有期雇用労働者(非常勤職員)への 差別賃金導入を許すな!

はじめに
有期雇用労働者(非常勤職員)への
差別賃金導入を許すな!
昨年発行した討議資料においてその概要を明らかにしていますように、
郵政公社は、2004年4月から能力・実績主義を前面に押し出した「給与
制度改革」を実施するとしています。そして、その給与制度改革と連動し有
期雇用労働者(非常勤職員)の賃金体系も全面的に改悪し、新たな職場支配
強化の攻撃を始めようとしています。
その概要は《別記》のとおりですが、まさに今までの賃金のあり方を全
面的に見直し、賃金(金)による差別と選別・分断をゆうメイト間に持ち込
みつつ、より一層の職場支配強化を狙うものです。
当局の新たな差別攻撃を許さず、賃金制度改悪に反対していくとともに、
ゆうメイトへの賃金差別を許さない取り組みを進めていきましょう。
Ⅰ 賃金体系改悪の問題点
ゆうメイトの皆さん
賃金差別を許さず、労働条件改善のために
郵近労に結集して共に闘いましょう!
組合として苦情の交渉ができます!
郵政全労協
郵政近畿労働組合
1 有期雇用=不安定雇用形態の固定化
現在の郵政事業は、非常勤労働者によって支えられている現状にある
といっても過言ではない状況にあります。その非常勤労働者に対し常勤
職員と同様な能力・実績主義による新たな賃金体系を導入してくる狙い
は、非常勤労働者に対する差別支配強化だけではなく、事業への「貢献」
によって、ある程度賃金的に報われるというシステムを装いながら、常
勤職員の雇用条件と比べ大きな不利益を被っている今日の有期雇用=
不安定雇用形態による事業運営を、固定化していくものであるといえま
す。
2 同一労働同一賃金制の崩壊
現在の非常勤賃金は、該当地域の最低賃金を基準にしつつ、その地域
の募集環境等により地域的に差がつけられていますが、同一局所であり
かつ同一職種であれば、勤続年数による賃金アップ(毎年20円で5年間
のみ)による差及び特別加算(OB 割増)があるのみで、基本的に同一労
働同一賃金となっています。
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しかし、今回提起されている新賃金体系では、基本給に「加算給」が
Ⅱ 新賃金体系の概要
加わることによって同じ仕事をしながらも、賃金に差がつけられるこ
1 基本給
とになります。
3 「加算給」の新設
「加算給」は「基礎評価給」と「資格給」に分かれ、
「基礎評価給」は
職員としての基本的事項(職務態度)を評価し、「資格給」は職務の広
さとその習熟レベルを評価するとしています。
評価は常勤者と同じように、評価シートに基づく自己評価→一次評価
(総務主任等)→二次評価(課長等)→最終評価(局長)で行われるこ
とになりますが、これは、いくら公正・公平を装うとも、評価者の恣意
的判断が介入するものであり、管理者・役職者による支配強化につなが
るものであるといえます。
4 ボーナス制度の改悪(処分による減額等)
非常勤労働者の賞与(ボーナス)は、勤務日数及び1日の勤務時間に
よって金額の差がありますが、同一条件なら同じ金額が支給されていま
す。
しかし、今回の提示では、時給連動性となることによって、評価結果
が反映される制度となります。さらに、欠勤及び処分を減額の対象とす
るとしています。詳しくは《別記 概要》参照。
「地域別基準額」+「職務加算額」が時給となる。
(1) 地域別基準額
区
分
賃金額(円)
特 地
調整手当支給区分が甲地※及び甲地◎である地域
764(770)
甲 地
調整手当支給区分が甲地である地域
737(737)
乙 地
調整手当支給区分が乙地である地域
695(700)
丙 地
調整手当支給区分が丙地である地域
657(660)
乙地及び丙地のうち下記表の都府県については別金額
都府県名
賃金額(円)
東京、神奈川、大阪
714(720)
千葉、埼玉、愛知、京都、兵庫
703(710)
静岡、岐阜、三重
699(700)
(2) 職務加算額
5 短期非常勤職員の賃金額
短期非常勤労働者(年末雇用等)の賃金については、地域別基準額を一
律に適用せずに、都道府県別の「最低賃金」を下回らないように範囲で所
属長が決めるとされ、基準額の大きな地域では、長期雇用非常勤労働者
と短期非常勤労働者の賃金格差が大きくなる可能性があります。
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(注)地域別基準額について、実
際の運用にあたっては、10円
単位に切り上げる。(カッコ内の
金額適用)
(4) 職務加算額の幅及び
(7) 短期雇用者の基本給
一律に地域別基準額を適用せず、都道府県が定める「地域別最低賃金」
その運用
職務加算額の幅(上
を下回らない範囲の中で所属長が定めることを可能とする。
とって、短期雇用者の基本給は、所属長が決める額と職務加算額によ
限額と下限額の差額)
及びその運用は、募集
って決定。
環境に対応する金額
2 加算給
を設定し、実際の運用
に当たっては、非常勤
加算給 = 基礎評価給 + 資格給
職員の確保・定着に応
(1) 基礎評価給
じた加算額となるよ
う支社等による一定
良好な勤務態度を保持することへのインセンティブを高めるため、職
のコントロールを行
員としての基本的事項(勤務態度)を評価する項目として、基礎評価給を
う。
設定。
1、ユニホーム、胸章を正常に着用している。
2、服装、身だしなみは郵便局員としてふさわしいものとなっている。
(5) 併任される非常勤職員の基本給
3、わかりやすく、はっきりと、ていねいな言葉づかいをしている。
《例》
4、無届の遅刻・早退・欠勤はなかった。
ア A 局、B 局で併任
A 局郵内 → A 局で評価、フィードバック、賃金決定
B 局郵外 → B 局で評価、フィードバック、賃金決定
イ A 局で併任
午前郵内 → 郵内で評価、フィードバック、賃金決定
午後郵外 → 郵外で評価、フィードバック、賃金決定
ウ 複数の担務をローテーションする場合
事務別の中で一番金額の高い事務を選択してスキル基準を策定
(6) 複数局所に併任される非常勤職員
①本務の局所のほか、2以上の局所に併任、②予定雇用期間中におい
て、1日4時間以上かつ1週間平均4日以上勤務する、この二つの条件が
5、休憩・休息時間は守っている。
6、管理者、職員、リーダーの指示を理解して対応している。
7、職場内のルールを遵守している。
8、他の職員とのコミュニケーションをとり、チームの一員として行動している。
9、他の職員の仕事の邪魔をしたり、自分勝手な行動をしていない。
10、郵便物、機械類、機動車、備品・物品をていねいに扱っている。
※基礎評価給は対象者+10円
(2) 資格給
非常勤職員の職務と処遇のリンクを図るため、職務の広さとその習熟
レベルを評価する項目として資格給を設定。
満たされる場合、基本給に100分の110を乗じた額を基本給とする。
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※ランクが上がった段階で金額が上がる場合とそうでない場合が存在
これは、職務の広さの広がりが明確に判別できるか否か、その広がり
に事業としての価値が認められるか否か等を各事業が総合的に勘案し
た結果による。
3 スキル(技能・熟練)基準
本社はスキル基準モデルを作成するが、
最終的には各郵便局において、
そのモデルに基づき、非常勤職員に求める職務内容を勘案したスキル基
準を策定。
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4 賞与(ボーナス)
賞与制度を定額制から時給連動性とすることにより、賞与についても
評価結果を反映させえた制度に改正
支給対象者は事業への貢献度を重視し、1週間の半分以上勤務した者
に限定するため評価期間の勤務日数60日以上の者に限定
<賞与算出基準>
対象期間における賃金の1か月平均支給額 × 0.3 × 加算率
(1) 加算率
評価期間中の勤務日数に応じた加算率を設ける。
・基本率100%
6ヶ月間における勤務日数60日以上
・加算率10%
80日以上
・加算率20%
100日以上
・加算率30%
120日以上
(2) 減額基準(支給調整額)
能力・実績主義によるボーナス制度であり、欠勤や懲戒処分といった
不良な勤務実績についてもボーナスに反映させるため減額
5 手当関係
本務者の「給与制度改革」との連動及び本務者等とのバランスを考慮し、
非常勤職員の手当制度の簡素化・効率化を行う。
(1) 現金出納手当を廃止
(2) 郵便物完全区分等手当(旧重労務手当該当部分)を支給対象外
(3) 早朝・夜間割増賃金の定額化等を行う。
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6 現在いる非常勤職員の移行措置
現在、雇用している職員については、各局で策定するスキル基準に基
づきスキル設定を行い、時給を決定した上で新たに採用。
Ⅲ 苦情処理
非常勤労働者に関しても常勤者と同様評価結果等に対し、当局に苦情
を言うことができます。
従って、勤務条件が変更となるので、現在雇用している非常勤職員へ
なお、下記のように、個人的に苦情・不満を当局に対し意見を言うこ
の周知、スキル認定の実施等、郵便局の業務に支障が生じない方法を検
とができますが、評価結果の処遇への反映に対する不満・苦情は組合を
討。
通して行うことになります。
スキル認定を行うに当たっては、所属長等が当該職員との対話等を実
施することとするが、一連の評価手続きは不必要。
①評価結果に対する苦情・不満の解決
⇒ 苦情相談制度
②評価結果の処遇への反映に関する不満・苦情
⇒ 苦情処理共同調整会議
(1) 具体的処理方法
ア 苦情相談制度
・評価結果のフィードバック後の一定の期間内に、苦情相談者(総務課
長等)に不満・苦情の理由を書面で通知。
・苦情相談担当者は、被評価者及び評価者から事情聴取し、所属長に
意見具申。
・所属長は、苦情相談担当者の調査結果を基に、その判断結果を双方
へ書面により通知。
(なお、本務者については、この結果に納得が得られなかった場合は、
支社の人事部の不満・苦情の理由を書面で通知し、支社で対応。非
常勤職員については、いわゆる支社への上移は認められていない。)
イ 苦情処理共同調整会議
・評価結果が処遇に反映された後一定期間内に、支部段階に設置する
苦情処理共同調整会議に不満・苦情の理由を書面により通知。
※支部段階における苦情処理共同調整会議は、公社が指名する公社側
委員と組合側が指名する組合側委員で構成し、その数は双方 3 名以
内で双方同数とする。議決は多数決であるが、可否同数の場合は議
長(公社側委員)が判定することになります。
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・支部における結果について不満があれば、地方段階に上移すること
ができる。
※なお、本務者については、支部段階の苦情処理共同調整会議におい
ては、書面に不備がないか、申告書等の内容が苦情として受理する
ことが適当か否かを審査する形式審査のみであり、その形式審査結
果を地方段階の苦情処理共同調整会議に通知し、実質的な審査は、
地方段階で行われることになります。
以上、非常勤労働者に対する新たな賃金制度の概要と問題点を簡単に提
起しました。
公社の狙いは、非常勤労働者に対しても常勤者と同様に賃金に差をつけ
ることを通して差別と選別・分断の支配強化を狙おうとするものであると
ともに、有期雇用という不安定効用用形態を固定化し、支配強化と安上が
りの事業運営を狙うものといえます。
このような制度改悪に断固反対しつつ、不当な賃金差別等には断固とし
て抗議し、その撤回を求めていかねばなりません。
郵近労に結集し、共に差別と分断・選別の攻撃と闘い、すべての労働者
がのびのびと明るく健康で働き続けることのできる矯正の職場を目指して
いきましょう。
2004年1月
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