs
= PTR
・・・・・・式(7.7.4)
ただし,Hs
≦ 3khRd
ここに、
Hs
:横変位拘束構造の設計地震力 (kN)
PTR
:当該支点を支持する下部構造の橋軸直角方向の水平耐力 (kN)
kh
:レベル1地震動に相当する設計水平震度で,道路橋示方書・同解説Ⅴ耐震設計編
6.3.3の規定による。
Rd
:死荷重反力 (kN)
横変位拘束構造の設計遊間量は、レベル2地震動に対する支承部の橋軸直角方向への変形量に
余裕量を見込んだ値とする。なお,固定条件の場合には、支承部の変形量は零としてよい。また、
横変位拘束構造の遊間量に対する余裕量は、従来の規定を踏襲して一般に15mm程度を目安として
よい。
δ:横変位拘束構造の設計遊間量
a)鋼製ブラケット
b)コンクリートブロック
図7.5.10 突起形式の横変位拘束構造例(橋軸直角方向)
※ 突起形式の採用にあたっては、橋座周りの維持管理などに十分配慮し選定を行うものとする。
a)アンカーバー(橋軸直角方向)
図7.5.11 アンカーバー形式の横変位拘束構造例(橋軸直角方向)
※ アンカーバーの設置位置は、全主桁または全体的にバランスよく取り付けるものとする。
3-7-60 【H25.04改訂】
道示Ⅴ 16.1(4)解説文に該当する斜橋・曲線橋に横変位拘束構造を設置する場合には、桁の逸脱方
向に横変位拘束構造を設置するものとする。
図7.5.12 斜橋の横変位拘束構造設置例
図7.5.13 曲線橋の横変位拘束構造設置例
3-7-61 【H25.04改訂】
7.6 橋梁維持・管理用施設
7.6.1 一
般
橋の点検・維持・補修・改良の作業を容易にするため、橋の規模、型式及び架橋位置の条件などを考慮し
て、維持管理用施設を設けるものとする。
【解
説】
最近自動車保有台数の増加、重車両交通の増加などによって、点検・補修・改良などの回数も増大し
ている。点検・補修・改良の作業を容易にするため、また、橋の現況を正確に把握するためにも、橋の
各部に容易に行けるような構造とする。
7.6.2 橋梁用検査路
(1)
橋梁用検査路は、地表または路面、あるいは下部工から容易に橋梁本体、床版下面、支承、排水
装置等の各部に行くことができ、点検と維持・補修作業ができる構造とする。
(2)
【解
検査路の設計条件等については、
「道路橋検査路設置要領(案)H24」に準拠する。
説】
橋梁用検査路は、橋台、橋脚、主桁、床版、塗装、支承、排水装置等の点検・保守のために装置する
ものであり、検査路は、上部構造検査路、下部構造検査路、昇降設備の3種類からなっている。検査路、
昇降梯子、手摺、取付部材は、原則として、全て溶融亜鉛メッキ処理を行う。
検査路の設計条件や計算方法等については、
「道路橋検査路設置要領(案)H24」に準拠する。
なお、検査路の設計基準および種類別設置基準を下記に示す。
(1)
上部構造検査路・下部構造検査路
1)
設置位置は、床版の点検が行ない易い様に走行車線の近い桁間に設置するのが良い。
2)
上部構造検査路、下部構造検査路の有効幅員は、60㎝を標準とする。
3)
床材は、エキスパンドメタルを標準とする。
4)
手摺は高さ110㎝を標準とする。
※鉄道を高架する跨線橋については,全ての主桁間に上部構造検査路を設置するなど,維持管理の
確実性および容易さについて十分な検討を行うこと。
(2)
昇降設備
1)
梯子の幅員は40㎝、ステップの間隔は30㎝を標準とする。
2)
梯子にバスケットを設けることとし、内径は85㎝を標準とする。
3)
降下式
歩道がある場合:マンホール方式(直径60cm)を標準とする。
歩道がない場合:地覆外にステージを設けることを標準とする。
4)
上昇式
梯子の下端は、地表面から2.5mに設置するのを標準とする。
(3)
設計荷重
1)
検査路に作用させる設計活荷重は、3.5kN/m2とする。
2)
橋体を設計する場合は、1)の設計活荷重3.5kN/m2は考慮しないものとする。
3)
橋体を設計する場合は、設計死荷重1.0kN/mを考慮するものとする。
4)
手摺上端に作用させる設計荷重は、水平力0.39kN/m、鉛直力0.59kN/mとする。
3-7-62 【H27.04改訂】
検査路の構造細目については,
「道路橋検査路設置要領(案)H24」を基本とし,エキスパンドメタル仕
様については,下図を参照のこと。
図7.6.1 エキスパンドメタル仕様の構造例
3-7-63 【H26.04改訂】
桁高の高い橋梁の橋台部においては,伸縮装置の下面からの点検や,PC桁橋の端部の定着部等の点検
を容易にするため,上・下部工検査路に加え,桁遊間部に「検査通路」を設けることとする。
検査通路は,桁またはパラペットを切欠くことにより,通路幅を600mm程度確保する。通路高は,800mm
以上確保する。切欠き形状の考え方については,
「北海道における鋼道路橋の設計および施工指針(北海
道土木技術会鋼道路橋研究委員会)
」を参考にするのがよい。
ただし,桁やパラペットの切欠き形状・寸法は,直接輪荷重が載荷することを考慮し決定する。その
600mm程度
800mm以上
結果,通路高800mmの確保が困難な場合は,検査通路は設けないこととする。
図7.6.2 検査通路の設置例(桁を切り欠いた場合)
3-7-64 【H27.04改訂】
7.6.3
維持用装置
維持用装置は、日常の維持点検、塗装作業等のため、作業員の手摺、吊金具、横桁の開孔、箱桁の足場搬
入、搬出および有機溶剤排除等のマンホール、送風管等があるが、作業用として十分安全な構造とすること。
【解
説】
(1)
吊足場用吊金具は、桁高 1.0m程度以上の桁橋、箱桁の全橋に設けるのを標準とする。設置箇所
については各橋梁の架設計画、架橋位置条件等を考慮して決定するものとする。吊り間隔はAタイ
プ 1.8m程度以下、Bタイプ 1.0m程度以下とする。
標準的な形状寸法を用途に分けて以下に示す。また、標準的な取付け位置も合わせて示す。
吊足場用吊金具の取り付け方法は,溶接継手(既設橋の場合は現場溶接も含む)およびボルト接
合のいずれの方法を用いても良い。
Aタイプ :上フランジ下面に付ける標準的なタイプである。但しRC床版打設時の支保工用支に
兼用する場合にはBタイプを用いるものとする。
Bタイプ :塗装及びRC床版打設用吊り金具で、外桁に設置するものである。
また桁高が比較的高い場合は,桁の中段付近に吊金具を設けても良い。
ただし桁中段の吊金具は非常に目立つことから,その採用にあたっては施工性,維持管理性につ
いて十分な検討を行うこと。また、景観性が求められる橋では、桁中断の吊り金具の整備に際して
景観性を十分に考慮すること。
鋼板桁
吊金具取付位置
鋼箱桁
吊金具取付位置
吊金具取付位置
吊金具取付位置
吊金具取付位置
図7.6.3
(2)
吊金具取付位置(寸法単位:㎜)
手摺金具は、耳桁の内面および中桁両面に必要により取り付けることとする。
構造形状は図7.6.2を参考とする。
手摺りの設計荷重は、歩行者自転車用柵(P種)と同程度と考え、W=590N/mとする。また、許容応
力度の割増は1.25(施工時)とする。
図7.6.4
手摺金具(寸法単位:㎜)
3-7-65 【H28.04改訂】
(3)
横桁等横断の困難な箇所に通路用の孔をあけるのを標準とする。箱桁下フランジには足場用の
孔を橋軸方向間隔5~6mで対傾構の位置に設けるのを標準とする。
マンホールの大きさは、維持管理通路用として600×800とするが、桁高が低い場合などの構造上
無理な場合は可能な大きさとする。
なお、開孔部は十分に補強するものとする。(図7.6.5、図7.6.6)
600以上
600以上
600
手摺 φ19
830
800
800以上
800以上
R
50
4
20
20
630
670
4-PL 100x9x670
4-PL 100x9x830
図7.6.5 通路用の開孔(寸法単位:㎜)
600以上
B
60
4
23.5φ
19
800以上
A
100
A
B
23.5φ
ゴム栓
A
図7.6.6 マンホール詳細図(寸法単位:㎜)
(4)
地覆間が分離されている場合、落下物の危険のある箇所では、人が乗っても安全な金網等の構造
にし、こ線部、こ道部では維持管理を考慮したふた構造とする。
なお、参考図を図7.6.7に示す。
図7.6.7 中央分離帯転落防止網の構造
3-7-66
7.7 踏 掛
版 等
7.7.1 踏掛版の設置箇所および版の長さ
車道の踏掛版の設置箇所および版の長さは、橋台型式、盛土高、裏込材料、地盤種類等から表7.7.1の値を
標準とする。
表7.7.1 踏掛版の長さ
地盤の種類
橋台型式
裏込材料
構造物
底面から
下記以外の型式
の盛土高
普 通 地 盤
軟弱地盤
切込砂利、硬岩等
転圧によって細粒
左記以外の材料
すべての材料
化しないもの
盛りこぼし型式
4m未満
LA=5.00m
LA=5.00m
LA=5.00m
4m以上8m未満
LA=5.00m
LA=5.00m
LA=7.00m
8m以上
LA=7.00m
LA=7.00m
LA=7.00m
4m未満
LA=5.00m
LA=5.00m
LA=7.00m
4m以上8m未満
LA=5.00m
LA=7.00m
LA=7.00m
8m以上
LA=7.00m
LA=7.00m
LA=7.00m
歩道の踏掛版の設置箇所は、車道に準じるものとし、長さはLA'=3.00mとする。
【解
説】
(1)
踏掛版は、橋台背面の盛土および路盤沈下による走行性の低下を防ぎ、橋梁本体への衝撃を緩和
し、維持補修費の低減等を計るために設けるものとする。
(2)
軟弱地盤とは、載荷盛土工法、サンドドレン工法、サンドコンパクション工法などの対策工法を
施工する区域を言う。
(3)
地方道については、表7.7.1に該当する箇所は踏掛版を設置し、橋面およびその前後40mは舗装す
ることとする。
3-7-67
7.7.2 踏掛版の設置位置および設置幅
(1)
踏掛版はその上面が路面と平行であり、かつ路面からの位置は表7.7.2を標準とする。
(2)
踏掛版の設置幅(車道W、歩道W’)は次による。
歩道のない場合
歩道のある場合
W =車道幅+路肩幅+2@0.05
(m)
W =車道幅+路肩幅+縁石基礎幅
W’=歩道幅-縁石基礎幅
表7.7.2 踏掛版の路面からの位置
単位:㎜
舗装計画交通量
100以上
250以上
1000以上
(台/日)
250未満
1000未満
3000未満
車道部Tp
70
90
90
110
歩道部Tp'
270
290
290
310
(歩道路盤厚)
(240)
(260)
(260)
(280)
3000以上
歩道路盤厚=Tp’-歩道舗装厚(30㎜)
【解
説】
図7.7.1に歩車道部踏掛版の設置を示す
車道
歩道
360
舗装 t=30mm
Tp
車道部踏掛版
歩道部踏掛版
受台
歩道路盤
発泡系目地(10mm)
図7.7.1 歩車道部踏掛版の設置位置
3-7-68 【H24.04改訂】
7.7.3 踏掛版の設計
踏掛版の設計は、道路橋示方書Ⅳ踏掛版の設計法(案)による。
(1)
使用材料および許容応力度
鉄筋(SD345) σsa=180N/mm2
コンクリート(RC-2-1) σca=8.0N/mm2
(2)
鉄筋の配置
鉄筋のかぶりは70mm以上とする。
引張側主鉄筋、引張側配力鉄筋の間隔は150mm、圧縮側鉄筋の間隔は300mm程度とする。
引張側の配力鉄筋は引張主鉄筋の1/4以上とする。
圧縮側主鉄筋は引張主鉄筋の1/3以上とし、配力鉄筋は引張側の1/2程度とする。
(3)
踏掛版の構造寸法および鉄筋量は北海道開発局道路設計要領 第6集(標準設計図集)による。
ただし、構造上、舗装厚が厚くなったり、踏掛版の上に路盤材が設置される場合などは、別途、
道路橋示方書(Ⅳ下部構造編 p.611
5.踏掛版の設計法(案)を参考に設計し、構造寸法およ
び鉄筋量を適切に決定しなければならない。
【解
説】
表7.7.3に第6集(標準設計図集)の踏掛版応力度を示す。
表7.7.3 踏掛版応力度
(SD345, σck=24N/mm2)
踏
掛
版
長
舗 装 計 画 交 通 量 (台/日)
設
舗
計
支
L(m)
250未満 3000未満
3.50
3.50
L0= 7,000(m)
3000以上
3.50
100以上
250以上
250未満 3000未満
4.90
4.90
3000以上
4.90
70
90
110
70
90
110
370
370
370
440
440
440
W(kN/㎡)
10.86
11.32
11.78
12.61
13.07
13.53
死荷重モーメント
MP(kN・m/m)
16.63
17.33
18.04
37.85
39.23
40.61
活荷重モーメント
ML(kN・m/m)
81.15
80.66
80.17
122.31
121.79
121.28
97.78
97.99
98.21
160.16
161.02
161.89
版
H(㎜)
設 計 モ ー メ ン ト MP+ML(kN・m/m)
最大モーメント
主
応
250以上
厚
掛
死 荷 重 強 度
配
100以上
厚 Tp(㎜)
踏
装
間
L0= 5,000(m)
さ
鉄
力
筋
鉄
力
筋
度
許 容 応 力 度
M
(kN・m/m)
98.21
161.89
上筋
D19@300
D22@300
下筋
D22@150
D25@150
上筋
D16@300
D16@300
下筋
D16@150
D16@150
σc
σs
σca
σsa
(N/㎜2)
(N/㎜2)
7.5
7.5
164
165
8.0
8.0
180
180
3-7-69 【H25.04改訂】
7.7.4 斜角を有する踏掛版
(1)
斜角を有する場合の運用
1)
2)
斜角75°以上90°未満の場合には標準図を変形させ、そのまま用いるものとする。
斜角60°程度未満の場合や広幅員の場合は、踏掛版を、バチ形とするか、またはすり付け版を
設けるのが望ましい。(図7.7.2)
(2)
構造および設計条件
1)
斜角を有する踏掛版の設計支間は、図7.7.3に示すLの70%とする。
2)
主鉄筋の配置は橋軸方向と一致させる。
3)
斜角60°以上75°未満の場合、引張鉄筋側の配力筋は、引張主鉄筋の2/3程度、圧縮鉄筋側の
配力筋は引張側配力筋の1/2程度とする。
4)
斜角60°未満の場合には受台側斜版鈍角部の上側に引張主鉄筋と同量の鉄筋を配置し、鉄筋を
配置する範囲は橋軸方向、橋軸直角方向ともに支間の1/5とする。
橋
すり付
RC版
踏掛版
θ=60°以上
図7.7.2 すり付版の設置例
橋軸方向
L=5.0mまたは7.0m
L
図7.7.3 鉄筋の配筋方向
3-7-70
参考資料
① すり付け版(短辺)の最低長⇒舗装設計便覧(平成18年2月)P.207~ 3.00m以上
② 踏掛版とすり付け版との連結⇒タイバーD29×700 @ 400
③ すり付け版の設計⇒踏掛版と同様
・ 一般国道:有効幅員8.5m(1.0+3.25+3.25+1.0)
、斜角45°の場合
タイバ-
D29×700 @ 400
4 5°
6593
60°
4 5°
7000
20@400=8000
3000
8500
7000
・ 高規格道路:有効幅員10.5m(1.75+3.50+3.50+1.75)
、斜角45°の場合
※すり付け版の長辺側延長が7.0以上と踏掛版の延長より長くなるが、長辺側で計算して問題なければよ
い。
タイバ-
D29×700 @ 400
°
60
4 5°
45°
7000
7438
3-7-71 【H22.04改訂】
25@400=10000
3000
10500
7000
7.7.5 橋台背面処理
(1)
盛土(裏込め)材料
橋台背面の盛土(裏込め)は、特に良質で十分締め固められる材料を用いるものとする。
(2)
排水処理
橋台背面には、水の浸透による背面土圧の増大、静水圧の増加等に対処するため、侵入した水
は、適当な方法によって排水しなければならない。
排水方法は次によるのを標準とする。
1)
2)
橋台壁面には、集水用フィルター層及び排水孔を設けるものとする。
橋台背面の盛土(裏込め)材料内に浸透水が多いと予想される場合は、必要の程度により縦横
あるいは層状に排水溝を設け、すみやかに橋台背面の路体外に排水するものとする。
止むを得ず橋台前面またはウイング前面に排水する場合は、壁面排水孔が閉塞しないよう十
分な処理を行なうものとする。
3)
橋台背面に多量の出水または流水路がある場合は適当な集水管により、適切に排水を図るも
のとする。
4)
橋台が河川築堤内に設けられる場合は、築堤断面内は築堤盛土材料と同一の材料で築造また
は埋め戻すものとし、排水処理は築堤断面外のスペースでかつ築堤に有害な影響を与えない方
法によらなければならない。
【解
説】
橋台背面排水処理は、道路構造、地形条件、浸透水等の程度などにより多様なものであるが、一般に
は次によるのを標準とする。
盛土中
切盛土界
原地盤
1 フィルター 層
3
切込材料
φ80mm 級
集水溝または 排水溝
1:0.3
0.30
排水 孔
排水管
1:1
有孔・無孔又は
ドレーンパイプ
掘
削
面
2
ビニールシート
t=0.17mm
w=0.9m 程度
0.20
φ100mm 程度
0.30
注) ①②③を設置する水平方向間隔は、
2m程度を標準とする。
図7.7.4 橋台背面排水処理図
図7.7.5 集水・排水溝の例
3-7-72
(1)
フィルター層
1)
材料は合成繊維質フィルター材を用いるのを標準とする。
2)
設置間隔は排水孔に十分集水できる程度とする。
(2)
1)
2)
排 水 孔
材料はプラスチックパイプ(VP管)φ100㎜程度を標準とする。
設置位置は排水が良好に行われる高さで、しばしば閉塞する恐れのない高さに1段を標準とす
る。
(3)
1)
集水溝または排水溝(必要により設ける場合)
形状寸法及び材料は、道路工事設計基準の地下排水(路床排水及びしゃ断式盲暗渠工)の規程に
準ずるものとする。
2)
設置位置は、湧水まはた浸透水をすみやかに排水できるよう湧水箇所、切盛土界、または縦横
あるいは層状に設けるものとする。数段層状に設ける場合は、相互の集水範囲を考慮して定める
ものとする。
3)
多量の出水のまたは流水路がある場合は別途考慮のこと。
(「道路設計施工要領 第1集 道路
6.5集水枡 (5)橋台付近の排水」参照)
3-7-73
7.7.6
橋台ウイング(擁壁)端部の排水処理
橋台ウイング(擁壁)端部の盛土巻き込み部において、豪雨時に路面の流水が集中し崩壊、流出している
事例がある。特に歩道部のない道路盛土に被害が多い。
一般的に橋梁は、道路縦断の凹部に計画させることが多いため、流水が集中する。
これより以下の対策例を参考にして、排水処理に十分留意するものとする。
(1)
(2)
橋台ウイング(擁壁)端部で排水桝を設置し、盛土巻き込み部への流水を防止する。
盛土巻き込み部の法面保護工は、桁下空間高さ、橋梁幅員等の条件を考慮し、適切な工法を採
用するものとする。
(3)
歩道部のない道路の場合は、導水縁石(アスカーブ)をウィング端部に接続し、路面流水が盛
土巻き込み部へ流れないようにする。
(4)
盛土巻き込み部の転圧を十分に行い、侵食防止のため植生工等または、法面保護工を施工する。
必要に応じ、洗掘防止の為の蛇篭等の設置を計画する。
橋台付近の排水(例)
注) 縦断線形
①
終点側に下り:集水桝(導水水抜)設置
②
終点側に上り:集水桝(導水水抜)設置せず
図7.7.6 橋台附近の排水
3-7-74
7.8 落下物防止柵他
7.8.1 種
類
本章で扱う施設は以下の4種類である。
(1)
落下物防止柵 (鉄道部)
:鉄道を跨ぐ跨線橋に設置する。
(2)
落下物防止柵 (道路部)
:道路(民家)跨ぐ、あるいは跨道橋(高架橋)に設置する。
(3)
飛雪防止柵
:除雪による本線、一般道路、その他への被害を防止するために設置す
る。
(4)
【解
遮音壁
:騒音対策のために設置する。
説】
本章で扱う施設はすべて橋梁路面外に対する安全のために設置するものである。これらの施設の設置
高さは路面から、鉄道部用落下物防止柵は3.0m、道路用落下物防止柵は2.0m、飛雪防止柵は2.5mとする
が、鉄道部用落下物防止柵は鉄道管理者との協議により決定するものとする。また、遮音壁については
設置箇所の周辺状況を勘案して設置高さを決定するものとする。
7.8.2 設置箇所
(1)
落下物防止柵(鉄道部)の設置箇所
イ) 鉄道を跨ぐ、あるいは近接する区間。
(2)
落下物防止柵(道路部)の設置箇所
イ) 高規格道路または一般道路を跨ぐ、あるいは近接する区間。
ロ) 民家を跨ぐ、あるいは近接する区間。
ハ) その他、特に必要と認められる区間。
(3)
飛雪防止柵の設置箇所
イ)
(2)の設置箇所と同様であるが、採用に際しては積雪量、除雪方法を考慮して決定するものと
する。
ロ) 鉄道部は飛雪の影響を考慮しない。
(4)
遮音壁の設置箇所
イ) 騒音対策が必要と認められる箇所に設置する。
なお、(1)~(3)の各防止柵を兼ねてよい。
【解
説】
飛雪防止用柵は、交通量の多い主要道路を横架したり、民家に平行隣接する橋梁、高架、ボックスカ
ルバートの除雪作業に伴い、交通機関、人家に損害を与える恐れがある箇所に設置することとする。
(2)における「近接区間」は、表7.8.1および図7.8.1を参考に判定すると良い。
3-7-75
表7.8.1 近接区間の判定表
H(m)
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
22
24
26
28
30
d(m)
4
5
5
6
6
7
7
8
8
8
8
9
9
9
9
H :対象施設の基面から高速道路等の路面までの高低差(m)
d :高速道路等の端から対象施設の端までの距離(m)
上表に示す距離d(m)以下の場合、
「近接区間」と判定する。
d
(鉄道、主要道路あるいは人家)
(道路等)
d
H
15°
(道路等)
(鉄道、主要道路あるいは人家)
手前余裕部分
近接区間
落下物防止柵延長区間
図7.8.1 近接区間の判定方法
3-7-76
7.8.3 設置範囲
各防止柵の設置範囲は以下のとおりとする。
(1)
落下物防止柵(鉄道部) :交差幅+両側余裕幅
(2)
落下物防止柵(道路部) :交差幅+手前余裕幅(解説参照)
(3)
飛雪防止柵
:交差幅+手前余裕幅+後方余裕幅
手前余裕幅は(2)に同様とする。また後方余裕幅は9m程度とする。
(4)
:騒音対策が必要と認められる範囲
説】
(1)~(4)の施設は一般に地覆、防護柵等に取り付けられ、その設置範囲も一定の長さ以上のものとな
る。よって、設置計画に際しては本線利用者の走行性、快適性を損なわないこと、および本線外からの
違和感を感じさせない等の配慮が必要である。
なお、交差幅とは交差道路幅をいい、(1)の「両側余裕」とは、交差幅の両側に手前余裕幅を設置する
ことを意味する。
手前余裕幅Lは次式によるものとする。
L
=V0
2(H+3)/g・ (cos15°+sin15°/tanα)
ただし、α=90°の場合 L=V0
ここに、
V0
2(H+3)/g・ cos15°
: 落下物の路外逸脱速度
Vo = 0.133V(m/s)
V
= 60(km/h)の場合、
Vo = 8.0(m/s)
V
= 80(km/h)の場合、
Vo =11.0(m/s)
V : 設計速度(km/h)
H : 対象施設の基面から本線道路等の路面までの高低差(m)
α : 対象施設と本線道路等の交差角度
(但し、近接する区間はα=90°として良い。)
g : 重力加速度(9.8m/s2)
落下物防止柵設置延長
(道路等)
手前余裕部分
H
【解
遮音壁
(道路等)
α°
15°
(鉄道あるいは主要道路)
図7.8.2 落下物防止柵等の設置範囲
3-7-77
7.8.4 設置荷重条件
使用箇所別に以下の荷重設計条件によるものとする。
(1)
落下物防止柵(鉄道部)
(外側より)
イ) 風荷重(3.0kN/m2)とする。
ロ) 路面より3.00mの高さに重量3kNの積み荷が速度60km/hで
防止柵に15°の角度で水平に衝突したものとする。
(内側より)
(2)
落下物防止柵(道路部)
イ) 風荷重(3.0kN /m2)のみとする。
(外側より)
(3)
飛雪防止柵
イ) 風荷重(3.0kN /m2)とする。
(外側より)
(内側より)
ロ) 飛雪荷重(3.0kN /m2)とする。
(4)
遮音壁
イ) 風荷重(3.0kN /m2)とする。
(外側より)
ロ) (1)~(3)を兼ねる場合は各々の設計荷重条件とする。
【解
説】
橋梁上部工、下部工および付属物の設計において、土地の状況等により将来、周辺施設の整備により
(1)~(4)が必要となる可能性がある場合は当該設計荷重を見込むものとする。
各防止柵の構造詳細については、
「道路工事標準設計図集」を参照すること。
3-7-78
7.9 はく落防止対策
7.9.1
一般
はく落防止対策は,橋梁を構成するコンクリート部材の一部が落下して第三者に与える被害を予防するこ
とを目的とする。
【解
説】
本項に基づく措置は,コンクリート部材の一部が落下することによる第三者被害の重大性に鑑み,橋梁に
対してこの予防策を講じることにより第三者被害の軽減を図ることを目的に実施する。
このため本項での対策は,コンクリート部材の一部(コンクリート片)の落下防止を対象としている。
したがって,塩害やアルカリ骨材反応によってコンクリート部材全体が著しい損傷を受けて全面的な落下
防止対策等が必要な場合は,別途対策を検討する必要がある。
はく落防止対策を計画する上での調査方法や適応範囲については「橋梁における第三者被害予防措置要領
(案) 国土交通省 道路局 国道・防災課」
(以下,第三者被害予防措置要領)を参考にするのがよい。
7.9.2
適用範囲
適用範囲は,コンクリート部材の一部が落下する可能性のある全ての部位とする。
【解
説】
対象橋梁は,
① 桁下を道路が交差する場合
② 桁下を鉄道が交差する場合
③ 桁下を公園あるいは駐車場として使用している場合
④ 近接して側道又は他の道路が併行する場合
等,第三者被害の危険性が想定される橋梁とする。
はく落防止対策は,コンクリート部材の一部が落下する可能性のある全ての部位とし,適応範囲は第三者
被害予防措置要領の「付録-Ⅰ 第三者被害を予防するための点検対象範囲」と同じ範囲とする。
図7.9.1 道路橋概要図
3-7-79 【H28.04改訂】
第三者被害予防措置要領 「付録-Ⅰ 第三者被害を予防するための点検対象範囲」より
1.調査対象とする橋梁
調査対象とする橋梁は、本文1、解説に記載の、
① 桁下を道路が交差する場合
② 桁下を鉄道が交差する場合
③ 桁下を公園あるいは駐車場として使用している場合
④ 近接して側道又は他の道路が並行する場合
等、第三者被害の可能性がある橋梁とする。
2.措置対象範囲の標準
措置帯対象範囲は、以下の図に示す・・・・線範囲を標準とする。
(1) 交差物件が道路、鉄道などの場合。
①下部工前面が俯角75°より離れている場合
②下部工前面が俯角75°の範囲に入る場合
上部工端部までの
下部工前面の上部
3-7-80 【H28.04改訂】
(2)交差物件が河川などの場合
* 河川内で高水敷が河川公園等で第三者が立ち入る可能性がある場合の措置範囲は
b又は水際線、b又は水際線から75°範囲内の上部工とする。
* 下部工については(1)の①及び②と同様の考え方とする。
(3)並行条件の場合
① 並行する物件(道路等)から俯角75°より離れている場合
点検対象なし
3-7-81 【H28.04改訂】
② 並行する物件(道路等)から俯角75°の範囲に入る場合
○ ケース1
○ケース2
3-7-82 【H28.04改訂】
○ケース3
○ ケース4
3-7-83 【H28.04改訂】
7.9.3 はく落防止対策工の選定
(1) 対策工の選定は,対象部材の形状・寸法等に対して,経済性,施工性,維持管理性等を考慮し決定す
る。
(2) 既設部材に対するはく落防止対策は,コンクリート部材の損傷状況を把握し,必要に応じて補修対策
を行った上ではく落防止対策を実施する。
【解
説】
(1) はく落防止対策工は,短繊維を混入した繊維補強コンクリートを用いてはく落を防止する方法と,アラミ
ド繊維などを主材料とする連続繊維シートタイプのものが一般的に用いられている。ただし近年は,新技術・
新工法の開発が進んでいることから,経済性や施工性等を十分に検討の上,対策工を決定する。
また,新設橋と既設橋では仕様や施工方法等が異なることから,対象部材や対象範囲を含め,個々の条件
を考慮した検討が必要である。
(2) 既設橋梁に実施するはく落防止対策工では,既設部材の劣化・損傷状況に応じてひび割れ補修や断面修復
を行う必要があるため,コンクリート部材の損傷状況を十分に把握する必要がある。
3-7-84 【H28.04改訂】