ミグ・プラグ溶接の品質に穴径、ワイヤ、 シールドガス

特集
ミグ・プラグ溶接の品質に穴径、
ワイヤ、 シ
実験概要
実験の目的
件が示されており、一部のカーメーカ
いて、穴径、ワイヤ、シールドガスの
ーからは主要骨格部に使用している
3条件が溶接品質に影響を及ぼすと推
980MPa級以上の超高張力鋼板にも同
測。適切な条件による溶接とあえて条
は必ずミグ・プラグ溶接時のプラグ穴
様の指示がある。
件を外した溶接とで、どのような品質
径と使用ワイヤ及びシールドガスの条
このことからミグ・プラグ溶接にお
の違いが現れるのかを検証する。
カーメーカー各社のボデー修理書に
テストピースの概要
セット)用意し、2枚合わせで溶接す
テストピースは軟鋼板(270MPa、
合わせた中心に専門業者によりプラグ
るため、上板のみ端50mm四方を重ね
板厚:0.6mm)、高張力鋼板(440MPa、
穴を開けてもらった。
板 厚:0.7mm)、超 高 張 力 鋼 板(980
なお、用意したテストピースの硬さ
MPa、板厚:1.0mm)の3種類。すべて
及び板厚は、特定のカーメーカー及び
50×200mmの サ イ ズ で 各120枚(60
車種、部位を想定したものではない。
プラグ穴を開けた440MPa級高張力鋼板
カーメーカー各社が提示する条件を
この標準条件を基本に、ワイヤとそ
軟鋼板( 270MPa、 板厚:0.6mm)
参考に、軟鋼板及び高張力鋼板はプラ
れに合わせたシールドガスを替えた条
グ穴径:8mm、ワイヤ:YGW12(φ
件①、シールドガスのみを変更した条
6mm)、 シ ー ル ド ガ ス: 炭 酸 ガ ス
件②、プラグ穴径を4mm小さくした
(CO2:100%)、超高張力鋼板はプラ
条件③、反対に4mm大きくした条件
④の、計5パターンを設定した。
溶接条件
グ穴径:10mm、ワイヤ:YGW16(φ
6mm)、 シ ー ル ド ガ ス: 混 合 ガ ス
(Ar:80%、CO2:20%)を標準条件
各テストピースにおける5パターン
の具体的な溶接条件は右表の通り。
とした。
プラグ穴径( mm) ワイヤ
シールドガス
標準
8.0
YGW12
CO 2
条件①
8.0
YGW16
混合ガス
条件②
8.0
YGW12
混合ガス
条件③
4.0
YGW12
CO 2
条件④
12.0
YGW12
CO 2
高張力鋼板
( 440MPa、 板厚:0.7mm)
プラグ穴径( mm) ワイヤ
シールドガス
標準
8.0
YGW12
CO 2
条件①
8.0
YGW16
混合ガス
条件②
8.0
YGW12
混合ガス
条件③
4.0
YGW12
CO 2
条件④
12.0
YGW12
CO 2
超高張力鋼板
( 980MPa、 板厚:1.0mm)
プラグ穴径( mm) ワイヤ
(左から)プラグ穴径φ12mm、8mm、4mm
24
(左から)プラグ穴径φ14mm、10mm、6mm
シールドガス
標準
10.0
YGW16
混合ガス
条件①
10.0
YGW12
CO 2
条件②
10.0
YGW16
CO 2
条件③
6.0
YGW16
混合ガス
条件④
14.0
YGW16
混合ガス
ボデーショップレポート 2015 年 11 月号
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2015/10/05 17:58
特集
軟鋼板(270MPa、板厚:0.6mm)の実験結果
■実験結果
条件①
(ワイヤ違い)
標準条件
電流(A)
溶接機の 電圧(V)
設定
ワ イヤ 送 り 速 度
(mm/秒)
溶接時間(秒)
条件②
(ガス違い)
条件③
(プラグ穴 小)
条件④
(プラグ穴 大)
47.5
47.4
43.1
57.7
47.6
18.3
16.4
16.3
17.6
18.1
58.0
58.0
58.0
58.0
58.0
4.0
4.0
4.0
3.3
6.5
研磨の有無
なし
あり
なし
あり
なし
あり
なし
あり
なし
あり
引っ張りせん断強度(kN)
5.08
4.57
5.51
5.67
5.43
5.18
2.82
2.19
6.51
7.10
破断形態
プラグ破断 プラグ破断 プラグ破断 プラグ破断 プラグ破断 プラグ破断
溶接径(mm)
11.70
11.35
11.50
12.64
11.55
断面ナゲット径(mm)
11.2
8.3
5.9
7.5
9.2
11.89
計測不可
一部
一部
プラグ破断
シャー破断 シャー破断
不明
3.85
3.49
16.54
16.79
5.7
0.9
12.7
13.4
■穴径の違いによる断面マクロ写真の観察
標準条件
条件③
条件④
溶接跡
研磨なし
断面マクロ
溶接跡
研磨あり
断面マクロ
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