平成27年度 事業概況報告

平 成 27 年 度
事 業 概 況 報 告 ( 案 )
Ⅰ.はじめに
政府は、
「我が国の構造的な問題である少子高齢化に真正面から挑み、
「希望を生み出す強い経済」
、
「夢をつむぐ
子育て支援」
、
「安心につながる社会保障」の「新・三本の矢」の実現を目的とする「一億総活躍社会」の実現に向
けて、政府 挙げて取り組んでいきます。
」と宣言し、女性の一層の社会進出の後押しをしようとしております。今
年の 2 月中旬に、《 保育園落ちた日本死ね! 》と題した匿名のブログが世間の注目を集めています。1億総活躍
社会のかけ声とは裏腹に、なかなか解消しない待機児童問題を指摘する内容で、国会でも大きく取り上げられまし
た。
このことは、30,40 年前から人口統計で、少子化が大いに予想され、生産年齢人口(15−64 歳)が減少に転じ、
生産と消費の主体である青年・壮年層が急減し、全般的に経済活動が委縮すると言われてきたのに、政府はなんら
有効な手立てを打てず、21 世紀になり超少子化が顕著になり、泥縄政策でその場しのぎの結果であります。
さて、待機児童問題に関わる保育士数について少し述べたいと思います。地 域 の 比 較 で 、 人 口 当 た り の 保
育 士 数 を 考 え た い と 思 い ま す 。こ れ は 厚 生 労 働 省「 社 会 福 祉 施 設 等 調 査 」の 常 勤 保 育 士 数( 2014
年 10 月 1 日 時 点 ) を 総 務 省 「 平 成 22 年 国 勢 調 査 」 の 乳 幼 児 人 口 、 す な わ ち 0∼ 6 歳 人 口 ( 2010
年 10 月 1 日 時 点 )で 割 っ た 数 値 で あ り ま す( 1 歳 刻 み の 人 口 は 国 勢 調 査 で し か 分 か ら な い た め 、
こ こ で は 平 成 22 年 国 勢 調 査 を 用 い る ) 。
こ の 数 値 が 高 け れ ば 、産 後 女 性 の 復 職 を ソ フ ト 面 で 支 援 す る 保 育 士 が 豊 富 な 地 域 で あ る と 解 釈
で き ま す 。 「 0∼ 6 歳 人 口 1 万 人 当 た り の 保 育 士 数 」 は 全 国 平 均 で 440 人 存 在 す る 。 都 道 府 県 別
に 見 る と 、ト ッ プ 5 は 島 根 県( 848)、高 知 県( 760)、青 森 県( 741)、鳥 取 県( 733)、石 川 県
( 703)と い っ た 地 方 圏 が 占 め て い ま す 。他 方 、ワ ー ス ト 5 は 、千 葉 県( 322)、神 奈 川 県( 333)、
埼 玉 県 ( 339) 、 愛 知 県 ( 345) 、 兵 庫 県 ( 346) と い っ た 都 市 圏 が 占 め て い ま す 。 巷 間 言 わ れ て
お り ま す 都 市 圏 で の 保 育 士 不 足 が デ ー タ の 上 で も 確 認 さ れ ま し た が 、人 口 が 多 い 政 令 市 は も っ と
深刻であります。
な か で も 、 千 葉 市 ( 279) 、 さ い た ま 市 ( 282) 、 浜 松 市 ( 301) は 、 人 口 当 た り の 保 育 士 数 が
政 令 市 平 均 ( 390) を 大 き く 下 回 っ て お り 、 保 育 士 不 足 が 特 に 顕 著 で あ り ま す 。
な ぜ な ら 、個 々 の 自 治 体 の「 部 分 最 適 」で 保 育 所 を 増 や し て も 、待 機 児 童 を 抱 え る 世 帯 の 流 入
や 潜 在 需 要 の 顕 在 化 に よ っ て「 供 給 が 需 要 を 生 み 出 す 」結 果 に な り か ね な い か ら で あ り ま す 。最
悪 の 場 合 、待 機 児 童 が 減 ら な い ば か り か 、か え っ て 増 え て し ま う ケ ー ス も 考 え ら れ ま す 。( こ れ
は保育だけでなく介護についても当てはまります)。
我が国は、選挙を通じての議院内閣制であり、戦後、高度経済成長とともに、長い間 投票率の高い高齢者に与
する社会保障政策がとられ、一方 天下り 霞ヶ関官僚の施策に係る机上立案により、賃金を上げるための大きな要
素である経済成長にとって、大いに左右される出生数 や 産む性である女性の社会進出などの政策課題が、なおざ
りにされてきたことにあります。
保育園経営は地域差が大きい。地方では全く困らない地域もありますが、都市圏では認可保育園が全く不足して
いる地域もあります。その原因は土地が見つからないほか、規制緩和していないという理由もあります。また保育
士の賃金の低さがある。民進党は月 5 万円のかさ上げを要求していますが、姫路市でも 市民の子弟である入所児童
は同じですが 53 万人の納めた市民税で補填された市立保育所の正規保育士 と 私立の認可保育所の同上保育士と
は 倍以上の収入格差があります。( 平均勤続年数は違います。 )現行の保育所負担金収入の体系では 志はもっ
ているが、永年勤続しても「生活できない」から 保育士を辞めたという人が多いのが実情であり、そのことが問題
でもあります。
Ⅱ.27 年度 事業概況について
4 月 5 日付の日経新聞の電子版に、厚生労働省と財務省は保育所の経営効率を高める仕組みづくりの検討に入っ
たとの記事が以下に掲載されていました。両省はグループ経営や管理部門の集約を進める事業者に運営費を加算す
る案を軸に検討するとのことです。
全国にある認可保育所のうち約5割は社会福祉法人が経営するが「1法人1施設」が一般的で経営効率の改善が
課題になっております。規模の小さい保育所では経理や人事、総務といった多岐にわたる仕事を少人数で担当せざ
るをえず労働時間が長くなりがちです。
年末にかけて具体的な制度づくりをして来年度にも新たな仕組みを導入する方向です。保育所の運営費の7割前
後は国と地方が負担しており、
補助制度を見直せばグループ経営を促すことができると財務省などはみております。
賃上げによる処遇改善を進めて保育士が集まりやすくするのと同時に生産性を上げて必要な保育士数をできる
だけ抑える考えです。
上記の考えを先取りし、本年 4 月より特養ホーム「あおやま」を設置し、保老の複合経営をめざし、保育士資格
の上に、介護福祉士 等の資格を習得し、健康である限り、生涯現役で 就労可能な職場づくりと 将来のキャリア人
材の確保をもめざすつもりであります。
平成 28 年 3 月末の 各園・分園・歳児別 利用児童数 調書に報告しておりますように、白鳥保育園 103 人、 八
幡分園 42 人 小計 145 人、 白鳥南保育園 70 人、 下手野分園 16 人、 小計 86 人、青山保育園 183 人、市役所
北分園 47 人 小計 230 人、
計 461 人でありました。
その 三ヶ園合計の歳児別内訳は、3歳未満児である 0、1、2 歳児の児童数は 210 人(45.6%)で、3、4、5 歳児
が 251 人(54.4%)であり、その内 0 歳児は 49 人(10.6%)
,1 歳児 82 人(17.8%)
,2 歳児 79 人(17.1%)で、
3,4,5歳児の利用児童数は 各 15%∼20% 範囲内でありますが、白鳥保育園・白鳥南保育園の利用児童数が 周
辺地域の 0 から 5 歳児の児童の母数が減少しているのと比例して 年々 微減しています。
序で記載しましたように保育士の確保が困難であるため、28 年度の申し込み入所希望児童数は、三か園合計では、
開設以来、一番多い申し込み数 ( 青山保育園・分園の申し込み数 300 人近く )にも 関わらず多数の待機児童 あ
るいは 該法人設置経営施設以外の 保護者が選択していない他の保育園への入所になったことは、誠に残念なこと
であり、申し訳なく思っております。
さて、本年は 特養ホーム「 あおやま 」の建設・設備整備に伴い、介護福祉士・看護師はじめ 職員確保に奔走
した結果、世間では介護職不足と言われる中で、3 月 31 日現在、正規・非正規 併せて 65 人の要員が確保できまし
たことは、大変悦ばしいことであります。
平成 28 年 4 月 1 日付で、該 姫路市より認可を受け、入所者受け入れを始める予定であります。
Ⅲ.終わりに
保育所 や 特養ホームは 日本国民・地域住民の需要 や 認知度も高いため、福祉関係 諸施設のなかでも注目さ
れやすいと考えております。
本年 4月はじめに、社会福祉法の改正案が衆議院で可決され、来年4月より施行されます。
その内容は、社福法人には、福祉サービスを積極的な提供、経営組織の見直し、事業運営の透明性の向上、財務
規律の強化 等を 求めています。
急速に少子・高齢化が進捗する中で、保育所 と 特養ホームという多様な施設活動を支えるためにも 経営・財
務の基盤を より安定したものにしていくことが 重要になっていくものと考えております。
併せて社会貢献も求めており、これらにも 対応したいと考えております。
論語、里仁篇 には、子曰、徳不孤、必有鄰、 「 子の曰わく、徳は孤ならず。必らず隣あり。 」 孔子はい
われた、
「 道徳は孤立しない。きっと親しい仲間ができる 」という教えを踏まえ、道友の士が できることを信じ、
日々 の各福祉事業運営に 取り組んでいきたいと念じております。
以上