千葉県博物館協会研究紀要 目 次 【特集】地域社会と博物館(3)−博物館における子ども向け事業(1)− はじめに 事例報告 ●浦安市郷土博物館における子ども向け事業 浦安市郷土博物館 本山 哲也 ………… 2 ●歴史民俗資料館における子ども向け事業 御宿町歴史民俗資料館 西脇 あさ ………… 4 ●国立歴史民俗博物館における子ども向け事業 国立歴史民俗博物館 小島 道裕 ………… 6 ●下総町立歴史民俗資料館における子ども向け事業 下総町立歴史民俗資料館 島田 七夫 ………… 7 ●千葉県立安房博物館における子ども向け事業 千葉県立安房博物館 笹生 衛 ………… 9 ●千葉県立中央博物館における子ども向け事業 千葉県立中央博物館 浅田 正彦・平田 和弘・森田 利仁 ………… 11 ●千葉県立美術館における子ども向け事業 千葉県立美術館 濱松 繁雄 ………… 14 ●千葉県立房総のむらにおける子ども向け事業 千葉県立房総のむら 新 和宏 ………… 16 ●千葉県立房総風土記の丘における子ども向け事業 千葉県立房総風土記の丘 井上 哲朗 ………… 18 ●千葉市立郷土博物館における子ども向け事業 千葉市立郷土博物館 阿部きみ子 ………… 20 ●TEPCO新エネルギーパーク館における子ども向け事業 TEPCO新エネルギーパーク 飯浜喜久夫 ………… 23 ●流山市立博物館における子ども向け事業 流山市立博物館 川根 正教 ………… 24 ●ふなばしアンデルセン公園子ども美術館における子ども向け事業 34号 第 2003年3月 千葉県博物館協会 ふなばしアンデルセン公園子ども美術館 村岡 綾雄 ………… 26 ●飛ノ台史跡公園博物館における子ども向け事業 船橋市飛ノ台史跡公園博物館 長岐 勉 ………… 28 千葉県内博物館の子ども向け事業 〜アンケートによる調査結果から〜 …………………………… 30 千葉県博物館協会調査研究委員会 【千葉県博物館協会加盟館園一覧】 ……………………………… 39 は じ め に 『MUSEUMちば』では、この2年間に「地域社会と博物館」というメインテーマを掲げ、平 成12年度に「博物館友の会」 、平成13年度に「ボランティア」の問題を特集してきました。 今年度は、小中学校の総合的な学習の時間や週休完全5日制の実施などにより、地域博物館 の存在がクローズアップされてきている現状を踏まえ、「地域社会と博物館」というメインテー マを継承しながら、県内の加盟各館園が実施している子ども向け(親子参加を含む)事業を特 集することにしました。 さて、本号で取り上げる「子ども」とは、子どもたちの博物館利用の現状を把握するために、 敢えて義務教育の枠組みにこだわることなく、乳児・幼児から高校生までを対象としています。 今年度は「博物館における子ども向け事業(1)」として、各館園が実施している土日・祝祭 日・春夏休み等の事業を取り上げます。来年度は総合学習が実施されて1年間が経過すること から、引き続き「博物館における子ども向け事業(2)」として、各館園が平日に実施している、 主として学校向けの事業を取り上げ考察する予定です。 子どもたちに対する加盟各館園の関心が、これまでになく高まっている時期でもあり、子ど もたちに対する取り組みを全2回にわたって特集し、今後の博物館のあり方を模索してみたい と思います。 平成15年3月 平成14年度調査研究委員会 理事 委員 阪田 正一(千葉県立房総風土記の丘) 堀越 正行(市立市川考古博物館) 酒井 規子(白井市郷土資料館) 田村 隆(千葉県立房総風土記の丘) 立和名啓人(千葉県立中央博物館) 領塚 −1− 正浩(市立市川考古博物館) MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 事例報告 浦安市郷土博物館における子ども向け事業 〜「未来の浦安」を担う子どもを育む〜 浦安市郷土博物館 はじめに 本 山 哲 也 本館では、それらの状況を考慮し、正しく 「おじいちゃん、べか舟のこぎ方教えて」 郷土を理解し、郷土愛を育て、未来の浦安 「おじいちゃんもおばあちゃんも、すごい! を担っていく子どもを育むために、学社融 昔の道具もよく工夫されているね。 」 合の考え方を基礎に、次の2つのことに取 子どもたちの弾んだ声が聞こえてくる。 そこでは、体験を通して世代を超えた交流、 り組んでいる。 (1)博物館活用を教育課程に位置付ける。 お互いに認め合う様子が見られ、未来の浦 発達段階に応じた学習内容、地域を学 安を担っていく子どもたちを地域全体で育 習材として構成されたカリキュラムを市 てていく姿が伝わってくる。 内小中学校教員からなる「博物館活用検討 委員会」でご検討いただき、指導資料を発 平成13年4月、海面埋め立て事業により 行した。 市域が4倍に拡大し、急激に都市化した浦 安市に開館した郷土博物館の姿である。体 その内容は、子どもたちが体験を通し 験を重視し、市民ボランティアと交流しな て、自力解決できるように、市民ボラン がら学ぶことができる施設であり、「博物館 ティア「もやいの会」がそれぞれの特技 も学校である」と位置付け、学校教育に生 を生かして支援にあたるものである。物 かせる博物館である。 にも人にも文化にも直接ふれることがで きる空間づくりを心がけた。 本館の子ども向け事業の考え方 (2)休日の子ども事業の考え方 現下の学校教育については、さまざまな ① 個への対応 課題が議論され改革が断行されているが、 放課後や休日も目的を持って博物館に 青少年問題の根底には、家庭や地域の教育 来館できるように、「チャレンジカード」 力不足や子どもたちの生活体験不足そして、 を作り、楽しみながら郷土を学ぶことが 地域への帰属意識の希薄さなどの要因も強 できるようになっている。これにより、 く指摘されている。 学校の授業を深めたり、発展させたりす また、今回の学習指導要領の改訂では、 「生きる力」の育成を目指した「総合的な学 ることもできる。それ以上に、来館の機 会が増え、ボランティア等とのふれあい 習の時間」が設立され、体験学習や課題解 から、心を育てることができる。 決学習を取り入れることや地域の文化や伝 ② 休日の体験教室 統を学び、郷土を愛する心を育むことの重 ○子ども達の興味に応じた土曜体験教室 要性が示された。そこでは、 「開かれた学校」 ○季節に応じた体験教室 づくり・生涯学習の基礎を養う・豊かな心 ○夏休み体験教室(宿泊体験・自由研究 の育成といった観点から、地域社会との連 相談会) 携が求められている。 この3点を軸に、事業を展開している。 −2− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 6月:初夏の野鳥観察会 実践状況(平成13年度12月まで) 7月:七夕飾り、殻細工教室(全3回) ここでは、今回のテーマである「土日・祝 9月:史跡めぐり 祭日・春夏休み等の事業」について報告する。 10月:子ども神輿を担ごう (1)子どもチャレンジについて 11月:川祭り 前述のとおり、楽しみながらふるさと 12月:餅つき大会・お正月飾り・大掃除 浦安を、昔の生活を体験を通して学ぶこ ③ とができる内容となっている。 夏休み体験教室 【宿泊体験】 (2)チャレンジカードの内容 (ア) 期 カードは、初級コースが3種類(1〜 日:8月1・2、2・3(1泊2日) 4年用・5年以上2種類)あり、検定者は、 (イ) 参加者:各16名(小学校4〜6年) 「もやいの会」会員及び職員である。合格 (ウ) かまどや七輪を使った夕食作り・ 蚊帳体験など すると認定書・もやいの会会員の手作り 【夏休み自由研究相談会】 キーホルダーがもらえる。 (ア) 実施日 (休日等を除く18日間 【ちびっ子コース(1〜4年生用) 】 テーマ 1 べか舟 7月24日〜8月23日 (イ) 相談会参加人数 チャレンジする内容 (ウ) 活用検討委員の参加数 友達とこいで、1周できる。 ) 376名 69名 【夏休み作品展】 2 舟の掃除 舟を掃除する道具の名前が言える。 夏休み自由研究の成果を発表する場 3 遊び ベーゴマのひもを巻くことができる。 4 ゆかた 浴衣をきちんとたたむことができる。 として『夏休み作品展』を開催した。 5 そうじ 大田家をほうきとぞうきんを使って (ア) 実施日:9月21日〜10月14日 そうじすることができる。 6 手作り 10月14日(最終日)には、 わりばし鉄砲を一人で作れる。 優秀作品の授賞式と、作 7 おもちゃ ブンブンゴマを一人で作れる。 品発表会を実施した。 8 浦安の貝 浦安の海でとれた貝を5種類言える。 9 遊び お手玉2個で遊べる。 10 お話 わらべ歌を歌うことができる。 (イ) 出品数:220点 【博物館縁日】 三八市にちなんだ縁日を行い、浦安 の文化にふれることを目的に実施した。 現在の登録者は、2,200名を超え、合格 (ア) 実施日:8月28日 者は132名である。 (イ) 参加者:1,700名 (3)休日の体験教室について ○ 子ども達の興味に応じた土曜体験教 室 おおむね以下の通りである。 第1土曜日:火おこし体験教室 第2土曜日:竹細工教室、箸作り教室 第3土曜日:郷土料理教室 第4土曜日:お手玉・ねつけ教室 ○ 季節に応じた体験教室(日曜日) 4月:開館1周年事業(氷の彫刻等) 子どもチャレンジ 5月:干潟観察会(全3回) −3− 三軒長屋のお話会 MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) おわりに 「博物館も学校である。」郷土に密着し、 そもそも博物館は社会教育施設として、 子どもたちや市民の憩いの場となり、語ら 学校教育を支援するという使命を持ってい いの場となる博物館。そんな姿を今後も追 ると認識している。 及していきたい。 歴史民俗資料館における子ども向け事業 御宿町歴史民俗資料館 資料館の概要 西 脇 あ さ して児童・生徒が望ましい姿でよく連携を 昔の御宿の暮らしぶりを知ることができ 保っています。各事業の案内は、そのつど る歴史民俗資料館には、縄文時代の土器や 各学校に伺い、担当を通して児童一人ひと 海女が使っていた道具、衣装の展示をはじ りに配布方お願いしています。 め、昭和初期に故岩瀬禎之氏が撮影した海 当館は、施設構造上屋内にて活動できる 女の写真、海女に関する文学を紹介してい 空間が皆無のため、活動はすべて屋外で実 ます。 施しています。天候や気候とのかかわりの また、70 カ国にもわたる貴重な教科書が 中で苦慮する面もありますが、幸いに公民 32,000冊収蔵されています。 (五倫文庫) 館が地続きのため、その連携の中で運営で きるのです。 子ども向け事業導入 また、活動内容等も相互に 計画を持ち寄り、地域の実態を加味しなが 「青少年対象の事業を新設し、学校週五 ら展開しています。 日制に対応する社会教育のあり方を試行す る。」これは、今年度の当館運営方針のひと 親子いろいろ体験事業 つです。 ★身近な素材で楽しく「竹細工教室」 新教育課程の完全実施の中で学 校週五日制に対応する社会教育のあり方の ブルーのシートを敷きつめた屋外会場に 試行をうけて、子どもたちが学校を離れた は、子どもたちの真剣な顔とそれを見守る 地域の中で仲間づくりをしながら、親と子 保護者の姿、多くの運営委員の方々、そし が共に楽しめる余暇の有効利用ができるよ て、通りがかりの地域の人々も足を止め参 うな場づくりを設定しました。 子ども向け事業の活動内容 親と子で共につくるふれあいの場の設定 を計画し、活動しています。 ・1学期「竹細工教室」 ・2学期「お宝めぐり」 (文化財めぐり) 「しめ縄づくり教室」 ・3学期「もちつき大会」 地域の中には小学校3校、中学校1校、 高等学校1校があり、いろいろな行事を通 竹細工教室で「まず、こうけずるんだよ」と 竹とんぼの羽根の削り方を教えている町長 −4− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 加するほどでした。 見ていた親も、最後には子どもたちより夢 はじめて、切り出し小刀に触れる子ども 中で作品を作っていたのが印象的でした。 もいて大人の手をかりながら、竹とんぼや ペーパーナイフに挑戦していました。自分 ★収穫に感謝して「もちつき大会」 のつくった竹とんぼの飛び具合を確認する 町内3校の小学校高学年が共同で毎年、 子どもたちの顔には、喜びと満足の笑みが 田植えをして収穫をします。今年も豊作で みなぎっていました。 粒ぞろいのもち米がとれました。 3学期にはその米を分けてもらい、父母 町長も終日、子どもたちの中に入り竹細 工先生をつとめておられました。 や地域の人や運営委員の方々と一緒に、参 ★町のバスで「御宿町内お宝めぐり」 加する子どもたち全員で餅をたくさんつく 予定です。杵や臼に触れる満足げな子ども 「御宿町にある文化財をめぐり、もっと たちの姿が今から目に浮かびます。 自分の住む町を知る」ことを趣旨としたこ の事業には町内小学生全学年(保護者同伴) 今後の課題と展望 を対象にしたところ、35名の親子が参加し ました。「孝女竹永志保の碑」「十王堂縁起」 主に活動している運営委員の高齢化や委 「最明寺夫婦銀杏」「ミヤコタナゴ」等々、 員同士の人間関係、また今後どのように後 巡る中で、「ぼくはこの町が大好きだ」とい 継者を育てていくかなどさまざまな問題を った少年の言葉が印象的でした。 抱えています。しかし、委員たちは生き生 運営委員や町の限りない協力態勢の中で、 3校の子どもたちの交流も深まっていくの きと学ぶ子どもたちの姿に触れ、生きがい を感じ始めています。 が目に見えてわかりました。 青少年を取り巻く生活環境は厳しく、こ のような中で子どもたちを健全に育成して ★伝統をひき継ぎながら「しめ縄づくり教室」 いくには、家庭、学校はもとより地域の役 師走時期におかざりを作って新しい年を 割の大きさを重要な課題として受けとめて 迎える風習がありますが、自分たちで作り います。 ながら伝統を守っていけるようにとの思い ぶこと自体の楽しさとともに、学んだこと の中で、開催したところ、20組の親子が参 が将来につながるという確信をもてるよう 加しました。講師は地元の老人会の皆さん 援助することができたら幸いです。 にお願いしました。 体験の中から、子どもたちが学 資料館は生涯学習の拠点として、これか みんな初めての経験で緊張した様子でし らも町民の要望に応えつつ、新たな事業を たが、わらを剥くことから始まり、わらを 展開し、親しまれる資料館でありたいと考 綯うなどして思い思いの作品を作り上げて えます。そして、いい笑顔に出会えるよう いきます。初めは心配そうに子どもたちを 日々心がけていきます。 −5− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 国立歴史民俗博物館における子ども向け事業 国立歴史民俗博物館 はじめに 小 島 道 裕 ら、1999年の夏休み事業として実施。好評 国立歴史民俗博物館では、当初観客層を だったため、その後、土・日・祝日および 関心のある高校生以上と想定していたため、 学校休暇中に実施している。子ども向けの 子ども向け事業は特に行っていなかったが、 問題冊子と大人向けの回答・解説冊子を別 実際には小中学生も相当数が来訪している にしているのが特徴で、家族単位で展示を こと(観客の20〜25%程度)などから、次 観察しながら見学できるように作られてい 第にその必要性が認識されだした。 る。 その後1998年には、今後の館としての教 現在提供しているのは、小学校高学年〜 育関係事業を定めるために、暫定組織とし 中学生を対象にしたものと、幼稚園〜小学 て、「教育プロジェクト」が発足し、5年間 校低学年レベルの「どこにいるかな」の二 を目途に試行を重ねており、既に中間報告 種類で、問題は適宜更新している。本年度 書『れきはくにいこうよ はさらに、中学生以上対象の、大人だけで 1998〜2000教育 プロジェクト活動報告−3年間のあゆみ−』 も楽しめる冊子の開発も行った。 (2002年3月、国立歴史民俗博物館)も刊行 参加は自由で、展示室入り口で冊子と紙 されている。(今後年次報告書を刊行の予 ばさみ・鉛筆を受け取る。年間約1万件程 定。) 度の利用がある。 企画展示での体験講座などは別として、 夏休み自由研究相談室 現在下記の事業を行っている。 小中学生向けの、自由研究相談。学校教 育との連携の一環として、2000 年度から、 歴博探検 1992年から土曜日の学校部分休業化を機 開始。印旛出張所管内の小中学校教員に協 会に始められた、毎月第2土曜日の「歴博 力を依頼し、夏休み中の土・日に6回程度 探検」は、本格的な子ども向けプログラム 開催。館のロビーに特設のブースを設けて の最初のものと言え、現在も続けられてい 参考書を用意し、学校教員2名と館の職員 る。当初は学校教員の参加を求めていたが、 が生徒の相談に対応する。参加は自由で、 現在は館の教員1名が「隊長」となって、 対象となる展示室の資料の見学は無料で認 毎回テーマを設け、館内の案内や所蔵資料 めている。参加者は初年度は80余件だった の見学を行っている。対象は小学校高学年 が、その後増加している。 および中学生、3回を1期として、各期ご 夏休み後には、応募された作品をロビー とに30名を募集している。同伴の家族にも に展示する。 好評である。 写生会 れきはく親子クイズ 常設展示の展示物を対象に、資料の観察 家族向けのワークシート。常設展での家 と表現を中心にしたプログラムで、2001年 族向けプログラムが存在しなかったことか 度から実施。11月中の土・日2日間に、そ −6− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) れぞれ20名の小中学生と同伴の家族を募集。 できる−」など。実際の植物を使った、製 用意したクーピーペンシルを用いて、展示 作などの体験を取り入れている。 なお、体験学習には支援スタッフが必要 室内で写生を行い、完成後の発表会で自分 となるため、ボランティア募集し、実施の の作品について説明をする。 前月に訓練を行っている。 美術専門の高校教員と、佐倉市立美術館 の学芸員各1名の協力を得、また対象とし た展示室担当の当館の教員も参加して指導 に当たり、特に発表会では、美術的な観点 と、資料の意味の両面から講評を行う。 作品はロビーに掲示し、またホームペー ジでも紹介する。 くらしの植物苑体験教室 併設の「くらしの植物苑」を利用して、 植物と人間の関わりを考えるためのプログ ラム。2002年度から開始した事業で、隔月 の第3土曜日に実施。小学校高学年と中学 生を対象に、各回20名を募集している。 これまでのテーマは、「竹とくらし」「ウ 歴博探検「鏡の絵」 リとヒョウタン」「綿をつむぐ−実から糸が (2001年5月12日) 下総町立歴史民俗資料館における子ども向け事業 下総町立歴史民俗資料館 はじめに 島 田 七 夫 供し、子どもたちと資料館との交流を 当館は「下総町の歴史・民俗」をテーマ 図る。 とする小規模の資料館であるが、開館して ②郷土の歴史や民俗への関心を高め、郷 7年余りになる。身近な資料館をモットー 土愛を育てる。 に地域との結びつきを大事にしながら運営 ③学校教育と社会教育の連携を推進する。 している。 ◎対象者 子どもたちを対象とする普及事業として、 下総町の歴史・民俗に関係する内容で、「子 ・小学校5学年以上、中学生、小学生の 付き添いの保護者(平成12・13年度) ども資料館教室」を開催している。 ・小学生・中学生、及び小学生の付添い 以下その概要を記す。 の保護者(平成14年度) ◎募集人員と募集方法 子ども資料館教室 ・各学習内容ごとに15名程度。先着順と ◎開催趣旨 する。 ①子どもたちに新しい体験学習の場を提 ・町広報「しもふさ」に要項を掲載する。 −7− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 初年度の最初に行った町の花「コスモス ・小・中学校に協力を求める。 を描く」は、やはり学校の図工・美術の延 ◎学習内容・日数・開催期日 学 習 内 容 長になってしまったようだ。町の花のPRを 回数 参加者数 担当者数 考え、またコスモスの花の可憐な美しさに (平成12年度) ① 町花「コスモス」を描く 2 4 2 魅せられての取り組みであったが、参加者 ② 拓本をとる 1 4 2 は少なかった。さらにコスモス自体が絵の ③ 鬼瓦づくり 1 18 4 素材としては、難しいものであったように ④ 町内の民話・昔話を調べ、3 16 3 思う。 拓本は、関心がある参加者であったため 紙芝居をつくって発表会 意欲的な活動ぶりであったようだ。初めて をする の体験で、「とてもよかった」という感想が (平成13年度) ① 拓本をとる 1 2 1 多かった。子どもたちの技能の進歩の早さ ② 鬼瓦づくり 1 10 4 に驚かされた。 ③ 町内の民話・昔話を調べ、4 9 4 下総町にはかつて瓦製造所が10軒あって、 紙芝居をつくって発表会 瓦づくりが盛んであった。現在は1軒のみ をする となり、主に鬼瓦を造っていて、それは千 葉県の伝統的工芸品の指定を受けている。 (平成14年度) ① 拓本をとる 1 3 1 このことから鬼瓦づくりに取り組むことに ② 鬼瓦づくり 1 8 3 したのである。子どもたちは、伝統工芸品 ③ 勾玉づくり 1 25 2 製作者の基礎的な指導のもと、自己の創造 ◎講師 力を働かせ個性的な鬼瓦をつくり上げた。 町内の経験者、及び館職員 ◎参加料 無料。ただし、材料費参加者負担 ◎必要経費 ◎その他 「楽しかった」という感想が多かった。この 活動は、焼き上がる前と、その後どんな風 講師謝金・消耗品費など に焼き上がるのかの二つの楽しみがあって 送迎はしない。 良かったようだ。 郷土の民話・伝説の紙芝居づくりは、小 活動を通して 活動内容は、学校ではあまり体験できな 学生では発達段階からして無理があったよ いもの、郷土に関係するものを考えて取り うだ。中学生では可能であるが、少ない回 組んだのであるが、こちらの思惑どおりに 数(時間)ではまとまらないと思われる。 はならなかった面があった。 中学生でも能力差や得意とする分野、また 鬼瓦づくりに取り組むこどもたち 紙芝居づくりに励む中学生 −8− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 根気強さや集中力などの性格面、いろいろ 校の低・高など学年差に応じた大きさの材 と個人差があるのですべての中学生ができ 料を準備する必要を感じた。一人ひとりが る訳ではない。たまたま参加した中学生た 苦労しながらも、その能力や個性を表す、 ちが演劇部員であり、その顧問の教師が付 世界で唯一の勾玉をつくり上げた。見事に き添っていただけたのが幸いした。うまく つくり上げた者もいた。完成品を首にかけ、 3グループに分けての活動ができ、また適 満足げに笑顔で帰途につく姿が印象に残っ 切な指導助言によって成功した。活動内容 ている。 への興味関心の度合いもさることながら、 おわりに 参加者の身近な助言者の存在も大きいと実 この事業への参加者は、初体験の者が多 感した。放課後の部活動の時間を当てて、 最終回に行う制作した紙芝居発表会にこぎ く、それぞれ成果があったようで、実施し つけた。日頃の演劇部の活動を生かした見 て良かったと思っている。しかし、子ども 事な発表であった。紙芝居舞台も顧問教師 たちの興味関心と館の意図するものとの差、 のお手製によるもので発表に花を添えた。 子どもたちの参加意識、指導者、参加者数、 なお、制作した紙芝居は町内の保育園など 会場、専門職員の不足、学校や保護者との で見せるなど、活用しているということで 連携などの諸問題があげられる。 ある。 一人でも多くの参加者を求め、かつ有意 紙芝居づくりに代えて、今年度から勾玉 義な活動と成果を上げられるようにするに づくりを取り入れた。下総町には数箇所の は、館の質的、人的充実に努めると同時に、 玉造り遺跡(古墳時代)があり、それに因 活動内容と参加者募集の面で、学校や保護 んだ活動である。参加者が多かった。材料 者とのよりよい連携プレーが不可欠である。 の石が少し大きかったために、予定した時 一朝一夕にはいくものではない。日ごろの 間内で仕上げるのに苦労したようだ。小学 不断の連携が大切であると考える。 千葉県立安房博物館における子ども向け事業 千葉県立安房博物館 はじめに 笹 生 衛 自然と歴史を体験できる事業を用意した。 当館では、普及事業の博物館教室の一環 以下、「海の日フェア」の中でも、小学生を として「うちわ作り教室ジュニアコース」、 対象とした「さかなクン音楽会とクイズに 夏休みの「科学工作教室」など子ども向け 挑戦」(7月20日実施)、親子の参加による 事業をおこなっているが、 「房総の海と生活」 「館山湾クルーズ」(7月21日実施)、小学生 をテーマとする当館にふさわしい子ども向 が以上対象の「櫓漕ぎ体験・和船を漕いで けの事業として、今年度から新たに実施し みよう」(7月24〜26日実施)の概要を報告 た「海の日フェア」を紹介したい。 する。 この事業は、7月20日の「海の日」にち なみ、1週間の期間で実施したもので、夏 さかなクン音楽会とクイズに挑戦 休みのイベントとして、親子で房総の海の この事業は、小学校低学年を主な対象に、 −9− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 楽しみながら魚を観察し知識を深めること ようというのが、館山湾クルーズである。 を目的として企画した。講師には、当博物 この事業は千葉県立安房水産高等学校との 館の客員研究員であり、テレビなどで人気 共催事業とし、クルーズでは同校の実習船 「海耕」を使用した。 のある「さかなクン」こと宮澤正之氏を招 クルーズは、午前中、2回に分けて行い、 き、小学校低学年の参加者でも親しみやす 募集人数は各15人の30人とし、合計で小学 い内容とした点が特徴である。 募集人員は親子で100名としたが、実際の 参加者は、子ども86名、保護者69名、合計 生21名、保護者13名が参加した。 クルーズ1回の航程は約30分程度、博物 館脇のヨットハーバーを出港後、館山市街 155名が参加した。 を海上から眺めながら船形港沖に向かい、 那古・船形周辺の歴史や環境について説明、 その後、館山湾を南西方向に横切り坂田沖 で定置網の見学を行った。また、航行中は、 山などを目標にして漁場の位置を割り出す 伝統的な方法「山当て」を実際に体験した り、漁場の説明をおこなった。 参加者のアンケートでは、子どもたちは 小型の実習船で海上を航行する体験を楽し んでおり、保護者からは「海辺の町に住ん さかなクンの水族館探検 でいながら、海から町を見る機会がなかっ 事業内容は、さかなクンも参加したブラ たので良い機会だった」などの意見がよせ スバンドのコンサート、さかなクンが案内 られていた。参加者は、普段経験できない する水族館探検、魚に関するクイズとお絵 海上での体験を、親子で楽しんだのではな かき大会とした。中でも水族館探検では、 かろうか。 「さかなクン」が生きた魚を前に説明してく れるので、参加した子どもたちは水族館の 魚を熱心に観察し、お絵かき大会では水族 館で観察した魚を「さかなクン」から描き 方を教わり絵に仕上げていた。 参加者へのアンケートでは、 「楽しかった」 という感想以外に、「さかなクンが出題する クイズで正解が出せて良かった」、「絵が上 手に出来て良かった」などの意見があり、 小学校低学年の参加者でも楽しみながら達 館山湾クルーズ 成感を味わえたようだ。 櫓漕ぎ体験・和船を漕いでみよう 木製の和船は昭和 40 年代には姿を消し、 館山湾クルーズ 館山湾の海上から、館山周辺を見てその 現在の小中学生は和船が櫓で航行する姿を 歴史や自然について再認識し、さらに伝統 見た経験はないだろう。彼らに、実際に櫓 的な漁業法や館山湾の自然を親子で体験し で和船を操る体験をしてもらい、伝統的な −10− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 船の構造や技術について理解を深めてもら 加者の体験千葉県立中央博物館における子 おうというのが、この事業の目的である。 ども向け事業中の安全には配慮した。 当館では新造した一丁櫓の木造船を使い おわりに 2年前から実施してきた事業で、今年度は 「総合的な学習の時間」や「体験学習」 海の日フェアの中で実施した。 の導入により、博物館と地域の子供たちの 乗船人数は限られているが、3日間の合 計で小学生 20 人を含む 33 人が参加した。 接点は、今後さらに増加しよう。その場合、 事業内容は、まず、博物館に展示されてい 資料を保管し、調査研究を行う博物館の機 る和船と櫓を見学し、その説明を受けた後、 能は、体験型の学習プログラムを多様なも 4〜5人程度の班に分かれて和船に乗船、 のへと発展させる可能性を持っている。し 櫓による操船を体験した。 かし、博物館だけの発想による事業はなく、 地域や学校からのニーズに応じた事業内容 なお、この事業では、海上での安全を確 保するために、和船の操船になれた館職員 を企画しなければならず、その点では一層、 が2名ずつ乗船して体験を指導するととも 地域・学校との連絡・情報交換を密にする に、万が一の事故に備えて、船外機付きの 必要があろう。 また、今後、博物館においても子ども向 船による伴走船にも職員が2名乗船し、参 けの野外の体験型の教育プログラムが増加 し、それに伴い事故などの危険性が増加す ると考えられる。当博物館では、天候や海 の気象条件に大きく左右される「櫓漕ぎ体 験」の場合、出船に関する内規や安全マニ ュアルを定めているが、この種の体験型の 教育プログラムでは、県博物館協会などで 安全マニュアルなどを整備していく必要が あるのではなかろうか。 櫓漕ぎ体験 千葉県立中央博物館における子ども向け事業 千葉県立中央博物館 生態学研究科 浅 田 正 彦・平 田 和 弘 地学研究科 はじめに 森 田 利 仁 の場として設置された6.6haの森林と池から 千葉県立中央博物館で行われている体験 なる野外観察地である。県立青葉の森公園 型の行事・展示の中から、今回は生態園で に位置しており、来園者の多くは、休暇を の野外展示と14年度特別展に関連したイベ 楽しみに来た親子や、散歩のついでに立ち ント、「化石発掘体験」について紹介する。 寄った人、校外行事としてきた児童など 生態園における野外展示について (入園者の約3〜4割が小学生以下の子ど 中央博物館生態園は自然観察・環境教育 も)であり、積極的に博物館で何かを勉強 −11− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) しようと考えて入園する人は少ない。この この一連の覗いたり、めくったりする行動 ため、園内の展示は、主要な来園者である とともに、キツツキの巣の情報が記憶とし 子どもが自発的に自然体験をし、また物事 て定着するのである。 を理解したくなるような仕掛け、いわゆる 今後は、野外展示を確実に楽しんでもら 「ハンズオン」を指向したものにすべきであ うためのワークシート(体験シートとする) ると考えている。物事の理解や記憶の定着 による誘導を展開する予定である。来園者 は、感動や五感を使ったりすることによる は体験シートの指示に従い、先生や職員な 「楽しさ」を伴わないと十分に実現できない どの解説者が同伴しない場合でも、確実に からである。 各展示や自然観察を体験することになる。 このような考え方のもと、現在、常設的 そればかりか、ビンゴ形式などにすること な野外展示として、子どもを対象とした五 により、園路を歩き回る行為自体に楽しさ 感を使った自然現象の気づきのポイント、 を見いだすことができる。さらには、既設 自然体験のきっかけとなるようなハンズオ 野外展示を使わない自然体験の誘発(例え ン野外展示を試行的に導入している。これ ば「ホーホケキョと鳴く鳥をさがそう」な により、来園者の自発的な意志を誘発させ、 ど)が可能となり、季節や対象年齢、団体 理解や感動に結びつくような一連の行動が 規模など、来館者のニーズに柔軟に対応で 起こることを期待している。例として「の きる。 ぞきパイプ−コゲラの巣」の場合を見てみ 体験した記憶を何度も思い出すこと(ふ る(写真) 。これはコゲラ(キツツキの1種) りかえり効果)は、記憶が定着する効果を の巣がある木の園路沿いに、パイプと解説 もたらす。そこで、園内での活動後に、生 板のついた工作物であり、解説板には「め 態園相談員やバードガイドからの問いかけ くるとかいせつ」の表示のあるフタがつい や、学校に戻ってからの感想文などを実施 ている。パイプをのぞきこむと、コゲラの してもらえるようにしたい。帰宅後におけ 巣穴がみえる。園路を歩いてきた来園者は るふりかえり効果を期待して、生態園独自 パイプをのぞき込んだり、解説板のフタを のスタンプを押すなどして、持って帰りた 開けるという行動とともに「幹にあいた穴 くなるような体験シートにし、登場した生 はコゲラというキツツキの巣です」という き物がデザインされたペーパークラフトな 解説を読むことになる。キツツキの巣であ どをオミヤゲとして渡すことも効果的であ ることを知った来園者は再度パイプをのぞ ろう。 き込み、「ほほぉ」と納得することになる。 それぞれの子どもは個々の発達段階や興 味が様々で、能力などに違いがあるため、 多様なプログラムを用意しておく必要があ る。そこで、平成15年度以降、学校現場の 協力を得て、野外展示開発からオミヤゲに いたるまでの一連のプログラムをともに作 製する新規事業「子どものための生態園」 を計画している。 (浅田・平田) 「化石発掘体験」について のぞきパイプ−コゲラの巣 中央博物館の講座や観察会は、専門的で −12− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 深みはある反面、面白みに欠ける、という 発掘本来の姿を体験してもらいたい、とい のが一般的な評価なのではないだろうか。 う気持ちがあった。結果的に、その意図は その評価に対する反省というわけではない 十分に達せられたと考える。実施期間中 が、今年の夏、中央博が行った「化石発掘 (8月6日〜9月1日とほか追加実施日2日 体験」というイベントは、子供たちを楽し 間)の発掘体験総参加者は約2,500人である ませることを明確に意図した企画であった。 が、これは参加資格のある小中学生のみの 化石は、専門家でもそうそう簡単に発見で 数であるので一緒に参加した保護者の数を きるものではない。まして恐竜などの脊椎 入れると、実参加者は5,000人を超えるであ 動物の化石は、よほど運がよくなければ一 ろう。これは特別展の入館者数(総入館者 般の人たちが発見できるものではない。「化 は約14,000人)に、少なからず貢献したこと 石発掘体験」は、そのめったにない経験を、 は疑いない。広報にほとんどお金をかけら お手軽に提供したイベントである。今から れない、たかだか予算400万円程度の展示会 考えると、人気が出ないほうが不思議だっ としては、例年にない入館者を獲得できた たのかもしれない。イベントに用いた資料 と考えている。 は、中生代の化石産地として世界に知られ この特別展は、恐竜の全身骨格のひとつ る石川県白峰村から、約2トン運んできた。 もない地味な展示会であったが、伝えたい これは、当館の伊左治研究員が、長年そこ メッセージだけはしっかりしていたと自負 での調査に従事してきたことによる、白峰 している。つまり、恐竜だけが貴重な化石 村の格別の配慮であった。 なのではなく、すべての化石記録が地球の このイベントはあくまで、同時に開催し 歴史の貴重な記録なのであるということ、 ていた特別展「恐竜時代の生き物たち」を そして化石発掘には根気と地味な努力が必 見ていただいた子供たちへのサービスであ 要であることである。発掘体験は、そのメ り、またそのサービスを付加価値として、 ッセージを聞いてくれた子供たちへの感謝 より多くの人に特別展(有料)に入場して の贈り物だったのである。それでも、約 20 もらうために行った行事である。入場料大 名一組の参加者が体験できた化石採集時間 人500円をいただく展示会を開催する我々と は、たかだか15分ほどであり、中には「待 しては、特別展に何か付加価値を与えたい たされた割には、時間が短い」といって苦 と願ったのである。しかも、同時期に幕張 情をいう参加者もいたことは残念ながら事 メッセで開催されていた「世界最大の恐竜 実である。私たちの意図を伝えることの難 展」への対抗意識もあり、できるだけ恐竜 しさを、つくづくと思い知らされたといっ てよい。 実施にあたってとくに注意したのは、貴 重な化石の見落しと破壊であった。植物化 石と貝化石以外の化石は、すべて資料を提 供していただいた石川県白峰村に返却しな ければならなかったからである。そのため 職員が注意を払ったことは言うまでもない が、今回、とても大きな戦力になってくれ たのは、12人の博物館友の会有志の方々で 石の割り方、化石のさがし方を説明 ある。この方たちが入れ替わり立ち代り参 −13− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 加者の面倒をみてくれなければ、これほど の大盛況であったこのイベントは、私たち 混雑したイベントを整然と行うことはでき 職員にとって貴重な体験となった。 (森田) なかったであろう。いずれにしても、いま だかつて中央博が体験したことのないほど 千葉県立美術館における子ども向け事業 「こどものための展覧会1999−2002」 千葉県立美術館 1999年夏 濱 松 繁 雄 よって生み出したものであり、その背後に 県内の中・高校生に「美術館・博物館の は歴史や民族や国家や風土や生活を背負っ あり方について」の意見や要望を聞き、美 ているのです。そんな美術品と、いくらこ 術館の印象を含めてこどもたちの率直な気 どもは鋭い感覚を持っているといっても、 持ちを知ることができました。 浅くて狭い生活体験・人間体験のこどもと 「つまらない。堅苦しい。近寄りがたい」 は、とてつもなく距離があるのです。 「暗い、静かすぎる、行きづらい場所」「暗 私がはじめて担当した1999年の「こども くて、人がいなくて、淋しい」「こども同士 のための展覧会/光の演出、影の効果」で では行かない場所」「友だちを誘っても断ら は、こどもたちが望むものと、このような れる」「興味のある人のみが利用している場 私の考えとの隔たり故に、完全にこどもた 所」「何回行っても、同じものが展示してあ ちには無視される結果となりました。 る」「なぜ博物館・美術館を利用して欲しい のかわからない」「小さい頃のイメージ(意 2000年春 味がわからない、つまらない)が残ってい まだお客様のみえていない静まり返った て、大きくなっても行かないのでは。やは 展示室内を、1点1点作品点検していた時 り、こどもにも楽しいという印象を与える のことです。その時は収蔵作品による展覧 工夫が必要」「きまりきったものが多い。展 会でしたから見慣れている作品なのですが、 示に珍しいものを、新鮮な展示を」「もっと ギュスターヴ・クールベの油絵「雪の中の 宣伝して欲しい」「興味を引くような宣伝を 小鹿」が妙に気になって、足が動かなくな してくれれば」等です。 りました。有名な「波」のような迫力はあ 予想していた通りの厳しい評価ばかりで りませんが、クールベらしいタッチを残し す。ただ、全て否定的なものではなくて、 た生命感が滲む佳品です。この作品のほと もっと情報提供があって、その情報の中か んどがペインテイングナイフで描かれてい ら面白そうなものがあるならば、足を運ぶ ることにこの時はじめて気がついたのです。 用意はある、とも読み取れます。 画集で調べてみると、代表作「画家のアト 一方、学芸員の私はというと、そもそも リエ」でのクールベは右手に筆を持ってい 美術品の鑑賞というものは本来、大人の楽 ますが、左手にはしっかりナイフを手にし しみに属するものだと思っています。美術 ているではありませんか。あのクールベの 品は、人間が研ぎすました感覚と技と志に ペインテイングナイフが欲しい!おそらく −14− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 使い込まれて刃の部分は摩耗し、柄には絵 様子をみてもらい、いや実際に制作しても の具がこびりつき、運がよければクールベ らったならば作家の創作のエネルギーを直 の指の形が残っているようなナイフ、これ 接感じとってもらえる。また、こどもたち を手に入れることができれば..。あれだけ の活発な活動を引き出すために、描いたり、 の仕事を残した画家だから、アトリエを再 つくったり、ポーズしたり、調べたりする 現し、遺品も管理されているはず、フラン スペースを設けて、作家とこどもの互いの スに行くしかない! エネルギーが相乗する会場になると楽しい かもしれない。 それまでこどもたちの気持との隔たりを 埋める方途を見いだせないままだったのが、 2000年夏のこどものための展覧会「すご この時、「こどものための展覧会」の方向性 い!そのエネルギーはどこからくるのです がぱーっと開けました。 か?」はこのように展覧会のイメージが広 がっていったのでした。 美術作品というのは、氷山でいえば水面 上に出ているほんの一部分だといえます。 2002年冬 水面下には、作家の長い長い制作活動があ り発見や創意や工夫や迷いや苦悩が時間と 本館の基本方針である「みる・かたる・ ともに封じ込まれ、それは通常眼にするこ つくる」という3つの活動を調和させなが とはできません。その水面下を展示する。 ら、作品とともに、作家及び作品生成のプ 作品とともに、作品が出来上がるプロセス ロセスがみえる展覧会を企画してきました。 や作家の生の姿を同時に提示する展覧会に 色彩に着目した「赤と青、どっちが好き? する、ということでした。 どっちも好き!」(2001年)、そしてワール ドカップサッカー開催の勢いを借りた「日 本といえばなに?不二山三昧!」(2002年) 2000年夏 とつづいています。 こどもたちを興味づけたり、好奇心を刺 その時々に出会った魅力的な作家や作品、 激する手立てを考えていきました。 いろいろな機会に交流したこどもたちの何 「作家はなにを考えてこの作品を制作したの だろうか?」という好奇心に応えるために、 芸術家は普通の人とどのくらい違うのか、 あるいは違わないのかをこどもたちの視点 で直接インタビューし(これがけっこう難 しいのだが)、作家の写真も撮らしてもらう。 「作家はどのような場所で、どのようなもの をつかい、どのように制作しているのだろ うか?」という好奇心には、作家のアトリ エの様子を紹介したらどうだろうか。作家 の愛用の道具(ここにクールベのペインテ イングナイフを持ってきたいのだが)を借 用したらよいのではないか。 「素晴らしい作品はどのようにうまれるのだ ろうか?」という好奇心には、制作過程の こどものための展覧会2001 一部をなんらかの形で紹介しよう。制作の (上野憲男氏による公開制作) −15− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 気ない一言などから展覧会テーマが生まれ、 イフはというと、「いつか必ず借りに行く」 広がっていきます。来年度はどんなものに としておきます。案の定というべきか、常 なるのか、まだみぬ展覧会が少しずつかた 日頃、私の思いつきに辟易している経理担 ちあるものになっていきます。 当者は、フランスへの資料調査の要望を一 笑に付しました。 ところで、クールベのペインテイングナ 千葉県立房総のむらにおける子ども向け事業 千葉県立房総のむら 新 和 宏 て、伝統的な技術や生活様式に触れること はじめに ができる。さらに、その一部を直接体験す 千葉県立房総のむら(以下、当館)は、 江戸時代後期から明治初期の房総地方に伝 ることで、知識や技術の習得という広義の わる商家、武家屋敷、農家等を当時の環境 学習を行うこともできる。これに伴い、演 を含めて再現すると共に、房総地方の伝統 目もそれを支援する形として、入門的なも 的な技術や生活様式等を展示物や実演を通 のから、ほぼ1日を要して製作体験する演 して再現している博物館である。さらに、 目、さらには、数日の体験日数を設けて、 入館者がこれらの伝統的な技術、生活様式 より深い知識を身に付ける講座形式のもの を直接体験して学ぶことができ、将来に向 まで幅広く設定している。これらの演目は けて継承し、発展させ、より豊かな地域文 少しでも多くの入館者が体験できるように、 化の創造を目指している体験博物館である。 対象年齢幅を広く設けると共に、受け入れ 人数についても充分配慮している。また、 子ども向け事業導入の経緯 これらの通常の演目以外で、学校団体の学 当館は、年間、370種類(演目延べ数では 習の場として、平成6年度より特別プログ 約3,600件)を越える演目(実演・体験)を ラムの「学校団体体験」を実施してきた。 数日単位の周期で実施している。総入館者 さらに、今年度からは、新学習指導要領の 数は例年20万人を越え、その年齢構成も幼 「総合的な学習の時間」導入等に伴って新規 児、小・中学生から一般まで幅広い。入館 に作成した学習プログラムを各学校に配布 者は外部講師や職員が展開する実演を通し している。ただし、これらの事業は平日に行 夏休み郷土料理教室(小麦饅頭作り) 農家の一日(作物の収穫) −16− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 演 目 名 実施施設 実施日 内 容 7.11.3月の 土・日 3.4.6月の 親 子 じ ゃ が い も 作 り 上総の農家 日 作物の収穫・飯炊き・玩具 作り等を体験する じゃがいもの植え付けから 収穫までを体験する 子 ど も の あ そ び 各 農 家 年間 季節に応じた体験を行う 農 家 の 一 日 各 農 家 親 子 落 花 生 作 り 下総の農家 親 子 さ つ ま い も 作 り 安房の農家 子 供 茶 道 教 室 武家屋敷 夏休み郷土料理教室 め し 屋 夏 休 み お 菓 子 教 室 菓子の店 夏 休 み 張 り 子 教 室 細工の店 夏 休 み 七 宝 焼 き 教 室 瀬戸物の店 夏休み親子鍛冶屋教室 鍛 冶 屋 5〜7.10月 の日 5.6.7.10月 の日 7.3月の金 ・土・日 7.8月の金 ・土・日 8月の金 ・土・日 8月の金 ・土・日 8月の火 ・水・木 8月の火 ・水・木 子 ど も む ら 探 検 館 内 毎第2.3土 房総のむらガイドツアー 館 内 4.8.9.11月 の日 落花生の種蒔きから収穫ま でを体験する さつまいもの苗植え付けか ら収穫までを体験する 表千家の作法を体験する すいとん・太巻き寿司等を 作る 海藻からできた寒天を使っ た菓子を作る 体験時間 定 員 体験費 10:00〜16:00 4 13:30〜15:00 2 0 組 320円 体験により異なる 体験によ 体験によ り異なる り異なる 組 390円 13:30〜15:00 1 0 組 3 0 0 円 13:30〜15:00 1 8 組 1 8 0 円 10:00〜11:30 各5人 3 3 0 円 14:00〜15:30 10:30〜13:00 1〜5組 4 1 0 円 10:00〜12:00 各10人 2 0 0 円 13:30〜15:30 2日間で面作りを体験する 13:30〜14:00 1 0 人 5 0 0 円 七宝焼きの額を作る 10:00〜16:00 1 2 人 8 0 0 円 鍛冶屋の仕事の解説と文鎮 を作る 職員の解説を聞きながら館 内を見学する 職員の解説付きで普段見ら れない場所等を見学する 10:00〜15:30 2 組 490円 10:00〜11:00 3 0 人 無 13:30〜14:30 11:00〜12:00 3 0 人 無 14:30〜15:30 料 料 (注:体験費は平成15年度) う学習支援事業として設定しているため、当 要項に即して来年度の研究紀要で紹介する。 範疇から事業展開の課題を提示してみたい。 左の写真からも分かるように、子どもは、 最初、初めて見る物、触れる物に戸惑いを 事業内容・参加人数等 見せるものの、職員や親に促されながら体 前項で記述した通り、通常演目について 験学習を進めていく内、時間と共にその体 は、一部の体験を除いてほとんどが子ども 験は知識となり、自然に自分のものとなっ も参加できるプログラム構成を組んでいる。 ていく。これは子ども特有の器用さからく よって、当館で実施している演目の大半は るものであろう。このように当館では、子 子ども向け事業に相当すると言えるが、こ どもが普段経験する機会が少ないもの、日 こではその中から、「子ども」・「親子」で 常生活には存在しないものを展示や演目等 体験することができる多くのプログラムの で毎日のように展開している。しかし、こ 中から数例を挙げる。 こで考えなくてはいけないことは、個々の プログラムを入館者がどう促え、解釈して 子ども向け事業の実施に関する課題 いるかである。子どもはこれらを探求心や 数多い子ども向け事業全般について、そ 好奇心といった形で純真に受け入れ、初め の活動内容や利用状況を考察することは非 ての経験として促えようとするが、その機 常に難しい。しかし、本論が休日における 会を設定する親の方が間違った解釈をして 事業実施をその趣旨としているため、学校 いる例が多い。例えば、夏休み等の長期休 主催の学習利用ではなく、家庭学習という 暇中によく見ることができる光景であるが、 −17− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 宿題の自由工作や自由研究の成果物として、 にとっても大きな課題である。つまり、子 当館で製作した作品をそのまま流用しよう どもが学校の授業の一環として、また、日 とする姿である。子どもが工作や研究等の 常生活の中で学習の課題を設定し、解決し 課題を進めるに当たって、博物館の展示物 ていく際、「調べ学習の根幹に関わるであろ やそこで学んだことを−素材(教材)とし う、解決までのフローチャート」を理解し て扱うことは理想的なことであり、昨今の ないまま進んでいくことを示唆している。 総合的な学習等の考え方から見ても賛同で このように、博物館が子ども向け事業を きると共に、博物館側としてはむしろ可能 企画し実施していくには、プログラムがあ な限り支援していく態勢を取るべきことで り、指導者がおり、それを体験しようとす あろう。しかし、残念ながら親の思考の中 る子どもがいれば成立するが、そこには最 には、博物館が設定したプログラムに便乗 低限の約束事が必要である。それは、子ど し、宿題や課題を完結してしまおうという も(親も含めて)が「学ぶことの本質」と 意識が強い。親はこれで宿題が一つ片づい 「課題解決のフローチャート」を理解してい たと考えるのであろうが、子どもは課題解 ることである。そして、その指導者として 決の方法がこれでいいのだ、と誤った解釈 の任にあたらなければならない重要な責務 をしてしまう。これは非常に怖いことであ を負った存在が、親であり、教師であり、 り、様々なプログラムを構築する博物館側 我々学芸員なのである。 千葉県立房総風土記の丘における子ども向け事業 千葉県立房総風土記の丘 井 上 哲 朗 実をいえば、当館において子どもたちの とに尽きる。実際、これまでは職員がいく みを対象とする主催事業は「子ども考古学 ら張り切って充実したメニューを工夫して 教室」一本しかない。もっとも、この教室 も、ふたを開けてみれば、いたって参加者 も次年度には廃止されることとなるので、 は少ないといった状況であった。 純然たる子どものみという企画は消え去る 子どもたちだけで電車とバスを乗り継い 運命にあるのである。ちなみに、本年度の で来館してもらうことも、それはそれで立 「子ども考古学教室」は火起こしに始まり、 派な社会勉強にはなるが、一方で、自動車 土器を使った古代食体験、そして石器づく りと弓矢の試し打ちといったとても楽しく、 盛りだくさんな一日メニューで実施されて いる。当日たまたま来館され教室を見学さ れた方々からも「どうしても臨時で参加し たい」との申し出があったくらいおもしろ い教室なのである。 廃止の理由はいたって簡単で、当館のよ うな草深い所にある博物館に子どもたちだ 子ども考古学教室−かわいい射手たち けで来ることがたいへんである、というこ −18− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) での送迎はたいへん、との車社会になじん りであること。 だ保護者の声もある。それならば、来館手 (3)保護者も子どもたちも共に楽しめるも 段がいかなるものであり、いっそのこと老 のづくりであること。 若男女一緒に楽しんだ方がよいのではない (4)1課程2時間以内に収まるようなもの だろうか。 づくりであること。 当館においては従来から、体験教室の中 (5)すべての参加者が自己の思い入れのあ 核は保護者と子どもたちという組み合わせ る成果品をつくりうること。 で公募する「親子チャレンジ考古学教室」 (6)素材が廉価に入手でき、安全で、下準 であり(これはあくまでも原則で、もちろ 備にも多大のエネルギーを要さないこと。 ん親のみ、子どものみでも結構です)、細々 これらのいずれかが欠けても教室の運営 と維持してきた「子ども考古学教室」もこ には重大な支障となるだろう。例えば、こ れに合流させることになった訳である。し れまで釣り針など骨角器づくり等も検討さ たがって、子どものみのための企画は、と れたが、(4)や(6)などのクリアーが難し 問われれば「無し」ということになるが、 く、未だ実現されていない。また、昨年度 ここでは親子対象という拡大枠での、子ど まで実施していた鏡づくりの場合、高温で もも楽しく学べる体験教室について紹介し 溶解した金属を扱うこと、有害ガスが発生 ておこう。 することなど(6)安全性項目に問題があり、 当館における体験教室は「風土記の丘教 今年度から取りやめている。 室」と総称しているが、これは5本立てに 今年度の状況をみると、定番勾玉はさて なっており(平成14年度) 、それぞれ おき、焼き物への関心の高さは予想以上で (1)こどもの日手形・足形づくり教室(乳 あり、いずれも多くの方々の参加を得るこ 幼児のいる家族が対象) とができた。また、学校からも「本校でも (2)自然観察教室(一般向け) 土器づくりを実施したいのだが……」とい (3)子ども考古学教室(前述しました) う意見や要望を聞くことが多く、焼き物へ (4)親子チャレンジ考古学教室 の関心は全国的なものと判断できるだろう。 (5)土器づくり教室(一般向けだが子ども しかし、焼き物には多くの工程が含まれ、 も可) やろうと思っても、その実施がたいへん難 となっている。子ども向けメイン教室であ しく、結局二の足を踏んでしまうのも事実 る(4)には、勾玉づくり、埴輪づくり、土 であろう。やむを得ず、市販のテラコッタ 偶・土版づくりといったコースが設けられ や焼成キットの使用も便法ではあるが、ど ている。次年度にはこれに石器づくりを加 こにでもある陶芸教室ではないのだから、 え都合4コースの教室となる。 やはり粘土の採集から制作、そして薪によ コース設定の基準としては、以下の点が る焼成まで、きちんとした手順を踏みなが あげられる。 ら実施したいものである。 (1)当館は考古専門館であるので、考古学 なお、今年度から新メニューとして埴輪 にちなんだものづくりであること(つま づくり及び土版・土偶づくりを加えたが、 り展示ケースの中に製作目的となるもの 年齢に応じた制作時間を計ったり、さらに のオリジナルが収められていること) 。 当日供覧する参考資料として、事前に同一 (2)体験をつうじて原始・古代に関する関 条件でいくつか制作しておき、これをもと 心をはぐくみうる広がりのあるものづく に説明も行っている。 −19− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 次に、石器づくりについては、黒曜石製 うにできないことを学ぶことも馬鹿にでき の剥片、石槍、石鏃の3種をつくることに ないのだ。また、オプションとして、剥片 なっているが、実際はといえば、ほとんど の切れ味体験や弓矢の実射体験などを組み 誰もつくれないことが経験的に明らかとな 合わせると、製作の不十分性を補って余り っている。完全なコピーなど到底不可能で ある成果を得ることができることも付け加 ある。そもそも、それが可能な技術者など えておきたい。 わが国にも数人しかいない(埋文関係者を 以上、当館の教室の状況をかいつまんで 含めても、残念ながら本県には一人もいな 紹介してきた。この間の経験上痛感するの い)。さらに、まねごとでも石器をつくれる は、焼き物づくりであれ、石器づくりであ 学芸員などほとんどいないし、仮にいたと れ、その実施は考古資料の観察や実験に裏 しても(ほとんど奇跡ではあるが)、参加者 打ちされた長期にわたる技術的検討がなけ の技量は全くそれに追随できないのである。 れば不可能であり、ここにこそ考古専門館 しかし、である。ここであきらめてはな である当館の特色がいかんなく発揮されて らない。つくりやすい素材をあらかじめ準 いるといえるだろう。安易かついい加減な 備しておき(これも非常に難しく、県外博 体験など何の足しにもならない。これは博 物館で販売されている市販品の利用という 物館における体験プログラム一般にいえる 手もある)、加工もほんのまねごと程度とい ことだろうが、今後一層、体験学習と研究 う限定付きであれば一応誰でも参加できる 活動とのフィードバック・ループを大切に だろう。実際まねごとで十分だし、思うよ したいと思う。 親子チャレンジ考古学教室−勾玉づくり 親子チャレンジ考古学教室−埴輪づくり 千葉市立郷土博物館における子ども向け事業 千葉市立郷土博物館 阿 部 きみ子 ンを迎え、天文スタッフ一同で「ドームは はじめに 千葉市立郷土博物館が免震工事のため休 リニューアルにならなかったがソフト面だ 館となり、プラネタリウムも1年3ヶ月休 けでもリニューアルを」と話し合いがもた 影となっていた。館のリニューアルオープ れた。筆者としては、幼稚園・保育所の団 −20− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 体を対象としたプラネタリウム投影や、特 き上がり、往復はがきによる抽選に変更。 定の時期に投影する幼児特別投影を担当し 幅広く第一希望から第三希望まで希望日時 ている関係上、常々特定の時期だけではな を設けたりしたが、やはり都合の良い時間 く通年だったらと思うことが多々あり、「土 は集中し、抽選後の第二希望からの振り分 日の幼児一般投影」を提案。結果は採用、 け作業が大変であった。落選のはがきに 担当、そしてなんと4月からの週5日制を 「当日を今から息子は楽しみにしています。」 前に、1月より試験的に実施となってしま とか、「前回落ちました。今度こそ当たりま った。 すように!」など書かれている文を読むの は辛く心が痛む。急遽回数を増やし、臨時 投影を行ったりしたが、投影の空いている プラネタリウム幼児特別投影 幼稚園・保育所を対象とした団体投影は 時間は限られているため限度があった。そ 以前から実施していたが、幼児の一般向け して季節投影のため、七夕には笹飾りをか は無く、子どもから大人までを対象とした ざり(短冊はお客様が書いた願い事)、クリ 一般投影を見ていただいていた。しかし一 スマスにはツリーのほか、本物(?)のサ 般向けとは言え小さい子には難しい番組で ンタクロースが登場し、手づくりのクリス ある。幼稚園用を一般にも見せて欲しいと マスプレゼントをあげたが、毎晩苦労して の声があがり、1997年試験的にクリスマス 折ったかわいい折り紙より、人気は生のサ アワーとして二日間実施してみた。この試 ンタさんであった。このサンタさんは館の みが好評を得たことから春休みには三日間 男性職員が紛したが、おとなしいサンタさ 実施と増え、その結果「プラネタリウム幼 んあり、元気で陽気なサンタさんありで、 児特別番組」として平成10年度より正式に 年によっていろいろなサンタさんが見られ 発足したのである。番組は、夏は七夕、秋 幼児ともども、筆者にとっても楽しいクリ はお月見、冬はクリスマス、春は宇宙旅行 スマス投影であった。 とし、入場は先着順(各100名)、整理券方 皆の手を借りながら、楽しく投影をして 式とした。しかしこの先着順は、幼児だけ いるうちに、平成12年館の免震工事のため に親子連れはもちろんのこと、兄弟、祖父 プラネタリウムは休影となり、休館中は他 母いろいろな組み合わせがあり、一組の人 館のプラネタリウムを見学させていただい 数が多く、投影開始の時間に合わせて来て たりした。見学した他館の幼児投影は皆、 も入場できない事態が起きてきたのである。 土日の通年投影であった。この休館中に見 学できたことは、新事業の参考になり、又 「別の方法に変えて欲しい」と強い要望が湧 他館の職員の情熱を肌で感じとることがで き、とても有意義な時期を過ごすことがで きた。そして工事の1年3ヶ月はアッとい う間に過ぎ、プラネタリウムの再開ととも に新事業もいよいよスタートとなったので ある。 新幼児一般投影「ちびっこアワー」 さて、新事業で頭を悩ましたのはタイト 投影終了後サンタさんよりクリスマスプレゼント ルのネームである。わかりやすく、親しみ −21− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) を感じるネーミングは?といろいろ考え、 ニュアルの生解説であるが、このかわいい 全国の幼児投影を実施している館のパンフ 千太郎君の声だけは年寄りな筆者には無理 レットを見たり、当館の解説者の皆さんに なので録音を流しているが、これがまたす 聞いたりした結果、「ちびっこアワー」に決 ばらしい出来となった。趣味で演劇をして 定。毎週実施することから整理券方式に戻 いるという人にお願いしたのであるが、そ したが、トラブルも無く順調に過ぎている こまでやるかというほど千太郎君になりき 現状である。投影時間は土日の11時からと ってくれ思わず脱帽。お陰で千太郎君は大 し、番組は2ヶ月ごとに更新としたが、ま 人気、子どもたちも喜んで諸注意をうなず ず、ちびっこアワーを定着させるため強力 きながら聞いてくれる。最初にかわいい子 な助っ人が欲しくなり、イメージキャラク 熊の千太郎君が登場するため、それを見て ターを考えることにした。千葉市の市章は 話を聞いているうちいつしか暗くなっても 千葉氏の紋章、月星、九曜星からきており、 「暗いのは怖い」という恐怖心を忘れてしま 北極星や北斗七星を神と崇める妙見信仰に うのである。投影終了後の、にこにこした ちなみ、こぐま座の熊に決定。「ぬいぐるみ お客さまの顔は筆者の最良の疲労回復薬と の熊のようにかわいい熊を!」とイラスト なり、この仕事をしている幸せを感じます。 の上手な職員に注文したところイメージ以 たくさんの方の力を借りてスタートした 上のとてもかわいい子熊の誕生となった。 新事業がますます発展し、このプラネタリ 名前は千葉市の千の一文字を使い千太郎と ウムを見た良い子の皆さんが少しでも自然 命名。晴れてプラネタリウムデビューとな に興味をもち、本物の星空を見上げ、星空 ったのであるが、千太郎君の仕事は最初の の美しさに気づいてくれたらと願っている。 案内と諸注意。当館のプラネタリウムはマ 新事業番組タイトル ちびっ子アワー・イメージキャラクター 千太郎 君 イラスト:田中 香織 −22− 2002 1・2月 ワンワンものがたり 2002 3・4月 よぞらのどうぶつたち 2002 6・6月 七つの星のものがたり 2002 7・8月 夏の星座とたなばたさま 2002 9・10月 かぐや姫はうちゅうじん? 2002 11・12月 北風小僧の千太郎 2003 1・2月 おうしにのったお姫さま 2003 3・4月 星になった森のくまさん MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) TEPCO新エネルギーパーク館における子ども向け事業 TEPCO新エネルギーパーク 飯 浜 喜久夫 紹介映像。 子ども向け事業導入の経緯 当館では、イベントとして科学に 屋外には、太陽エネルギーを活用した より 「ソーラーカート」の試乗コーナー等、子供 関心を持っていただき、親しんでもらおう と小学生を対象に(高学年を中心に)1日 達が、 見て・聞いて・触れる 2回(各回 40 名程度)、身近な材料による る「新エネルギーとエネルギー学習」の体 おもしろい実験 ことが出来 験空間施設です。 を年9回、また、来館さ れた小学生や父兄を対象に、同じく身近な 材料による科学実験、物理実験を通じて、 自然現象の面白さ・不思議さを体験してい ただくショー形式のステージを年2回、工 作教室を年2回(1日80名程度)開催して います。 なお、館内では、 「超電導の不思議な性質」 を身近に感じていただく実験・実演を含め た展示装置、さらには、 世界の発明王トー マス・エジソン 「子供科学(工作)実験教室」風景 の発明品(多数)及び発 明品のレプリカ装置(炭素電話等)の展示、 子供科学(工作)実験教室事業」内容 年 月 項 日 目 参加人数 (含・父兄) 担当者 人数 14.1.26 (土) 「サイエンス・マジック」ショー (オリエンテーションホール) 264名 2名 14.2.17 (日) 青銅鏡を作ろう 127名 4名 14.3.17 (日) 空飛ぶ風船を作ろう 114名 4名 14.4.21 (日) スーパー空気砲を作ろう 121名 4名 14.5.19 (日) ミラクルミラーを作ろう 154名 8名 14.6.16 (日) スーパーゴム鉄砲を作ろう 130名 7名 14.7.14 (日) 「爆発ステージ」ショー (オリエンテーションホール) 268名 3名 14.7.21 (日) 手作り顕微鏡に挑戦 144名 6名 14.8.10 (土) 「不思議な箱カメラを作っちゃおう」 135名 3名 14.8.11 (日) 手作り電球作りに挑戦 152名 4名 14.10.20 (日) 鉱物キーホルダーを作ろう 138名 4名 14.11.17 (日) 実物周期表を作ろう 133名 4名 170名 3名 14.12.7 (土) 「超魔術スプーン曲げの謎」ショー (オリエンテーションホール) 他の行事は、サービスホール<催事場>にて実施。 −23− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 流山市立博物館における子ども向け事業 川 根 正 教 流山市立博物館 PRは市の広報誌で行っている。 はじめに 勾玉とは何かといった説明を行った後、 平成14年度から実施された新しい学習指 導要領は、「総合的な学習の時間」を設け、 勾玉を製作する。材料は直方体の滑石を用 完全学校週5日制のゆとりのもとに、自ず い、予め四隅を削り落とし、紐を通す孔を から学び、自ずから考える力などの「生き 穿っておく。これを参加者に配布し、鉛筆 る力」を児童生徒に育成することにその目 で作りたい勾玉の形を描かせ、金属製の丸 的がある。 と平のヤスリで形を整える。その後、目の 粗いものから細かいものへと3種類のサン 一方では、高度化・多様化・個性化した 生涯学習社会を迎えた現在、様々なニーズ ドペーパーを使用して仕上げをしていき、 に的確に応え、生涯学習を推進していくの 紐を通して完成となる。 が博物館の今日的課題である。 4月から11月まで、8回の「勾玉づくり」 こうした状況において、新学習指導要領 を実施した。参加者数はグラフに示したと の実施は、社会教育と学校教育とのさらな おりである。当初は定員を超える申し込み る連携を必要とした。本博物館では児童生 があったが、夏休みの8月頃からは定員を 徒向けの事業として、「勾玉づくり」・「子 下回るようになってきた。また、中学生や ども絵画教室」・「夏休み子ども相談室」 小学校高学年の参加も少数あったが、最近 の3事業を展開している。 は小学校の低学年が多数を占める傾向が認 められる。 勾玉づくり これとは別に、5月には学芸員2名が小 「勾玉づくり」は、学校週5日制に対応 学校に出向き、6年生90人を対象として3 する事業として、平成14年度から実施した 回に分けて勾玉づくりを実施した。全員が ものである。毎月1回、土曜日もしくは日 90分という時間の中で真剣に取り組み、勾 曜日に小中学生を対象として、年12回開催 玉を完成させていた。 する計画である。定員は20名。講師は博物 勾玉づくりは、中学生には製作工程がや 館の学芸員が行い、参加費は無料である。 や単調であり、また小学校低学年にとって 25 20 15 10 5 0 4月 5月 6月 7月 図1 勾玉づくり −24− 8月 参加者数 9月 10月 11月 MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) はヤスリの使い方が難しく、途中で飽きて で、絵画を描くのが好きな子ども達に、本 しまう様子がみられる。本事業は小学校高 事業が定着していると評価できよう。 学年に一番適していると考えられるが、学 なお、子ども達が描いた絵画は、杜のア 年に関わらず、勾玉づくりを体験した子ど トリエ黎明において「子ども絵画教室秀作 も達は一様に嬉しそうであった。 展」と題した展覧会を開催し、広く公表し た。 参加者の減少傾向が認められるこの事業 を、どのような形で継続していくかは今後 夏休み子ども相談室 の課題である。 「○○博士」も夢じゃないと題し、学校 教育部指導課の協力を得て、本年度から実 子供絵画教室 施した事業である。小中学生を対象として、 「子ども絵画教室」は、本博物館の教育 普及事業である「ふるさと入門講座」の一 自由研究の課題や、日ごろ興味や関心をも 環として、平成11年度から実施しているも っている事項を調べる方法、あるいは博物 のである。市内在住の小学生を対象として、 館の利用方法について、相談・援助する目 夏休み期間中の4日間をあて、静物・石こ 的で開催した。大きく前半と後半に分け、 う・風景・人物を描く。定員は各回 20 名。 7月の2日間で調べる方法を指導し、8月 現在博物館に配置されている社会教育指導 の2日間でその成果についてフォローして 員が水彩連盟所属の画家であるため、講師 いく計画であった。 講師は博物館学芸員・指導課指導主事・ として指導にあたる。 今年度は、4月から博物館に所管替えと 小中学校教員が、これにあたった。7月の なった社会教育ギャラリー「杜のアトリエ 参加者は2日間で小学生が14名、8月は2 黎明」や講師の自宅にアトリエがあり、そ 日間で小学生が1名、中学生が1名であっ こを会場として計画したため、広報誌によ た。内容は「動くおもちゃ」・「氷のでき り「本物のアトリエで絵を描こう」と題し 方」などの理科系が多かったが、「古代ロー て参加者を募った。このためか参加希望者 マの建築」といった歴史系の相談もあった。 が例年より多かったため、2日間ではある 今年度は広報誌と校長会への呼びかけと いう方法で周知を図ったが参加者が少なく、 が、第2回目も実施した。 学年別では3年生が多く、次いで1年生、 2年生となり、低学年に好評である。また、 周知方法も含め、開催時期などを検討して 来年度も実施する予定である。 この絵画教室はリピーターが多いのも特徴 今後の展望 新学習指導要領の実施に伴う事業や、従 来から児童生徒を対象として実施してきた 事業を紹介した。 本来、教育とは学校教育、社会教育、家 庭教育が相まって成り立つものである。こ れらの事業を展開して感じたのは、教員が 地域の歴史や博物館活動についてあまり熟 知してないこと、そして学芸員は学校が博 子ども絵画教室 物館に対してどのような事業を望んでいる −25− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) のかを把握していないことである。 を図るため、学芸員の教員研修会への参加 学校と博物館は各々の立場における教育 など、教員と学芸員はさらなる交流を深め ていく必要がある。 機能を十分に発揮するとともに、その連携 ふなばしアンデルセン公園子ども美術館における子ども向け事業 ふなばしアンデルセン公園子ども美術館 村岡 綾雄 まず最初に、子ども美術館のあります ュニティーセンター」、水辺植物の繁り・小 「ふなばしアンデルセン公園」についてのご 生物との触れ合い・ボート遊びを楽しめる 紹介をいたします。ふなばしアンデルセン 「太陽の池」、ワンパク王国とメルヘンの丘 公園は、船橋市金堀町へ既設の「ワンパク をつなぐ「太陽の橋」、デンマーク産の石を 王国」に「メルヘンの丘」と「子ども美術 敷きつめた「イベント広場」等世界的な童 館」を新たに併設して、平成8年10月26日 話作家アンデルセンの活躍した1800年代の に開園されました。 デンマークが再現されています。 ワンパク王国には、岡本太郎作の「平和 次に、本題である子ども美術館のコンセ を呼ぶ像」や日本有数の規模を誇るフィー プトと事業のご紹介をいたします。子ども ルドアスレチックのある「森のアスレチッ 美術館は、船橋市小・中学校の子ども記者 ク」、ローラースライダー・ロープスライダ による「子ども議会」での「子どものため ーのできる「ワンパク城」、50メートルの長 の美術館ができたらいいな。」という意見か さを一気に滑り降りることのできる「大す ら生まれました。当時市としても「創る体 べり台」、水の学習ができる「アルキメデス 験のできる表現の場を子ども達へ提供でき の泉」、ポニー・やぎ・羊等と触れ合うこと たら。」という願いもあり、子ども達と大人 のできる「動物の広場」、船橋の民話に登場 の夢や願いが重なってできたものです。 するじゅうえもんをモチーフにした「じゅ 子ども美術館の設立にあたっては、子ど えむタワー」、緑の木立の中を走る「変形自 も美術館管理運営検討委員会が組織されま 転車」、ファミリーで楽しめる天然芝の「ミ した。そのビジョン作りには、保育園・幼 ニパターゴルフ広場」、晴れた日に見事に虹 稚園・小学校・中学校等の多方面に渡る のかかる「にじの池」等豊かな自然と遊び 方々に参画していただきました。その結果 を満喫できる施設があります。 従来の「展示中心型の美術館」ではなく、 平成8年に併設されたメルヘンの丘には、 デンマーク国内外で初めて複製化が許可さ 日本ではまだ数少ない新しい考え方の「創 作中心型の美術館」が設立されました。 れた「アンデルセン像」やデンマークの職 子ども美術館は、大きく分けると「パフ 人によって組み立てられた「デンマーク式 ォーマンスゾーン」と「クラフトゾーン」 粉ひき風車」、1800年代の実物大で復元され の二つのゾーンからできています。パフォ た「農家」、童話作家アンデルセンの人物 ーマンスゾーンは、橋を渡って本館の地 像・生誕の地であるオーデンセの街等を紹 階・一階・二階にあり、地階には創作スタ 介する「童話館」、管理事務所・グッズショ ジオ・観察室・図書資料室・メタセコイア ップ・展示ホール・シアターのある「コミ の木の根が観察できる地中館、一階にはワ −26− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) ークショップ室・版画のアトリエ、二階に む一助となる施設でありたいと常に願って は二つの展示室があります。クラフトゾー 取り組んでいます。そして、今後益々素材 ンは、本館の地階から出て階段を降りた窪 等の幅を広げ、自由な発想で伸び伸びと創 地に広がっており、四棟の建物に食のアト 作活動ができるように、更にプログラムの リエ・染めのアトリエ・織りのアトリエ・ 充実に努めていきたいと思っています。 陶芸のアトリエ・木のアトリエの五つのア トリエがあります。この二つのゾーンには、 子ども達の創作体験のできる場として8つ のアトリエ等があります。 各アトリエ等の創作体験の内容は、有料 体験となる月毎の通常プログラム、無料で 体験できるハンズ・オン・スペースプログ ラム(第二・四土曜日・日曜・祝日にワー クショップ室・創作スタジオ・陶芸のアト リエで実施 平成15年度からは日曜日のみ 実施)、季節や年中行事に相まって行うイベ ントプログラムの3つのプログラムで構成 子ども美術館の全容 しています。 子ども美術館は設立から6年経ち、年間 アトリエ利用者数等も増加の一途を辿って きています。平成12年度と平成13年度の年 間利用者数を比較してみても、入館者数 75,766 人→ 89,799 人、アトリエ利用者数 36,610人→41,200人、ハンズ・オン・スペー ス利用者数7,474人→11,272人と、いずれに おいても増えてきています。次に一週間の 利用者状況をみますと、平日は保育園、幼 織りのアトリエ 稚園、小学校等の団体の利用が多く、土・ 日曜・祝日は親子による個人の利用や子ど も会の利用が多くなっています。また、教 職員の体験研修や中学生の総合学習・職業 体験学習の一環としての利用も、年々増え てきています。子ども美術館の利用は、原 則として子どもの利用が優先になりますが、 空いている時には大人の方も利用すること ができます。 子ども美術館のスタッフ18名は、設立の 木のアトリエ 理念に沿って、子ども達の夢や創造力を育 −27− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 飛ノ台史跡公園博物館における子ども向け事業 船橋市飛ノ台史跡公園博物館 はじめに 長 岐 勉 などを行っています。子どもたちに考古 当博物館では、来館者のニーズに応える 学への興味・関心を持たせるために13 年 ために教育普及事業を開催しています。縄 度から実施しています。参加者は10人前 文大学(講演会)、バスを使っての遺跡・博 後です。 ②「夏休み社会科自由研究相談コーナー」 物館見学会、遺跡コンサート、縄文体験ワ ークショップ等を実施し、来館者に何度で 夏休み期間に3回実施。小学生〜中学 も館へ足を運んでもらうための手立てを考 生を対象に小・中学校の(社会科関係の) えています。 先生方が相談員となって、社会科関係の 今回のテーマは「子ども向け事業」です 自由研究の相談に応じています。社会科 ので、子どもたちが参加できる事業につい に興味・関心を持たせるために13年度か て述べていきたいと思います。 ら実施しています。親子での参加が多い のですが、どちらかというと親のほうが 積極的です。自由研究だけではありませ 子ども向け事業の経緯 館の展示物の見学だけでは、1〜2回の んが、親が前向きに積極的な行動をとる 来館で終わってしまい、博物館から遠ざか 場合、子どもに良い影響を及ぼすようで ってしまいます。それを回避するために参 す。子どもも一生懸命にやります。参加 加型、体験型の、そして子どもがたくさん 者は1回につき数人ですが、継続して行 参加できるようにということで、縄文体験 うことによって更に増加してくるものと ワークショップを取り入れました。これは、 考えています。 ③「縄文体験ワークショップ」 子どもだけでなく大人も積極的に参加でき るようにと考えました。親子での参加を促 年間を通して土日中心に月4回くらい すために土日を中心に設定し、さらに、夏 実施しています。この他に、夏休み、春 休み、春休みに数多く設定しました。冬休 休みに数多く実施しています。13 年2月 みについては、参加者が極端に少なくなる から開始しました。ワークショップは、 ので、特に予定としては入れていません。 なるべく短時間で、材料費が安くできる ことを念頭に入れて実施することにして います。しかし、いつも短時間で製作を 事業内容 子どもたちが積極的に参加できるのは、 終了させるとなると内容が限られてしま 「子どもの考古学教室」「夏休み社会科自由 いますので、時には、1日以上かかる内 研究相談コーナー」「縄文体験ワークショッ 容のものを実施しています。指導には、 プ」です。 博物館職員と外部から講師を招く場合の ①「子どもの考古学教室」 2通りで行っています。いくつかの内容 夏休み期間に2回実施。小学生〜中学 について述べていきます。 ・編布(あんぎん) 生を対象に職員が講師となって市内の縄 縄文時代に製作されていたのではない 文遺跡の概要や土器文様の付け方の体験 −28− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) その他 かと考えられている布織りの方法。初級 以上のワークショップは、博物館職員 としてコースター作り(製作約1時間)、 中級として巾着、状差し作り(製作約2 (1〜2人)による指導で行われたものです。 〜3時間)を実施しています。上級はミ 他には、外部講師を招き、石器作り、火お ニチュア縄文服作り(製作約2日間)で こし、ジオラマ(模型)作りなども実施し とても時間がかかるので休みの時期に製 ています。参加者数の平均は、12年度が約 作しています。 18人、13年度が約20人、そして14年度は約 30 人(12 月現在)と年々増加しています。 ・勾玉作り 人気のワークショップです。付き添い の大人が夢中になってしまうほどです。 最近では近隣からの参加が増えてきました。 参加者の割合ですが幼児 7.8 % 中学生 1.6 % 高校生 0.3 % 小学生 穴はドリルで自分で開けます。削るのは 49.5 % 一般 耐水ペーパーで水をつけながら削ってい 40.8%という状況で中・高校生が極端に少な きます。石は中国産の滑石を使用してい く、今後どのようにして増加させるかが課 ます。軟らかい材質で削りやすいものを 題となってきました。 選びました。製作は約3時間です。 ・(エコクラフトを使った)かご作り エコクラフト(荷造り用の紙紐)を使 い、かごを作っていきます。製作約2時 間 ・縄文髪飾り(くし)作り 石粉粘土、竹の割り箸、ポスターカ ラーなどで製作。製作約2時間 ・(粘土を使った)アクセサリー作り オーブン陶土を使って、勾玉などを製 作。製作約1時間 「どんぐり縄文クッキー作り」 どんぐり(マテバシイ)を石皿、すり石を使って 粉にしているところです。大人も子どもも楽しく ・(どんぐりを使った)縄文クッキー作り どんぐりを石皿を使って粉にして、 ホットプレートで焼く。製作約1時間 −29− 参加しています。 この後、ホットプレートで焼きます。 MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 千葉県内博物館の子ども向け事業 〜アンケートによる調査結果から〜 千葉県博物館協会 調査研究委員会 調査研究委員会では、千葉県博物館協会 い。子どもの区分がない場合は、入館者数 研究紀要MUSEUMちば第34号で特集『地 のみ記入願います。 域社会と博物館(3)−県内博物館の子ども 平成12年度の入館者数 向け事業(1)』を特集するにあたり、協会 名 (うち子ども 加盟各館を対象に子ども向け事業を把握す 平成13年度の入館者数 名) 名 (うち子ども るためのアンケート調査を実施したので、 名) 【回答】回答があった82館のうち、入館者を 調査結果の概要を報告しておきたい。 アンケート用紙(B4判両面)は、平成 集計している館は、平成12年度で72館、13 14 年8月に協会のニューズレター『ちばの 年度で 75 館あった(表1)。このうち、乳 博物館』第102号と一緒に発送し、締め切り 児・幼児から高校生までを子どもとする館 を同年10月31日(木)とした。回答は、郵 は平成12年度で37館・13年度で39館であっ 送またはファックスで返送していただき、 た。 子ども向け事業を実施していない場合は、 表1 平成12・13年度の子どもの入館者数と入館者総数 電話による回答も受け付けた。千葉県博物 館協会の平成14年度の加盟館数は、個人賛 平成12年度 平成13年度 中学生までを子どもとする館 482,885(13館) 472,649(12館) 高校生までを子どもとする館 446,464(37館) 595,427(39館) 子どもたちの博物館利用の現状を詳細に 大学生までを子どもとする館 12,229(1館) 42,629(2館) 把握するために、千葉県博物館協会編 年齢層の区分がない館 4,096,290(21館) 4,392,840(22館) 入 5,037,868(72館) 5,503,545(75館) 助会員を除くと83館であり、最終的に82館 から回答をいただくことができた。 『新・ちばの博物館』(平成13年刊)を参考 館 者 総 数 にしながら、加盟館園を設置者別(国立/ 県立/市町村立/財団法人/私立)と分野 表2 入館者数に占める子どもの割合と分野別の館園数 (高校生までを子どもとした場合) 別(考古・歴史・民俗系/美術系/自然 史・理工・産業・技術系)に適時区分し、 平成12年度 0〜10% 11〜20% 21〜30% 31〜40% 41〜50% 51〜60% 小計 集計結果を算出することにした。なお、ア 考古・歴史・民俗系 5 8 7 3 3 1 27 美 系 4 1 0 2 0 0 7 基本的に「子ども」として区分した。以下、 自然史・理工・産業・技術系 0 0 1 0 2 0 3 問1から問10までのアンケート結果を順番 小 9 9 8 5 5 1 37 ンケートでは乳児・幼児から高校生までを に紹介し、若干の解説を加えておきたい。 術 計 平成13年度 0〜10% 11〜20% 21〜30% 31〜40% 41〜50% 51〜60% 小計 問1 平成12・13年度の貴館の入館者数と 高校生までの子どもの入館者数を記入して ください。なお、小学生や中学生までを子 どもとする館は、その旨を記入してくださ −30− 考古・歴史・民俗系 5 5 8 5 4 2 29 美 系 4 1 0 2 0 0 7 自然史・理工・産業・技術系 術 0 0 1 0 2 0 3 小 9 6 9 7 6 2 39 計 MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 【解説】集計結果を見ると、回答があった館 記入してください。複数回答可。「いいえ」 のうち、入館者の集計がある館の総入館者 と回答した館園は、問10へお進みください。 は 数は、平成12年度で約500万人、13年度で約 い いいえ a.常設展 550万人であった。この数値には、入館者の 集計がない館(12 年度 10 館・ 13 年度7館) (子ども向け展示・子ども向けコーナー) と千葉県博物館協会加盟館以外の博物館の b.企画展 入館者数が除外されている。千葉県総合企 c.その他の行事 画部統計課によると、千葉県の総人口は平 成14年12月1日現在で600万5,351人である 常設展 9 から、平均すると県民1人あたり年1回位 企画展 の割合で博物館や類似の施設に入館(利用) している計算になる。このうち、子どもの 21 その他の行事 入館者が占める割合は、どの位であろうか。 48 0 少々、手荒い計算になるが、年度単位で中 10 20 30 40 50 60 館 図1 過去5年間の子ども向け事業(複数回答) 回答:59館 学生までを子どもとした集計と高校生まで を子どもとした集計を合算し、その数字を 入館者総数で割った数字が目安になろう。 【回答】「はい」と回答した館が59館、「いい 具体的な数字としては、両年度とも加盟館 え」と回答した館が23館あり、前者の内訳 全体の平均で19%前後の数字が出ているが、 は、aの常設展が9館、bの企画展が21館、 高校生を子どもに含めていない館の集計を cのその他の行事が48館であった。aの常 含め、大学生までを子どもとする館の集計 設展については、内訳を「子ども向け展示」 を除外したことを勘案すると、高校生まで と回答した館と「子ども向けコーナー」と を子どもとした場合の入館者の割合は、平 回答した館が各1館あった。複数回答を可 均で入館者総数の20%以上になるものと思 としたため、補足的な説明を加えておくと、 われる。 常設展のみは2館、企画展のみは6館、そ 入館者の分野別の動向を見ると(表2)、 の他の行事のみは27館あり、組み合せとし 子どもが占める割合が高いのは、平成12・ ては、企画展とその他の行事が11館と最も 13 年度とも分野別では考古・歴史・民俗系 多く、常設展とその他の行事が7館、常設 の51〜60%の2館であった。考古・歴史・ 展・企画展・その他の行事が4館と続いて 民俗系は、12・13年度とも0〜30%までの いる。 範囲に半数以上が集中しつつ、60%までの 【解説】各館の性格にもよるため、一概に傾 範囲でばらつきがあった。また、美術系は 向を論ずることはできないが、加盟館の約 平成 12 ・ 13 年度とも、7館のうち5館が 72%が何らかの子ども向け行事を実施して 20 %以下と低調で、自然史・理工・産業・ いることに注目しておきたい。 技術系は50%までの範囲でばらついていた。 問3 問2 問2で「はい」と答えた館に質問し 貴館では、過去5年間に子どもを対 ます。貴館では、子どもを対象とした行事 象とした事業(展示や行事)を実施しまし を実施する場合、どの年齢層に募集をかけ たか。常設展に子ども向け展示やコーナー ていますか。複数回答可。 がある場合は、括弧内の該当部分に〇印を a.乳児・幼児 −31− b.小学生 MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) c.中学生 (表3)。回答の内容を年度別に集計し、実 d.高校生 e.その他( 施した館数・件数・参加人数をまとめると、 ) 【回答】「はい」と回答した館は59館であり、 次のようになる。 ①常設展・企画展 回答の内訳をあげると、aの乳児・幼児が 8館、bの小学生が56館、cの中学生が37 平成12年度 16館 31件 158,959人 館、dの高校生が7館、eのその他が5館 平成13年度 20館 32件 157,471人 となっている。その他に記入欄を設けたと ②講座・講演会 ころ、親子や園児と回答した館があった。 乳児・幼児 8 56 中学生 37 7 その他 10 平成13年度 17館 7件 4,935人 59件 17,841人 平成12年度 37館 139件 91,861人 平成13年度 48館 249件 114,199人 ④見学会・観察会 5 0 9館 ③工作・実験・体験 小学生 高校生 平成12年度 20 30 40 50 60 館 図2 子ども向け行事で募集をかける年齢層 回答:59館 平成12年度 13館 72件 1,457人 平成13年度 13館 56件 6,357人 ⑤上映会・紙芝居・コンサート・ショー 平成12年度 3館 10件 17,013人 【解説】集計結果を見ると(図2)、圧倒的 平成13年度 5館 16件 29,068人 に小学生と中学生が多いことがわかる。小 ⑥子ども相談室 学校低学年までの場合、行事に直接参加し 平成12年度 2館 2件 182人 なくとも、保護者または父母が同伴するこ 平成13年度 6館 19件 837人 とがあることから、結果的に親子となるケ ⑦地域まつり・フェスティバル ースもあろうが、当初から親子で募集をか 平成12年度 6館 12件 53,992人 けた事例もあった。回答の組み合わせでは、 平成13年度 7館 15件 58,113人 小・中学生という組み合わせが26館と最も 表3 過去2年間の子ども向け行事実施件数(1) 多く、次いで乳児から中学生という組み合 (設置者別・複数回答) わせが4館、乳児から高校生という組み合 平成12年度 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ 小計 国 立( 1 館 ) 1 1 1 0 0 1 0 4 県 立( 1 2 館 ) 3 3 10 6 1 1 2 26 わせが3館となっている。 問4 問2で「はい」と答えた館に質問し 市 町 村 立( 2 4 館 ) 9 2 20 6 1 0 3 41 ます。貴館が過去2年間(平成12・13年度) 財 団 法 人( 3 館 ) 1 1 3 0 0 0 0 5 に実施した子どもを対象とする企画展やそ 私 立( 3 館 ) 2 2 3 1 1 0 1 10 小 計( 4 3 館 ) 16 9 37 13 3 2 6 86 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ 小計 の他の行事の名称・実施日・参加人数を記 平成13年度 入してください。回数が多い場合は、本紙 裏面の余白または別紙をご用意の上、回答 願います。 【回答】平成12年度分は43館、13年度分は56 館から回答があり、合わせて計57館から回 答があったが、単年度のみ回答があった館 があり、57 館を下回った数字になっている −32− 国 立( 1 館 ) 1 1 1 0 1 1 0 5 県 立( 1 2 館 ) 3 3 10 4 1 2 2 25 市 町 村 立( 3 3 館 ) 12 8 29 6 2 3 3 63 財 団 法 人( 3 館 ) 2 1 3 0 0 0 0 6 私 立( 7 館 ) 2 4 5 3 1 0 2 17 小 計( 5 6 館 ) 20 17 48 13 5 6 7 116 MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 表4 過去2年間の子ども向け行事実施件数(2) るが、90 %近くの館が1〜 13 人であった。 (分野別・複数回答) 平均11.1人である。美術系は2〜18人で平均 8.4人であり、自然史・理工・産業・技術系 平成12年度 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ 小計 考古・歴史・民俗系(29館) 9 5 25 8 1 2 4 54 美 術 系( 6 館 ) 4 0 5 1 0 0 0 10 自然史・理工・産業・技術系(8館) 3 4 7 4 2 0 2 22 内訳を記入する欄も設けたが、集計結果が 計( 4 3 館 ) 16 9 37 13 3 2 6 86 複雑になるため紹介を差し控えた。 小 は6〜195人で平均42.6人であるが、1館を 除き6〜48人であった。回答では、職員の また、担当者の集計は、①常勤職員のみ 平成13年度 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ 小計 の44館、②常勤職員とそれ以外の人員の9 考古・歴史・民俗系(37館) 12 8 33 7 3 5 4 72 館、常勤職員以外の3館に分類し、設置者 美 術 系( 1 1 館 ) 5 4 8 0 0 0 0 17 自然史・理工・産業・技術系(8館) 3 5 7 6 2 1 3 27 計( 5 6 館 ) 20 17 48 13 5 6 7 116 小 別・分野別の内訳をまとめてみた。 ①常勤職員のみが担当者の館 44館 (設置者別;県立10館79人、市町村立27館 また、子ども向け行事の実施件数を博物 69 人、財団法人2館3人、私立5館 96 館の設置者別と分野別で集計したので、合 人/分野別;考古・歴史・民俗系32館124 わせて紹介しておきたい。57館の設置者別 人、美術系6館24人、自然史・理工・産 の内訳は、国立1館/県立12館/市町村立 業・技術系6館99人) 34 館/財団法人3館/私立7館、分野別の 館長以下の職員全員が担当者という事例 内訳は考古・歴史・民俗系38館/美術系11 から担当者が1人という事例までがあり、 館/自然史・理工・産業技術系8館である。 館による担当者数のばらつきが大きかった。 【解説】各館が実施した過去2年間の子ども ②常勤職員とそれ以外の人員が担当者で 向け行事は、極めて多様な内容であったが、 ある館 9館 (設置者別;国立1館59人、県立2館36人、 おおむね①〜⑦に集約することができた。 市町村立3館 33 人、財団法人2館8人、 貴館の職員構成と子どもを対象とし 私立1館20名/分野別;考古・歴史・民 た企画展やその他の行事を実施する際の担 俗系4館 85 人、美術系3館 37 人、自然 当者の職名・人数を記入してください。 史・理工・産業・技術系2館34人) 問5 職員総数 名(内訳: 常勤職員とそれ以外の人員の比率は、設 ) 置者別で見ると、国立1館が56:3、県立 担当者の職名・人数 【回答】56館から回答があった。職員数は、 2館が3:3と 21 :9、市町村立3館が 常勤とそれ以外を含んだ人数で国立1館102 8:4・3:5・1:12、財団法人2館が 人、県立12館が6〜68人で平均20.7人、市 ともに2:2、私立1館が2:18となって 町村立33館が1〜17人で平均6.1人、財団法 いる。 ③常勤職員以外が担当者の館 人4館が2〜18人で平均9.8人であった。私 3館 立6館は2〜195人で平均42.7人、1館を除 (設置者別;市町村立3館6人/分野別; き2〜26人以内であった。職員総数を分野 考古・歴史・民俗系2館5人、美術系1 別で集計してみると、考古・歴史・民俗系 館1人) 38 館 421 人、美術系 10 館 84 人、自然史・理 常勤職員以外の人員には、非常勤職員・ 工・産業・技術系8館341人となる。考古・ 臨時職員・嘱託・展示専門員・展示補助 歴史・民俗系は、1〜102人とばらつきがあ 員・関連会社職員・ガイドスタッフ・ボラ −33− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) ンティアなどの名前があがっている。 「実施の予定がある」と回答した館が9館 【解説】①の場合、設置者別の担当者数の平 (県立2館/市町村立4館/財団法人1館/ 均値を算出してみると、県立7.9人/市町村 私立2館)、「実施していない」と回答した 立2.6人/財団法人1.5人/私立19.2人となっ 館が33館(県立5館/市町村立19館/財団 ており、担当者数が公立と私立の博物館で 法人1館/私立8館)、「実施の予定はない」 大きく異なり、同じ公立の博物館でも県立 と回答した館が11館(県立1館/市町村立 と市町村立で大きく異なることがわかった。 6館/財団法人1館/私立3館)あった また、分野別では、考古・歴史・民俗系3.9 (表5)。以下、「実施した」館と「実施の予 人/美術系4.0人/自然史・理工・産業・技 定がある」館の実施理由を箇条書きでまと 術系16.5人となっており、自然史・理工・産 めておく。なお、「実施した」と「実施の予 業・技術系が突出していることがわかる。 定がある」を重複回答した館が4館(県 ②の場合、絶対数が9館とやや少ないが、 立 ・ 市 町 村 立 ・ 財 団 法 人 ・ 私 立 各 1 館 )、 設置者別の平均値を算出してみると、①と 「実施していない」と「実施の予定はない」 比較して県立が18.0人と2倍以上、市町村立 を重複回答した館が7館(市町村立4館・ が11.0人と4倍以上の人員がいることがわか 私立3館)あった。 った(少数のため国立・私立の博物館を除 <実施した館の実施理由> く)。 a.独自の判断 15館 (設置者別;国立1館/県立5館/市町村 問6 貴館では、本年4月から7月までに 立7館/財団法人2館、分野別;考古・ 学校週5日制に関係して、子どもを対象と 歴史・民俗系 11 館/美術系1館/自然 した新規の主催行事を実施しましたか。あ 史・理工・産業・技術系3館) るいは来年3月までに実施の予定がありま b.学校の要請 4館 すか。また、実施した(実施の予定がある) (設置者別;市町村立2館/私立2館、分 場合、それは貴館の独自の判断ですか、そ 野別;考古・歴史・民俗系2館/美術系 れとも学校や教育委員会などからの要請に 1館/自然史・理工・産業・技術系1館) 基づいたものですか。下記の4項目のうち、 c.教育委員会の要請 該当部分に〇印を記入願います。 (設置者別;市町村立5館/私立1館、分 実施した a.独自の判断 野別;考古・歴史・民俗系5館/自然 b.学校の要請 史・理工・産業・技術系1館) c.教育委員会の要請 d.その他( *a・b・cとb・cの複数回答が2件 ) あった。 実施の予定がある a.独自の判断 <実施の予定がある館の実施理由> b.学校の要請 a.独自の判断 c.教育委員会の要請 d.その他( 6館 6館 (設置者別;県立2館/市町村立2館/財 ) 団法人1館/私立1館、分野別;考古・ 実施していない 歴史・民俗系4館/自然史・理工・産 実施の予定はない 業・技術系1館) 【回答】新規の主催行事を「実施した」と回 c.教育委員会の要請 答した館が22館(国立1館/県立5館/市 1館 (設置者別;市町村立1館、分野別;考 町 村 立 1 2 館/ 財 団 法 人 2 館 / 私 立 2館)、 −34− 古・歴史・民俗系1館) MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 表5 学校週5日制にともなう新規の子ども ありましたか。なお、正職員以外の臨時職 向け行事実施状況(1)設置者別 員を新たに雇用したり、ボランティア・友 実施した 予定がある していない 予定はない の会の方々が対応した場合は、下記の項目 小 計 国 立( 1 館 ) 1 0 0 0 1 県 立( 1 2 館 ) 5 2 5 1 13 市 町 村 立( 3 6 館 ) 12 4 19 6 41 財 団 法 人( 6 館 ) 2 1 1 1 5 私 立( 1 0 館 ) 2 2 8 3 15 小 計( 6 5 館 ) 22 9 33 11 75 について有無や数字を記入してください。 a.正職員の増員(有・無) 増員人数 名 b.予算的措置(有・無) 金額 円 c.臨時職員の雇用(有・無) 表6 学校週5日制にともなう新規の子ども d.ボランティアが対応(有・無) 向け行事実施状況(2)分野別 e.友の会が対応(有・無) 実施した 予定がある していない 予定はない 小 計 【回答】新規の主催行事を実施した22館から 16 6 22 5 49 回答があった。a〜eまでの回答をまとめ 系( 1 3 館 ) 2 1 8 3 14 ると、次のようになる。 自然史・理工・産業・技術系(9館) 4 2 3 3 12 22 9 33 11 75 考古・歴史・民俗系(43館) 美 術 小 計( 6 5 館 ) a.正職員の増員 22館から「無」の回答があり、「有」の 回答は1館もなかった。したがって、正 表7 学校週5日制にともなう新規の子ども向け 職員の増員が皆無であったことがわかる。 行事実施の理由(設置者別・複数回答) b.予算的措置 独自の判断 学校の要請 教育委員会の要請 小 計 20館から「無」の回答があり、「有」の 国 立( 1 館 ) 1 0 0 1 県 立( 5 館 ) 5 0 0 5 回答が2館からあった。予算的措置が 市 町 村 立( 1 2 館 ) 7 2 5 14 あった2館(国立1館・県立1館)のう 財 団 法 人( 2 館 ) 2 0 0 2 ち、1館(県立館)から具体的な金額の 私 立( 2 館 ) 0 2 1 3 小 計( 2 2 館 ) 15 4 6 25 回答があり、51 万円という金額が提示さ れている。 c.臨時職員の雇用 表8 学校週5日制にともなう新規の子ども向け 22館から「無」の回答があり、「有」の 行事実施の理由(分野別・複数回答) 回答は1館もなかった。職員の増員と同 独自の判断 学校の要請 教育委員会の要請 考古・歴史・民俗系(16館) 小 計 様に、厳しい現状がわかる結果となった。 11 2 5 18 系( 2 館 ) 1 1 0 2 自然史・理工・産業・技術系(4館) 3 1 1 5 17館から「無」の回答があり、「有」の 15 4 6 25 回答が5館(設置者別;市町村立3館/ 美 術 小 計( 2 2 館 ) d.ボランティアが対応 財団法人1館/私立1館、分野別;考 【解説】学校の週5日制に関係して、新規行 古・歴史・民俗系3館/美術系1館/自 事を実施した館は22館あり、7月末現在で 然史・理工・産業・技術系1館)から 加盟館の約27%に達している。 あった。複合的な生涯学習のあり方とし て注目しておきたい。 問7 問6で「実施した(実施の予定があ e.友の会が対応 る)」と答えた館に質問します。その際に行 21館から「無」の回答があり、「有」の 事を担当する正職員の増員や予算的措置は 回答が3館(設置者別;市町村立3館、 −35− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 分野別;考古・歴史・民俗系2館/自然 館、4回が3館、7回と 12 回が各2館、 史・理工・産業・技術系1館)からあっ 1回・6回・9回・20回・75回・83回・ た。ボランティアの場合と同様、複合的 97回が各1館と続く。 な生涯学習のあり方として注目しておき b.学芸員による展示解説 たい。 23 館から回答があった(回数の集計が 【解説】学校週5日制の導入に際して、正職 ないものを含む)。実施回数は、3回が5 員の増員や臨時職員の雇用は皆無であり、 館と最も多く、2回が4館、1回と6回 ボランティアが対応すると回答した館が5 が2館、9回・11回・19回・35回が各1 館、友の会が対応すると回答した館が3館 館と続く。 あった。ボランティア・友の会とも回答は c.体験学習 少数であったが、両者が設置者別で市町村 20 館から回答があった(回数の集計が 立、分野別で考古・歴史・民俗系に偏る傾 ないものを含む)。実施回数は、1回と2 向があった。予算的措置があった館は僅か 回が各3館、3回・7回・20回・23回が に2館であり、人員的予算的に厳しい現状 各2回、6回・9回・12回・14回・17回 が浮き彫りになったといえよう。 が各1回と続く。 d.ボランティア 問8 貴館では、本年4月から7月までに 2館から回答があった。実施回数は、 小・中学校の総合学習(「総合的な学習の時 2回と12回であった。 間」を利用した活動)による利用がありま e.学芸員による講演 したか。利用があった場合は、その内容を 7館から回答があった。実施回数は、 把握できる範囲で下記から選び、回数を記 3回が3館、1回が2館、2回と12回が 入してください。回数不明の場合は、該当 1館であった。 部分に〇印のみ記入願います。複数回答可。 f.質問の受付 は い 37 館から回答があった(回数の集計が a.展示の見学(実施 回) ないものを含む)。実施回数は、1回と2 b.学芸員による展示解説(実施 c.体験学習(実施 回が各5館、3回が6館、5回が3館、 回) d.ボランティア(実施 10回が2館、8回・12回・20回・21回が 回) e.学芸員による講演(実施 f.質問の受付(実施 g.その他( 回) 各1館となっている。 回) g.その他 回) 5館から回答があったが、具体的な内 容には触れられていない。 ) 【解説】集計結果では、展示の見学が43館と いいえ 【回答】「はい」の回答が52館、「いいえ」の 43 展示の見学 回答が8館からあった。「はい」と回答した 37 質問の受付 館では、a〜gまでのすべてに該当する利 23 学芸員による展示解説 用があった。詳細は次の通りである。 体験学習 20 学芸員による講演 a.展示の見学 7 ボランティア 43 館から回答があった(回数の集計が 2 0 ないものを含む)。実施回数は、2回が6 館と最も多く、3回・5回・11回が各4 −36− 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 館 図3 総合学習にともなう博物館の利用(複数回答) 回答:52館 MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) 最も多く、質問の受付37館、学芸員による ⑦学校側の意図がわかりにくい 展示解説23館、体験学習20館、学芸員によ ⑧学芸業務を体験してほしいが、うまく る講演7館、ボランティア2館と続いてお プログラムを組めない り、総合学習による博物館利用の傾向をあ 1件 1件 ⑨本人の希望に添わず、学校側の割り振 る程度知ることができる。ただし、小・中 りで来た子どもへの対応に困る 1件 学校の総合学習については、学校側からの <受け入れていない館の理由> 意思表示がない場合、博物館として把握し ①学校や子どもたちからの要望がない 4件 にくいことが多く、今回のアンケート結果 ②受け入れ体制が整っていない 3件 と若干の開きがあることも予想される。 ③人員的・時間的余裕がない 2件 ④職務内容が職場体験になじまない 2件 問9 貴館では、子どもたちを対象とした 【解説】現在、受け入れている館も、受け入 職場体験を受け入れていますか。受け入れ れていない館も、場所・人員・時間などの ている場合は、子どもたちの年齢層と受け 問題が目立っており、受け入れ体制の整備 入れ上の問題点を記入してください。また、 が課題となっている。また、受け入れてい 受け入れていない館は、その理由を記入し る館があげた①④⑦⑨の問題、受け入れて てください。 いない館があげた④の問題を解決するため 受け入れている には、学校側との情報・意見交換が必須に a.年齢層 なってくるのではなかろうか。 (乳児・幼児・小学生・中学生・高校生) b.問題点 ( 小学生 ) 中学生 受け入れていない a.受け入れていない理由 ( 3 37 高校生 ) 4 0 【回答】「受け入れている」と回答した館が 5 10 15 20 25 30 35 40 館 図4 子どもを対象とした職場体験の受け入れ(複数回答) 回答:38館 38館、「受け入れていない」と回答した館が 21 館あった。受け入れている館の場合、年 齢層を見てみると小学生が3館、中学生が 問10 問2で「いいえ」と答えた館に質問 37 館、高校生が4館であり、圧倒的に中学 します。今後、子どもを対象とした企画展 生の受け入れが多いことがわかった(図4) 。 やその他の行事を実施する予定はあります 以下、受け入れている館が抱える問題点と か。 は 受け入れていない館の理由について、箇条 い いいえ 【回答】問2で「いいえ」と答えた23館のう 書きで集計を紹介しておきたい。 ち、19館から回答があった。うち16館は実 <受け入れている館が抱える問題点> ①日時の調整が難しい 5件 施予定があると回答し、3館は実施予定が ②受け入れ人数が制限される 5件 ないと回答している。 ③館の運営上に支障が出ている 4件 【解説】博物館の性格にもよるが、子どもの ④適切な仕事が見つからない 3件 受け入れが可能な館については、受け入れ ⑤室を確保することができない 1件 る方向で前向きに検討されているようであ ⑥天候に左右されやすい 1件 る。今後、子ども向け事業を実施する館は、 −37− MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) わかった。子どもたちによる博物館利用は、 さらに増加することになろう。 問3の「その他」の回答にあるように、単 以上、アンケートの集計結果を簡単にま に子どもたちだけでなく、親子という客層 とめ、若干の解説を加えてみた。集計の結 の増加が期待できるが、各館とも受け入れ 果、問3の回答でわかるように、加盟各館 体制の整備が急務となろう。各館の設置者 の子ども向け事業は乳児・幼児から高校生 や分野が多岐にわたることから、必ずしも までの幅広い年齢層で実施され、小・中学 適切な設問を用意できなかったが、県内博 生を対象とした事業が主体を占めることが 物館の子ども向け事業の現状を知る上で、 わかった。子どもによる博物館利用は、平 多少なりとも参考になれば幸いである。 成14年度からの公立学校の週5日制の導入 最後になったが、アンケートの原案作成 と新学習指導要領の施行(小・中学校14年 と集計にあたり千葉県立中央博物館林浩二 度〜/高校15年度〜)により、さらに増加 氏、集計にあたり市立市川考古博物館石井 することが予想されるが、ほとんどの館で 建・田代武・林京子の三氏にご協力いただ は事業の実施に際して人員と予算が据え置 いた。明記して感謝の意を表したい。 かれ、厳しい対応を強いられていることも ご存知ですか? −『MUSEUMちば』は、ホームページでもご覧になれます− ●『MUSEUMちば』第32号 「地域社会と博物館−博物館友の会」 *アンケート調査結果「千葉県内博 物館の友の会活動」収録 ●『MUSEUMちば』第33号 「地域社会と博物館(2)−博物館ボ ランティア」 千葉県博物館協会のホームページ http://www.chiba-web.com/chibahaku/ −38− 千葉県博物館協会加盟館園一覧(平成14年度版) 館 園 名 我孫子市鳥の博物館 夷隅町郷土資料館 市原市水と彫刻の丘 稲毛民間航空記念館 犬吠埼マリンパーク 伊能忠敬記念館 印旛村歴史民俗資料館 浦安市郷土博物館 大原幽学記念館 御宿町歴史民俗資料館 海岸美術館 かつうら民俗資料館 香取神宮宝物館 鹿野山神野寺宝物拝観所 鎌ケ谷市郷土資料館 鴨川シ−ワ−ルド 鴨川市郷土資料館 鴨川市民ギャラリー 川村記念美術館 君津市立久留里城址資料館 木更津市立金鈴塚遺物保存館 航空科学博物館 国立歴史民俗博物館 佐倉市立美術館 芝山町立芝山古墳・はにわ博物館 歴史の里・芝山ミューゼアム/芝山はにわ博物館 下総史料館 下総町立歴史民俗資料館 白浜海洋美術館 市立市川考古博物館 市立市川自然博物館 市立市川歴史博物館 白井市郷土資料館 宗吾霊宝堂・宗吾御一代記館 袖ケ浦市郷土博物館 館山市立博物館 千葉県南房パラダイス 千葉県酪農のさと 千葉県立安房博物館 千葉県立大利根博物館 千葉県立上総博物館 千葉県立現代産業科学館 千葉県立関宿城博物館 千葉県立総南博物館 千葉県立中央博物館 郵便番号 住 所 270-1145 我孫子市高野山234-3 298-0124 夷隅郡夷隅町弥正93-1 290-0554 市原市不入75-1 261-0003 千葉市美浜区高浜7-2-2 288-0012 銚子市犬吠埼9575-1 287-0003 佐原市佐原イ-1722−1 270-1616 印旛郡印旛村岩戸1742 279-0004 浦安市猫実1-2-7 289-0502 香取郡干潟町長部345-2 299-5102 夷隅郡御宿町久保2200 295-0014 安房郡千倉町川戸柏尾550 299-5272 勝浦市貝掛391 287-0017 佐原市香取1697 292-1155 君津市鹿野山324-1 273-0124 鎌ケ谷市中央1-8-31 296-0041 鴨川市東町1464-18 296-0001 鴨川市横渚1401-6 296-0001 鴨川市横渚893 285-8505 佐倉市坂戸631 292-0422 君津市久留里字内山 292-0044 木更津市太田2-16-1 289-1608 山武郡芝山町岩山字久田山111-3 285-8507 佐倉市城内町117 285-0023 佐倉市新町210 289-1619 山武郡芝山町芝山438-1 289-1619 山武郡芝山町芝山298 270-2221 松戸市紙敷911-1 289-0108 香取郡下総町高岡1500 295-0102 安房郡白浜町白浜628-1 272-0837 市川市堀之内2-26-1 272-0801 市川市大町284 272-0837 市川市堀之内2-27-1 270-1422 白井市復1148-8 286-0004 成田市宗吾1-558 299-0255 袖ケ浦市下新田1133 294-0036 館山市館山351-2 294-0224 館山市藤原1495 299-2507 安房郡丸山町大井686 294-0036 館山市館山1564-1 287-0816 佐原市佐原ハ-4500 292-0044 木更津市太田2-16-2 272-0015 市川市鬼高1-1-3 270-0201 東 飾郡関宿町三軒家143-4 298-0216 夷隅郡大多喜町大多喜481 260-8682 千葉市中央区青葉町955-2 TEL 04-7185-2212 0470-86-3708 0436-98-1525 043-277-9000 0479-24-0451 0478-54-1118 0476-99-0002 047-305-4300 0479-68-4933 0470-68-4311 0470-44-2611 0470-76-3038 0478-57-3211 0439-37-2351 047-445-1030 0470-92-3061 0470-93-3800 0470-93-2366 043-498-2131 0439-27-3478 0438-22-3676 0479-78-0557 043-486-0123 043-485-7851 0479-77-1828 0479-77-0004 047-392-2466 0476-96-0080 0470-38-4551 047-373-2202 047-339-0477 047-373-6351 047-492-1124 0476-27-3131 0438-63-0811 0470-23-5212 0470-28-1511 0470-46-8181 0470-22-8608 0478-56-0101 0438-23-0011 047-379-2000 04-7196-1400 0470-82-3007 043-265-3111 FAX 04-7185-0639 0470-86-3708 0436-98-1521 043-277-9000 0479-24-0449 0478-54-3649 0476-99-2233 047-305-7744 0479-68-4933 0470-68-7130 0470-44-4439 0478-57-3214 0439-37-2352 047-443-4502 0470-93-3084 0470-93-1101 0470-93-2366 043-498-2139 0439-27-3452 0438-22-3676 0479-78-0560 043-486-4209 043-485-9892 0479-77-2969 0479-77-1393 U R L http://www.bird-mus.abiko.chiba.jp/ http://www.bii.ne.jp/isumi-town/kiyoudosiriyoukan.htm http://www.ichihara-kankou.or.jp/choukoku/index2.html http://www.iria.or.jp/iria1/industry/museums/chiba02/00.html 考 http://www.city.sawara.chiba.jp/kinenkan/ http://www.vill.inba.chiba.jp/ http://kyoiku.city.urayasu.chiba.jp/hakubutukan/ http://www.datas.jp/yugaku/ http://www.town.onjuku.chiba.jp/ http://www.city.kamagaya.chiba.jp/ http://www.kamogawa-seaworld.jp/ http://www.city.kamogawa.chiba.jp/facilities/museum/index.htm http://www.city.kamogawa.chiba.jp/facilities/gallery/index.htm http://www.dic.co.jp/museum http://www.city.kimitsu.chiba.jp http://www.kisarazu.ed.jp/kinrei/index.html http://www.aeromuseum.or.jp/ http://www.rekihaku.ac.jp/ http://www.city.sakura.chiba.jp/index.htm http://www.haniwakan.com/ http://www.evam.ne.jp/niouson/ 0476-96-0080 047-373-6352 047-339-1210 047-373-6352 047-492-8030 0476-27-3135 0438-63-3693 0470-23-5213 0470-28-1520 0470-46-8182 0470-22-8696 0478-56-1456 0438-23-2230 047-379-2221 04-7196-3737 0470-82-4959 043-266-2481 備 http://www.city.ichikawa.chiba.jp/ http://www.city.ichikawa.chiba.jp/nature/ htp://www.city.ichikawa.chiba.jp/ http://www.center.shiroi.chiba.jp/kyoudo/aakyodo2.htm http://www.city.tateyama.chiba.jp/oshirase/tate_haku/ http://www.awa.or.jp/home/nanpara/ http://www.awa.or.jp/home/rakunou-no-sato/ http://www.chiba-muse.or.jp/AWA/ http://www.chiba-muse.or.jp/OTONE/ http://www.chiba-muse.or.jp/KAZUSA/ http://www.chiba-muse.or.jp/SCIENCE/ http://www.chiba-muse.or.jp/SEKIYADO/ http://www.chiba-muse.or.jp/SONAN/ http://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/ MUSEUMちば 34号 2003.3 特集 博物館における子ども向け事業(1) −39− No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 館 園 名 千葉県立美術館 千葉県立房総のむら 千葉県立房総風土記の丘 千葉市美術館 千葉市立加曽利貝塚博物館 千葉市立郷土博物館 長南町郷土資料館 塚本美術館 TEPCO新エネルギ−パ−ク TEPCO地球館 流山市立博物館 成田山書道美術館 成田山霊光館 成田市三里塚御料牧場記念館 成東町立歴史民俗資料館 日本画家 後藤純男 美術館 野田市郷土博物館 野田市立中央小学校教育史料館 菱川師宣記念館 藤崎牧士史料館 ふなばしアンデルセン公園子ども美術館 船橋市郷土資料館 船橋市立飛ノ台史跡公園博物館 福富雷童記念江畑美術館 平成美術館 麻雀博物館 松戸市立博物館 松山庭園美術館 睦沢町立歴史民俗資料館 METAL ART MUSEUM HIKARINOTANI 茂原市立美術館・郷土資料館 八千代市文化伝承館 八千代市立郷土博物館 夢紫美術館 吉澤野球史料保存館 和洋女子大学文化資料館 城西国際大学水田美術館 下総屋画廊(賛助会員) 近藤 正(賛助会員) 郵便番号 住 所 260-0024 千葉市中央区中央港1-10-1 270-1506 印旛郡栄町竜角寺1028 270-1506 印旛郡栄町竜角寺978 260-8733 千葉市中央区中央3-10-8 264-0022 千葉市若葉区桜木町163 260-0856 千葉市中央区亥鼻1-6-1 297-0121 長生郡長南町長南2127-1 285-0024 佐倉市裏新町1-4 293-0011 富津市新富25 260-0025 千葉市中央区問屋町1-35 270-0176 流山市加1-1225-6 286-0023 成田市成田640 286-0021 成田市土屋238 286-0116 成田市三里塚御料1-34 289-1324 山武郡成東町殿台392 288-0012 銚子市犬吠埼9600-1 278-0037 野田市野田370 278-0037 野田市野田611 299-1908 安房郡鋸南町吉浜516 286-0203 富里市久能583 274-0054 船橋市金堀町525 274-0077 船橋市薬円台4-25-19 273-0021 船橋市海神4-27-2 289-2612 海上郡海上町蛇園字出清水2516 274-0824 船橋市前原東1-1-1 299-4502 夷隅郡岬町中原1-2 270-2252 松戸市千駄堀671 289-2152 八日市場市松山630 299-4413 長生郡睦沢町上之郷1654-1 270-1603 印旛郡印旛村吉高2465 297-0029 茂原市高師1345-1 276-0043 八千代市萱田460-3 276-0028 八千代市村上1170-2 289-0313 香取郡小見川町小見川581 273-0035 船橋市本中山1-6-10 272-8533 市川市国府台2-3-1 283-8555 東金市求名1 260-0027 千葉市中央区新田町2-19 山口ビル5F 283-0812 東金市福俵470 TEL 043-242-8311 0476-95-3333 0476-95-3126 043-221-2311 043-231-0129 043ー222-8231 0475-46-1194 043-486-7097 0439-87-9191 043-238-8711 04-7159-3434 0476-24-0774 0476-22-0234 0476-35-0442 0475-82-2842 0479-25-5288 04-7124-6851 04-7122-2116 0470-55-4061 0476-92-1258 047-457-6661 047-465-9680 047-495-1325 0479-55-2918 047-473-1210 0470-87-8886 047-384-8181 0479-79-0091 0475-44-0290 0476-98-3151 0475-26-2131 047-458-1700 047-484-9011 0478-83-1089 047-334-3675 047-371-2494 0475-53-2562 043-246-8581 0475-55-0543 FAX 043-241-7880 0476-95-3330 0476-95-3140 043-221-2316 043-231-4986 043-225-7106 0475-46-1194 043-222-7021 0439-87-9190 043-238-8716 04-7159-9998 0476-23-2218 0476-22-0242 0476-35-0442 0475-82-2842 0479-25-5280 04-7124-6866 04-7122-2117 0470-55-1585 U R L http://www.chiba-muse.or.jp/ART/ http://www.chiba-muse.or.jp/MURA/ http://www.chiba-muse.or.jp/OKA/ 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