第1部 食品輸入の手続き

第2部 品目別輸入手続き
輸出国公的機関リスト
3.冷凍魚介類
「冷凍魚介類」輸入手続きの流れ
輸出者または輸入者の業務
必要な書類
詳細は所轄官庁に確認
【まぐろ資源の保存および管理の強化に関する
特別措置法】
冷凍まぐろ類を輸入する場合、輸入者は輸入前と輸入後の
報告書を水産庁に提出する。
詳細は所轄官庁に確認
【食品衛生法に関する準備】
・ 日本の食品衛生法に適合するかどうか、情報収集する。
・ 必要に応じて、輸出者または輸入者が自主検査を行い、
検査成績書を取得する。
・ 輸出者は、日本の輸入者が輸入時に検疫所に提出する書
類「食品等輸入届出書」に添付する関係書類を用意する。
品目によって必要書類が異なる場合があるので、輸入者
または日本の検疫所に確認すること。
【輸出者が用意する書類】
・ 原材料表
・ 製造工程表
【日本の通関手続きの準備】
・ 日本の通関手続きのため、輸出者は必要書類を用意す
る。
【輸出者が用意する書類】
・ インボイス
・ パッキングリスト
・ 船荷証券(B/L)または
航空運送状
日本の輸入検疫
【食品衛生法に基づく輸入手続き】
・ 輸入者は、「食品等輸入届出書」に関係書類を添付して
検疫所に提出する。
【輸入者が提出する書類】
・ 食品等輸入届出書
・ 原材料表と製造工程表
・ 商品説明書
・ 必要に応じて、
衛生証明書、検査成績書等
日本の通関手続き
・ 輸入者は、「輸入申告書」に関係書類を添付して税関に
申告する。
【輸入者が提出する書類】
・ 輸入申告書
・ インボイス
・ パッキングリスト
・ 船荷証券(B/L)または
航空運送状
・ 外為法の対象品目の場合、
輸入承認書または確認書
輸出前の準備
【外国為替及び外国貿易法~輸入貿易管理令の輸入承認・
確認制度に基づく手続】
輸入承認制度または確認制度の対象品目の場合、輸入者は
輸入承認書または輸入確認書を取得する。
(いずれも製造者が作成・発
行した社名入りであること)
・ 商品説明書
・ 必要に応じて、
衛生証明書、検査成績書等
第2部 品目別輸入手続き
輸出国公的機関リスト
食用の冷凍魚介類の輸入に際しては「食品衛生法」の規制を受けます。冷凍魚介類の一部は、
「外国為替及び外国貿易法」に基づく輸入の承認等を得る必要があります。したがって当該食品
がこの規制を受けるかどうか、輸出前に調査する必要があります。
冷凍まぐろの輸入については、
「まぐろ資源の保存及び管理の強化に関する特別措置法」に基づ
き、輸入者の報告が求められています。
1)外国為替及び外国貿易法(輸入貿易管理令)
同法では、輸入管理の具体的な方法を定めた政令を「輸入貿易管理令(輸入令)」と称し、輸入
公表(経済産業大臣が輸入に関する事項を定めて公表すること)、輸入の承認(特定のものを輸入
しようとする者は経済産業大臣の承認が必要であること)などを定めています。
輸入の承認として、①輸入割当制度、②二号承認または二の二号承認制度、③確認制度の3つ
があります。制度の対象品目は、食品では主に水産物となっているので、輸入する冷凍魚介類が
これらの規制対象かを、輸入者が確認する必要があります。
当該食品が対象品目の場合、輸入者は定められた手続きにより輸入承認書または輸入確認書を
取得します。
①
輸入割当制度
輸入割当は、特定の品目の貨物について、一定期間内に輸入できる総量(総額)を定め、一定
の要件を備えた者に対して輸入数量(金額)の割当を行う制度です。
輸入割当の対象品目は輸入公表に掲載され、
「非自由化品目」と「モントリオール議定書に定め
る規制物質」の2分類があります。
魚介類で該当するものは、「非自由化品目」に掲載されている以下の魚種です。
<輸入割当を必要とする魚介類>(2008 年 8 月 18 日現在)
にしん、太平洋種にしん、たら、たらの卵、ぶり、さば、いわし、あじ、さんま、
すけそうだら、ほたて貝、貝柱、いか
輸入割当の申請手続きについて必要な事項を定め、発表するものを「輸入発表」と呼びます。
品目ごとに原則年1回の輸入発表が行われ、輸入割当の申請を受け付けています。
なお、輸入公表、輸入発表は経済産業公報及び通商弘報か、経済産業省ホームページに掲載さ
れます。
輸入割当の対象品目を輸入する者は、経済産業省貿易経済協力局農水産室に「輸入割当申請書」
等の必要書類を提出し、割当を受けた後で、別途「輸入承認申請」を行う必要があります。農水
産室より押印、返却された輸入割当申請書と、新たに記入した輸入承認申請書を経済産業局また
は通商事務所に提出し、承認書の交付を受けます。
第2部 品目別輸入手続き
輸出国公的機関リスト
輸入割当制度の手続きの流れ
必要書類を添付し、「輸入(承認・割当)申請書」2 部を経済産業省受付課に提出
書類審査
品目ごと定められた割当基準により割当を決定
「輸入(承認・割当)申請書」に押印、返却交付される(輸入割当証明書)。
「輸入(承認・割当)申請書」に輸入割当証明書等を添付して経済産業局、
通商事務所にて輸入承認をうける(水産物の場合)。
税関で輸入申告時にこの書類を提出
【輸入割当の情報】
経済産業省「貿易管理―水産物関係の輸入発表について」
http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/marine_products/index.html
【問合せ先】
経済産業省
貿易経済協力局 農水産室
TEL:03-3501-0532(直通) http://www.meti.go.jp/
②
二号承認制度、二の二号承認制度
国際協定の履行を目的とした輸入規制のため、
・特定の原産地または船積地域からの特定の貨物
(輸入公表の二号に掲げる品目なので「二号承認」と呼びます)
・全地域を原産地または船積地域とする特定の貨物
(輸入公表の二の二号に掲げる品目なので「二の二号承認」と呼びます)
を輸入する者は、輸入の承認を受ける必要があります。
魚介類で該当するものは、「二号承認」に掲載されている以下の品目です。
対象品目を輸入する者は、経済産業省貿易経済協力局農水産室に「輸入承認申請書」、輸入注意
事項に記載されている必要書類を提出し、承認書の交付を受けます。
【二号承認の情報】
経済産業省「貿易管理-水産物の二号承認」
http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/boekikanri/2goshounin.suisan.htm
【問合せ先】
経済産業省
貿易経済協力局 農水産室
TEL:03-3501-0532(直通)http://www.meti.go.jp/
第2部 品目別輸入手続き
輸出国公的機関リスト
<二号承認を必要とする魚介類>(2008 年 8 月 18 日現在)
・鯨及びその調製品
・フィリピン等を除く国を原産地とする、大西洋または地中海において蓄養された生鮮または
冷蔵くろまぐろ
・フィリピン等を除く国を原産地とする生鮮または冷蔵のみなみまぐろ
・ボリビア及びグルジアを原産地とするめばちまぐろ及びその調整品
・中国、北朝鮮および台湾を原産地または船積地域とするさけ及びます並びにこれらの調製品
・本邦の区域に属さない海面を船積地域(洋上で船積みされた貨物をそのまま輸入する場合)
とする魚、甲殻類、海草など
③
確認制度
国際的な資源管理に関する条約等の履行や、輸入監視などを目的とした確認制度が設けられて
います。この制度には、経済産業大臣の確認を要する事前確認と、通関時に税関が確認する通関
時確認があります。
〔事前確認制度〕
輸入公表に定められた事前確認品目を輸入する場合には、輸入前に必要書類を添付して確認申
請書を経済産業省貿易経済協力局農水産室等に提出し、経済産業大臣の確認を受ける必要があり
ます。
<事前確認を必要とする魚介類>(2008 年 8 月 18 日現在)
・冷凍のくろまぐろ、みなみまぐろ、めばちまぐろ、めかじき
・上記以外のまぐろまたはかじきを船舶で輸入する場合
・めろ
・鯨及びその調製品(二号承認以外のもの)
第2部 品目別輸入手続き
輸出国公的機関リスト
事前確認制度の手続きの流れ
冷凍の貨物
まぐろ類の場合
水産庁
経済産業省
農水産室
水産庁確認書の発行申請
輸入報告書を提出
水産庁確認書を提出
経済産業大臣の確認書の
発行申請
通関へ
経済産業大臣の確認書を
提出
生鮮の貨物
水産庁・経済産業省への書類の提出はなく、通関での確認のみ
〔通関時確認制度〕
輸入公表に定められた通関時確認品目を輸入する場合には、通関時に該当品目の統計証明書を
税関に提出して、確認を受ける必要があります。
<通関時確認を必要とする魚介類>(2008 年 8 月 18 日現在)
・生鮮・冷蔵のくろまぐろ
・生鮮・冷蔵のみなみまぐろ
・生鮮・冷蔵のめかじき
【事前確認、通関時確認の情報】
経済産業省「貿易管理―水産物の事前確認、通関時確認」
http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/boekikanri/yunyutetsuzuki.htm
【問合せ先】
経済産業省
貿易経済協力局 農水産室
TEL:03-3501-0532(直通)http://www.meti.go.jp/
2)まぐろ資源の保存及び管理の強化に関する特別措置法
まぐろ類の国際的な保存管理の規制を逃れて、無秩序な操業を行う漁船に対する対策として、
各国のマグロ類の輸入状況について国際機関への情報提供が求められています。
このため日本では、
「まぐろ資源の保存および管理の強化に関する特別措置法」に基づき、2007
年 7 月より、冷凍まぐろ類を輸入する場合、輸入前と輸入後に所定の報告書(輸入前の報告事項
は、漁獲した漁船、運送、輸入予定年月日、輸入後の販売先、輸入しようとする冷凍まぐろ類の
魚種別情報)
、漁船の現船籍および前船籍の船舶国籍証書、船荷証券、インボイス、統計証明書の
写し等を水産庁に提出することを輸入者に求めています。
第2部 品目別輸入手続き
輸出国公的機関リスト
【問合せ先】
水産庁
資源管理部
遠洋課
海洋漁業資源管理班
TEL:03-3502-8204(直通)
3)食品衛生法
(1)輸出前の準備
輸出者と輸入者は、当該食品が日本の食品衛生法の規格基準等に適合するかどうか、十分な情
報収集を行い、確認することが必要です。
<輸出者が用意する書類(英語以外の言語の場合は、和訳したもの)>
•
原材料表
製造者が作成・発行した社名入りで、使用した原料(食材)と添加物の具体的な化学名称
をすべて記載したもの。
•
製造工程表
製造者が作成・発行した社名、責任者のサイン入りで、原料から製品にいたる工程(殺菌
方法・温度・時間などを記載)を図にしたもの。
•
輸出国製造者および製造所の名称と所在地、製品の名称がわかるもの
•
商品説明書
•
ふぐの場合は、輸出国政府機関が発行した衛生証明書
<輸出者または輸入者が用意する書類(必要に応じて)>
•
自主検査による検査成績書
事前に厚生労働大臣登録検査機関あるいは輸出国の公的検査機関で自主検査を行い、その
検査成績書を添付すると、その項目についての衛生検査が省略され、輸入手続きが迅速に
行われます。
【検査機関の問合せ先】
厚生労働省
「厚生労働大臣登録検査機関のリスト」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/jigyousya/kikan/xls/kikan.xls
厚生労働省
「輸出国公的検査機関のリスト」
注)アセアンについては、インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピンの4カ国の公的検査機関等が登録
されている(p.116 参照)。
http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/5/index.html
第2部 品目別輸入手続き
輸出国公的機関リスト
(2)輸入手続き
販売または営業に使用する目的で食品を輸入する場合には、輸入者は「食品等輸入届出書」と
必要書類(原材料表、製造工程表、自主検査成績書等)を揃え、通関しようとする海空港を管轄
する厚生労働省検疫所に提出します。届出書の審査の結果、検査が必要とされたものは保税地域
内で検査が行われ、輸入の可否が判定されます。
食品衛生法に基づく輸入手続きの流れ
事 前 の 輸 入 相 談
事前の情報入手 (製造方法、添加物の使用等)
事前の検査 (輸出国公的検査機関、厚生労働大臣登録検査機関)
検 疫 所 へ の 届 出
(食品等輸入届出書の提出等)
審査
検査を要する貨物
不合格
検査を要しない貨物
合格
届出済証または
合格所の受取り
積戻し・廃棄・
食用以外の用途
税関申告
(3)審査ポイント
○
食品衛生法に規定される製造基準等に適合しているか?
冷凍魚介類については、食品に共通して規制されている「食品一般の規格基準」
(p.18 参照)
に適合しなければなりません。「食品一般の規格基準」の中の「食品一般の成分規格」には、
「魚
介類」について水産用医薬品の残留基準が定められています。日本では、農薬と同様に水産用医
薬品の残留についてポジティブリスト制度を導入しており、原則的にすべての水産用医薬品につ
いて残留基準(一律基準を含む)を設定し、基準を超えて残留する食品の輸入・販売を禁止して
います(p.20 参照)。
なお、個別の基準が設定されていない抗生物質および抗菌剤については、一律基準(0.01ppm)
が適用される農薬とは異なり、
「食品は抗生物質および化学的合成品たる抗菌性物質を含有しては
ならない」とする「食品一般の成分規格」が優先されて適用されます。
⇒
日本食品化学研究振興財団「残留農薬等基準トップページ」
http://www.ffcr.or.jp/Zaidan/FFCRHOME.nsf/pages/MRLs-n
第2部 品目別輸入手続き
輸出国公的機関リスト
製造し、または加工した食品および切り身またはむき身の鮮魚介類を凍結させたもので、容器
包装に入れたものは、
「冷凍食品」として取り扱われます。この場合、解凍後そのまま食べるのか、
加熱調理後に食べるのか、凍結する前に加熱処理を行ったかどうか、生食用かによって4つの分
類があり、異なる成分規格が定められています。
「生食用冷凍鮮魚介類」には加工基準があり、原
料用鮮魚介類は鮮度が良好なものであること、加工に使用する水は飲用適の水、殺菌した海水ま
たは飲用適の水を使用した人工海水を使用しなければならないこと、化学的合成品たる添加物(次
亜塩素酸ナトリウムを除く。)を使用してはならないこと、加工に使用する器具は、洗浄及び殺菌
が容易であること、その使用にあたっては洗浄した上殺菌しなければならないことなどを定めて
います。
冷凍食品の保存基準としては、-15°以下で保存すること、清潔で衛生的な合成樹脂、アルミ
ニウム箔または耐水性の加工紙で包装して保存することを定めています。
冷凍魚介類について、留意しなければならない食品衛生法の規格基準
食品共通に設定されている規格基準
冷凍魚介類
個別に設定されている規格基準
「食品一般の成分規格」
「冷凍食品」(成分規格、保存基準、加工基準)
「食品一般の製造、加工、調理基準」
「冷凍ゆでがに」(成分規格、保存基準、加工基準)
「食品一般の保存基準」
「冷凍ゆでだこ」(成分規格、保存基準、加工基準)
(参考)魚肉を主原料とする練り製品は、
「魚肉ねり製品」として成分規格、製造基準、保存基準が定められている。
冷凍食品、冷凍ゆでがに、冷凍ゆでだこの微生物に関する成分規格
細菌数
無加熱摂取冷凍食品
大腸菌群
その他
陰性
―
凍結直前加熱
100,000/g 以下
陰性
―
凍結直前加熱以外
3,000,000/g 以下
―
E.coli 陰性
100,000/g 以下
陰性
冷凍ゆでがに
100,000/g 以下
陰性
腸炎ビブリオ
陰性
冷凍ゆでだこ
100,000/g 以下
陰性
腸炎ビブリオ
陰性
冷凍食品
100,000/g 以下
加熱後摂取冷凍食品
生食用冷凍鮮魚介類
腸炎ビブリオ最確数
100/g 以下
冷凍魚介類の容器包装について、留意しなければならない規格基準
容器包装共通
冷凍魚介類
「容器包装の原材料一般の規格」
「容器包装の材質別規格」
「容器包装の製造基準」
用途別規格
なし
第2部 品目別輸入手続き
輸出国公的機関リスト
【「食品・添加物等の規格基準」の情報】
日本貿易振興機構「制度・規格関連法規ページ」
http://www.jetro.go.jp/world/japan/regulations/
○
添加物の使用基準は適切であるか?
添加物には、どのような食品にどのくらいまで添加してもよいかということを示した使用基準
や、純度や性状などを定める成分規格などの規格基準が、必要に応じて物質ごとに定められてい
ます。輸出国では合法的に認められた添加物でも、日本では許可されていないもの、同一物質名
であっても成分規格が異なるものや使用基準が異なるものなどがあります。
日本の添加物に関する規格基準に適合しないものは輸入できません。添加物のチェックポイン
トは、次のとおりです。
原材料に使用されている添加物を含め、指定外添加物を使用していないか?
⇒
厚生労働省・食品添加物ページ「指定添加物リスト(規則別表第1)」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syokuten/index.html
天然添加物については、
「既存添加物リスト」によりその基原・製法・本質が適合しているか?
⇒
厚生労働省・食品添加物ページ「既存添加物リスト」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syokuten/index.html
使用基準に適合しない添加物が使用されていないか、また使用量等が適量であるか?
⇒
厚生労働省・食品添加物ページ「添加物使用基準リスト」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syokuten/index.html
冷凍魚介類(生食用除く)については、酸化防止剤(B.H.T.、B.H.A.)の使用基準(浸漬液に対
して 1g/kg 以下)が定められています。
えびおよび冷凍生かにについては、漂白剤(亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム等)の使
用基準(むき身中の二酸化硫黄の残存量 0.10g/kg 未満)が定められています。
魚介類への着色料、一酸化炭素、鮮度保持剤等、品質・鮮度を誤認させるおそれのある添加物
の使用は禁止されています。
○
有毒有害物質が含まれていないか?
シガテラ毒等を含む有毒魚ではないか、貝毒に汚染された貝類ではないか等。
○
過去、衛生上の問題があった製造者・所であるか?
⇒
厚生労働省・輸入食品監視業務ページ「過去の違反事例」
http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/ihan/index.html
第2部 品目別輸入手続き
輸出国公的機関リスト
4)事業者の留意点
(1)食品衛生法への適合確認
日本の輸入者は、食品安全基本法において、自らが食品の安全確保について必要な措置を適切
に講ずる責務が求められています。また食品衛生法において、輸入者は自らの責任において輸入
食品の安全性を確保するため。必要な知識および技術の習得、原材料の安全性の確保、自主検査
の実施等に努めることが求められています。
さらに輸入食品による薬物中毒事件発生などで、日本の消費者の輸入食品への不安・不信が高
まっていることから、輸入者は輸入する加工食品の輸出国での原材料、製造・加工、保管、輸送
等の各段階において、日本国内と同等の安全性が確保されているか、その確認が求められています。
輸入者が、輸出国の製造者に対し確認する事項については、厚生労働省が策定した「輸入加工
食 品 の 自 主 管 理 に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン ( 2008 年 6 月 )」( ⇒ 厚 生 労 働
省
http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/tp0130-1ah.html)の中で示されています。
輸出者は、日本の食品衛生法を遵守し、このガイドラインで示された事項について、輸入者か
ら要求される前に準備しておく配慮や、詳細な情報提供に努めるなど、輸入者への協力が求めら
れています。
継続的に輸出入する場合は、製造工程・原材料等の変更がないかの確認や、定期的に試験検査
を実施し、有害・有毒物質・病原微生物の確認、指定外添加物が含有していないこと、添加物の
使用基準等の適合の確認、成分規格等の適合の確認などが必要です。
(2)日本の検疫所の衛生情報の確認
○
検疫所の輸入者に対する基本的な指導事項は何か?
⇒
厚生労働省・輸入食品監視業務ページ「輸入食品監視指導計画」
http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/kanshi/index.html
○
モニタリング対象品かどうか?
過去の違反率、輸入件数・重量、違反内容の重要度等を勘案し、食品群ごとに検査件数を設定
した計画表が年度始めに公示されます。
⇒
厚生労働省・輸入食品監視業務ページ「平成 20 年度モニタリング通知」
http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/monitoring/index.html
○
検査命令対象品かどうか?
輸出国の事情、食品の特性、同種食品の不適格事例から、食品衛生法違反のおそれが高いと認
められる食品等で、年度始めに一覧表(対象品と検査項目)が公示されます。さらにその後の違
反状況によって、追加して検査命令が発動されます。厚生労働大臣の検査命令を受けて、輸入者
が登録検査機関に検査を依頼(有料)し、検査結果が判明するまで貨物は留置となります。
⇒
厚生労働省・輸入食品監視業務ページ「平成 20 年度検査命令実施通知」
http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/kensa/index.html
第2部 品目別輸入手続き
輸出国公的機関リスト
○
食品衛生法違反で多い事例は何か?
ASEAN 各国からの冷凍魚介類について、過去の食品衛生法違反の事例をみると、水産用医薬品
の残留、
「冷凍食品」の微生物(大腸菌群、一般生菌数、E.Coli)規格に関する違反が多くなっ
ています。
冷凍魚介類の魚種別の注意点は、以下のとおりです。
<いか・えび>
日本では食品において「不検出」と定められているクロラムフェニコール、フラゾリドン(AOZ)、
フラルタドン(AMOZ)、ニトロフラゾン(SEM)、ニトロフラントイン(AHD)等の水産用医薬
品の残留に注意。
<まぐろ等の鮮魚全般>
品質、鮮度等を誤認させるおそれのある着色料、一酸化炭素等の添加物の使用は禁止されてい
ることに注意。
<貝類>
貝類の毒化は、海域、時期、貝の種類などにより異なるので、貝毒の監視が適切に行われてい
る海域から採取された貝類であることの調査、定期的な試験検査による貝毒の確認が必要。
<有毒魚>
熱帯・亜熱帯産魚類にはシガテラ毒魚が多いので、輸入する魚類について魚種海域の確認、専
門家による魚種鑑別や魚種名(学名)や産地における食経験等の確認が必要。特に魚種鑑別が困
難な切り身やむき身の魚類の輸入には注意。
<フグ>
輸入できる漁獲海域(日本海、渤海、黄海、東シナ海)と魚種(21 種類)が定められているの
で、魚種鑑別を徹底し、有毒フグの混入防止が必要。
第2部 品目別輸入手続き
輸出国公的機関リスト
冷凍魚介類
-
最近の食品衛生法違反事例(2008 年 1 月~8 月、ASEAN が輸出国の事例)
より抜粋
品名
加熱後摂取冷凍食品(凍結
直前未加熱):剥きエビ
生食用冷凍鮮魚介類:切り
身まぐろ(HORN FLESH
(NAKAOCHI))
条文
生産国
11
インドネシア
11
インドネシア
冷凍むき身:養殖えび
11
インドネシア
冷凍養殖えび(FROZEN
SHRIMP)
11
インドネシア
11
タイ
11
無加熱摂取冷凍食品:
FROZEN ATLANTIC
SALMON HARASU ABURI
SLICED
無加熱摂取冷凍食品:いか
類(SEASONING
UZUSHIO(FILLET))
無加熱摂取冷凍食品:えび
類(FROZEN CPUD MUKI
VANNAMEI SHRIMP)
冷凍切り身きす:生食用
FROZEN KISU FILLET
ゆでだこ
生食用冷凍鮮魚介類:いか
(FROZEN GIANT SQUID
TANZAKU)
無加熱摂取冷凍食品:マグ
ロ鉄火芯(YELLOWFIN
TUNA STICK)
無加熱摂取冷凍食品:薫製
マグロタタキ
無加熱摂取冷凍食品:えび
類(VANNAMEI SUSHI
EBI)
加熱後摂取冷凍食品(凍結
直前未加熱)
:えびイカカッ
ト
加熱後摂取冷凍食品(凍結
直前未加熱):えび類
(FROZEN NOBASHI
SHRIMP(PEELED))
無加熱摂取冷凍食品:エビ
の開き
違反内容
成分規格不適合(細菌数
6
4.6×10 /g)
措置状況
廃棄、積み戻し等を指
示(全量保管)
備考
モニタリング
検査
成分規格不適合(大腸菌群
陽性)
廃棄、積み戻し等を指
示(全量保管)
モニタリング
検査
廃棄、積み戻し等を指
示(全量保管)
命令検査
廃棄、積み戻し等を指
示(全量保管)
命令検査
成分規格不適合(大腸菌群
陽性)
廃棄、積み戻し等を指
示(全量保管)
自主検査
タイ
成分規格不適合(細菌数
5
1.6×10 /g)
廃棄、積み戻し等を指
示(全量保管)
自主検査
11
タイ
成分規格不適合(大腸菌群
陽性)
廃棄、積み戻し等を指
示(全量保管)
自主検査
11
タイ
11
フィリピン
廃棄、積み戻し等を指
示(全量保管)
廃棄、積み戻し等を指
示(全量保管)
11
フィリピン
成分規格不適合(細菌数
6
2.0×10 /g)
使用基準不適合(二酸化硫
黄 0.036g/kg 検出)
成分規格不適合(細菌数
5
3.5×10 /g、大腸菌群 陽
性)
廃棄、積み戻し等を指
示(全量保管)
自主検査
11
フィリピン
成分規格不適合(大腸菌群
陽性)
廃棄、積み戻し等を指
示(全量保管)
自主検査
10
フィリピン
廃棄、積み戻し等を指
示(全量保管)
自主検査
11
ベトナム
廃棄、積み戻し等を指
示(全量保管)
命令検査
11
ベトナム
指定外添加物(一酸化炭素
770 μg/kg 検出)
成分規格不適合(フラゾリ
ドン(AOZ として)
0.005ppm 検出)
成分規格不適合(クロラム
フェニコール 0.0014ppm
検出)
廃棄、積み戻し等を指
示(全量保管)
命令検査
11
ベトナム
成分規格不適合(E.coli
性)
廃棄、積み戻し等を指
示(全量保管)
自主検査
11
ベトナム
成分規格不適合(フラゾリ
ドン(AOZ として)
0.017ppm 検出)
廃棄、積み戻し等を指
示(全量保管)
命令検査
成分規格不適合(フラゾリ
ドン(AOZ として)
0.001pm 検出)
成分規格不適合(ニトロフ
ラントイン 0.003ppm 検
出)
陽
自主検査
自主検査
注)
「自主検査」は、輸入者の食品衛生安全確保義務責任の観点から、初回輸入時や定期的輸入時に必要な項目に
ついての自主検査を、検疫所が輸入者に指導するもの。
(出所)厚生労働省・輸入食品監視業務ページ「過去の違反事
例」
http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/ihan/index.html
第2部 品目別輸入手続き
輸出国公的機関リスト
冷凍魚介類
―
代表的な食品衛生法違反事例(ASEAN が輸出国の事例)
過去、輸入届出の際に食品衛生法違反と判断された代表的な事例を厚生労働省がまとめたもの
品名
輸出国
違反内容
基準値
備考
冷凍アカマダラハタ
インドネシア 有毒魚種(シガテラ毒魚)
-
冷凍マス
インドネシア 成分規格不適合(大腸菌群)
陰性
生食用冷凍鮮魚介類
冷凍ゆでだこ
インドネシア 成分規格不適合(大腸菌群)
陰性
ゆでだこ
冷凍切り身イカ
インドネシア 成分規格不適合(生菌数)
100,000/g 以下
生食用冷凍鮮魚介類
冷凍切り身マグロ
インドネシア 酸化防止剤:一酸化炭素の使用 指定外添加物
冷凍養殖エビ
インドネシア 成分規格不適合(テトラサイク 基準が定められたもの
テトラサイクリン:抗生
リン)
を除き、抗生物質を含有 物質
してはならない
冷凍アオリイカソーメン
タイ
成分規格不適合(大腸菌群)
陰性
生食用冷凍鮮魚介類
冷凍アマエビ
タイ
成分規格不適合(大腸菌群)
陰性
生食用冷凍鮮魚介類
冷凍イカ
タイ
成分規格不適合(大腸菌群)
陰性
無加熱摂取冷凍食品
冷凍ボイルボタンエビ
タイ
成分規格不適合(生菌数)
100,000/g 以下
無加熱摂取冷凍食品
冷凍ヤリイカリング
タイ
成分規格不適合(大腸菌群)
陰性
加熱後摂取冷凍食品(凍
結直前加熱)
冷凍寿司種用アオリイカ
タイ
成分規格不適合(大腸菌群)
陰性
無加熱摂取冷凍食品
冷凍寿司種用ボイルヤリ
イカ
タイ
成分規格不適合(大腸菌群)
陰性
無加熱摂取冷凍食品
冷凍寿司種用ヤリイカ
タイ
成分規格不適合(大腸菌群)
陰性
無加熱摂取冷凍食品
冷凍紋甲イカスリット
タイ
成分規格不適合(大腸菌群)
陰性
無加熱摂取冷凍食品
冷凍キハダマグロすき身
フィリピン
成分規格不適合(生菌数)
100,000/g 以下
生食用冷凍鮮魚介類
冷凍クモガイ
フィリピン
成分規格不適合(生菌数)
100,000/g 以下
生食用冷凍鮮魚介類
冷凍キスフィレー
ベトナム
成分規格不適合(生菌数)
100,000/g 以下
加熱後摂取冷凍食品(凍
結直前加熱)
冷凍ほたて貝柱
ベトナム
成分規格不適合(大腸菌群)
陰性
生食用冷凍鮮魚介類
冷凍やりいかスライス
ベトナム
成分規格不適合(大腸菌群)
陰性
加熱後摂取冷凍食品(凍
結直前加熱)
冷凍アケガイ
ベトナム
成分規格不適合(生菌数)
3,000,000/g 以下
加熱後摂取冷凍食品(凍
結直前未加熱)
冷凍すしエビ
ベトナム
成分規格不適合(生菌数)
100,000/g 以下
無加熱摂取冷凍食品
冷凍すしエビ
ベトナム
成分規格不適合(大腸菌群)
陰性
無加熱摂取冷凍食品
冷凍イカ
マレーシア
成分規格不適合(生菌数)
100,000/g 以下
無加熱摂取冷凍食品
冷凍切り身いか
マレーシア
成分規格不適合(生菌数)
100,000/g 以下
生食用冷凍鮮魚介類
冷凍切り身いか
マレーシア
成分規格不適合(大腸菌群)
陰性
生食用冷凍鮮魚介類
生食用冷凍鮮魚介類
(出所)厚生労働省・輸入食品監視業務ページ「輸入届出における代表的な食品衛生法違反事
例」http://www1.mhlw.go.jp/topics/ysk_13/tp0419-1q.html
第2部 品目別輸入手続き
輸出国公的機関リスト
○
•
その他、冷凍魚介類で留意すべき点
原材料の魚介類だけでなく、加工工場、調理器具等を含めた衛生管理と保管温度管理により、
微生物の増殖に注意。特に、日本では水産食品の生食を好み、腸炎ビブリオによる食中毒が多
く発生するため、腸炎ビブリオに関する規制が強化されていることに注意。
•
水産用医薬品のポジティブリスト制度を遵守するためには、原材料の生産段階における水産用
医薬品に関する情報収集(水産用医薬品の使用にあたっての適正な管理、使用される可能性の
ある水産用医薬品の種類や方法、残留基準違反事例の有無など)に努める、必要に応じ残留状
況について分析する、などの取組みが必要。
•
日本の商習慣では、容器・包装のサイズや衛生的な梱包が重視されることに留意。