女満別ドリーム苑は国際医療福祉大学大学院・竹内孝仁教授が提唱する自立 支援介護をオホーツク管内でいち早く取り入れ、全道455施設中※15番目、道 東116施設※1 の中では唯一『日中おむつ使用率0%』を達成している介護技 術が非常に優れた質の高い特別養護老人ホームです! 全国老人福祉施設協議会が定めるおむつゼロの定義 排便をおむつ又は類似品で処理することなく、トイレ又はポータブルトイレで排泄す ること(現在、日中おむつゼロを達成している特養は全国で約100施設) 【オムツの弊害→なぜオムツがいけないのか】 (1)おしり周りの不快感 便をしたいという感覚を失っても皮膚の感覚は残っている→不快感 どんなに早く対応しても排便と同時に取り替えることは不可能 (2)おむつかぶれ 下剤を使用した便には消化酵素が多く含まれていて、その強いアルカリ性により皮膚を 損傷する (3)活動性の低下 食事と排泄は生理的にその人をベッドから離す最大の要因。活動が減ると「気力まで失 われる」 (4)認知症の進行 おむつは強い羞恥心を抱かせる。しかし交換の度に羞恥心を感じ続けることに心が耐え られず、やがて心の防御機能として忘れようとする→ボケの原因 【高齢者の主な便秘の原因】 (1)腸内環境の悪化 成人の場合、善玉菌よりも悪玉菌が少ない。残りはどちらでもない日和見菌で善玉菌が 優勢の時は善玉菌のような働きをする。加齢に伴い善玉菌は減少。だいたい 50 歳を境に 善玉菌が減少し悪玉菌が優勢となる (2)筋力の低下 特に腹筋周りは腸の動きに直結する。また、腸自体の機能も衰えてくるので便がなかな か運ばれず、長く腸内に留まることで水分が失われて固くなり、さらに便秘を誘発する (3)食事や水分量の減少 食事量が減ると食物繊維を含む便の材料が減少し結果的に便の嵩が減る。トイレや尿漏 れを気にして水分を取らなくなると、少ない便から水分まで失われて固くなる (4)薬の副作用 高齢者は複数の慢性的な疾患を併発することが多く、複数の薬剤を常用している人が多 い。複数の薬剤の副作用により、便秘がひどくなってしまう場合がある。(「抗生物質」 や「抗うつ剤」が代表的) (5)下剤の連用 下剤を毎日内服していると便がやわらかく、まとまらないため直腸のセンサー(便意)が 反応しなくなる。また腸の神経が麻痺し使えば使うほど大腸壁が固くなり便秘が深刻化 する おむつ外しのポイント ・いつも決まった時間に排便が起きるようにリズムを整える ・大腸内の便をスムーズに移動させる そのために… 【竹内孝仁先生が提唱する自然排便のための7つのケアを実践!】 (1)規則的生活 生活が不規則になると排便リズムも狂いがち。毎日決まった時間に起きて、決まった時 間に食事を摂り、決まった時間に寝るという規則正しい生活を提供します。 (2)歩行 全身的な活動は全身の代謝を活発化させ、腸の動きを活発化します。また、立ったり歩 いたりすることが大腸を刺激します。5秒間つかまって立位を保てる方は歩行器を使っ て移動して頂きます。歩き続けることを第一に考え、1人介助での歩行が困難な方は2 人、3人の介護員が付き添って歩行を支援します。歩行率は55.2%、1日の平均歩 行距離は150m (3)水分摂取 十分な水分を摂り、便の量を増やすことで大腸壁を刺激し排便を起こりやすくする。ま た起床直後の水分は大腸の動きを誘発します。水分の種類を豊富に準備することで1日 1,500ml以上の水分提供に務めています。現在の入所者全体の平均水分摂取量は 1,626ml※2 (4)常食化 お粥や刻んだ副食ではなく、私たちが食べている普通の形態の食事を提供する。噛む回 数の多い食形態で、このことが消化管としての胃腸機能に良い刺激となる。食物繊維を 多く摂れることも利点。お粥や刻み食、ミキサー食がむせ込みや誤嚥性肺炎のリスクを 高めているという認識が必要。ほぼ全員に常食を提供しています。 (5)食物繊維 ごぼうや玄米、キノコ類に多く含まれる水に溶けない食物繊維(不溶性食物繊維)は消化 されずに便の量を増やす効果が期待できる。また寒天やリンゴなど、水に溶ける食物繊 維は腸内細菌の栄養素となり善玉菌を増やす効果が期待できる。当苑では食物繊維サプ リメントを入所者個人に購入して頂き、腸内環境の改善を支援しています。 (6)定時排便 高齢になると直腸の感受性の低下から便意が弱くなる傾向にある。弱い便意でも様子を みることなくトイレに行くことが大切。決まった時間にトイレに座ることで排便のリズ ムを整えられるよう支援しています。 (7)座位排便 人体の構造上、寝たままの姿勢で排便することは非常に困難。我々は寝たままの姿勢で 排便できるように下剤を乱用し下痢便の失禁を作り出し、利用者に不快な思いを強いて いた過去を反省しないといけない。車椅子に乗車できる状態であればトイレに座ること が出来る。座位姿勢で重力も利用することで自然に排便できるよう支援しています。 上記内容を職員一丸となって取り組んだことで女満別ドリーム苑は 「日中オムツ使用率0%」を達成しました!! 【参考文献】 竹内 孝仁著「おむつを外し尿失禁を改善する」(筒井書房, 2011) ※1「北海道保健福祉部>施設運営指導課>社会福祉法人・施設等の一覧」 <http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sus/kyoutsuu/ichiran/ichiran.htm/>(2016.08.11 アクセス) ※ 2 平成 28 年 6 月末時点
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