i U l E D' :q) l L I : l IC I J l TL ; ! !i )j ) 'f > Effects of hyperoxic gas inhalatiOn during recovery al ler exbaustive anaerobic exerciSe on blood lactate and Performance ; i ! ,* [ f ir f;4 ;** J : Y* f*** t f :‑ **** * ***LLl ****** 'l': ilE'̲. ' ; r̲̲̲ J : Abstract The purpose of this study was to determine whether hyperoxic gas inhalation following anaerobic exercise hastens recovery or enhances subsequent performance. Eight male and four female university students performed two bouts of bench press exercise to exhaustion at 70% of IRM (performance test: PT‑ I and 2). Interval of two exercises was separated by a 30 min recovery period during which the subjects breathed either room air (NOX) or hyperoxic gas (60% 02 in nitrogen: HOX) for 20 min ( I ‑21 min of recovery time). The entire procedure was repeated on eaeh subject using the opposite gas on another day. The work load in PT was 41.3:1: 10.9 kg (70,2% of IRM). The numbers of repetition of bench press in NOX and HOX conditions were 15.0 4.7 and 14.5 4.4 repetitions in PT‑1, and 13.7 4.1 and 13.0 4.0 repetitions in PT‑2 (NOX, ‑8.7%: HOX, ‑10.39; o), there were no significant differences between both conditions, respectively. The changes of blood lactate concentration and its peak values (NOX, 4.00 1.08 mM: HOX, 3.90 0.88 mM) during recovery periods were not significantly different between NOX and HOX conditions. In conclusion, these data indicate that hyperoxic gas inhalation offers no advantages on recovery from exhaustive anaerobic exercise or on *FUJISE, Takehiko [,I 4 **HASHIMOTO, Mari [,l :4 1 ***NAGASAKI, Koji [ ; ! (: < ****TAKAHASHI, Tsutomu [ f *****IWAGAKI, Suketsune [ : ******YAMAMURA, Masaichi [ :i : 'I /; l =F f" i lz :/ <+) : ‑ : ] ‑] = I l : = J ' "; = ] 1 l = I f" ¥: iA*p = = ] f" ‑ 1 43‑ I l subsequentexercisepe㎡o㎜anqe. Keywords:hyperoxia,benchpress,b1ood1actate,recovery,perfomふce I.緒言 およそ1分以内に終了するような短時問の最大運動では時間の経過とともに筋出力が低下し ていき、同時に筋中で;辛乳酸の産生が急速に進行する。筋持冬力に及ぼす乳酸の影響として は、乳酸蓄積とそれに伴うH+の上昇が筋細胞内のアクチンフィラメントの活性化に必要な Ca2+とトロポニンとの結合を妨げ、これにより連結橋(cross bridge)の形成が抑制される15・18) というものである。しかし、このような運動中に高酸素を吸入させると筋出力低下の割合が 小さくなることが報告されており{5)、この一要因として筋収縮を阻害するH+の蓄積が筋へ供 給される酸素により抑制されたものと考えられている。 丁方、こ一のような激運動終了後の回復埠程における高酸素吸入?効果について、過去には 血中乳酸の消長などに効果的であったとする報告がなされている13・1帆21)。この効果について は、運動後の過剰酸素消費量(EPOC:exdesspost−exercise02consumption)、いわゆる酸素負債 量はその大部分が乳酸の酸化のために用いられ10)、激運動後に高酸素を吸入すると増加した 酸素の需要(酸素負債)をより速やかに満たすことができ、乳酸除去にも効果的であるとい. う可能性も考えられている14・19〕。しかし、近年では回復期の心拍数や血中乳酸値あるいはそ の後の運動テストにおける作業成績については、高酸素を吸入させても何ら効果のなかった との報告が多い17・2α23)。 競技スポーツにおいては、予選・準決勝・決勝、あるいはトーナメント形式の試合など1 日のうちに短い休息をはさんで数回の競技を行わなければならないことがある。このような 場合に手ま、休息中にいかに速く疲労回復させるかということが重要になる。一般に激導動後 の疲労回復に及ぼす処方に関する研究は数多く報告されており、例えば軽運動、ストレッチ ング、マッサージ、ホットパックなどの処方による作業能力や血中乳酸などの回復に着目し ている!2・25)。一方、高酸素も疲労回復のための一処方として競技スポーツの現場で使用され ることもあるが24)、前述したようにその効果については必ずしも結論が得られているとはい えないであろう。 今日までに激運動後の疲労回復に及ぼす高酸素吸入の効果についての報告では、自転車工 一144一 新潟国際情報大学情報文化学部紀要 ルゴメーターペダリング13・舳〕、あるいはトレッドミルランニング1川)など、ン・ずれも全身を 用いた運動方法によるものであり、身体の局所を用いた運動による報告はなされていない。 そこで本実験では、短時間に疲労困億に達するような激運動として比較的局所を用いるウエ イトトレーニング運動を行わせて、運動終了後の回復期における高酸素吸入が血中乳酸値及 びその後の運動能力に対して効果があるか否かについて検討した。 皿.方法 1一被験者 被験者は、健康な男性8名及び女性4名の合計12名であり、いずれもウエイトトレーニング 運動の経験者であった。彼らの身体的特徴は表1に示した。表中の体脂肪率は、上腕背部及び 肩甲骨下部の皮下脂肪厚を測定することによって算出した3〕。なお、実験に先卒って、被験者 に実験の目的、方法、、及び安全性について十分に説明して・実験参加の同意を得た。 Table1.Physical characteristics of the Age Height A B C D E F G ト1 23 23 24 167.7 171.4 21 182.2 171.0 166.5 178.2 183.8 Mean 21.6 173.6 SD 1.8 (yr) (cm) subjects、 Weight (kg) Fat (%) LBM (kg) Male(n=8) 19 19 22 22 168.1 63,1 66,3 63,2 68,2 80,9 63,8 73,0 10,7 13,5 56.3 9,8 57,3 54,3 60,8 65,0 57,5 19,1 59,1 14,1 10,9 19.6 69−1 15.8 58.2 68,5 14,2 58.6 6.8 611 3.8 3.2 163.3 169.9 63.6 26,4 46,8 68,2 22,2 53,1 15518 54,2 25,0 40,7 154.1 56−0 29,9 39.3 160.8 60,5 25,9 44.9 Female(n=4) 1 J K L Mean 26 19 19 21 21.3 SD 3.3 7.3 6.6 3−2 6.3 Total(n昌。12) Mean SD LBM,lean 21.5 乞.3 body 169,3 65,8 18,1 9.2 7.1 6.7 mass、 一145i 54.0 7.9 2.運動の種目及び条件 本実験における運動種目には、ウエイトトレーニングの三大基本種目の中からベンチプレ スを選択した。ベンチプレスの運動条件は藤瀬らの方法6)にしたがって、グリップ幅は肩幅 よりも拳1つか2つくらい広くするが、左右の人差し指間の距離が81cm以内とした。その動作 はラックからはずしたバーベルを身体(胸部乳頭位)に触れるまで下ろし、身体の反動や胸 上でのバウンドを利用せずに肘がロックするまで挙上するものとした。また、この動作中、 腎部をベンチから浮かさないようにすることを条件としたが、上体の反り(いわゆるブリッ ジ)は認めるものとした。 3.実験手順 1)最大挙上重量の測定 各被験者の最大挙上重量(1RM:one repetition maximum)は、藤瀬ら方法6)にしたがって測 定した。す去わち、測定には上坂製のオリンピックバーベルを用い、任意の重量と回数でウ ォーミングアップを兼ねた軽重量の挙上から徐々に増量していく方式で約5から7セット目に 最大重量がくるようにして行った。このときの最低重量変更単位はO.5kgとした。1RMの判定 は、バーベルの重量を漸増させて行く過程で挙上が不可能になったときの最大重量、あるい はバーベル挙上後に被験者本人が最大であると申告し、その試技を見たパワーリフティング 競技の公認審判の資格を有する測定者が同様に判断した場合の重量を記録として認めた。 2)最大運動テスト まず最大運動テストの前に、安静時の生理的指標を測定するために30分間の仰臥安静を行 わせた。ベンチプレスの最大運動テストは、70%1RMの重量で疲労困億に達するまで運動を 反復させるもので、30分間の回復期(仰臥安静)をはさみ2回(回復期前をテス.ト1、回復期 後をテスト2とする)行わせた。 そして、この最大運動テストは各被験者とも1週問の間隔をおいて、さらにもう1セット行 わせた。つまり、12名の被験者のうち6名は1セット目のテスト時には回復期に空気を(以下 空気条件とする)、2セット目のテスト時には高酸素を吸入した(以下高酸素条件とする)。他 の6名の被験者はこの逆の順序で最大運動テストを行わせた。 一146一 新潟国際情報大学情報文化学部紀要 4.高酸素吸入方法 高酸素条件では、太陽東洋酸素社製の高酸素(60.0%02+40.0%N2)を使用した。高酸素の 吸入方法は、まず、高酸素 をガス圧縮ボンベからビニールチューブを介して蒸留水入りのポ リエチレン製タンクを通すことによって加湿し、200Lのダグラスバッグに貯めた。そして、 この高酸素は蛇管を介して被験者に吸入させた。高酸素吸入はテスト1終了後の回復期、つま り運動終了(疲労困億)後1分から21分までの20分間とした。空気条件では、高酸素を貯めた ダグラスバッグの二方活栓を閉めて空気を呼吸させた。なお、被験者には空気と高酸素のど ちらを吸入しているか知られないように配慮した。 5一測定項目 1)運動能力 最大運動テスト(テスト1及び2)では、ベンチプレス運動を3秒に1回のリズム(メトロノ ームに同調)で疲労困燈に達するまで行わせた。反復回数については、この運動テストを8ミ リビデオで撮影し、このビデオ映像からバーベル挙上時にバーが胸部から肘がロックするま での移動距離を1.0回として少数第1位まで確認することにより求めた。また、運動時間をス トップウォッチで測定し、運動1回あたりの時間を算出した。 2)心拍数 心拍数は30分間の仰臥安静後の5分間(1分毎)、テスト1運動時、回復期30分間(1分毎)、 及びテスト2運動時にわたり、日本光電工業製ベッドサイドモニター(Life Scope8,BSM−7103) を用いて双極胸部誘導法により心電図を記録することにより求めた。 3)酸素摂取量及び二酸化炭素排出量 酸素摂取量(以下寸O。とする)及び二酸化炭素排出量(以下丸o、とする)は、ダグラスバッ グ法により測定した(ヤo。は高酸素条件では測定せず)。すなわち、安静時5分間、運動テスト 1、回復期30分間.(採気時問:5分×6回)、運動テスト2にわたり採気を行い、予め太陽東洋酸 素社製の超高純度N2(99.9999%)及び標準ガス(15.1%02+4.9%C02)あるいは高酸素用標 準ガス(61.8%02+5.2%C02)によって較正したガス分析器(日本電気三栄社製RespinaIH26) を用いて、呼気ガスの酸素及び二酸化炭素濃度を測定した。そしてそれぞれ1分毎の寸o、及び 虻O。を算出した。なお、高酸素条件における回復期の柘、は、ダグラスバッグ法では値が過大 評価される可能性が高いために22)測定しなかった。測定時の実験室の室温は21.5〜23.0℃であ 一147一 り、気圧は753〜772mmHgの範囲内にあっれ 4)血中乳酸値 血中乳酸値は、安静時、テスト1運動終了後1分、4分、7分、20分、30分及びテスト2運動終 了後4分にオートレットにより中指先を穿刺して専用のガラス製キャピラリーチューブ(YSI 1505CAPILLARY DISPENSERS,25μ1)用いて採血し、血中乳酸値をYSI社製血中乳酸測定器 (YSI1500SPORTS)によって分析した。 6.統計処理 各測定値は平均及び標準偏差によって示した。また空気条件及び高酸素条件における各測 定値の比較は一対の標本による平均のt一検定により行った。なお統計的な有意性は危険率5% 水準とした。 皿.結果 1.1RM及び70%1RM Table2.1RM bench press in and70%1RM each 表2には各被験者の1RM及び70%1RM(運動 テストの重量)を示した。それぞれの値は 1RMが58.8±15.1kgであり、70%1RMが41.3± 10.9kg(70.2%1RM)であった。 of the subject. 1RM 70%1RM A B C D E F G H Mean 67−5 62.5 65.0 67.5 80.O 75.O 55.O 67.5 67,5 47,5 45,0 45,0 47,5 57,5 52−5 38,5 47.5 47.6 SD 7−6 5−6 (kg) (kg) Male(n畠8) Female(n;4) 1 55.0 J K L Mean 42.5 31.0 37.5 41,5 37,5 30,0 22,0 25.O 28.6 SD 10.2 6.8 T◎tal(n=12) Mean SD 58.8 15.1 1RM,onerepetition nS,nOt 一148一 significant。 41,3 10.9 maximum; 新潟国際情報大学情報文化学部紀要 2.反復回数 表3には最大運動テストにおけるベンチプレスの反復回数を示した。テスト1の反復回数は 空気条件が15.0士4.7回に対して高酸素条件が14.5±4.4回であり、またテスト2では同様に 13.7±4.1回に対して13.0±4.O回であり、ともに両条件問に有意差は認められなかった。なお、 テスト1に対するテスト2の反復回数の減少量は、空気条件が1.3±1.6回(8.7%)、高酸素条件 が1.5±0.9回(10.3%)であり、両条件ともほぼ同等であった。 Tab1e3.Repetition of the bench press with nOrmoxic and hyperoxic c◎nditions. Nor H Nor H 11,0 14,3 17,5 11−9 11,4 15,3 11,2 14,9 1315 16,5 10,1 11,1 13,1 12−9 15,2 13.9 10,9 12,9 12.0 11,2 14.3 9,5 8,4 14.4 12.1 13.6 12,8 Male(n=8) A B C D E F G H 17,1 12,0 13.4 1617 13,3 11,4 15.5 Mean 13,8 SD 2.4 12.2 2.2 2.2 2.3 Fema1e(n=4) J K L Mean SD 20−2 19,0 19,4 14,4 15,4 14,5 13,2 10,2 11.2 9.0 22,2 20.3 17,2 17.5 17,5 16.2 15,6 4.4 17.1 14,5 14−5 3.5 4.5 3.9 T◎ta1(n812) Mean 15,0 SD Significance ns,not 4.4 13.0 4.1 4.O nS nS PT−1,Performance Nor,Normoxic 13,7 14.5 4.7 Test−1;PT−2,Performance condition;Hyp,Hyperoxic significant. 一149一 Test−2; condition; 」 4 i = ! . F f J) ) . f 1T; h e e ; / 7 l/; )7 R r* 50.1 11.9 y,J・ (3.34 0.13 y・J・/ ]) Ic : ; h2 } =v " L 44.2 8.7 ,,/i' (3'45 0.36 y・J・/ f ) L ; f7Tc 5f :. : ; h l ) . v* L l sf r* cc; A* rF i l 50.0 8.9 y,i・ (3.48 0.20 y,J・/ 44.9 10.2 ,,/J' (3'27 0.16 y・J・/ n) Ic ) ; : 1 '‑'*‑・・・ ; l* ) C : : i Lt >O f*‑. Table 4. The time from beginning of the bench press exercise to al[‑out (A). The time required of per one repetition (B). (B) (A) PT‑1 (sec) male (n 8) PT‑1 (sec/rep) PT 2 (sec/re ) PT‑2 (sec) Nor H Nor H A 36.8 52.6 B 55.7 57.2 C 41 .O 41 .2 D 45.4 42.3 E 53.3 50.9 F 45.3 47.7 G 39.3 41 .1 H 54.2 52.2 Mean 46.4 48.2 SD 7.3 6.1 male (n=8) 34.4 44.3 A 3.35 3.68 49.5 56.3 B 3.26 3.27 34.2 38.0 C 3.42 3.46 44.9 38.9 D 3.39 3.71 48.2 42.5 E 3. 1 9 3.33 49.4 52.6 F 3.41 3.64 30.7 29.8 G 3.45 3.67 45.4 41 .7 H 3.52 3.65 69.3 46.5 40.3 74.4 Mean 3.37 3.55 42.1 43,0 SD 0.1 1 0.1 7 7.7 8,4 Nor H 3.07 3.32 3.39 3.48 3.28 3.41 3.42 3.57 3.1 7 3.29 3.55 4.38 3.23 3.55 3. 1 6 3.45 3.30 3.55 o. 1 7 0.35 Female (n=4) Female (n=4) l J K L Nor H 60.7 49.6 36.9 67.4 Mean 57.6 53.7 SD 1 6.7 1 3.4 Total (n=1 2) 65.2 54.0 1 3.43 3. 1 9 44.5 43.6 J 3.23 3.22 35.0 33.3 K 3.05 3.62 57.3 54.8 L 3.35 3.32 Mean 3.27 3.34 50.5 46.4 SD O. 1 6 0.1 9 1 3.4 1 o. 1 3.36 3.1 6 3.07 3.01 3. 1 3 3.70 3.33 3. 1 3 3.22 3.25 o. 1 5 0.31 Total (n=1 2) Mean 50.1 50.0 SD 1 1 .9 8.9 44.944.2 Mean 3.34 3.48 8.7 1 0.2 SD O. 1 3 0.20 3.27 3.45 O. 1 6 0.36 Si nificance ns Si nificance ns ns ns PT‑1 , Performance Test‑1 ; PT‑2, Performance Test‑2; Nor, Normoxic condition; Hyp, Hyperoxic condition; ns, not significant. ‑ 1 50‑ 新潟国際情報大学情報文化学部紀要 3.心拍数 図1には空気条件及び高酸素条件における心拍数の変動を示した。運動中及び回復期の心拍 数は、いずれの時点においても空気条件及び高酸素条件間に有意差は認められなかった。 …1口舳咄Nomoxia 140 ㎜鈴㎜Hyperoxia 120 1≡ ε100 9 雨 { 葛80 畠 60 40 …t↑1・・ PT−1 Fig1.Changes in heart 1・ Recovery rate during 1・ ・・ ・・ ・… 4 period(min.) rest,exercise,and hyper◎xia. 一151一 recovery period with normoxia and 4.〉o、及び〉co、 図2には空気条件のウo。の変動を、図3には空気条件及び高酸素条件における叱o、の変動を示 した。高酸素条件のヤO、は、ダグラスバッグ法では過大評価される22)ために測定しなかった。 運動時及び回復期の寸CO、は、いずれの時点においても空気条件及び高酸素条件間に有意差は 認められなかった。 榊ひ珊No㎜oxia 800 700 600 言500 !㌧ 蔓 亘400 δ >300 / / 、ヘヘ 8 d 仙㌔叩∴_ト_卜_ノ 200 100 麗 …t↑1・5 PT−1 Fig2.Change 1・ Recovery in〉o2during rest,exercise,and 1・ ・・ ・… PT−2 period(min.) rec◎very period in norm◎xic 1000 conditi◎n. …α拙冊No㎜oxia 900 日阯鍛㎜Hyperoxia 良 800 羨 亀 700 量600 ● 亘500 δ400 冥300 200 100 0 ぷ 遂 鷲 ミ 勇 む___ …t↑1・・ PT−1 1=ig3.Changes in〉co2during 1・ Recovery 1・ … 5 ・・肌・ period(min.) rest,exercise,and conditions. 一152一 recovery period in normoxic and hyperoxic 新潟国際情報大学情報文化学部紀要 5。血中乳酸偉 図4には空気条件及び高酸素条 Table5. Peak value of blood lactate COnCentratiOn. 件の血中乳酸値の変動を示した。 Nor 回復期の血中乳酸値は、いずれの Hyp (mM) (mM) 3,56 5,57 3,19 5,33 4,84 4,43 4,51 Ma−e(n「8) 時点においても空気条件及び高酸 A B C D E F G H Mean 3.07 4,09 5,10 4.04 3197 5,18 4,59 2,93 3.24 4.20 SD 1−10 0.81 素条件問に有意差は認められなか った。また、表5は空気条件及び 高酸素条件における最高血中乳酸 値を示した。最高血中乳酸値は空 気条件で4.00±1.08mMであったの 2,71 Fema1e(n=4) J 4.36 3,58 2,89 1 に対して高酸素条件では3.90± 0.88mMであり、両条件間に有意 差は認められなかった。 5.16 K− 2.50 2,51 L 3.30 Mean 3−83 4.24 3.31 SD 1,17 0.76 Total(n=12) Mean SD 4.OO 1−08 3,90 0.88 N◎r,Normoxi6condition;Hyp,Hyperoxic condition;ns,not significant …ひ帥洲No㎜oxia 4.5 崎㎜Hyperoxia 4.0 毫 言 岩 も 雪 3.5 3.0 駄曲駄 2.5 oo 2.0 岡 1.5 ○ 1.0 0.5 Rest 1 4 7 20 Recovery Fig4.Chang6s hyperoxic in blood lactate during 30 PT−2 normoxic and period(min。) rest,exercise,and conditions、 一153i recovery period in 1V.考察 本実験における被験者の1RMは男性が67.5±7.6kg、女性が4115±1o.2kgであった。これらの 筋カレベルは、一般青年男女を対象とした筋力評価表6)によれば男性被験者が5段階中4(や や優れている)であり、女性被験者が5(優れている)と評価された。このことは彼らが過去 にウエイトトレーニング運動の経験があり、また現在トレーニングを継続している被験者が5 名いたことによるものと思われる。 私たちは前報9)で70%1RMの重量で疲労困億までのベンチプレス運動中に高酸素を吸入さ せると、その反復回数が有意に増加することを報告した。このときの空気条件での反復回数 は14.2±4.5回であり、最高血中乳酸値は3.30±0.75mMであった。本実験では、テスト1での 反復回数が空気条件で15.O±4.7回、高酸素条件(運動中は空気呼吸)で14.5±414回であり、 また最高血中乳酸値は空気条件で4.00±1.08mM、高酸素条件で3.90±0.88mMであったことか ら、おそらく被験者は余力を残さずにペンチプレスを反復して疲労困億に達したものと思わ れる。 今回の実験では、テスト1及び2におけるペンチプレスの反復回数が空気条件及び高酸素条 件ともほぼ同等で高酸素吸入の効果は認められなかった。今日までに、ヤo,maxの80〜100%程 度の比較的有酸素的要素の強い運動中の高酸素吸入が、血中乳酸値の低下や運動成績に有効 であるこという報告は数多くなされている1・7・8・lq23)。P1etら16)はこの理由について高酸素吸入 による換気量の減少と代謝性アシドーシスの低減などが関連していると指摘している。一方、 1分程度で終了するような無酸素的要素の強い短時間最大運動でも、運動中に高酸素を吸入す ると運動成績が向上するいう報告がなされている4・5)。Eikenら5)は、この理由について高酸素 吸入による体内酸素分圧(Po2)の上昇が運動中のクレアチン燐酸の再合成をより急速に引き 起こし、これがより高いレベルの解糖(g1yCo1ySiS)を可能にしたと推測している。 しかし、激運動終了後の回復期における高酸素吸入の血中乳酸値やその後の運動能力に対 する効果については、特に近年では否定的な報告が多い17・2α24)。これらの報告では高酸素の吸 入時間が2〜6分と比較的短時間であるが、本実験では運動終了後の1分から21分まで20分間に わたり高酸素を吸入させたが、過去の報告と同様にその効果は得られなかった。運動申には 高酸素吸入により体内のP02が上昇し、乳酸の産生が抑制されたり、高エネルギー燐酸化合物 量が相対的に維持されて筋持久力や筋出力が向上するとされている。しかし、激運動後の回 復期、つまり筋運動が行われていない安静時には筋中の乳酸産生もおそらく安静レベルであ 一154一 新潟国際11青報大学情報文化学部紀要 り、この状況で高酸素吸入を行っても血中乳酸値が低下しなかったことは、乳酸の除去にな んら影響幸及ぼさないことを意味しているものと思われる。また同様に心拍数や及び寸CO。も 運動中に高酸素を吸入すると空気呼吸時よりも低下する傾向にあるが2)、本実験結果で示した ように回復期には高酸素吸入の影響が認められないことが示唆された。 一方、Hoganらの報告11)では本運動(90%柘。max強度で疲労困億まで)の4分前までに吸入 した高酸素であっても持続時間を有意に向上させることができ、その要因は運動中の寸O。では なく血中の乳酸やH+の蓄積状態によると推察されている。仮に本実験でも回復期終了(テス ト2直前)まで高酸素を吸入させていたら、テスト2の運動成績が向上したのかもしれないが、 この場合は高酸素吸入による回復促進効果とは異なるものである。今回の実験では、30分間 の回復期における高酸素吸入はテスト1運動終了後の1分から21分までの20分間行い、次の運 動までに絢10分間は空気呼吸を行わせた。この方法により、回復期に吸入した高酸素は次の 運動テストに対して直接的に影響を及ぼしておらず、回復処方としての高酸素吸入効果のな かったことが明確になったものと思われる。 V.結語 本実験では、短時間激運動終了後の高酸素吸入が回復期の血中乳酸値及びその後の運動成 績に及ぼす効果について検討した。被験者は男性8名及び女子4名の合計12名であった。ベン チプレスの最大運動テストは70%1RMの重量で疲労困億に達するまで運動を反復させるもの であり、30分問の回復期をはさみ2回行わせた。この一連のテストは日を替えて2回行わせた。 つまり、12名の被験者のうち6名は1回目のテスト時には回復期に空気を、2回目のテスト時 には運動終了1分から20分までの20分間に高酸素を吸入した。他の6名の被験者はこの逆の順 序で最大運動テストを行った。 1)被験者の1RMは58.8士15.1kgで、70%1RMは41.3±10.9kg(70.2%1RM)であった。 2)ベンチプレスの反復回数は、テスト1では空気条件が15.0±4.7回、高酸素条件が14.5±4.4 回であり、またテスト2では空気条件が13.7±4.1回、高酸素条件が13.0±4.o回であ、り、と もに両条件問に有意差は認められなかった。 3)心拍数及び二酸化炭素排出量は、運動中及び回復期のいずれの時点においても両条件問に 有意差は認められなかった。 一155一 4)血中乳酸値は回復期のいずれの時点においても両条件間に有意差は認められなかった。ま た最高血中乳酸値は、空気条件では4.00±1.08mMであったのに対して高酸素条件では 3.90±0.88mMであり、両条件間に有意差は認められなかった。 以上の結果から、短時間激運動終了後の高酸素吸入は、回復期の血中乳酸値及びその後の 運動成績に対してなんら効果のないことが示唆された。 w、文献 1)Ad㎜s,R.P.and varied inspired We1ch,H.G.(1980)Oxygen during intense Young,J.C.(1986)Effect perfo㎜ance with compotition:revision of hyperoxia on substrate submaxima1exercise.J.App1,Physio1.,61:523−529. 3)Brozek,J.,Grande,F.,Anderson,J.T.,and 4)Eiken,0.md status,and oxygen.J.App1.Physio1.,49:863−868. 2)Adams,R.P.,Cashman,P.A.,and unt1ization uptake,acid−base ofsame quantitative Tesch,P.A.(1984)Effects Keys,A(1963)Densitmetric ana1ysis of body assumption.Am.N.Y.Acad.Sci.,110:113−140. of hyperoxia md hypoxia on dynamic and sustained staticperfo㎜anceofthehumanquadricepsmusc1e.ActaPhysio1.Scand.,122:62g−633. 5)Eiken,0.,Hesser,C.M.,Lind,F.,Thorsson,A.,and 血nction and 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