プラットフォーム戦争 投稿者:Dan Noal 2011/08/31 ここ数週間、モバイル市場とタブレット市場において、2 つの大規模な動きがありました。1 つは、Google が Motorola Mobility 買収の意思を明らかにしたこと、そしてその数日後には、HP が webOS ベースの電話機と TouchPad の生産を停止すると発表したことです。 Google のハードウェアメーカーを買収する動きは、メディアではずっと憶測を呼んでいました。Motorola Mobility はこれまでにもターゲットの可能性ありと報道されてきたので、Google の動きは寝耳に水というわけ ではありません。しかし、なぜ Android が世に出てからまもなく 3 年という今なのかという疑問が残ります。 Android の成長をおびやかす IP 訴訟から Android エコシステムを守ることの必要性について述べた、Android 業界のパートナー達(Samsung、HTC、Verizon など)のコメントについて考えてみましょう。そして、 Motorola Mobility がこの 10 年以上にわたり、モバイル業界で重要な各種特許を増やしてきたという事実をそ こに加えてみてください。 それでも、長期ビジョンに疑問を感じるというのは面白いことです。Google の背後を狙う主な競合相手が Apple ならば、なぜ Google は Android を最大限に活用する最先端のデバイス開発に集中しないのでしょう? 自ら開発するのか、群れからリーダーが出てくるのを待つのか、どちらの戦略がいいのでしょう?Android を 積極的に採用してきた多くの企業(Motorola Mobility もその主要な 1 社です)はどこも、Apple を打ち負かす ような非常に魅力的なデバイスを開発してきました。ところが、Apple の iPhone のような大成功を収めてい る Android デバイスはありません。今、鍵となる質問は、同時に答えを出すには時間がかかるであろう質問で すが、Google が最も力のある競合相手の 1 つを所有するようになった今、ハードウェアメーカーは Android プラットフォームの方向へどう動くのかということです。また、このことは進行中の対 iOS プラットフォー ム戦争にどう影響するのでしょう? HP が WebOS 電話と TouchPad の製造を停止するという動きも、驚きではないでしょう。その当時、Palm を買収しようとした HP の動きを批判し、決してバラ色の未来ではないことを予見した人もいました。しかし、 私にとっては、HP のニュースのタイミングはショッキングでした。HP は長期ビジョンを持ち、重要な業界 プラットフォームの 1 つを持つことに専念している企業であるように見えました。同社は、webOS にも投資 しており、webOS をベースとしたクラス最高の製品の実現に努力しているようでした。こうしたゲームは一 夜にして勝利を収めることはなく、また、Apple がトップを占め、Android が急増しているという状況では、 webOS の市場シェア獲得には、かなりの時間がかかるであろうことは明白でした。iPad 旋風は衰えを知らず、 当初から低かった TouchPad の売上高は、この先の道のりの長さを示すかのようでした。しかし、webOS プ ラットフォームの技術面は好評で、HP がその長い道のりを行くのだと、少なくとも私は納得しました(し、 そう思ったのは私一人ではありませんでした)。でもそれは間違いでした。 この 2 つに共通していることは何でしょう?それはどちらもプラットフォーム戦争にはお金がかかるというこ とをはっきりと示している点です。金額は非常に高額であるため、実際 Google は 125 億ドルを投資してプラ ットフォームを守り、HP はプラットフォーム全体を切り捨てるのではないが、それをベースとしたデバイス を育て開発することはしない(今のところは)と決めたのです。またどちらも、Apple が強力なリーダーの位 置をしっかりと占める、強大な相手であることを(データによって裏付けているかのように)示しています。 訴訟や訴訟の脅威を基盤として、Apple は Android の成功に直接の影響も及ぼしています(ヨーロッパにおけ る Samsung Galaxy の立場をみるとこれがよく分かります)。Android ベースのハンドセットメーカーが Microsoft に支払うという噂の IP ライセンス料金も、これに影響したとも考えられます。HP が競合相手とし て Apple(および Android)に向ける尊敬の念は、webOS ベースのデバイスへの投資を減らし、より収益性が 確実なビジネス分野にフォーカスを移すという決定の鍵であるかもしれません。 この 2 つのニュースに駄目押しするかのように、スティーブ・ジョブズ氏は Apple CEO の座をすぐに退くと 発表しました。Apple の長く語られてきた歴史は、類を見ない天才の力と先見の明という個人的な伝説だと言 うこともできますが、同様に、Apple という絶対的集団は、一人の男をはるかに超えた存在であると言うこと もできます。こうした市場における Apple の位置は現在非常に望ましく、その地位は少なくとも予測可能な将 来においては非常に強くありつづけるでしょう。 今後数カ月、進行中のモバイルプラットフォーム戦争はどうなっていくでしょうか?RIM や Blackberry OS は どうなるでしょうか?Windows Phone 7 やそれ以外のものについてはどうでしょうか?bada、MeeGo、その 他の生まれつつある新たなプラットフォーム参入組はどうでしょう?Motorola Mobility 買収と webOS デバイ スの撤退が私たちに何かを語りかけているとすれば、それは、Apple や Google 相手に戦おうとするのなら、 十分な資金と長期ビジョンを持って、全面戦争に備えよ、ということです。どのような展開になるのかを絶対 に見届けたいと思います。 Dan Noal は、モバイルおよびタブレット市場に関して全世界を担当するウィンドリバー社のシニアソリュー ションアーキテクトです。ウィンドリバー勤務 14 年以上ですが、現職の前は、ウィンドリバーのプロフェッ ショナルソリューション&サービス部門のモバイルサービスプラクティス担当でした。UCLA にてコンピュー タサイエンスの理学士、理学修士の学位を取得しています。 原文はこちら:http://blogs.windriver.com/mobile/2011/08/platform-wars.html
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