太陽光発電:そのしくみと力、可能性 産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター 太陽光発電研究セ タ 櫻井 啓一郎 新潟大学工学部機能材料工学科 特別講義資料 2008.12.17: web公開版 http://ksakurai.nwr.jp/R/slides/Kougi/ 産総研 太陽光発電研究センター概要 場所 茨城県つくば市 http://unit.aist.go.jp/rcpv/ チーム構成 •結晶シリコン •薄膜シリコン •化合物薄膜 •評価・システム •有機新材料 •産業化戦略 人員構成: •研究員 •ポスドク •学生、院生(連携大学院) 学生 院生(連携大学院) •テクニカルスタッフ •企業 企業 •etc. 百数十名 櫻井略歴 京都育ち。 京都育ち 子供の頃から機械好き。10歳からハンダゴテとパソコンを仕込まれる。 子供の頃からなんとなく カセになろうと思って た。 子供の頃からなんとなくハカセになろうと思っていた。 1985年のつくば万博の頃には科学少年に。 そのまま工学部に入学。 そのまま工学ハカセの道へ。 まま 学 カ 道 7年前に万博の街へ。 面白そうなので太陽電池のお仕事を始める。 面白そうなので太陽電池のお仕事を始める そのままハマって現在に至る。 本日の構成 なぜ今、太陽光発電か? 太陽電池の原理 太陽電池 種類と製造法 太陽電池の種類と製造法 太陽電池の性能と使いかた 太陽電池 現状 将来 太陽電池の現状と将来 背景1:エネルギー自給の必要性 ウラン価格の推移 原油価格 格(米ドル/バレ レル) 140 120 Source: Energy Information Administration (All Countries Spot Price FOB Weighted by Estimated Export Volume) 100 80 60 40 20 0 ウラン価格(米 米ドル/酸化ウラ ラン1ポンド) 原油価格の推移 60 データ出典:米エネルギー情報局(EIA) 50 40 30 20 10 0 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 年 年 ・枯渇性燃料の価格変動の影響は大きい。長期的には値上がり基調の予測 枯渇性燃料の価格変動の影響は大きい 長期的には値上がり基調の予測 [EIA]。 原油価格が10$/bbl上がると貿易収支が約1.6兆円悪化する。(←→日本の貿易黒字:年間10兆円前後) 今年の夏は火力発電の燃料代も約20円/kWh以上に。また今後は排出権の影響も無視できない。 ・原子力の場合はコストへの影響は比較的小幅。しかしウランの争奪戦は激化している。 原子力の場合は ト の影響は比較的小幅。しかしウランの争奪戦は激化して る。 石油やウランの価格が時々上がるのも問題だが、 変 が読 な 変動が読めないのが経済的に大きなリスク が経済的 きな (債権で言えばジャンク債に相当) エネルギー供給面のリスク ・化石燃料の価格変動のリスクは大きい 年間平均 年間平均10USD/bblの上昇=約1.6兆円の損失 / の 昇 約 兆円の損失 →2008年だけで何兆円の損失になる? 国の競争力 経済力が削がれる 国の競争力、経済力が削がれる ・質の低下、採掘コストの上昇、争奪戦のリスク 質の低下 採掘コストの上昇 争奪戦のリスク 安価で持続的なエネルギー源が不足 ・枯渇性燃料の利用には政治的・地理的リスクも伴う 枯渇性燃料 利用 政治的 地 的リ クも伴う そもそも国内にないものを無理矢理取ってくるのに 社会はどれだけのコストを支払っている? 背景2:地球温暖化の危険性 対策が足りない場合の予測結果は 極めて厳しいものです 対策が足りない場合の予測結果は、極めて厳しいものです。 温暖化ガス排出の想定シナリオ シナリオ別の平均気温上昇量の予測 (IPCC AR4 SYR Fig.3.1より引用) (世界大戦なみの被害が 想定されるシナリオ) 引用:IPCC AR4 WG1 SPM, TS CO2やメタンなどの排出量を思い切って減らすと、このように影響も小さくなります。 CO2やメタンなどの排出量を思い切 て減らすと このように影響も小さくなります 温暖化を充分に抑え込むには、 2050年までに温暖化ガスの排出量を1990年の半分以下に 減らさなければいけない、と考えられています。 経済からみた温暖化のリスク 地球温暖化は確かに危険そう、だが不確実性もある (あくまでも「予測 なので 「100%確実 はありえない) (あくまでも「予測」なので、「100%確実」はありえない) →経済的リスクの見極めがその分むずかしい (本当はそれ自体もリスク) でも、ビジネスから見ると影響はもっと確実&切迫 ・対策を進めていないと ペナルティが課されそう ・対策を進めていないと、ペナルティが課されそう (排出権、炭素税、関税、政治的不利…) ・対策にお金がかかる 対策にお金がかかる = 市場も巨大(経済の一部に) 温暖化懐疑論への対処 医者かどうかぐらいは見分ける (厳しいこと言うけど、最低限の自衛) ・一次情報の信頼性確認 重大事項はScience Nature PNAS あたりに 重大事項はScience,Nature,PNAS 載ってないとおかしい それ 外 掲載論文は それ以外の掲載論文はphishingの可能性が高まる 能性が高まる ・"論文"や"学会"をでっち上げる輩も居る ・論文もない「専門家」なぞ”オレオレ詐欺”同然 荒らし行為としての対処 ・荒らし行為としての対処 論点と関係ない個人攻撃、データや論拠のねつ造、 屁理屈 論点すりかえ 重箱の隅 議論引き延ばし 屁理屈、論点すりかえ、重箱の隅、議論引き延ばし などが出たら彼らの敗北宣言。無視or排除 太陽光発電が必要な理由 ・エネルギー源として: ネ ギ 源とし ・今後10年ほどで最も安い電源の1つになりそう (今はク 高 けど (今はクソ高いけど、このペースなら他の電源より安くなる) ペ なら他 電源より安くなる) ・持続的に利用可能 (設備もリサイク 可能 放射性廃棄物も出さな ) (設備もリサイクル可能、放射性廃棄物も出さない) ・量が膨大 ( れを使わないと世界の ネ ギ 需要はまかなえない) (これを使わないと世界のエネルギー需要はまかなえない) ・温暖化対策として: ・温暖化ガスの排出量が少ない(化石燃料の数%程度) 温暖化ガスの排出量が少ない(化石燃料の数%程度) ・産業として: 競争力維持 国内分自給+毎年数兆円輸出+波及効果? 競争力維持→国内分自給+毎年数兆円輸出+波及効果? 競争敗退→累計数十兆円を輸入? 国の経済をも左右し得る規模の影響力 本日の構成 なぜ今、太陽光発電か? 太陽電池の原理 太陽電池 種類と製造法 太陽電池の種類と製造法 太陽電池の性能と使いかた 太陽電池 現状 将来 太陽電池の現状と将来 地球に降り注ぐ太陽エネルギー 太陽 総放射エネルギー: 3.8×1026W 地球の大気圏に到達するエネルギー: 17W = 180PW 約 約1.8×10 (1PW(ペタワット) = 1000TW(テラワット) = 106GW(ギガワット) = 109MW(メガワット) = 1012kW(キロワット)) 地表面に到達するエネルギー: 約8.5×1016W = 85PW (写真:気象庁提供) 人類が消費するエネルギー: 約13TW(テラワット) = 0.013PW(ペタワット) 実際に人類が地上で収集可能な太陽エネルギー: 約1×1015W W = 1PW 1PW (世界のエネルギ (世界のエネルギー需要量の数十倍) 需要量の数十倍) (B.Sorensen, Energy Policy (1991) 386‐391.) ゴビ砂漠の面積で世界のエネルギー需要と同量を発電可能 太陽エネルギーの使われ方(1/2) 光 (植物の光合成)→農林業、バイオマス ほぼあらゆる生物のエネルギー源 オ オゾン層の形成→紫外線を遮断 層 形成 紫外線を遮断 採光、太陽光発電、殺菌、浄化 (日光浴)→ビタミンD形成 日時計 熱 (大気の循環)→風力、波力 (水の循環) 水力 潮力 (水の循環)→水力、潮力 暖房、乾燥 太陽熱温水器、太陽熱発電 太陽エネルギーの使われ方(2/2) 太陽熱利用 集熱器 温水、暖房など 変換効率が高い、蓄熱できる 太陽光発電 ((&太陽熱発電) 太陽熱発電) 照明 家電 太陽電池など 通信 冷房 用途が広い (価値が高い) 動力 そもそも太陽電池って、なんでしょう? 太陽電池とは:一言で言うと? 光 ー 電力 太陽電池 (半導体を利用) + 光のエネルギー 光の ネルギ を電力に変える半導体素子 太陽光にあたると…? 太陽電池の場合 普通の物の場合 熱 光 光 ー 電力 通常の物質 太陽光のエネルギーが 太陽光のエネルギ が熱に変わる 太陽電池 + (半導体を利用) 電力に変わる 太陽電池のはじまり ご先祖:セレン光電池 セレンにごく薄い金をコーティングしたもので、1883年に米国で発明。 当時の効率は1%ほど。でも、原理は不明だった。不明だけど、 光を当てると電気ができる現象=光電効果として、照度測定などに使われた。 (最近まで、カメラの露出計などにも使われていた) 原理の理論付け:アインシュタインの「光量子仮説」 1905年ごろ アインシュタインが光電効果を 量子論を用いて理論付け 1905年ごろ、アインシュタインが光電効果を、量子論を用いて理論付け。 ここから現代科学の基礎、「量子力学」や「相対性理論」が発達。 「半導体」についての理解も進展。 最初の現代的「太陽電池」:ベル研究所の"Solar Battery" 1954年、最初の結晶シリコン太陽電池(効率:6%) 最初の太陽電池付き人工衛星: バンガード衛星 1958年打ち上げ 以後、灯台や宇宙用に使われるように 「光」ってなんなの? 電界 磁界 光は波(電磁波)の一種 光は波(電磁波)の 種 つまり、「波」の性質を持つ ところが電子や原子の大きさで見ると、 電 原 大 見 、 光は無数の小さな粒子のように振る舞う。 この”光の粒”は「光子」と呼ばれる。 補足:「光子」(光量子)はアインシュタインが提唱した概念で 補足:「光子」(光量子)はアインシュタインが提唱した概念で、 その後の「量子論」の基礎。ノーベル賞の受賞理由にもなった。 光が物に当たると何が起こる? 光を当てると、 光子が物の中の「電子」にぶつかる。 電子は、あちこち動き回る。 電子のエネルギーは、 最終的に熱になる。 最終的に熱になる (原子の振動) 物質 (金属・木・ (金属 木 プラスチックなど) ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ 電子:物質の中にた~くさんあり、マイナスの電荷を帯びている 太陽電池以外の物の場合 (イメージ) 光(光子) 安定な状態に戻る エネルギーを ネルギ を 電子が吸収 ‐ (不安定になる) ‐ + 原子核& その他の電子 (全体はプラスの電荷) 熱や光を放出 ‐ 電子(マイナスの電荷) + + 熱になる (暖まる) そもそも「電力」ってなに? 負荷(電球、モーター、ヒーターなど) 電子 ‐ 導線 (銅 アルミなど) (銅、アルミなど) 負荷(水車) ‐ (「電流」の向き) 電力=電圧×電流 =電気的なエネルギー 電圧=電子を押し流そうとする力 電流=単位時間あたりに電子が流れる量 (ただし定義上、「電流の向き」と 「実際に電子が流れる向き」は逆) 電力量=電力×時間 =電気的なエネルギー量 水に例えるならば、 電圧=水圧 電流=流量(単位時間あたりに流れる量) 電力=水圧×流量(水車の出力に対応) 電力量=水圧×流量×時間(水車にさせた仕事量に対応) のような概念。 電力とは、電子を抵抗に逆らって押し流すエネルギー 光が太陽電池に当たると何が起こる? 太陽電池では、電子が一方向に流れる。 これに電線をつないで流すと、 “電力”として使える。 ‐ 太陽電池 (2種類の半導体を 重ねた構造) ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ 水色:原子と結びついて動かない電子 (「価電子」) オレンジ色 光子にぶつかられてエネルギ を持った電子 (「自由電子」または「伝導電子」) オレンジ色:光子にぶつかられてエネルギーを持った電子 太陽電池の場合(イメージ) ‐ 光(光子) エネルギーを吸収して 自由電子になる ‐ ‐ ‐ 電子を誘導する「坂」で 外に押し出す (半導体を利用) + ‐ ‐ 電子の持つエネルギー 原子核& その他の電子 (全体はプラスの電荷を帯びた 「正孔」になる) 外部の電気回路で 気 仕事をする (エネルギーを放出) + 元のエネルギー準位に戻る 電子を押し流す力(電力)に変わる 専門的解説資料少々 専門的解説資料少 (大学の専門課程レベル; 興味ない人は「太陽電池の性質 まで 興味ない人は「太陽電池の性質」まで 飛ばして下さい) 基礎知識:半導体 ‐ ‐ + 伝導帯 (電子が動きやす (電子が動きやすい エネルギー帯) 禁制帯(電子が存在しにくい) ‐ ‐ ‐ ‐ 価電子帯 (電子が動きにくい エネルギー帯) 伝導電子(ーに帯電) ー 電子の持つ 電 つエネルギ ギー 電子の持つ 電 つエネルギ ギー + 光(光子) ‐ + ‐ ‐ 正孔 (電子が不足している場所。 帯電) +に帯電) 光や熱によって価電子が励起され、伝導電子(自由電子)になる 基礎知識:導体・絶縁体・半導体(2) 電子の持つエ エネルギー ー 導体 絶縁体 半導体 伝導帯 (電子が動きやすい エネルギー帯) 禁制帯 (電子が存在しにくい エネルギー帯) ‐ エネルギー (光、熱など) ‐ ‐ ‐ ‐ 室温の熱エネルギーだけで ギ 電子が動ける (金属伝導) ‐ ‐ ‐ ‐ 価電子帯 (電子が動きにくい エネルギー帯) エネルギ 帯) かなり大きなエネルギーが ないと、電子が動けない (電流が流れにくい) ‐ ‐ ‐ ある程度のエネルギーで ギ 電子が動けるようになる ・「禁制帯」があるかどうかで導体とそれ以外が分かれる ・禁制帯の幅は、「価電子がどれだけ簡単に伝導電子になれるか」に影響する ・禁制帯の広さで半導体と絶縁体を区別(明確な境界は無い) + + p型半導体: わずかに正孔が過剰 Si Si ‐ ‐ n型半導体: わずかに伝導電子が過剰 Si Si Si B Si 電子 子の持つエ エネルギー ー 電子 子の持つエ エネルギー ー 基礎知識:n型とp型の半導体 p Si Si P Si Si 専門的な説明(1/4) p p型半導体 電子の足りない場所(正孔) が多い + + + + + + n型半導体 動きやすい電子(伝導電子) が多い - - - - p型とn型の半導体を 接合したもの =いわゆる「ダイオード」 - - 帯電する 接合する - + + + 接合領域 (空乏層) - - + + + - - + - + - - + - 電荷が打ち消し合う 電界 反発して 追い返される 専門的な説明(2/4) p型半導体 型半導体 + + + n型半導体 型半導体 接合領域 (空乏層) - - - つエネルギ 電 電子の持つ ギー (電 電位差) 内蔵電場によって追 い返される - 伝導帯 + + - 禁制帯 価電子帯 互いに結びついて 動けない電子と正孔 接合部分に電界が出来て安定する 専門的な説明(3/4) 光 p + - n 電子の持つエネ ネルギー 電子 - 伝導帯 光(光子) 禁制帯 + 正孔 価電子帯 帯 接合領域から伝導電子が叩き出される 専門的な説明(4/4) ‐ + + + p + i - - n - - 電子 子の持つエ エネルギー ー ‐ 電子が押し出される (起電力が発生) - ‐ (外部の電気回路) + ‐ 電界に押されて流れ出る 太陽電池の動作(まとめ) エネルギーを吸収した電子を 外に押し出す 電子が光から エネルギーを受け取る 光 ‐ ‐ + ‐ + ‐ ‐+ + 外の電気回路で 仕事をする (エネルギーを放出) ‐ + ‐ + + 薄くて広~いダイオード ( 型と 型の半導体を積層) (p型とn型の半導体を積層) 半導体を利用して、光エネルギーを電力に 体 ギ 直接的に変換する 太陽電池の性質 ・光を直接(回転運動とか熱とか蒸気を介さずに) 電力に変換 → 音や振動がない、排ガスもない → 信頼性が高い ほとんどメンテいらず → 信頼性が高い、ほとんどメンテいらず → 燃料いらない ・入射している光のエネルギー量に応じて発電 入射している光のエネルギ 量に応じて発電 → 蓄電機能はない 科学技術の固まり、太陽電池 太陽電池に関連する学問: 数学全般、電子物性工学、光物性工学、 電磁気学、半導体工学、光工学、量子力学、 電気工学 電力工学 制御工学 情報工学 電気工学、電力工学、制御工学、情報工学... みかけは単純だけど奥が深い(ハマる)! 単純 ど奥が 本日の構成 なぜ今、太陽光発電か? 太陽電池の原理 太陽電池 種類と製造法 太陽電池の種類と製造法 太陽電池の性能と使いかた 太陽電池 現状 将来 太陽電池の現状と将来 太陽電池の基本構造 色素増感太陽電池 pn接合型太陽電池 光 - - n型半導体 + p型半導体 + 多くの太陽電池がこの型式です 半導体 (TiO2) 色素 電解質 どちらも光のエネルギーを直接電気エネルギーに変換しますが、 基本的な構造は異なります。 太陽電池の分類(材料別) 現在の主な太陽電池の材料による分類 単結晶シリコン 結晶シリコン 多結晶シリコン アモルファス シリコン 微結晶シリコン シリコン系 太陽電池 III V族多接合 III‐V族多接合 (GaAsなど) 化合物系 (薄膜シリ (薄膜シリコン) ) 多接合型、 ヘテロ接合(HIT)型 CIGS系 CdTe 色素増感 有機系 有機半導体 mc‐Si 太陽電池の分類(形態別) ・厚みによる分類 結晶シリコン太陽電池 薄膜太陽電池 ・接合数による分類 素子の厚み:50~300μmぐらい 現在の主流です 素子の厚み:数ミクロン以下 省資源で、フレキシブルなものも造れます 今後普及が進む見込みです 単接合型太陽電池 市販品の多くがこの型です 多接合型太陽電池 特性の違う太陽電池を複数重ねて 性能を高めた型です pn接合型太陽電池 殆どの太陽電池はこの型です 色素増感太陽電池 これだけはちょっと動作原理が 違います ・動作原理による分類 各種太陽電池の特徴 単結晶シリコン 多結晶シリコン 薄膜シリコン 薄膜シリ ン HIT CIGS CdTe 色素増感 有機半導体 III‐V属多接合 変換効率 ◎ ○ △ ◎ ○ △ △ △ ◎◎ 省資源性 フレキシブル化 価格低下余地 △ × △ △~○ × ○ ◎ ◎ ◎ ○ × ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ○ ◎ △ ◎ ◎ ◎ ◎ △ △ △ それぞれ特徴がある(得意とする応用分野も異なる) 結晶シリコン太陽電池 モジュール 高純度シリコン 純度 セル (15cm角 (15cm角、 200μm厚ぐらい) ・現在最も普及している太陽電池 現在最も普及している太陽電池 ・変換効率: 単結晶:20~22% 多結晶:15~18% 多結晶:15 18% 将来:25%? ・LSIなどの半導体に使われるより 純度の低いシリコンを使用 純度 低 を使用 結晶シリコン太陽電池の構造例 光 高濃度ドープn型領域(n+) 光閉じこめ用 テクスチャ構造 酸化膜 裏面電極 電極 反射防止膜 反射防止膜×2 n型シリコン p型シリコン 厚み: 150~200μm 高濃度ドープp型領域(p+) ・厚み0.15mmほどのシリコン結晶ウエハから造る ・見た目は単純な黒っぽい板だが 中身は最新技術の塊 ・見た目は単純な黒っぽい板だが、中身は最新技術の塊 モジュール(パネル)の構造 太陽電池(セル) 電線(バスバー電極) 必要な電圧を得るため、 必要な電圧を得るため 複数のセルを直列接続します セル(結晶シリコン太陽電池) 一辺10~20cmほどの大きさ 辺10 20cmほどの大きさ 強化白板ガラス 樹脂(EVA) バックシート(樹脂など) フレーム(金属枠) (金属枠) モジュール(パネル): ガラスなどでセルや電極を保護します ストリング、アレイ モジュールを何枚か接続したものを ストリング( i )と呼びます。 ストリング(string) 直流で数十~数百ボルトの電圧を 発生します。 ストリングをいくつも並べたものを アレイ( アレイ(array) )と呼びます。 びます 接続箱 発生した電力はパワーコンディショナーで 家庭など 使 する交流 変換 ます 家庭などで使用する交流に変換します。 (直流、数百ボルト) (交流) パワーコンディショナー ヘテロ接合シリコン型(HIT型) 太陽電池 構造例 太陽電池の構造例 光閉じこめ用 微細テクスチャ構造 (両面とも) 光 +電極 導電膜 p型、i型a‐Si n型c‐Si 厚み:85~200μm 厚み:85 200μm i型、n型a‐Si 導電膜 -電極 光 結晶シリコンだけの場合より変換効率が高く、温度特性も良い シリコンの使用量も減らせる 使 量も減ら る 両面から受光して、周りからの散乱光も利用できる 薄膜シリコン太陽電池 多接合型の応用例 (提供:富士アドバンストテクノロジー株式会社) ・最近、シェアを伸ばしています 高温に強い 薄くて省資源 大きめの面積が要るけど安価 フレキシブルにもできる 屋外用アモルファスシリコンモジュール (提供:三菱重工業株式会社) ・変換効率: 変換 単接合:6~8% 多接合:10~12% 将来 15%以上? 将来:15%以上? 薄膜シリコン太陽電池の基本構成 光 基板(ガラス、プラスチックなど) SnO2透明電極 i型アモルファスシリコン (ドーピングされていない、 純粋なアモルファスシリコン) アルミ電極 p型アモルファスシリコン 1μm未満 n型アモルファスシリコン アモルファスシリコン太陽電池の構造例 光 基板 SnO2透明電極 p型層 i型層 型層 n型層 バッファ層 i型層 電極 p型層 2~3μm 2 3μm n型層 多接合型薄膜シリコン太陽電池の構造例 アモルファスシリコン太陽電池 ァ リ 太陽電池 (青色や緑色の光を利用) 微結晶シリコン太陽電池 (オレンジ色や赤色の光を利用) 薄膜シリコンの製法 (プラズマCVD法) ※CVD = Chemical Vapor Deposition (化学気相成長法) アノード(電極) ホルダー(支持金具) 原料ガスのプラズマ 基板 製膜容器 製膜容 カソード(電極) 原料ガス (SiH4/H2) 排気 基板にプラズマ状にした原料ガスを照射して、シリコンを堆積させます。 大きな面積の基板にも、連続的に製膜できます。 薄膜太陽電池モジュールの構造 EVAやガラスで保護すると 「モジュール」(パネル)になります。 薄膜太陽電池の場合、いくつものセルが 直列接続された、大きな素子を一度に造ることができます。 この太陽電池がむき出しの状態の素子は 「サブモジュール」や「サーキット」と呼ばれます。 ブ ば 透明電極(ZnO) バッファ層(ZnS, InSなど) 光吸収層(CIGSなど) 裏面電極(Moなど) - + 2~4μm 基板(青板ガラス、プラスチック、金属箔など) 0.05~2mm 0 05~2mm ぐらい CIGS系太陽電池モジュールの構造例 バックシ トでなく、基板のガラスが バックシートでなく 基板のガラスが 裏面材料を兼ねることもあります。 薄膜太陽電池の製造手順例 基板の上に半導体薄膜を積み重ねながら、同時に直列接続構造も造りこみます。 基板 (ガラス、プラスチック、 セラミックス、金属箔など) 光吸収層(半導体)製膜 スパッタ、気相成長(PVD)、 気 長( ) 化学気相成長(CVD)などを 用います。最近は印刷の 様な手法を用いる製品も あります あります。 裏面電極製膜 切り分け(スクライビング) スパッタ法などを 用います。 す 直列接続の構造を造るため、 レーザや刃物でセルを切り分けます。 ザ 物 を す スクライビング 透明電極等製膜 ((スパッタ法など) ッタ法な ) (ひとつのセル) スクライビング&電極取り付け ←(この図では3つのセルが 直列接続になっています。) 薄膜だと何が嬉しい? 直列接続構造を造りやすい (製造コスト抑制、高性能・高信頼性化) (製造コスト抑制 高性能 高信頼性化) 薄くて軽い (省資源、フレキシブル可) ……… ……… 数 数m角 大面積基板を使った量産が可能、任意形状に対応可能(コストダウン、デザイン性向上) フレキシブルだと何が嬉しい? 「曲がる」ことは実はさほど重要ではない。 もっとも大きな利点は「軽い」ことである(ガラスや金属枠がない) 体育館やスレート葺きなど 強度のない屋根 人工衛星 移動体 高速道路の防音壁 マンションのベランダ アモルファスシリコンでの実例 スレート建材に貼り付けたモジュール フレキシブルモジ フレキシブルモジュール ル (提供:富士電機アドバンストテクノロジー社) CIGS太陽電池 軽量フレキシブルCIGS太陽電池 (当センター作製。フレキシブルな (当センタ 作製 フレキシブルな セラミックス基板などの上に太陽電池を形成) 変換効率:17%以上 CIGSS太陽電池モジュール (ガラス基板上に形成) (提供:昭和シェルソーラー株式会社) いろんな長所を併せ持つ新型の太陽電池、これから普及が見込まれています CIGS太陽電池の製法 同時蒸着法 (最も高性能) 印刷法 (最も安価) (加熱) 原料粒子塗布 基板 基板 (加熱) 原料蒸発源 セレン化(硫化)法 (中間的な性能と価格) 基板 金属(Cu,In,Ga) スパ タ源 スパッタ源 (加熱) セレン(硫黄)源 セ ン(硫黄)源 低価格品から高性能品まで様々な製法があります 色素増感太陽電池 透明電極 透明電極 半導体 (TiO2) 色素 電解質 製造が簡単で、カラフルな太陽電池 変換効率と耐久性の向上が目下の焦点です 有機薄膜太陽電池 p型とn型の有機半導体を 混ぜ合わせて塗布したもの 基板+電極 太陽電池 電極 ・最近研究が始まった太陽電池 ・構造が単純で、「塗る」だけでも製造できる が ・カラフル、フレキシブル、軽量 ・変換効率はまだ数%程度だけど、 玩具などから実用化が始まりそう (Konarka社など) ・将来の超低コスト太陽電池の候補 多接合型太陽電池 利用する光の色が異なる太陽電池を積層(スタック)して、太陽光をより効率よく変換する n+InGaAs n+AlInP:Si n+InGaP:Si p InGaP:Zn p InGaP:Zn p AlInP:Zn p++++AlGaAs:C n +InGaP:Si n AlInP:Si n+InGaAs:Si p InGaAs:Zn p+++ InGaP:Zn p ++AlGaAs:C n InGaP:Si n+InGaAs:Si n+Ge p Ge基板 InGaP トップセル トンネル接合 InGaAs ミドルセル トンネル接合 &バッファ Ge ボトムセル 透明導電膜 n型バッファ 基板(ガラス) 透明導電膜 バッファ p a‐Si i a‐Si n a‐Si CuGaSe2 (Eg (Eg~1 1.7eV) 7eV) アモルファスSi トップセル バッファ p μ‐Si p μ‐Si i μ‐Si n μ‐Si 微結晶Si トップセル 透明導電膜 電極 CuAlO2 など n型バッファ CuInGaSe2 2 (Eg (Eg~1 1.1eV) 1eV) トップセル ボトムセル 裏面電極 基板 (青板ガラス、箔、ポリマー等) III‐V族化合物系スタックセル Si系スタックセル CIS系スタックセル 桁違いに高価だけど高性能 宇宙用/集光型システムなどで利用 積層型、ハイブリッド型等とも呼ばれます フレキシブルな製品などが販売されています 研究段階です Si系より性能が良くなりそう? (n+, p+ などの表記はドーピング濃度の違い; 電気的特性を微妙に変えてあることを示します) ("i" の表記はドーピングしていないことを示します; nとpの中間的な性質を持つ半導体層です) 集光型モジュール 光 レンズで数百倍に 集光 比較的高性能な太陽電池 (ハイブリッド型シリコン太陽電池や 化合物多接合型太陽電池など) ・高性能な太陽電池にレンズで集光した強い光を当てて発電 ・直射日光さえ豊富ならば、普通の平板型モジュールよりコストパフォーマンスが良い ・常に太陽を追尾させて使用(直射日光専門) 集光式システム (提供:大同特殊鋼/大同メタル/シャープ) 太陽を追尾し 直射日光を集光して発電する 太陽を追尾し、直射日光を集光して発電する 量子ドット太陽電池 n型層 量子ド ト 量子ドット 中間層 (大きさ:数nm~数十nm) 周囲と性質の違う半導体を 規則正しく並べる。 p型層 基本的にはpn接合の太陽電池ですが、入ってきた光を効率良く電力に変換するために 量子ドットと呼ばれる構造を入れます。これには現在の半導体に用いられる微細加工技術を さらに高度化する必要があり、最先端の技術開発が求められます。 これはまだ基礎研究の段階です。しかし将来的には現在の太陽電池(最高約40%)より高い 以 の変換効率や、さらなる トダウンを実現させるかも知れません。 60%以上の変換効率や、さらなるコストダウンを実現させるかも知れません。 各種太陽電池の性能向上 (多接合の超高性能品 はこの図に入っていない) 新型の太陽電池の性能が続々と実用域に。 各種太陽電池のシェア推移予測 太陽電池の技術別シェアの予測例 100% 市場 場シェア 新技術(有機系、新型 新技術 有機系 新 多接合、量子ドット利 用など) 薄膜シリコン、 CIGS, CdTeなど 50% 結晶シリコン 10% 0% 2005 (IEA, Energy Technology Perspectives, Sep 2008, Fig11.5より再作成) 2010 2020 2030 年 2040 2050 これまでは結晶シリコンが主体だったが、 結 が 体 が 今後は様々な種類のものが共存 本日の構成 なぜ今、太陽光発電か? 太陽電池の原理 太陽電池 種類と製造法 太陽電池の種類と製造法 太陽電池の性能と使いかた 太陽電池 現状 将来 太陽電池の現状と将来 太陽電池の性質(再掲) ・光を直接(回転運動とか熱とか蒸気を介さずに) 電力に変換 → 音や振動がない、排ガスもない → 信頼性が高い ほとんどメンテいらず → 信頼性が高い、ほとんどメンテいらず → 燃料いらない ・入射している光のエネルギー量に応じて発電 入射している光のエネルギ 量に応じて発電 → 蓄電機能はない 太陽光発電システムのライフサイクル ・発電用の燃料不要、排ガスも騒音も燃料価格変動もなし ・CO2排出は製造などの過程だけ、発電中はなし 温暖化ガスの排出量 バイオマス火力(森林) 26~62 水力 ・全て日本国内での見積もり。出典は当センターwebページ参照。 ・風力は設計寿命の20年、他は稼働期間30年で計算。 ・波力と海洋温度差のデータは古く、これよりも向上が予想される。 波力と海洋温度差のデ タは古く これよりも向上が予想される 11 地熱 15 再生可能 エネルギ エネルギー 25~34 風力発電(寿命20年) 太陽光発電(最新技術) 17~31 太陽光発電(旧来技術) 31~48 大幅削減(多くは数%まで減少) ~132 132 海洋温度差 ~91 波力 原子力発電 枯渇性 エネルギー ギ 10~29 化石燃料火力発電 0 0 200 200 400 400 600 600 519~975 800 800 1000 1000 発電量あたりの温暖化ガス排出量 (g‐CO2/kWh) 温暖化ガス(CO2)の排出量を数%以下に削減できる エネルギーペイバックタイム(EPT) ( ) 太陽熱温水器等(参考) バイオマス火力(森林) 水力 地熱 風力発電(寿命20年) 太陽光発電(最新技術) 太陽光発電(旧来技術) 1.3~2.3 1.9~5.3 0.60 0.97 0.56~0.79 再生可能 エネルギー 0 96~1 9 0.96~1.9 1.4~2.6 海洋温度差 波力 原子力 化石燃料火力 原子力(運転用燃料除く) 化石燃料火力(運転用燃料除く) ~6.0 ~3.75 (ペイバック しない) 0.40~1.3 0 2 1 4~5 0 1.4~5.0 4 6 枯渇性 エネルギ エネルギー 8 10 エネルギーペイバックタイム(EPT)(年) ギ バ タ 年 集計: AIST RCPV, 2008 ・全て日本国内での見積もり。出典は当センターwebページ参照。 ・風力は設計寿命の20年、他は30年。 ・波力と海洋温度差のデータは古く、これよりも向上が予想される。 エネルギー源としての性能も十分実用的 システム構成 直流 モジュール、 アレイ 直流 パワ コン パワーコン ディショナー (インバータ) バッテリ (充電して使用する場合) 送電網へ 逆潮流 (売電) 交流 100V 送電網から 買電 設置した建物内で使用 家庭での太陽光発電の利用法 昼間: 余剰電力を売電 太田市「パルタウン城西の杜」 (太田市土地開発公社 bペ ジより引用) (太田市土地開発公社webページより引用) 夜間、雨天: 夜間 雨天: 系統から買電 どこにでも設置できる 移動体 街路灯、信号灯 人工衛星 家庭・ 事業所 ・壁でも屋根でも 壁でも屋根でも ・冷却水がいらない、騒音や排ガスもない メンテナンスも基本的に不要で、高信頼性 高信頼性 ・メンテナンスも基本的に不要で ・規模を選ばない(効率変わらない) 使用例 電卓 駐車券販売機 建物の屋根 建材一体型 バス停の屋根に用いた例 採光窓に用いた例 駐車場の屋根材に使用した例 太陽電池は建物の屋根や壁、採光窓など 様々なところに取り付けることができます。 半透過型太陽電池 特にこのような建材一体型の太陽光発電 はBIPV (Building‐Integrated Photovoltaics) のアップ と呼ばれ、関連市場がこれから大きく拡大 すると予測されています。 事故や災害に強い 集中型の発電 影響量大 長期間 弱点: ・想定外のトラブルで止まりやすい ・影響範囲が広く大きい ・復帰するまでの期間が長い 小規模分散型の発電 影響量小 短期間 長所: ・システムが単純で止まりにくい ・個々のトラブルの影響範囲が狭くて小さい ・復帰するまでの期間が短い エネルギー自給率を高める 再生可能エネルギーは資源を持続的に国内で調達でき、 日本のエネルギー供給のリスクを低減します 本 供給 リ クを低減 す 枯渇性エネルギーの利用には 将来のリスク(コスト)が伴います 風力発電 太陽光発電 バイオマス 地熱 マイクロ水力 海洋温度差発電 : •輸入価格の変動 •政治的なリスク 政治的な •温室効果ガスの大量排出 •核燃料利用のリスク など 昼間の需要ピークの補助に最適 電力需要 発電出力 太陽光発電 原発など ・昼間の需要ピーク時だけ発電 →余らない →コストが上がらない が がらな 時間帯 余剰電力 (負荷追従した場合) 発電出力 ・稼働率が下がる ・余剰電力の処理が必要 余剰電力の処理が必要 →設備が増えるほど高コストに 時間帯 分散配置によるならし効果 雲 …… 広い範囲に分散した たくさんの設備の出力 くさ 備 =なめらかに変化 足りない分は他方式の 発電所でフォロー可能 出力 力 出力 力 個々の設備の出力 =急変する 急変す 時間 時間 分散してたくさん配置すれば、変動しても充分実用になる 変動とならし効果の実例 1 東京電力管内 約20箇所における一日の出力推移の例。 0.9 中央の赤線が平均。 iirradiance [kkW/m2] 08 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 03 0.3 0.2 0.1 0 時間[min] Time ST062 ST079 ST063 ST057 ST055 ST026 ST082 ST046 ST034 ST007 ST015 ST037 ST030 ST035 ST009 ST099 ST095 ST043 ST008 total ・雲の通過で、個々の出力は 激しく変動 ・数km以上離れると、 互いに打ち消し合う →合計ではずっと小さな 割合の変動に ・実際には数十万、数百万 箇所に導入される →これよりずっと滑らかに 速い出力変動は、送電網全体では大幅に均される (注:局所的な変動は別に検討・対策の余地あり) 導入の効果 電力 電力需要 太陽光 火力発電 : 1kWhあたり519~975gのCO2を排出 あ を排 (平均約690g‐CO2/kWh) 太陽光発電 : 1kWhあたり17~48gのCO2を排出 差し引き1kWhあたり 471~958gのCO2を削減 (平均約660g‐CO2/kWh) 24 時刻 ・需要にぴったり追従できるわけではないので、火力の発電所自体が減るわけではありません。 ・火力発電の燃料消費量を減らすことで 火力発電の燃料消費量を減らすことで、温暖化ガスの排出量を減らします。 温暖化ガスの排出量を減らします。 ・火力発電の発電量は特に昼間に多いので、太陽光発電が削減手段として適しています。 0 12 実際の削減効果はその時の電力需要や今後の電力構成の推移などによっても変化しますが、 大雑把な計算ならば660g‐CO2/kWhが削減効果の目安になります。 例えば100GWp(日本の年間発電量の約1割分)を導入したとしますと、 年間の排出削減量は約66Mt‐CO2/年になり、 ・日本の事業用電力由来のCO2排出量の約2割を削減できる ・日本全体のCO2排出量の約5%を削減できる ことになります。 温暖化ガスの排出を減らす手法 ・省エネルギー 省エネルギ 建物の断熱、車の燃費、機器の省電力化、... ・低排出なエネルギー源に切り替える 太陽光、風力、バイオマス、原子力、... ・二酸化炭素を捕まえる(固定する) 酸化炭素を捕まえる(固定する) 森林の育成・保全 二酸化炭素回収貯留(CCS) 酸化炭素回収貯留(CCS) ・生活様式の工夫 生活様式の工夫 車をやめて電車・バス・自転車... 1つの手法だけでは無理。いろんな対策を使う必要あり! 本日の構成 なぜ今、太陽光発電か? 太陽電池の原理 太陽電池 種類と製造法 太陽電池の種類と製造法 太陽電池の性能と使いかた 太陽電池 現状 将来 太陽電池の現状と将来 モジュール(パネル)価格の推移 (出典: IEA, IEA-PVPS) 900 80 70 太陽電池モジ ル 太陽電池モジュール 800 700 60 原油 600 500 50 40 30 原油 油輸入価格 格(米ドル/バレル) 典型 型的な太陽電池モジュールの価格 格(円/W) 日本における太陽電池モジュールと原油の価格変化 20 400 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 出典: 典 年 Indicative module prices in national currencies per watt in reporting countries, IEA‐PVPS Average Crude Oil Import Costs, IEA どちらに頼る方が経済的なリスクが少ない? どちらが産業としてより成長が見込める? 太陽光:価格低減の余地 コストを下げる技術は既に山のようにある(あとは普及させるだけ、という技術多数) → 技術自体はもう問題じゃなくて、大量生産・販売でコストを下げないとダメ 太陽光発電の市場予測 太陽光発電の導入量予測(累計) 300 1200 出典:EPIA, Solar Generation V, 2008 250 200 150 100 50 0 2007 2010 2020 2030 Advanced Scenario 2.4 6.9 56 281 Moderate Scenario 2.4 5.3 35 105 世界の累計導 導入設備量(G GWp) 量(GWp) 世界の毎 毎年の導入量 太陽光発電の市場予測例 100倍以上 1000 800 (世界の電力総需要量の5~7%を 供給できる設備量) 600 世界の累計導入量 400 200 (出典:EPIA, 2008年) 現在 市場規模: ~2000億ユーロ 市場規模: ~300億ユーロ 0 2010 2015 2020 年 2025 20年ほどで世界の電力の1割以上をまかなう とも可能 20年ほどで世界の電力の1割以上をまかなうことも可能 2030 世界の発電量に占めるシェア 世界 界の年間発 発電量(PW Wh) 各発電方式の発電量の予測( ) 各発電方式の発電量の予測(IEA) 60 50 40 30 20 10 0 再生可能 ネル 再生可能エネル ギー その他の再生可能エネル ギー 太陽光/太陽熱 風力 バイオマス 水力 出典:IEA, Energy Technology Perspectives, Sep 2008, Fig.2.15 2050年までに発電量の半分を再生可能エネルギーにする ギ 必要性が指摘されている(挑戦的だが実現可能) 世界の状況 1500 (出典:PV News) 1250 日本 年間生産 産量(MWp) ヨーロッパ 1000 アメリカ その他 750 500 250 米国 (Nellis空軍基地、15MW) 0 (出典:Wikipedia) 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 年 日本以外の地域は急速に増加中 (多くは「フィードインタリフ制」を活用) 日本の状況 日本における太陽光発電設備の年間導入量 日本における太陽光発電と風力発電の 2006年までの導入実績および目標 100 0.30 太陽光目標 50~100GWp、検討中 0.25 0 5 追加設備 備容量(GWp) 総設備容量(GWp) 80 60 風力 太陽光 40 風力目標 (3GWp) 20 0.10 0.00 0 2000 0 15 0.15 0 05 0.05 ↓導入実績 1990 0.20 2010 年 2020 2030 注:GWp = ギガワットピーク 50~100GWp分の太陽光発電設備は 日本の年間総発電量の約5~10%分に相当 日本の年間総発電量の約5 10%分に相当 1996 1998 2000 2002 年 2004 2006 出典: ・ IEA‐PVPS Trends in photovoltaic applications. Survey report of selected IEA countries between 1992 and 2006 ・日本における風力発電導入量の推移(NEDO, 日本における風力発電導入量の推移(NEDO, 2007.3) 2007.3) 2005年まで新エネルギー財団による助成で順調に拡大 助成制度 無くな 助成制度が無くなって減速 減速 目標達成には全く足りないペース (技術はあっても政策で負けている) 2008 日本で導入可能な量 住宅(戸建て・ 公共施 産業施 未利用 合計 集合) 設 設 地など 標準ケー ス 技術開発 前倒し ケース 潜在量 62 10 10 19 102 755 14 53 660 202 207 14 291 7473 7984 単位:GWp (ギガ・ワットピーク) (ギガ ワットピ ク) 出典:NEDO 平成17年度版 新エネルギー関連データ集 (200GWpは国内電力総需要の約2割を供給でき る設備量) 日本の全電力需要量の2割を供給できる。 晴れ 晴れた日の正午前後なら、殆どの電力需要を賄うこともできる。 午前後な 殆ど を賄う も き 置く場所はもっとあるけれど、それ以上は昼間の電力が余るので当面は不要。 日本の今後の課題 ・温暖化の危険性の認識: もう逃げていられない(デマに振り回されないこと) ・温暖化への対処方法を知る: 省エネ、再生可能エネルギー、原子力、CCSなど たくさんの手法の長所を組み合わせて対処する必要あり 手間とお金をかける覚悟が必要 ・新しい市場ルールの構築: 石油の使用量ではなく、「二酸化炭素の排出量」が 市場の基準になる 変化を促す政策が必要 慌てず急げ! まとめ 太陽光発電は重要なエネルギー源である ・技術的には太陽電池だけでも全世界に充分なエネルギーを供給できる 技術的には太陽電池だけでも全世界に充分なエネルギ を供給できる ・温暖化対策やエネルギー確保で困ったら、人類には太陽光がある 太陽光発電は重要な産業である ・自動車産業並の規模になり、経済の一部となる ・もちろん景気対策としても有効、地域経済にも貢献する もちろん景気対策としても有効 地域経済にも貢献する ・他の産業への波及効果も考えると恐ろしく影響が大きい (しかも国の肩入れが公認されている) 太陽電池の原理を完全に理解するには大学の専門課程の教育が必要 ・勉強しましょうね(はぁと) ご静聴有難う御座いました 御 光(光子) ‐ 電子 + 参考資料いろいろ 太陽光発電全般 ・産総研 太陽光発電研究センターの解説「太陽光発電とは」 http://unit.aist.go.jp/rcpv/ci/about_pv/index.html ・入門書「トコトンやさしい太陽電池の本」 入門書 ンやさ 太陽電池 本」 …後半部から読んで下さい(汗 後半部 ら読 下さ (汗 http://pub.nikkan.co.jp/cgi‐bin/html.cgi?i=ISBN978‐4‐526‐05795‐3 ・太陽電池の現状・未来と教材化(PDF) … 中高の理科教員の方々へ向けた講演で使用した資料です。 http://ksakurai.nwr.jp/R/slides/PV4Education‐20071212.pdf ・政策的状況の簡単な整理記事 政策 状況 簡単な 記事 http://premium.nikkeibp.co.jp/em/column/toichi/30/index.shtml ・「フィードインタリフ制度」(固定価格買取制度)に関する櫻井の分析と私見 http://ksakurai.nwr.jp/R/slides/WhyFIT/ 温暖化問題全般 ・ココが知りたい温暖化(国立環境研究所) http://www‐cger.nies.go.jp/qa/qa_index‐j.html ・環境省パンフレット「STOP THE 温暖化 2008」 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/stop2008/index.html ・地球温暖化への懐疑論に関する考察 http://web.sfc.keio.ac.jp/~masudako/publ/geosci/kaigiron.html ・図解雑学 地球温暖化のしくみ http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4816345140/ 対策指針 ・日本低炭素社会のシナリオ 二酸化炭素70%削減の道筋 http://www.mizuho‐ir.co.jp/book/0806_lowcarbon.html
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