指定講習会テキスト2 - 住宅性能評価・表示協会

中小工務店向け講習会及び適合性評価申請に対する支援事業
指定講習会テキスト
木造一戸建て住宅の外皮性能計算及び
一次エネルギー消費量の算出方法
平成 27 年 10 月
一般社団法人 住宅性能評価・表示協会
目
1.はじめに
次
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
2. 木造一戸建て住宅の外皮性能の計算
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2-1. 外皮平均熱貫流率(UA 値)とは
3
・・・・・・・・・・・・・・・・・
2-2. 冷房期の平均日射熱取得率(ηA 値)とは
3
・・・・・・・・・・・・・
3
2-3. 外皮平均熱貫流率(UA 値)および冷房期の平均日射熱取得率(ηA 値)の算出
・・・・・・・・・・・・・
2-4. 外皮の面積および長さについて
・・・・・・・・・・・・・・・・・
3. 木造一戸建て住宅の一次エネルギー消費量の計算
1
3
17
・・・・・・・・・・・・・ 19
1.はじめに
平成 25 年に策定された新しい省エネルギー基準(以下「省エネ基準」といいます。)で
は、外皮(断熱)性能だけを対象とした省エネ基準から、設備機器などの省エネルギー性能
も審査の対象とした、総合省エネ基準に見直されることとなりました。
外皮性能に関しては、住宅の内部からどれだけ熱が逃げ易いかを示す「外皮平均熱貫流率
(UA 値)」と、夏期に日射熱をどれだけ住宅内部に取り込んでしまうかを示す「平均日射熱
取得率(ηA 値)」の 2 つの性能についてチェックします。
一方、省エネルギー性能に関しては、住宅で使用する電気、ガスなどのエネルギーを、一
次エネルギー消費量という数値に置き換えて、一定の条件下でどのくらい使用するかを計
算プログラムによりチェックを行います。
一次エネルギー消費量とは?
化石燃料、原子力燃料、火力・太陽熱など自然から得られるエネルギーを「一次エ
ネルギー」といい、これらを変換・加工して得られるエネルギー(電気、灯油、都市
ガス等)を「二次エネルギー」といいます。
住宅では二次エネルギーが多く使用されており、それぞれが異なる計量単位(kW
h、ℓ、MJ等)で使用されているので、それを一次エネルギー消費量に換算すること
により、二次エネルギーの別によらず建築物の総エネルギー消費量を同じ単位(MJ、
GJ)で比較できるようにしています。
本講習では、典型的な木造戸建て住宅について、上記の外皮性能に関する計算の方法、そ
して計算プログラムを用いた一次エネルギー消費量の算出方法についての基本的な説明を
行います。
より詳細な計算方法などに興味のある方は、適宜その他の解説書等を参考にして下さい。
【参考 URL】
○一般社団法人 住宅性能評価・表示協会
https://www.hyoukakyoukai.or.jp/
○国立研究開発法人 建築研究所
http://www.kenken.go.jp/
2
2.木造一戸建て住宅の外皮性能の計算
外皮性能のチェックは、以下の 2 つの性能について行います。
2-1.外皮平均熱貫流率(UA 値)
外皮平均熱貫流率とは、
「住宅内部と外部でどの程度熱の出入りを防ぐための断熱措置等
が行われているか」を表す指標となっており、内外の温度差が 1 度の場合の壁や屋根など
の部位の熱損失量の合計を外皮等の面積の合計で除した値をいいます。そのためこの数値
が小さいほど住宅の内部と外部で温度の出入りの少なく、断熱性能が高いことを意味して
います。
2-2.冷房期の平均日射熱取得率(ηA 値)
冷房期の平均日射熱取得率とは、「夏期にどの程度日射熱を住宅内部で取得するか」を表
す指標となっており、夏期における窓から直接入射する日射による熱と、窓以外から日射の
影響で熱伝導により侵入する熱を評価した指標です。具体的には単位日射強度当たりの日
射により建物内部で取得する熱量を冷房期間で平均し、外皮等面積の合計で除した値とな
ります。この数値が小さいほど住宅が取得する夏期の日射熱取得量が少なく、日射遮蔽性能
が高いことを意味しています。
2-3.外皮平均熱貫流率(UA 値)及び冷房期の平均日射熱取得率(ηA 値)の算出
上記 2 つの性能の計算は、Web 上で既に様々なエクセルシートなどが公開されています
が、ここでは一般社団法人住宅性能評価・表示協会が作成し、同協会のホームページ上で無
料でダウンロードできる計算書(以下「計算書」といいます。)を用いた算出方法を示しま
す。
計算書を用いた計算の流れは、次の STEP1~STEP6までがあります。
STEP1
地域区分の入力
STEP2
部位ごとの熱貫流率の算定
STEP3
方位ごとに外皮熱損失量および日射熱取得量を求める
STEP4
屋根・天井・床等の外皮熱損失量および日射熱取得量を求める
STEP5
基礎断熱および土間床等の部分の熱損失量を求める
STEP6
計算結果の確認
上記各ステップに従い入力を行うと、自動的に適合・不適合なども含めた計算結果が算
出されることとなります。なお、以下の解説は必要最低限の入力方法となっていますの
で、より詳細な入力を行う場合は、解説書などをご参照ください。
3
STEP1
地域区分の入力【入力シート:共通条件・結果シート】
対象住宅の建設地から地域区分を入力します。日本では北海道から沖縄まで様々な気候
条件がありますので、どの気候条件を適用するかは地域区分の選択により行います。
具体的には、大きく表 1 のように分類されていますが、実際は市町村レベルでの確認が
必要となります。市町村別に分類した表は別冊資料としていますので、そちらをご参照くだ
さい。
表1
地域区分
1
地域区分の概要
該当地域
北海道
2
3
北東北等
4
東北、北関東等
5
関東、東海、近畿、中国、四国、九州等
6
7
南九州等
8
沖縄等
地域区分をドロップボックスから選択することにより、他の計算シートで様々な計算条
件が自動的に設定されます。逆に言うとここの選択を行わないと以降で正しく計算してく
れませんので、忘れずに選択を行うようにしてください。
図1
計算書「共通条件・結果」シート
4
STEP2
部位ごとの熱貫流率の算定
熱貫流率とは、その部位がどれだけ熱を逃げ易いかを表した数値で、数値が小さいほど熱
を逃がしにくい断熱性能が高い部位となります。
熱貫流率の入力の対象となる部位は、以下の 3 つの部位となります。
(あ)
壁、屋根、床などの一般部
(い)
窓やドアなどの開口部
(う)
基礎や土間床などの基礎部分
上記の各部位で入力する熱貫流率の値は、それぞれ計算により詳細に求めることも可能
となっていますが、ここでは、(あ)一般部と(い)開口部についてあらかじめ仕様などに
より定められた値を入力する方法を記載します。詳細な計算を行いたい場合は、別途解説書
などをご参照ください。
(う)基礎部分については計算による方法を説明します。
あらかじめ仕様などにより定められた値を入力する方法として、
①平成 25 年国土交通省告示第 907 号「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する設
計、施工及び維持保全の指針」別表第 1 から別表第 7 に定める部位の仕様に応じた熱貫
流率(以下「部位別仕様表」という)を用いる方法
②一般社団法人住宅性能評価・表示協会(以下「評価協会」という)ホームページで公開す
る「部位別仕様表 DB(データベース)」を用いる方法【一般部】
図2
評価協会ホームページ部位別仕様表検索データベース
5
③一般社団法人住宅性能評価・表示協会(以下「評価協会」という)ホームページで公開
する「温熱・省エネ設備機器等ポータルサイト」を用いる方法【開口部】
こちらをクリック
図3
評価協会ホームページ温熱・省エネ設備機器等ポータルサイト
6
以上の方法があります。本講習では②および③を用いて計算を行います。なお①の「部位別
仕様表」を利用したい場合は別途解説書等を参照して下さい。また、評価協会「部位別仕様
表DB」
「温熱・省エネ設備機器等ポータルサイト」の利用および操作方法については、ホー
ムページを参照して下さい。
それぞれ仕様に応じて検索を行うと以下の検索結果画面が開きますので、掲載された熱
貫流率の値を次の STEP3 において入力することになります。
図4
部位別仕様表 DB
7
登録仕様詳細
例
図5
温熱・省エネ設備機器等ポータルサイト
検索結果
例
上記ポータルサイトにおいて、窓(ガラス)の日射熱取得率も併せて表示されます。こ
ちらも日射熱取得量を計算する際の必要な数値となり、次の STEP3 において入力するこ
とになります。
実際の申請において、取り付ける窓やドアなどの製品がその仕様や性能値を満たしてい
る事を確認するために、それらを証明する資料等の添付が必要となります。
当ポータルサイトでは、その必要な添付書類がメーカーのホームページからダウンロー
ド出来るようにリンクをはっていますので簡単に入手出来るようになっています。
図5において青枠で囲んだ部分をクリックすると、登録されたメーカーの一覧が表示さ
れ、そこからメーカーのホームページ内の該当部分に行く事が出来ます。
8
該当メーカーをクリック
図
(参考例)
登録メーカー一覧表
YKK AP㈱の適合製品一覧
9
STEP3
方位ごとに外皮熱損失量および日射熱取得量を求める
【入力シート:シート A(北)~(南)】
「シートA(各方位)」を用いて、方位ごとに外皮熱損失量と日射熱取得量を求めます。
シート内は窓・ドア・外壁の 3 つに別れており、それぞれ入力します。
1)窓の入力
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
①窓番号(任意)と寸法を入力します。寸法はカタログ等に記載している呼称幅と呼称高を
用います。
②STEP2で求めた熱貫流率を入力します。
③STEP2で求めた日射熱取得率を入力します。
④付属部材がある場合に入力します。付属部材は、雨戸、シャッター、障子、風除室から選
択します。
⑤取得日射量補正係数を算出します。取得日射量補正係数はガラス種別やひさし等の影響
を補正する係数で、冷房期および暖房期それぞれ計算等により求めます。ただし、ひさし
が無い場合やひさしの効果を考慮しない場合のデフォルト値が定められており、今回はこ
のデフォルト値を入力します。計算書では、チェックボックスにチェックを入れます。な
お、計算等による求め方については他の解説書等を参照して下さい。
⑥個々の窓に対する熱損失および冷房期と暖房期の日射熱取得量が計算されます。
⑦合計値が計算されます。
10
2)ドアの入力
入力の方法は、窓の入力と同様です。ドアの日射熱取得率は、対象となるドアの熱貫流率
に 0.034 を乗じた値になります。計算書においては自動計算されます。
3)外壁の入力
⑧
⑩
⑨
入力の方法は、窓の入力とほぼ同様です。ここでは相違点について説明します。
⑧外壁の面積を入力します。注意として開口部(窓・ドア)を含めた全面積を入力します。
⑨外壁面積から除外する開口部面積を入力します。具体的には、1)および 2)で計算した
窓とドアの面積の合計値を入力します。計算対象外壁面積が自動計算されます。
⑩日射の当たらない基礎等の場合、チェックボックスにチェックを入れます。チェックを入
れると日射熱取得量(冷房期・暖房期)が 0 となります。日射の当たらない基礎等とは、
例えば玄関土間で建物内部にある基礎立上がりの GL から 400mm 以上の部分などが該
当します(次図参照)。なお土間床や基礎断熱の場合、基礎立上がりの GL から 400mm
以上の部分は外壁として扱います。
11
外皮等計算対象部位(日射の当たらない基礎等
(温度差係数0.7、方位係数0))で計算
外皮等計算対象部位
基礎等計算対象部位
基礎等計算対象部位
の上限 400mm
図 床断熱工法における400mmを超える基礎の考え方
4)計算結果
方位ごとの計算結果が集計されます。対象住宅について他の方位も同様に計算を行います。
STEP4
屋根・天井・床等の外皮熱損失量および日射熱取得量を求める
【入力シート:シート B(屋根・床等)】
「シートB(屋根・床等)」を用いて、屋根・天井・床等の外皮熱損失量と日射熱取得量
を求めます。また、天窓等がある場合には、このシートで計算をします。
12
1)天窓等の入力
入力の方法は、窓の入力と同様です。なお天窓の場合、屋根の勾配の有無に係らず上面に
面するものとして取り扱うとし、方位係数を 1.0 として計算します。
2)屋根・天井・外気等に接する床の入力
入力の方法は、外壁の入力と同様です。部位名称は該当する部位名を、
「屋根」
、
「天井」、
「外気床」、
「その他床」から選択します。なお、木造戸建て住宅で床断熱の場合の外気に通
じる床裏部分は「外気床(温度差係数 H=1.0)」ではなく「その他床(H=0.7)」を選択し
ます。
13
温度差係数 H とは、室内外の温度差の程度を表す係数で、通常、外気と室内との温度差
係数は H=1.0 ですが、床下は外気よりも温度が高く、熱損失も少ないため H=0.7 とし
ても良いことになっています。
3)計算結果
天窓および屋根等の計算結果が集計されます。
STEP5
基礎断熱および土間床等の部分の熱損失量を求める
【入力シート:シート C(基礎)】
「基礎(シートC)」を用いて、基礎断熱および土間床等の部分の熱損失量を求めます。
1)土間床等の面積の入力
基礎断熱や土間床等部分の面積を入力します。最終的に外皮平均熱貫流率や平均日射熱
取得率を求める際に、対象住宅の総熱損失量や総日射熱取得量を外皮面積で除するため入
力が必要となります。
14
2)基礎等の断面仕様の入力
W2
R1
外気
室内
W1,W2,W3=0
R2,R3=0
室内
R2
GL
▼
地盤
R3
W1
H2※
GL
▼
R4
H2
外気
R4
H1
H1
R1
※H2はマイナスとし て入力する。
地盤
W3
対象部位の基礎等の断面仕様をそれぞれ入力します。入力は上図を参考に入力します。な
お、W2 および W3 は 0.9mを超える場合は 0.9mとして計算されます。仕様を入力する
と熱貫流率が自動計算されます。
3)基礎等の外周長さの入力
⑪
⑫
⑪該当部位の長さを入力します。
⑫温度差係数を「1.0」または「0.7」から選択します。なお上記の例では、玄関土間の基
15
礎長さを、外気に接する基礎長さと床下に接する基礎長さに分けて入力しています。外気
に接する基礎長さの温度差係数は「1.0」、床下に接する基礎長さの温度差係数は「0.7」
として選択して下さい。
STEP6
計算結果の確認【入力シート:共通条件・結果シート】
各シートで計算を行った結果が「共通条件・結果」シートに集約されます。
図
計算書表紙「共通条件・結果」シート
外皮平均熱貫流率(UA 値)および冷房期の平均日射熱取得率(ηA 値)の計算結果が表示
されます。また上記青枠で示した、単位温度差あたりの外皮熱損失量(q)、単位日射強度あ
たりの冷房期の日射熱取得量(mC)および単位日射強度あたりの暖房期の日射熱取得量(mH)
は一次エネルギー消費量計算に必要な値となりますので、この値を用いる事になります。
16
2-4.外皮の面積および長さについて
2-4-1.一般部位の面積について
ⅰ)水平方向の寸法の算出
面積を算出するための一般部位の水平方向の寸法は、原則として熱的境界となる部位の
壁心間の寸法とします。ただし、所管行政庁によっては壁心の考え方について中心線によ
らない場合があるため、この場合は当該所管行政庁における建築基準法の床面積算出の考
え方に従って下さい。なお、壁面からの突出が 500 mm 未満の腰出窓(下端の床面から
の高さが 300mm 以上であること)の場合は突出していないものとして扱っても構いま
せん。(下図参照)
ⅱ)垂直方向の寸法の算出
面積を算出するための一般部位の垂直方向の寸法は、下表に定めるとおり、熱的境界と
なる部位の見付けの寸法を原則とします。
部位
断熱部位
基準レベル
床等
床断熱
床レベル
基礎断熱
基礎天端
屋根断熱
軒桁上端(軒高)
天井断熱
天井高さレベル
屋根・天井
熱的境界を床に設定している場合は床面から上側を外壁の高さとします。
熱的境界を屋根に設定している場合、寸法算出の起点は軒桁上端(軒高)になります。
熱的境界を天井に設定している場合、断熱材と天井仕上げ材等が接している場合は天井
面から下側を外壁の高さとします。
(次図参照)
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ⅲ)面積の算出
一般部位の面積は、各部位における熱貫流方向に対する見付けの面積とします。屋根又
は天井の面積の計算において、屋根断熱の場合は熱的境界となる当該屋根面の勾配なりの
面積を、天井断熱の場合は熱的境界となる当該天井面の面積をそれぞれ部位の面積としま
す。
2-4-2.開口部の面積について
開口部の面積を算出するための寸法は、原則躯体部の開口寸法となりますが、建具のカ
タログ等に記載の呼称寸法によることも出来ます。
2-4-3.土間床外周部および基礎等の長さについて
土間床外周部及び基礎等の長さは、基礎等の心の水平方向の長さとします。
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3.木造一戸建て住宅の一次エネルギー消費量の計算
平成 25 年度省エネルギー基準では、建物全体の省エネ性能を評価する一次エネルギー
消費量を指標とした基準が設けられました。一次エネルギー消費量の計算は、Web 上の計
算プログラムで行うことを前提としており、本講習では国立研究開発法人建築研究所「住
宅・住戸の省エネルギー性能の判定プログラム(http://house.app.lowenergy.jp/)
」
(以
下、「建研プログラム」という)の入力方法の解説を行います。
図
建研プログラムトップページ画面
計算(入力)の流れは、次の STEP1~STEP6までがあります。
STEP1
基本情報の入力
STEP2
暖冷房設備の入力
STEP3
換気設備の入力
STEP4
給湯設備の入力
STEP5
照明設備の入力
STEP6
発電設備の入力
STEP7
計算結果の確認
以下、建研プログラムに入力を行う事項の注意点等について、各ステップごとに解説を
行います。
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STEP1
基本情報の入力
図
建研プログラムトップページ画面
基本情報として、
「住宅/住戸(タイプ)の名称」、
「床面積(主たる居室、その他の居室、
非居室)」
、「省エネルギー基準地域区分」を入力します。また、太陽光発電設備および太陽
熱利用給湯設備」がある場合は、「年間日射地域区分」を選択します。
床面積の室分類および定義は下表を参照して入力します。
分類
定義
主たる居室
主たる居室とは基本生活行為において、就寝を除き日常生活上在室時間
が長い居室等のことをいい、居間、ダイニング、台所を指す。床面積は
それらの合計とする。
その他の居室
主たる居室以外の居室であり、寝室、子ども室、和室等が該当する。床
面積はそれらの合計とする。
非居室
住宅の中で、居室以外の空間であり、浴室、トイレ、洗面所、廊下、玄
関、クローゼット、納屋等が該当する。床面積はそれらの合計とする。
20
なお、間仕切り壁や扉等がなく水平方向や垂直方向に空間的に連続する場合は一つの室
とみなし、一体的な空間として床面積を算定することになります。複数の室が空間的に連続
する場合、当該居室の分類の考え方は、主たる居室>その他の居室>非居室の優先順位で分
類し入力します。例えば、「主たる居室」に空間的に連続する「その他居室」、「非居室」は
「主たる居室」に含めることになります。
太陽光発電および太陽熱利
用給湯設備を利用する場合
「年間日射地域区分」は、市町村別に分類した表を別冊資料としてまとめていますので、そ
ちらをご参照ください。
STEP2
暖冷房設備の入力
STEP2-1
外皮タブ
21
暖冷房設備の外皮入力では、単位温度差あたりの外皮熱損失量(q 値)、単位日射強度あ
、通風の利用、蓄熱の利用につ
たりの冷房期および暖房期日射熱取得量(mC 値、mH 値)
いて入力をします。ここでいう単位温度差あたりの外皮熱損失量(q 値)、単位日射強度あ
たりの冷房期および暖房期日射熱取得量(mC 値、mH 値)は、前述の外皮性能計算におい
て求められた数値を入力します。
冷房期に通風を利用する場合、主たる居室およびその他の居室について、換気回数の程度
(5 回/h相当以上、20 回/h相当以上)に応じて選択します。
蓄熱材を使用して室温を安定して保つ手法を用いる場合に、「蓄熱の利用する」を選択し
ます。
22
STEP2-2
暖房設備タブ
暖房設備は下表を参考に暖房方式の選択をします。
選択肢
適用される暖房方式
①ダクト式セントラル空調を用いて、住宅全体を暖房する
住宅全体を暖房する方式
②「主たる居室」と「その他の居室」の両方あるいはいずれ
居室を暖房する方式
かに暖房設備機器を設置する
③暖房設備機器または放熱器を設置しない。
地域毎に定められた方式
計画段階で「主たる居室」および「その他の居室」のいずれにも暖房設備機器を設置する
かどうかが不明の場合には、「③暖房設備機器または放熱器を設置しない」を選択します。
「①ダクト式セントラル空調を用いて、住宅全体を暖房する」と「②「主たる居室」と「そ
の他の居室」の両方あるいはいずれかに暖房設備機器を設置する」を併用する場合は、①を
優先して選択します。
「③暖房設備機器または放熱器を設置しない」を選択した場合、計算上では下表の「地域
ごとに定められた方式」が設置されるものと想定して計算されます。
地域区分
1地域
2地域
3地域
4地域
5地域
6地域
7地域
8地域
評価において想定する機器
パネルラジエーター
パネルラジエーター
FF 暖房機
FF 暖房機
ルームエアコンディショナー
ルームエアコンディショナー
ルームエアコンディショナー
(設置しない)
「主たる居室」に複数の異なる種類の暖房設備機器または放熱器を設置する場合や、「そ
の他の居室」に複数の異なる種類の暖房設備機器または放熱器を設置する場合は、次表の暖
房設備機器または放熱器の評価の優先順位に基づいて、それぞれ評価対象とする一種類の
暖房設備機器等を決定することになります。例えば、「主たる居室」において、居間に「温
水床暖房」と「ルームエアコンディショナ—」を設置する場合には、優先順位が高い「温水
床暖房」で計算を行うこととなります。
23
評価の優先順位
暖房設備機器または放熱器
1
電気蓄熱暖房器
2
電気ヒーター式床暖房
3
ファンコンベクター
4
ルームエアコンディショナ—付温水床暖房
5
温水床暖房
6
FF 暖房機
7
パネルラジエーター
8
ルームエアコンディショナ—
本講習では、一般的な暖房方式である「②「主たる居室」と「その他の居室」の両方ある
いはいずれかに暖房設備機器を設置する」の場合で、
「ルームエアコンディショナー」を設
置する場合と「温水床暖房」を設置する場合について説明します。他の設備機器を設置する
場合は、その他解説書等を参照して下さい。
24
ⅰ)ルームエアコンディショナー
暖房設備機器にルームエアコンディショナーを選択した場合、省エネルギー対策の有無
および種類を選択します。ここで家庭用のルームエアコンディショナーのうち直吹き形、壁
掛け形のものでマルチタイプのものは対象とならないので注意が必要です。
省エネルギー対策の有無および種類において、
「エネルギー消費効率の区分を入力するこ
とにより省エネルギー効果を評価する」を選択した場合、
「エネルギー消費効率の区分」お
よび「容量可変型コンプレッサーの搭載有無」を選択します。
「エネルギー消費効率の区分」とは、冷房定格能力の大きさごとに定格冷房エネルギー消費
効率の程度に応じて 3 段階に区分したものです。
定格冷房エネルギー消費効率=定格冷房能力(W)÷定格冷房消費電力(W)
25
表
定格冷房能力の区分
エネルギー消費効率の区分
定格冷房エネルギー消費効率の区分を満たす条件
区分(い)
区分(ろ)
区分(は)
2.2kW 以下
5.13 以上
4.78 以上(
(い)未満)
4.78 未満
2.2kW を超え 2.5kW 以下
4.96 以上
4.62 以上(同上)
4.62 未満
2.5kW を超え 2.8kW 以下
4.80 以上
4.47 以上(同上)
4.47 未満
2.8kW を超え 3.2kW 以下
4.58 以上
4.27 以上(同上)
4.27 未満
3.2kW を超え 3.6kW 以下
4.35 以上
4.07 以上(同上)
4.07 未満
3.6kW を超え 4.0kW 以下
4.13 以上
3.87 以上(同上)
3.87 未満
4.0kW を超え 4.5kW 以下
3.86 以上
3.62 以上(同上)
3.62 未満
4.5kW を超え 5.0kW 以下
3.58 以上
3.36 以上(同上)
3.36 未満
5.0kW を超え 5.6kW 以下
3.25 以上
3.06 以上(同上)
3.06 未満
5.6kW を超え 6.3kW 以下
2.86 以上
2.71 以上(同上)
2.71 未満
6.3kW を超える
2.42 以上
2.31 以上(同上)
2.31 未満
「容量可変型コンプレッサーの搭載有無」の判断方法として、コンプレッサー自体が容量可
変であることで、小能力連続運転が可能かつその領域でエネルギー消費効率が高いと認め
られる機構を有する場合に「搭載する」を選択することが出来ます。なお、詳細な確認方法
は建築研究所の技術資料を参照して下さい。
26
ⅱ)温水床暖房
暖房設備機器に温水床暖房を選択した場合、
「敷設率」および「床の断熱(上面放熱率)」
を入力します。
敷設率とは、床暖房を設置する居室における床暖房パネルの敷設面積を当該居室の床面
積で除した値です。注意点として、例えばリビングに床暖房を設置した場合の「床面積」と
はリビング部分の床面積ではなく、
「主たる居室」の合計床面積となることに注意が必要で
す。また「その他の居室」に床暖房を設置する場合、当該居室の床面積を用いて敷設率を計
算しますが、複数の「その他の居室」に床暖房を設置する場合は当該居室の床暖房パネルの
敷設面積の合計を、設置する居室の床面積の合計で除した値となります。
上面放熱率とは、床暖房パネルに投入した熱量に対する居室(上部)に放熱される熱量の
割合をいいます。具体的な計算方法についてはその他解説書等を参照して頂きますが、前述
の計算書に上面放熱率算定用の計算シートを添付していますので、そちらを利用すること
も可能です。
27
図
敷設率、上面放熱率算定シート(参考)
28
温水床暖房を設置する場合、温水暖房機の種類、省エネルギー対策の有無および種類、
断熱配管の採用、配管が通過する床下空間について、選択または入力をします。
29
温水暖房機の種類を以下から選択します。
温水暖房機の種類
温水暖房専用型
温水暖房の放熱器のみに接続される場合(石油、ガス、電気)
給湯・温水暖房一体型
台所、洗面、浴室などへの給湯用熱源を兼ねる場合
コージェネレーション
温水の供給に加えて発電も行う場合
その他の温水暖房機
上記以外の温水暖房機の場合
温水暖房機を設置しない
計画時点では熱源機を設置しない場合
温水暖房専用型を選択した場合で、種類の異なる複数の熱源機が設置される場合には、下
表の優先順位に応じて1つの熱源機を選択します。例えば、「ガス従来型熱源機」と「電気
ヒートポンプ式熱源機」を設置する場合には、
「ガス従来型熱源機」を選択します。
評価の優先順位
温水暖房用熱源機の種類
1
電気ヒーター温水暖房機
2
石油従来型温水暖房機
3
ガス従来型温水暖房機
4
ガス潜熱回収型温水暖房機
5
石油潜熱回収型温水暖房機
6
電気ヒートポンプ温水暖房機
省エネルギー対策の有無および種類において、
「当該機器の仕様から省エネルギー効果を
評価する」を選択した場合、「定格能力におけるエネルギー消費効率」を入力します。
「定格能力におけるエネルギー消費効率」は、JIS に定められた測定方法(石油の場合は JIS
S 3031、ガスの場合は JIS S 2112 とする)による「エネルギー消費効率(%)
」(熱効
率(%))を機器仕様表等により確認し、小数点以下 1 桁までの値を入力します。
温水暖房を設置する場合には、「断熱配管の採用の有無」
、「配管が通過する空間」の選択
を行います。
断熱配管を「採用する」とは、熱源機から放熱器までの全ての温水配管について周囲
を断熱材で被覆している場合に適用され、温水配管の一部でも断熱被覆されていない場
合には選択することが出来ません。また、サヤ管と温水配管との間にできる空気層は断
熱被覆としては認められません。サヤ管等を用いる場合には、サヤ管の周囲を全て断熱
被覆するなどの対応が必要となります。
30
STEP2-3
冷房設備タブ
冷房設備において、ルームエアコンディショナーを選択した場合、入力や選択方法は暖房
設備の場合と同様のため、暖房設備の項を参照して下さい。
31
STEP3
換気設備の入力
換気設備の入力は、換気設備の方式、省エネルギー対策の有無および種類、換気回数、有
効換気量率をそれぞれ選択・入力します。
STEP3-1
外皮タブ
まず始めに、換気設備の方式を以下の種類から選択します。
・ダクト式第 1 種換気設備
・ダクト式第 2 種換気設備またはダクト式第 3 種換気設備
・壁付け式第 1 種換気設備
・壁付け式第 2 種換気設備または壁付け式第 3 種換気設備
32
種類の異なる複数の全般機械換気設備を設置した場合には、下表の優先順位に基づいて
選択をします。例えば、
「ダクト式第1種換気設備」と「壁付け式第3種換気設備」を設置
している場合には、「ダクト式第1種換気設備」を選択することになります。
優先順位
全般機械換気設備の種類
1
ダクト式第1種換気設備
2
ダクト式第2種換気設備またはダクト式第3種換気設備
3
壁付け式第1種換気設備
4
壁付け式第2種換気設備または壁付け式第3種換気設備
ここでは、ダクト式第1種換気設備を選択した場合について説明を行います。
ダクト式第1種換気設備を選択した後、省エネルギー対策の有無および種類について選
択します。「省エネルギー対策の有無および種類」は下表を参考に選択します。
選択肢
条件
特に省エネルギー対策をしていな
特に省エネルギー対策を実施していない場合や、省
い
エネルギー対策を考慮しない場合に選択する
採用した省エネルギー対策を選択
換気設備の省エネルギー対策として、
・径の太いダクトを使用する
・径の太いダクトを使用する、かつ DC モーターを
採用する
のどちらかの場合、選択する。
する
比消費電力を入力することにより
比消費電力(設計風量当たりの換気設備の消費電力)
省エネルギー効果を評価する
を入力して計算をする場合に選択する。
「径の太いダクト」とは、内径 75mm 以上のダクトのみを使用している場合に限ります。
換気回数の入力(選択)は、基本は 0.5 回を選択しますが、条件によって 0.7 回または
0 回を適宜選択することになります。判断の条件は建築基準法に基づいていますので、参照
をして下さい。
有効換気量率は、
「省エネルギー対策の有無および種類」でダクト式第 1 種換気設備また
は壁付け式第 1 種換気設備を選択した場合に表示されます。熱交換換気設備を用いない場
合は 1.0 を入力します。
33
STEP3-2
熱交換タブ
「熱交換型換気を採用する」を選択するには、換気設備の方式で、ダクト式第 1 種換気
設備または壁付け式第 1 種換気設備を選択している必要があります。また「温度交換効率」
および「給気と排気の比率による温度交換効率の補正係数」と「排気過多時における住宅外
皮経由の漏気による温度交換効率の補正係数」をそれぞれ入力します。
34
STEP4
給湯設備の入力
STEP4-1
給湯タブ
給湯設備の入力は、給湯熱源機の分類や種類、効率の入力、ふろ機能の種類、配管方式、
節水水栓(台所、浴室シャワー、洗面)、高断熱浴槽の有無を選択、入力します。
給湯機の分類について、
「給湯専用型」、「給湯・温水暖房一体型」、「コージェネレーショ
ン」、「その他の給湯設備機器」、「給湯設備機器を設置しない」の中から選択します。
「給湯専用型」とは、温水暖房の熱源機を兼ねない温水熱源機で、次表の給湯熱源機
の種類から選択します。
35
ガス給湯機
石油給湯機
電気ヒーター温水機
電気ヒートポンプ給湯機(CO2 冷媒)
「給湯・温水暖房一体型」を選択する場合は、
「暖房」タブの温水熱源機の種類で「給
湯・温水暖房一体型」が選択されていることを確認しなければなりません。さらに熱源
機の種類を下表より選択します。
ガス従来型給湯温水暖房機
ガス潜熱回収型給湯温水暖房機
石油従来型給湯温水暖房機
石油潜熱回収型給湯温水暖房機
電気ヒーター給湯温水暖房機
電気ヒートポンプ・ガス併用型給湯温水暖房機
「給湯設備機器を設置しない」を選択した場合、1地域から4地域では「石油給湯
器」、5地域から8地域では「ガス給湯機」が設置されるものとして算定されます。な
お、2世帯住宅などで同一種類の給湯設備が2つ以上ある場合は、性能の最も低い給湯
設備を選択します。
「給湯専用型」で複数の熱源種類が設置される場合には、以下の優先順位によって1
つの給湯専用熱源機を選択します。
優先順位
1~4地域
5~8地域
1
電気ヒーター温水器
電気ヒーター温水器
2
ガス給湯機
ガス給湯機
3
石油給湯機
石油給湯機
4
電気ヒートポンプ給湯機(CO2 冷媒) ガス給湯機(効率 95%以上のもの)
5
ガス給湯機(効率 95%以上のもの) 石油給湯機(効率 95%以上のもの)
6
石油給湯機(効率 95%以上のもの) 電気ヒートポンプ給湯機(CO2 冷媒)
「給湯・温水暖房一体型」で複数の熱源種類が設置される場合には、以下の優先順位
によって1つの給湯熱源機を選択します。
36
優先順位
温水暖房熱源機の種類
1
電気ヒーター給湯温水暖房機
2
石油従来型給湯温水暖房機
3
ガス従来型給湯温水暖房機
電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯温水暖房機
4
(給湯熱源:ガス、暖房熱源:ヒートポンプ・ガス併用)
5
石油潜熱回収型給湯温水暖房機
6
ガス潜熱回収型給湯温水暖房機
電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯温水暖房機
7
(給湯熱源:ヒートポンプ・ガス併用、暖房熱源:ガス)
電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯温水暖房機
8
(給湯熱源:ヒートポンプ・ガス併用、暖房熱源:ヒートポンプ・ガス
併用)
「JIS 効率を入力することにより省エネルギー効果を評価する」を選択した場合、JIS 効
率を算定し数値を入力することになります。JIS 効率の具体的な算定方法は、その他解説書
等を参照して下さい。
「ふろ機能の種類」は、下表に従って選択します。
種類
(選択肢)
ふろ機能の条件
湯張り時
沸かしなおし時
給湯単機能
水栓から湯張り
水栓から差し湯
ふろ給湯機(追焚なし)
自動湯張り
水栓から差し湯
ふろ給湯機(追焚あり)
自動湯張り
追焚(自動保温等)
37
配管方式については、「先分岐方式」または「ヘッダー方式」のどちらかを選択します。
また「ヘッダー方式」を選択した場合は、配管径が全て 13A 以下であるか否かの選択をし
ます。
水栓については、台所、洗面、浴室で用いる水栓について、2バルブ水栓に該当するかを
判断します。2バルブ水栓以外のその他の水栓である場合は、それぞれ「手元止水機構」、
「小流量吐水機構」及び「水優先吐水機構」に該当しているかを確認します。なお、各水栓
設置部位と適用できる節湯水栓の対応は下表の通りです。
手元止水機構
小流量吐水機構
水優先吐水機構
台所水栓
○
—
○
洗面水栓
—
—
○
浴室水栓
○
○
—
38
※手元止水機能を有する水栓の定義
手元止水機構を有する水栓とは、台所水栓および浴室シャワー水栓において、吐水切替機
能、流量および温度の調節機能と独立して、使用者の操作範囲内に設けられたボタンやセン
サー等のスイッチで吐水及び止水操作が出来る機能を有する湯水混合水栓をいいます。
※水優先吐水機能を有する水栓の定義
水優先吐水機能を有する水栓とは、台所水栓及び洗面水栓において、吐水止水操作部と一
体の温度調節を行うレバーハンドルが水栓の正面に位置するときに湯が吐出されない構造
を有するもの、又は吐水止水操作部と一体の温度調節を行うレバーハンドルが水栓の胴の
左右側面に位置する場合は、温度調節を行う回転軸が水平で、かつレバーハンドルが水平か
ら上方 45°に位置する時に湯が吐出されない構造を有するもの、又は湯水の吐水止水操作
部と独立して水専用の吐水止水操作部が設けられた湯水混合水栓をいい、水栓又は取扱説
明書等に水栓の正面位置が判断出来る表示がされているものを対象とします。
※小流量吐水機能を有する水栓の定義
小流量吐水機能を有する水栓とは、浴室シャワー水栓において、「平成 25 年省エネルギ
ー基準に準拠した算定・判断の方法及び解説
録K
Ⅱ
住宅」における「第七章
給湯設備
付
小流量吐水機構を有する水栓の適合条件」を満たす水栓をいいます。
浴槽については、高断熱浴槽の使用の有無を選択します。ここで高断熱浴槽とは、JIS A
5532 に規定する「高断熱浴槽」およびこれと同等以上の性能を有することが確認出来る
ものが対象です。
39
STEP4-2
太陽熱給湯タブ
太陽熱を利用した給湯設備を設置する場合に入力します。この場合「太陽熱温水器を採用
する」または「ソーラーシステムを採用する」のどちらかを選択します。なお、太陽熱利用
給湯設備を採用する場合は、STEP1 の基本情報の入力において年間日射地域区分の指定を
しておく必要があります。
入力事項として、集熱総面積、集熱部の設置方位角、集熱部の設置傾斜角、貯湯タンクの
容量(ソーラーシステム採用時のみ)をそれぞれ入力します。詳細についてはその他解説書
等を参照して下さい。
40
STEP5
照明設備の入力
照明設備の入力は、当該住宅の主たる居室、その他の居室、非居室のそれぞれについて設
置する照明設備(設置の有無、白熱灯の利用有無、制御方式)を選択します。
設置の有無において、「設置しない」を選択すると白熱灯を含む一般的な照明機器が設置
されるものとして計算されます。当該居室に1つでも照明器具を設置することが明らかな
場合は「設置する」を選択します。
「設置する」を選択した際には、白熱灯の使用状況によって選択肢が異なります。全ての
照明機器で白熱灯を使用しないことが明らかな場合には「すべての機器において白熱灯を
使用していない」を選択し、1つでも白熱灯を使用している場合は「いずれかの機器におい
て白熱灯を使用している」を選択します。なお、当該居室で使用する照明機器の仕様が1つ
でも判断出来ない場合や設置することが決定していない場合であっても、設置が計画され
41
ている照明器具が全て白熱灯以外であれば、
「すべての機器において白熱灯を使用していな
い」を選択することが出来ます。なお、ここでいう「白熱灯」とは、一般電球、ハロゲンラ
ンプ、ミニクリプトンランプ等の照明機器を指します。
「多灯分散照明方式」とは、一室に複数の照明設備を分散させ、消費電力の合計を制限し
て設置することで、運用時の消費電力量削減と光環境の向上を図る照明方式を指します。な
お、多灯分散照明方式の採用の有無の判断は、
「すべての機器において白熱灯を使用してい
ない」が選択された場合のみであり、白熱灯が使用されている場合には「採用する」を選択
することは出来ないので注意が必要です。
「調光が可能な制御」とは、照明設備が光束を段階的もしくは無段階で調節できる機能を
指します。照明設備本体が有する調光機能による場合と、照明設備本体とは別の調光器によ
る場合があります。2~3 本の蛍光灯がセットになった照明器具で、スイッチにより点灯本
数を調整する「段調光」も当てはまります。当該居室において1つでもこれに該当する照明
器具が設置される場合には、「採用する」を選択することが可能です。
「人感センサー」とは、人を感知して自動で照明設備を点滅させる機能を指し、非居室の
いずれかに1つでも人感センサーを採用している場合に「採用する」を選択することが出来
ます。なお、ここでは「玄関ポーチ」に設置する照明器具については「非居室」として扱い、
住宅敷地内の外構や門扉に設置する照明器具は対象とならないことに注意が必要です。
42
STEP6
発電設備の入力
発電設備は、
「太陽光発電」タブおよび「コージェネレーション」タブに分かれています
が、ここでは一般的な「太陽光発電」の設置の場合について説明をします。
太陽光発電設備の入力は、当該住宅の年間日射地域区分を確認した上で、方位の異なるパ
ネル面数ごとに太陽電池アレイの仕様によって入力を行います。
「方位の異なるパネル」の面数を選択します(1面(1方位)から4面(4方位)まで)。
同じ方位に複数のパネルを設置する場合で、「太陽電池アレイ設置方式」や「パネルの設置
傾斜角」等の仕様が異なる場合は、異なるパネルとして区別して入力します。入力に際して
は、「太陽電池アレイのシステム容量」の大きいものから順に入力し、4 を超える太陽熱パ
ネルについては、評価対象外とします。
43
ⅰ)太陽電池アレイのシステム容量
太陽電池アレイとは、太陽電池モジュールまたは太陽電池パネルを機械的に一体化し、結
線した集合体をいいます。太陽電池アレイのシステム容量は次の①か②のいずれかに基づ
くものであることを確認します。
①標準太陽電池アレイ出力による場合
ここでいう標準太陽電池アレイ出力とは、JIS C8951「太陽電池アレイ通則」の測定方
法に基づき測定され、JIS C8952「太陽電池アレイの表示方法」に基づいて仕様書または
カタログ等に記載された値です。
②太陽電池モジュール最大出力の合計値による場合
太陽電池アレイのシステム容量は、構成する太陽電池モジュールの最大出力の合計値と
することが出来ます。
ⅱ)太陽電池アレイの種類
太陽電池アレイの種類では、設置する太陽電池アレイの種類が「結晶系」か「結晶系以外」
を選択します。
「結晶系」には単結晶、多結晶、HIT 等が該当し、
「結晶系以外」はこれ以外
の薄膜シリコンや化合物系などが含まれます。どちらに該当するかは製造業者の仕様書や
技術資料等により確認をします。
ⅲ)太陽電池アレイ設置方式
太陽電池アレイ設置方式では、太陽電池アレイを設置する方式により「架台設置型」
、
「屋
根置型」、「その他」のいずれかを選択します。
「架台設置型」は陸屋根等で、架台自体に傾
斜を設けて太陽電池アレイを設置する場合などを想定したもので、屋根面と太陽電池アレ
イの面が平行でない場合を対象とします。「屋根置型」は、架台自体に傾斜を設けず、屋根
勾配なりに太陽電池アレイを設置する場合を対象とします。太陽電池アレイの設置に架台
を介さない屋根材形や屋根一体型は、「その他」を選択します。
図
架台設置型(イメージ)
図
44
屋根置き形(イメージ)
ⅳ)パネル設置方位角
パネル設置方位角は、太陽電池アレイの法線がどの方位に向いているかを選択します。な
お、ここでいう方位は、真北に対する方位とします。
ⅴ)パネル設置傾斜角
「パネル設置傾斜角」は、太陽電池アレイが水平面からどの程度の傾斜角で設置されてい
るかを選択します。なお、選択できる傾斜角は 10°単位なので、1°単位で四捨五入して
選択します。
45
STEP7
計算結果の確認
STEP1 から STEP6 までの各項目の入力が終わったものについて、設計一次エネルギ
ー消費量が計算されます。
また、同条件における基準一次エネルギー消費量が、省エネ基準および低炭素基準のそれ
ぞれについても計算され、表示されます。
クリック
図
クリック
設計一次エネルギー消費量
46
計算結果
また「詳細」をクリックすると、各設備ごとの計算値が表示されます。
図
設計一次エネルギー消費量
計算結果(詳細)
「出力」をクリックすると計算結果が PDF ファイルとなって出力されます。
図
出力結果(1 枚目、2 枚目)
47
【引用文献】
・低炭素建築物認定に係る技術的審査マニュアル(2015 住宅編);(一社)住宅性能評
価・表示協会
48