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関東甲信越ブロック - 新潟大学医学部医学科

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エイズ UpDate ジャパン Vol.1, No.3 【関東甲信越ブロック版】
2000/1
AIDS UPDATE JAPAN 【地方版】
関東甲信越ブロック
新潟県の現状
講演会・講習会報告
…23
新潟 HIV 感染症講演会
甲信越 HIV 感染者歯科診療講習会
Vol.1 No.3 2000/1
[関東甲信越ブロック編集責任者]
新潟大学医学部第二内科 五十嵐謙一
E-mail:[email protected]
〒951-8520 新潟市旭町通り 1-754
TEL.025-227-0726
…21
FAX.025-227-0727
HIV抗体検査体験記
…26
身体障害者手帳取得時の
行政の対応について
…27
編集後記
…28
新潟県の現状
新潟大学医学部第二内科
五十嵐謙一
HIV 感染症に対するいろいろな取り組みにもかかわ
新潟県においては、図1に示すように、1994 年頃より
らず、我が国においても大都市を中心に患者数が増加
報告数が増え始め、1999 年になり日本国籍男性の報告
してきている。しかし、地方都市においては報告数は
数が多くなっている。
必ずしも多くなく、その実状は正確には把握されてい
病態別では、図2のように HIV 感染者、AIDS 患者と
ない。この度、新潟県の HIV 診療の実状について検討
も徐々に増加してきているが、日本国籍の報告に限っ
したので報告する。
てみると、1999 年になり、AIDS を発症して医療機関を
まず、厚生省動向委員会の報告により、新潟県にお
受診する男性のケースが急増している(図3)。
ける HIV 感染者/AIDS 患者報告を検討した結果を示す。
平成 11 年 12 月末現在で、新潟県の報告数は表 1 のよ
うに患者/感染者あわせて 56 件となっている。
新潟県における日本国籍の HIV 感染者/AIDS 患者報
告数を、性・年齢区分別に検討すると、図4のように
<21>
エイズ UpDate ジャパン Vol.1, No.3 【関東甲信越ブロック版】
2000/1
新潟県の現状
男性では、40-50 歳代の報告が多く、特に AIDS 発症者
査・手術等までが 9%で、陽性の場合拠点病院等に紹介
はほとんどがこの年代に集中している。一方、女性で
すると回答したのが 63%であった(図6)。
は 10-20 歳代に感染者の報告が集中しており、性的な
活動が盛んな年齢層への HIV 感染の拡大が推察される。
一方、HIV 診療の現状について、実際に HIV 感染者が
受診した経験があるかどうか尋ねたところ、20 病院が
動向委員会の報告からは、新潟県でも HIV 感染者の
経験有りと回答したが、実際に、アンケート実施時点
増加がうかがえるが、診療の実状についてははっきり
で診療を行っているのは 8 病院であった。これを、1998
しない。そこで、新潟県における HIV 診療の実状を把
年 2 月に行ったアンケートの結果と比較すると、経験
握するため、1999 年 11 月に県内の 136 病院に対しアン
のある病院は 5 病院増えたが、診療を行っている病院
ケート調査を行い、112 病院より回答が得られた。
には変わりはなかった(図7)。
図5に、HIV 抗体検査の実施状況についての結果を示
す。患者の希望や手術前検査を含め、HIV 抗体検査を行
っている病院が 68%で、行っている病院の中で、確認検
査で陽性例があった病院は、12 病院 16%であった。な
お、抗体検査にあたって、事前の説明・同意の確認は
ほとんどの病院で行なっているとの回答だったが、本
人の希望で説明を行わなかったと回答した病院が2病
院あった。
各病院で実際に診療されている患者を集計すると、
1998 年 2 月では全体で 18 名であったが、1999 年 11 月
では 27 名と増加していた。性別および国籍別では、日
本人男性が 11 名から 21 名と約 2 倍となっており、感
染経路別では、性的接触による男性が 5 名から 12 名と
増加していた(図8)。
HIV 抗体検査を行っている病院に対し、抗体陽性者に
また、年齢分布は、血液製剤による感染者は主に 10
対する対応について質問した。抗 HIV 療法まで自院で
∼30 歳代であったのに対し、性的接触による男性の感
対応すると答えた病院は 10 病院 13%、で、HIV を除く
染者は 30∼60 歳代に多く、女性の感染者は各年代に分
併発症までが 1%、相談・カウンセリングまでが 7%、検
布し、10∼20 歳代にもみられた(図9)。
<22>
エイズ UpDate ジャパン Vol.1, No.3 【関東甲信越ブロック版】
2000/1
講演会・講習会の記録
新潟 HIV 感染症講演会開催される
日時:平成 11 年 9 月 24 日
場所:新潟大学医学部有壬記念館
講師:大石敏寛氏(せかんどかみんぐあうと代表)
医療をとりまく環
境が大きく変化しつ
つあるなかで、特に
HIV 感 染 症 は 大 き な
問題を医療者に投げ
かけています。しかし、
現実には HIV 診療を
行っているのは特定
の医療者に限られて
いるため、一般の医療
者が HIV 感染者に接
しその問題点について考えてみる機会はあまり多くな
いのが現状です。
そこで、HIV 感染者の立場から、医療について意見
を伺うため、平成 11 年 9 月 24 日に、大石敏寛さん(せ
かんどかみんぐあうと代表、動くゲイとレズビアンの
会 PWA 特別代表等)に講師をお願いし、新潟大学医
以上、新潟県の HIV 診療の現状について報告した。
学部有壬記念館において講演会を開催しました。当日
新潟県においても HIV 感染は着実に拡大している。特
は、九州を中心に大きな被害をもたらした台風 18 号が
に、日本人男性の患者が増加しているが、それととも
新潟に最接近するという夜で、参加者がいないのでは
に、若年者に感染が浸透し始めている徴候が認められ
ないかと心配されたのですが、新潟県内から約 80 名の
る。そのため、患者・感染者に対する医療の提供とと
参加がありました。講演の終了後も熱心な意見交換が
もに、これ以上感染を拡大させないため、若年者に対
行われ、日頃患者さんに接する機会の少ない医療関係
する予防教育などの取り組みが重要となってきている。
者の間でも、HIV 感染症に対する関心が高いことがう
また、診療面では、HIV 感染症患者は特定の医療機関
かがわれました。また、医療に対し、異なった立場か
に集中する傾向があり、HIV 診療が急速に発展し専門化
ら意見を伺う重要性も再認識されました。これらの取
していることも考えあわせると、拠点病院の意味付け
り組みは、地元の新聞(新潟日報、平成 11 年 10 月 4
など、HIV 診療体制について再考する必要がある。
日)の社説でも「患者は話を聞いてもらいたい」とい
今後、HIV 診療水準の向上に努めるだけでなく、情報
提供・教育などを通じて広く HIV についての啓発を行
う内容で取り上げられ、一般社会に対しても、大きな
問題提起になったと考えています。
うため、多方面との連携が重要である。
以下に、当日の参加者に対しておこなったアンケー
ト調査の結果を掲載します。
以上
1.回収数
42
2.あなたは今までに、HIV 感染者にあったことがあり
ますか?
<23>
エイズ UpDate ジャパン Vol.1, No.3 【関東甲信越ブロック版】
2000/1
講演会・講習会の記録
(1) 有り
26
(2) 無し
17
3.有りと答えた方で、あなたが接したことのある HIV
感染者はどのような患者さんですか?
(1) 血友病患者 11
(2) 同性間の性的接触による感染者 12
(3) 異性間の性的接触による感染者 16
その他 2
れているのだろうと考えさせられた。
●今後看護婦として何をすればよいのか、よく考えて
みたいと思った。何ができるのか、なんだかよくわか
らなくなってしまった。
●医療で最良のことと思われることが、患者さんにと
って最良のことではないことを知らされた。医療の中
にどっぷりつかっている自分に気づかされた。
4.今まで、HIV 感染者の医療(関わり)について、ど
のようにお考えでしたか?
(1) 積極的に関わりたい
7
(2) 特別に HIV 感染を意識せず関わりたい 21
(3) 必要があれば関わっても良い
12
(4) できれば関わりたくない
2
(5) 関わりは拒否したい
0
(6) その他
2
●正直言って、HI
V感染者の話を聞
いているという実
感がない。これは看
護場面に実際出て
行っていない身と
して漠然と聞いて
いるからなのかよ
くわからないが、HIVに対する偏見についてもわか
らなくなった。
5.HIV 感染者の診療で、どのような問題点があると思
いますか?(複数回答可・上位 5 項目のみ)
(1)HIV感染者への差別、偏見 33
(2)プライバシー保護
26
(3)性の問題を取巻く社会情勢
18
(4)性感染症対策
10
(5)専門医の不足
16
●HIVに限らず他の疾患についても関連することが
多いように思った。たとえば、患者のプライバシーな
ど、どの疾患でももっと重視すべきだと思う。
6.今回の講演について、ご意見、ご感想をお聞
かせ下さい。(主なものをピックアップ)
●信頼関係はあらゆる診療の上で基本と考えられるが、
医療者と患者のそれぞれが求めるもの(方向性)が微
妙に異なっているのではないだろうか。集団を対象と
してではなく、個人として対応してほしいというのは
最もな考えだと思う。患者さんによってもHIVに対
する知識にばらつきがあり、社会制度についてももっ
と知っていればスムーズにできること等もあり、普及
活動は非常に大切と思う。
●医療者が患者の心を汲むことなしに、医療は成り立
たない。
●HIVや診療体制などについての知識があまりない
ままの参加だったが、学習したいという動機付けにな
った。
●自分の生きかたは自分で決めること、ということが
考えられる社会であるべきと思う。
●患者の心理を、再度新たに知ることができた。
自分の死まで受容する心理過程はどこからきている
のだろうか?
エイズ関係メーリングリスト
「J-AIDS」のご案内
●HIV患者にとっての看護者の位置はどこのあるの
か。これは実際に入院ptと関わっているときからも
っていた疑問だった。漠然としていたものが、今回の
講演ではっきりとした疑問になり、また迷いが生じて
しまった。
広島大学の高田先生が中心となり、エイズ関係のメー
リングリスト「J-AIDS」が開設されました。
●医療におけるどの職種も欠くことのできないもので、
かつ、地域や行政、NGOなどとの連携が大切である
ことをあらためて感じた。
「メーリングリスト」とは、ファクシミリの同報通信
のようなもので、あるひとつの電子メールアドレス宛
に送ったメールが登録者全員に配信される、というし
く み で す 。 HIV 診 療 の 中 心 と な っ て 活 躍 さ れ て い る
●HIVに限らず、病気を持つ児童・生徒と医療機関
のパイプが必要だと感じた。
方々が多数参加しており、貴重な情報が集まっていま
す。
● 自分は人の支えになれるだろうか?支えになって
くれる人がいるだろうか?ちょっとばかり淋しくなっ
た。
大変便利なものですので皆さんも、参加について、是
●患者さんの声を聞いてみて、私たちが今勉強してい
る個人に応じた援助が、実は現状でどのくらい実現さ
http://www.egroups.co.jp/group/jaids/info.html
非検討してみて下さい。
次のホームページから参加登録ができます。
<24>
エイズ UpDate ジャパン Vol.1, No.3 【関東甲信越ブロック版】
2000/1
講演会・講習会の記録
4.今まで、HIV感染者の診療(関わり)について、
甲信越 HIV 感染者歯科診療研修会
−
歯科診療の充実に向けて
どのようにお考えでしたか?
−
(1)積極的に関わりたい
2
(2)特別にHIVを意識せず、関わりたい 11
(3)必要があれば関わっても良い
19
場所:新潟大学歯学部附属病院
(4)できれば関わりたくない
10
講師:
(5)関わりは拒否したい
0
池田正一先生
(6)その他
0
日時:平成 11 年 12 月 11 日(土)・12 日(日)
(神奈川県立こどもセンター歯科部長)
前田憲昭先生(医療法人社団晧歯会理事長)
5.HIV感染者の歯科診療で、どのような問題点が
あると思いますか?
HIV 診療のなかで、歯科診療の重要性は広く認識さ
れてきています。しかし、実際に診療を行うにあたっ
て、HIV 感染症や院内感染についての正確な理解、知
識の普及は、まだ十分とは言えない状況です。そのた
め、平成 11 年 12 月 11 日(土)12 日(日)の二日間
に わ た り 、「 エ イ ズ 治 療 の 地 方 ブ ロ ッ ク 拠 点 病 院 と 拠
点病院間の連携に関する研究班」、「HIV 感染症の医療
体制に関する研究班(HIV 感染患者の歯科治療に関す
る研究)」、「新潟県」の共催で、「甲信越 HIV 感染者歯
科診療研修会」が、新潟大学歯学部附属病院において
開催されました。
当日は、長野県、新潟県から 50 名の歯科医師、歯科
(1)HIV 感染者への差別・偏見
30
(2)プライバシー保護
22
(3)性の問題を取巻く社会情勢
7
(4)性感染症対策
4
(5)専門医の不足
6
(6)診療体制の不備
20
(7)治療法が確立されていない
6
(8)予防方法が確立されていない
2
(9)母子感染
2
(10)外国人感染者
4
(11)院内感染対策
17
(12)その他
1
衛生士の参加があり、神奈川県立こどもセンター歯科
部長の池田正一先生と医療法人社団晧歯会理事長の前
田憲昭先生による講義、実習が行われました。歯科診
療関係で、このように、HIV 感染症や院内感染に関し
実習まで行う研修は今まであまり開催されなかったよ
6.HIV以外で、血液を介して感染することが判明
している感染者の診療を行なったことがありますか?
(1)無し
(2)有り
3
36(HBV
35、HCV
33、その他
9)
うで、参加者から、大変有意義だったという感想が多
7.HBVやHCV陽性が判明している患者の診療の
数よせられました。
今後も、このような研修を企画していきたいと考え
際、他の患者と区別していますか?
(1)区別はしていない
ています。
以下にアンケートの結果を掲載します。
(2)区別をしている
2
38
8.スタンダードプレコーションについて、ご存知で
1.回収数
したか?
40
2.あなたは今までにHIV感染者の診療に携わった
(1)知っていた
12
(2)知らなかった
28
ことがありますか?
(1)あり
4
(2)なし
35
9.スタンダードプレコーションは、歯科診療におい
ても有用と思いますか?
3.有りと答えた方で、あなたが接したことのあるH
IV感染者はどのような患者さんですか?
(1)血友病
2
(2)性的接触による感染
5
(1)思う
(2)思わない
<25>
37
2
エイズ UpDate ジャパン Vol.1, No.3 【関東甲信越ブロック版】
講演会・講習会の記録
2000/1
HIV 抗体検査体験記
10.今回の講演を聴いて、今後HIV感染者の診療(関
わり)について、どのようにお考えになりましたか?
(1)積極的に関わりたい
HIV 抗体検査体験記
2
(2)特別にHIV感染を意識せず関わりたい 16
(3)必要があれば関わっても良い
匿名希望・34歳
18
(4)できれば関わりたくない
2
(5)関わりは拒否したい
0
(6)その他
0
[感想]
●ラッピング法の実習がすぐに診察室で使えそうでよ
かった。
●消毒法・治療体制について、新たに気づかされたこ
とがあったので、検討して実行して行きたい。
● UniversalPrecaution を 普 及 す
るために末広がりの広報活動が必
要と思う。(実習・講演会)
●ユニバーサルプレコーションの実施に際して、経済
的に補助する制度も必要ではないだろうか。
●歯科についても拠点病院を作り、重症患者を扱うべ
きかと思われる。
●県歯科医師会と連携して、全会員の教育と感染対策
のレベルアップをしていただきたい。
●医療従事者に限らず、一般の人々と共に参加できる
勉強会などの会を開いていただきたい。
●歯科においては、感染症患者への対応が不十分に思
初めて身近にエイズを感じたのは、イギリスのロッ
クグループ・クィーンのボーカル「フレディマーキュ
リー(注1)」がエイズで亡くなったニュースを聞いた
ときであった。あれから10年ほど経ち、身の周りに
もエイズの話題が少なくなり、そんな記憶もすっかり
頭の中から消え去っていた。
そんな中、友人がエイズ関係の仕事に就いたことも
あって、いろんな話を聞く機会が増えた。今まで、コ
ンドームは使っていたけど、まさかオーラルセックス
でも感染の可能性があるとは…!(しかし、こればっ
かりは防御のしようがないと思うのだが、みんなどう
しているんだろう?) まあ一度検査でもしてみるか、
という軽いノリで HIV 抗体検査を受けることにした。
検査のパンフレットには「予約してから」と書いて
あったので、電話をしてみた。新潟市の保健所では「月
曜・金曜の午前 9:30∼11:00」で、予約は必要ないとの
こと。仕事を休まなければならない。やっぱ止めよう
か、いや、営業の途中にちょっと行けばいいか、など
と考えているうちに半年がすぎて行った。
12 月 1 日が世界エイズデーということもあってか、
12 月に日曜日の検査日が設定された。この機会に行か
ない手はない。
半年の念願(?)叶ってやっと、友人と連れ立って検
査会場へ向うことになった。いくつかの点で気がつい
たこと、思ったことを列挙してみた。
1.待合室
番号札を渡され、番号を呼ばれるまで待合室で待つ
ことになる。ここではお互いの顔がみえてしまうが、
検査自体は隠すことでもないと思うので、そう気にな
らなかった。
エイズについてのビデオ(DVD?)が流れていた。
鉄腕アトムのお茶の水博士が説明しているもので、な
かなかよくできている。
われる。開業医もふくめた医療従事者へ、感染症患者
対応マニュアルを配布する必要がある。
●今まで、新潟県で HIV の患者が歯科診療を受けたこ
とがあるのか。その時どのような診療で経過はどうだ
ったかを知りたい。
2.検査(保健所の人の対応)
ここへ来る人は危険なセックスをしてしまって心配な
のだろう、というような態度を感じた。別にそういう
わけじゃないんだけど…。ただ検査したいだけなのに。
最後には「結果がでるまで、そういう行動は避けて下
さい」というようなことを言われた。私はどんな人に
見られたんだろう?なんだか本当に不安になってきた。
3.費用
検査は無料・・・と書いてあるが、単に検査目的の場
合は1600円必要とのこと。「匿名の場合は無料」ら
<26>
エイズ UpDate ジャパン Vol.1, No.3 【関東甲信越ブロック版】
HIV 抗体検査体験記
身体障害者手帳取得時の行政の対応について
しいので、名前を告げても別によかったのだが、匿名
にした。
身体障害者手帳取得時の
行政の対応について
4.検査結果を聞くまで
過 去 に 性 経 験 が ま っ た く な い わ け で は な い の で 、「 大
丈夫だろう」と思っていても、結果を聞くまでは安心
できなかった。もし感染していたら、あと何年生きる
ことができるんだろう、子供は作れるのか、どの医療
機関へ行けばいいのか、治療費はどのくらいかかるの
か、他へ感染させているかもしれない・・などなど。
時間に対する考え方、自分の身体のこと、様々なこと
について真面目に考えるきっかけにもなったと思う。
−
島
−
典子
1998 年 4 月、身体障害者福祉法施行令等の改正で、
HIV 感染者は身体障害者として認定された。また、行政
の窓口でのプライバシー保護、個人情報の保護の立場
から代理人申請や郵送による申請が可能となった。
しかし、身体障害者手帳取得に関しては、職場内の
立場や、社会的責任上からか、患者さんたちから出さ
れる言葉は、何時も「HIV/AIDS であることや、身体障
害者であることを他人に知られないか? プライバシ
ーが心配だ」という点である。
そこで、私が何名かの患者さんの代理人申請を通して
感じたことを簡単にまとめてみた。
2)場所
新潟市では2ヶ所で行なっているが、わかりやすい
場所とは言えない。パンフレットや案内文書に地図を
つけてほしかった。
Ⅰ 身体障害者手帳の申請手続きに関して
(1)申請時
① 市町村の窓口は、オープンなカウンター形式のと
ころもあり、「隣の人の会話が聞こえる」「持参した申
請者の名前が窓口で隣の人に見える」などの問題があ
る。したがって、事前に担当者に連絡をとり、面接室
の使用を依頼しておくと良い。
3)検査する側と受ける側の思惑のちがい
私が行ったのは、エイズ無料検査のはずだった。し
かしながら、保健所側はおそらく「エイズ相談」のな
かの一環として検査もしましょう、というスタンスな
のでは…?という気がしてきた。確かに案内文書には
「エイズ相談」と記載してあった。一般の人々はそん
なこととは知らず「エイズ無料検査」を受けに行って
いるのではないだろうか。それなのに、あれこれと自
分の行動について聞かれるから不快に感じるのだ。
相談と検査を明確に分け、相談希望者にはじっくりと
話を聞く時間を、検査のみの希望者には機械的に検査
を、というふうにした方がいいと思った。
② 上記のような申し入れに対し「HIV/AID ではなく、
糖尿病だったらそこまでしなくていいですよね。」など
という反応が返ってきたことがある。このように、窓
口担当者のプライバシー保護に対する考えが希薄な場
合がある。
また、HIV/AIDS の関連知識が少ないせいか、どのよ
うに対応したらよいか不安に思っている場合があるの
で、担当者とのコミュニケーションづくりに努めるこ
とが望ましい。
4)もっと気軽に検査したい
企業内検診などの機会において、希望により検査項目
を選択・追加できるようにするとか、近所の医院でも
検査できるようにするとか、もっと気軽に検査できる
ようなしくみを作って欲しいと感じた。
以上
③ 本人の意思を確認しながら手続きを進めていくこ
とが必要とされるため、役所の担当者と事前に話合い
をすることが望ましい。
注1):「フレディ・マーキュリー協会」という
クイーンファンがボランティアで運営する会が
エイズに関する活動を行なっている。募金活動
とイベント開催等で集められた基金が日本国内
のエイズ・ボランティア団体に寄付されている。
(http://members.aol.com/fmajapan/)で。
代理人申請を行った感想を中心に
新潟県派遣カウンセラー
5.要望・感想
1)土日・夜間も検査してほしい
世界エイズデー近辺に、日曜の検査を実施していた
が結果告知の日はウィークデーだった。
どうせなら、これも日曜にしてほしかった。
詳しくはホームページ
2000/1
(2)手帳の交付
① 年度始めや 10 月ころに担当者の異動があるので配
慮が必要。
② 書類を郵送する時は、市町村の担当者宛「親展」
にしたほうが良い。郵送時は送り先などを明確に伝え
て お く 。( 家 族 に 告 知 し て い な い 患 者 さ ん の 自 宅 に 郵
便物が届くなど、トラブル発生の原因にもなりかねな
いので。)
③
<27>
医療費助成制度は、自治体毎にちがうので、その
エイズ UpDate ジャパン Vol.1, No.3 【関東甲信越ブロック版】
2000/1
身体障害者手帳取得時の行政の対応について
旨 を 患 者 さ ん に 説 明 し て お い た ほ う が よ い 。( タ ク シ
ー利用券、燃料費の助成など)
④ 申請した市町村から手帳の交付についての通知や、
社会資源サービスの利用券等を市町村の窓口で受け取
る。(郵送も可能)
Ⅲ 税金の控除について
確定申告を行なうことによって、勤務先に個人情報を
知られる可能性がある。申告の方法によっては回避で
きる場合もあるので、所轄の税務署や市町村の税務課
に相談することが望ましい。
さいごに:
患者さんは身体障害者手帳を取得するにあたり、様々
な情報を求めながらもプライバシーに対する不安を多
く持っているため、プライバシー保護に対する体制作
りの必要性を痛感した。
そのためには、医療のみならず福祉や NGO などといっ
た、多岐にわたる視野の広い知識や情報をもっていな
ければならない。今後は福祉の専門家でもあるソーシ
ャルワーカーとの連携も深めていきたい。
以上
(3)行政の事務処理方法によって多少の違いはある
ようだが、毎月身体障害者として認定された人の氏名
を、関連課に回覧することが慣例となっているところ
もあり、驚いた。そこで、次のような意見を提案した
ことがある。
①なぜ回覧が必要なのでしょうか。
②回覧した場合、申請者のプライバシーは
どのように守られているのでしょうか。
担当者に以上のようなこと聞きながら、書類は少数の
担当者ですむような方法で取り扱うなど検討していた
だきたいと感じた。
[関連文献・参考資料]
Ⅱ 更生医療
(1)医療機関によっては、身体障害者の指定医がい
ても更生医療の指定医になっていない病院もあるので、
あらかじめ確認をし更生医療を受けられるように医師
に働きかける必要がある。
主治医が更生医療の指定医でない場合もあり、医療
費の助成までに多大な時間を要すことになり、患者に
とって不便さがある。
(2)更生医療の判定は、身体障害者手帳交付後に行
なわれる。そのことで病院の支払い等においてトラブ
ルが発生することがあるので、病院の関係者とよく話
合い、その上で、市町村の担当者とも連絡を密にして
諸手続きがスムースにいくようにする必要がある。
●小西加保留編集代表
HIV とソーシャルワーク研究会編集
『エイズとソーシャルワーク』
(中央法規.1997)
●小西加保留(エイズ治療の地方ブロック拠点病院と
拠点病院間の連携に関する研究・分担研究者)
『HIV 感染者・AIDS 患者に対する心理社会的相談援助
についての実態調査』(1999)
●「医療と福祉 No.66 Vol.32-No.1 1998-12 」
(日本医療社会事業協会)
『特集・多様な医療と関わるソーシャルワーク』
●「日本エイズ学会誌 Vol.1 No.4 1999 p.269」
本橋宏一他『HIV 感染者の身体障害者手帳取得に纏わ
る問題と今後の課題について』
編集後記
■医療の現場で HIV 感染者のプライバシー保護につい
て、厳しく言われています。しかし、プライバシーの
問題は、医療現場や HIV に限った事ではありません。
みんなが認識を新たにしないといけないようですね。
■ 新潟が、関東甲信越のブロック拠点に指定されて
から、約2年と半年がたちました。先が全く見えなく、
何から手をつけたらよいのか皆目検討がつかない状況
から始まりましたが、厚生科学研究「エイズ治療の地
方ブロック拠点病院と拠点病院間の連携に関する研
究」班の先生方など関係者に助けられ、何とかやって
これました。このニュースレターも、皆様のおかげで
No.3を発刊することができました。
■ この間、HIV 感染症の治療法は大きく進歩しまし
たが、感染は拡大を続けています。今回、新潟県にお
ける状況を検討してみましたが、残念ながら、新潟県
でも着実に感染者が増加してきています。今後、最も
重要なことは、感染の予防です。その意味で、社会全
体でどのように取り組んでいかなければならないのか、
もう一度、考えなければならないと感じています。
■この研究班は、今年度で終わります。いろいろご批
判を頂きましたが、この研究の成果がブロックの HIV
診療に役立つよう、検討していきたいと思います。ご
協力、ありがとうございました。
来年度から研究班がどのような形で引き継がれるのか
分かりませんが、今後も HIV 感染症診療に関し、ご理
解、ご協力を宜しくお願いいたします。(IGARASHI)
<28>
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