ホワイト・ペーパー 上下水処理アプリケーション 向けセルラー RTU の選択方法 チャールズ・チェン(Charles Chen) 製品マネージャ Moxa Inc. ホワイト・ペーパー セルラー RTU 水源管理の概要 水源管理は降雨や干ばつが 予測できないため、重要な 問題となってきました。 近年、水源管理は重要な問題となっています。世界の年間降雨量を予測する ことはこれまで以上に難しくなっている一方、干ばつも予測不可能で、長期 間続くこともあります。また、干ばつが起きると、人々の日常生活や国の経 済に大きな影響を及ぼすこともあります。 現在の水源管理は水源を保護し、給水時の漏水や汚染も防止しなければなり ません。配水管やポンプを含むほとんどの給水インフラは有線通信装置が利 用できない孤立した地域に設置されており、結果的に無線通信に依存せざる を得ないため、水源管理は複雑な仕事となります。 無線通信の導入は費用対効果に優れていますが、データの通信速度が制限さ れるという大きな欠点があります。こうした理由により、無線通信を構築す る場合、通常はリモート・ターミナル・ユニット(RTU)を使って、ローカ ルのストレージ・デバイスにデータをログしてから、サイトごとにデータを 収集します。ただし、この方法ではデータはリアルタイムで伝送されないた め、ビデオ監視アプリケーションの構築は容易ではありません。 その結果、導入が簡単で、現場の作業を必要とせず、ビデオ監視アプリケー ションに最適な優れたソリューションとしてセルラー通信に注目が集まって います。配線を必要としない IP ベースのセルラー通信を使えば、遠隔地にセ ルラー・モデム、データ・ロガー、I/O コントローラ、監視用カメラを容易 に設置でき、データの中央管理が可能となります。セルラー通信はこうした メリットを備えているため、無線通信に急速に取って代わりつつあります。 セルラー通信構築の主な問題点 理想的なセルラー RTU を選 択する条件には、価格、ハ ードウェア仕様、ソフトウ ェア機能が含まれます。 最初のステップは、価格、ハードウェア仕様、ソフトウェア機能を含む選択 条件に対応した最適のセルラー RTU ソリューションを選ぶことです。ただ し、導入後に多くの費用と労力が要求される場合もあるので、見落とされる ことが多い、設置および保守が容易といった要素も検討する必要があります。 静的パブリック IP: 通常のセルラー・ソリューションでは、遠隔地のセルラー・モデムと中央の SCADA サーバの両方に、双方向通信を確立するために静的パブリック IP を 割り当てる必要があります。とはいえ、セルラー・ネットワークの業者から は動的プライベート IP よりも静的パブリック IP のほうが毎月多くの使用料 が請求されます。セルラーの使用料は毎月変わるので、予算が問題となるこ とがあります。そのため、一部のリモート・サイトを閉鎖しなければならな い場合もあります。 2011 年 6 月 14 日発行 Copyright © 2011 Moxa Inc., all rights reserved. Moxa は世界的なデバイス・ネットワーキング・ソリューションのリーディング・ブランドの 1 つを創造しています。製品には、産業 用組込みコンピュータ、産業用イーサネット・スイッチ、シリアル・デバイス・サーバ、マルチポート・シリアル・ボード、組込みデ バイス・サーバ、リモート I/O ソリューションなどが含まれています。Moxa の製品は、産業用オートメーション、製造、POS、医療 といった分野における多数のネットワーク・アプリケーションの基幹コンポーネントとなっています。 お問い合わせ方法 Tel: 886-2-89191230 Fax: 886-2-89191231 Web: http://japan.moxa.com Email: [email protected] Copyright © 2011 Moxa Inc. 本書に関するご意見やご提案があれば、[email protected] までお送りください。 1 ホワイト・ペーパー セルラー RTU データ整合性 : セルラー通信は現地を訪れずに、遠隔地からデータ・ログを収集するのに役 立ちます。信号の品質や休止時間が場所にとって異なる場合、セルラー通信 による伝送中のデータの整合性を確保することが問題となります。理想的な データ・ロガーはセルラー再接続後にデータ・ログを再送信すると共に、デ ータ通信費用を削減するために、重複するデータの送信を回避しなければな りません。 様々なデバイスの管理 市販されているセルラー・ソリューションの中には、DTU(データ伝送ユニ ット)、データ・ロガー、I/O コントローラ、ビデオ・サーバといった様々 なデバイスを使用するものがあります。それらのデバイスが同一メーカーの ものであってもなくても、システム・インテグレータ(SI)はデバイスの互 換性を確認し、時間を費やして、すべてのデバイスを正しく設定しなければ なりません。 その場合、以下の理由から、多くの面倒な問題が発生することがあります。 まず、使い慣れていないデバイスの新しいプロトコルや機能を習得するに は多くの時間が求められることがあります。また、エラー発生時に問題の原 因となっているデバイスを特定するのは簡単ではなりません。さらに、広範 な稼動時温度範囲に対応した最適のデバイスを見つけることが難しい場合 もあります。過酷で極端な温度環境で使用するデバイスは少なくとも -20 ~ 70℃の稼働時温度範囲に対応していなければなりません。 Moxa の ioLogik W5300 セルラー RTU コントローラ コスト・パフォーマンス、容易な導入、トラブル・フリーなメンテナンスと いったメリットを備えた Moxa の ioLogik W5300 セルラー RTU コントロー ラは、配管監視やリストまたはポンプ・ステーションの自動操作といった多 数の上下水処理アプリケーションで使用されてきました。 動的プライベート IP と Active OPC 通常のセルラー・ソリューションには、中央からいつでもデータ・ロガー を検索できるとはいえ、極めて多額の費用が求められる場合のある静的パ ブリック IP が必要です。Moxa の ioLogik W5300 シリーズと特許取得済み の Active OPC ソフトウェアを使えば、RTU 向けの動的プライベート IP デ ータ・プランを契約できます。ioLogik W5300 は固定 IP を使って Active OPC Server との通信を自動的に構築できます。また、Active OPC Server は ioLogik W5300 の IP アドレスを受信および登録することで、最新のタグを 受信または記録します。ioLogik W5300 RTU は動的プライベート IP 環境で の配置や管理が非常に容易で、費用対効果にも優れています。 Copyright © 2011 Moxa Inc. 2 ホワイト・ペーパー セルラー RTU 図 1: Moxa の動的プライベート IP ソリューション DA-Center とのデータ整合性 遠隔地を訪れずに、中央から無線でデータ・ログを収集できることは、セ ルラー RTU を使用したメリットの 1 つです。理想的な動作では、セルラー RTU はセルラー再接続後、非重複データ・ログを再送できなければなりませ ん。Moxa の DA-Center を使えば、この作業がずっと容易になります。DACenter は、Active OPC Server と接続してリアルタイムのデータ収集を可能 にする標準的な OPC インタフェースを提供します。DA-Center はセルラー に接続するたびに、データの履歴とリアルタイムのデータを比較してから、 非重複データ・ログをデータセットに再送信するよう ioLogik W5300 RTU に要求して、欠損データを補間します。 また、DA-Center はこのデータセットを表形式に変換して、ログ・ファイル をデータベースやスプレッドシートにエクスポートできます。図 2 は DACenter ソリューションの構造図です。 図 2: Moxa の DA-Center ソリューション Copyright © 2011 Moxa Inc. 3 ホワイト・ペーパー セルラー RTU オールインワン・ソリューション : セルラー・モデム、データ・ロガー、I/O コントローラ セルラー・モデム、データ ・ロガー、I/O コントローラ を 1 つのコンパクトなボッ クスに収めると、他のデバ イスとの統合が容易になり ます。 ioLogik W5300 RTU は様々な業者のデバイスの統合に必要な労力を大幅に削 減するために、セルラー・モデム、データ・ロガー、I/O コントローラを 1 つのコンパクトなボックスに収納しています。リモート I/O デバイスが必要 な場合、ioLogik W5300 RTU の I/O チャンネルは ioLogik E1200 に接続する ことで拡張できます。ビデオ・サーバが必要な場合、ioLogik W5300 RTU は Moxa の VPort 461 製品と統合できます。なお、ioLogik W5300 シリーズと ioLogik E1200 シリーズの全製品および VPort 461 は広範稼働時温度範囲に対 応しているので、過酷な環境で使用できます。 まとめ Moxa の ioLogik W5300 RTU は上下水処理アプリケーシ ョンに最適なセルラー・ソ リューションです。 無線通信に代わるセルラー RTU ソリューションを求めている水源管理者が少 なくないことから、最適なセルラー RTU を選ぶ方法を知るのは非常に重要 です。管理者が考慮しなければならない主な問題は導入の難度と保守費用で す。よく設計されたセルラー RTU は広範な上下水処理アプリケーションに信 頼性、互換性、統合性の高いソリューションを提供します。動的プライベー ト IP の使用とデータ整合性の確保は導入と保守両方の費用と労力を削減する のに役立ちます。 Moxa の ioLogik W5300 RTU は上下水処理アプリケーションに最適なソリュ ーションで、配管、リスト・ステーション、ポンプ・ステーションなどのア プリケーション監視のために多数の水源管理者から採用されてきました。こ のオールインワン・ソリューションを使えば、セルラー接続のほとんどを構 築して、導入と保守の両方の時間、労力、費用を削減できます。また、付加 的なメリットとして、Moxa の技術者が販売前の相談や販売後のサービスに いつでも対応します。 Copyright © 2011 Moxa Inc. 4 ホワイト・ペーパー セルラー RTU 免責 本書は情報目的のためだけに提供されています。したがって、内容は予告なしに変更されることがあります。本書は内容に誤りのな いことを保証するものではなく、商品性または特定の目的への適合性に関して、暗黙の保証および条件を含め、法的な口頭または暗 黙の表現を問わず、あらゆる保証または条件に従うものではありません。特に、本書に関するいかなる責任も放棄します。また、本 書により直接および間接を問わずいかなる契約上の責務も発生しません。 Copyright © 2011 Moxa Inc. 5
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