27P-pm096

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一細胞リアルタイム MS 法による細胞周期特徴的分子の探索
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◯三保 祐佳 1 ,
津山 尚宏 1 ,
水野 初 1 ,
升島 努(
広島大院医歯薬)
【目的】1 細胞リアルタイムMS法は、一つの細胞の分子組成を質量分析により明ら
かにすることができる。しかし、非同調の培養細胞では細胞周期分布が不均一で、一
細胞質量スペクトルにはその細胞に特徴的なピークに加え、特定の細胞周期由来のピ
ークが含まれている。一細胞質量スペクトルに含まれる細胞周期の変動に起因する質
量ピークを同定するため、あらかじめ同調させた細胞を一細胞質量分析し、細胞周期
の進行に伴い変動する質量ピークを検出、同定することを試みた。
【方法】NIH3T3 細胞を同調するため、10%FBS を含む DMEM 培地で均一の密度に
なるように培養し、その後 0.5%FBS 培地で2日間培養して G0 期に同調した。これを
10%FBS で刺激し、8、12 時間後および M 期に細胞を回収した。細胞周期の同調はフ
ローサイトメトリーを用いた DNA 含量の検出により確認した。細胞周期特異的な質
量ピークを見つけ出すために、それぞれの時点で、ナノスプレ一針を用いて細胞を回
収し、質量分析した。得られた質量スペクトルからピークを抽出し、多変量解析を用
いてそれぞれの細胞周期特徴的な成分を見つけ出した。
【結果・考察】NIH3T3 細胞の同調の程度を確認したところ、80%以上の細胞がそれ
ぞれ、G0、G1(8hr)、S(12hr)期に同調されていた。M 期は目視により、染色体凝集を
示す細胞を用いた。一細胞質量スペクトルの主成分分析の結果、各細胞由来の質量ス
ペクトルはそれぞれ集団を形成したことから、この方法で細胞周期に特徴的な質量ス
ペクトルが得られることがわかった。各々の細胞周期質量スペクトルを t 検定により
比較したところ、約 1000 個のピークのうち t 値が 90%以上となる各期に特徴的なピ
ークが各々約 70 個検出された。現在これらの質量ピークの精密質量に加えて、さらに
MS/MS による断片・パターンから分子同定を進めており、併せて報告する。