時価総額 1兆円企業へ。

>> NISSIN’S NOW
まずは、第 68 期(2016 年 3月期 )で
終了した3か年の中期経営計画を振
Q
り返ってみていかがでしょうか。
今期から新しい中期経営計画が始ま
たグローバルフレーバーの製品投入を進める
ります。そのポイントについて教えて
ことで、高付加価値製品である「カップヌード
ください。
ル」の展開を加速します。
グローバルフレーバーとは、グローバル展
NISSIN’S NOW 安藤CEO が語る﹁今﹂そして未来
前中期経営計画では、
「グローバルカンパニー
前中期経営計画期間中に築いた基盤や培っ
開の対象フレーバーを選定したうえで、それ
化の推進」をテーマとして、積極的な海外投
たノウハウをもとに、さらに上のフェーズであ
をベースに各国の嗜好に合わせてカスタマイ
資を実行してきました。この結果、売上高は
る「グローバルカンパニーとしての評価獲得」
ズした味のことです。例えば、日本で生まれた
計画を達成しました。海外ではこの3 年間で
を目指します。そのために必要な要件は、
「本
「シーフードヌードル」がグローバルフレーバー
ほぼ倍増となり、国内でも即席めん事業が貢
業で稼ぐ力」と「資本市場での価値」を高めて
となって中国版カップヌードル「合味道」の主
献しました。また、純利益と ROE についても、
いくことだと考えています。
力となっていますが、当面シーフードを基軸と
機動的な経営施策の実施により計画を達成
それを実現するための KPI(重要業績評価
しながらチキンやビーフなどを含めてグロー
しました。
指標)
として、新中期経営計画では純利益330
バルフレーバーの新展開を図ります。
一方、グローバル経営を支える人材や持続
的成長を支える設備に先行投資を行ったこと
日清は、2020 年
時価総額
1兆円企業へ。
(1株当たり純利益)
の年平均成長率10%以上、
※3
当社グループの強みを生かせるエリアとして、
特にブラジル・ロシア・インド・中国(BRICs)
時価総額1兆円 、ROE8%以上を掲げました。
の4か国に重点的に経営資源を投入します。
域などで収益化が遅れたことにより、営業利
こうした KPI の達成を通じて「グローバル
近年 BRICs は、即席めんの世界総需要のう
益は未達となりました。
カンパニーとしての評価獲得」を成し遂げ、そ
ち50%以上※4を占める巨大市場へと成長して
この3 年間の経験により、当社グループの
の先の「EARTH FOOD CREATOR の体現」
おり、生活水準の向上に伴って高付加価値の
強みを生かして早期に利益拡大が見込めそう
を目指したいと考えています。
カップめん市場が広がる素地が整いつつあり
ます。
目標達成に向け、どのような戦略を実
※1 退職給付会計の影響を
除く調整後営業利益
世界最大の市場である中国では、中国版カッ
行していくのでしょうか。
プヌードル「合味道」が引き続き好調で、縦型
※2 調整後 NOPAT 期中
平均発行済株式数(自
己株式控除後)
調 整 後 NOPAT= 税引
後調整後営業利益+持
分法損益+のれん償却
額
(持分法に含まれるも
のを含む)­非支配株主
に帰属する当期純利益
な地域が見えてきました。今後はこの経験と、
先行投資を行った人材や設備を基盤として、
当社の強みが生かせる市場に経営資源を集
Q
カップ市場ではトップシェアを維持しています。
中していきます。
新たな経営計画で何を目指そうとしているのか。安藤 CEOに聞きました。
NISSIN REPORT
億円、営業利益 475 億円 、調整後 EPS
※2
や、規模の拡大と新規参入を図ったアジア地
日清食品グループでは 2020 年度に向けた5 か年の中期経営計画をスタートさせました。
01
※1
新 中 期 経 営 計 画 では
「 グローバルカンパニー と し ての
評 価 獲 得 」を 目 指 す 。
Q
まず、
「カップヌードル」のグローバルブランディ
今後は販売エリアの拡大を図ることで、この
ングを促進します。
基盤をさらに強固なものにしていきます。
一定の生活水準を満たした若者をターゲッ
インドについては昨年競合他社の安全性
トとして、グローバルデザインをベースにした
問題に端を発した消費者不安の広がりから、
「新しく」映るパッケージと、彼らの嗜好に合っ
市場が停滞しましたが、インド日清の売上食
※3 時価総額=株価 期末
発行済株式数(自己株
式控除後)
※4 出所:WINA /2014
NISSIN REPORT
02
>> NISSIN’S NOW
に推移しています。インドでは袋めんのみなら
両面でのサポートを今後さらに強化することで、
的に収益を上げていきます。
あるフレンテ
(湖池屋)、そして
ず、急増する中間富裕層に向けた「カップヌー
より一層の成長を目指します。
具体的には10 ∼ 20 代の若年層や女性顧
日清シスコの3 社間での連携
客、今後大きな成長市場となる60代以上のア
をさらに強化し、共同開発製
国内については
クティブシニア向けの製品開発やマーケティ
品や海外事業展開に力を入れ
どのようにお考えですか。
ングを強化します。
ていく予定です。
女性顧客層の拡大を目的に日清食品が昨
チルドや冷凍の低温事業、
世界総需要第10 位の市場であるブラジル
においては、ブラジル日清が約 64%のトップ
Q
シェアを誇っており、これを基盤として、
「カッ
プヌードル」の拡販を進め、利益を拡大してい
今後、海外営業利益の比率が高まっていく中
年3月に発売した「カップヌードルライトプラス」
飲料事業の日清ヨークについ
きます。
でも、国内事業が当社グループの中核をなす
は、これまであまりカップめんを食べなかった
ても、ブランドの強化を推進し、
また、ブラジルに次ぐ世界第11位の市場で
ことに変わりはなく、国内収益基盤の盤石化が
新しいユーザーの獲得につながっています。
利益拡大を加速していきます。
あるロシアでも、合弁会社であるマルベンフー
新中期経営計画の目標達成には不可欠です。
また今年4月に発売した「カップヌードル リッ
これらの成長戦略を支える
ドが No.1シェア
(約46%)の強い基盤を確立
国内即席めん事業は、
「国内市場の深耕」と
チ」は、アクティブシニアにも受け入れられ好
ため、グローバル経営人材の育成と強化につ
調です。
いても、今後一層注力してまいります。
こうした取り組みによりさらにブランドをみ
ブランド力や人材、研究開発基盤など経営
がき続けていくことで、国内でもまだまだ売上・
資源の充実に加え、新興市場における生活水
利益を拡大していきます。
準向上など、内部環境と外部環境の変化が当
「工場の高度化」については、食の安全・安
社グループの新たな成長に向けてうまくシン
心への対応をさらに強化するとともに、長期
クロしてきました。この好機をうまく捉え、新
的な視点での国内工場の再編を見据えて、老
中期経営計画を着実に遂行していきたいと思
朽化工場の建て替えや工場の省人化・省エネ・
います。
新中期経営計画の位置付け
企業価値
EARTH
FOOD
CREATOR
※3
時価総額 1兆円
時価総額※35,700億円
グローバル
カンパニー化の
推進
海外売上比率:
海外営業利益比率:50%以上
海外営業利益比率:30%以上
22%
海外営業利益比率:
11%
ROE:
7.4%
NISSIN REPORT
の体現
グローバル
カンパニーの
評価獲得
ROE:
03
たぼんち、資本業務提携先で
しています。NISSIN の技術力や製品開発の
ドル」の販売を強化していきます。
中期経営計画 2015
(前中計)
「工場の高度化」に取り組むことで、長期安定
数は今年 1 ∼ 3月で前年同期比約 2 倍と好調
8%以上
330億円
475億円
純利益:
営業利益※1:
調整後EPS※2: 年平均成長率
10%以上 中期経営計画 2020
(本中計)
ROE:
10%以上
内製化などによるさらなる生産効率向上に取
り組みます。
一方、即席めんに続く第 2 の収益の柱を
Q
最後になりますが、株主の皆様への
メッセージをお願いします。
構築することにも注力していきます。
菓子・シリアル事業においては、日清シスコ
NISSIN は現状に満足することなく、常に挑戦
の「ごろっとグラノーラ」ブランドが飛躍的な
し続けます。今後も収益力の 強化 に努め、
成長を遂げるなど、新たな成長の芽が着実に
企業価値向上を図っていきますので、NISSIN
育っています。今年の2月に連結子会社化し
のこれからにご期待ください。
NISSIN REPORT
04