OSSを利用したシステム構築の企画・設計・ 構築・試験・運用までの全て

エンタープライズICT総合誌 月刊ビジネスコミューニケーション(Webサイトへ)
特集 OSSのメリットを最大限活かす利用法と最新ソリューション
NTTデータ先端技術
OSS を利用したシステム構築の企画・設計・
構築・試験・運用までの全ての工程を支援
業システム向け OSS ミドルウェア
性・可用性・保守性を提供する HA
の開発・整備を推進。OSS で不足
クラスタリングソフトである
している運用管理機能等のミドルウ
「Heartbeat 2」を普及させるため、
ェアを補強し、ミドルウェアも含め
NTT OSSセンタと協力した取組みを
技術者集団として、OSS について
たフル OSS システムの品質保証、
行っている。Heartbeat は、OSS の
の内部構造の解析、検証も含めた高
製品相互の組み合わせによる動作保
HA クラスタリングソフトの中で最
度な技術コンサルティングサービス
証も行い、OSS 利用の不安や制限
も利用実績の多い製品であり、最新
から、Linux OS や PostgreSQL、
を払拭する OSS のワンストップサ
版のバージョン 2 では商用製品に匹
Tomcat、Heartbeat といった OSS
ービスを提供している。以下、同社
敵する高機能とカスタマイズの柔軟
ミドルウェアを用いたシステム構築
の代表的な OSS ミドルウェアやサ
性を持っている(図1参照)
。
に必要な情報収集、性能測定、トラ
ービスなどを紹介する。
OSS の適用領域拡大に取り組む
NTT データ先端技術
NTT データ先端技術は、OSS の
NTT データ先端技術は本年 10 月
に 、 NTT OSS セ ン タ と 協 力 し 、
ブルシューティング等のサービスま
HA クラスタリングソフト
「Heartbeat 2」普及に向けた取組み
Heartbeat の日本語公式サイトを開
ウェアを用いたアプライアンス製品
OS やデータベースなどの領域に
活動を支援することで更なる利用者
「コリドラボックス」「astima」を
ついては、Linux、PostgreSQL と
開発し、独自の OSS 製品展開を行
いった OSS がかなり普及してきて
「NTT OSS センタと協力し、お
っている。同社は、OSS の更なる
いる。しかしサービスのダウンタイ
客様のシステムへの導入支援(事前
適用領域の拡大と普及に向けて、企
ムを短縮する高可用ミドルウェアに
検証、設計支援)、不具合解析とい
ついてはまだま
ったサポート対応、および不足機能
だ不足しており、
の開発などを実施しています。検証
企業向けシステ
や不具合解析を通して発見されたバ
ムにおいてその
グや改善点、独自に開発した機能な
必要性は今後ま
どをコミュニティにフィードバック
すます高まると
し、コミュニティと連携した活動を
考えられている。
行っています。今後は、Heartbeat
NTTデータ先端
2 の開発者コミュニティとの連携と
Heartbeat 2
技術では、このよ
内部構造の理解をさらに深めること
OS (Linux)
うなニーズに対し
により、障害原因の究明にソースコ
て、Linux を用い
ードを解析しパッチを提供する、な
たシステムに信頼
どの OSS のメリットを活かしたサ
でを提供している。また、Linux
OS や Asterisk といった OSS ミドル
アプリケーションサーバ
①通常はサーバAで
サービスを提供
③切替後はサーバBで
サービスを継続して提供
②サーバAでの故障を検知し、
自動的にサーバBへの切替を行う
故障発生
データベース
監視
Heartbeat 2
データベース (待機)
共有
ディスク
監視
OS (Linux)
サーバA
サーバB
図 1 Heartbeat2 とは
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設。今後日本におけるコミュニティ
数の拡大と普及を目指す。
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NTTデータ先端技術
ポート体制を構築します。それによ
イアントの動作を模倣できるような
り、お客様に安心して OSS を利用
軽量性、などが不足していた。また、
したシステムを導入していただける
Java AP サーバのベンチマークに使
よう、支援していきたいと考えてい
用できる共通なアプリケーションも
ます。」(技術開発ビジネスユニット
無かった。
森 啓介シニアコンサルタント)
NTTデータ先端技術㈱
オープンソース事業部
技術開発ビジネスユニット
シニアコンサルタント
このような課題に対して、NTTデ
森 啓介氏
ータ先端技術は、Web性能測定・結
Web 性能評価ツール JBento を活用
した Web 性能測定サービスの提供
果解析・グラフ化作業をサポートす
NTTデータ先端技術では、OSSの
JBentoを開発した(図2参照)。
る AP サーバのベンチマークツール
NTT データ先端技術㈱
オープンソース事業部
技術開発ビジネスユニット
シニアコンサルタント
アプリケーションサーバ(以下APサ
JBento の開発は、IPA の OSS 活
ーバ)JBossやTomcatの性能検証を
用基盤整備事業として開始。次のよ
行い、数多くのノウハウを培ってき
うな機能を作成した。
た。それらを活用し、APサーバのみ
・測定の自動化スクリプト
の性能測定だけでなく、顧客の要望
・数千疑似クライアントの動作を模
ウハウを活かし、サービスメニュー
に合わせたシステム全体の性能測定
倣できる軽量な負荷生成モジュー
を整備して NTT データグループ外
サービスも行っている。その際には、
ル JBentoGohan
向けの Web 性能測定サービスとし
金子 崇之氏
NTTデータ先端技術で開発したOSS
・ Java AP サーバのベンチマークに
て展開していきます。」(技術開発ビ
の測定ツール JBento(Java
使える JBentoStore アプリケーシ
ジネスユニット 金子 崇之シニア
Benchmark Toolkit)を使用している。
ョン
コンサルタント)
Web の負荷をかけるだけの OSS
「JBento は、Web の性能測定から
JBoss クラスタのチューニングの
ツールは既に存在する。しかし、①
レポート作成までを行うことができ
際には、JBoss コミュニティと協働
性能測定で煩雑な、様々なパラメー
る自動化された便利なツールです。
している NTT データ先端技術。
タ変更・繰り返し測定・レポーティ
すでに NTT データで開発した EC サ
JBento サイト等の整備も積極的に
ングの自動化機能、②数千疑似クラ
イトにおいても、性能測定の際に使
行い、利用者および開発者の増加を
用しています。負荷ツール
「今後は、AP サーバ以外にも
ス料を取るようなことはし
PostgreSQL などのデータベース固
ません。ツールが出力した
有の監視機能も追加し、OSS 活用
レポートに対してどのよう
の推進にも力を入れていきます。
に考察するかが、ノウハウ
OSS を活用する最大のメリットは、
であり、価値がある事だと
ホワイトボックスで内部構造を解析
考えています。今後は、プ
できることです。JBento を活用し、
ロジェクト案件の中で判明
ホワイトボックスならではのきめ細
した不足機能の開発や、測
かな解析、チューニングを行うサー
定対象の拡張を行っていき
ビスを提供したいと考えています。
」
ます。そして、Web 性能測
図 2 Web 性能評価ツール JBento
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目指す。
自体に価値を置きライセン
(金子 崇之シニアコンサルタント)
定の分析、考察といったノ
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特集 OSSのメリットを最大限活かす利用法と最新ソリューション
オールインワン型アプライアン
スサーバ「コリドラボックス」
を開発、販売を開始
は、多くのパ
ートナー様と
の協力により
できてきたビ
NTTデータ先端技術は2007年7月、
ジネスです。
OSSを活用したオールインワン型ビ
また、コリド
ジネスサーバアプライアンス「コリ
ラボックスは、
ドラボックス」を販売開始した。
パートナー様
NTTデータ先端技術㈱ オープンソース事業部 アプリケーションビジネスユニット
(左から)
ビジネスユニット長 山中
顕次郎氏
織恵氏
チーフコンサルタント 落合 秀俊氏
マーケティングマネージャー 都野
コリドラボックスは、
「一台で社内
各社の製品や
の情報系サーバに必要な機能を網羅」
ソリューショ
し、かつ「導入・管理が簡単」なオ
ンと組み合わせて、より価値を高め
載している。各機能はアカウント管
ールインワン型のアプライアンスサ
られる製品です。」(アプリケーショ
理のコンポーネントを共用すること
ーバ。信頼性の高いハードウェアに
ンビジネスユニット 山中 顕次郎
で緊密に連携し、高機能なITサーバ
優れたアプリケーションソフトを搭
BU 長)
として活用できる。また、標準搭載
された操作性の高いWebインタフェ
載。ビジネスインフラをすばやく提
供できる。この製品は、NTTデータ
●自動バックアップ機能を搭載、社
ースや自動バックアップ機能などが
先端技術の技術力とノウハウを駆使
内 IT サーバに必要な機能を全て
標準搭載されており、ユーザーの効
し、ソフト・ハードの選定・開発・
網羅
率的なIT活用を支援する。
検証を行ったスモール・ミドルビジ
コリドラボックス一台の中には、
コリドラボックスの基盤ソフトは、
サーバ機能として、ファイル・プリ
カナダ Net Integration Technologies
「NTT データ先端技術は、OSS を
ント・メール・ Web ・ FTP ・
社(以下、NITI 社)が開発した
活用したシステム構築、保守運用、
DHCP・DNS・LDAP、ネットワー
Linuxベースの自律運用型OS「Nitix
性能・機能検証や技術コンサルティ
ク機能として、ルータ・ファイアウ
ングなどのプロフェショナルなサー
ォール・リモートVPN ・ IPsec ・コ
現在の製品ラインナップは、コリ
ビスを提供してきました。そこで培
ンテンツフィルタ、さらにウイルス
ドラボックス SS ・コリドラボック
った豊富な OSS に関する技術力を
対策機能やオフィスコラボレーショ
ス S ・コリドラボックス M ・コリド
活かせる新規事業として、アプライ
ンを促進するWebベースのグループ
ラボックス LQ の4タイプを用意。
アンス製品の開発、販売を開始しま
ウェア「コリドラオフィス」といっ
ユーザー数や用途に合わせて選択で
した。コリドラボックスのビジネス
た、オフィスに必要な機能を全て搭
きる(写真1)
。
ネス向けアプライアンス製品だ。
(ニティックス)
」を採用している。
アプライアンスの OS ・ミドルウェアとして高い実績を誇る Nitix
NITI 社 Vice President
Brian Diamond 氏
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Nitix は、北米を中心に全世界で 15,000 以上の導入実績がある革新的なサーバ OS です。
NITI 社の成功の秘訣は、ソリューションとして様々な業界へ展開できたことだと考えてい
ます。北米市場の経験でわかったことは、SMB(Small and Medium Business)市場で求
められているソリューションは、使いやすく、設定が簡単であることです。このたび、
NTT データ先端技術と共同で Nitix の日本語版開発を行い、Nitix 製品の国内総代理店契約
を締結しました。日本国内における Nitix 製品の販売は、NTT データ先端技術とそのパー
トナーと共に、展開していきたいと考えています。
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NTTデータ先端技術
「コリドラボックスのひとつひと
機能に自動反映できます。リーズナ
つの機能は、サーバ製品としては目
ブルに、すばやくセキュアな IT 環
新しいものではありません。しかし、
境が実現できるということです。コ
バックアップ機能やアカウント管理
リドラボックスは、大手企業の部門
の統合機能など、必要だが忘れられ
サーバ、サテライトオフィス等の独
がちな機能を標準搭載しているとこ
立ネットワークのサーバとしての活
ろが、コリドラボックスの大きな特
用や中堅中小企業のオフィスの IT
長です。
」
(山中 顕次郎 BU 長)
化の促進を目的としています。」(ア
プリケーションビジネスユニット
●導入・管理が簡単、Web ブラウ
落合 秀俊チーフコンサルタント)
ザで簡単設定可能
●コリドラボックスに IP 電話連携
コリドラボックスの最大の特長は、
導入・管理が簡単、安心・リーズナ
を強化する「コリドラトーク」を
ブルなことだ。管理インタフェース
販売開始
は、Webブラウザで、コマンドを使
2007年9月、コリドラボックスの
図 3 コリドラトークの画面例
機能が利用可能となる(図3参照)。
astima の共同開発者である NTT
データ先端技術だからこそ可能な、
わず、簡単にシステム設定ができる。
オプションソフトウェア「コリドラ
astima の隅々まで知り尽くした技
Nitix の各機能の自動設定と連動し、
トーク」の販売を開始した。コリド
術者による「astima 開発サポート
管理を容易化することによりシステ
ラトークは、PBX のための OSS
サービス」も提供している。実現方
ム全体のTCOの削減が実現する。さ
「Asterisk」をベースにNTTデータ先
式のコンサルから astima の使用方
らに、Nitix独自の自動バックアック
端技術が共同開発し、NTTデータが
法まで、開発中に発生する疑問やト
機能でシステム全体のバックアップ
提供するオールインワンのひかり電
ラブルに迅速に対応する。
が可能。15分毎、1日毎、1ヶ月毎な
話ビジネスタイプ専用IPテレフォニ
「NTTデータ先端技術が独自に開発
ど複数世代のバックアップが自動で
ーサーバ「astima(アスティマ)
」と
した、ひかり電話ビジネスタイプの環
残せる。また、Nitixの各機能の設定
を緊密に連携させることで、実用的
境を疑似的に提供するエミュレータ
に連動して自動設定可能なファイア
なユニファイドコミュニケーション
『CTImate』も提供しています。
ウォール機能によって、社内のデー
システムの導入を短時間で実現。企
CTImateは、IP-PBX対応のCTIアプ
タの安全な保管を実現する。
業のIT活用とIP電話利用の活性化に
リケーション開発の効率化を支援しま
「社員の移動などによるユーザー
役立つ。コリドラトークの導入によ
す。
」
(アプリケーションビジネスユニ
の追加・削除などの際、コリドラボ
り、コリドラオフィスとastimaを連
ット 都野 織恵マーケティングマネ
ックスでは、高スキルな IT 管理者
動することができる。
ージャー)
がいなくても 1、2 分で完了し、ア
そこでユーザーは、①コリドラオ
フィスのアドレス帳からの
カウント設定が全
「クリック発信機能」、②コリ
ドラオフィスのアドレス帳の
内容を astima 対応の電話機
に反映する「アドレス帳連携
機 能 」、 ③ ソ フ ト フ ォ ン の
写真 1 コリドラボックス SS(左) コリドラボックス M(右)
ビジネスコミュニケーション
2008 Vol.45 No.1
「自動 SIP 設定機能」などの
お問い合わせ先
NTT データ先端技術㈱
オープンソース事業部
技術開発ビジネスユニット
(Heartbeat2、JBento)
Tel : 03-3534-4810
アプリケーションビジネスユニット
(コリドラボックス)
Tel : 03-3534-4812
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