September 2008 - Linear Technology

LINEAR TECHNOLOGY
SEPTEMBER 2008
本号の内容…
トップ記事
堅牢なスーパーキャパシタおよび
3mm 3mmキャパシタ・チャージャによる、
停電時運転継続アプリケーションの
バッテリの置換え ........................................ 1
Jim Drew
リニアテクノロジーの最新ニュース............. 2
デザイン特集
高速バッテリ充電機能、PowerPath™制御
および効率の良いDC/DCコンバータを
20mm2以下に一体化したパワー・
コントローラの新ファミリー ....................... 4
Sam Nork
リチウムイオン・バッテリの寿命を
延ばす充電方法と放電方法 ....................... 7
Fran Hoffart
従来のパラレル・デバイスに比べて
レイアウトを簡素化する高速データ・
コンバータのシリアル・インタフェース...... 13
Clarence Mayott
車載および産業用アプリケーションに
適した、入力範囲が4V∼38Vの、3mm 3mm
QFNの同期整流式降圧コントローラ....... 16
Mark Mercer
あらゆる種類のバッテリを扱い、高速充電用
に3A/50Wを発生する4mm 4mm QFNの
機能豊富なチャージャ .............................. 18
James A. McKenzie
バックプレーンやカードに搭載する1V∼6V
アプリケーションに最適な3mm 2mm DFN
のデュアルHot Swap™コントローラ ......... 21
CY Lai
ショットキー・ダイオードに比べ電力と
スペースを節約する0V∼18Vの
理想ダイオード・コントローラ.................... 24
Pinkesh Sachdev
ほぼ完全な電源を15mm 9mm 2.8mm
パッケージに収めた、低電圧、高電流降圧
μModule™レギュレータ............................. 28
Judy Sun, Sam Young and Henry Zhang
デザイン・アイデア
.............................................................. 30–36
(詳細なリストは30ページ)
注目の新製品 ............................................. 37
デザイン・ツール......................................... 39
セールスオフィス ........................................ 40
VOLUME XVIII NUMBER 3
停電時運転継続アプリ
ケーションのバッテリを
堅牢なスーパーキャパシタと
3mm 3mmキャパシタ
・
チャージで置換える
by Jim Drew
はじめに
スーパーキャパシタ(またはウルトラ
キャパシタ)は、短時間のエネルギー保
存のアプリケーションや間欠的高エネ
ルギー・パルスを必要とするアプリケー
ションに用途を広げています。このよう
なアプリケーションの1つは停電時運転
継続
(power ride-through)
回路で、
主電源が
短時間停電するとバックアップ・エネル
ギー源が割り込んできて負荷に給電しま
す。この種のアプリケーションはこれま
でバッテリによって支配されてきました
が、電気二層キャパシタ(EDLC)が、ファ
ラッド当りの価格、サイズ、および容量当
りの等価直列抵抗(ESR/C)が下がり続け
ているので急速に普及してきています。
バッテリ比較したスーパーキャパシタの
利点の1つは寿命の長さである。
キャパシ
タのサイクル寿命は500,000サイクル以
上と見積もられているが、バッテリはわ
ずか数百サイクルで規定される。このた
め、スーパーキャパシタは
「設置したら忘
れてよい」
理想的なデバイスであり、
保守
はほとんどもしくは全く不要。
型10ピン3mm 3mm DFNパッケージで供
給され、プログラム可能な充電電流、自動
セル電圧バランシング、スーパーキャパ
シタに対する低流出電流および特許出願
中の低ノイズ、固定電流チャージャを備
停電時運転継続アプリケーションでは、 えています。
直列に積み上げたキャパシタを充電し、
セル電圧をバランスさせる必要がありま スーパーキャパシタの特性
す。スーパーキャパシタは必要なとき電 スーパーキャパシタは様々なサイズで
力経路にスイッチを介して接続され、負 供給され、たとえば、10F/2.7Vのスーパー
荷への電力はDC/DCコンバータによ っ キャパシタは10mm 30mmの2端子ラジ
て制御されます。LTC3225スーパーキャ アルキャン(radial can)で供給され、ESR
パシタ・チャージャは、それを停電時運転 は25mΩですが、ESRが1.6mΩの350F/2.5V
継続アプリケーションに最適なものにす スーパーキャパシタはDセル・バッテリ
る多くの特長を備えています。これは小 のフォームファクタで供給されます。
3ページに続く
L、L、LT、LTC、LTM、Burst Mode、OPTI-LOOP、Over-The-TopおよびPolyPhaseはリニアテクノロジー社の登録商標です。
Adaptive Power、Bat-Track, BodeCAD、C-Load、DirectSense、Easy Drive、FilterCAD、Hot Swap、LinearView、μModule、Micropower
SwitcherCAD、Multimode Dimming、No Latency ΔΣ、No Latency Delta-Sigma、No R SENSE、Operational Filter、PanelProtect、
PowerPath、
PowerSOT、
SmartStart、
SoftSpan、
Stage Shedding、
SwitcherCAD、
ThinSOT、TimerBlox、
True Color PWM、
UltraFastお
よびVLDOはリニアテクノロジー社の商標です。他の製品名はその製品を製造する会社の商標であることがあります。
L 最新ニュース
リニアテクノロジーの最新ニュース…
リニアテクノロジーのAnalog Channel
読者は今月からウェブでリニアテクノロジーのAnalog Channelに
チャネルを回すことができます。このチャネルは、業界の著名な
アナログ分野の指導的技術者による広範なトピックスをカバー
するビデオのデザイン・アイデア・シリーズで開始されます。ビデ
オを見るには、リニアテクノロジーのウェブサイトwww.linear.com/
LTchannelまたはEDN誌のウェブサイトwww.edn.com/videocast/video_
tech_clips.htmlをご覧ください。新しいビデオが定期的に追加され
ますので、www.linear.com/mylinearでときどきチェックするか、登録
しておいて、新しいビデオが出るたびにリニアテクノロジーから
Linear Insiderの電子メールで通知を受け取ってください。
以下のビデオをご覧下さい。現在オンラインで利用できます。
Direct Paralleling, High Power Density LDO(直接並列接続で
きる高電力密度LDO)、Robert Dobkin、エンジニアリング担
当副社長およびチーフ・テクニカル・オフィサー
LT3080はリニア・レギュレータの新しいアーキテクチャです。優れ
たレギュレーションを与え、
出力の調節は簡単で、
1個の抵抗を使っ
てゼロまで出力を調節することができます。このアーキテクチャ
は、
全て表面実装のアプリケーションの
「ヒートシンクなし」
動作の
ために、レギュレータを簡単に並列接続することを可能にします。
LT3080のビデオでは、回路動作とともに、並列接続、熱の拡散、汎用
電源および電流源のアプリケーションを取り上げています。
回路には、熱電対の負端子をドライブする冷接点補償回路と、12
ビットまたは16ビットADCの入力スパン全体を使うのに十分な
利得の低オフセットのアンプを使います。
リニアテクノロジーのLTC2492は熱電対装置の設計を簡素化しま
す。シンプルなフィルタおよび保護回路が、堅牢ですぐ使えるメー
タを作製するのに必要な全てです。ソフトウェアをいくらか工夫
すれば、
冷接点補償と熱電対の非線形出力を処理してくれます。
Investment in Environment
(環境への投資)賞
リニアテクノロジーのLTC4151高電圧I 2C電流および電圧モニ
タは、英国のElectronic Product Design誌のE-Legacy Investment in
Environment賞の最終候補に選ばれました。この賞は環境に配慮し
た製品を開発しているエレクトロニクス関連企業にスポットを
当てています。
省電力がますます重要になっている世界で、設計者は最終製品
の運用の全体的影響やコストに広く配慮する必要があります。
電力消費の精確なモニタは、高電圧システムの電力要件を理解
して管理し、資源の浪費を防ぐための情報を与えます。
High Voltage, Low Noise, DC/DC Converters: A Kilovolt with
100μV of Noise
(高電圧、低ノイズ、DC/DCコンバータ:1キロボ
ルトで100μVのノイズ) with Jim Williams、スタッフ・サイエ
ンティスト
光電子増倍管(PMT)、アバランシェ・フォトダイオード(APD)、超
音波トランスジューサ、容量マイクロホン、放射能検出器などの機
器は高電圧、低電流バイアスを必要とします。さらに、この高電圧
はノイズで汚染されてはなりません。1ミリボルト以下が通常の要
件で、ときには数百マイクロボルト以下が要求されます。このビデ
オは、出力が200V∼1000Vで、100MHzの帯域幅で測定した出力ノ
イズが100μV以下の回路を詳しく解説しています。特殊な技法、と
りわけ高周波高調波成分を最小にするよう最適化された電力段が
この性能を可能にします。負荷電流がめったに5mAを超えないこ
とも、低ノイズを達成するのを助けています。このように自由なの
で、通常は実際的でない出力フィルタリングの方法が許されます。
プレゼンテーションはラボ・ベースの回路によるノイズ測定のデ
モンストレーションで締めくくられています。
A Thermocouple Meter Reference Design Using the LTC2492 Delta
Sigma ADC
(LTC2492デルタシグマADCを使った熱電対メータ
の参照設計 Mark Thoren、アプリケーション・エンジニアリ
ング・マネージャ、ミックスシグナル製品担当
熱電対はおそらく最も広く使われている温度センサーです。それ
らは非常にシンプルで堅牢ですが、出力が非常に小さく、摂氏1
度当り数十マイクロボルトしかありません。従来、熱電対の測定
2
LTC4151はHot Swap ™ コントローラの高電圧能力を12ビット
A D C の 精 度 と 組 み 合 わ せ る こ と に よ り 、従 来 の 電 流 検 出 ソ
リューションの既成概念を打ち破りました。LTC4151は、単なる
電流測定や電圧測定自体ではなく、7V∼80Vで真の電力測定を
与えます。これは設計者にシステムの過負荷や電力損失に対し
て警報を発するので、高電圧アプリケーションでは非常に価値
あるデータです。LTC4151は広い範囲のアプリケーションに最適
です。最大80Vまで測定することにより、LTC4151は、産業用、テ
レコムおよび自動車用信号を48Vで精確に測定することができ、
80Vまでの過渡サージに耐えます。この電力モニタは 10%の許
容誤差(79.2V)で72Vシステムを測定することもできます。低い
方は7Vまで測定することにより、LTC4151は10Vおよび12Vの産
業用システムを精確にモニタすることができます。L
Linear Technology Magazine • September 2008
デザイン特集 L
LTC3225、1ページから続く
バッテリに比べたスーパーキャパシタの
利点の1つは寿命の長さです。キャパシタ
のサイクル寿命は500,000サイクル以上
と見積もられていますが、バッテリはわ
ずか数百サイクルで規定されます。この
ため、スーパーキャパシタは「設置したら
忘れてよい」理想的なデバイスとなり、保
守はほとんどもしくは全く不要です。
抗を設定します。これらのパラメータに
基づくと、10F、2.5Vのスーパーキャパシ
タには2.5kのバランス抵抗が必要になり
ます。この抵抗は、充電回路がディスエー
ブルされると、スーパーキャパシタから
1mAの電流を流出させるでしょう。
別の手法は、LTC3225のような電力損失
を生じない能動的セル・バランシング回
どんなアプリケーションでも重要な、 路を使うことです。LTC3225はシャット
スーパーキャパシタの2つのパラメータ ダウン・モードではスーパーキャパシタ
はセル電圧と初期リーク電流です。初期 に対して4μA以下の負荷となり、入力電
リーク電流は、実際は誘電体吸収電流 源が取り去られると1μA以下になりま
で、しばらくすると消失するという意味 す。LTC3225は充電電流が最大150mAで、
では誤称です。スーパーキャパシタの 直列に接続された2個のスーパーキャパ
メーカーは電圧を加えてから100時間後 シタを4.8Vまたは5.3Vのどちらにでも充
のリーク電流を規定しますが、それらの 電し、キャパシタの電圧をバランスさせ
最初の100時間の初期リーク電流は規定 ます。
リーク電流の50倍に達することがありま
す。
停電時運転継続アプリケーション
負荷に定電圧を与えるため、負荷とスー
コンデンサ両端の電圧は動作寿命にか パーキャパシタの間にDC/DCコンバー
なりの影響を与えます。直列に使用する タが必要です。スーパーキャパシタ両端
場合、スーパーキャパシタはセル電圧を の電圧が低下するにつれ、DC/DCコン
バランスさせて、直列コンデンサの1つが バータが引き出す電流が増加して、負荷
過充電になるのを防ぎます。受動セル・ への電力を一定に保ちます。DC/DCコン
バランシングはよく使われるシンプル バータは、その入力電圧が最小動作電圧
な手法ですが、この場合、抵抗がキャパシ (VUV)に達すると、安定化状態から外れ
タ両端に接続されます。この手法の弱点 ます。
は、充電回路がディスエーブルされると、
バランス抵抗を通ってキャパシタが放電 スーパーキャパシタの要件を見積もるに
することです。この方式の目安として、約 は、実効回路抵抗(RT)を決定する必要が
2μA/ファラッドと見積もられるワースト あります。RTは、キャパシタのESRと回路
ケースのリーク電流の50倍にバランス抵 の配電抵抗の和です。
R T = ESR + RDIST
DC/DCコンバータが最小動作電圧のと
き入力電力の10%が実効回路抵抗で失わ
れると想定すると、ワーストケースのRT
は次のようになります。
R T(MAX ) =
0.1 • VUV 2
PIN
DC/DCコンバータの低電圧ロックアウ
ト・スレッショルドでスーパーキャパシ
タ両端に必要な電圧は次のようになり
ます。
VC(UV ) =
VUV 2 + PIN • R T
VUV
次に、必要な停電時運転継続時間(TRT)、
キ ャ パ シ タ の 初 期 電 圧( V C ( O ) )お よ び
V C(UV) に基づいて、必要な実効容量を計
算することができます。
CEFF =
2 • PIN • TRT
VC(0)2 − VC(UV )2
直列接続したキャパシタのバンクの実
効容量は、1個のキャパシタの実効容量
をキャパシタの個数で割ったもので、全
体のESRは全てのESRの和です。
スーパーキャパシタのESRは高い周波数
では減少します。
12ページに続く
Si4421DY
5.0V
D
S
G
22µF
Si4421DY
D
VIN
C+
1µF
COUT
LTC3225
CX
C–
SHDN
2.2µF
VSEL
PROG
+
+
GND
12K
+
10F
10F
VIN1
VOUT1
VIN2
FB1
LTM4616
GND
CTL
STAT
4.87k
1.2V
VOUT2
S
FB2
100µF
100µF
10k
VIN
SENSE
LTC4412
GATE
100µF
ITHM1
G
GND
1.8V
ITHM2
470k
GND
= NESSCAP ESHR-0010C-002R7 OR ILLINOIS CAPACITOR 106DCN2R7Q
図1.5V停電時運転継続アプリケーション
Linear Technology Magazine • September 2008
3
L デザイン特集
高速バッテリ充電機能、
PowerPath制御
および効率の良いDC/DCコンバータを
20mm2以下に一体化した
パワー・コントローラの新ファミリー
by Sam Nork
はじめに
バッテリ駆動の携帯型アプリケーションの
効率の良い電源システムを構築する最速の
方法は、全ての電源制御機能を単一のチッ
プに一体化したIC、つまりパワーマネージ
メント集積回路(PMIC)を使うことです。
PMICは様々な電源(ACアダプタ、USB、
バッテリなど)から電源負荷(デバイス・シ
ステムやバッテリ充電)への電力の流れを
シームレスに管理しながら、
(USBで規定さ
れているような)必要なところでは電流を
制限します。この目的のため、PMICは一般
に内蔵PowerPath™コントロール、DC/DC変
換、バッテリ充電などの機能を備えていま
す。
USB/WALL
4.35V TO 5.5V
TO OTHER
LOADS
USB COMPLIANT
STEP-DOWN
REGULATOR
CC/CV
BATTERY
CHARGER
CURRENT
CONTROL
CHARGE
OPTIONAL
0V
T
LTC3555/LTC3555-X
+
Li-Ion
3.3V/25mA
ALWAYS ON LDO
TRIPLE
HIGH EFFICIENCY
STEP-DOWN
SWITCHING
REGULATORS
5
ENABLE
CONTROLS
0.8V TO 3.6V/400mA
1
0.8V TO 3.6V/400mA
2
0.8V TO 3.6V/1A
3
RST
2
I2C PORT
RTC/LOW
POWER LOGIC
MEMORY
I/O
CORE
µPROCESSOR
I2C
図1.高効率PowerPathマネージャおよびトリプル降圧レギュレータ
表1.リチウムイオン/ポリマー・バッテリ・チャージャ付きパワーマネージメントIC
内蔵コンバータと負荷電流能力
製品番号
PowerPath
トポロジー
インタ
フェース
LTC3555/-1/-3
スイッチング
I2C
1A, 400mA
LTC3556
スイッチング
I2C
400mA
LTC3566
スイッチング
LTC3567
スイッチング
LTC3586*
スイッチング
400mA
LTC3557/-1
リニア
600mA, 400mA
LTC3455
リニア
LTC3558
LTC3559/-1
降圧
昇降圧
LDO
パッケージ
25mA
4mm 5mm
QFN-28
1A
25mA
4mm 5mm
QFN-28
1A
25mA
4mm 4mm
QFN-24
1A
25mA
4mm 4mm
QFN-24
20mA
4mm 6mm
QFN-38
25mA
4mm 4mm
QFN-28
Controller
4mm 4mm
QFN-24
2
2
I2C
2
1A
2
600mA, 400mA
400mA
400mA
昇圧
400mA
2
0.8A
3mm 3mm
QFN-20
3mm 3mm
QFN-16
*LTC3586のアプリケーションに関しては、この号の「デジタルカメラや他の複雑な小型携帯アプリケーション向けの完全な電源ソリューション」
を参照してください。
4
Linear Technology Magazine • September 2008
デザイン特集 L
700
600
CHARGE CURRENT (mA)
PMICは、MP3プレーヤやBluetoothヘッド
セットなどの民生電子機器から特殊な携
帯型の医療機器や産業用装置に至るまで、
何にでも応用することができます。
500
BATTERY CHARGE CURRENT
EXTRA CURRENT
FOR FASTER CHARGING
500mA USB CURRENT LIMIT
400
リニアテクノロジーから供給されている
300
内蔵チャージャとDC/DCの多様な組合せ
200
を表1に示します。ファミリーへ最近追加さ
VBUS = 5V
100 5X MODE
れたものは(LTC3555、LTC3556、LTC3566、
BATTERY CHARGER PROGRAMMED FOR 1A
LTC3567およびLTC3586)主に比較的高電
0
4.2
2.8
3.2 3.4 3.6
3.8
4
3
力のリチウムイオン・アプリケーションを
BATTERY VOLTAGE (V)
ターゲットにしており、高電流レベルで
図2.500mA入力電流制限下のスイッチング・
高効率が可能なブロックを備えています。 パワーマネージャによる充電電流と
(*LTC3586のアプリケーションに関して バッテリ電圧。ピーク充電電流 = 700mA。
は、この号の「デザイン・アイデア」のセク
ションの「デジタルカメラや他の複雑な小 (スイッチングPowerPathアーキテクチャの
型携帯アプリケーション向けの完全な電源 詳細については、
「LTマガジン」の2008年6月
ソリューション」を参照してください。)
号のトップ記事「スイッチングPowerPathマ
ネージャを使ったリチウムイオン・バッテ
新しいデバイスの最も注目すべき特長は、
独 リ充電の高速化と熱の削減」を参照してく
自のスイッチングPowerPathデザインが使わ ださい。)
れていることで、これにより、リニアな電力
経路やバッテリを使ったソリューションに たとえば、大容量バッテリ(1Ahr以上)を
比べて効率が改善されます。
搭載した携帯製品は、
( 特にリニア充電方
法が使われる場合)充電時間とチャージャ
利用可能な外部電源を効率よく利用する の電力損失の間のトレードオフに直面し
ます。比較的低い充電電流では、リニア・
スイッチングPowerPathコントロール
充電を加速するため、リニアテクノロジー チャージャは中程度の電力を消費します
の新しいPMICのいくつかにはユニークな が、大容量のバッテリを短時間で充電する
電流制限された同期整流式降圧スイッチ のに必要な電流では、リニア・チャージャ
ング・チャージャ・アーキテクチャが採用 は2W以上消費することがあります。
されていますが、これは他のトポロジーよ
り多くの電力をUSBまたはACアダプタか スイッチングPowerPathトポロジーは広く
ら利用します。これは、バッテリ駆動やリ 使われているリニアPowerPathトポロジー
ニアなPowerPath制御方式に比べて大きな に比べて改善されており、また両方とも
改善です。
バッテリ駆動アプリケーションに比べて
改善されています。リニアPowerPathはバッ
T
LTC3556
ALWAYS ON LDO
DUAL HIGH EFFICIENCY
BUCKS
HIGH EFFICIENCY
BUCK-BOOST
3
100
I2C PORT
1
2
3
80
OPTIONAL
0V
CHARGE
I2C
リニア・チャージャの場合の60%程度に対
して、完全に放電したバッテリで80%を超
える充電効率を達成可能です。つまり、ス
IOUT3 = 50mA
90
CC/CV
BATTERY
CHARGER
SEQ
これらの新しいPMICの主要属性は、USB
準拠を保証するための、ロジックでプログ
ラム可能な入力電流制限付きのバッテリ・
トラッキング(Bat-Track™)同期整流式降圧
デザインです。USBまたはACアダプタ電源
を利用できるとき、LTC35xxパワーマネー
ジャはVBAT+300mVに等しいV OUT電源を
発生します。300mVの電圧差はバッテリ・
チャージャをドロップアウト状態のちょ
うど外に保ち、プログラムされた充電電流
を高効率で供給するのに十分です。リニ
ア・パワーマネージャの場合と同様、まず
負荷電流が供給されてから、残された電流
がバッテリに振り向けられます。入力電流
制限は、絶対電流を設定する外部抵抗と、
比を制御する(たとえば、100mA、500mA、
1Aおよび一時停止)2つのロジック・ピンを
介して制御されます。
TO OTHER
LOADS
USB COMPLIANT
STEP-DOWN
REGULATOR
ENALL
USBは今では一般的な電源ですが、USBのホ
ストからの充電/給電はホストの2.5Wの制限
のため複雑です。制限されたUSB電源の長所
を活かすには、
電力経路の全部品ができるだ
け効率が良くなければなりません。
+
Li-Ion
3.3V/25mA
0.8V TO 3.6V/400mA
0.8V TO 3.6V/400mA
2.5V to 3.3V/1A
PGOODALL
RTC/LOW
POWER LOGIC
EFFICIENCY (%)
USB/WALL
4.5V TO 5.5V
テリ自体ではなく外部電源から直接アプ
リケーションに給電し、バッテリが故障す
るか取り去られたとき(負荷電流が入力電
流制限を超えない限り)
「瞬時オン」能力を
与えます。ただし、リニア・チャージャとリ
ニア・パワーマネージャのどちらも、特定
の条件では効率が低いため高電流充電に
は適していません。
MEMORY
CORE
µP
HDD/IO
70
IOUT3 = 200mA
IOUT3 = 1000mA
60
50
40
30
20
10
0
VOUT3 = 3.3V
TA = 27°C
2.7
3.1
3.5
3.9
4.3
VIN3 (V)
4.7
3556 TA01
図3.1A昇降圧の効率とVIN
(LTC3556、LTC3566/7、LTC3586)
Linear Technology Magazine • September 2008
5
L デザイン特集
イッチング電力経路は、最悪条件でリニ
ア・チャージャが失う電力のわずか50%し
か失いません。
LTC35xxスイッチング・パワーマネージャ
は最大1.2Aで充電し、外部電源が取り去ら
れたときは、バッテリ電源にシームレス
に切り替えることができます。USBアプリ
ケーションでは、スイッチングPowerPath
コントローラは(固定電流とは対照的に)
固定電力なので、図2に示されているよう
に、500mAに固定されたUSB入力電源から
500mAを超える電流で充電することが可
能になります。
USB/WALL
4.5V TO 5.5V
CURRENT
CONTROL
昇降圧が必要ですか? お任せください…
CC/CV
BATTERY
CHARGER
OPTIONAL
0V
CHARGE
T
LTC3586
+
Li-Ion
3.3V/20mA
ALWAYS ON LDO
EN
4
ILIM
3
HIGH EFFICIENCY
BOOST
4
2.5V to 3.3V/1A
I/O
SYSTEM
5V/800mA
AUDIO/
MOTOR
2
FAULT
図4.高効率PowerPathコントローラ、常時オンLDO、デュアル降圧、昇降圧、
および昇圧を全て4mm 6mmパッケージに収めたLTC3586
これは3.3V電源には問題となり、バッテリ
はまだかなり充電されていても、3.3V電源
が安定化状態から外れることがあります。
このような場合、昇降圧レギュレータはこ
のようなバッテリ過渡を乗り切って事態
を収拾することができ、何事もなかったか
のように安定化を維持します。いくつかの
新しいPMICは特にこの目的の昇降圧DC/
DCを内蔵しています。図3に示されている
ように、PMICの昇降圧レギュレータは、
2.7V∼5.5Vの範囲の入力で高効率3.3V出力
を供給することができます。
ほとんどのハイエンド携帯製品は少なく
とも3つの主要電源を必要とします。1つは
μPコア用(約1.0V∼1.5V)、1つはメモリ用
(約1.8V)、さらに1つはI/Oおよびメイン・
システム電源用(約3.3V)です。LTC3555は、 LTC3566とLTC3567の両製品は、基礎とな
これら3つを全て、その3つの内蔵同期整流 る高性能ビルディング・ブロックとしての
式降圧レギュレータによってカバーしま 高性能スイッチングPowerPathコントロー
す。ただし、アプリケーションによっては、
特に機能の豊富な種類では、無線通信時や
CHRGEN
ハードディスクの回転加速時のピーク電
力過渡に時々直面します。これらの過渡電
流の間、バッテリの直列抵抗(BSR)、トレー
ス・インピーダンスまたは電力経路の損失
ILIM
によりバッテリの実効電圧が下がります。
ラに加えて、1A昇降圧電源を内蔵していま
す。LTC3556はさらに集積化を進め、チャー
ジャと昇降圧電源に添えて2個の400mA
降圧レギュレータを搭載しています。
LTC3586はLTC3556の全プロックを内蔵し
ていますが、集積化をさらに一歩進めてい
ます…
追加の5V昇圧が必要ですか?
LTC3586はそれを搭載しています
昇降圧レギュレータは5V電源を安定化する
ことができますが、
アプリケーションによっ
ては両方を必要とします。
このニーズを満た
すため、LTC3586は、低電圧レギュレータ一
揃いだけでなく、
高電力同期整流式昇圧コン
バータも1個内蔵しています
(図5)
。
15ページに続く
VIN1
ENABLE
SWAB1
MODE
D/A
DECODE
LOGIC
VOUT1
L
CHRGEN
VIN4
1A, 2.25MHz
BUCK-BOOST
REGULATOR
SWCD1
DVCC
LTC3586
SDA
VOUT4
CPL
R1
COUT
FB4
R2
図5.昇圧コンバータのアプリケーション回路
6
4
EN1
SW4
MEMORY/
CORE µP
0.8V TO 3.6V/400mA
2
HIGH EFFICIENCY
BUCK-BOOST
RTC/LOW
POWER LOGIC
0.8V TO 3.6V/400mA
1
DUAL HIGH EFFICIENCY
BUCKS
MODE
高電流レギュレータと連携する
高電流チャージャ
高性能バッテリ・チャージャの明らかな同
伴者は、同様のピーク電流処理と高効率を
備えた、対応する一組のDC/DCレギュレー
タです。表1に示されているように、最新
のPMICは多様なトポロジーの1個∼4個の
DC/DCを提供し、ピーク電流が1Aに達しま
す。新しいデバイスは、特定のアプリケー
ションの高性能のニーズを満たすため、
様々な特定のオプションを備えています。
TO OTHER
LOADS
USB COMPLIANT
STEP-DOWN
REGULATOR
FB1
I2C PORT
VC1
SCL
GND
6, 12, 17, 25
図6.LTC3567のI/OおよびDC/DC出力電圧制御のインタフェース
Linear Technology Magazine • September 2008
デザイン特集 L
リチウムイオン・バッテリの寿命を延ばす
充電方法と放電方法
by Fran Hoffart
はじめに
最小の物理サイズで製品の動作時間を り、環境にやさしく、充電と保守が簡単だ
最長にするリチウムイオン・バッテリの からです。また、比較的電圧が高いので
容量増加にこれまで力点が置かれてきま (2.5V∼4.2V)、多くの携帯型製品は単一
したが、長いバッテリ寿命、充電サイクル セルで動作可能であり、そのため製品全
数の増加、高い安全性がバッテリ容量よ 体のデザインが簡素化されます。
り重要な場合があります。この記事では、
バッテリ寿命を大きく伸ばすことができ リチウムイオン・バッテリの基本事項
るリチウムイオン・バッテリの充放電に バッテリ寿命延長のためのバッテリ・
関係した手法を取り上げます。
チャージャの役目について述べる前に、
リチウムイオン・バッテリについて簡単
リチウムイオン・ポリマー・バッテリを に振り返っておく必要があります。リチ
含むリチャージャブル・リチウムイオン ウムは軽金属の1つであり、最も反応性に
は実際上全ての高性能携帯製品で見られ 富むものの1つです。電気化学的ポテン
ますが、その理由は十分納得できるもの シャルが最も高いので、バッテリに理想
です。他のリチャージャブル・バッテリに 的な素材です。
比べて、リチウムイオン・バッテリのエネ
ルギー密度は最高で、セル電圧が高く、自 リチウムイオン・バッテリは金属状態の
己放電が低く、サイクル寿命が優れてお リチウムは含んでいませんが、代わりに
文字 C
文字 C はバッテリ用語で、バッテリ・メーカーが表示しているバッテリの放電容
量を指すのに使われ、mAhで測られます。たとえば、定格2000mAhのバッテリは、
2000mA負荷に1時間供給するとセル電圧がそのゼロ容量電圧に下がります。同
じ例では、C/2レートでのバッテリ充電は1000mA(1A)での充電を意味します。文
字 C は必要な適正充電電流とバッテリを満充電するのに必要な時間を決定する
ので、バッテリ・チャージャでは重要です。最小充電電流終了方法を論じる場合、
C/10終了を使った2000mAhバッテリは、充電電流が200mAより下に下がると充電
サイクルが終了します。L
リチウムイオンを使い、これは充電およ
び放電の間バッテリの正の電極(カソー
ド)と負の電極(アノード)の間で往復運
動を続けます。
リチウムイオン・バッテリの種類
多くの異なった種類のリチウムイオン・
バッテリがありますが、現在製造中の最
も普及している種類は3つに絞ることが
でき、全てバッテリで使われるカソード
の材質に関係しています。リチウム・コ
バルトの素材は、主に充電容量が大きい
ため、ラップトップ、カメラおよび携帯
電話で普及しています。他の素材は、
(安
全性が懸念されたり、コストが問題とな
る)高い放電電流が必要な場合に使われ
ます。また、開発中の新しいハイブリッ
ド・リチウムイオン・バッテリは、各素材
の化学的性質の利点を活かすため、電極
材の組合せを使います。
いくつかの他のバッテリ素材とは異な
り、リチウムイオン・バッテリ・テクノ
ロジーはまだ成熟していません。現在の
バッテリよりさらに大きな容量、長い寿
命、改善された性能の新しい種類のバッ
テリの研究が進められています。
表1.普及しているリチウムイオン・バッテリ
カソードの素材
リチウムコバルト酸化物
(最も一般的)
利点
❏ 高容量
❏ 低ESR
リチウムマンガン酸化物
❏ 高い充放電レート
❏ 高温動作
❏ 本質的に安全性が高い
❏ 非常に低いESR
硫化リチウム
(最新、A123やサフィオン)
❏ 非常に高い充放電レート
❏ 高温動作
❏ 本質的に安全性が高い
Linear Technology Magazine • September 2008
弱点
❏ 低い充放電レート
❏ 高いコスト
❏ 低容量
❏ 低い寿命サイクル
❏ 短い寿命
❏ 低い放電電圧
❏ 低いフロート電圧
❏ 低容量
7
L デザイン特集
表1には、各バッテリの種類のいくつかの
重要な特性が示されています。
リチウムイオン・ポリマー・バッテリ
リチウムイオン・ポリマー・バッテリは、
標準的リチウムイオン・バッテリと同様
に充放電され、似た特性を備えています。
両者の間の主な違いは、標準リチウムイ
オン・バッテリで使われている液体電解
質に固体イオン伝導性ポリマーが置き換
わっていることです。ただし、ほとんどの
ポリマー・バッテリは、内部セル抵抗を下
げるため電解質ペーストも含んでいま
す。液体電解質の除去により、ポリマー・
バッテリは、標準的リチウムイオン・バッ
テリに必要な重いメタルケースではな
く、フォイル袋に収納することができま
す。非常に薄い形状など多くの異なった
形状でバッテリを製造でき、製造コスト
が低いので、リチウムイオン・ポリマー・
バッテリは広く普及しつつあります。
リチウムイオン・バッテリにとって最悪の
場所の1つはおそらく、
チャージャを接続
した状態で毎日デスクトップで使用さ
れるラップトップ・コンピュータであろう。
ラップトップは一般に温かい状態で、そ
れどころか熱い状態でさえ動作するの
で、バッテリ温度は上がり、チャージャ
はバッテリを100%充電に近い状態に保
つ。これら両方の条件はバッテリの寿命
を短くする。
充電と放電は最終的にはバッテリの活性
物質を減らし、他の化学変化が生じ、その
結果、内部抵抗が増加し、永久的に容量が
失われます。バッテリは使用されず、棚に
置かれたままでも永久に容量を失うこと
があります。永久的容量低下はバッテリ
電圧を4.2V(満充電状態)近くに保って高
い温度に置くとき最大になります。
バッテリ寿命
保存寿命を最大にするには、バッテリは
40%の充電状態(3.6V)で40 F(冷蔵庫)で
保存します。リチウムイオン・バッテリ
にとって最悪の場所の1つはおそらく、
チャージャを接続した状態で毎日デスク
トップで使用されるラップトップ・コン
ピュータでしょう。ラップトップは一般
に温かい状態で、それどころか熱い状態
でさえ動作するので、バッテリ温度は上
がり、チャージャはバッテリを100%充電
充電/放電サイクル数は一般にバッテリ に近い状態に保ちます。これら両方の条
の寿命を表すのに使われますが、サイク 件ともバッテリ寿命を短くし、半年から1
ル寿命とバッテリ寿命(サービス寿命) 年に短くなることもあります。
は、時間の長さとして異なることがあり
ます。
全てのリチャージャブル・バッテリは損耗
しますが、リチウムイオン・セルも例外で
はありません。
バッテリ・メーカーは、
バッ
テリ容量が定格容量の80%に低下したと
きバッテリの寿命が終わると通常考えま
す。ただし、バッテリは80%の充電容量よ
り下でも利用可能な電力を供給すること
ができますが、
動作時間が短くなります。
定電流
定電圧
CHARGE CURRENT (A)
90
4.0
2.5
80%
2.0
60%
1.5
40%
1.0
20%
0.5
0
0
70
充電容量
3.0
100%
80
チャージャのフロート電圧
3.5
60
50
40
充電電流
30
20
充電レート = 1C
0
0.5
1
1.5
2
2.5
CHARGE TIME (HOURS)
10
3
0
CHARGE CAPACITY (%)
CELL VOLTAGE
100
4.5
コンピュータをデスクトップで使用する
ときは、可能なら、バッテリを取り外し、
ACアダプタを使用してラップトップに
給電します。適切に扱われたラップトッ
プ・バッテリのサービス寿命は2∼4年、ま
たはそれ以上に及ぶことがあります。
リチウムイオン・バッテリの容量低下
バッテリ容量の低下には、回復可能な低
下と永久的低下の2種類があります。満
充電後、リチウムイオン・バッテリは一般
に、最初の24時間に約5%の容量を失い、
その後自己放電により1ヶ月当り約3%を
失い、さらに、バッテリ・パックにパック
保護回路が備わっていると1ヶ月当り追
加の3%を失います。これらの自己放電に
よる低下はバッテリが約20℃に保たれる
とき起きますが、温度が高いと、またバッ
テリの加齢によっても大きく増加しま
す。この容量低下はバッテリを再充電す
ることにより回復することができます。
永久的容量低下は名称が示唆するよう
に、永久的であり、充電によって回復す
ることはできません。この低下はバッテ
リ寿命に関係しています。永久的容量低
下が約80%に低下すると、バッテリは寿
命を終えたと見なされるからです。永久
的容量低下は主に、最大充電/放電サイク
ル数、バッテリ電圧およびバッテリ温度
に起因します。バッテリが4.2V、つまり
100%の充電レベル(硫化リチウムイオン
の場合はもっと低い)の近くに留まる時
間が長いほど、容量低下が急速に進みま
す。このことは、バッテリが充電中であろ
うが、4.2Vに近い電圧で完全に充電され
た状態に単に置かれているだけであろう
が当てはまります。リチウムイオン・バッ
テリを満充電の状態に常に保つと寿命が
短くなります。バッテリの寿命を短くす
る化学変化はバッテリが製造されたと
きに始まり、これらの変化は高いフロー
ト電圧と高い温度によって加速されま
す。永久的容量低下は避けられませんが、
バッテリの充電時、放電時、または単に保
存時に適切なバッテリの扱い方を守るこ
とにより、最小に抑えることができます。
部分的放電サイクルを使うとサイクル寿
命を大きく延ばすことができ、100%容量
より少なく充電するとさらにバッテリ寿
命を延ばすことができます。
図1.充電電流、電圧および容量を示す標準的充電プロフィール
8
Linear Technology Magazine • September 2008
デザイン特集 L
リチウムイオン・バッテリのサイクル
寿命またはサービス寿命を決める要因
バッテリ寿命はいくつかの要因の組合せ
によって影響を受けます。バッテリの寿
命を延ばすには、以下の手法のいくつか
を使います。
q 部分的放電サイクルを使います。再充電
の前にバッテリ容量のわずか20%か30%
だけ使うと、サイクル寿命が大幅に延び
ます。一般則として、5回∼10回の浅い放
電サイクルは1回のフル放電サイクルに
相当します。部分的放電サイクルは数千
回に達することがありますが、同時に
バッテリを満充電状態に保つとバッテ
リ寿命が短くなります。完全な放電サイ
クル(種類により2.5Vまたは3Vにまで
下がる)はできれば避けます。
q 100%容量まで充電することは避けま
す。低いフロート電圧を選択すること
によりこれを行うことができます。フ
ロート電圧を下げると、バッテリ容量
の減少を代価にして、サイクル寿命と
サービス寿命が延びます。フロート電
圧を100mV∼300mV低下させると、サ
イクル寿命を5倍以上延ばすことがで
きます。リチウムイオン・コバルトの化
学的素材は他の化学的素材より高いフ
ロート電圧に敏感です。燐酸リチウム
イオン・セルのフロート電圧は、もっと
一般的なリチウムイオン・バッテリよ
り低くなります。
q 正しい充電終了方法を選択します。最
小充電電流終了(C/10またはC/x)を使う
チャージャを選択しても、100%容量ま
で充電しないのでバッテリ寿命を延ば
すことができます。たとえば、電流がC/5
まで低下したら充電サイクルを終了す
る方法は、フロート電圧を4.1Vに下げ
る方法に似ています。両方の場合とも、
バッテリは容量の約85%まで充電され、
全体のバッテリ寿命を大きく改善する
ことができます。
q バッテリ温度を制限します。高温はバッ
テリ内部の化学変化を加速し、バッテ
リ寿命を短くしますが、0℃以下での充
電はバッテリのアノードのメタルめっ
きを促進し、内部の短絡へと進むこと
があり、熱を発生し、バッテリを不安定
Linear Technology Magazine • September 2008
にし、安全性が失われます。多くのバッ
テリ・チャージャはバッテリ温度を測
定できるようにしてあり、高温や低温
での充電が起きないように保証してい
ます。
q 高い充放電電流はサイクル寿命を短く
するので避けます。高電流はバッテリ
に過度のストレスを与えます。リチウ
ムマンガンや燐酸リチウムなどいくつ
かの化学的素材は高い電流に適してい
ます。
テリはバッテリ・パック内部に電子回
路を備えており、バッテリ電圧が2.5V
を下回るか、4.3Vを超えるか、または充
電時や放電時にバッテリ電流が予め定
められたスレッショ ルドを超えると、
バッテリ接続をオープンにします。
リチウムイオンの充電方法
リチウムイオン・バッテリの推奨充電方
法は、バッテリが完全に充電されるまで
1%で電圧制限された定電流をバッテ
リに供給し、それから停止することです。
バッテリが完全に充電されたときを決定
q 2Vまたは2.5Vより下の非常に深い放 するのに使われる方法には、全充電時間
電は避けます。これはリチウムイオン・ のタイミング、充電電流のモニタ、または
バッテリに急速に永久的損傷を与える これら両者の組合せが含まれます。
からです。内部メタルめっきが発生し
て短絡が生じることがあり、バッテリ 最初の方法は、電圧制限されたC/2∼1C
が使えなくなり、また安全性が失われ の定電流を2.5∼3時間供給し、バッテリ
ます。ほとんどのリチウムイオン・バッ を100%充電された状態にします。
表2.バッテリ寿命を延ばすために低いフロート電圧を供給するバッテリ・チャージャ
製品
説明
フロート電圧
LTC1730-4.1
パルス・チャージャ
LTC1731-4.1
リニア・チャージャ・コントローラ
4.1V
LTC1731-8.2
2セル・リニア・チャージャ・コントローラ
8.2V
LTC1732-4.1
リニア・チャージャ・コントローラ
4.1V
LTC1733-4.1
リニア・チャージャ
4.1V
LTC1734-4.1
リニア・チャージャ
4.1V
LTC3455-1
リニア・チャージャ/DC-DC/USBマネージャ
4.1V
LTC3555-3
リニア・チャージャ/DC-DC/USBマネージャ
4.1V
LTC3557-1
チャージャとUSBマネージャ
4.1V
LTC3559-1
リニア・チャージャ/デュアルDC-DC
4.1V
LTC4001-1
スイッチング・チャージャ
4.1V
LTC4007, LTC4007-1
4.1V
スイッチング・チャージャ・コントローラ 12.3Vおよび16.4V
LTC4050-4.1
リニア・チャージャ
4.1V
LTC4064-4.0
リニア・チャージャ
4.0V
LTC4066-1
リニア・チャージャとUSBマネージャ
4.1V
LTC4085-1
リニア・チャージャとUSBマネージャ
4.1V
LTC4008
スイッチング・チャージャ・コントローラ
可変
LTC1980
スイッチング・チャージャ・コントローラ
可変
LTC4089-1
HV/高効率チャージャ
4.1V
LTC4098-1
チャージャ/USBマネージャ
4.1V
LTC1760, LTC1960
デュアル・スマート・バッテリ・チャージャ・コントローラ バッテリによって設定
LTC4100
スマート・バッテリ・チャージャ・コントローラ バッテリによって設定
9
L デザイン特集
4.2
2000
100
1000
80
500
安全ではない領域
60
0
4
4.1
4.2
4.3
4.4
4.5
CHARGE TERMINATION (FLOAT) VOLTAGE (V)
図2.チャージャのフロート電圧と
バッテリ容量およびサイクル寿命
4.2Vフロート電圧
90
グラファイト・アノード
3.8
CELL VOLTAGE (V)
容量
BATTERY CAPACITY (%)
1500
4
100
BATTERY CAPACITY (%)
CHARGE/DISCHARGE CYCLES
120
サイクル数
80
4.1Vフロート電圧
70
3.6
カーボン・アノード
3.4
3.2
3V
カットオフ
電圧
3
2.8
60
2.5V
カットオフ
電圧
2.6
0
200
400
600
800
1000
1200
NUMBER OF CHARGE CYCLES
図3.サイクル寿命および容量と
4.1Vおよび4.2Vのフロート電圧
もっと低い充電電流を使うこともできま
すが、
もっと時間がかかります。
標準的リチウムイオンの充電プロフィー
ルに関しては、
図1を参照してください。
2番目の方法は似ていますが、充電電流の
モニタが必要です。
バッテリが充電するに
したがい、
最初の方法と全く同様に電圧が
上昇します。
プログラムされた電圧リミッ
ト(これはフロート電圧とも呼ばれます)
に達すると、充電電流が低下し始めます。
最初に低下し始めるとき、バッテリは約
50%∼60%に充電されています。
フロート
電圧が引き続き与えられ、
充電電流が十分
に低いレベル(C/10∼C/20)にまで下がる
と
(このときバッテリは約92%∼99%充電
されています)、充電サイクルが終了しま
す。
現在、
標準的リチウムイオン・バッテリ
を100%の容量まで高速で(1時間以内に)
充電する安全な方法はありません。
バッテリのフロート電圧を
決めるのは何か
バッテリのフロート電圧の主要決定要因
はバッテリのカソードに使われる活性物
質の電気化学的ポテンシャルです。
リチウ
ムの場合これは約4Vです。他の複合体を
追加すると、
この電圧が上昇したり低下し
たりします。2番目の要因は、セル容量、サ
イクル寿命、
バッテリ寿命および安全性の
間のトレードオフです。図2に示されてい
る曲線は、
セル容量とサイクル寿命の関係
を示しています。
0
20
40
60
80
100
DISCHARGE CAPACTY (%)
図4.異なるアノード材のリチウムイオン
放電電圧のプロフィール
電圧との比較を図3に示します。
リチウムイオン・バッテリの化学組成の違
いと、
バッテリの寿命に影響を与えること
がある他の条件によって変化しますので、
ここに示されている曲線は充電サイクル
数とバッテリ容量レベルの推定値にすぎ
ません。バッテリの化学組成が似ていて
も、
異なったメーカーのものはバッテリの
素材や製造方法のわずかな違いにより、
大
きな差を生じることがあります。
バッテリ・メーカーは、
バッテリの容量、
サ
イクル寿命および安全性の仕様を満たす
ためにエンド・ユーザーが使う必要のある
充電方法とフロート電圧を規定していま
推奨フロート電圧を超える充電は推奨
標準的リチウムイオン・セルのほとんどの す。
メーカーは、
容量とサイクル寿命の最良の しません。多くのバッテリにはバッテリ・
最大バッ
妥協としてフロート電圧を4.2Vに設定し パック保護回路が備わっており、
バッテリが完全に充電された後、引き続 ています。
定電圧リミット
(フロート電圧) テリ電圧を超えるとバッテリ接続を一時
一旦オープンした
きバッテリに電圧を加えることは推奨し として4.2Vを使うと、
バッテリ容量が80% 的にオープンにします。
ません。
これは永久的容量低下を加速し、 まで低下する前に、バッテリは一般に約 後バッテリ・パックをチャージャに接続す
通常はパック保護がリセットされま
バッテリを膨張させ、
内部にリチウムのメ 500充電/放電サイクルを与えることがで ると、
バッテリ・パックは、
1セル・バッテリの
タルめっきを生じるおそれがあるからで きます。リン酸リチウムイオン・バッテリ す。
「3.6V」
のように、
通常バッテリの上
はるかに高 場合の
す。
このめっきは内部の短絡に進むことが のフロート電圧はもっと低く、
この電圧はフ
1 に電圧が印刷されています。
あり、過熱状態を生じ、バッテリを熱的に い充電/放電サイクルが可能になります。
バッテリが放電して
不安定にすることがあります。
それに要す 充電サイクルは完全な充電から完全な放 ロート電圧ではなく、
電で構成されます。
複数の浅い放電は合算 いるときの平均バッテリ電圧です。
る時間は数ヶ月です。
されて完全な1充電サイクルになります。
リチウムイオン・バッテリ・チャージャは、
バッテリ寿命を延ばすための
サーミスタを使ってバッテリ温度をモニ 低いフロート電圧または最小充電電流終 バッテリ・チャージャの選択
タすることができます。主目的は、バッテ 了のどちらかを使って100%を下回る容量 バッテリ・チャージャは、バッテリの放電
初期バッテリ容量は下が の深さ、
放電電流およびバッテリ温度を制
リ温度が0℃∼40℃の推奨ウィンドウから まで充電すると、
(これらは全て
外れたら充電を停止することです。NiCd りますが、サイクル数が500を超えて増加 御することはできませんが
バッテリやNiMHバッテリとは異なり、
リ すると、
低いフロート電圧のバッテリ容量 バッテリ寿命に影響を与えます)、多くの
(ときには大
チウムイオン・セルの温度は充電中ほとん の方が高いフロート電圧の容量より大き チャージャはバッテリ寿命を
延ばす機能を備えています。
ど上昇しません。充電電流、バッテリ電圧 くなります。
容量と充電サイクル数に関し 幅に)
およびバッテリ容量と時間の関係を示す て、
推奨フロート電圧と低くしたフロート
10
Linear Technology Magazine • September 2008
デザイン特集 L
バッテリの寿命を延ばすためのバッテリ・ びます。C/5終了レベルはサイクル寿命
チャージャの役割は、
主にチャージャのフ を倍にすることができますが、バッテリ
ロート電圧と充電終了方法によって決ま の充電容量は約85%に低下します。C/10
ります。
リニアテクノロジーのリチウムイ (10%電流スレッショルド)またはC/x(可
オン・チャージャの多くは、 1%(以下)
の 変電流スレッショルド)のどちらかの充
4.2V固定フロート電圧を備えていますが、 電終了モードを提供する、リニアテクノ
可変フロート電圧とともに、4.1Vおよび ロジーのチャージャを表3に掲げます。
4.0Vを提供するものもいくつかあります。
4.2Vのリチウムイオン・バッテリの充電に 長い動作時間と長いバッテリ寿命の
使うとバッテリ寿命を延ばすことが可能 両方を実現できるか
な低いフロート電圧を備えたバッテリ・ 現在のバッテリ・テクノロジーで、バッテ
チャージャを表2に掲げます。
リ・サイズを大きくしない場合、答えは
否です。最大動作時間を得るには、チャー
低いフロート電圧のオプションを提供し ジャはバッテリを100%容量まで充電す
ないバッテリ・チャージャも、バッテリ寿 る必要があります。この場合、メーカーの
命を延ばすことができます。最小充電電 推奨フロート電圧に近いバッテリ電圧
流終了方法(C/10またはC/x)を提供する (標準4.2V 1%)が加えられます。あいに
チャージャは、充電サイクルを終了する く、バッテリをこのレベル近くに充電し
正しい充電電流レベルを選択することに て維持すると、バッテリ寿命が短くなり
より、バッテリ寿命を延ばすことができ ます。1つの解決策はもっと低いフロート
電圧を選択し、バッテリが100%充電され
ます。
ないようにします。ただし、これは同じ動
C/10終了はバッテリを約92%の容量にし 作時間を与えるためにもっと容量の大き
か充電しませんが、最大容量まで充電す なバッテリを選択することを意味しま
るのに比べて、サイクル寿命が大幅に延 す。もちろん、多くの携帯型製品では、サ
イズの大きなバッテリはオプションには
ならないかもしれません。
また、C/10またはC/xの最小充電電流終了
方法を使うと、低いフロート電圧を使っ
た場合と同じ効果をバッテリ寿命に与
えることができます。フロート電圧を
100mV下げると、容量が約15%減少しま
すが、サイクル寿命を2倍延ばすことがで
きます。同時に、充電電流が20%(C/5)に
低下したとき充電サイクルを終了して
も、容量が15%減少し、サイクル寿命が同
じように2倍に延びます。
放電時の標準的リチウムイオン・
バッテリ電圧
予想されるように、放電時、バッテリ電圧
はゆっくり低下します。この放電電圧の
プロフィールと時間の関係は、放電電流、
バッテリ温度、バッテリ年齢、バッテリに
使用されているアノード材の種類など、
多くの事項に依存します。現在、ほとんど
のリチウムイオン・バッテリは石油ベー
スのコークスまたはグラファイトのどち
らかを使用しています。
表3.バッテリ寿命を延ばすために最小充電電流終了方法を備えたバッテリ・チャージャ
製品
説明
終了方法
LTC3550, LTC3550-1
リニア・チャージャおよびDC/DCコンバータ
LTC3552, LTC3552-1
リニア・チャージャおよびDC/DCコンバータ
C/x
LTC4001
スイッチング・チャージャ
C/x
LTC4054, LTC4054X, LTC4054L
リニア・チャージャ
C/10
LTC4058, LTC4058X
リニア・チャージャ
C/10
LTC4061
リニア・チャージャ
C/x or Adj. Timer
LTC4062
リニア・チャージャ
C/x or Adj. Timer
LTC4063
リニア・チャージャ
C/x or Adj. Timer
LTC4068, LTC4068X
リニア・チャージャ
C/x
LTC4075
デュアル入力リニア・チャージャ
C/x
LTC4075HVX
デュアル入力リニア・チャージャ
C/x
LTC4076
デュアル入力リニア・チャージャ
C/x
LTC4077
デュアル入力リニア・チャージャ
C/10
LTC4078
デュアル入力リニア・チャージャ
C/x
LTC4088-1, LTC4088-2
リニア・チャージャ/USBマネージャ
C/x
LTC4096, LTC4096X
デュアル入力リニア・チャージャ
C/x
LTC4097
デュアル入力リニア・チャージャ
C/x
Linear Technology Magazine • September 2008
C/x
11
L デザイン特集
それぞれの電圧プロフィールを図4に示
します。広く使われているグラファイト
材は20%∼80%の容量で平坦な放電電圧
を発生し、端の近くで急速に低落します
が、コークス・アノードの電圧勾配はもっ
と急峻で、カットオフ電圧はもっと低く
2.5Vです。およその残留バッテリ容量は、
コークス材の場合、単にバッテリ電圧を
測定して簡単に決定されます。
並列または直列に接続されたセル
容量を増やすため、リチウムイオン・セル
はよく並列に接続されます。同じ化学組
成、メーカーおよびサイズにすること以
外、特に要件はありません。直列接続した
セルは特に注意が必要です。各セルが同
LTC3225、3ページから続く
メーカーは通常1kHzでESRを規定し、
メーカーによってはDCでの値と1kHz
での値の両方を示しています。スーパー
キャパシタの容量も周波数が増加する
につれて減少し、通常はDCで規定されま
す。1kHzでの容量はDCでの値の約10%で
す。電力が数秒から数分間供給される停
電時運転継続アプリケーションでスー
パーキャパシタを使用するときは、0.3Hz
のような低周波数での実効容量とESRの
測定値を使います。
じフロート電圧および同じ充電レベル
に達するように保証するため、セル容量
の整合とセル・バランシングの回路が多
くの場合必要だからです。個別のパック
保護回路を備えている2つのセルの直列
接続は推奨しません。容量の不整合によ
り、一方のバッテリが過電圧リミットに
達し、バッテリ接続を開く可能性がある
からです。バッテリ・メーカーの適切な回
路を使って組み立てられたマルチセル・
バッテリ・バックを購入します。
放電の深さ、バッテリ温度およびバッテ
リ容量の終了レベルです。利用可能な充
電/放電サイクル数を増やすには、低いフ
ロート電圧を備えたものや充電サイクル
を早目に終了するものなど、100%容量を
下回る充電を可能にするチャージャを選
択します。L
Authors can be contacted
at (408) 432-1900
まとめ
リチウムイオン・バッテリの寿命は多く
の要因によって決まります。それらのう
ち最も重要なのは、バッテリの化学組成、
セルのバランスを維持するのに使われ、
LTC4412は自動切替え機能を与えます。
LTM4616デュアル出力・スイッチ・モー
ドμModule DC/DCコンバータは、1.8Vお
よび1.2Vの出力を発生します。
4.8Vに設定された3個のLTC3225によっ
て充電される6個の直列接続された10F、
2.7Vスーパーキャパシタと150mAの充
電電流を使う12V電源システムを図2に
示します。3個のLTC3225は、LT1737フラ
イバック・コントローラによって発生し
た3つのフロートしている5V出力によっ
て給電されます。6個のスーパーキャパ
アプリケーション
4.8Vに充電され、20Wを保持できる、直 シタで形成されるスタックの出力は、
列接続された2個の10F、2.7Vのスーパー LTC4355デュアル理想ダイオード・コン
キャパシタを図1に示します。LTC3225は トローラを介してダイオードOR接続で
スーパーキャパシタを150mAで充電し、 配線されています。LTM4601A μModule
DC/DCレギュレータは、OR接続された
出力から、1.8V/11Aを発生します。この
アプリケーションのLTC4355のMON1は
10.8Vに設定されます。
まとめ
スーパーキャパシタは、時間要件が数秒
から数分の範囲の停電時運転継続アプリ
ケーションのニーズを満たします。キャ
パシタは、バッテリに比べて寿命が長く、
保守が簡単で、軽量で、環境にやさしい
ソリューションを提供します。この目的
のため、LTC3225は、直列に接続したスー
パーキャパシタの充電とセル・バランシ
ングの小型で低ノイズのソリューション
L
を提供します。
IDEAL DIODE
12V
DC/DC
VIN
LT1737 FLYBACK
M1
IRF7427
DC-A
1µF
LTC3225
DC-B
LT1737
+
+
+
1µF
LTC3225
DC-C
+
GND
+
1µF
+
LTC3225
+
1.8V
LTM4601A
10F
LTC4355
10F
VOUT
GND
GND
GND
UV DETECTOR
10F
10F
10F
10F
= NESSCAP ESHR-0010C-002R7 OR ILLINOIS CAPACITOR 106DCN2R7Q
図2.12V停電時運転継続アプリケーション
12
Linear Technology Magazine • September 2008
デザイン特集 L
従来のパラレル・デバイスに比べてレイアウト
を簡素化する高速データ・コンバータの
シリアル・インタフェース
by Clarence Mayott
はじめに
LTC2274は105Msps、16ビットADCで、
通常のパラレル・インタフェースを斬新
な高速シリアル・インタフェースで置き
換えて、ADCとFPGAの間のデジタル接
続を簡素化します。その結果、データ入
力/出力(I/O)ラインに一般的に必要な
本数が、16本(CMOSの場合)または32本
(LVDSの場合)のパラレル・データ・ライ
ンから、2.1Gbpsで通信する1対のセルフ・
クロッキング差動対(ペア)に減少しま
す。これにより、貴重なFPGAのピンと基
板スペースが他の用途に解放されます。
また、アナログとデジタルの境界を横断
して配線する柔軟性も与えます。ノイズ
に敏感なアプリケーションでは、シリア
ル・インタフェースはデジタル回路とア
ナログ回路の間に効果的な絶縁バリアを
設け、デジタル出力とアナログ入力の間
のカップリングを除去するのに役立ち、
デジタル帰還を減らします。
LTC2274 ADCは通常のパラレル・イン
タフェースを斬新な高速シリアル・イン
タフェースで置き換えて、一般的に必要
なデータ入力/出力ラインの本数を、16本
(CMOSの場合)または32本
(LVDSの場
合)から、2.1Gbpsで通信する1対のセル
フ・クロッキング差動対
(ペア)に減らす。
ますので、もっと高速で、もっと堅牢な
差動信号方式が必要です。LTC2274の差
動信号は電流モード・ロジック(CML)を
使っており、10GHzを超える転送が可能
です。
電流モード・ロジックは差動出力トラン
ジスタ対(通常Nタイプ)を使って、抵抗
性負荷への電流を制御します。出力の振
幅とオフセットはバイアス電流と終端
力トポロジーは、その前の製品(LTC2207 抵抗に依存します。出力ドライバのバイ
ファミリー)をベースにしており、同様の アス電流は標準16mAで、各出力の25Ωの
AC性能を達成します。ただし、LTC2274 結合された内部と外部の終端抵抗両端
はその出力構造がLTC2207とは異なりま に400mVP-P(差動で800mV P-P)の信号振
す。LTC2274は8B/10Bエンコーダを使っ 幅を発生します。LVDSは一般に3.5mAを
て、データを転送する前にエンコードし、 使って信号振幅を発生するので、ESD保
シリアライズします。8B/10Bエンコー 護ダイオードの容量が転送速度の制限要
ディングは8ビットのデータを取り出し 因になります。CMLはもっと電流を使う
て10ビットにエンコードし、ゼロDCオフ ので、この容量はデータのスループット
セットと制限されたランレンクスを保証 の制限要因としては小さくなります。
するプロセスです。16ビット・ワードを
エンコードするのに、LTC2274は20ビッ CMLは一般にLVDSより高速です。標準
高速シリアル・データ転送を可能に
トのシリアル・データを転送する必要が 的LVDS出力段は電流を負荷に流すのに
する電流モード・ロジックと8B/10B
あります。このため、ADCのクロック周 4個のトランジスタを必要とし、通常はP
エンコーディング
LTC2274は、図1に示されているように、 波数の20倍でシリアル・データを転送す チャネルとNチャネルの両方のデバイス
77.6dBFSの優れた信号対雑音比(SNR)性 る必要があります。105Mspsのサンプリ を使います。NチャネルとPチャネルの混
能およびベースバンドで100dBのスプリ ングでは、LTC2274は2.1GHzでシリアル・ 在は、同じ特性のデバイスの製造を困難
アスフリー・ダイナミックレンジ(SFDR) データを転送する必要があります。これ にします。
を達成します。LTC2274ファミリーの入 はLVDS信号の利用可能範囲を超えてい
1.0E–02
BIT ERROR RATE (BER)
AMPLITUDE (dBFS)
1.0E+00
0
–10
–20
–30
–40
–50
–60
–70
–80
–90
–100
–110
–120
–130
100mV/DIV
1.0E–04
1.0E–06
1.0E–08
1.0E–10
1.0E–12
1.0E–14
0
10
20
30
40
FREQUENCY (MHz)
50
図1.標準的LTC2274の性能
(105Msps fIN = 4.93MHz)
Linear Technology Magazine • September 2008
79.4ps/DIV
a. CMLOUTのアイ・ダイアグラム
(2.1GBps)
0
0.2
0.4
0.6
0.8
UNIT INTERVAL (UI)
1.0
b. CMLOUTデュアル・ディラック
BERバスタブ曲線
(2.1GBps)
図2.CMLOUTの信号の完全性
13
L デザイン特集
Pチャネル・デバイスの方が通常低速で
す。つまり、Nチャネル・デバイスとPチャ
ネル・デバイスをカスケード接続した場
合、PチャネルはNチャネルが信号を引き
下げるほど速く信号を引き上げることが
できません。このため出力波形が歪み、
ビット・エラーを引き起こすことがあり、
LVDSがデータを転送できる速度が制限
されます。
LTC2274のCMLドライバはNチャネル・
デバイスだけを使って実装されており、
もっと速いスループット・レートが可能
です。CMLは電流をシンクするだけなの
で真の差動信号を与え、信号の完全性を
改善します。LTC2274のアイ・ダイアグラ
ムとバスタブ曲線を図2に示します。ア
イ・ダイアグラムはCMLロジック出力の
サイクル間の変動が非常に小さいこと
を示しており、バスタブ曲線は信号の全
ジッタが0.35UI(unit interval)未満である
ことを示しています。これは適切に終端
されたレシーバによって容易に受け取る
ことができる非常にクリーンで均一な信
号を意味します。
CMLの終端
CMLは正しく動作するために終端する
必要があります。
FPGAレシーバが内部の
50Ωプルアップ抵抗を終端に使っている
推奨デザインを図3aに示します。これら
の抵抗はLTC2274のOVDDにプルアップさ
れます。正しい動作を保証するにはOVDD
は1.2V∼3.3Vである必要があります。
信号
の同相電圧はOVDD­0.2Vです。必要な範
囲内にレシーバの終端電圧が存在しない
場合、図3bの直接接続された差動終端を
使うことができます。この場合、同相電圧
はOVDDの下約400mVにシフトし、1.4V∼
3.3Vの範囲のOVDDが必要です。
シリアル・
レシーバの同相入力の要件が直接接続終
端モードに適合しない場合、DCバランス
された8B/10Bエンコード・データは、
図3c
に示されているように、
DCブロッキング・
コンデンサの追加を許容します。このAC
結合モードでは、終端電圧はレシーバの
要件によって決定されます。カップリン
グ・コンデンサは目的の動作ビット・レー
トに対して適切に選択します。通常は1nF
∼10nFです。
AC結合モードでは、
出力同相
電圧はOVDDの約400mV下なので、
OVDD電
源電圧は1.4V∼3.3Vの範囲にします。
14
SERIAL CML DRIVER
SERIAL CML RECEIVER
OVDD
50Ω
50Ω
+
CMLOUT
1.2V TO 3.3V
50Ω
TRANSMISSION LINE
50Ω
50Ω
CMLOUT–
DATA+
50Ω
TRANSMISSION LINE
DATA–
16mA
GND
a. 推奨CML終端、
直接接続モード
SERIAL CML DRIVER
SERIAL CML RECEIVER
OVDD
50Ω
50Ω
+
CMLOUT
1.4V TO 3.3V
50Ω
TRANSMISSION LINE
100Ω
CMLOUT–
DATA+
50Ω
TRANSMISSION LINE
DATA–
16mA
GND
b. CML終端、
直接接続差動モード
SERIAL CML DRIVER
SERIAL CML RECEIVER
OVDD
50Ω
50Ω
+
CMLOUT
1.4V TO 3.3V
VTERM
50Ω
TRANSMISSION LINE
50Ω
50Ω
0.01µF
CMLOUT–
DATA+
0.01µF
50Ω
TRANSMISSION LINE
DATA–
16mA
GND
c. CML終端、
AC接続モード
図3.CMLの終端方法
Linear Technology Magazine • September 2008
デザイン特集 L
CMLの電力消費
16mAの固定バイアス電流と800mVの差
動電圧振幅を使うCMLロジックが消費
する電力は多くはありません。等しい
データ・レートでは、CMLロジックが消
費する電力はPECLやLVPECLよりも少
なくなります。1個のCMLドライバは1個
CMLは真の二重終端を使います。一般 のLVDSドライバより多くの電力を使い
に、LVDSはレシーバ側だけ終端します。 ますが、標準的LVDSシリアル・バスに必
つまり、ソースへの信号のどんな反射も 要な3対のLVDSドライバよりわずかに
ほとんど減衰せずにレシーバに反射され 多いだけです。
ます。このためデータ・レートとLVDSが
ドライブ可能なトレースの長さが制限さ 接続を簡単にするのに役立つ8B/10B
れます。CMLは真に差動の性質をもち、 エンコーディング
LVDSやCMOSの信号よりエネルギー放 8B/10Bエンコーディング・プロセスは平
射が少ないので、デバイスをアンテナ、ミ 均DCオフセットをゼロにするので、デジ
キサ、その他の敏感なアナログ・フロント タル領域とアナログ領域の間を絶縁する
エンド・システムに近づけることができ ことができるトランスまたは光チャネ
ます。CMLは同相終端も備えています。 ル・トランシーバを通してデータを転送
このため、CMLの同相の振舞いはLVDS することができます。また、8B/10Bエン
より優れています。LVDSは差動で終端 コーディングはフレーミング信号やデー
されているだけなので、伝送ラインに現 タ・クロックを必要としませんが、従来
れることがある同相信号を除去しませ のシリアル通信は両方を必要とします。
ん。これはLVDS信号のもう1つの制限要 8B/10Bエンコーディングは1対のデータ・
因です。
ラインを使ってデータを転送しますが、
可能ならば、もっと低いOVDDを使えば電
力消費を減らすことができます。終端方
法は主としてレシーバをベースにしま
す。OVDD電圧を選択するときは、レシー
バのデータシートを参照してCMLライ
ンを適切に終端します。
LTC35xx、6ページから続く
LTC3586の完全に集積化された昇圧は、わ
ずか3Vのバッテリ電圧から、最大800mAで
最大5Vの出力を安定化することができま
す。レギュレータは出力切断機能を内蔵し
ているので、USB OTG電源、またはプリン
タやカメラのモーターへの給電に適して
います。電流モード同期整流式昇圧は内部
で補償されており、2.25MHzの固定スイッ
チング周波数で動作します。低負荷でのパ
ルス・スキップは、ハイパワー・オーディオ
回路をドライブするため低ノイズを達成
します。
I Cでプログラム可能な
2
シーケンシングと使いやすいI/O
最先端の新しい機能やデザインにもかか
わらず、古くからの1つの問題がいつまで
も残ります。電源の制御です。電源は、起動
と停止のシーケンシング、フォールト検出
/報知/処理および電圧と動作モードの調
整を必要とします。それら全てを正しく行
うのは、複雑さと電源回路の限界によって
は、システム制御の悪夢になることがあり
ます。
Linear Technology Magazine • September 2008
LTC35xxファミリーは、全ての必須電源機能
を非常に簡単に柔軟に制御します。LTC3566
とLTC3586は、DC/DC動作モードのイネー
ブル、ディスエーブルおよび変更のための
専用I/Oコントロール・ピンを採用していま
す。これらのデバイスの電圧は固定され、
外部抵抗分割器で設定されます。LTC3555、
LTC3556およびLTC3567は、電源制御のため
にI2Cを介した制御または簡単なI/Oピンの
どちらにも対応できます。LTC3556はスリー
ステートのSEQピンを備えているので、3個
のDC/DCコンバータの起動シーケンスをピ
ン・ストラッピングを介してプログラムす
ることができます。I2CによるVOUT制御を備
えたこれらのデバイスは、簡単なI/Oを介し
てイネーブルされると、
(FBサーボ・ポイン
トと外部分圧器によって決まる)最大VOUT
で起動し、I2Cを介した等間隔の16ステップ
のインクリメントで、最大50%だけVOUTを
独立して下げることができます。
ここで取り上げた全てのPMIC内の全ての
DC/DCコンバータは、無期限の出力フォー
ルトに対して耐え抜くことができます。デ
標準的シリアルADCは3対以上必要とし、
標準的パラレルADCは16対以上必要とす
ることがあります。
8B/10Bのデコーディングの複雑さはレ
シーバ側にあります。幸いにも、Xilinx、
AlteraおよびLatticeはLTC2274からのデー
タを受け取り、8B/10Bデータをデコード
するソリューションを持っていますの
で、
8B/10Bデータの収集は簡単です。
他の
8B/10Bデコーディング・ソリューション
を利用できる可能性もあります。
LTC2274
からデータを受け取る必要のあるFPGA
は、2GHz以上の高速シリアル転送を受け
取ることができなければなりません。
まとめ
LTC2274は分解能やサンプル・レートを
犠牲にすることなく、1対の伝送ラインを
使って最大16ビットを105Mspsで転送し
ます。これにより、1個のFPGAに配線さ
れる多数のADCチャネルを必要とする
ソフトウェア・ラジオ、基地局、産業用ア
プリケーションなどで、他の回路とのや
L
り取りが緩和されます。
バイスは全てRST出力を備えており、全て
のコンバータがシャットダウン時にはアク
ティブにプルダウンされるので、適切な起
動シーケンシングが保証されます。LTC3586
は追加のフォールト処理機能を備えてお
り、有効なフォールトが検出されると全て
のDC/DCコンバータを自動的に停止しま
す。要するに、ファミリー全体が、簡単で、柔
軟で、堅牢な制御と動作のために設計され
ています。
まとめ
リニアテクノロジーの最新のPMIC製品は、
多様な携帯用パワーマネージメント・アプ
リケーションの性能を改善し、設計を簡素
化します。大きなパッケージのありふれた
代替品の代わりに、リニアテクノロジーは
小型パッケージに様々な機能を混在させ
た多数のデバイスを提供します。これらの
新しいPMICは使うのが簡単で、高度に集
積化されており、高性能なので、従来のソ
リューションに比べて、設計期間が短縮さ
れ、PCBの柔軟性が上がり、電力/熱管理が
向上します。L
15
L デザイン特集
車載および産業用アプリケーションに
適した、
入力範囲が4V∼38Vの3mm 3mm
QFNの同期整流式降圧コントローラ
by Mark Mercer
LTC3851は多用途の同期整流式降圧ス
イッチング・レギュレータ・コントローラ
で、省スペースの16ピン3mm 3mm QFN
パッケージまたは使いやすい細型SSOP
パッケージで供給されます。入力範囲が
4V∼38Vと広いので、車載バッテリ、24V
産業用電源、安定化されていないACアダ
プタなど様々な電源からの電力を安定
化するのに適しています。強力な内蔵ド
ライバは、高電力外部MOSFETを使って、
0.8V∼5.5Vの出力電圧で最大20Aの出力
電流を発生することを可能にします。
1000
LTC3851の出力電圧許容誤差は全温度
範囲で 1%です。このデバイスは最小オ
ン時間が短いので(標準90ns)、750kHzに
達する高いスイッチング周波数でも低
デューティ・サイクル動作が可能です。
750
OSCILLATOR FREQUENCY (kHz)
はじめに
電流検出の2つのオプション
LTC3851は入力インピーダンスの高い電
流検出コンパレータを備えています。こ
のため、RCフィルタとともに、インダク
タのDC抵抗(DCR)を電流検出素子とし
て使うことができます。DCRを使う電流
検出により、設計者はディスクリートの
固定周波数ピーク電流モード制御アー センス抵抗を省き、効率を最大にし、ソ
キテクチャは、負荷電流分担能力および リューションのコストを下げることがで
信頼性の高いサイクルごとの電流制限と きます。代わりに、インダクタに直列な精
ともに、優れたライン・レギュレーショ 密センス抵抗にSENSE+ピンとSENSE ­
ンと負荷レギュレーションを与えます。 ピンを接続することにより、電流検出精
OPTI-LOOP®補償はループの安定性の設 度を上げることができます。LTC3851は、
計を簡単にし、広い範囲の動作条件にわ ピンで選択可能な3つの最大電流検出ス
たって安定したレギュレーションを実現 レッショルド(30mV、50mVおよび75mV)
を提供しており、広い範囲のDCR値およ
します。
500
250
100
36
10
60
160
RFREQ (k)
1000
図1.FREQ/PLLFLTRとGNDの間に接続された抵抗
と発振器周波数の関係
び出力電流レベルに適応します。
全ての固定周波数ピーク電流モード制御
のスイッチング・レギュレータと同様、
LTC3851はスロープ補償を利用して、高
いデューティ・サイクルでの低調波発振
を防ぎます。
VIN
4.5V TO 32V
RFREQ
82.5k
MODE/PLLIN
VIN
FREQ/PLLFLTR
TG
+
CIN
22µF
HAT2170H
0.1µF
RUN
0.1µF
BOOST
LTC3851
0.1µF
TK/SS
15k
2200pF
L1
0.68µH
SW
CMDSH05-4
330pF
ITH
3.01k
INTVCC
47pF
154k
1%
4.7µF
VFB
BG
SENSE–
GND
SENSE+
ILIM
HAT2170H
48.7k
1%
VOUT
3.3V
15A
+
COUT
330µF
×2
0.047µF
30.1k
COUT: SANYO 6TPE330MIL
CIN: SANYO 63HVH22M
L1: VISHAY IHLP5050-EZERR68M01
図2.DCR検出を使った3.3V/15A高効率電源
16
Linear Technology Magazine • September 2008
デザイン特集 L
これはインダクタ電流信号に補償ラン
プを追加することにより内部的に実現
されます。このため、一般に高いデュー
ティ・サイクルでは最大インダクタ・ピー
ク電流が40%以上減少します。ただし、
LTC3851には新しい方式が使用されてい
るので、全デューティ・サイクルにわたり
最大ピーク・インダクタ電流は安定して
います。
100
90
の機能は予めバイアスされている負荷に
対して起動することを可能にします。
TK/
SSが0.64V∼0.74Vのとき、レギュレータ
は強制連続モードで動作し、起動から定
常状態への滑らかな移行を保証します。
TK/SSが0.74Vを超えると、動作モードは
MODE/PLLINピンの状態で決まります。
Burst Mode
OPERATION
EFFICIENCY (%)
80
70
PULSESKIPPING
50
MODE
60
CONTINUOUS
CONDUCTION MODE
40
30
20
VIN = 12V
VOUT = 3.3V
10
0
0.01
多用途
0.1
1
10
LOAD CURRENT (A)
100
重負荷動作では、LTC3851は固定周波数
図3.図2の回路の3つの動作モードの効率と
負荷電流
の連続導通モードで動作します。軽負荷
®
では、高効率Burst Mode 動作、固定周波
数パルス・スキップ・モード、または強制 F R E Q / P L L F LT R ピ ン に 接 続 し た 抵 抗
連続導通モードで動作するように構成設 (RFREQ)によって250kHz∼750kHzにプロ
定することができます。Burst Mode動作 グラムすることができます。これにより、
は最高の効率を与えます。エネルギーが 効率を最適化するのに必要な柔軟性が与
入力から出力に1サイクルないし数サイ えられます。スイッチング周波数とRFREQ
クルのパルス列で転送されるからです。 のプロットを図1に示します。また、ス
パルス列とパルス列の間に挟まれた期間 イッチング周波数は外部クロックに同期
は、トップとボトムのMOSFETがオフし、 させることができます。その間、LTC3851
出力コンデンサが負荷に電流を供給しま は強制連続導通モードで動作します。
す。強制連続導通モードでは、出力電圧
リップルが最小になりますが、軽負荷で 調節可能なソフトスタート機能によって
は効率が最小になります。パルス・スキッ 起動時に出力電圧をランプさせること
プ・モードはそれらの中間です。つまり、 ができます。出力電圧は外部ランプ信号
Burst Mode動作よりは出力リップルが下 をトラッキングすることもできます。ト
がり、連続導通モードよりは効率が上が ラッキングとソフトスタートの制御は1
つのピン(TK/SS)に結合されています。
ります。
TK/SSが0.64Vより下のとき、
LTC3851はパ
LT C 3 8 5 1 の ス イ ッ チ ン グ 周 波 数 は 、 ルス・スキップ・モードで動作します。こ
PLLIN
350kHz
0.01µF
10k
RUNピンはLTC3851をイネーブルまたは
ディスエーブルします。このピンは1.22V
の精密ターンオン・スレッショルドを備
えており、電源シーケンシングに便利で
す。ターンオフ・スレッショルドは1.10V
です。
RUNピンには2μAの内部プルアップ
電流源が備わっています。
LTC3851のフォールト保護機能には、
フォールドバック電流制限、出力過電圧
検出および入力低電圧検出が含まれてい
ます。過負荷状態になって出力が目標安
定化値の40%より下に下がると、
LTC3851
は最大電流検出スレッショルドをフォー
ルドバックします。これにより、オン時
間が減少してトップMOSFET内の電力
損失を最小に抑えます。出力電圧が目標
安定化値より10%以上高くなると、出力
が下がって安定化状態に戻るまでボト
ムMOSFETがオンします。内部リニア・レ
ギュレータの出力が3.2Vより下に下がる
のに十分なほど入力電圧が下がることが
許されると、スイッチング動作はディス
エーブルされます。
36ページに続く
VIN
6V TO 14V
MODE/PLLIN
VIN
FREQ/PLLFLTR
TG
+
RJK0305DPB
CIN
180µF
0.1µF
RUN
1000pF
BOOST
LTC3851
0.1µF
TK/SS
7.5k
1000pF
L1
0.68µH
SW
33pF
INTVCC
42.2k
1%
4.7µF
VFB
BG
SENSE–
GND
SENSE+
ILIM
VOUT
1.5V
15A
CMDSH-3
100pF
ITH
RSENSE
0.002Ω
RJK0301DPB
48.7k
1%
+
COUT
330µF
×2
1000pF
10Ω
COUT: SANYO 2R5TPE330M9
L1: SUMIDA CEP125-OR6MC
10Ω
図4.350kHzに同期した1.5V/15A高効率電源
Linear Technology Magazine • September 2008
17
L デザイン特集
あらゆる種類のバッテリを扱い、
高速充電用に
3A/50Wを発生する4mm 4mm QFNの機能豊富な
チャージャ
by James A. McKenzie
はじめに
LTC4009、LTC4009-1およびLTC4009-2
は高電力バッテリ・チャージャICのファ
ミリーで、機能を犠牲にすることなく小
さな回路サイズと高性能を実現します。
このファミリーは高効率で動作しなが
ら、最も望まれる充電機能と保護機能を
スペース効率の高い20ピン4mm 4mm
QFNパッケージに収めています。わずか
な外部部品および終了制御と組み合わせ
ると、LTC4009ファミリーは、最大3Aを
バッテリに供給可能で出力電流レベルが
50Wに近づくチャージャの構築を容易に
します。これらのICは、スマートバッテリ
などあらゆる種類のバッテリ向けの、マ
イクロプロセッサによって制御される
チャージャの実装に特に適しています。
高性能
LT C 4 0 0 9 フ ァ ミ リ ー は 、LT C 4 0 0 6 、
LTC4007、LTC4008、LTC4011など他の
リニアテクノロジーのバッテリ・チャー
ジャに見られる、実績のある疑似固定周
波数、固定オフ時間PWM制御アーキテ
クチャを活用しています。この降圧トポ
ロジーは、負荷電流がないときでさえ、
同期整流を伴う連続スイッチングを実
行します。
ライブすると、LTC4009は動作周波数を
下方に滑らかに調整して、そうでなけれ
ば550kHzで開始されるはずのパルス・ス
キップを回避します。高いデューティ・サ
イクル動作を必要とする非常に低いド
ロップアウト状態では、LTC4009の内部
ウォッチドッグ・タイマが、チャージャが
25kHzより下でスイッチングするのを防
ぎます。
チャージャは、550kHzで動作する固定周
波数PWMコントローラと同様に、通常は
広いデューティ・サイクル範囲にわたっ
て動作します。ただし、入力電圧または出
力電圧がデューティ・サイクルをその両
端に(20%より下または80%より上に)ド
表1.LTC4009ファミリーの特長
特長
LTC4009
LTC4009-1
LTC4009-2
LTC4008
出力電圧の選択
外部抵抗分割器
ピンでプログラム
可能4.1V/セル
ピンでプログラム
可能4.2V/セル
外部抵抗分割器
出力電圧精度
(室温)
0.8%+分圧器の
誤差
0.6%
0.6%
3A
3A
3A
4A
充電電流の精度
5%
5%
5%
5%
入力電流制限の精度
4%
4%
4%
7%
入力電流制限/インジケータ
L
L
L
L
外部PWMスイッチングMOSFET
All NFET
All NFET
All NFET
PFET/NFET
公称PWM周波数
550kHz
550kHz
550kHz
300kHz
シャットダウン・ピン
L
L
L
Merged with ACP
C/10インジケータ
L
L
L
L
充電電流モニタ
L
L
L
L
終了方法
外部
外部
外部
外部
最大充電電流
18
0.5%+分圧器の
誤差
フォールト・インジケータ
L
サーミスタ・インタフェース
L
INFET制御
L
Linear Technology Magazine • September 2008
デザイン特集 L
これにより、チャージャは、可聴領域に
まで広がる周波数を発生することなく、
98%以上の最大デューティ・サイクルを
達成することができます。
同期整流器により、90%を超える効率レ
ベルで高電流アプリケーションがサポー
トされるだけでなく、スイッチング活動
は連続的で、負荷電流から独立していま
す。無負荷状態でも、最終出力電圧でイン
ダクタの完全連続導通モードを維持する
ことにより、可聴ノイズを発生したり負
荷の安定化を劣化させるおそれのあるパ
ルス・スキップが防止されます。
入力電流制限の精度は、全動作温度範囲
にわたって標準 3%、最大 4%です。出
力電圧精度は、全温度範囲にわたって標
準 0.5%、
最大 0.8%です。
小さなPCBフットプリント
表面実装パッケージのサイズが小さい
だけでなく、LTC4009ファミリーはソ
リューション全体のサイズを小さくする
のに役立つ他の特長を備えています。
わずかな外部部品および終了制御と組
み合わせると、LT C4009ファミリーは、
最大3Aをバッテリに供給可能で出力電
流レベルが50Wに近づくチャージャの
構築を容易にする。これらのI Cは、ス
マートバッテリなどあらゆる種類のバッ
テリ向けの、マイクロプロセッサによっ
て制御されるチャージャの実装に特に
適している。
器の両方の直接ドライブをサポートしま
す。NチャネルMOSFETはRDS(ON)が低い
ので高電流アプリケーションに適してい
ます。LTC4009は斬新な適応型ゲート・ド
ライブを使っており、OSFETの慣性遅延
に敏感ではなく、オーバーラップ伝導損
失を防ぎます。多くのメーカーが今では
スペース効率の高い単一のパッケージの
デュアルNチャネルMOSFETを供給して
おり、多くの場合個々のドライブ能力が
同期整流式降圧PWMスイッチング・トポ
ロジー向けに調整されています。
スイッチング周波数を550kHzに上げて
たとえば、図1に示されているように、 内部バイアス回路を調節してあるので、
ファミリーはNチャネルMOSFETパワー 高い充電電流リップルが可能となり、イ
スイッチとNチャネルMOSFET同期整流 ンダクタのサイズと出力容量の両方の
FROM
ADAPTER
15V AT 2A
D2
0.1µF
豊かな伝統
LTC4009ファミリーは、LTC4008の提供
する汎用機能と、LTC4006によって与え
られる出力電圧プログラミング機能を
基礎にしています。LTC4009ファミリー
の各メンバーには、充電モニタ、安全性
およびフォールト管理の一揃いの機能
と共に、同じ充電電流と入力電流制限プ
ログラミング機能が備わっています。
LTC4009の出力電圧は完全に調節可能
であり、簡単な抵抗分割器によって設定
されます。充電電流の精度は6Vより下の
出力電圧で維持されるので、LTC4009は
ニッケル・ベースのバッテリやスーパー
コンデンサの充電に最適です。
25mΩ
RED
0.1µF
CHRG
DCIN
22.1k
POWER TO SYSTEM
D5
5.1k
CLP
CLN
DCDIV
2.43k
ACP
INTVDD
ICL
BGATE
SHDN
ITH
20µF
BOOST
TGATE
LTC4009
SW
TO/FROM
MCU
0.1µF
D3
Q2
D4
Q3
L1
6.8µH
2µF
GND
CSP
3.01k
0.1µF
6.04k
CSN
33mΩ
3.01k
BAT
FBDIV
PROG
4.7nF
26.7k
Q1
240mm2の基盤スペースしか必要としな
い標準的3Aアプリケーションの物理的
レイアウトを図3に示します。
3k
D1
BULK
CHARGE
要件を最小に抑えます。これは特に重要
です。なぜなら、ICおよび受動SMDパッ
ケージング・テクノロジーの引き続く改
良により、これらの部品がソリューショ
ン全体のサイズを支配する傾向があるか
らです。
53.6k
20µF
294k
VFB
10pF
+
3-CELL
Li-Ion
BATTERY
STACK
31.2k
D2, D4, D5: MBR230LSFT1
D3:CMDSH-3
Q1: 2N7002
Q2, Q3: Si7212DN
L1: IHLP-2525CZ-11
図1.12.6V、3Aのリチウムイオン・チャージャ
Linear Technology Magazine • September 2008
19
L デザイン特集
LTC4009-1とLTC4009-2は、1個∼4個の
直列セルを搭載したリチウム・ベースの
バッテリ製品に簡単に使えます。それぞ
れ、LTC4009-1の場合が図2に示されてい
るように、2つのピンをグランドまたは
内蔵5Vレギュレータのどちらかに単に
ストラッピングすることにより、出力電
圧範囲を選択することができます。この
精密電圧を設定するのに他の外部部品
は不要です。LTC4009-1は4.1V/セルの設
定を使い、進化しつつある民生品の安全
性標準規格やコークス・アノードのセル
をサポートしますが、LTC4009-2は従来
のグラファイト・アノードのリチウムイ
オン・パックの最大容量充電向けに4.2V/
セルを使います。これらのデバイスは専
用PMOSスイッチを備えており、
(外部で
あれ、内部であれ)帰還抵抗分割器によ
り、シャットダウン時にバッテリから流
出する追加電流を除去します。表1では、
LTC4008に対するLTC4009ファミリーの
特長が比較されています。
バッテリ充電の管理
LTC4009ファミリーは、ロジック・レベル
のシャットダウン制御入力と3つのオー
プン・ドレイン状態出力を使った、完全な
外部充電制御と状態モニタに必要な全機
能を備えています。
SHDNピンをグランド
にドライブしてSHDN入力をアサートす
ると、全ての充電が無条件に一時停止さ
れ、バッテリ流出がその最低レベルに減
少します。DC入力電源電圧は、外部抵抗
分圧器をDCDIV検出入力に与えることに
より検出されます。AC検出状態出力は、
充電中であるか一時停止中であるかにか
かわりなく、この入力の電圧が全ての動
作モードで有効な充電範囲内であるかど
うかを表示します。充電状態出力があり、
バッテリが充電中であることを表示しま
す。このピンのドライブ・レベルは、低イ
ンピーダンス
(約2k)
から25μAのプルダウ
ン電流源に変わり、充電電流がプログラ
ムされたフルスケール・バルク値の1/10に
減少したことを表示します。
LTC4009のこれらの制御入力と状態出力
は、アナログ電流モニタ出力とともに、ホ
スト・システムが、必要な前処理、充電終
了および安全タイミングの機能を実行す
るのに利用することができます。
20
D1
18V AT 3A FROM
ADAPTER
33mΩ
0.1µF
0.1µF
CLP
DCIN
22.1k
0.1µF
LTC4009-1
Q2
TGATE
CHRG
TO/FROM
MCU
D2
ACP
SW
INTVDD
ICL
BGATE
SHDN
GND
ITH
CSP
D4
2µF
Q3
D3
CHARGE
CURRENT
MONITOR
4.7nF
26.7k
BAT
FVS1
FVS0
50mΩ
3.01k
CSN
PROG
L1
6.8µH
3.01k
6.04k
0.1µF
POWER TO
SYSTEM
5.1k
CLN
BOOST
DCDIV
1.74k
20µF
20µF
INTVDD
+
4-CELL
Li-Ion
BATTERY
STACK
D1, D3, D4: MBR230LSFT1
D2: CMDSH-3
Q1, Q2: Si7212DN
L1: IHLP-2525CZ-11
図2.16.4V、2Aのリチウムイオン・チャージャ
充電フォールト管理:安全第一
LTC4009ファミリーはフォールト管理シ
ステムを内蔵しており、内部および外部
の様々なフォールト状態に対して直ちに
充電を一時停止します。まず、充電中に
バッテリ負荷が突如取り去られるのを監
視するコンパレータとともに、バッテリ
過電圧保護が与えられています。
このコンパレータは、バッテリ電圧がプ
ログラムされた出力電圧を6%超えて上
昇すると、直ちにPWM動作を一時停止し
ます。これにより、バッテリが突如取り去
られたり、較正やパルス充電などの機能
を実行するため内部バッテリ・パックの
電子回路が一時的に負荷を切断した状態
で、チャージャ、バッテリおよびチャー
ジャによって給電されるトポロジー内の
下流の部品を保護します。
次に、DC検出入力には低電圧と過電圧の
スレッショルド・リミットが備わってお
り、過渡入力過電圧や負荷のかかりすぎ
たDC入力アダプタなど安全ではない状
態でシステムが起動したり動作したりし
ないように保護します。
これらのデバイスには逆充電電流を検出
または回避するいくつかの手段が備わっ
ています。たとえば、わずかに過充電され
たバッテリが挿入されると同期整流式の
システムで逆電流が生じ、バッテリを放
電したり、他のシステム部品に損傷を与
えることがあります。逆電流を防ぐため、
このファミリーのデバイスは逆電流に
関してまずPROGピンをモニタします。
PROGはシステムを流れる平均充電電流
のアナログ電圧を出力します。
33ページに続く
図3.標準的なLTC4009アプリケーションの
レイアウト
Linear Technology Magazine • September 2008
デザイン特集 L
バックプレーンやカードに搭載する1V∼6V
アプリケーションに最適な3mm 2mm DFNの
デュアルHot Swapコントローラ
by CY Lai
はじめに
テレコム、リアルタイム・トランズアク
ション処理、
病院および航空管制システム
などの高可用性電子装置はどんなダウン
タイムも許されません。これらのシステ
ムは、
拡張や、
アップグレードや、
保守のた
め、
部品を追加したり取り外したりする間
であっても動作を継続する必要がありま
す
(ホットスワップ)
。
Hot Swap™システム
は、
システムのリセットやデータの消失を
引き起こすおそれのあるPCBトレースの
焼損や電力のブラウンアウトを防止する
ため、注意して設計する必要があります。
LTC4224は信頼できるHot Swapデザインを
保証し、ソリューションをシンプルにし、
ソリューション全体のサイズを小さくし
ます。
これを実現するのに、
1V∼6Vアプリ
ケーション向けの機能の豊富な独立した
2個のHot Swapコントローラを 3mm 2mm
DFNパッケージに一体化しています。
LTC4224の機能ブロック図を図1に示し
ます。ONピンは、GATEピンを介して外
部NチャネルMOSFETをオン/オフするの
に使われます。オンを命令すると、内部
チャージポンプがGATEを電源レールよ
り上に引き上げて、MOSFETを完全に導
通させ、その直列抵抗を数ミリオームに
減少させます。
2つの電源の電圧が高い方から電力を得
SENSE1
5.5V
CHARGE
PUMP
–
25mV
+
–
VCC1
VCC
10µA
ACL1
GATE1
VCC
+
GATE
PULLDOWN
+
ON1
ECB1
0.8V
–
–
25mV
10µA
VCC2 UV
ON2
ECB2
–
+
–
VCC2
VCC
LOGIC
CONTROL
+
0.8V
0.8V
FAULT
+
2.4V
ON1
+
–
VCC1 UV
VCC
10µA
CHARGE
PUMP
+
ACL2
–
GATE
PULLDOWN
10µA
5.5V
VCC
–
SENSE2
GND
図1.LTC4224の機能ブロック図
Linear Technology Magazine • September 2008
ON2
+
0.8V
GATE2
るLTC4224の能力により、わずか1Vの負
荷電圧を制御することができます。負荷
電流によってセンス抵抗両端に25mVを
超える電圧降下が生じると、能動電流制
限(ACL)がGATEに対して働きます。電
子回路ブレーカ(ECB)がタイムキーパー
の役目を果たし、電流過負荷が長引くと
MOSFETをラッチオフします。
動作
5Vバックプレーンに実装されるHot Swap
アプリケーションに、2個のNチャネル
MOSFETと2個のセンス抵抗を使った
LTC4224を図2に示します。最初、アドイ
ン・カードが存在しないときONピンは H
に引き上げられ、GATEは L に保たれ、
MOSFETをオフします。アドイン・カード
がバックプレーンのコネクタに完全に挿
入されると、
カードのコネクタのグランド
接続を通してONピンが L に引き下げら
れます。
コネクタ同士が接触するとき、
ON
の擬似遷移が起きる可能性があります。
MOSFETが時期尚早にオンするのを防ぐ
ため、
LTC4224は内部の10msのデバウンス
遅延を使って、
このような短時間の遷移を
やり過ごします。このデバウンス遅延は
ONが H に遷移するたびに再始動します。
MOSFETをオンするには、内部チャージ
ポンプが10μAをソースし、10μA/CISSのス
ルーレートでGATEをソフトスタートし
ます。ここで、CISSは外部MOSFETのゲー
ト容量です。負荷コンデンサCOUTに流れ
込む起動時突入電流は(C OUT/C ISS)•10μA
に制限されます。ただし、センス抵抗の電
圧降下があまりにも大きくなると、突入
電流はACLによって25mV/RSENSEに制限
されます。ECBがSCLをモニタし、GATE
がランピングを開始してから5ms後に電
流制限が依然アクティブであることを
検出すると、MOSFETがラッチオフして、
FAULTが L になります。
21
L デザイン特集
R1
0.004
5V
Q1
Si7336ADP
5V
5A
PRSNT1
R3
10k
VCC1
SENSE1
FAULT
GATE1
LTC4224
GND
VCC2
ON1
バックプレーン・
コネクタ1
カード・
コネクタ1
バックプレーン・
コネクタ2
カード・
コネクタ2
ON2
SENSE2
GATE2
PRSNT2
R2
0.004
5V
5A
Q2
Si7336ADP
図2.
2枚のアドイン・カードのHot Swapアプリケーション
この時間内にC OUT を十分充電できない
場合、図3に示されているように、コンデ
ンサをGATEからグランドに接続して、
突入電流を下げます。CGATEを使うと、突
入電流は(COUT/(CGATE+CISS)) • 10μAに減
少します。突入電流がECBスレッショル
ドより下に留まるようにCGATEを調整す
ると、大きな負荷コンデンサによるECB
フォールトを防止します。
せん。たとえば、下流の回路が1V電源の
最大5%の変動を許容できるとすれば、上
流のHot SwapコントローラのECBスレッ
ショルドは50mVよりかなり低くなけれ
ばなりません。
過度の電力損失による外部MOSFETへ
の損傷を防ぐため、能動電流制限(ACL)
はゲートを制御してセンス抵抗の電圧
降下を約25mVに制限します。外部部品
を最少に抑えるため、電流制限ループは
過電流保護
LTC4224の重要な特長の1つは、許容誤 MOSFETの寄生ゲート容量CISSを使って
差が10%の25mV電子式回路ブレーカ 補償され、わずか600pFのCISSの値でも安
(ECB)スレッショルドです。この低ECB 定に保たれます。ACLの間、ECBが作動
スレッショルドにより、電力定格が低く、 し、5msの内部タイムアウト時間を開始
したがってパッケージが小さなセンス抵 します。図4の波形は、電流を制限し、続い
抗の使用が可能になります。さらに、ECB て、5msを超えて継続する出力の穏やか
スレッショルドは、下流の回路の電源電 な電流過負荷のためMOSFETをラッチオ
圧許容誤差を過度に減らしてはなりま フするLTC4224を示しています。FAULT
GATE1
5V/DIV
5V
R1
0.015Ω
CLOAD
重度の短絡の場合、外部MOSFETのゲー
トのオーバードライブが最初大きいの
で、一般に電流が電流制限レベルを大き
くオーバーシュートします。LTC4224は
0.1μs以下で応答し、100mAの電流シンク
でゲートを急速に放電します。負荷容量
のない10mΩ負荷に対して3.3Vレールが
短絡したとき、0.5μs以下で電流を制御
下に置くLTC4224を図5に示します。ま
た、ACLが高速なので、ゲートの放電が
高速であるにもかかわらず、ゲートのア
ンダーシュートが生じません。電位によ
るピーク電流は電力経路に沿ったDC抵
抗(トレース抵抗+MOSFETのRDSON +
R SENSE +10mΩ)によって支配されます
が、経路の寄生インダクタンスが電流の
スルーレートを制限します。
MOSFETがラッチオフした後は、ONピン
を0.8Vより上に引き上げて内部のフォー
ルト・ラッチをリセットする必要があり
ます。代わりに、電源をそのUVレベルよ
り下にリサイクルします。LTC4224-1は
フォールトの後ラッチオフしますが、
LTC4224-2はラッチオフの4秒後に電源
を接続しようと自動的に再試行します。
光トランシーバの
Hot Swapアプリケーション
広く普及しているXENPAK/X2 MultiSource Agreements(MSA)規格向けに規定
GATE2
5V/DIV
Q1
VCC1 SENSE1
が L に引き下げられています。これに
より、マイクロプロセッサにアクション
を取るように指示するか、またはオペ
レータの注意を喚起するためにLEDを点
灯することができます。
VOUT2
5V/DIV
VOUT1
5V/DIV
RG
10Ω
IGATE
CGATE
IOUT1
1A/DIV
IOUT2
8A/DIV
GATE1
LTC4224
2ms/DIV
図3.ゲート・コンデンサによる突入電流調整
方法。RGはQ1の寄生自己発振を防止
22
図4.穏やかな過電流に続く能動電流制限による
外部MOSFETのラッチオフ
0.5µs/DIV
図5.0.5μs以内に重度の短絡フォールトを
絶縁する高速電流制限
Linear Technology Magazine • September 2008
デザイン特集 L
されたものなど、光トランシーバは光信
号と電気信号の間のインタフェースとし
て高速ネットワーク・ルーターに採用さ
れています。MSAは、5V、3.3Vおよび1.xV
で給電されるトランシーバ・モジュール
にはホットプラグ能力を指定していま
す。
LTC4224は、2個のHot Swapコントローラ
とタイミング遅延回路を小型3mm 2mm
DFNパッケージに集積化することによ
り、低電圧Hot Swapアプリケーションの
設計をシンプルにします。高速電流制限
R1
0.015
5V
FDS6911
5V
1A
Q1
BULK SUPPLY
BYPASS CAPACITOR
R2
0.010Ω
3.3V
3.3V
2A
Q2
BULK SUPPLY
BYPASS CAPACITOR
R3
390
VCC1
VCC2
SENSE1
D1
SENSE2
GATE1 GATE2
MOD DETECT
ON1
LTC4224
FAULT
ON2
RMOD_DET
1k
GND
GND
コネクタ
プラグイン・カード
図6.XENPAK/X2光モジュールのHot Swapアプリケーション
3.3V
5V
R2
R1
8
11
5
2
6
1
9
7
10
FDS6911
3
4
5
3
4
6
2
7
1
5V/5A、
3.3V/5A
Hot Swapアプリケーション
LTC4224は図8に示されているようにア
ドイン・カード上に配置することもでき
ます。入力は大きな突入電流が流れるこ
とがあるので、入力にはバルク・コンデン
サはありません。それらの場所には過渡
電圧サプレッサ(Z1とZ2)およびRCスナ
バ・ネットワークがあります。電流過渡の
間、誘導性の反動により、過渡電圧サプ
レッサがないと、入力電源がLTC4224の
入力ピンの絶対最大定格(ABSMAX)を
超えて振幅することがあります。電圧を
クランプすることにより、過渡電圧サプ
レッサはLTC4224を損傷から保護し、9V
のABSMAX定格が過渡電圧サプレッサ
の選択のマージンを与えます。スナバは
寄生LCタンクを減衰させ、入力電源のリ
ンギングを除去します。Si7336ADPは、そ
のSOA、20Vゲート-ソース降伏電圧およ
び低RDSONによって、選択されました。
は、重度の過負荷の間システムの撹乱を
最小に抑え、フォールトを即座に絶縁し
ます。LTC4224は、SO8のフットプリント
で実装することができる、完全で堅牢な
XENPAK/X2光モジュールのHot Swapソ
L
リューションを提供します。
8
LTC4224をベースにした、5Vレールと
3.3VレールのHot Swapアプリケーション
を図6に示します。一般に、専用のDC/DC
コンバータが1.xVレールを制御し、各モ
ジュールの突入電流を制限します。光モ
ジュールは比較的少ししか電力を消費し
ないので、パワースイッチにはFDS6911
のようなデュアルFETが良い候補であ
り、コストを節約し、面積を最小にしま
す。最小のソリューションには、0603の
ケースサイズのセンス抵抗が選択されま
す。全体のソリューションを図7に示しま
す。これはSO8パッケージのフットプリ
ントに収まります。3つの電源レールを全
てホットスワップする必要のあるアプリ
ケーションでは、3個のLTC4224を使って
2個のモジュールへの電力を制御するこ
とができます。全てが3個のSO8パッケー
ジのフットプリントより大きくないソ
リューションに収まります。
まとめ
LTC4224
BOTTOM SIDE
TOP SIDE
図7.センス抵抗、MOSFETおよびLTC4224のコンパクトなPCBレイアウト
R1
0.004Ω
5V
Z1
RSNUB1
10Ω
CSNUB1
100nF
R2
0.004Ω
3.3V
Z2
RSNUB2
10Ω
CSNUB2
100nF
Q1
Si7336ADP
R3
10k
VCC1
PWRFLT
FAULT
PWREN
ON1
SENSE1
VCC2
SENSE2
5V
5A
Q2
Si7336ADP
GATE1
3.3V
5A
GATE2
LTC4224
ON2
GND
バックプレーン・
コネクタ
GND
カード・
コネクタ
Z1: SMAJ6.5A
Z2: SMAJ5.0A
図8.カードに配置された5Vおよび3.3VのHot Swapアプリケーション
Linear Technology Magazine • September 2008
23
L デザイン特集
ショットキー・ダイオードに比べ電力とスペースを
節約する0V∼18Vの理想ダイオード・コントローラ
by Pinkesh Sachdev
はじめに
ショットキー・ダイオードは、マルチソー
ス電源システムを実現するのに様々な
方法で利用されます。たとえば、ネット
ワーク・サーバーやストレージ・サーバー
などの高可用性電子システムは、パワー・
ショットキー・ダイオードのOR回路を
使って冗長電源システムを実現します。
ダ
イオードOR接続は、
ACアダプタやバック
アップ・バッテリ電源など、代替電源を備
えたシステムにも使われます。パワー・ダ
イオードをコンデンサと組み合わせて、
入
力のブラウンアウト時に負荷電圧を保持
することができます。
この場合、
パワー・ダ
イオードは入力電圧と直列に配置し、
コン
デンサはダイオードの負荷側に置きます。
コンデンサは電力を供給し、
逆バイアスさ
れたダイオードは、
電圧が垂下している入
力から負荷を絶縁します。
ショットキー・ダイオードは、電流が数ア
ンペア以下の場合これらのアプリケー
ションで十分ですが、電流がもっと高い
場合、ダイオードの順方向電圧降下によ
るダイオード内の過度の電力損失のた
め、もっと良い解決策が要求されます。た
とえば、0.5Vの電圧降下でダイオードを
流れる5Aの電流はダイオード内で2.5W
を浪費します。この熱はPCBの専用銅領
域またはダイオードに装着したヒートシ
ンクを使って放散する必要があります。
これらは両方とも大きなスペースを占め
Si4438DY
2.9V TO 18V
TO LOAD
OPTIONAL
0.1µF
CPO SOURCE VIN
GATE
VCC
0.1µF
OUT
MOSFET ON
STATUS
STATUS
UV
LTC4352
OV
FAULT
REV
FAULT
GND
図1.パワー・ダイオードとそれに関連したヒートシンクを置き換えて、電力、PCBの面積および電圧
降下を減らす、NチャネルMOSFETを制御するLTC4352。3mm 3mm DFN-12パッケージのLTC4352とSO-8
サイズのMOSFETを使った理想ダイオード回路の小さなPCBフットプリントも示されている。
示します。この理想ダイオード回路は、パ
ワー・ショットキー・ダイオードを置き換
えて、非常に効率的な電力OR接続や電源
ホールドアップ・アプリケーションを実現
することができます。ショットキー・ダイ
オードに比べた理想ダイオード回路の電
力節約を図2に示します。10Aで3.5Wが節
N チ ャ ネ ル M O S F E T と 組 み 合 わ せ た 約され、
負荷電流とともに節約される電力
LTC4352理想ダイオード・コントローラは、 が増加します。
コントローラは動的応答が
0V∼18Vの入力電源で使用する理想に近 高速なので、
電圧垂下に敏感な低電圧ダイ
いダイオードを実現します。
このソリュー オードORアプリケーションに最適です。
ションがいかにシンプルであるかを図1に
ます。また、ダイオードの順方向電圧降下
のため、低電圧アプリケーションではこ
の方法は実際的ではありません。この問
題は、省電力と省スペースのため、順方向
電圧降下がゼロの理想ダイオードを要求
しています。
Si7336ADP
SUPPLY
INPUT
0.1µF
VIN
VCC
SOURCE
GATE
CPO
VIN VCC
25mV
+
AMP
+
4.0
–
POWER DISSIPATION (W)
–
+
DIODE (SBG1025L)
2.5
POWER
SAVED
–
+
OV
1.0
0
STATUS
0.5V
0.5
MOSFET (Si7336ADP)
0
2
4
6
LOAD CURRENT (A)
REV
8
10
図2.負荷電流が増加するほど、パワー・ショット
キー・ダイオード(SBG1025L)に代わる理想ダイ
オード(LTC4352+Si7336ADP)の使用による電力
節約も増加
24
10µA
UV
1.5
CHARGE
PUMP
VCC
3.5
2.0
OUT
100µA
LDO
0.1µF
3.0
OUTPUT
TO LOAD
1V
+
–
MOSFET
ON
DETECT
VCC
10µA
LOGIC
OPEN
MOSFET
DETECT
FAULT
GND
図3.LTC4352の簡略化された内部構造
Linear Technology Magazine • September 2008
デザイン特集 L
何がそれを理想的にするのか
LTC4352はMOSFETのソース(「アノー
ド」)端子とドレイン(「カソード」)端子
25mV
の間の電圧差をモニタします。MOSFET
RDS(ON)
LTC4352
には本来ソースからドレインにボディ・
ダイオードが備わっており、最初の起動
定電圧
時に負荷電流が流れます。入力電圧が出
ショットキー・
ダイオード
力電圧より高いと、MOSFETがオンして、
ILOAD • R DS(ON) の順方向電圧降下が生じ
0
ます。適切なR DS(ON) を選択して、ショッ
0.025
0.5
FORWARD VOLTAGE (V)
トキー・ダイオードの電圧降下に比べて
図4.LTC4352理想ダイオードの順方向I-V特性と
容易に電圧降下を1/10に減らすことがで
ショットキー・ダイオード
きます。入力が出力より下に下がると、
MOSFETがオフして、逆バイアスされた
LTC4352はリニア制御方法を実装して、
ダイオードの動作を真似ます。
コンパレータをベースにした手法の問題
洗練されていない理想ダイオード制御手 を回避します。これはMOSFETのゲート
法では、
ヒステリシスを持ったコンパレー をサーボ制御して、MOSFET両端の順方
タでMOSFET両端の電圧をモニタします。 向電圧降下を25mV(図3のAMP)に維持
たとえば、
MOSFETは入力から出力への電 します。軽負荷電流では、MOSFETのゲー
圧が25mVを超えるとオンするようにで トはそのスレッショルド電圧よりわずか
きます。ただし、もっと低いターンオフ・ に上で、25mV/I LOAD の抵抗を生じます。
スレッショルドを選択すると扱いにくく 負荷電流が増加すると、ゲート電圧が上
なることがあります。それを正の順方向 昇し、MOSFETの抵抗が減少します。究極
電圧降下(たとえば5mV)に設定すると、 的に、大きな負荷電流では、MOSFETの
MOSFETは軽負荷電流でオンとオフを繰 ゲートは完全にオン状態にドライブさ
り返します。
それを負電圧
(たとえば­5V) れ、順方向電圧降下は負荷電流とともに
ILOAD • RDS(ON)のように直線的に上昇しま
に設定すると、
DC逆電流が流れます。
CURRENT (A)
一定の
RDS(ON)
す。こうして得られる理想ダイオードの
I-V特性を図4に示します。
逆電圧状態では、ゲートは L にサーボ
制御され、MOSFETを完全にオフして、
DC逆電流を防ぎます。また、このリニア
な方法は、ダイオードOR接続されたアプ
リケーションのゆっくり横切る入力電源
で電流を滑らかに切り替えます。実際、
MOSFETとトレース・インピーダンスに
依存して、入力電源はそれらの電圧がほ
ぼ等しいとき負荷電流を分担します。
高速スイッチ制御
ほとんどの理想ダイオード回路は、
従来の
ダイオードに比べて過渡応答が遅いとい
う難点があります。他方、LTC4352は入力
から出力への電圧の変化に素早く応答し
ます。
強力なドライバがMOSFETをオフし
て、
入力電源と基板トレースを大きな逆電
流から保護します。同様に、ドライバはス
イッチを素早くオンして、ダイオードOR
接続されたアプリケーションの電源の切
替え時に電圧降下を制限します。
3.3V理想ダイオードOR回路で生じる高
速切替えの様子を図5に示します。
VIN1
VIN1
3.5V
VIN2
VIN2
Q1
Si4438DY
VIN1
0.1µF
VOLTAGE
(2V/DIV)
VLOAD
CPO SOURCE VIN
GATE
VCC
0.1µF
OUT
STATUS
UV
LTC4352
OV
FAULT
REV
TIME (5µs/DIV)
GND
CPO SOURCE VIN
VCC
UV
IL
8A
VOLTAGE
(2V/DIV)
GATE OUT
STATUS
∆VGATE2
LTC4352
OV
REV
∆VGATE1
CL
100µF
0.1µF
0.1µF
∆VGATE = VGATE – VSOURCE
Q3
Si4438DY
VIN2
3.3V
FAULT
GND
TIME (5µs/DIV)
a. 3.5Vと3.3Vの入力電源の理想ダイオードOR接続。
b. VIN1の短絡によるVIN1からVIN2への電源の切替えで
負荷電圧への撹乱を最小に抑えている。
図5.理想ダイオードOR接続の高速切替え
Linear Technology Magazine • September 2008
25
L デザイン特集
最初、VIN1電源はVIN2より高いので、VIN1
が全負荷電流を供給します。この状態で、
MOSFETのQ1はオンしており、Q2はオフ
しています。短絡によりV IN1 はV IN2 より
下に低落します。LTC4352は高速で応答
してQ1をオフし、Q3をオンするので、負
荷電流は今やVIN2から供給することがで
きます。この高速切替えによって負荷電
圧への撹乱が最小に抑えられますので、
下流の回路は滑らかに動作を継続するこ
とができます。
高速でスイッチをオンするため、
LTC4352
は、外部蓄電コンデンサとともに内部
チャージポンプを使います。このコンデ
ンサはCPOピンとSOURCEピンの間に接
続します。CPOはチャージポンプの出力
で、
最大100μAのプルアップ電流を供給す
ることができます。蓄電コンデンサは電
荷を蓄積して保存し、高速ターンオンの
間1.5Aの過渡GATEプルアップ電流を発
生するために利用することができます。
蓄電コンデンサはMOSFETの入力ゲート
容量
(CISS)
と電荷を共有しているので、
蓄
電コンデンサの電圧は高速ターンオンの
後下がります。許容できる低下に留める
には、蓄電コンデンサの値をMOSFETの
CISSの約10倍にします。
表1.STATUS LEDとFUULT LEDによって表示されるLTC4352理想ダイオードの動作状態
LEDの状態
STATUS緑色LED
FAULT赤色LED
理想ダイオードの動作状態
MOSFET
UV/OV
OFF
NO
ON
NO
OFF
YES
OPEN
NO
1 2 V な ど 、高 い 入 力 電 圧 の ア プ リ ケ ー
ションでは、これは受け入れることがで
きるかもしれません。
V INが入力電圧ウィンドウの外側にある
と、ゲートはオフに保たれ、FAULTピン
が L になってフォールト状態を報知
します。赤色LED(D2)が視覚的表示を
与えます。バック・トゥ・バックMOSFET
これまでどんなダイオードも
が 、ゲ ー ト が L の 状 態 で 、そ れ ら の
したことがないことを行う
LTC4352はダイオードの機能をはるかに MOSFETの本来のソース-ドレイン間ボ
超え出て、入力の低電圧と過電圧保護、 ディ・ダイオードを通る電流を阻止する
状態とフォールト情報を報知する出力、 のに必要です。VINの範囲外表示だけで十
オープンMOSFET検出、および逆電流を 分な場合、1個のMOSFET(Q1)を使うこ
許容する能力を内蔵しています。
とができます。ただし、Q1のゲートが L
のとき、Q1のボディ・ダイオードを通っ
低電圧と過電圧保護付きの5V理想ダイ て流れる負荷電流がMOSFET内で過度の
オード回路に使われたLTC4352を図6に 熱を発生しないように注意します。
示します。UVピンとOVピンは、トリッ
プ・スレッショルドが0.5V、ヒステリシス MOSFETスイッチは故障してオープン
高速ターンオンをディスエーブルする が5mVのコンパレータを備えています したり、そのR DS(ON)が長年の使用で劣化
のは容易です。蓄電コンデンサを省くと (図3)。入力電源からこれらのピンへの し、スイッチ両端の電圧降下が大きくな
ゲート立上り時間が遅くなり、CISS を充 抵抗分割器が入力電圧ウィンドウを設 ることがあります。おそらく出力の短絡
電するCPOのプルアップ電流によって 定し(標準4.36V∼5.78V)、この範囲で理 によって過度の電流がMOSFETを通って
決まります。ゲートのターンオンが遅い 想ダイオード機能が作動します。ゲート 流れるときも、大きな電圧降下が生じま
と、チャネルがエンハンスされるまで が H で電力が外部MOSFETを通って流 す。LTC4352はこのような故障を検出し、
オープン
MOSFETのボディ・ダイオードを通って れるときSTATUSピンは L になり緑色 FAULTピンを通して報知します。
MOSFET検出回路は、
(ゲートがオンして
電流が流れる間、負荷が入力よりおよそ1 LEDを点灯します。
いても)
MOSFET両端に250mVを超える順
ボルト下に垂下することがあります。
方向電圧降下を検出するとトリップしま
Q2
Q1
す。
この状態はFAULTピンを L にするだ
Si7336ADP
Si7336ADP
TO LOAD
5V
けで、
スイッチをオフするためのアクショ
ンは起こさないことに注意してください。
0.15µF
5V
5V
表1は、STATUSとFAULTのLEDの状態を
LTC4352の動作状態に翻訳しています。
1k
1k
31.6k
1%
VIN CPO
SOURCE
UV
1k
1%
3.09k
1%
GATE
OUT
FAULT
D2
D1
FAULT
MOSFET ON
STATUS
OV
GND
LTC4352
VCC
0.1 µF
REV
D1: GREEN LED LN1351C
D2: RED LED LN1261CAL
図6.入力の低電圧と過電圧保護付き5V理想ダイオード回路。理想ダイオード機能は
4.36V < VIN < 5.78Vで作動し、
この範囲の外ではGATEが L になる。
26
REVピンの入力はLTC4352の逆電流に
対する振舞いを設定します。通常のダイ
オード動作では L に接続され、逆電流
が外部MOSFETを通って流れるのを防
ぎます。REVを1Vより上にドライブする
と、逆電流状態であっても、ゲートをその
リミットまで完全にオンします。
Linear Technology Magazine • September 2008
デザイン特集 L
Q2
Si7336ADP
Q1
Si7336ADP
TO LOAD
12V
CLOAD = 10mF
Z1
UV
(0.5V/DIV)
RG
10Ω
10k
CG
0.1µF
105k
SOURCE GATE OUT
UV
LTC4352
OV
GND
バックプレーン
LOAD
VOLTAGE
(5V/DIV)
VIN
5.11k
GATE
SUPPLY
CURRENT
(5A/DIV)
CPO
GND
TIME (5ms/DIV)
Z1: DIODES INC. SMAJ12A
コネクタ
b. 短いピンが接触し、
UVが0.5Vを超えると、
GATEがランプ
アップを開始する。それがMOSFETのスレッショルド電圧
を超えると、LOADが同じdV/dtで追従する。この場合、10mF
のCLOADでは突入電流が8.3Aのピークに制限される。
プラグイン・カード
a. CPOコンデンサを省いて、
RCネットワークをゲートに追加すると、
Hot Swapボードの突入電流を制御することができる。
図7.突入電流の制御
ボードが活線挿入されるとき、長い電源
ピンが最初に接触します。LTC4352が起
動しますが、UVが低いのでゲートをオフ
に保持します。ボードの挿入時、数ミリ秒
の遅延の後に短いUVピンが接触します。
V INが10.8Vを超えると、MOSFETゲート
がランプアップを開始します。ゲートが
スレッショルド電圧に達するとMOSFET
Hot Swapボードの突入電流制御
ダイオードの電力入力がホットスワッ がオンし、電流が出力を充電し始めま
プ・ボ ー ド の コ ネ ク タ を 流 れ る と き 、 す。Q2はソース・フォロワ・モードで動作
LTC4352は突入電流を制御する二重の し、電力損失のほとんどを担います。VIN
役目を果たすことができます。この場合 でVDSがオフし始め、25mV/2に減少しま
も、MOSFETのボディ・ダイオードを通る す。突入電流によって消費される電力が
電流をブロックするため、バック・トゥ・ MOSFETの安全動作領域(SOA)内に収ま
バックMOSFETがこのアプリケーション るように注意を払います。
に必要です。突入電流は負荷電圧の立上
り速度を遅くすることにより制限されま 実際的動作
す。これはMOSFETのゲートのdV/dtを制 VINの動作範囲は0Vまで完全に広がって
限し、MOSFETをソース・フォロワの構成 います。ただし、2.9Vより下の入力で動
作しているときは、V CC ピンに外部電源
で動作させることにより行われます。
低電圧、過電圧、およびVCC低電圧ロック
アウトだけがこれをオーバーライドして
ゲートをオフすることができます。この
機能は、逆電流の流れるのを許容する電
力経路制御アプリケーションまたはテス
ト目的のどちらにも便利です。
LTC4352が突入電流制限に使われている
アプリケーションを図7に示します。目
標はゲートのdV/dtを制限することなの
で、理想ダイオードの高速ターンオン特
性は、CPO蓄電コンデンサを省くことに
よってディスエーブルされます。ゲート
電流は今や100μAのCPOプルアップ電流
に制限されます。dV/dtをさらに下げるに
は、RCネットワークをゲートに追加しま
す。逆電流または過電圧フォールトによ
る高速ターンオフの間、抵抗がコンデン
サをデカップリングします。抵抗RGはQ2
の高周波発振を防止します。
Linear Technology Magazine • September 2008
0V TO 18V
5V
C1
0.1µF
が必要です。この電源は2.9V∼6Vの範
囲にします。この範囲の一部である2.9V
∼4.7Vでは、常にVINをVCCより低くしま
す。0.1μFのバイパス・コンデンサもV CC
ピンとGNDピンの間に必要です。5V電源
がVCCピンに給電している理想ダイオー
ド回路を図8に示します。この場合、VINは
0V∼18Vの全範囲で動作することができ
ます。
2.9V∼18Vの入力電源では、VCCピンの外
部電源は不要です。代わりに、内部低損失
レギュレータ(図3のLDO)がV CCピンに
4.1V電源を発生します。
4.1Vより下のV IN では、V CC はV IN より約
50mV下の電圧に追従します。0.1μFのVCC
コンデンサはバイパスとLDOの安定性の
ために依然必要です。
31ページに続く
Q1
Si7336ADP
C2
0.1µF
CPO SOURCE VIN
VCC
UV
OUT
STATUS
LTC4352
OV
REV
GATE
TO LOAD
FAULT
GND
図8.0V∼18Vの理想ダイオード回路。4.7V∼6Vの(ここでは5V)外部電源からVCCピンに
給電することにより、
VINは0V∼18Vの全範囲で動作可能。
27
L デザイン特集
ほぼ完全な電源を15mm 9mm 2.8mmパッ
ケージに収めた、
低電圧
高電流降圧μModuleレギュレータ
by Judy Sun, Sam Young and Henry Zhang
はじめに
電力密度の要件の絶えざる増加は、新し
い電源ソリューションの絶えざる追求の
背後にある主要な推進力です。スイッチ
ング・レギュレータは効率が高く、性能が
高いので、高電流アプリケーションの最
上の選択肢ですが、スイッチャとともに
高電力密度が無償で与えられるわけでは
ありません。効率、過渡応答および熱性能
を最大化するには、部品を注意深く選択
し、レイアウトする必要があります。高密
度スイッチング電源を作製するには、相
当の設計とテストの時間を要するのでは
ないでしょうか。
部品をほとんど使わない簡単な設計
VIN
3.3V
10µF
6.3V
VIN
PGOOD
VOUT
2.5V
4A
VOUT
LTM4604
COMP
FB
RUN/SS TRACK
GND
LTM4604を使った標準的2.5V/4Aのデザ
インを図1に示し、その効率を図2に示
します。セラミック入力コンデンサは
μModuleのパッケージに一体化されてい
ます。追加の入力コンデンサは最大4Aレ
ベルの負荷ステップが予想される場合に
だけ必要です。追加で必要な出力容量は
一般に22μF∼100μFです。FBピンの1個の
抵抗で出力電圧を設定します。
VIN
2.37k
22µF
6.3V
×2
図1.わずかな部品しか必要としないLTM4604を
使った2.5V/4Aデザイン
もっと多くの出力電流を必要とするアプ
パッケージの高さが低いので(それぞれ リケーションには、LTM4608が適してい
2.3mmおよび2.8mm)、PCボードの未使用 ます。LTM4608を使った1.8V/8Aのデザイ
スペースに容易に実装することができ、 ンを図3に示し、その効率を図4に示しま
LTM4604とLTM4608のLTC μModuleス 熱管理が簡単です。
す。LTM4604の場合と同様、必要な外部
イッチング・レギュレータは、最小の労力
部品の個数は最少に減り、設計に要する
で高密度デザインを設計することを可能 LTM4604の入力範囲は2.375V∼5.5V、出 労力が大幅に減少します。にもかかわら
にします。両方とも、入力電圧が5.5V以上 力範囲は0.8V∼5Vであり、LTM4608の入 ず、μModuleの高スイッチング周波数と
の高出力電流降圧アプリケーション向 力範囲は2.7V∼5.5V、出力範囲は0.8V∼ 電流モード制御アーキテクチャの最適化
けの高密度電源です。各μModuleレギュ 5Vです。LTM4604は最大95%の効率で最 されたデザインによって、ラインや負荷
レータは15mm 9mm LGA表面実装パッ 大4Aの電流を連続して供給することが の変化に対する非常に高速の過渡応答が
ケージで供給され、ほぼ自足しています。 できます。高さがわずかに高いLTM4608 保証されます。さらに、多様なアプリケー
つまり、電源デザインを完成するのにわ は、その高効率デザインと低熱インピー ションのニーズを満たすため、LTM4604
ずかな受動部品しか必要としません。ス ダンス・パッケージのおかげで、最大8A お よ び LT M 4 6 0 4 0 8 の 多 数 の 機 能 を イ
イッチング・コントローラ、MOSFET、イ の電流を連続して供給することができま ネーブルすることができます。
ンダクタおよび全てのサポート部品は既 す。
に注意深く選択され、パッケージ内に収
められています。
100
95
EFFICIENCY (%)
VIN = 3.3V
VIN
3V TO 5.5V
10μF
90
85
70
CLKIN
VOUT
SVIN
FB
SW
ITH
RUN
80
75
LTM4608
100μF
VOUT
1.8V
8A
4.87k
ITHM
PLLLPF
PGOOD
TRACK
MGN
CLKOUT GND SGND
VOUT = 2.5V
0
1.0
2.0
3.0
LOAD CURRENT (A)
4.0
図2. 図1のアプリケーションの
LTM4604によって達成される高効率
28
VIN
図3.わずかな部品しか必要としないLTM4608を使った1.8V/8Aデザイン
Linear Technology Magazine • September 2008
デザイン特集 L
100
VIN
3V TO 5.5V
95
EFFICIENCY (%)
VIN = 3.3V
10µF
90
RUN
80
75
VOUT = 1.8V
0
2
4
6
LOAD CURRENT (A)
100µF
6.3V
X5R
100pF
LTM4608
FB
ITH
PLLLPF
ITHM
TRACK
PGOOD
MODE
BSEL
PHMODE
MGN
VOUT
1.5V
16A
3.32k
CLKOUT GND SGND
10
8
図4.図3のアプリケーションのLTM4608によって
達成された高い効率
LTM4604とLTM4608の両方ともRUNピ
ンによる制御、出力電圧トラッキングの
選択およびパワーグッド・インジケー
タを備えています。異なる電源間の電圧
シーケンシングを必要とするシステムで
は、RUNピンとPGOOD信号をいくつか
の追加部品で制御することにより、シー
ケンシング機能を実現することができま
す。フォールト保護機能には、過電圧保
護、過電流保護、サーマル・シャットダウ
ンなどがあります。
LTM4608はいくつかの追加機能を提供
します。Burst Mode®動作、パルス・スキッ
プ・モードまたは連続電流モードを選択
して、軽負荷での効率を改善することが
できます。Burst Mode動作は非常に軽い
負荷で高効率を与え、強制連続電流モー
ドは出力リップルを最小にします。パル
ス・スキップ・モードはBurst Mode動作と
連続モードの間の中間的特性を与え、軽
負荷時に出力電圧リップルを低く抑えつ
つ、良い効率を与えます。
9
CLKIN
VIN
10µF
豊富な機能
OUTPUT CURRENT OF EACH LTM4608 (A)
VOUT
SVIN
SW
VIN = 5V
85
70
CLKIN
VIN
VOUT
SVIN
SW
RUN
LTM4608
FB
100µF
6.3V
X5R
ITH
PLLLPF
ITHM
TRACK
PGOOD
MODE
BSEL
PHMODE
MGN
CLKOUT GND SGND
図5.2個のLTM4608は容易に並列接続され、相互に挟み
込まれたスイッチング動作により1.5V/16A出力を供給する
プログラム可能な 5%、 10%および
15%のレベルの出力電圧マージニング
が、サポートされます。LTM4608は周波
数同期およびスペクトラム拡散動作も可
能で、スイッチング・ノイズの高調波をさ
らに減らします。
電力増加のための並列接続
サイクルごとの電流モード制御により、
LTM4604とLTM4608は容易に並列接続
することができ、優れた電流分担で出力
電流を増やします。LTM4608にはCLKIN
ピンとCLKOUTピンが備わっており、並
列接続されたデバイスを相互に位相をず
らして動作させ、入力と出力のリップル
を減らすことができます。各LTM4608の
PHMODEピンを異なったレベルにプロ
グラムすることにより、合計12フェーズ
をカスケード接続し、相互に同時に動作
させることができます。
16Aの出力電流を供給する並列接続され
た2個のLTM4608の例を図5に示します。
図6はこの回路の測定された電流分担性
能を示しており、DC電流分担誤差は最大
負荷で5%未満です。
31ページに続く
8
IOUT2
7
6
IOUT1
5
4
3
2
1
0
0
2
4
6
8 10 12 14
TOTAL LOAD CURRENT (A)
16
18
図6.2個の並列接続されたLTM4608の間の
全負荷範囲にわたる優れた電流分担を示す
ベンチ・テスト
Linear Technology Magazine • September 2008
図7.16Aの出力電流を供給する並列接続された2枚のLTM4608
ボードの間に良好に保たれた熱バランス
29
L デザイン・アイデア
2MHzスイッチング・レギュレータを搭載した
省スペースの高さの低いQFNに収められた
TFT-LCD用の5出力高電流電源
by Kevin Huang
はじめに
LT3513は高度に集積化された5出力レ
ギュレータで、一般に大型TFT液晶ディ
スプレイ(LCD)に必要な全ての電源電圧
を単一のICで供給するように設計されて
います。このデバイスは1個の降圧スイッ
チング・レギュレータを備えており、車載
バッテリなどの広い電圧範囲の入力から
3.3Vまたは5Vのロジック電圧を発生し
ます。内部リニア・レギュレータでドライ
ブされる外部NPNを追加して、もっと低
電圧のロジック電源を最初の電源から発
生することができます。他の3つの内蔵
レギュレータはLCDが必要とする3つの
バイアス電圧を供給します。高電力昇圧
レギュレータはAVDDを発生し、低電力昇
圧レギュレータはV ON を発生し、反転レ
ギュレータはVOFFを供給します。
広い入力電圧範囲を受け入れ(昇圧と降
圧の両方の機能を与え)、電力損失を最小
に抑えるため、リニア・レギュレータで
はなくスイッチング・レギュレータが選
択されています。LT3513は入力範囲が広
いので(4.5V∼30V)、車載バッテリ、分配
電源、ACトランスなど様々な電源を受け
入れることができます。高さの低い38ピ
ンQFNパッケージは裏面に露出メタル・
パッドを備えており、熱性能を最大にし
ます。
2MHzスイッチング・レギュレータを
搭載した省スペースの高さの低いQFNに
収められたTFT-LCD用の5出力
高電流電源 ................................................ 30
Kevin Huang
高さ1mm以下のパッケージで最大12Aを
供給するFET内蔵の32VIN同期整流式
降圧レギュレータ .................................... 32
Stephanie Dai and Theo Phillips
デジタルカメラなど複雑な
小型携帯アプリケーション向けの
完全な電源ソリューション .................... 34
Brian Shaffer
30
VIN
8V TO 30V
VOFF
–10V
20mA
2.2µF
10µF 178k
0.47µF
ZHCS400
L1
10µH
VLOGIC
5V
UVLO LDOPWR VIN
L2
10µH
SW2
SW4
69.8k
10k
10µF
PGOOD
BIAS
BOOST
10k
L3
4.7µH
RUN-SS2
RUN-SS3/4
CT
0.22µF
SW1
SENSE+
SENSE–
FB1
30.1k
22µF
AVDD
8V
80mA
RUN-SS1
NFB4
47nF
LT3513
VON_CLK
E3
VC1
42.2k
10µF
7.5k
10k
GND
4.7k
2.7nF
L1: SUMIDA CDR6D28MNNP-100NC
L3: SUMIDA CDR6D28MNNP-4R5NC
L4
6.8µH
SW3
FB3
VC2
VC3
30k
4.7nF 1.5nF
15nF
VC4
15nF
VON
22V
20mA
232k
VONSINK
BD
FB5
15nF
VON_CLK
VON
DFLS240L
ZXTAM322
VLDO
3.3V
0.5A
100k
FB2
D4
10k
53.6k
Si2333DS
60.4k
VLOGIC
5V
0.5A
DFLS240L
165k
VLOGIC
5V
10k
0.47µF
2.2µF
13k
2.2nF
L2: COILCRAFT LPO3310-103MLC
L4: COILCRAFT LPO3310-682MLC
図1.完全な5出力2MHz TFT-LCD電源
レギュレータは全て2MHzの内部クロッ
クに同期するので、
小型で低コストのイン
ダクタやセラミック・コンデンサを使用す
ることができます。
パネルの種類が異なる
と必要なバイアス電圧が異なることがあ
るので、最大の柔軟性を得るため、全ての
出力電圧は可変です。
プログラム可能なソ
フトスタート機能が各レギュレータに備
わっており、
突入電流を制限します。
動作
8V∼30Vの入力電圧を受け入れることが
できる5出力のTFT LCD用電源を図1に示
します。最初のスイッチング・コンバータ
は降圧レギュレータを使って5Vロジッ
ク電源を発生します。外部NPNと共に内
部リニア・レギュレータは、入力として
5V電源を使って3.3Vロジック電源を発
生します。
RUN/SS 2V/DIV
VLOGIC 5V/DIV
AVDD 10V/DIV
VOFF 10V/DIV
VE3 20V/DIV
VON 20V/DIV
IIN(AVG) 1A/DIV
5ms/DIV
図2.図1の電源の起動波形
Linear Technology Magazine • September 2008
デザイン・アイデア L
2番目のスイッチャは5V電源を8V、80mA
AV DDバイアス電源に昇圧するのに使わ
れます。別の昇圧コンバータとインバー
タがV ONとV OFFを発生しますが、これら
も5V電源を入力として使います。
入力に最初に電力が与えられると、RUNSS1コンデンサが充電を開始します。そ
の電圧が0.8Vに達すると、スイッチャ1が
イネーブルされます。RUN-SS1ピンのコ
ンデンサが、スイッチャ1の出力、V LOGIC
およびL1の突入電流のランプ・レートを
制御します。スイッチャの2、3および4は
BIASピンによって制御され、BIASピン
は通常VLOGICに接続されます。BIASピン
が2.8Vより高いと、RUNSS-2およびRUNSS3/4ピンが充電を開始し、スイッチャ
2、3および4をイネーブルします。AVDDが
プログラムされた電圧の90%に達する
と、PGOODピンが L に引き下げられま
す。AV DD、VOFFおよびE3の全てがそれぞ
れのプログラムされた電圧の90%に達す
ると、C Tタイマがイネーブルされ、20μA
の電流源がCTを充電し始めます。CTピン
が1.1Vに達すると、出力のPNPがオンし、
E3をVONに接続します。図1の回路の起動
シーケンスを図2に示します。
護します。TFTディスプレイをオンする
にはVONが与えられている必要があるか
らです。シャットダウン時には、PGOOD
ピンが昇圧レギュレータの出力のオプ
ションのPMOSデバイスをドライブし
て、AVDDの負荷を入力から切断すること
ができます。このコンバータには全てセ
ラミック・コンデンサを使います。X5Rお
よびX7Rのタイプは広い温度範囲で容量
を維持しますので、これらを推奨します。
4個のスイッチャ全てが固定周波数、電
流モード制御方式を採用しています。ス
イッチング・レギュレータ1はインダクタ
電流を検出する帰還方式を使い、他のス
イッチング・レギュレータはスイッチ電
流をモニタします。インダクタ電流検出
方法は最小オン時間の問題を回避し、入
力から出力への任意の電圧比でスイッ
チ電流リミットを維持します。他の3個の
レギュレータは周波数フォールドバック
方式を備えており、FBピンが0.75Vより
下に下がるとスイッチング周波数を下げ
ます。この機能は起動時および過負荷状
態での平均インダクタ電流を減らし、パ
ワースイッチと外部部品の電力損失を最
小に抑えます。
安定化された電圧(VLOGIC、AVDD、VOFFま
たはE3)のどれかが10%以上低下すると、
内部PNPがオフしてVONをシャットダウ
ンします。このアクションはパネルを保
レイアウトに関する検討事項
LTM4604、LTM4608、29ページから続く
優れた電流分担により、並列接続した
LTM4608への熱ストレスのバランスが
良くなるので、システムの信頼性が向
上します。図7は、16Aの出力電流を供給
している並列接続されたこれら2枚の
LTM4608ボードの間には小さな温度差
しかないことを実証しています。
最良の動作性能を達成するには、PCボー
ドの適切なレイアウトが重要です。高ス
イッチング電流が流れる経路は短く、幅
を広くし、寄生インダクタンスを最小に
抑えます。降圧レギュレータでは、この
ループには入力コンデンサ、内部パワー
スイッチおよびショットキー・ダイオー
ドが含まれます。昇圧レギュレータでは、
このループには出力コンデンサ、内部パ
ワースイッチおよびショットキー・ダイ
オードが含まれます。全てのループ補償
用部品と帰還抵抗を高スイッチング電流
経路から離します。LT3513のピン配置は
PCBレイアウトをしやすくするように設
計されています。帰還抵抗の中間点から
対応するFBピンへのトレースはできる
だけ短くします。LT3513はICの裏側に露
出グランド・パッドを備えており、熱抵抗
を減らします。グランド・レイヤへの多数
のビアを備えたグランド・プレーンをデ
バイスの下に配置して、デバイスから熱
を逃がします。
まとめ
LT3513は包括的でありながらコンパク
トな、TFT-LCD用電源ソリューションで
す。入力範囲が広く、電力損失が小さいの
で、様々なアプリケーションに使うこと
ができます。4個全ての内蔵レギュレータ
のスイッチング周波数は2MHzであり、
セラミック・コンデンサだけを使用する
ことができ、回路のサイズ、コストおよび
出力リップルを最小に抑えることができ
ます。L
LTM4604およびLTM4608 15mm 9mm
μModuleレギュレータは、低入力電圧で
高出力電流のアプリケーション向けの完
全な電源ソリューションです。これらは
PCBの底面など狭いスペースに無理なく
収まるので、回路とレイアウトの設計を
大幅に簡素化します。これらのμModule
は形状がコンパクトですが、機能が豊富
で、もっと大きな出力電流が必要であれ
ば容易に並列接続することができます。
L
設計者は高電流電力経路の各ダイオード
の電力消費と占める面積を綿密に調べる
まとめ
電子システムの設計の永続するテーマは、 必要があります。
もっと多くの計算能力をもっと小さな
フォームファクタにもっと少ない電力割 LTC4352 MOSFETコントローラ・デバイス
特
当てで詰め込むことです。
もうひとつの傾 はダイオードと同じ機能を与えますが、
向は配電される電力の電圧を下げること に電流が増加するにつれ、もっと高い効
であり、
電力レベルを維持するために電流 率、もっと低い温度で同じ機能を与えま
また、
高速スイッチ制御、
0V動作、
低電
が増加します。これらの制約の下で、基板 す。
圧および過電圧保護、
オープンMOSFET検
出、
逆電流を許容する能力、
Hot Swap機能、
およびフォールト出力と状態出力などの
有用な機能を内蔵しています。
これら全機
能が省スペースの12ピンDFN
(3mm 3mm)
およびMSOPパッケージに収められている
ので、
従来のダイオードより小さなフット
プリントのダイオード・ソリューションを
実現することができます。L
LTC4352、27ページから続く
Linear Technology Magazine • September 2008
まとめ
31
L デザイン・アイデア
高さ1mm以下のパッケージで最大12Aを
供給するFET内蔵の32VIN同期整流式
降圧レギュレータ
by Stephanie Dai and Theo Phillips
特長
はじめに
モノリシック降圧レギュレータは配線が
楽で、DC/DCコンバータ全体を非常に小
さなスペースに詰め込むことを可能にし
ます。モノリシック・デバイスは簡単に使
えますが、全てのアプリケーションに最
適なわけではありません。たとえば、それ
らは一般に高入力電圧(>12V)を高出力
電流(>4A)で低電圧に効率よく変換する
能力に欠けるので、このような仕事は従
来のコントローラICと外付けMOSFETに
委ねることになります。
新しいデバイス・ファミリーは、ディス
クリート部品の低デューティ・サイクル
と高効率で、モノリシックD C / D Cコン
バータの利点を提供する。LT C3608、
LTC3609、LTC3610およびLTC3611は
同期整流式降圧コンバータで、
高い電力
密度とシンプルなデザインをポイントオ
ブロード・アプリケーションにもたらす。
ところが、
新しいデバイス・ファミリーは、
ディスクリート部品の低デューティ・サイ
クルと高効率で、モノリシック・デバイス
の利点を提供します。
LTC3608、
LTC3609、
LTC3610およびLTC3611は同期整流式降圧
コンバータで、
高い電力密度とシンプルな
デザインをポイントオブロード・アプリ
ケーションにもたらします。
最大入力は32Vで、最大2MHzのスイッチ
ング周波数の電流モード制御を用い、最
大12Aの負荷電流を供給し、高さ1mm以
下の熱的に改善されたパッケージに収め
られています。LTC3608の標準的アプリ
ケーションを図1に示します。
L1
0.5µH
LTC3608
VIN
5V TO 18V
RON
187k
1%
CIN
10µF
25V
3×
PVIN
SW
ION
RUN/SS
CSS
0.1µF
CMDSH-3
INTVCC
4.7µF
6.3V
100k
PGOOD
0.01µF
1
30.1k
1%
VFB
30.1k
1%
SVIN
0.47µF
25V
FCB
VRNG
VON
ITH
SGND
0.1µF
7.68k
1%
100pF
C1: TAIYO YUDEN JMK316BJ226ML-T
CIN: TAIYO YUDEN TMK432BJ106MM
COUT: TDK C4532X5R107M
L1: SUMIDA CDEP85NP-R50MC-125
COUT
100µF
×2
BOOST
EXTVCC
VIN
+
C1
0.22µF
VOUT
1.2V
8A
1500pF
PGND
電源グランドと信号グランドを分離する。
1点で接続する。
= PGND
= SGND
LT C 3 6 0 8 、LT C 3 6 0 9 、LT C 3 6 1 0 お よ び
LTC3611は高性能同期整流式降圧コント
ローラを超低R DS(ON)のDMOS MOSFET
と一体化して、コンパクトで高効率なコ
ンバータを構成しています(図2)。2つの
パッケージ・サイズを利用可能で、それぞ
れ高電圧または高電流のオプションを備
えています(表1)。各デバイスはオン時
間が100ns以下なので、非常に低いデュー
ティ・サイクルでの動作と高スイッチン
グ周波数が可能です。これらのデバイス
は電流モード制御アーキテクチャなの
で、ループの安定性の調整が簡単で、全て
セラミック出力コンデンサのアプリケー
ションなど、様々な種類の出力コンデン
サで優れた過渡応答を得ることができま
す。
LTC3610は強制連続モードで動作可能
で、可能な限り出力リップルとEMIが低
くなります。また、不連続モードでも動作
可能であり、インダクタ電流が反転する
ことを許さないので軽負荷での効率が向
上します。
I ONピンへの電流がオン時間を設定しま
す。V IN からI ON ピンへの抵抗R ON は、V IN
が上昇すにつれオン時間を減らすので、
スイッチング周波数の変化を制限しま
す。さらに、トップ・スイッチがオンし、電
流が増加し始める前に、ループが発振器
のパルスを待つ必要がないので、負荷ス
テップへの応答を非常に高速にすること
ができます。
電流制限はボトムFETのオン抵抗両端の
最大許容検出電圧から推測されますが、
この電流制限はVRNG ピンに電圧を加え
ることにより調整することができます。
各デバイスの最大負荷電流リミットを表
1に示します。
図1.LTC3608の標準的アプリケーション
32
Linear Technology Magazine • September 2008
デザイン・アイデア L
90
VIN = 12V
85 FREQ = 550kHz
VOUT
200mV/DIV
75
70
65
DCM
CCM
60
200mV
55
LOAD STEP 1A-8A
VIN = 12V
VOUT = 1.2V
FCB = 0V
まとめ
LT C 3 6 0 8 、LT C 3 6 0 9 、LT C 3 6 1 0 お よ び
LTC3611降圧レギュレータは、外付け
MOSFETのソリューション(コントロー
ラ+ディスクリート)の効率と電力出力
能力を提供し、従来のMOSFET内蔵モノ
リシック・デバイスの使いやすさと省ス
ペースの利点を備えています。また、これ
らのデバイスは従来のモノリシック・ソ
リューションより高い効率を与えます。
80
IL
5A/DIV
EFFICIENCY (%)
ソフトスタートとラッチオフ機能は
RUN/SSピンによって制御され、起動時
の突入電流と電流オーバーシュートを防
ぎ、低電圧または短絡が現れるとラッチ
オフのオプションを与えます。オープン・
ドレインのパワーグッド・ピンは出力を
モニタし、出力電圧が安定化ポイントの
10%以内にないと L になります。
50
0.01
図3.図1に与えられている標準的LTC3608
アプリケーションの1Aから8Aへの
負荷ステップに対する過渡応答
0.1
1
LOAD CURRENT (A)
10
図2.不連続導通モード(DCM)と連続導通モード
(CCM)の標準的LTC3608アプリケーションの効率
それらは電力とスペースを節約し、電源
の設計を簡素化します。コントローラを
ベースにしたソリューションに比べて
ディスクリート部品を減らすので、ノー
トブックやパームトップコンピュータな
どの低消費電力の携帯型機器のアプリ
ケーションから、高消費電力の産業用配
電システムに至るまで、何にでも適して
います。L
表1.MOSFETを内蔵した降圧レギュレータ
LTC3610
LTC3611
LTC3608
LTC3609
PVIN Max
24V
32V
18V
32V
ILOAD Max
12A
10A
8A
6A
Package
9mm
9mm 0.9mm
64-pin
9mm
9mm 0.9mm
64-pin
7mm
8mm 0.9mm
52-pin
7mm
8mm 0.9mm
52-pin
RDS(ON)
Top FET
12mΩ
15mΩ
14mΩ
19mΩ
RDS(ON)
Bottom FET
6.5mΩ
9mΩ
8mΩ
12mΩ
LTC4009、20ページから続く
次に、LTC4009ファミリーは、予期せぬ電
圧反転に対して、入力のブロッキング・ダ
イオード両端の電圧をモニタします。最
初の起動、フォールト状態からの再起動、
および入力電流制限時の充電電流の減少
も注意して制御され、逆電流の発生を防
ぎます。
ファミリーの全メンバーが入力電流制限
フラグを備えており、アダプタがその電
流能力の95%を超えて動作するとシステ
ムに通知します。最後に、各デバイスは内
部過温度保護機能を備えており、高温動
作時のシリコンへの損傷を防ぎます。
全てのフォールト状態からの回復はアナ
ログ帰還ループの完全な制御の下に行わ
Linear Technology Magazine • September 2008
れますので、
内部帰還ループが首尾一貫し
て応答し、
適切な電圧または電流の安定化
を維持するために負荷への電流供給が必
要であると報知するまで、
充電が一時停止
されたまま留まることを保証します。
パーコンデンサに使える汎用チャージャ
として適しています。充電過程全体を直
接制御し、外部マイクロプロセッサを
使った広い範囲の充電終了アルゴリズム
の実装を容易にします。
まとめ
LTC4009-1とLTC4009-2は、1個∼4個の直
列セルの一般的なリチウムイオンまたは
リチウム・ポリマーのバッテリ・パック構
成用の、ピンでプログラム可能な出力電
圧を備えています。これらの種類では、精
度を犠牲にすることなく、高精度外部ア
プリケーション部品の個数が減少しま
す。4.1V/セル(LTC4009-1)および4.2V/セ
ル(LTC4009-2)の両方のオプションが供
給されているので、ユーザーは容量と安
全性をアプリケーションの要求に合わせ
てバランスさせることができます。L
LTC4009ファミリーは、チャージャのビ
ルディング・ブロック一式を小さなPCB
フットプリントに集積化しています。そ
の結果、モニタおよびフォールト処理機
能一式を備えた高精度ハイパワー・バッ
テリ・チャージャICが得られました。
LTC4009は、ユーザーがプログラム可能
な簡単な外部抵抗分圧器を使って調整
可能な出力電圧制御を備えています。し
たがって、様々な種類のバッテリやスー
33
L デザイン・アイデア
デジタルカメラなど複雑な
小型携帯アプリケーション向けの
完全な電源ソリューション
はじめに
デジタルカメラ、携帯型GPSシステム、
LTC3586はリニアテクノロジーのユニー
MP3プレーヤ、その他の多機能モバイル
クなBat-Track™テクノロジーを実装して
機器の電源要件は複雑です。これらの複
おり、従来のリニア・チャージャよりも多
雑な機器では、バッテリの充電/放電、電
くの電力をU S B電源から利用すること
流制限されたUSB電源、さらにCCDまた
はLCDの負電源を含む複数電圧の電源
ができるので、充電が高速化される。
セットなど、多数の専用電源と負荷の間
で電力の流れを注意深く管理する必要が
あります。電源はシーケンスを制御し、ト れや他の強力なPMICの機能の利点を活
ラッキングする必要があり、フォールト かしています。
はクリーンに処理してマイクロコント
ローラに知らせる必要があります。
完全なデジタルカメラ用
これらの要件が合算されると、効率的で
堅牢な電源システムをハンドヘルド機器
に押し込むことはほとんど不可能に見え
ます。リニアテクノロジーはPMIC(Power
Management Integrated Circuits)と呼ばれ
るデバイス・ファミリーによってこの問
題を解決します。このファミリーは複雑
なリチャージャブル・バッテリ電源シス
テムの設計を大幅に簡素化します。
リニアテクノロジーのいくつかのPMIC
は、固有のBat-Track機能付きスイッチン
グPowerPathコントローラ・トポロジーを
使っており、高速バッテリ充電のために
USBのリミットを超える充電電流を可能
にします(図1)。ここに示されているデジ
タルカメラの電源ソリューションは、こ
700
CHARGE CURRENT (mA)
600
500
400
VBUS = 5V
RPROG = 1k
RCLPROG = 3k
300
200
100
5x USB SETTING,
BATTERY CHARGER SET FOR 1A
0
3.0
3.3
3.6
3.9
2.7
BATTERY VOLTAGE (V)
4.2
図1.バッテリ充電電流とバッテリ電圧
34
電源システム
電力トラフィック制御センターとして
LTC3586 PMICを使った完全なデジタル
カメラ用電源ソリューションを図2に
示します。4mm 6mm QFNパッケージに
は、
USB PowerPathマネージャ、
バッテリ・
チャージャ、さらに昇圧DC/DCコンバー
タ、昇降圧および2個の降圧コンバータが
収められています。
3mm 3mmパッケージ
のLT3587が使われており、高電圧モノリ
シック・インバータとデュアル昇圧コン
バータを使ってLCDスクリーン用のCCD
とLEDバックライトをドライブします。
利用可能な電力を最大化する
スイッチングPowerPathコントローラ
LTC3586はリニアテクノロジーのユニー
クなBat-Track™テクノロジーを実装して
おり、負荷への電流供給であれ、リニア・
チャージャから供給できる充電レートよ
り大きな充電レートでバッテリを充電す
るためであれ、USB電源から利用できる
電力の利用を最大化します。
by Brian Shaffer
ことができます。スイッチングPowerPath
コントローラは非常に効率的なので、
500mAのUSB電源から600mAを超える
バッテリ充電電流を供給します
(図1)。
バッテリ充電効率はバッテリ電圧範囲全
体で85%∼90%です。対照的に、従来のリ
ニア・チャージャの効率はわずか57%に
低下し、熱として失われます。バッテリ電
圧の関数としてのバッテリ・チャージャ
の効率のグラフを図3に示します。
瞬時オン動作
LTC3586は瞬時オン動作も備えているの
で、
バッテリ電圧がシステムのカットオフ
電圧より下のときでさえ、
外部電力が与え
られるとカメラは直ちに作動することが
できます。これは別の電圧レール(V OUT)
を発生することにより実現されます。
この
電圧はバッテリが3.3Vより下のときバッ
テリ電圧から切り離されます。
外部電源が
与えられると、PowerPathコントローラは
バッテリ充電電流より負荷電流を優先さ
せ、
VOUTを3.6Vに安定化して、
外部電源が
与えられたとき直ちにシステムが動作で
きるようにします。シャッター・チャンス
はバッテリが充電されるのを待ってくれ
ないので、
カメラのアプリケーションでは
瞬時オンの機能は重要です。
フォールト処理
これら両方のデバイスのFAULT信号は、
シームレスなフォールト処理のため一緒
に働くように設計されています。フォー
ルト信号を入力と出力の両方にすること
により、2個のデバイスがフォールト・イ
スイッチングPowerPathコントローラは ベント信号を相互にやり取りすることが
USBアプリケーションのための平均入力 できます。どちらのデバイスにフォール
電流の精確な制御を維持します。入力電 トが生じても、全ての出力がオフし、シス
流の平均レベルは2個のデジタル入力の テムとバッテリを損傷から保護します。
状態によって制限され、100mA、500mA、 イネーブル・ラインとフォールト信号は
1Aまたは一時停止(500μA)に設定する 同じ電圧にプルアップします。
Linear Technology Magazine • September 2008
デザイン・アイデア L
USB/WALL
4.5V TO 5.5V
L1
3.3µH
C1
22µF
SW
VBUS
GATE
NTC
T
VOUT
VOUT
100k
BAT
PROG
CLPROG
2k
2.94k
0.1µF
+
RED
CHRG
3.3V
1A
VOUT3
3.3V, 20mA
LDO3V3
1µF
10k
FAULT
2
PUSHBUTTON
MICROCONTROLLER
Li-Ion
GND
510Ω
C2
22µF
MP1
10pF
15k
VC3
121k
33pF
330pF
324k
22µF
FB3
SWCD3
VIN3
2.2µF
105k
L2
2.2µH
SWAB3
ILIM
L3
4.7µH
LTC3586
1.8V
400mA
SW2
MODE
SYSTEM RAIL/
I/O
1.02M
I/O/MEMORY
10pF
FB2
4
806k
EN
VIN2
10µF 1µF
L4
4.7µH
MICROPROCESSOR
1.6V
400mA
SW1
806k
CORE
10pF
FB1
806k
10µF 1µF
C1, C2: TDK C2012X5R0J226M
L1: COILCRAFT LPS4018-332LM
L2, L5: TOKO 1098AS-2R2M
L3, L4: TOKO 1098AS-4R7M
MP1: SILICONIX Si2333
VIN1
VIN4
L5
2.2µH
SW4
10µF
5V
800mA
VOUT4
88.7k
10pF
AUDIO/
MOTOR DRIVE
FB4
16.9k
10µH
22µF
15µH
1µF
2.2µF
8.06k
1µF
SW3
CAP3
VIN
SW1
CAP1
IFB3
VOUT1
GND
FB1
LT3587
10µF
15V
50mA
1M
2.7pF
FLT
EN/SS3
100nF
FB2
SW2
100nF
15µH
BACKLIGHT LEDs
LED DRIVER
20mA, UP TO 6 LEDS
VOUT3
VFB3
EN/SS1
CCD POSITIVE
CCD
1M
6.8pF
2.2µF
15µH
22µF
= IR05H40CSPTR
–8V
100mA
CCD NEGATIVE
図2.携帯用カメラの完全な電源ソリューション
Linear Technology Magazine • September 2008
35
L デザイン・アイデア
100
EFFICIENCY (%)
90
VVIN
2.5V TO 5V
10µH
RCLPROG = 3.01K
RPROG = 1K
IVOUT = 0mA
VIN
1x CHARGING EFFICIENCY
SW3
1µF
CAP3
80
LT3587
5x CHARGING EFFICIENCY
VOUT3
IFB3
70
DAC
LTC2630
60
2.7
3
3.5
3.9
3.3
BATTERY VOLTAGE (V)
4.2
図3.外部負荷なしのバッテリ充電効率と
バッテリ電圧(PBAT/PBUS)
図2では、
LDO3V3レギュレータが、
FAULT
信号のプルアップ電圧として、また、プッ
シュボタンのイベントの処理と電源シー
ケンシングに使われる低消費電力マイク
ロコントローラの電源として使われてい
ます。FAULTピンは入力としても機能す
るので、どの出力がイネーブルされるよ
りも前に H になる必要があります。
小型LEDドライバ
LT3587 LEDドライバは20mA∼1μAの平
均LED電流で最大6個のLEDをドライブ
するように設計されています。LT3587の
VOUT3が電流制御LEDドライバとして使
われると、V FB3ピンは過電圧保護機能と
して使うことができます。抵抗をVOUTと
V FB3の間に接続することにより、デバイ
スはVOUT3の最大許容出力電圧を制限し
ます。この機能はLEDアプリケーション
で非常に重要です。それがないと、クラ
イアント・デバイスが、万一LEDの1つが
オープンすると損傷を受けることがある
からです。このような場合、電流を安定化
しようと試みて電流安定化ループが電
LTC3851、17ページから続く
この機能はMOSFETの不十分なターンオ
ン電圧に対して保護します。
DCR検出付き3.3V/15Aレギュレータ
DCR電流検出を使った、400kHz、3.3V出
力のレギュレータを図2に示します。イン
ダクタのDC抵抗が電流検出素子として
使われているので、ディスクリート検出
抵抗が不要になり、効率が最大化されま
す。入力電圧が12Vの3つの動作モード全
36
IR05H40CSPTR
VDAC-OUT
EN/SS3
8.06k
RIFB3
MN1
Si1304BDL
PWM 2.5V
FREQ 0V
図4.PWM調光とアナログ調光付き6白色LEDドライバ
圧を上げるので、出力が上昇し続けるで
しょう。
LT3587の内蔵LEDドライバは、そのイ
ネーブル入力(EN/SS3)に直接PWM調光
信号を受け入れることも、外部DACを介
してアナログ調光に対応することもでき
ます。直接PWMとアナログ調光を備えた
LEDドライバのアプリケーション回路の
一部を図4に示してありますので、参照し
てください。
LEDを流れる電流が変化するとLEDの色
が変化しますが、PWMサイクルのON部
分は常に同じ電流なので、PWM調光は調
光範囲全体で色を一定に保ちます。PWM
調光では、LEDの輝度は平均電流の関数
であり、PWM信号のデューティ・サイク
ルを変えて調整します。アナログ調光で
は、LEDを流れる定電流を調整するので、
色が変化します。
LT3587は60Hzを超える周波数のPWM信
号を受け入れて、ちらつきの無い動作を
ての効率と負荷の関係が図3にプロット
されています。
350kHzに同期した
1.5V/15Aレギュレータ
外部クロックに同期した1.5V出力の
レギュレータを図4に示します。FREQ/
PLLFLTRピンに接続されたループ・フィ
ルタ部品は、ジッタのない発振器周波数
と減少したロック時間を達成するように
最適化されています。
保証します。CAP3とVOUT3の間の切断用
内部FETのおかげで高いPWM周波数を実
現することができます。
このFETは、
PWM
信号が L の間CAP3が定常状態の値を保
持することを保証するので、起動遅延が
最小に抑えられます。100HzのPWM調光
信号の場合、最低デューティ・サイクルで
の直線性からの10%の偏りを許容するな
ら、LT3587は30:1の調光比を可能にしま
す。最大の調整範囲を望むなら、LTC2630
などの外部DACを使って、調整電圧を
IFB3の抵抗に与えて、
20,000:1のLED電流
範囲を与えることができます。
まとめ
2つの高度に集積化されたデバイスであ
るLTC3586とLT3587を組み合わせて、携
帯カメラや他の機能豊富な携帯機器向け
の完全なUSB互換電源ソリューションを
作製することができます。このソリュー
ションは堅牢で高性能、さらにコンパク
トであり、効率的バッテリ充電、瞬時オ
ン能力およびLED保護を備えています。
L
まとめ
LTC3851は、高性能で使いやすく、包括
的な機能一式を3mm 3mm 16ピン・パッ
ケージに統合しています。DCR電流検
出とBurst Mode ®動作は効率を高く保ち
ます。4V∼38Vの広い入力範囲、強力な
MOSFETドライバ、低い最小オン時間お
よびトラッキングにより、LTC3851は、車
載電子装置、サーバー・ファーム、データ
通信およびテレコムの電源システムと産
業用装置に最適です。L
Linear Technology Magazine • September 2008
注目の新製品 L
注目の新製品
2.3V∼5.5Vのバスをわずか1Vの
に対する追加の保護を与えます。低電圧 低電圧保護、および調整可能な電流制限
レベルシフトとHot Swap機能の組合せに タイマも備えています。専用の12Vバー
低電圧バスにレベルシフトする
2
より、低電圧電源I/Oカードが既存のバッ ジョン(LTC4218-12)も供給されており、
I Cバッファ
LTC4308は、低電圧、レベルシフト・ホッ クプレーンとインタフェースできるよう 予め設定された12V固有のスレッショル
トスワップ可能な2線式バス・バッファ・ にします。
ドを備えています。
デバイスで、出力立上り時間アクセラ
レーションとスタックバス回復機能付き LTC4308は小型8ピンDFN(3mm 3mm) LTC4218は16ピンSSOPで供給されます
です。LTC4308の出力から入力への負の およびMS8パッケージで供給され、2線式 が、LTC4218-12は16ピン5mm 3mm DFN
オフセットは、VOLの高い出力バス・デバ バス・システムの低電圧レベルシフトに で供給され、両方ともRoHSに準拠してい
イスと、
(バス電源がわずか0.9Vになるこ 最適なソリューションです。
ます。
ともある)低電圧入力側のデバイスの間
の通信を可能にします。透過的レベルシ 調整可能な電流制限付き
LTC3670は、小型サイズ、高集積、低消費
フトは、既存のデバイスが2.3V∼5.5Vの 低電圧Hot Swapコントローラ
電流であり、必要な外部部品が少ないた
範囲の電源電圧で動作している状況で、 リニアテクノロジーは、2.9V∼26.5Vの負 め、リチウムイオン駆動のハンドヘルド
EEPROMやマクロコントローラなど新 荷電源電圧のボードを保護するLTC4218 機器の多数の低電圧レールをドライブす
しい低電圧電源デバイス相互の信頼性の Hot Swapコントローラを発表しました。 るのに最適です。
高い通信を実現します。バスのバッファ ボードがバックプレーンに挿入されると
リングは上流のバスと下流のバスの間に き、大きな突入電流が負荷電源にグリッ 80V入力に耐え、
プログラム可能な
容量性の絶縁を与えて、1つの大きなバス チを生じ、バス上の他のボードの誤動作 遅延を伴うパワーグッド状態表示
を2つの管理可能な小さなバスに分割す を引き起こすことがあります。LTC4218 機能を備えたマイクロパワー50mA
ることを可能にします。
は、電力経路内の外部Nチャネル・パス リニア・レギュレータ
MOSFETを使って起動時に突入電流を制 リニアテクノロジーは、高電圧マイクロ
LTC4308は出力側の立上り時間アクセラ 限し、電源の入っているバックプレーン パワー、低損失レギュレータのLT3011を
レーションとスタックバス回復機能も備 に対して安全なボードの挿抜を可能にし 発表しました。これは最大負荷でわずか
えています。強力な立上り時間アクセラ ます。調整可能な電流制限により、ユー 300mVの低損失電圧で最大50mAの連続
レータのプルアップ電流は高いバス容量 ザーは(ディスク・ドライブの回転数増加 出力電流を供給します。LT3011は入力電
に関連した長い立上り時間を減らし、弱 や通常動作など)様々な負荷条件で電流 圧範囲が3V∼80Vで、わずか1.24Vから最
いプルアップ抵抗の使用を可能にして、 制限スレッショルドを変えることができ 大60Vまでの出力電圧を供給します。デ
DC電力消費を減らします。スタックバ ます。広い動作電圧と調整可能な電流制 バイスのパワーグッド・フラグは出力の
ス回復機能は、接続されたバスが30ms以 限は、LTC4218を現在市販されている他 安定化を表示します。ただし、1個のコン
上 L に留まると自動的に入力バスと出 の低電圧Hot Swapコントローラから差別 デンサを使って、この安定化された出力
力バスを切断します。LTC4308は最大16 化します。
レベルとフラグの表示の間の遅延をプ
クロック・パルスとストップ・ビットを出
ログラムすることができます。入力電圧
力バスに発生してスタックバスを解放し LTC4218の特長は、RAID、サーバー、テレ 能力が80Vなので、車載アプリケーショ
ようと試みます。スタックバスがロジッ コム(ATCA、AMC、μTCA)および産業用 ン、48Vテレコム・バックアップ電源およ
ク H に回復すると、バスは自動的に再 アプリケーション向けに調製されてい び産業用制御のアプリケーションに最
接続されます。
ます。負荷電流は、電流センス抵抗両端 適です。消費電流が46μA(動作時)および
で検出された電圧を使い、それに従って 1μA(シャットダウン時)と低いので、最
LTC4308は出力側のデータとクロックの MOSFETのゲート-ソース電圧を調整し 適稼動時間を必要とするバッテリ駆動の
ホットスワップにも最適です。挿入時、 てモニタされます。ユーザーは、別のISET 「キープアライブ」システムに最適です。
LTC4308はSDAOUTピンとSCLOUTピ ピンにより、起動時および通常動作時に、
ンを1Vに予め充電し、そのピンと電源の 必要に応じて5%精度(15mV)の電流制限 出力ノイズは10Hz∼100kHzの帯域幅で
入っているバスの間の電圧差を最小に スレッショルドを調整することができま わずか100μV RMSに最小化されているの
します。挿入されると、LTC4308は接続を す。他方、電流フォールドバックとパワー で、LT3011はノイズに敏感なアプリケー
行う前に、ストップ・ビットまたはバス・ グッド回路は、スイッチが過度の負荷電 ションに理想的です。
アイドルが両側に生じるのを待ち、デー 流から保護されることを保証し、パワー
タ転送が完了し、一貫していることを保 グッド状態が維持されているかどうか表
証します。6kVの高いHBM ESD性能によ 示します。LTC4218は、電流モニタ出力と
り、組立て、取り扱い、挿入時のストレス フォールト出力、2%精度の過電圧保護と
Linear Technology Magazine • September 2008
37
L 注目の新製品
ンで便利です。N+1冗長システムでは、
LTC4358は追加電源をOR接続する便利
な方法を与え、N電源の1つが故障した
ときシステムを安全に保護します。この
OR接続の手法は、電源バスに対するコ
ンバータの活線挿抜に必要な絶縁を与
え、ハードな短絡時にはバスから絶縁
します。電源が故障するか短絡すると、
LT3011は非常に小さな、低コストのセ LTC4358は高速500nsのターンオフを保
ラミック出力コンデンサで動作可能で、 証し、逆電流過渡を最小に抑えます。
1μFの出力コンデンサで安定します。他
のほとんどのリニア・レギュレータが必 LT C 4 3 5 8 は 増 加 し つ つ あ る 理 想 ダ イ
要とする10μF∼100μFよりはるかに優れ オ ー ド O R コ ン ト ロ ー ラ の フ ァ ミ リ ー
ています。これらの小型の外部コンデン に加えられました。このファミリーに
サは直列抵抗(ESR)を追加せずに使用で は、LTC4355正電圧理想ダイオードOR、
きます。他の多くのレギュレータでは通 LTC4354負電圧理想ダイオードOR、およ
常追加する必要があります。内部保護回 びLTC4357とLT4352のシングル理想ダイ
路として、逆バッテリ保護、電流制限、熱 オード・コントローラが含まれています。
制限および出力から入力への逆電流保護
が備わっています。
LTC4358は14ピン4mm 3mm DFNおよび16
ピンTSSOPパッケージで供給されます。
入力から出力への大きな電圧差を必要
とする高電圧アプリケーションでは、
LT3011は非常にコンパクトなソリュー
ションを与えます。その熱的に改善され
たMSOPおよびDFNパッケージは、はる
かに大きな従来のパッケージと熱抵抗が
同等です。
損失の大きいショットキー・ダイオード
を置き換える、5A MOSFET内蔵の
理想ダイオード・コントローラ
3mm 2mm DFNに収められた
70μA IQのトリプル電源
LTC4358は5A MOSFETを内蔵した高電 LTC3670は1個のICに納められたトリプ
圧理想ダイオード・コントローラです。 ル電源で、1個の400mA同期整流式降圧
このコントローラと20mΩ内部Nチャネ レギュレータと2個の150mA低損失リニ
ルMOSFETは順方向電圧の低いダイオー ア・レギュレータ(LDO)を高さ0.75mm
ドの機能を実現するので、高電流アプリ の3mm 2mm DFNに一体化しています。
ケーションでショットキー・ダイオード 2.5V∼5.5Vの入力電圧範囲は、1セル・
の代わりにシンプルで低損失の代替品と リチウムイオンやリチウムイオン/ポリ
して使えます。これはショットキー・ダイ マーのアプリケーションに、また、3V、
オードに比べて低損失の電力経路を与え 3.3Vまたは5Vのレールから低電圧ASIC
るので、高電流アプリケーションで高い やSoCに給電するのに特に適していま
効率を与え、ヒートシンクが不要になる す。バッテリの寿命を延ばすため、3個全
ので貴重な基板面積を節約します。
てのレギュレータが動作中の合計消費電
流はわずか70μAです。
LTC4358は内部MOSFET両端の順方向電
圧降下を制御して、発振なしに一方の経 安定化された出力電圧は外部抵抗を介し
路から他方の経路への滑らかな移行を保 てプログラムされ、わずか0.8Vに設定す
証します。電源が故障したり短絡したと ることができます。各出力は最大の柔軟
き、高速プルダウン回路が逆電流過渡を 性を与えるため個別のイネーブル・ピン
最小に抑えます。LTC4358は、車載アプリ を備えています。内蔵電源モニタは、イ
ケーションの逆バッテリ保護や、システ ネーブルされている全ての出力が安定化
ムに高い信頼性が要求されるアプリケー されているとき表示します。
ションの電源のOR接続など、汎用アプリ
ケーション向け3端子ダイオードと見る 400mA降圧レギュレータは2.25MHzの固
定周波数で動作するので、小型の表面実
ことができます。
装インダクタやコンデンサを使用できま
LTC4358の1個の理想ダイオード・コン す。Burst Mode動作により、軽負荷や無負
トローラは、複数の冗長電源が並列接続 荷でも高い効率を維持します。制御ルー
されて負荷分担を行うアプリケーショ プは内部で補償されており、アプリケー
38
ションの設計が簡単です。150mA LDO
は、わずか1μFの外部出力容量で安定す
るのでアプリケーションのサイズを最小
に抑え、短絡保護を備えています。
15mm 15mm表面実装パッケージに
収められたデュアル8Aまたは
シングル16Aの降圧DC/DC μModule
レギュレータ
LT M 4 6 1 6 は 完 全 な デ ュ ア ル D C / D C
μModule™電源で、
小型表面実装パッケージ
に収められています。
LTM4616は0.6V∼5V
の範囲のそれぞれ8Aの2つの出力を安定化
することができ、または、マルチフェーズ
構成で2つの出力からの電流を分担して、
16Aの1つの出力を安定化することができ
ます。
LTM4616は入力も同様に多用途に対
応できます。
2.375V∼5.5V
(最大6V)
の範囲
の2つの異なった入力電源レールからで
も、または入力ピンを一緒に結合して1つ
の入力電源からでも動作可能です。
デュアル・ポイントオブロード・レギュ
レータに必要な全てのサポート部品(イ
ンダクタ、
コンデンサ、
DC/DCコントロー
ラ、補償回路およびパワースイッチ)が、
15mm 15mm 2.8mmプラスチック表面
実装型LGA(ランド・グリッド・アレイ)
パッケージに収められ、保護されていま
す。パッケージの高さが低いので、高密度
で実装された回路基板で空冷用の滑らか
なエアフローか可能です。これは、FPGA
やASICのコア電源とI/O電源の両方の給
電用の完全なソリューションです。
LTM4616は、
全動作温度範囲で、
ライン・レ
ギュレーションと負荷レギュレーション
を含めて、
全DC出力誤差が 1.75%より良
いことが保証されています。
LTM4616はス
イッチング周波数の高い電流モード・デバ
イスなので、
ラインと負荷の変化に対する
過渡応答が速く、
全てセラミックのコンデ
ンサを使う方式を含む多様な出力コンデ
ンサで非常に安定して動作します。
効率は94%に達します。周波数同期、マル
チフェーズ動作、スペクトラム拡散位相
変調、出力電圧トラッキングおよびマー
ジニングはこの多用途デバイスの多数の
機能の一部です。保護機能として、過電圧
保護、過電流保護、サーマル・シャットダ
ウンを備えています。L
Linear Technology Magazine • September 2008
デザイン・ツール L
www.linear-tech.co.jp
MyLinear
(www.linear-tech.co.jp/mylinear)
製品情報と
アプリケーション情報
MyLinearは、
あなたのお気に入りのLTC製品、
カテゴ
リー、
製品一覧、
問合せ情報などを保存するための、
カスタム化できるホームページです。
MyLinearのアカ
ウントを作成すると以下のことができます。
弊社の全製品とアプリケーションに関する情報が
www.linear-tech.co.jpに一覧されており、ダウンロ
ードすることができます。情報には以下のものがあ
ります。
• 問合せ情報を保存し、更新します。サンプルをリ
クエストする度に住所を再入力する必要がなく
なります。
データシート ̶ 完全な製品仕様、
アプリケーション
情報および設計のヒント
• Linear Insider電子メール・ニュースレターとリニアテ
クノロジー・マガジンの購読を編集します。
アプリケーションノート ̶ 一般的なアプリケーシ
ョン分野のソリューション、理論および設計のヒン
トの詳細な解説
• 将来参照するためにお気に入りの製品とカテゴリ
ーを保存します。
デザインノート ̶ ソリューションに固有の設計上の
アイデアや回路のヒント
デザインサポート
パッケージング
(www.linear-tech.co.jp/packaging)̶
パッケージングのページを開いて、
リニアテクノロジ
ーのパッケージの全種類の完全な情報をご覧下さ
い。情報にはパッケージ寸法とフットプリント、パッ
ケージのクロスリファレンス、
トップ・マーキング、物
質宣言、
アセンブリ工程などが含まれます。
品質保証と信頼性
(www.linear-tech.co.jp/designtools/quality)
̶ リニアテクノロジ ーのQ u a l i t y, R e l i a b i l i t y &
Service( QRS)
プログラムの根本理念は、最良の品
質、オンタイム・デリバリおよびサービスで、最も技
術的に進んだ製品を製造することにより、100%の
顧客満足度を達成することです。品質保証と信頼
性のページを開いて、
リニアテクノロジーの全製品
とプロセスの完全な信頼性データをご覧下さい。
組立と製造のフローチャート、品質と環境の証明、
テストの標準規格および文書一式および不具合調
査の方針と手順に関する完全な文書一式も用意さ
れています。
• お気に入りのパラメータ・テーブルを保存します。 LTクロニクル ̶ 特定の最終市場向けLTC製品の月
列、
フィルタおよび並べ替えの条件を編集してテ 間製品紹介
ーブルをカスタム化し、将来利用するため設定を
製品プレスリリース ̶ 新製品が常時発表されま
保存します。
す。
• サンプルの履歴と出荷状況を一覧表示します。
鉛フリー(www.linear-tech.co.jp/leadfree)̶ リニア
ソリューション小冊子 ̶ オートモーティブ・エレクト
テクノロジーの鉛(Pb)
フリー・プログラムとRoHS準
MyLinearアカウントの利用は簡単です。www.linear- ロニクス、
高速ADC、
LEDドライバ、
ワイヤレス・インフ
拠に関する完全な情報
tech.co.jp/mylinearを開いてアカウントを作成してく ラストラクチャ、
インダストリアル・シグナルチェーン、
ださい。
ハンドヘルド製品、
バッテリ・チャージャ、
およびテレ
コムと産業用DC/DC変換のアプリケーション
製品購入
(www.linear-tech.co.jp/purchase)
以下の方法で直接リニアテクノロジーから製品をご
購入ください。
またはお近くのLTCの営業所または契
約代理店にご連絡ください。
クレジットカードによる購入 ̶ クレジットカードに
よりご購入いただいたリニアテクノロジーのデバイ
スは、ほとんど世界中どこにでも出荷できます。1ア
イテムにつき最大500個まで注文をお受けいたしま
す。
ご注文に関するお問合せは
(408)433-5723にお
電話をくださるか、[email protected]にメールをお
送りください。
Linear Express ̶ クレジットカードによるオンライ購
入Linear Expressはリニアテクノロジーのデバイスを
任意の数量で購入するための新しい方法です。
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を与えられたアカウントは掛売り販売をご利用いた
だけます。
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シミュレーションとソフトウェア
製品の選択
リニアテクノロジーのウェブサイトの目標はシンプル
です ­ 顧客が必要とする情報を素早く簡単に提供
することです。
この目標を念頭に置いて、
必要な製品
とアプリケーションに関する情報を見つけるいくつ
かの方法を提供します。
(www.linear-tech.co.jp/designtools/software)
リニアテクノロジーはいくつかの強力なシミュレー
ション・ツールを提供して、
エンジニアが高性能アナ
ログ・デザインの設計、
テスト、
トラブルシューティン
グを行うのを手助けします。
製品番号とキーワードによる検索 ̶ 特定の製品
番号またはキーワードによって、
リニアテクノロジー
のデータシート、
アプリケーションノートおよびデザ
インノートの全ライブラリを検索します。
LTspice/SwitcherCAD™ III ̶ LTspice / SwitcherCAD III
は強力なSPICEシミュレータおよび回路図キャプチ
ャ・ツールで、
スイッチング・レギュレータのシミュレ
ーションを高速化し、簡単化するように特に設計さ
れています。LTspice / SwitcherCAD IIIには以下のもの
が含まれています。
並べ替え可能なパラメータ・テーブル ̶リニアテク
ノロジーのどの製品ファミリーも表形式で見ること
ができますので、1つまたは多くの機能パラメータに
よって並べ替えやフィルタ処理が可能です。
• 完備した使いやすい回路図キャプチャ・ツールと
波形ビューア
• スイッチング・レギュレータのシミュレーション用に
特に設計された強力なSPICEシミュレータ
アプリケーション、
ソリューション ̶ 多様な車載、 • LTCの高性能リニア・レギュレータ、
オペアンプ、
コン
通信、産業および軍用アプリケーションのブロック
パレータ、
フィルタなどの多くのモデルとともに、
リニ
図をご覧下さい。機能ブロックをクリックすると、
そ
アテクノロジーのスイッチング・レギュレータのほと
の機能に関連するリニアテクノロジーの品揃えの
んどのマクロモデル
完全なリストが表示されます。
• リニアテクノロジーの最も人気の高い100を超える
製品のすぐ使えるデモ用回路
FilterCAD ̶ FilterCAD 3.0はリニアテクノロジーのフ
ィルタICを使ってフィルタを設計するためのCADプ
ログラムです。
Noise Program ̶ このプログラムにより、
ユーザーは
LTCのオペアンプを使った回路のノイズを計算し、
低
ノイズ・アプリケーションに最適のLTCのオペアンプ
を決定することができます。
SPICEマクロモデル・ライブラリ ̶ ライブラリには、
どんなSPICEシミュレーション・パッケージでも使
えるLTCオペアンプのSPICEマクロモデルが含まれ
ています。
Linear Technology Magazine • September 2008
39
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Shanghai, 200030, PRC
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Fax: +49 (89) 963147
Linear Technology KK
6F Kearny Place Honmachi
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1-6-13 Awaza, Nishi-ku
Osaka-shi, 550-0011, Japan
Tel: +81 (6) 6533-5880
Fax: +81 (6) 6543-2588
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Kangnam-Ku, Seoul 135-090
Korea
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Fax: +82 (2) 792-1619
SINGAPORE
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Singapore 768734
Tel: +65 6753-2692
Fax: +65 6752-0108
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Linear Technology Corporation
8F-1, 77, Nanking E. Rd.,
Sec. 3
Taipei, Taiwan
Tel: +886 (2) 2505-2622
Fax: +886 (2) 2516-0702
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Jesinger Strasse 65
D-73230 Kirchheim/Teck
Germany
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Fax: +39 039 596 5090
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Isafjordsgatan 22
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Fax: +46 (8) 623 16 50
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Linear Technology (UK) Ltd.
3 The Listons, Liston Road
Marlow, Buckinghamshire
SL7 1FD
United Kingdom
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Fax: +44 (1628) 478153
Europe
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Fax: +358 (0)9 2517 8201
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2 Rue de la Couture,
BP10217
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Fax: +33 (1) 56 70 19 94
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Linear Technology Magazine • September 2008