ハワイ州要覧

ハ ワ イ 州 要 覧
在ホノルル総領事館
平成 29 年 2 月現在
1.概況
(1)州総面積:約 16,634 ㎢(東京都の約 7.6 倍)(State of Hawaii Data Book, 2015)
島
オアフ島
ハワイ島
マウイ島
カウアイ島
モロカイ島
ラナイ島
ニイハウ島
面積(平方キロ)
1547.8(東京都の約70%)
10,433.5(東京都の約4.7倍)
1999.4(東京都の約86%)
1430.5(東京都の約65%)
674.5(東京都の約30%)
365.3(東京都の約16%)
175.0(東京都の約8%)
カウアイ島
ニイハウ島
オアフ島
ホノルル
モロカイ島
マウイ島
ラナイ島
20°N
ハワイ島
160°W
155°W
(2)州人口:1,428,557 人(米商務省統計国勢調査局 2016 年推定)
島
ホノルル市郡(オアフ島)
ハワイ郡(ハワイ島)
マウイ郡(マウイ島、モロカイ島、ラナイ島)
カウアイ郡(カウアイ島、ニイハウ島)
人口(人)
998,714
196,428
164,726
71,735
割合(%)
69.8
13.7
11.5
5.0
(State of Hawaii Data Book, 2015)
[人種構成](純枠)(2015 年アメリカン・コミュニティ調査)
白人系:
37.7 万人 (25.4%)
中国系:
フィリピン系: 20.2 万人 (14.4%)
黒人系:
日系:
18.2 万人 (13.0%)
韓国系:
ハワイアン系:
8.7 万人 (6.2%)
サモア系:
5.7 万人
2.9 万人
2.3 万人
1.6 万人
(4.1%)
(2.0%)
(1.6%)
(1.1%)
他
(3)ハワイ小史
7~8 世紀頃
1778 年
1795 年
1868 年
1871 年
1881 年
1885 年
1893 年
1894 年
1898 年
1959 年
ポリネシア人,ハワイに移住
英国のジェームス・クック,ハワイ群島に来航(サンドイッチ諸島と命名)
カメハメハ一世,ハワイ諸島を統一
最初の日本人移民(「元年者」)
日本・ハワイ修好通商条約締結
カラカウア王(ハワイ王国第7代)訪日
「官約移民」始まる。日本領事館がホノルルに開設
ハワイ王朝転覆(リリウオカラニ女王退位,臨時革命政府)
ハワイ共和国樹立
米国領となる
米国 50 番目の州となる
- 1 -
2.政治概況
1959年8月21日,当時のアイゼンハワー大統領の立州宣言等の手続きを経て,50
番目の州として立州した(米国で最も新しい州)。
1900年に米国領となって以来,伝統的にハワイ政界は白人支配層(共和党)による共
和党の地盤が強固であった。しかしながら,第2次世界大戦終了後,日系2世を中心とす
る各民族の青年層は政治・社会改革を目指し,1954年の選挙で民主党の候補者が多数
当選する「流血なき革命」,あるいは,「民主党革命」と呼ばれる現象が生じた。
1954年以降,ハワイ州は「ブルーステート」と称されるように民主党の勢力が圧倒的
である。例えば,現在のイゲ州知事(日系)は民主党である他,ハワイ選出の連邦議員
(4名)は全て民主党(うち2名は日系)である。
ハワイ州議会は日本と同様に二院制をとっているが,州上院25議員全員が民主党選出,
州下院51議員の内の45議員が同じく民主党選出と,州議会も民主党の勢力が圧倒的で
ある。
なお,2012年12月のイノウエ連邦上院議員(大統領継承順位第3位である上院議長
代行兼歳出委員長)逝去したが,ハワイ選出の4連邦議員は何れも連邦議会での在任期間
が浅く,イノウエ議員の死去に伴う影響,とりわけ,連邦予算の獲得等の問題を克服する
までには,今暫く時間を要するものと思われる。
(1)主な公選職者
ア. 州政府・議会
・知事(任期 4 年) David Ige
(民主党)2014 年 11 月選出, 12 月就任
・副知事(任期 4 年)Shan Tsutsui
(民主党)2014 年 11 月選出, 12 月就任
・上院議長
Ronald D. Kouchi(民主党)2015 年 5 月選出
・下院議長
Joseph Souki
(民主党)2013 年 1 月選出
任期
上院(4年)
定員
25(10)
民主
25(10)
共和
0(0)
下院(2年)
51(18)
45(17)
6(1)
※
イ. 市・郡長
・ホノルル市長
・ハワイ郡長
・マウイ郡長
・カウアイ郡長
()内は日系と思われる、姓による推計。
Kirk Caldwell(任期 4 年)
Harry Kim(任期 4 年)
Alan Arakawa(任期 4 年)
Bernard Carvalho(任期 4 年)
2016 年 11 月再選
2016 年 8 月選出,2016 年 12 月就任
2014 年 11 月再選
2014 年 11 月再選
ウ. 連邦議員
・上院(任期 6 年)
Brian Schatz(注)(民主党)2012 年 12 月知事により指名,就任(2016 年 11 月再選)
(注)2014 年の中間選挙の際の特別選挙で 2017 年 1 月までの故イノウエ議員の残任期を務める。
Mazie Hirono(民主党)2012 年 11 月選出,2013 年 1 月就任(福島県生まれ,女性)
・下院 (任期 2 年)
Colleen Hanabusa (民主党)2016 年 11 月当選,同月就任(日系,女性)
Tulsi Gabbard(民主党)2012 年 11 月初当選,2013 年 1 月就任(ヒンズー教徒,米
領サモア生まれ,女性)(2016 年 11 月再選)
(2) 軍事
ア. 米統合軍の中でも最大規模を誇る米太平洋軍の司令部(U.S.Pacific Command:USPACO
M)がオアフ島のキャンプ・スミスに置かれている。同軍は,米国西海岸から太平洋及
びインド洋の大部分並びに北極から南極に至る地球の約 50%(1 億平方マイル)を占
める広大な地域を管轄している。在日米軍も同司令部の指揮下にある。
- 2 -
・太平洋軍(PACOM)
・太平洋艦隊 (PACFLT)
・太平洋空軍 (PACAF)
・太平洋陸軍 (USARPAC)
・太平洋海兵隊(MARFORPAC)
司令官
司令官
司令官
司令官
司令官
Harry B. Harris Jr.
Scott Swift
Terrence J. O’shaughnessy
Robert B. Brown
David H. Berger
海軍大将
海軍大将
空軍大将
陸軍大将
海兵隊中将
イ.ハワイ州における米軍による支出は,州総支出の 18%超に当たる約 122 億ドルに
達しており,また,軍人・軍属計約 7 万 5 千人がハワイ州に居住しているなど,軍と
ハワイ州とは,密接な関係にある。(出所:2009 年ランド研究所)
3.経済概況 (出所:ハワイ州産業経済開発観光局)
州経済は,主力の観光業に加え,不動産業や建設業が拡大基調を強め,穏やかな成長を継続
している。実質経済成長率はここ数年間プラスを持続している一方,原油安を背景にインフ
レ率が抑えられている。特に労働市場が堅調で,失業率は全米平均を大きく下回っている。
(1)州総生産 797 億 4500 万ドル(2015 年)
ア. 観光関連産業(州最大の産業)来訪観光客総支出額
観光客数 894 万 1394 人(2016 年)
イ. 建設業 建設完成工事高 81 億ドル(2015 年)
ウ. 農業
生産高 7.2 億ドル(2012 年)
出典:ハワイ州産業経済開発観光局
(2)州経済成長率等(2015 年)
ア. 名目成長率
イ. 実質成長率
ウ. 実質個人所得伸び率
エ. 消費者物価上昇率(ホノルル)
156.11 億ドル(2016 年)
出典:ハワイ州産業経済開発観光局
4.3%
1.7%
3.8%
1.0%
(3)ハワイ州年間予算:121 億ドル(2014/15 会計年度)
(4)州の経済問題
・住宅不足及び高い住宅価格(厳しい土地利用政策に起因する住宅供給不足が継続)
- 3 -
・殆どの物資(消費物資の約8割)を州外からの輸入に依存する為、民間統計によ
れば,全米主要都市のうち,ホノルルはニューヨーク(マンハッタン及びブルッ
クリン)に次ぎ物価が高い。(特に、ガソリン代や、電力の殆どが輸入石油によ
る火力発電の為,電気料金等全米一)
・農業(砂糖、パイナップル中心)の衰退,製造業の未発達もあり,州経済は観光
関連産業及び軍事関連支出に大きく依存。
2.80%
2.60%
2.40%
2.20%
2.00%
1.80%
1.60%
1.40%
1.20%
1.00%
ハワイ州実質経済成長率
2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
ハワイ州 2.10%
1.80%
1.70%
1.90%
2.70%
2.00%
全米平均 2.20%
1.60%
2.50%
1.80%
2.40%
2.40%
出典:ハワイ州産業経済開発観光局
出典:米労働省労働統計局/ハワイ州産業経済開発観光局
出典:米労働省労働統計局/ハワイ州産業経済開発観光局
- 4 -
【参考】ハワイの不動産事情
ハワイの不動産はここ数年間高騰を続けている。特にオアフ島では,在庫不足と低金利環境が住宅需要
を押し上げ,一戸建ての中間販売価格は過去最高の 73 万ドル(2016 年)を超える水準に達している。
出典:ホノルル不動産業者協会/米国勢調査局
【参考】ハワイのホームレス人口
ハワイでは,住民 1 万人当たりの比率では 53 人(全米の比率は 17 人)と,全米 50 州の中で最大。他州
ではホームレス人口が減少傾向にあるが,ハワイでは,2010 年以降,増加傾向。
出典:米連邦住宅都市開発省
- 5 -
【参考】ハワイのエネルギー事情
ハワイ州は,2045 年までに再生可能エネルギー発電の割合を 100%に到達させる野心的な法律を成立さ
せた。ハワイ州では,すでに 2008 年に開始した「ハワイ・クリーンエネルギー・イニシアチブ」のも
とで再生可能エネルギー導入拡大に取り組んできたが,州レベルで再生可能エネルギー100%政策目標
とするのは,全米でも初の試みとなる。
出典:ハワイ州産業経済開発観光局
- 6 -
【参考】 ハワイの新交通システム
ホノルル市は,年々悪化する交通渋滞の解消に向け,2005 年にオアフ島西部カポレイからアラモアナ
までを結ぶ区間に鉄道システムを開発する計画を打ち出したが,工期の遅れや建設コストの増大に見舞
われている。総事業費は当初 46 億ドル程度になると予測されていたが,今では 100 億ドルに達すると
もされており,財源不足のためルートの短縮も検討されている。鉄道車両の製造は,日立が買収したフ
ィンメカニカ(イタリア)傘下の鉄道車両事業アンサルド・ブレダとアンサルド STS の合弁企業である
アンサルド・ホノルルが行っている。
ホノルル鉄道事業
総事業費
ホノルル市の予測:52 億ドル/連邦政府の予測:81 億ドル~10 億ドル
開業時期
一部区間(カポレイ~アロハスタジアム)は 2020 年,全区間は 2025 年の予定。
財源
トランジット・タックスの税収及び連邦補助金
車両技術
鉄道方式
ルート
カポレイ~アラモアナ(カポレイ~ミドルストリートまでに短縮する可能性有。)
駅の設定
1 マイル毎に一駅,合計 21 駅
運賃
片道 2 ドル
収容能力
1 時間 6000 人
車両数
80 両
【参考】ハワイの平均寿命
ハワイは全米の中で平均寿命が最も長い州とされている。年間を通じて温暖な気候に恵まれていること,
アジア系の人種が多いこと,肥満率や喫煙率が低いこと,健康保険の加入率が高いことなどが影響してい
るとみられている。
ハワイの平均寿命
90歳
85歳
80歳
75歳
70歳
65歳
60歳
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
ハワイ
80
80
81
81
81
81
全米平均
79
79
79
79
79
79
日本
82
82
83
83
83
83
出典:世界銀行/米疾病対策センター
- 7 -
4.日本との関係(総論)
(1)概観
ハワイには明治時代から多くの移民が砂糖きびプランテーションの労働不足を補うために
来訪し,20 世紀初期には全人口の約 4 割を占め,現在では 2 割を切る程度であるが,観光
客が年間 150 万人を超えるなど日本とは深めるに至った関係を維持・発展させている。
1941 年 12 月 7 日(ハワイ時間)に真珠湾攻撃が行われた際には,一部の日系指導者が収容
・隔離され,また,大戦当初は日系人の戦線への投入は控えられたが,やがて,米陸軍に
おいて日系二世が中心となる日系人部隊が編成され,ヨーロッパ戦線(第 442 連隊戦闘団,
第 100 歩兵大隊)や,一部は太平洋戦線(MIS:アメリカ陸軍情報部)に投入され輝かしい貢献
を行った。戦後のハワイ政治・社会の変革や経済発展においても日系人の活躍抜きには語
れず,日ハワイ関係の強化に多大な貢献を行ってきた。特に故ダニエル・イノウエ(Daniel
K. Inouye)上院議員やジョージ・アリヨシ(George R. Ariyoshi)元ハワイ州知事などの日
系二世の政治指導者の活躍が知られるが,現在においても,デイヴィッド・イゲ(David Y.
Ige)現ハワイ州知事をはじめ多くの日系人(三世,四世)が,政治・経済界の主要ポストで
活躍している。このような日系移民の歴史に加えて,最近では,米太平洋軍の極東での存
在感の高まりに伴い,日ハワイ関係は政治,安全保障,経済,社会,文化のそれぞれの面
で特別に深い関係を築いてきている。
(2)安倍総理のハワイ訪問(2016 年 12 月 26 日・27 日)
長い歴史を有し,緊密かつ友好的な日本とハワイの関係を,イゲ知事は「友人」以上の
「家族」のような関係と比喩しているが,その関係にさらなる弾みをつけたのが,昨年 12
月の安倍総理のハワイ訪問であった。2016 年は真珠湾攻撃 75 周年という特別な年であり,
12 月 7 日(当地時間)に真珠湾において大規模な記念式典が開催され,アリゾナ記念館に
おいて多くの方々が慰霊のための献花を行なった。同月 27 日に,安倍総理とオバマ大統領
は,オバマ大統領就任期間の協力関係を締め括る総括的な二国間首脳会談を開催した後,
アリゾナ記念館において慰霊の献花を捧げ,12 月 7 日に記念式典が開催された同じ場所で
両首脳によるステートメントを行った。安倍総理は,激しく戦った日米をこれほどまで緊
密な同盟国にまで至らしめた「和解の力」の重要性を強調されるなど,この訪問は歴史に
残るものであった。また,この総理訪問は,真珠湾攻撃で亡くなられた方々の慰霊,日米
の和解と現在の大変良好な両国関係を確認をするとともに,ハワイに移住してきた一世,
戦争により二つの祖国に引き裂かれながら母国アメリカに忠誠を尽くし戦後のハワイ政治
・経済・社会の構築と良好な日ハワイ及び日米関係に尽くした二世,そして,そのレガシ
ーを受け継ぎ日ハワイ関係強化に取り組んでいる日系人全員を含めた,ハワイの人達に対
し明確なメッセージを伝えるものでもあり,日ハワイ関係及びハワイの日系人の歴史にと
っても歴史的な意義ある訪問となった。
【参考 1:総理主な日程】
・12 月 26 日(月曜日)
国立太平洋記念墓地訪問
マキキ日本人墓地訪問
えひめ丸慰霊碑訪問
飯田房太中佐記念碑訪問
米国防総省捕虜・行方不明者調査局(DPAA)訪問
日系人との夕食会
・12 月 27 日(火曜日)
真珠湾ビジターセンター訪問
日米首脳会談
アリゾナ記念館訪問
日米両首脳によるステートメント
(注)詳細日程:http://www.mofa.go.jp/mofaj/na/na1/us/page3_001940.html
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【参考 2:総理のステートメントからの引用】
「『パールハーバー』から75年。歴史に残る激しい戦争を戦った日本と米国は、歴史にまれな、深く、
強く結ばれた同盟国となりました。それは、いままでにもまして、世界を覆う幾多の困難に、共に立ち
向かう同盟です。明日を拓く、『希望の同盟』です。私たちを結びつけたものは、寛容の心がもたらし
た、the power of reconciliation、『和解の力』です。」
(注)両首脳ステートメント:http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2016/1227usa.html
5.日本との関係(各論)
(1)日系人
・ 日系人(1900 年にはハワイ州全人口の 39.7%となり,1930 年には 42.7%,1940 年(第
2 次大戦前最後)国勢調査では 37%)
・ 現在では,日系人人口は 18.2 万人。(オアフ島約 15 万人,ハワイ島約 1.8 万人,
マウイ島約 1.1 万人,カウアイ島約 6750 人)(2015 年アメリカン・コミュニティー
調査)
・ 混血を含む日系人の人口は,ハワイ州内では 31.2 万人で,全米日系人(純・混血)
約 130 万人の 24%を占める。(2010 年国勢調査)
・ 主な日系人団体として,ハワイ日系人連合協会,ハワイ沖縄連合会,ホノルル日本
人商工会議所及び同青年商工会・議所,ハワイ日本文化センター(JCCH),日米協
会ハワイ支部(JASH)等がある。
・ 2018 年は最初の移民(1968 年の「元年者」)から 150 周年に当たる。
【参考】日本人移民の歴史
1868 年
1885 年~1894 年
1894 年~1924 年
「元年者」(最初の移民)
153 名
官約移民(ハワイ王朝と明治政府取極に基づく)29,069 名
私約移民(1894~1900)
189,349 名
自由移民(1900~1907)
呼寄移民(1908~1924)
(2)在留邦人
ア. 在留邦人数:
21,979 人(2016 年 10 月 1 日現在)
〔内訳〕長期滞在者 6,703 人 永住者 15,276 人
イ. 百歳以上の邦人高齢者数:51 人(2016 年 9 月 1 日現在)
〔海外全体の百歳以上の邦人高齢者数:215 人〕
ウ. ホノルル補習授業校(レインボー学園): 生徒数 610 人(2017 年 1 月 17 日現在)
〔内訳〕:幼 133 人、小 397 人、中 80 人
(3)日本との政治交流
2013 年に自由民主党参議院日・ハワイ友好議連が組織され,これまで都合 4 回の相互交流
を重ねてきている。直近では,2016 年 8 月に 4 回目の日ハワイ双方の議連による合同会議
がホノルルで開催された。2014 年には自由民主党参議院と同様の枠組みである自由民主党
衆議院日・ハワイ友好議連が組織されたが,現在のところ地方自治体を対象とする議連は
ハワイ州とカリフォリニア州の2つのみである。
(4)安全保障
ハワイ州オアフ島に所在する米太平洋軍は,東西は太平洋からインド洋,北は北極から
南極までの広大な範囲を担当し,在日米軍を含む全域の米軍を統括している。近年,東
アジア地域の安全保障の重要性が高まる中,我が国自衛隊と米太平洋軍司令部との関係
が益々緊密かつ重要となっており,相互交流は急速に深まっている。現在,太平洋軍司
令部及び陸海空・海兵隊の各司令部には合計 9 名の自衛隊交換幹部及び連絡官が配置さ
れ,また,幹部同士の往来,艦船の寄港も頻繁に行われている。
- 9 -
【参考】過去一年の自衛隊主要艦船の寄港(特に記載がない限り寄港地は真珠湾)
2016 年 2 月
潜水艦「けんりゅう」
2016 年 6 月
練習艦「かしま」,同「あさぎり」,護衛艦「せとゆき」
2016 年 7 月
護衛艦「ひゅうが」,「ちょうかい」
2016 年 8 月
潜水艦「たかしお」
2016 年 11 月 潜水艦「うんりゅう」
(5)経済交流
ア.進出企業(日本人が当地で起業した会社を含む):201 社(2015 年 10 月 1 日現在)
イ. 投資
1980 年代後半から 1991 年までの数年間に日本からハワイへの投資総額は約 110 億
ドルに達し,主な投資先はホテル,リゾート開発,ゴルフ場,コンドミニアム,シ
ョッピングセンター等であった。この結果,例えば日本企業が所有するホテルの総
室数はハワイ州全体の 6 割にも達したが,バブル崩壊と共に日本からハワイへの投
資は激減し,2000 年代前半には,日本企業が所有するホテルの総室数は 15%程度に
まで減少した。2000 年半ば頃より,売却や撤退などいった後ろ向きの傾向は一段落
し,日本人による不動産投資やレストラン・小売店の経営などの動きや,日本企業
による海洋深層水事業開始や,自社専用再保険(キャプティブ保険)会社設立など
の動きが見られた。近年では,カハラホテルやロータス・アット・ダイヤモンドヘ
ッド等,日本企業によるホテルの買収の動きも見え始め,日本企業によるホテル総
室料は 2015 年の時点で 19%にまで回復している他,ゴルフ場の買収も活発化してき
ており,ホアカレイ・ゴルフコースやカパルアプランテーションゴルフコース等,
ハワイを代表する名門ゴルフコースを日本企業が買収している。また,エネルギー
分野での事業進出も目立ち始めており,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NED
O)が 2011 年よりマウイ島で進めているスマートグリッド実証事業に日立製作所が
参画している他,2016 年に入ってからは,豊田通商と東京電力の合弁会社であるユ
ーラスエナジーホールディングズの米国現地法人,ユーラスエナジーアメリカが,
オアフ島西部のワイアナエで発電量 27.6 メガワットの大規模太陽光発電事業に着手
し,また,京セラの米国法人が,オアフ島西部カポレイのハワイ東海インターナシ
ョナルカレッジに 284 キロワットの太陽光発電システムを設置する事業を行ってい
る。さらに,日本人による不動産投資の人気は現在も根強く,2008 年から 2015 年に
かけてハワイの不動産を購入した外国人のうち 38.2%が日本人だった。
ウ. 観光
(ア)日本人観光客数:148 万 8,396 人(出所:ハワイ州観光局、2016 年)
*全観光客(米本土を含む)894 万 1,394 人(同)の約 16.8%を占め,外国人観光客数
では群を抜いて多い。日本人観光客数は,1990 年代後半には 200 万人を突破し全観光
客の約 3 割を占めていた。
(イ)日本人観光客の 1 人 1 日当たり平均消費額: 240.8 ドル(2016 年)
*米国人-西海岸からの観光客: 167.2 ドル,東海岸からの観光客: 201.4 ドル
*平均-194.2 ドル
(ウ)日本・ハワイ間の直行定期便 :1 日 24 便(日によっては 21 便)
(成田⇔ホノルル)JAL 4 便,ANA 2 便,DELTA 2 便,UNITED 1 便,HAWAIIAN 1 便,
CHINA 1 便,大韓航空 1 便
(関西⇔ホノルル)JAL 1 便,DELTA 1 便,HAWAIIAN 1 便
(中部⇔ホノルル)JAL 1 便,DELTA 1 便
(羽田⇔ホノルル)JAL 1 便,ANA 1 便,
HAWAIIAN 2 便(1 便は週 4 便 ホノルル発 月・水・金・日)
(札幌⇔ホノルル)HAWAIIAN 1 便(週 3 便 ホノルル発 火・木・土)
- 10 -
(福岡⇔ホノルル)DELTA 1 便
(羽田⇔コナ)HAWAIIAN 1 便(週 3 便
コナ発
火・木・土)
なお,2016 年 12 月より,ハワイアン航空が羽田⇔コナ便を就航,羽田⇔ホノルル
便も増便された。日本とコナを結ぶ直行便は唯一日本航空により 2010 年 10 月まで
運行されていたが,同社の経営再建計画のもと廃止された経緯がある。
また,現在日本政府と米国政府間で,成田空港及び関西空港におけるプレクリアラ
ンス制度の導入について協議されているところであり,ハワイ州政府はホノルル空
港到着時の混雑解消や空港の運営経費削減につながるほか,訪れる旅行者のホノル
ル空港の印象の改善にもつながることから,同制度の導入を強く支持している。
(エ)ハワイから日本への観光:
ハワイ州からの訪問客という統計がないため,商務省が実施するサンプル調査の結
果から想定すると,2011 年商務省サンプル調査(アンケート形式によるもの)では,
ハワイから日本への訪問は米国全体の 3.1%となっており,2011 年の訪日米国人数
716,000 人(JNTO 統計値)で換算すると約 22,000 人。ちなみにカルフォルニア州
は 14.9%で 107,000 人という結果になるが,州当たりの人口(ハワイ州 1.4 百万人,
カリフォルニア州 37.2 百万人)で比較すると日本訪問人数がそれぞれ 1 万人当た
り 157 人と 29 人となり,ハワイ州がカリフォルニア州の 5 倍強となっている。
エ. 貿易
日本への主な輸出品*:飲料水,タバコ類,食品,農産品,輸送用機器
日本からの主な輸入品:自動車,コンピューター含む工業用機械、食品、鉄鋼、
水産物、飲料水
*生産地ベースの統計ではないので,ハワイ産・製のものとは限らない。
オ. エネルギー分野
上述のマウイ島におけるスマートグリッド実証事業は,2009 年 11 月に日米首脳会議
で合意した『日米クリーン・エネルギー技術協力』の一環として 2010 年 6 月に経済産
業省,米エネルギー省,沖縄県,ハワイ州間で交わされた『沖縄・ハワイ・クリーン
・エネルギー協力に関わる覚書』に基づき,2011 年より,日立等の企業が NEDO(国立
研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実施する「島しょ域スマート
グリッド実証事業(正式名称:Japan U.S. Island Grid Project,プロジェクト呼称
:JUMPSmartMaui)」をハワイ州,ハワイ電力,ハワイ大学,米国国立研究所などと共
同で実施しているもの。
JUMPSmartMaui は,電気自動車(EV)の普及への対応,電力の安定供給,再生可能エ
ネルギーの最大利用の 3 つを基本方針とし,ハワイ州マウイ島において世界最先端の
離島型スマートグリッドを実証するという取り組みで,EV に搭載したバッテリーを利
用し,余剰電力の吸収と再生可能エネルギーの安定化につなげ,デマンドレスポンス
システムの構築等により,化石燃料に依存しないエネルギーインフラを構築する試み。
推進中の実証サイトの運転は,2017 年 2 月まで続けられ,併行してスマートグリッド
の効果の分析・評価,構築されたシステムの経済性評価,島しょ域における低炭素社
会システムのビジネスモデルの構築・検証が行われる予定となっている。その先には,
類似の島しょ域や亜熱帯地域での展開も見据えられている。
なお,沖縄ハワイ・クリーン・エネルギー協力は,沖縄とハワイの地理的条件(離
島),気候条件(亜熱帯~熱帯),エネルギー構造(高い化石燃料依存),再生可能
エネルギーへの積極的な取組等,多くの類似性を有する点で協力していく意義を見出
しており,協力の効果として,環境の類似した両地域でのベストプラクティスの共有
をはじめとしたシナジー効果の発揮,離島における再生可能エネルギー導入・省エネ
促進モデルとしての世界へ向けたショーケース化,日米間の協力の象徴としての沖縄
‐ハワイ協力といった内容を掲げている。これら協力を具現化するタスクフォースが
設置され,これまで様々なスタディツアーや専門家派遣,教育交流などが実施されて
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いる。2015 年 7 月には同協力が 5 年間更新され,今年度は海洋エネルギーワークショ
ップの開催,再生可能エネルギー等普及拡大・課題解決に向けた調査,島嶼型エネル
ギー技術の海外展開可能性・支援体制調査等を実施中である。
カ. 経済交流組織
・日本・ハワイ経済協議会は 1972 年設立。貿易投資促進のための討議,情報交換を
行ってきたが,2007 年 10 月の総会を最後に解散された。その活動を観光分野に特
化させ,引き継ぐ形で日本・ハワイ観光協議会が 2008 年 1 月に設立。第 1 回総会
を 2008 年 4 月にホノルルで開催してから、2014 年 10 月のホノルルでの総会まで,
これまで 8 回の総会を開催してきている。
・日本人駐在員で組織される日本クラブが活動している。
(6)学術,科学,技術交流等
・毎年,文部科学省の国費留学生プログラムや JET プログラムで多くのハワイの若者が
日本を訪問している
文部科学省国費留学生
〔内訳〕研究留学生
2 名(2016 年), 2 名(2015 年)
日本語・日本文化研修留学生
1 名(2016 年), 2 名(2015 年)
専修学校留学生
1 名(2016 年), 1 名(2015 年)
JETプログラム
ハワイより 30 名が参加 (2016 年実績)
・ハワイには国立天文台観測所,ハワイ大学システム,東西センター,アジア太平洋安
全保障研究所センターがあり,活発な研究交流が行われている。
(7)地方交流
ハワイの各地と日本の地方自治体との間では盛んな交流が行われている。2014 年にホノル
ル市と茅ヶ崎市との間で姉妹都市協定が締結された。戦後70周年の 2015 年夏には長岡花
火がパールハーバーで打ち上げられた。
【参考】
ア.州との姉妹関係
福岡県(1981 年),沖縄県(1985 年),広島県(1997 年),愛媛県(2003 年)
イ.市・郡との姉妹関係
<ホノルル市・郡>:
広島市(1959 年),那覇市(1961 年),大分県佐伯市(2003 年友好都市),愛媛県宇和島市(2
004 年),新潟県長岡市(2012 年),神奈川県茅ヶ崎市(2014 年)
<ハワイ郡>
東京都大島町(1962 年),沖縄県名護市(1986 年),鳥取県湯梨浜町(1996 年,旧羽合町),群
馬県渋川市(1997 年),兵庫県洲本市(2000 年)
<マウイ郡>
東京都八丈町(1964 年), 沖縄県宮古島市(1965 年), 広島県福山市(2008 年)
<カウアイ郡>
山口県周防大島町(1963 年),滋賀県守山市(1975 年),石垣市(1999 年),福島県いわき市(2
011 年)
<その他の姉妹関係>
ワイキキ・ビーチと南紀白浜海岸(2000 年)
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(8)ハワイと皇室との関係
ハワイは皇室との深いご縁があり,これまで多くの皇室関係者がハワイをご訪問されてい
る。総領事館構内にも,昭和天皇や天皇陛下が植樹された樹木が大きく成長している。
【参考】
主な皇室関係者のご訪問
1953 年 明仁皇太子殿下
1960 年 明仁皇太子同妃両殿下
1960 年
高松宮同妃両殿下
1964 年
明仁皇太子同妃両殿下
1965 年
三笠宮同妃両殿下
1967 年 明仁皇太子同妃両殿下
1968 年
常陸宮同妃両殿下
1971 年
常陸宮同妃両殿下
1975 年
昭和天皇皇后両陛下
1985 年
常陸宮同妃両殿下
1991 年
秋篠宮殿下
1994 年
今上天皇皇后両陛下
1996 年
高松宮妃殿下
1999 年
紀宮内親王殿下
2001 年
高円宮同妃両殿下
2004 年
常陸宮同妃両殿下
2009 年
今上天皇皇后両陛下
2010 年
彬子女王殿下
2011 年
彬子女王殿下
在ホノルル日本国総領事館ホームページ
http://www.honolulu.us.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
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