2016年 10月号

 2016 年 10 月 22 日発行
第 801 号 ( 1 )
2016
10
1.教授就任
2.准教授就任
高橋 義行 …………………
足立 裕史 …………………
大島 英揮 …………………
河野 通浩 …………………
本村 和也 …………………
3.臨床教授のひとこと
小谷 勝祥 …………………
熊田 卓 …………………
4.留学生卒業記念パーティー ………………………………
5.2016 年度卒業・修了留学生 ………………………………
⑴
⑶
⑷
⑸
⑹
⑺
⑻
⑼
⑼
6.支部だより
7.人生山あり谷あり
8.医師倭人伝
9.海外留学体験記
10.西医体 上位入賞者報告
11.クラブ活動報告
12.編集後記
東三河支部 …………………
井口 昭久 …………………
山内 洋平 …………………
青柳 泰史 …………………
森田 皓貴 …………………
………………………………
軽音部 ………………………
………………………………
⑽
⑽
⑾
⑿
⒀
⒁
⒃
⒃
教 授 就 任
たかはし
よしゆき
発育・加齢医学講座 小児科学 教授 高橋 義行
〈略歴〉
1992 年 3 月 名古屋大学医学部医学科 卒業
1992 年 4 月 名古屋第一赤十字病院 研修医
1995 年 4 月 名古屋大学医学部附属病院 小児科医員
1996 年 4 月 半田市立半田病院 小児科医員
2000 年 3 月 名古屋大学大学院医学系研究科博士課程修了
2000 年 4 月 国家公務員共済組合連合会 名城病院 小児科医員
2001 年 6 月 米国国立衛生研究所 研究員
2006 年 1 月 名古屋大学医学部附属病院 小児科 医員
2006 年 4 月 名古屋大学医学部附属病院 小児科 助教
2010 年 3 月 名古屋大学医学部附属病院 小児科 講師
2011 年10月 名古屋大学大学院医学系研究科 成長発達医学 准教授
2016 年10月 名古屋大学大学院医学系研究科 小児科学 教授
〈業績〉
1. Hama A, Takahashi Y, Muramatsu H, Ito M, Narita
A, et al. Comparison of long-term outcomes between
children with aplastic anemia and refractory cytopenia of
childhood who received immunosuppressive therapy with
antithymocyte globulin and cyclosporine. Haematologica .
2015 Nov;100(11):1426-33.
2. Takahashi Y, Muramatsu H, Sakata N, Hyakuna N,
Hamamoto K, et al. Rabbit antithymocyte globulin and
cyclosporine as first-line therapy for children with acuired
aplastic anemia. Blood . 2013 Jan 31;121(5):862-3. Rabbit
antithymocyte globulin and cyclosporine as first-line therapy
for children with acuired aplastic anemia.
3. Villalobos IB, Takahashi Y, Akatsuka Y, Muramatsu H,
Nishio N, et al. Relapse of leukemia with loss of mismatched
HLA resulting from uniparental disomy after haploidentical
hematopoietic stem cell transplantation. Blood . 2010 Apr
15;115(15):3158-61.
4. Takahashi Y, Harashima N, Kajigaya S, Yokoyama H,
Cherkasova E, et al. Regression of human kidney cancer
following allogeneic stem cell transplantation is associated
with recognition of an HERV-E antigen by T cells. J Clin
Invest . 2008 Mar;118(3):1099-109.
5. Takahashi Y, McCoy JP Jr, Carvallo C, Rivera C, Igarashi
T, et al. In vitro and in vivo evidence of PNH cell sensitivity
to immune attack after nonmyeloablative allogeneic
hematopoietic cell transplantation. Blood . 2004 Feb
15;103(4):1383-90.
平成 28 年 10 月 1 日付けで名古屋大学大学院医学系研
究科発達・加齢医学講座小児科学の教授を拝命いたしま
した。紙面をお借りして、学友会の皆様に謹んでご挨拶
申し上げます。
(2)
2016 年 10 月 22 日発行
第 801 号
私は平成 4 年に名古屋大学医学部を卒業した後、名古
患、発達障害、ウイルス感染、心臓疾患などを主に担当
屋第一赤十字病院で 2 年間の初期研修を行いました。名
しています。私は、これまで小児血液・腫瘍の臨床や研
古屋第一赤十字病院の小児血液腫瘍科では松山孝治先
究に専念してきましたが、今後は小児医療すべての分野
生、加藤剛二先生と、後に名古屋大学小児科教授となら
で、関連病院の先生方と協力し、若い先生が小児科医と
れる小島勢二先生が中心になって、全国から移植の紹介
して活躍できる環境を整え、臨床、教育、研究を発展さ
患者さんが入院しておりました。世界で最先端の医療を
せたいと思っております。
意識したカンファレンスの議論は、私にとって大変な驚
これまでご指導いただいた先生方、教室のスタッフの
きとともに、最善を尽くして患児を救命するという医師
方に深く感謝申し上げます。小児科同門会である順清会
としての基本姿勢を学ばせていただきました。
の先生方、そして学友会の皆様には益々のご指導、ご鞭
4 年目に進学した大学院では小児血液グループのチー
撻のほどよろしく御願い申し上げます。
フであった堀部敬三先生から小児血液腫瘍の臨床、研究
についてご指導いただきました。また三重大学血液内科
教授就任インタビュー
の珠玖洋教授のもとで 2 年半の間、腫瘍免疫学の研究手
法を学ばせていただいたことが、腫瘍免疫、移植免疫へ
教授に就任された心境や抱負をお聞かせ下さい。
の研究動機へとつながりました。
現在の心境としては、前任の小島先生が素晴らしい教
大学院卒業後の平成 13 年 6 月から 4 年半の間、米国
室の運営を築き、発展させてくださったので、重圧を感
National Institutes of Health の Neal Young 先 生、
じていますが、まずは継承した上で、さらに発展させて
Richard Childs 先生のもとで造血不全症、固形腫瘍の
いきたいと思っています。小児科にはたくさんの専門分
患者における骨髄非破壊的血液幹細胞移植の移植免疫を
野があり、また、他の科とも協調する必要があります。
学ぶ機会をいただきました。同種免疫反応が、重症夜間
小児科としては、そういった協調、連携を大事にしたい
発作性血色素尿症(PNH)患者さんの PNH 細胞や、
と思っています。また、臨床中核病院として、大学病院
腎臓がん患者のがん細胞へ直接障害作用があり、その免
でしかできない治療、検査などに取り組み、他の小児科
疫機構の一部を明らかとすることができましたことは幸
医の助けとなりたいと考えています。
運でした。平成 18 年に帰国し、小児科の主任教授にな
■ ■ ■
られた小島教授のもとでさらに小児骨髄不全症、小児悪
今の道にすすまれたきっかけや理由をお聞かせ下
性腫瘍に対する造血細胞移植、細胞療法を利用した新規
さい。
治療法や免疫機序の研究をすすめてまいりました。
学生時代に研修病院を決める際に、小児科の血液分野
現在は、次世代シークエンサーを用いた網羅的遺伝子
に、臨床と研究の両方において素晴らしい先生がいると
解析の手法により、小児骨髄不全症、白血病における病
知り、その病院を選んで小児科の血液分野に進み、後に
態解明やより正確な診断法の開発とともに、小児に特有
その先生が小島先生であると知りました。臨床と研究の
で予後不良な神経芽腫に対するアロ反応性NK細胞を利
両方ができるのは小島先生だからでしたが、このように
用した臍帯血移植を行っており、名大病院は、昨年小児
なりたいと思わせてくださった小島先生にはとても感謝
の造血細胞移植数が我が国で最も多い施設となりまし
しています。
た。また、日本医師会の医師主導治験推進研究費を得
■ ■ ■
て、神経芽腫に対して欧米では承認されている GD2 抗
小児科学の魅力について教えてください。
体を名大病院先端医療臨床研究支援センターが事務局と
毎日子どもの笑顔に接することができるのは小児科の
なって第I相医師主導治験を終了できました。さらに、
大きな魅力です。また、子どもには未来があります。外
名大病院が特許出願中である非ウイルスベクター法を用
来に来て進路の報告をしてくれる患者さんや、中には医
いたキメラ抗原遺伝子導入T細胞(CAR-T 細胞)療法
療に関わっている患者さんもいたりして、そのように自
の First-in-human 臨床試験が AMED 研究費を得て、
分が治療した患者さんの社会復帰した姿を見ることがで
来年早々に開始予定です。このような名大病院における
きるのはとても素敵なことです。
小児がんに対する先進医療の推進が高く評価され、名大
■ ■ ■
病院は全国で 15 施設しかない「小児がん拠点病院」に
最後に、学生へのメッセージをお願いします。
最高点で選ばれました。
まずは自分が好きなこと、得意なことを見つけてくだ
愛知県の出生数は年間約 6 万 5 千人、出生率は全国
さい。また、自分がこうなりたいと思える、師匠となる
第 3 位です。子どもは将来を託す宝もの、小児医療の充
人を探すと素晴らしい人生になると思います。そして、
実、社会復帰への手助けが重要です。当科は、この地域
子どもの笑顔が好きな人はぜひ小児科に来てください。
で小児血液疾患、小児がんの他、新生児医療、神経疾
2016 年 10 月 22 日発行
第 801 号 ( 3 )
准教授就任
生体管理医学講座 麻酔・蘇生医学
あ
だ ち
ゆ う
し
足立 裕史
<職歴>
1990 年 3 月 航空自衛隊入隊(初認実務研修、防衛医科大学校病院並びに自衛隊中央病院)
1992 年 6 月 第5航空団基地業務群衛生隊(新田原基地(宮崎県児湯郡)医務室医官)
1994 年 8 月 航空中央業務隊付(専門実務研修、防衛医科大学校病院)
1996 年 7 月 第2次ゴラン高原派遣輸送隊医官(PKO:イスラエル、シリア)
1997 年 3 月 航空医学実験隊(立川基地(東京都立川市)研究員)
1997 年 9 月 防衛医科大学校付(医学研究科、防衛医科大学校)
2001 年10月 第4術科学校業務部衛生課長(熊谷基地(埼玉県熊谷市)医務室医官)
2002 年 4 月 防衛医科大学校非常勤講師(兼任)
2003 年 9 月 第1航空団基地業務群衛生隊長(浜松基地(静岡県浜松市)医務室医官)
2005 年 3 月 第5次イラク復興支援派遣輸送航空隊衛生隊長(兼務医官、クウェート)
2005 年 9 月 浜松医科大学医学部附属病院集中治療部助教
2010 年 2 月 浜松医科大学医学部附属病院麻酔科蘇生科助教
2011 年 4 月 名古屋大学医学部附属病院救急部病院講師(救急・内科系集中治療部副部長)
2015 年 4 月 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科生体集中管理学分野准教授
2016 年 7 月 名古屋大学大学院医学系研究科麻酔・蘇生医学准教授
<学歴>
1983 年 3 月 静岡県立静岡高校卒業
1990 年 3 月 防衛医科大学校医学教育部医学科卒業
1994 年 3 月 放送大学(教養学部発達と教育)卒業
2001 年10月 防衛医科大学校医学研究科(2000 年にハンガリー科学アカデミー実験医学研究所)修了
2005 年 3 月 放送大学大学院入文化科学研究科(文化科学専攻臨床心理プログラム)修了
2011 年 3 月 放送大学(教養学部産業と技術)卒業
2013 年 3 月 放送大学大学院文化科学研究科(社会経営科学プログラム)修了
<業績>
1. Sun Z, Satomoto M, Adachi YU, Kinoshita H, Makita K.
Inhibiting NADPH oxidase protects against long-term
memory impairment induced by neonatal sevoflurane
exposure in mice. Br J Anaesth 2016; 117: 80-6.
2. Numaguchi A, Adachi YU, Aoki Y, Ishii Y, Suzuki K,
Obata Y, Sato S, Nishiwaki K, Matsuda N. Radial artery
cannulation decreases the distal arterial blood flow measured
by power Doppler ultrasound. J Clin Monit Comput 2015; 29:
653-7.
3. Kimura-Kuroiwa K, Adachi YU, Mimuro S, Obata Y,
Kawamata M, Sato S, Matsuda N. The effect of aging
on dopamine release and metabolism during sevoflurane
anesthesia in rat striatum: An in vivo microdialysis study.
Brain Res Bull 2012; 89: 223-40.
4. Adachi YU, Satomoto M, Higuchi H, Watanabe S, Yamada
S, Kazama T. Halothane enhances dopamine metabolism
at presynaptic sites in a calcium-independent manner in rat
striatum. Br J Anaesth 2005; 95:485-94.
5. Adachi YU, Watanabe K, Higuchi H, Satoh T. The
determinants of propofol induction of anesthetic dose. Anesth
Analg 2001; 92: 656-61.
素晴らしい歴史を誇る名大医学部学友会の会員の先生
方皆様に、この場をお借りしてご挨拶申し上げます。こ
の度、標記麻酔・蘇生医学分野の准教授職を拝命致しま
した足立と申します。この機会を得ました事を何より有
り難く存じます。
学友時報編集委員の方から、先達の先生方の大変に輝
かしい多数の業績が紹介された記事を手本としてご紹介
頂き、自身はどうしたものかと穴に入りたい思いで途方
に暮れております。自分は静岡県静岡市丸子に生まれ、
防衛医科大学校の出身で、卒業と同時に航空自衛隊へ入
隊し、約 15 年間、紺の制服に身を包んで参りました。
幸い、平成の世の中で本来の任務が存在しない環境でし
たので、勤務は訓練と教育が半々で、2 年間の初期臨床
研修をスーパーローテーション方式で受けた後、宮崎県
の診療所へ。その後 2 年間の麻酔科後期専門研修を終え
ると PKO に参加。そして 4 年間の研究科修了の後は、
埼玉県熊谷市、静岡県浜松市の基地医務室で中間管理職
を経験しました。
浜松在勤中に週 1 日、浜松医科大学の麻酔科へ通修に
伺う縁を頂き、クウェートへの出張を経験した後、16
年目にして転職しました次第です。以降、職歴にありま
す様に、更にあちらこちらへと異動を繰り返し、今回大
変に有り難くも、麻酔・蘇生医学分野教授の西脇先生の
格別のご高配を頂いて本職を賜りました。
本当の雑草人間と自負しておりまして、診療所での産
業医兼家庭医、メンタルヘルスのお手伝いから、15 ~
25 人の所帯を担当する人事、運用の実務。大学にお世
話になりました際には、手術室の麻酔業務、集中治療室
の夜勤に始まり、学生、研修医の指導・教育、小さな規
模ながらも臨床研究から、in vivo の動物実験、更には
in vitro と幅広く挑戦して参りました。留学は、非常に
マイナーな中欧のハンガリーへ半年間だけ公用旅券で出
させて頂きましたが、上司の Prof. ES Vizi が神経薬理
学系の国際的英文誌の編集長を 2 つ掛け持ちしていた頃
で、短い滞在でも成果を挙げる事が出来、大変勉強にな
りました。
麻酔薬で動物が眠る現象は 200 年近く前から知られて
いますが、未だにその機序は睡眠と同様にほとんど分
かっていません。自分のほんの僅かな研究の内容を紹介
致しますと、覚醒した動物に麻酔薬を投与し、眠り、そ
して再び覚醒するまでの、一連の変化に合致する生理学
的変化を探索したいと考えてきました。稚拙ではありま
すが、それなりに手間と時間のかかるものが多く、成果
を挙げた、と申しますよりも、正直、努力賞、を頂いて
きたつもりでおります。最近は、そもそも眠っているの
が自然で、何故覚醒するのか、を調べてみたいと夢見て
います。
特別な取柄も、秀でた才能も持ち合わせておりません
が、これまでと同様、与えられた職務を忠実に、最大限
の努力を持って全うする所存でございます。先生方皆様
からのご指導、ご鞭撻を賜る事が適えば何よりの幸い
で、ご高配下さいます様、心より宜しくお願い申し上げ
ます。
(4)
2016 年 10 月 22 日発行
第 801 号
准教授就任
病態外科学講座 心臓外科学
お お し ま
ひ で
き
大島 英揮
<職歴>
昭和58年3月 静岡県立静岡高等学校 卒
平成 1 年 3 月 防衛医科大学校 卒
平成 1 年 6 月 防衛医科大学校 研修医
平成 3 年 6 月 陸上自衛隊守山駐屯地 医官
平成 5 年 9 月 名古屋第二赤十字病院 心臓血管外科 医員
平成 6 年 9 月 愛知県立尾張病院 心臓血管外科 医長
平成11年 4 月 名古屋大学医学部附属病院 胸部外科 医員
平成12年 4 月 中部労災病院 心臓血管外科 医員
平成13年11月 米国ピッツバーグ大学 心臓外科 客員研究員
平成16年 8 月 名古屋大学医学部附属病院 心臓外科 医員
平成17年 4 月 名古屋大学医学部附属病院 放射線部(心臓外科) 助手
平成20年 1 月 名古屋大学医学部附属病院 心臓外科 講師
平成28年 8 月 名古屋大学大学院医学系研究科 病態外科学講座 心臓外科学 准教授
<業績>
1. Oshima H, Abe T, Narita U, Usui A. Non-anastomotic
rupture of the valsalva graft 6 years after undergoing the
bentall procedure. Interactive Cardiothoracic and Thoracic
Surgery 2016; Jun20 [Epub ahead of print]
2. Oshima H, Tokuda Y, Araki Y, Ishii H, Murohara T, Ozaki
Y, Usui A. Predictors of early graft failure after coronary
artery bypass grafting for chronic total occlusion. Interactive
Cardiothoracic and Thoracic Surgery 2016; 23(1):142-9
3. Oshima H, Yamamoto K, Komori K, Usui A. Usefulness
of bridging thoracic endovascular aortic repair and sac
irrigation followed by open repair in patients with mycotic
thoracic aortic aneurysms. Journal of Thoracic and
Cardiovascular Surgery. 2014;148(5):2422-2424
4. Payne TR, Oshima H, Okada M, Keller BB, Huard J. A
relationship between vascular endothelial growth factor,
angiogenesis, and cardiac repair after muscle stem cell
transplantation into ischemic hearts. J Am Coll Cardiol.
2007;50(17):1677-84.
5. Oshima H, Payne TR, Urish KL, Sakai T, Ling YQ,
Gharaibeh B, Tobita K, Keller BB, Cummins JH, Huard J.
Differential myocardial infarct repair with muscle stem cells
compared to myoblasts. Molecular Therapy. 2005;12(6):11301141
学友会の皆様におかれましては益々ご清祥のこととお
慶び申し上げます。平成 28 年8月1日付けで病態外科
学講座 心臓外科学分野の准教授を拝命いたしましたの
で、ここに謹んでご挨拶申し上げます。
私は平成元年に防衛医科大学校を卒業し母校にて初期
研修医として勤務した後、平成3年に陸上自衛隊第 10
師団後方支援連隊衛生隊(名古屋市守山区 陸上自衛隊
守山駐屯地)に配属となりました。学友会の皆様には聞
き慣れないシステムと思いますが、医師臨床研修制度の
無かった当時は防衛医大卒業生で部隊へ配属となった医
官は「通習制度」により駐屯地近隣の施設での臨床研修
を週に2回許可されていました。幸いにも私はその時期
に名古屋第二赤十字病院心臓外科に通習する機会を得る
ことができ、末永義人先生と田嶋一喜先生のご指導をい
ただきました。その後、両先生のお力添えもあり阿部稔
雄教授が主催されていた名古屋大学胸部外科に入局させ
ていただき、卒後 4 年で自衛隊を退職することとなりま
した。入局後、愛知県立尾張病院へ赴任いたしました
が、そこで碓氷章彦先生(現教授)の薫陶を受けたこと
が人生の大きな転機であったことは間違いありません。
碓氷先生は次々と新しい手術にチャレンジされているだ
けでなく、基礎研究も診療の時間外になされていまし
た。そのお手伝いをしながら心房細動の外科治療に関す
るテーマを頂戴し、1996 年に米国心臓病学会でその成
果を発表する機会を得ることができました。このことが
きっかけとなり、2001 年には上田裕一教授のお計らい
により米国ピッツバーグ大学に留学いたしました。ピッ
ツバーグ大学は移植治療で有名でありますが、当時は再
生医療の研究にも重点的に力を注いでおり、B. Griffith
教 授 と R. Kormos 教 授 の も と McGowan 再 生 医 療 セ
ンターで J. Huard 先生の発見された骨格筋由来幹細胞
(muscle derived stem cell)を用いた心筋再生治療の
研究に携わることになりました。3 年近くの時間を要し
ましたが幾つかの知見を得て論文を仕上げることがで
き、2004 年に名古屋大学胸部外科教室へと帰局しまし
た。折しも名古屋大学医学部附属病院でも重症虚血性心
不全に対する骨髄由来単核球細胞の移植治療が始まって
おり、私もお手伝いをさせていただきました。残念なが
らその治療では有意な結果を得ることができず、それ以
降は私自身も心筋再生医療からは遠ざかっておりまし
た。
しかし、今後は心筋再生に関する研究を再開したいと
考えています。名古屋大学は心臓移植の実施に向け準備
を進めている最中であり、植込型補助人工心臓もすでに
16 例の重症心不全症例に装着されてきました。しかし
ながら我が国の現行の規定では、65 歳以上の方はこれ
らの治療(心移植や人工心臓)の恩恵を受けることがで
きず、新たな治療法が望まれています。このような背景
の中、それらの患者さんにとって救いとなるかもしれな
い治療が我が国でも始まっており、それは「ハートシー
ト ®(テルモ社)」による重症心不全治療です。昨年9
月に期限付承認を取得し、認定実施施設においてのみ行
われています。この「ハートシート ®」は骨格筋芽細胞
を用いた cell sheet であり、私が米国で行ってきた研究
が大いに役立つと思われます。今後、関係者皆様のご理
解を得た後、是非この治療に取り組みたいと考えており
ます。
最後になりましたが、上田先生、碓氷先生をはじめ、
多くの方々のご指導、ご協力に心より感謝申し上げま
す。今後も後輩指導に力を注ぐとともに名古屋大学医学
部心臓外科が益々の発展を遂げるよう精進する所存であ
りますので、何とぞご指導ご鞭撻を賜りますよう宜しく
お願い申し上げます。
2016 年 10 月 22 日発行
第 801 号 ( 5 )
准教授就任
運動・形態外科学講座 皮膚病態学
こ う
の
み ち ひ ろ
河野 通浩
<職歴>
平成 6 年 3 月 秋田大学医学部医学科卒業
平成 6 年5月 秋田大学医学部附属病院臨床研修医
平成 6 年10月 秋田大学医学部皮膚科助手
平成7年4月 秋田大学大学院医学研究科(皮膚科学専攻)入学
平成11年3月 愛知医科大学皮膚科学講座助手
平成13年 4 月 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科 助手
平成14年 1 月 米国マサチューセッツ総合病院病理部およびハーバード大医学部皮膚科客員研究者
平成17年 4 月 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科 助手 ( 復職 )
平成20年 4 月 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科 講師
平成20年10月 名古屋大学大学院医学系研究科 皮膚病態学 講師
平成28年 8 月 名古屋大学大学院医学系研究科 皮膚病態学 准教授
<業績>
1. Kono M, Matsumoto F, Suzuki Y, Suganuma M, Saitsu H,
et al. Dyschromatosis symmetrica hereditaria and AicardiGoutières syndrome 6 are phenotypic variants caused by
ADAR1 mutations. J Invest Dermatol 2016; 136(4):875-8.
2. Kono M, Nomura T, Ohguchi Y, Mizuno O, Suzuki S, et al.
Comprehensive screening for a complete set of Japanesepopulation-specific filaggrin gene mutations. Allergy 2014;
69(4):537-40.
3. Kono M, Sugiura K, Suganuma M, Hayashi M, Takama H, et
al. Whole-exome sequencing identifies ADAM10 mutations as
a cause of reticulate acropigmentation of Kitamura, a clinical
entity distinct from Dowling-Degos disease. Hum Mol Genet
2013; 22(17):3524-33.
4. Kono M, Dunn IS, Durda PJ, Butera D, Rose LB, et al. Role
of the mitogen-activated protein kinase signaling pathway in
the regulation of human melanocytic antigen expression. Mol
Cancer Res 2006; 4(10): 779-92.
5. Miyamura Y, Suzuki T, Kono M, Inagaki K, Ito S, et al.
Mutations of the RNA-specific adenosine deaminase gene
(DSRAD) are involved in dyschromatosis symmetrica
hereditaria. Am J Hum Genet 2003; 73(3):693-9.
学友会の皆様におかれましては、ますますご清栄のこ
ととお慶び申し上げます。この度、平成 28 年 8 月 1 日
付けで名古屋大学大学院医学系研究科皮膚病態学分野の
准教授を拝命いたしました。ここに慎んでご挨拶申し上
げます。
私は平成 6 年に秋田大学医学部を卒業し、秋田大学皮
膚科に入局しました。私が入局した前年秋に、本学前教
授の富田靖先生が秋田大学皮膚科教授として着任されて
おり、1 年間の臨床研修の後、大学院に入学しました。
富田教授から戴いたテーマは遺伝性対側性色素異常症と
いう遺伝性色素疾患の連鎖解析による原因遺伝子の解明
という大きなものでした。直接指導してくださった宮村
佳典先生と 2 人で、一から実験系を立ち上げて、全国
各地の患者さんとそのご家族から 4 年間で 100 人以上
採血させていただき、PCR とシークエンサーを使った
genotyping を行い、大学の大型計算機を使って連鎖解
析を行いました。大学院在学中に富田先生が本学皮膚科
教授に就任され、私も大学院 4 年生の 1 年間は本学に内
地留学させていただき、研究させていただきました。大
学院修了後は愛知医科大学皮膚科に助手として勤務しな
がら、当科准教授から教授に就任された松本義也先生の
ご指導の下、引き続き研究を続けました。この疾患の原
因遺伝子は私が研究を始めてから 8 年後に当時准教授で
現山形大学皮膚科教授の鈴木民夫先生によって同定され
ました。
富田教授から皮膚の病理診断トレーニングの目的で留
学の機会を戴き、Massachusetts General Hospital の
Martin Mihm 先生の下で、特に沢山の悪性黒色腫の皮
膚病理診断を経験させていただきました。また、同病院
の Jim Kurnick 先生にご指導頂き、悪性黒色腫の免疫
療法に関する研究を行い、メラノーマ抗原の発現調整に
関する成果を得ることができました。そのなかで多くの
実験手技を学ぶことができ、帰国後は遺伝性色素異常症
の病態研究と、全国から依頼を受けての各種遺伝性色素
異常症の遺伝子診断を行ってきました。
2010 年に秋山真志先生が当科教授に就任され、秋山
教授に遺伝性角化症やアトピー性皮膚炎のフィラグリン
遺伝子に関する研究もご指導いただき、研究の幅を拡げ
ることができました。成果の 1 つとして、日本人特異的
フィラグリン遺伝子変異の迅速かつ大量の解析を行うこ
とができる系を立ち上げ、いくつかの横断研究やコホー
ト研究に参加して、アトピー疾患とフィラグリン遺伝子
変異の関連性を示すことができました。
さらに、秋山先生のご指導の下、網状肢端色素沈着症
という 2 つ目の遺伝性色素異常症の原因遺伝子の同定を
成し遂げることができました。この研究の論文で、日本
皮膚科学会から毎年、日本人による最高の論文1編に与
えられる皆見省吾記念賞を受賞いたしました。
これまで様々な遺伝性皮膚疾患の研究、特に 2 つの遺
伝性色素異常症の原因遺伝子同定に携われたのは大変幸
運なことでしたが、これも患者さんとご家族のご協力な
しには絶対にあり得なかったことです。しかし、原因遺
伝子が明らかになったとはいえ、遺伝病の多くがいまだ
そうであるように、治療法がまだ確立されておりませ
ん。今後は、診療においては遺伝性皮膚疾患の遺伝子診
断、研究においては遺伝性皮膚疾患の治療法開発を主な
研究テーマとして、研究にご協力くださった方をはじ
め、すべての患者さんのために、そして名古屋大学の発
展に少しでもお役に立てるように、精進して参る所存で
す。学友会の皆様には、引き続きご指導ご鞭撻を賜りま
すよう何卒よろしくお願い申し上げます。
(6)
2016 年 10 月 22 日発行
第 801 号
准教授就任
脳神経病態制御学講座 脳神経外科学
も と む ら
か ず
や
本村 和也
<職歴>
平成 14 年 3 月 名古屋大学医学部医学科卒業
平成 14 年 5 月 社会保険中京病院 研修医 平成 16 年 4 月 市立四日市病院脳神経外科 医員
平成 20 年 4 月 名古屋大学大学院医学系研究科 脳神経外科学 博士課程入学
平成 23 年 4 月 名古屋大学医学部大学院医学系研究科 脳神経外科学 特任助教
平成 23 年10月 世界保健機関 (World Health Organization;WHO),
国際がん研究機関 (International Agency for Research on Cancer;IARC) 博士研究員
平成 24 年10月 フランス・モンペリエ大学 Gui de Chauliac 病院 脳神経外科 客員研究員
平成 24 年12月 名古屋大学医学部大学院医学系研究科 脳神経外科学 特任助教
平成 25 年 8 月 名古屋大学医学部附属病院 脳神経外科 助教
平成 26 年 4 月 名古屋大学医学部大学院医学系研究科 脳神経外科学 特任准教授
平成 28 年 8 月 名古屋大学医学部大学院医学系研究科 脳神経外科学 准教授
<業績>
1. Motomura K, Natsume A, Iijima K, Kuramitsu S,
Wakabayashi T. et al. Surgical benefits of combined awake
craniotomy and intraoperative magnetic resonance imaging
for gliomas associated with eloquent areas. Journal of
Neurosurgery. 2016 in press
2. Motomura K, Mittelbronn M, Paulus W, Ohgaki H. et al.
PDGFRA Gain in Low-Grade Diffuse Gliomas. J Neuropathol
Exp Neurol. 2013 Jan;72(1):61-6.
3. Motomura K, Natsume A, Watanabe R, Ito I, Wakabayashi
T. et al. Immunohistochemical analysis-based proteomic
subclassification of newly diagnosed glioblastomas. Cancer
Sci. 2012 Oct;103(10):1871-9.
4. Motomura K, Mittelbronn M, Paulus W, B, Ohgaki H. et
al. DMBT1 homozygous deletion in diffuse astrocytomas is
associated with unfavorable clinical outcome. J Neuropathol
Exp Neurol. 2012 Aug;71(8):702-707.
5. Motomura K, Natsume A, Wakai K, Wakabayashi T.et al.
Benefits of Interferon-β and Temozolomide combination
therapy for newly diagnosed primary glioblastoma with the
unmethylated MGMT promoter: a multicenter study. Cancer.
2011 Apr 15;117(8):1721-30.
学友会の皆様におかれましては、益々ご清栄のこととお
慶び申し上げます。この度、平成 28 年 8 月 1 日付けで名
古屋大学大学院医学系研究科脳神経病態制御学講座脳神経
外科学の准教授を拝命致しました。ここに謹んで御挨拶を
申し上げます。
私は、平成 14 年に名古屋大学医学部医学科を卒業し、
社会保険中京病院(現 JCHO 中京病院)にて初期臨床研修
を行い、その後平成 16 年から約 3 年半、市立四日市病院
にて脳神経外科の基礎から学ばせて頂きました。脳血管障
害や脳腫瘍に対する開頭術だけでなく、脳血管内治療、脊
髄手術、神経内視鏡手術、小児脳神経外科手術など、脳神
経外科領域における実に多くの症例を経験させて頂きまし
た。日々、昼夜を問わず脳神経外科手術に明け暮れていた
毎日でありましたが、そこで得られた貴重な経験により、
私の脳神経外科医として、そして医師としての基礎を築く
こととなったと考えております。
その後、平成 20 年に名古屋大学脳神経外科に帰局し、
大学院博士課程に入学しました。もともと私は、悪性脳腫
瘍に対する臨床および基礎研究を行っていきたいという思
いで脳神経外科の道を志したため、大学院在籍中は、若林
俊彦教授のもと、夏目敦至准教授に御指導を頂き、悪性神
経膠腫の遺伝子解析を中心とし、主には「膠芽腫に対する
インターフェロンβ、テモゾロミド併用療法の有効性」に
ついての研究を行いました。
さらにこの領域の研究を深め、国際レベルの舞台を実際
に経験したいと思い、平成 23 年より、フランス・リヨン
にあります国際がん研究機関・International Agency for
Research on Cancer: IARC ( 以下 IARC) に留学しました。
IARC では、世界各国から WHO に集まった何百、何千検
体という脳腫瘍組織を用いて、主に悪性神経膠腫の遺伝子
解析を行っていて、私は低悪性度の diffuse astrocytoma
から膠芽腫への悪性転化の因子に関する研究を行いまし
た。
また、平成 24 年より、フランス・モンペリエ大学 Gui
de Chauliac 病院において、言語・運動関連領域に存在す
る脳腫瘍に対する「覚醒下手術」を学ぶことができまし
た。覚醒下手術において世界的な権威である DUFFAU 教
授に、その手術方法、手術戦略、ピットホールについて指
導して頂きました。
帰国後は現在、臨床面においては運動野や言語野及び高
次機能関連領域に浸潤した腫瘍に対して覚醒下手術を用い
た脳腫瘍手術を中心に行っております。覚醒下脳機能マッ
ピング技術に加え、名古屋大学医学部附属病院に 2006 年に
導入された術中 MRI システム・Brain THEATER による
術中 MRI を併用させることによって、より精度の高い脳
腫瘍手術が可能となっております。形態学的に残存腫瘍を
捉える術中 MRI による画像支援技術と、脳機能温存を考
慮した覚醒下手術は、お互いの役割を補完しながら統合さ
せることで、安全に脳機能を温存しながら、かつ最大限の
腫瘍切除が可能となりました。今後も、これらのモダリィ
ティーのさらなる技術発展に邁進していきたいと考えてお
ります。
研究面においては、今まで行ってきた悪性脳腫瘍の未
知・既知のバイオマーカーのゲノミクス、エピゲノミクス
を統合させた解析に加え、覚醒下脳機能マッピングを用い
た高次脳機能の研究を行っております。特に高次脳機能に
おいて、私は「島回」に注目しています。神経心理学的手
法および機能的 MRI を用いた脳機能画像解析により、島
皮質前部が、内受容感覚を意識する場合や主観的に感じる
感情の覚醒度が高い場合に、その活動性が高くなると考え
られております。そこに発生する島回腫瘍及び島回近傍腫
瘍に対する覚醒下手術において、表情認識課題、心拍検出
課題を用いながら、実際に島皮質を直接刺激することで、
感情認識及び内受容感覚に関わる島回の機能や役割を解明
しようと試みております。
最後になりますが、今後も脳神経外科の診療、教育、研
究をさらに向上させ、名古屋大学医学部のさらなる発展に
貢献できるよう努力して参りたいと考えます。引き続き、
学友会の皆様の御指導、御鞭撻を賜りますよう、何卒よろ
しくお願い申し上げます。