HIRAYAMA News

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April ,2015
Thinking Future Together...
Vol.45
外国人技能実習制度の抜本的見直し 新法の背景と最新動向 外国人技能実習制度を抜本的に見直す新法が、予算関連法案として3月6日に国会に提出されました。認可
法人の技能実習機構を新たに創設し、
「管理監督体制の強化」と「制度拡充」という両面を進めるの
が法案の柱。一昨年の秋口に官邸発で動き出した同制度の見直し論議は、その後、法務省と厚生労働省を中心
に進められ、両省が法案を共同提出しました。1993年の制定以降、入国管理法や労働関係法令の違反が絶え
ず、国内外から人権上の批判も挙がっていた同制度ですが、今回の見直しは優良な事業者には期間延長など柔
軟かつ現実的な仕組みも新たに盛り込まれています。見直しの経緯と背景、新法の要点と留意点を特集します。
外
国人技能実習制度は、日本の技能や技術、知識を開
発途上国へ移転し、経済発展を担う「人づくり」とい
新法の要点とポイント
これらを押さえたうえで、4月下旬にも審議入りする制度
う国際貢献が本来の目的です。法務省によると、同制度によ
の見直しの要点とポイントを整理します。
でみると、中国が69.1%と圧倒的に多く、ベトナム13.
1、
(現行)政府・当局間の取り決めがない。保証金を徴収し
す。20年余り続く制度ですが、これまで幾度も手直しが図
(見直し後)実習生の送り出しを希望する国との間で、政府・
る国内在留外国人は2013年末で約15万5000人。国別
9%、フィリピンとインドネシアが6.5%ずつとなっていま
られてきました。
政府の規制改革会議(岡素之議長)は13年10月、創業・
〇管理監督体制の強化策〇
ているなどの不適正な送り出し機関の存在。
当局間の取り決めを順次作成することを通じ、相手国政府・
当局と協力して不適正な送り出し機関の排除を目指す。
IT
(情報技術)分野の作業部会で、途上国の労働者を最長3
2、
(現行)監理団体や実習実施者の義務・責任が不明確で
度に延ばすことで大筋一致。その際、一部に実習制度が賃金
(見直し後)監理団体については「許可制」
、実習実施者につ
年間受け入れる外国人技能実習制度の受け入れ期間を5年程
不払いなど不正の温床になっているとの指摘が出たものの、
「優良事業者に限って延長を認めることで不正を防止できる」
との意見によって概ね方向性が確認されました。
これを受ける形で昨年6月の「日本再興戦略改訂2014」
に、実習制度管理監督のあり方の見直しに加え、15年中の
新制度への移行や実習期間の延長、受け入れ枠の拡大などが
明記されました。
あり、実習体制が不十分。
いては「届け出制」とし、技能実習計画は個々に「認定制」
とする。
3、
(現行)民間機関であるJITCOが法的権限のないまま
巡回指導。
(見直し後)新たな外国人技能実習機構(認可法人)を創設し、
監理団体などに報告を求め、実地検査するなどの業務を担う。
4、
(現行)実習生の保護体制が不十分。
このような官邸発で敷かれた流れを踏まえ、昨年11月1
(見直し後)通報・申告窓口を整備。人権侵害行為などに対す
人を委員とする「技能実習制度の見直しに関する法務省・厚
5、
(現行)業所管省庁などの指導監督や連携体制が不十分。
0日、法案化に向けた具体的な作業として労使と識者ら14
生労働省合同有識者懇談会」が設置され、計4回の会合を経
て今年1月30日に報告書がまとまったという経過です。
制度管理運用はJITCOから新機構へ
外国人技能実習制度の活用で、多くの企業経営者らが頭に
浮かべるのは、公益財団法人国際研修協力機構(JITCO)
の存在でしょう。
JITCOは法務、外務、厚生労働、経済産業、
国土交通の5省の共管で1991年に設立された財団法人で、
2012年に公益財団法人に移行しています。懇談会の報告
書には「財政上、新機構創設が難しい場合には JITCO内
に『組織』を設ける」との案も記されていますが、共同提出
する法務省と厚労省は新機構の創設で「新たな仕組み」を描
いており、創設にかかる経費を念頭に置いているために予算
関連法案となっているのです。施行は15年度内を予定して
います。
る罰則などを整備。実習先変更支援を充実。
(見直し後)業所管省庁、都道府県などに対し、各種業法な
どに基づく協力要請などを実施。これらの関係行政機関から
成る「地域協議会」を設置し、指導監督・連携体制を構築。
〇制度の拡充策〇
1、優良な監理団体などへの実習期間の延長または再実習
(見直し後)3年間から5年間(いったん帰国後、最大2年間
の実習)
。
2、優良な監理団体などにおける受け入れ人数枠の拡大
(見直し後)常勤従業員数に応じた人数枠を倍増(現行の最
大5%までを改め、最大10%までなど)
。
3、対象職種の拡大
(見直し後)地域限定の職種・企業独自の職種(社内検定の
活用)
、複数職種の同時実習の措置、職種の随時追加。
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