第Ⅳ章 基本計画 5.施設計画 ○ 最終年間目標入園者数の算定(参考) 再整備を段階的に10年かけて実施することを前提として、以下のような試算に基づき、最終ステップ 1)施設規模算定根拠 の年間目標入園者数を70万人と想定する。 (1)計画基準日入園者数 表 主な施設整備と目標入園者数の算定 増減率 (%) 再生年度 計画基準日の設定にあたっては、過大な施設規模とならないよう、1 日当たり入園者数が疎に分布 する上位を特異日として除き、その下位で入園者数が密に分布する日を計画基準日とする。 下図に示すように、第 1 ステップの年間目標入園者数 50 万人時において、上位 7 位まで疎の分布 が見られるため、概ね上位 8 位の日:入園者数 6,400 人/日を計画基準日とすることが考えられる。 目 標 入園者数 H20 H21 H22 H23 - - - -5 30 万人 この日に対応する最終ステップの年間目標入園者数 70 万人時では、概ね上位 20 位の日となり入園 第1期 1 H24 5 32 万人 者数が 70 万人に達した場合においても施設規模として対応できる数値であると考えられる。 第2期 第3期 - 第4期 2 3 4 5 6 7 8 9 10 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H38 10 10 5 10 10 20 5 -5 20 5 -5 -2.5 35 万人 38 万人 40 万人 44 万人 49 万人 58 万人 61 万人 58 万人 70 万人 74 万人 67 万人 65 万人 以上のことから、計画基準日及び計画基準日入園者数を下記の通り設定する。 ○ 計画基準日:第 1 ステップ年間目標入園者数 50 万人時:概ね上位 8 位の日 (最終ステップ年間目標入園者数 70 万人時:概ね上位 20 位の日) ○ 計画基準日入園者数:6,400 人/日 第5期 - 第6期 平日 設定値 1,100 人/日 休日 4,800 人/日 6,400 人/日 根拠等 目標 50 万人時の平日ピーク入園者数 平日の対象は、日祭日や学校の長期休み、イベント等を除いた日として設定 平日のピークは、平日の上位分散を除き、集中する最大日として設定 目標 38 万人時の計画基準日入園者数(38 万人時休日ピーク入園者数 8,000 人×60%) 総合計画の目標年平成 26 年を基準に設定 目標 50 万人時の計画基準日入園者数(50 万人時休日ピーク入園者数 10,600 人×60%) 目標 70 万人時の計画基準日入園者数(70 万人時休日ピーク入園者数 14,760 人×40%) 主な施設整備(オープン) 平成 20 年度年間利用者数:317,744 人(実績) 平成 20 年度と同等の約32万人と想定する。 平成 20 年度と同等の約32万人と想定する。 ※次年度オープンにむけて工事期間中のため5%減 ふれあいゾーン(部分開園) (サブゲートの駐車場含む)オープン時 ふれあいゾーン、周南の里山ゾーンオープン時 タイガから北極ゾーンオープン時 ※ 主要施設整備後1年目(リニューアル効果) メインゲート(エントランス・駐車場)オープン時 アジアの熱帯雨林ゾーン(部分開園) アジアの熱帯雨林ゾーンオープン時 ※ 主要施設整備後1年目(リニューアル効果) ※ 主要施設整備後2年目 アフリカのサバンナゾーンオープン時 ※ 主要施設整備後1年目(リニューアル効果) ※ 主要施設整備後2年目 ※ 主要施設整備後3年目 第6期開園時 目標年間入園者数:70万人(平成33年) 第5期開園時 目標年間入園者数:58万人(平成30年) 入園者数/日 第4期開園時 目標年間入園者数:44万人(平成28年) 第3期開園時 目標年間入園者数:38万人(平成26年) 第2期開園時 目標年間入園者数:35万人(平成25年) 第1期開園時 目標年間入園者数:32万人(平成24年) 800 実績値 予測値 700 50 万人時 年間入園者数(千人) 70 万人時 600 500 最多入園者数:402 千人ライン 400 300 200 100 図 96 目標年間入園者数の予測 H35 H34 H33 H32 H31 H30 H29 H28 H27 H26 H25 H24 H23 H22 H21 H20 H19 H18 H17 H16 H15 H14 H13 H12 H11 H9 H10 H8 H7 H6 H5 H4 H3 H2 H元 0 第Ⅳ章 基本計画 2)園路広場 (1) 園路 動線については、ユニバーサルアクセスや快適で安全な観覧空間、魅力的なシークエンスの形成などの観点 から、基本的な考え方を以下のように設定する。 なお、勾配設定の基準としては、「山口島県福祉のまちづくり条例」と「都市公園移動円滑化基準」を参考 に設定する。 表 園路、傾斜路に関する基準 山口県福祉のまちづくり条例 対象項目 整備基準 都市公園の移動円滑化ガイドライン 整備基準 表 園路構成 種 類 観覧主幹動線 (主園路) 観覧補助動線 (観覧園路) 管理通路 勾 配 幅 員 4%以下 4.0m以上 4%以下 2.0m以上 4%以下 4m以上 備 考 観覧と移動機能が重複する場所で は、広めに確保する 園 路 傾斜路 4%以下 (3%以上 4%以下の部分が 30m以上続く場合に 5%以下 勾 配 あってはその途中に 150cm 以上の水平な部 (やむを得ない場合 8%以下) 分が設けられていること) 120cm 以上 180cm 以上 (180cm 未満である場合にあっては車椅子が 有効幅 (やむを得ない場合、転回の支障無かつすれ違 すれ違うことができる場所が適宜設けられて いヶ所を設ける事で 120cm 以上可) いること) 8%以下 8%以下 勾配 (高低差 16cm以下場合 12%以下) 120cm 以上 120cm 以上 有効幅 (段を併設する場合は 90cm以上可) 段・階段併設の場合 90cm 以上可 水平部分 高さ 75cm 以内に 150cm の水平部分 同左 優先項目 ●主要な観覧動線となる主園路については、基本的に4%以下の勾配でアクセスできるよう配慮する。 観覧主幹動線(主園路) 観覧補助動線(観覧園路) 幅員については、園路の機能(移動主体または移動と観覧機能を兼用)に応じた滞留の程度や管理車両の通行 や緊急車両の通行を考慮し、4.0m以上を確保する。 図 園路幅員構成 ●観覧主幹動線を補助する観覧園路については、極力4%以下の勾配でアクセスできるよう配慮する。 幅員については、基本的に 2.0m以上確保する。 ●動物展示の期待感や驚きを演出するため、先が見通せないような曲りや、人が立ち止まってゆっくり観覧で きるような溜りを設ける。 97 第Ⅳ章 基本計画 (2)広場 ① 休憩スペースの総面積 ④ 団体利用時に必要な屋根付休憩スペース面積(屋根付休憩スペースのミニマムサイズ) 本園における集散の場所や観覧途中の昼食時の休憩等に必要となる広場全体の規模算定を行う。 ○ 単位規模 ○ 計画基準日入園者数 6,400 人/日 ○ 回転率 2.5 回転(平均滞在時間 2 時間)※1 ○ 利用率 13% ※1 ○ 単位規模 10m2/人 ※1 1.5m2/人 ※1 ※1「自然公園等施設整備技術指針」 (財)国立公園協会 50 人 × 1.5m2/人 = 75m2 ・この他、エントランス広場等の園内の各広場については、適宜、パーゴラ・四阿や隣接する管理棟、レ ※1「自然公園等施設整備技術指針」 (財)国立公園協会 平日ピーク日総面積(m2)=入園者数÷回転率×利用率×単位規模 ストラン、展示館等の建物での収容を検討する。 =6,400 人÷2.5×0.13×10m2/人 = 3,000m2 ● ※2 団体利用者数の設定について (参考) ・総面積 3,000m2 を利用に合せ分散して配置する。 ② 団体利用時に必要な休憩スペース面積(各休憩スペースのミニマムサイズ) 想定される一団体当りの利用者数を設定する目的で、以下のような算定を行った。 本園は団体利用者による利用が多く、広場については団体利用者を一度に収容できるに足る充分な面積を確 保する必要がある。以下に団体利用の目安となる広場面積を算定する。 ○ 小学校児童数からの算定 本園における主な団体利用は、幼稚園や小学生の春や秋の遠足、ケアホーム等であり、基本的には平 日の利用が中心となる。集中する団体利用への対応が可能なように、団体利用の中でも1団体あたりの ○ 団体人数 50 人(1 学年児童数)※2 ○ 広場単位規模 10m2/人 ※1 ○ 休憩所単位規模 1.5m2/人 ※1 規模が大きい小学校の学校遠足の場合を想定し、周南市及び山口市、山口県全体の小学校の状況につい て整理しながら、団体利用時の規模人数を算定する。 ※1「自然公園等施設整備技術指針」 (財)国立公園協会 表 山口県の市町村小学校の状況 学校遠足などで集中する団体利用の場合には、お弁当を広げられるような休憩広場として、概ね以下に示す 最小面積を確保する必要がある。 50 人 × 10m2/人 = 山口県全体 11,146 8,426 354 31 40 学級数 3,498 430 368 学級数/学校数 9.88 13.87 9.2 学級数/6学年 1.64 2.31 1.53 児童数/学級数 22.67 25.92 22.89 小学校数 ・休憩スペースは 3 箇所に分散配置し、1 箇所当り最小面積 500m2 を確保する。 ・限られた敷地を有効利用するため、入口付近の広場は 3 学校(想定)が重ならないよう、少しずつ時間 をずらした案内誘導を行うことが望ましい。 周南市 79,312 児童数 500m2 山口市 ③ 屋根付休憩スペースの総面積 資料:「平成 20 年度学校基本調査結果」より作成 通常の休憩利用の他、急な荒天時等の雨宿りや落雷を避けるためなどの緊急的な利用もふまえ、休憩スペー スは一部屋根付きとする。また、利用に合せて分散して配置する。 本園が位置する周南市に関しては、 1 年の児童数 約 25 人/学級 × 2 学級/学年 = 約 50 人/学年 ○ 単位規模 1.5m2/人 ※1 ※1「自然公園等施設整備技術指針」 (財)国立公園協会 6,400m2 ÷ 2.5 × 0.13 × 1.5m2/人 ≒ 98 500m2 以上より、学校単位の遠足などを想定し、約 50 人/学年を団体利用者数として設定する。 万が一団体利用が重なる場合は、3 学校と想定する。 第Ⅳ章 基本計画 99 第Ⅳ章 100 基本計画 第Ⅳ章 基本計画 3)駐車場 (1)駐車場必要台数の設定 【条件値の設定】 駐車場必要台数を決める上での条件値については、平日と休日の 1 台当り乗員数や回転率の違いを既往資料 や動物園実績を参考に設定する。 【駐車場必要台数の算定】 駐車場の必要台数の設定にあっては、「総合計画」の完成年平成 26 年時の目標入園者数 38 万人と最終目標 入園者数 50 万人について段階的に算定する。 ○目標入園者数 38 万人(平成 26 年まで):440 台 ○目標入園者数 50 万人(平成 26 年以降):590 台 101 第Ⅳ章 基本計画 (2)駐車場配置 駐車場の配置については、パブコメにおいてA案(第 2 駐車場のみ)とB案(前庭のみ)の 2 案を提案してい る。その結果、高齢者対応としてエントランスに近い位置に駐車場を配置して欲しいとの意見があがっている。 本計画では、「文化の拠点」となるエントランスをはじめ、アジアの熱帯雨林、アフリカのサバンナと観光振 興に寄与することが期待される南側ゾーンと、ふれあいや周南の里により地域利用の向上が想定される北側ゾー ンで、それぞれ特性が異なる配置としており、利用目的に応じた利便性の高い駐車場を考慮すると、北側及び南 側に配置することが望まれる。 また、後に述べる防災計画として南側と北側の両側にゲートを配置し、園内からの迅速な避難を可能とすると ともに、ゲート側には十分な避難スペースの確保が必要となる。 102 以上のことから、北側と南側のゲートそばにそれぞれ駐車場を配置するものとし、別途整備される三田川駐車 場と合わせ、専用駐車場 410 台確保し、目標入園者数 38 万人に対応する。また、兼用駐車場を含め目標入園者数 50 万人に対応する。(北側駐車場では観光バス駐車場を兼ねる) なお、文化会館や美術博物館のイベントなどにより兼用不可となる場合については、街づくり整備と連携しな がら、周辺の駐車場へ分担することが望まれる。 第Ⅳ章 基本計画 (3)広域からの駐車場アクセス 図 広域アクセス図 103 第Ⅳ章 基本計画 ④ 駐車場オペレーション 駐車場のオペレーションについては、先に述べた 3 方向のアクセスを考慮し、最も利便性の高い①前庭駐車 場を第 1 に利用するものと考えられる。①が満車した場合、車両の流れとして②第二駐車場を利用、さらには ②満車後は③第 3 駐車場の利用が妥当であると考えられる。 美術博物館や文化会館の駐車場については、兼用困難な場合もあるため、③満車後は④三田川駐車場の利用 とする。 ピーク期においては、各駐車場へスムーズに車両が流れるよう誘導を行うことが望まれる。 98 第Ⅳ章 基本計画 (5)市街地との連携 図 中心市街地及び周辺との連携図 105 第Ⅳ章 基本計画 4)展示施設 展示(放飼場)設計においては、以下の考え方を基本とする。 ●広々としたより自然な景観として動物展示を楽しめるようモート(堀)やガラスなどによるバリア形式を採用 することを基本とする。ただし、動物種や見せ方によってより近くで見ることができる檻形式との併用も検討 する。 図 動物舎と展示舎の構成概念図 ●動物の行動や特性を引き出すため、動物遊具、利用者とのコミュニケーションツールを積極的に取り入れる。 写真 モート(堀)によるバリア 写真 ガラスによるバリア ●本園は、動植物園であり動物展示だけでなく植物の展示も一体的に行い、景観的にも学習的にも機能できるよ う配慮する。 写真 地中の動物体感 写真 防衛能力の体感 写真 大きさ等の体感 ●多くの利用者が同時に見ることが出来るよう、幅の広いビューポイント(視点)を設ける。また、壁や柵の高 さは、子供の目線を考慮し、視線を遮る高さは H700 程度に抑える。転落防止措置等を必要とする際は、柵の 先に植栽帯(低木帯)を設けるなど侵入を阻止する方法を考慮する。 ●動物の間近に近寄ることの出来るビューポイント(視点)を設定する。 写真 樹林景観と動物展示 写真 草地景観と動物展示 ●環境エンリッチメント※1 の面からも、これまで管理上コンクリートとすることが多かった展示舎の床を、出来 るだけ土や植栽とする。またこの土や植物の入れ替えなどの管理を踏まえた施設配置計画を行う。 ※1:動物福祉の観点から飼育環境に工夫を加えて、環境(environmental)を 豊かで充実(enrich)したものにしようという試み 図 柵の高さの考え方 106 第Ⅳ章 ゾーン等区分 アジアの熱帯雨林 種別 細別 展示 ゾウVS 伐採業者作業小屋 マレーグマVS ゾーン合計(m2) 165.00 アフリカのサバンナ 展示 ゾーン合計(m2) 460.00 タイガから北極 展示 ゾーン合計(m2) 115.00 周南の里 展示 ゾーン合計(m2) 115.00 管理関係合計(m2) エネルギーセンター 120.00 集落4棟 コピエVS-1 コピエVS-2 展望広場休憩所3棟 基本計画 建築面積(m2) 必要面積 必要面積×1.20(余裕見込) 70.00 84.00 15.00 18.00 80.00 96.00 80.00 230.00 150.00 96.00 276.00 180.00 トラ・ヒグマVS 狩猟民族小屋 100.00 15.00 120.00 18.00 農家 炭焼き小屋 100.00 15.00 120.00 18.00 120.00 144.00 建築面積合計 (240.00) 1170.00 VS:ビューイングシェルター(観察小屋) P:パドック(放飼場) 図 展示施設配置図 107 第Ⅳ章 基本計画 5)利便施設 (1) 広場 パターン 1(利用頻度=高)…2 箇所 ① 必要規模算定 「男子大:男子小:女子: (多目的便所) = 2:3:4: (1) 」…計 10 穴/箇所 便所の穴数は対象人員を想定し、同時使用率を設定し算出する。同時使用率の原単位については、以下の資 料を参考に設定する。 パターン 2(利用頻度=低)…2 箇所 「男子大:男子小:女子: (多目的便所) = 1:2:2: (1) 」…計 6 穴/箇所 合計 10 穴 × 2 箇所 + 6 穴 × 2 箇所 = 32 穴 ○ 計画基準日入園者数 6,400 人/日 ○ 回転率 2.5 回転(平均滞在時間 2 時間)※1 ○ 同時使用率 1/80(下表より 1/60~1/100 を平均とする) ※1「自然公園等施設整備技術指針」 (財)国立公園協会 表 便所の同時使用率(原単位)の設定(参考) グ(日本トイレ協会) 必要穴数 1穴/100 人~60 人当たり 自然公園の計量計画 園地の同時利用者数の 1.25%(1穴/80 人当たり) 都市公園実測値例 対象広場の同時利用者数の 1.37%(1穴/73 人当たり) キャンプ場計画(観光計画の手法:日本観 光協会編、 (社)日本観光協会、1976) 防災公園等の計画・設計例 神戸市地域防災計画-地震対策編- 平成8年3月 なお、利用頻度が特に高いと考えられるエントランス付近に設置する場合は、集中率の高い女子のブースをさ らに増設しておくことが望ましい。 また、多目的便所については身障者用に限らずみんなが使える便所という発想とし、特にふれあいゾーンな 根 拠 阪神淡路大震災における避難所のヒアリン 以上より、動物園全体で 4 箇所程度の便所を平面計画・動線計画より適切な位置に分散設置する必要がある。 どでは子供づれでベビーカーのまま個室に入れるような「親子トイレ」を考慮するなど、配置する箇所の利用 者の特性に配慮した施設構成を検討する。 【親子(子ども)トイレ】 宿泊収容者数の 5~10%(1穴/20 人~10 人当たり) 乳幼児連れや子どもが使用するための、親子トイレ又は主に幼児から小学生を対象とした子どもトイ 便所使用率:1穴/100 人~30 人当たり レ及び子供用手洗いの整備で、大人用便器と子ども用便器 又は子ども用便座を併用した広めのトイ 避難者 100 人当たり 1 基 造園ハンドブック:社団法人日本造園学会 海水浴場の便所利用率:1穴/80 人 編、技報堂出版株式会社、1978 プール便所利用率:1穴/60~40 人 レ区画又は子ども用便器の設置された区画に加え、子どもが容易に使用できるよう高さや幅に配慮し た手洗い設備を併設するもの。(おむつ換え台、着替え台等の追加も可) 出典)「防災公園計画・設計ガイドライン」(財)都市緑化技術開発機構 必要穴数(穴)= 計画基準日入園者数 ÷ 回転率 × 同時使用率(平均) = 6,400 人 ÷ 2.5 × 1/80 = 32 穴 便所の配置においては、スペースを有効的に活用しつつコスト縮減を図る必要性もあるため、展示施設等と 付帯させることや、利用に即した穴数の配分など利便性に配慮し、1 箇所あたりの各便所の穴数の割合につい て次のように設定する。 なお、各便所には多目的便所を最低でも 1 穴設置する。 写真 子供用ブースの例 資料)東陶機器株式会社 HP より 108 第Ⅳ章 基本計画 ○ 授乳室 授乳やおむつ替えのための授乳室の整備は、授乳いす、湯沸かし器、流し台、ベビーベッド(おむつ替え台)、 【小規模な授乳スペースの例】 ダストボックスほか授乳及びおむつ替えに必要な設備が備えられた施設とする。 授乳室はその利用状況や、備品の消耗状況を随時確認し補充するなどきめ細かくサービスできるように、基 本的に管理者側の目の届きやすいエントランスゲート付近や利用頻度の高いふれあいゾーン等に設ける必要 がある。 写真 授乳室の例(豊橋総合動植物公園) 109 第Ⅳ章 基本計画 (2) 飲食・物販スペース ② 物販施設必要規模の算定 ① 飲食施設必要規模の算定 飲食スペースの必要規模については、他園の事例も考慮しながら、適した規模算定を行う。 事例:よこはま動物園ズーラシア 事例:よこはま動物園ズーラシア 飲食スペース合計席数:250 席 年間入園者数:100 万人 年間入園者数に対する席数:250 席÷100 万人=2.5 席/万人 ○ 年間入園者数 ○ 年間入園者数に対する席数 50 万人 2.5 席/万人 飲食スペース(席)=年間入園者数(万人)×年間入園者数に対する席数(席/万人) = 50 × 2.5 = 125 席 図 ズーラシアの飲食施設(参考) 110 物販スペースの必要規模については、他園の事例も考慮しながら、適した規模算定を行う。 物販スペース合計規模:130m2 年間入園者数:100 万人 年間入園者数に対する規模:130m2÷100 万人=1.3m2/万人 ○ 年間入園者数 ○ 年間入園者数に対する施設規模 50 万人 1.3m2/万人 物販スペース(m2)=年間入園者数(万人)×年間入園者数に対する施設規模(m2/万人) = 50 × 1.3 = 70m2 図 ズーラシアの物販施設(参考) 第Ⅳ章 基本計画 ③ 飲食形式の検討 飲食スペースとしての必要規模の確保とともに、どのような食事をどのように提供するも利用者へのサービ スとして重要な要素となるため、以下に動物園で導入することが可能と考えられる主な飲食形式について整理 する。 表 主な飲食形式の区分 特 性 飲食タイプ 概 要 レストラン ・カフェ バイキング (ビュッフェ) ・メニューの注文を受けた後にそ の都度調理を行い、出来立ての 料理が出てくるシステムである 注文形式の飲食タイプ。 ・飲食形式の基本形である。 ・カフェでは注文料理の受取と下 げ膳をセルフサービスで行う ケースもある。 特 徴 長所 短所 ・一定料金で指定された範囲から 長所 好きなものを好きなだけ食べる 事が可能な食事のシステムであ る。時間制限が存在しない店と、 回転率の向上のために1時間~2 時間程度に制限する店がある。 短所 長所 フード コート ・隣接する多様な飲食店のブース 及びセルフサービス形式の食事 のための共有スペースを提供す る屋内~半屋外型広場である。 短所 長所 ワゴン (屋台) ・移動式の簡易店舗。簡単な飲食 物などを売る。 短所 ・利用者への接客におけるサービス水準が高いため、 客単価も高くなる。 ・メニュー毎に細かい料金設定が可能である。 ・注文形式であるため、基本的に施設の回転率は低く なり、必要な施設規模を確保することが前提となる。 ・配膳係(ウェイター、ウェイトレス)の人件費がか かる。 一般的なレストラン・カフェタイプの例 ブロンクス動物園(アメリカ) 一般的なバイキングタイプの例 (LALA ガーデンつくばイタリアン 「パパゲーノ」 ) ・料金設定が単純明快でわかりやすい。回転率も高く なる。 ・利用者にとっては好きなものを好きなだけ食べるこ とができる。店舗側にとっては、作り置きの料理や 食材の無駄が極力少なくてすむため経済的である。 ・食べ放題の一方で、それほど量を食べられない利用 者にとっては割高感がある。 ・作り置きが原則であるためメニューが比較的固定化 しやすい。バリエーションをもたせるために、一部 に注文形式を取り入れているケースも多い。 ・メニュー毎に店舗を分け、客席を共通にする事で、 各店舗を省スペース化できる。 ・グループ客でも違う店の料理が選択できる。 ・客席部分が広い事もあり、子供達が騒いでも気にな らない等の理由から、家族連れの利用も多い。 一般的なフードコートタイプの例 (ミスターマックス湘南藤沢店) 一般的なワゴン販売の例 (西通りプリン(福岡) ) 来園者の利便性の向上および、食の楽しさを満喫してもらうために、園内各所に様々な飲食・物販施設を配 置して、来園者がそれぞれの状況に応じて選択できるよう配慮する。 飲食施設の配置については基本的に各ゲートに設置する常時開店する施設、来園者数に応じてフレキシブル ・施設の老朽化や利用客からの飽きに対する改修につ いて、フードコート提供者と参加店の足並みが揃わ ないと着手出来ない。 ・広い範囲の料理店に対応出来るよう、統一的なデザ インで設計されているため、飽きられ易く、各店舗 独自部分のデザインと合致しないケースが起こり得 る。 に対応できるワゴン型施設に区分して、効率的な運営ができるよう配慮し、一定以上の水準を確保した運営を ・一般的な飲食店と比較すると低投資で取得可能で、 客層の厚い場所に出店できるフットワーク性があ る。 ・繁忙期に園内に展開し、利用者の需要に応えるとと もに、賑わいの雰囲気づくりに役立てることが可能 である。 利用率の差を埋め経営の安定化を図り、一定以上の水準のテナントを募集することを目指す。 ・衛生面での業態の制限がある。 ・電気や給排水設備の準備が必要 ・近年は半固定型のユニット厨房や牽引式厨房車両も 姿を現し始めた。 めざす。メインゲートに設ける飲食施設はレストランタイプとし、園外からの利用が可能な構造とすることで 動物を見ながら食事ができたり、地域の食材を活かした特徴のあるメニューを提供することなどで、オリジナ リティを発揮させて中心市街地からのお客や観光客を呼び込むよう努める。また、夜間営業を可能とすること で、各種催し物が定期的に行われている文化会館等からお客を呼び込むことも可能となり、繁忙期・閑散期の 一方のサブゲートに設ける飲食施設は、動物とのふれあいなど園内でも滞在時間が長いと考えられるエリア であるため、フードコートタイプとして豊富なメニューを自由に選択し、園内の雰囲気づくりにも寄与する全 天候、オールシーズン対応のオープンなスペースでゆっくりと時間を過ごし楽しめるよう配慮する。 清涼飲料水やスナック等の軽飲食や、フィルム・電池等の利便グッツを販売する施設として、人の集まる広 場を中心にワゴン(屋台型売店)を配置する。このワゴンは基本的に簡易型の構造であるため、繁忙期・閑散 期の差や曜日、イベント等に対応して開店することで、その機動力を活かし運営コストの縮減を図る。 物販施設は園外の無料区域に観光案内所と一体となったミュージアムショップとして展開し、動物園のみな らず美術博物館や文化会館のオリジナルグッツ、地域の特産品を集め、周南市の観光窓口として機能させる。 111 第Ⅳ章 基本計画 ゾーン等区分 管理関係 種別 細別 ミュージアムショップ棟 ショップ 観光案内所 レストラン棟(2階建)1F トイレ(10穴) 案内所 ベビーカー倉庫 コインロッカー ボランティアルーム その他 フードコート棟 厨房・販売3箇所 テント 管理関係合計(m2) 750.00 建築面積合計 建築面積(m2) 必要面積 必要面積×1.20(余裕見込) (75.00) (75.00) 合計 150.00 180.00 (60.00) (20.00) (60.00) (15.00) (80.00) (65.00) 合計 300.00 360.00 (50.00) (250.00) 合計 300.00 360.00 900.00 図 利便施設配置図 112 第Ⅳ章 基本計画 6)動物管理施設 (1)動物舎の基本的な考え方 動物舎(獣舎)の計画における基本的な考え方は以下の通りである。 (2)空間構成 ① 諸室構成 動物舎(獣舎)は以下の諸室を基本構成とする。 なお、動物の調餌を行う調餌室や飼料庫は、園内一括した施設が確保されていることから、各動物舎には、 ●動物舎は動物にとって安息の場所であることから、適切な面積を確保するとともに、一般観覧者の利用空間 から分離し、管理ヤードからのアプローチを図る。 基本的に設けない。 室 名 ●観覧者の視線からできる限り動物舎をはずし、パドック(放飼場)等の修景により動物舎の隠蔽が困難な場合 には、展示景観の設定地域にふさわしいデザイン演出を行い、景観阻害の要因にならないように配慮する。 寝室 機 能 備 考 動物の屋内飼育スペース 動物種により個室、雑居となる 動物種により寝台、暖房等を設ける ●対象動物の特徴を把握した上で、飼育管理、建物の維持管理、経済性等を踏まえた適切な施設仕様とす る。 ●展示パドック(放飼場)、管理ヤードと密接に関係する、動物・キーパー(飼育員)・メンテナンス・搬入等の各 動線、使い勝手等に配慮した建物構成とする。 ●飼育管理・維持管理のしやすさ、効率性を高めるため、各動物舎の仕様はできるかぎり共通化を図る。 予備室 産室、治療・隔離等に使用する キーパースペース 飼育員の移動空間(管理用通路) 、作業スペース 調餌室 流し台などの設置スペース 飼料庫(わら置場) 乾燥飼料の置場 屋外通路 動物舎とパドック間を結ぶ動物専用連絡路 必要に応じて設ける ② 動線 ● 動物舎へのキーパー(飼育員)のアプローチは動物への干渉を防ぐため、管理通路側出入口をメイン とする。(パドック(放飼場)からのアプローチは前提としない) ● 寝室-パドック(放飼場)間の動物の移動は、屋外通路を利用し、大型動物系には追い出し追い込みの ためにキーパースペース(管理用通路)を屋外通路に平行に設置する。 ③ レイアウト 動物舎は、動物管理等の飼育作業が行いやす く、間取りが効率的でシンプルなパターンとな る右図のレイアウトを基本とする。 ただし、同居飼育時に個体同士で干渉するな どが予想される動物(主に単独行動をとるも の)はシュートの入口を複数にするなどの必要 がある。 図 動物舎の基本レイアウト 113 第Ⅳ章 基本計画 (3)各室の考え方 ④ 調餌室 ① 寝室 寝室規模は、「飼育ハンドブック-動物舎-(社団法人日本動物園水族館協会)」による基準や、近年整備を ・原則、飼育管理棟に一括した機能配置をする。各獣舎には、給排水・電気を供給する。 行った他事例、現況規模、飼育員へのヒアリング、また将来的な飼育目標等を踏まえ、基本的に現況以上にな るよう設定する。 寝室数は、以下の考え方に基づき設定する。 ⑤ 飼料庫(わら置場) ・床面にスノコを設置し、通気性を確保する。 ・契約業者が寝室前を通らず、直接納入できる位置に配置する。 ・親善動物や希少種( 「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令、別表」及 び「ワシントン条約付属書掲載動物一覧表」による)繁殖を原則とし、計画点数=寝室数とする。 但し、野生において集団生活する動物の寝室は、個別の必要性がないこと、飼育作業の効率化を 考慮し、広めの雑居形態の寝室を 1 室設けることとする。また、親善動物、希少種で複数展示す るものでも、雌雄がそろっていないため事実上繁殖が不可能な種については、展示点数=寝室数 とする。 ・繁殖を推進する種においては、繁殖上の問題をなくすため、その繁殖特性に充分配慮した施設を 用意する。 ⑥ 屋外通路 ・動物の追い出しや追い込みなどの飼育管理、展示パドック(放飼場)との緩衝帯としての機能を確 保する。 ・屋外通路にはサブパドック(放飼場)として利用可能な幅員を確保するとともに、動物の逆走を防 ぎ、サブパドック(放飼場)の機能を果たすための可動仕切扉を設置する。 ・安全対策を必要とするトラ、ライオンの屋外通路には天井を設ける。また、サル類の通路にも天 井を設置する。 ・毎日の清掃作業を考慮し、屋外通路は天井の低いシュートとせず、原則としてキーパースペース ・上記以外の動物種 個別の種ごとに設計段階で検討するが、基本的には、飼育管理上の必要な室数と予備室を用意 する。 ② 予備室 予備室は各動物ごとに、必要に応じて以下の考え方に基づき設定する。 ・疾病、妊娠、出産時や他の個体との衝突による隔離を行うことができ、かつ、飼育者が治療行為 や清掃作業等の活動を行える最低限の空間としての予備室を設ける。特に、妊娠時等に場合、麻 酔、保定等を行う必要がある動物の場合は、個体に与える影響が大きいため、スムーズに移動で きることに留意が必要である。 ・合棟化が可能なものについては、コスト縮減のため、2 種で 1 予備室の配置とする。 ・雑居部屋で、かつ単独棟となる種については、雑居寝室の一部が区切れる構造とし、必要に応じ て一頭分の隔離ができるようにする。 ③ キーパースペース ・飼育作業の主空間となることから、適切な広さを確保して動物からの安全性を確保する。 ・必要に応じて、飼育記録作成等に使用する事務机を、作業スペースに設置する。 ・必要に応じて軽トラック、電動式運搬車の通行も考慮する。 114 (管理用通路)と同じ天井高を確保する。 第Ⅳ章 ゾーン等区分 アジアの熱帯雨林 種別 獣舎 ゾーン合計(m2) 800.00 アフリカのサバンナ 獣舎 ゾーン合計(m2) 670.00 タイガから北極 獣舎 ゾーン合計(m2) 475.00 周南の里 獣舎 ゾーン合計(m2) 80.00 ふれあい 獣舎 ゾーン合計(m2) 175.00 細別 ゾウ テナガザル スナドリネコ カニクイザル コツメカワウソ マレーグマ マレーバク クロヒョウ サルとトリ 基本計画 建築面積(m2) 獣舎関連 必要面積 寝室規模 必要面積×1.20(余裕見込) 点数 250.00 300.00 3 6.5 × 6.0 60.00 72.00 8 2.5 × 2.0 60.00 72.00 3 2.5 × 2.0 3 35.00 42.00 5 5.0 × 5.0 60.00 72.00 4 3.0 × 2.5 45.00 54.00 3 3.0 × 2.5 40.00 48.00 3 2.5 × 2.5 250.00 300.00 カバ 100.00 120.00 1 キリン シマウマ ライオン ジャッカル パタスモンキー 400.00 480.00 140.00 168.00 30.00 36.00 3 2 3 3 3 トラ ヒグマ ホッキョクグマ アザラシ 75.00 60.00 340.00 90.00 72.00 408.00 ツキノワグマ ニホンザル 80.00 96.00 175.00 210.00 動物舎7棟 建築面積合計 5.0 8.0 7.0 3.5 4.0 2.5 2.5 × × × × × × × 3.5 5.0 5.0 3.0 3.0 2.0 2.0 2 2 3 3 4.0 4.0 4.0 × 3.5 × 3.0 × 3.0 2 4 3.0 × 3.0 2640.00 図 動物管理施設配置図 115 第Ⅳ章 116 基本計画 第Ⅳ章 基本計画 7)管理運営施設 ゾーン等区分 管理関係 種別 細別 南ゲート棟 ゲート 発券 合計 北管理棟(2階建) ・ゲート ・自然学習館 ・管理事務所 動物病院(2階建) 管理関係合計(m2) 680.00 ゲート 発券 合計 図書館 剥製標本保管室 貸し教室 イベントレクチャールーム トイレ(10穴) 小計 管理事務室 シャワー室・更衣室 飼料保管庫(穀類) 作業場・標本作製室 調理室 トイレ(6穴) その他 小計 合計 動物病院 中型動物隔離ケージ 繁殖・ストックヤード 孵卵室 人工哺育室 その他 合計 建築面積(m2) 必要面積 必要面積×1.20(余裕見込) (50.00) (20.00) 70.00 84.00 (25.00) (20.00) (50.00) (40.00) (40.00) (200.00) (60.00) (390.00) (150.00) (60.00) (30.00) (40.00) (60.00) (40.00) (60.00) (440.00) (830.00) (80.00) (60.00) (60.00) (10.00) (10.00) (80.00) (300.00) 45.00 54.00 415.00 498.00 150.00 180.00 建築面積合計 816.00 図 管理施設配置図 117 第Ⅳ章 基本計画 6.防災公園計画 1)基本的な考え方 ・防災拠点機能を果たすためにまと まった面積を確保する。 ・サブゲートの駐車場(無料区域) が避難地として確保できるため、 徳山公園として岐山地区側の住 宅地域からの避難住民の受け入 広 域 避難地 れ窓口となる。 ・メインゲートのゲート前広場と駐 車場(無料区域)が避難地として 確保できるため、徳山公園として 中心市街地側からの避難住民の 受け入れ窓口として、美術博物 館・文化会館とともにその機能を 果たすことが可能である。 ・西側の市道乗兼阿弥陀線沿いの拡 避難路 幅した歩道(無料区域)をサブゲ ート側とメインゲート側の避難 地を結ぶ動線として活用する。 ・動物園内からの一次避難において は、北側と南側のゲートの2方向 への避難経路を確保できる。 その他 ・被害が近隣に及んだ場合、 園内(有 料区域)の安全性を確認のうえ避 難地として開放する際には、岐山 地区と中心市街地側の2方向から の誘導・避難が可能である。 図 防災公園計画図 118 第Ⅳ章 基本計画 7.供給処理施設計画 1)基本的な考え方 供給処理施設については、園内施設を運営する上での安定的な供給だけでなく、環境負荷の低減 や環境学習効果を考慮して、次世代エネルギー等の新技術の導入を含めた計画を行う。 なお、次世代エネルギーの選定にあたっては、以下のような基本的な考え方に基づき選定する。 特に、本園では地球の現状を楽しみながら学べる観光型動物園として、地球環境とエネルギーの 展示ストーリーを検討しているため、次頁に示すようなテーマ性を持った展示として展開する。 「新エネルギー」とは、太陽光発電や風力発電などの「再生可能エネルギー」のうち、 地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量が少なく、エネルギー源の多様化に貢献す るエネルギーを「新エネルギー」と呼んでいる。新エネルギー利用等の促進に関する特 別措置法(新エネ法)では、「技術的に実用段階に達しつつあるが、経済性の面での制 約から普及が十分でないもので、石油代替エネルギーの導入を図るために必要なもの」 として、太陽光発電、風力発電、バイオマス 発電、中小規模水力発電、地熱発電、太 ○ 計画地の自然条件を踏まえた上で利用にふさわしい技術を選定 陽熱利用、バイオマス熱利用、雪氷熱利用、温度差熱利用、バイオマス燃料製造の 10 ○ 維持管理に無理のないシステムの選定 種類が指定されている。 ○ 来園者に対する啓発効果、PR効果の高いシステムの導入 また、「新エネルギー」とは指定されていないが、技術革新の進捗や社会の需要の変 化に応じて、「革新的なエネルギー高度利用技術」として普及促進を図ることが必要な 表 手 パッシブソーラー システム クールアンド ホットチューブ 草屋根・壁面緑化 高気密・高断熱 高窓による自然換気 表 ものとして、「ヒートポンプ」「天然ガスコージェネレーション」「燃料電池」「クリ 主な環境共生システム(建築編) 法 屋根面で暖められた空気をファンに より床下に引き込む、太陽熱による暖 房システム。 森林の冷涼な空気を、地中に埋設した 配管の中でより冷やして建物内部に 取り込む自然の冷房システム。 屋根の上の防水層の上に土層を設け、 植物を植える。 高断熱の仕上げ材、ペアガラスの使用 等、冷暖房の付加を軽減する。 建物の高い位置と低い位置に開口部 を設け、温度差を利用した自然換気を 行う。 利点と課題 空気を汚染しない暖房システムであり、特に夜 間利用に有効であることから主に動物舎での 利用が可能である。 設備的に簡易なシステムであるが、大空間を十 分に冷やすことは難しい。計画地では空気の取 り入れ口となる森林を確保することが難しい ため、駐車場の地下部を利用し、年中一定の地 中熱を活用することが考えられる。 夏期の断熱効果が期待できるが、一般的に屋根 勾配を緩くする(2寸以下)必要があり、植物 の定期的な維持管理を行う必要がある。 冷暖房を予定する建築については、標準仕様と する必要がある。 コストもかからず効果は高いため、動物舎は基 本的に自然換気を考慮する。また、冬期の内部 結露対策としてファンによる強制換気の併用 も検討が必要である。 採否 ーンエネルギー自動車」等がある。 ○ ○ ○ ○ ○ 主な環境共生システム(設備編) 手 太陽光発電 (ソーラー発電) 風力発電 雪冷房 (雪氷熱利用) 木質バイオマス 中水利用 雨水利用 法 屋根面に太陽電池を設置した発電シ ステム。建物内の電気供給として活用 でき、PR効果も高い。 風力発電機による発電システム。 風力だけでは不安定のため、太陽光発 電等とのハイブリットが一般的。 貯蔵した雪の冷気を熱交換によって 夏期の冷房に利用する。 植物性廃棄物を薪やペレット化し、暖 房燃料として利用する。温風を床に回 し、床暖房としても利用可能。 主にトイレの汚水処理水等を循環再 利用する。 屋根の樋、側溝により雨水を集め、地 下ピットに貯留して、加圧ポンプによ り中水として供給する。 利点と課題 電力を得る自然エネルギー活用システムとし ては、最も普及している方法であり、技術的に も安定している。 太陽光発電と並んでPR効果も高いが、使用に あたっては、バッテリーが必要であり、通常5 年程度で交換が発生する。 システムは比較的容易であるが、雪を貯蔵する 雪室や雪を集めるための除雪車が必要である。 計画地では降雪量が少ないため難しい。 全市的な取組みを目指しているため、ペレット ストーブや、ペレットを燃料とする温水熱供給 のボイラーの活用が可能である。 防災公園として汚水処理水再利用にはメリッ トがある。いくつかの方式があるため、実績や 臭気、メンテナンス性に留意して選択する。 雨水再利用のための基準を満たすために、ろ過 設備等が必要となる。 採否 ○ △ × ○ ○ 図 新エネルギーの位置づけ 資料)財団法人 新エネルギー財団より ○ 119 第Ⅳ章 基本計画 ※2 ※1 ※1:自然に豊富に存在するもので、その活用が都市環境に対し生態学的に 有意な影響を与えないと考えられるエネルギー源を指す。具体的には 太陽・風力・地熱・水力・海洋エネルギー等 120 ※2:太陽光・風力・地熱・バイオマスなどの再生可能エネ ルギーのほか、廃棄物利用などによるリサイクルエネ ルギー、燃料電池やクリーンエネルギー自動車などの 従来型エネルギーの新利用形態などからなるエネル ギーの新しい概念。 第Ⅳ章 基本計画 121 第Ⅳ章 基本計画 図 次世代エネルギー配置計画図 122 第Ⅳ章 基本計画 2)給水設備 上水の給水設備については、園外西側の既存給水菅から引き込むことを想定し、各建築施設、園 内散水栓へと配水する系統を設定する。 なお、獣舎清掃やトイレ洗浄、動物プールや水モートへ補給水については、カキ殻装置による汚 水処理水を再利用し、上水使用量の低減を図る。 図 給水(上水・中水)設備系統図 123 第Ⅳ章 基本計画 3)排水設備 (1)雨水排水 雨水排水については、南側のエントランス・アジアの熱帯雨林とアフリカのサバンナの 2 エリア と北側のエリアの計 3 エリアに区分し、主園路沿いの幹線から園外西側の本管に接続し排水する。 夫婦池のオーバーフローについては、現状通り、西側の既存水路へ排水する。 図 雨水排水設備系統図 124 第Ⅳ章 基本計画 (2)汚水排水 獣舎清掃やトイレ洗浄による汚水については、カキ殻装置により汚水再利用を行うため、カキ殻 装置への排水系統を設定する。 カキ殻装置の特性として、水量の変動は少ないことが望まれるため、その要因となる動物プール や水モートからのオーバーフローについては、西側の汚水本菅へ排水する。 図 汚水排水設備系統図 125 第Ⅳ章 基本計画 4)電気設備 電気設備については、1 箇所 1 受電を基本に北側の管理棟に受電盤を設置し、既存電柱から引き込 む電気と水素供給燃料電池を併用し、各建築施設、照明、機械設備へ供給する。 図 電気設備系統図 126 第Ⅳ章 基本計画 5)ガス設備 ガスについては、飲食施設での使用を基本とし、西側の本菅から供給する。 図 ガス設備系統図 127
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