薬学生ニュース No.8

薬学生NEWS
information magazine for pharmacy students
No.8 2012年10月30日発行
発行: 公益社団法人 日本薬剤師会 発行人:児玉 孝
〒160-8389 東京都新宿区四谷3-3-1
富士・国保連ビル7F
TEL 03(3353)1170 [email protected]
6年制薬剤師誕生キャンペーン
市民シンポジウム
盛会に開催
シンポジウムの様子
ている。薬剤師も質の高
平成 24 年 8 月 5 日(日)
、イイノホール(東京・千代田区)
にて、
「命と暮らしを支える 〜医療と地域をつなぐ これか
い医療の提供のために
らの薬剤師像〜」をテーマに、標記シンポジウムが盛大に
日々研鑽しているところ
開催され、一般市民を中心に、薬学生、薬剤師、薬学部教
であるが、薬剤師養成に
員、高校生、製薬・卸・行政関係者など、約 400 名が出
関する薬学教育について
席しました。
は、更なる充実のため、
本シンポジウムについては、前号でも概要を紹介してい
教育年限が 4 年から 6 年
ますが、この春に薬学教育 6 年制課程を修了した初の薬剤
に延長され、この春 6 年
師が誕生したことを契機とし、広く社会に薬学教育や薬剤
制課程を修了した薬剤師
師の果たす役割等を紹介することなどを目的に、本会はじ
が誕生した。薬剤師の活
め、関係 6 団体の共催で開催されたものです。
躍する場は、従来から、薬の研究・開発・治験、医療現場
開催の挨拶を述べる本会児玉会長
薬学生NEWS No.8 CONTENTS
開催挨拶の中で児玉会長が
薬剤師の活動フィールド等につき紹介
6年制薬剤師誕生キャンペーン市民シンポジウム盛会に開催 … 1〜3
第45回 日薬学術大会において薬学生シンポジウムが開催 … 4〜5
開催に当たり、主催団体を代表し挨拶に立った本会児玉
薬剤師として初の厚生労働大臣 三井辨雄氏が本会を訪問 ……… 5
第24回 FAPA学術大会が開催 …………………………………… 5
会長からは、参加者への謝意と共に、
「現在医療現場では、
へき地・地域医療フィールドトリップ in 木屋平 …………… 6〜7
各医療職種が専門性を発揮して、患者に少しでも質の高い
日本薬学生連盟 交換留学プログラム ……………………………… 8
医療を提供できるよう、チーム医療の推進につき議論され
1
である病院・薬局等と多岐に渡っているが、一般にはまだ
更に今後超高齢社会を迎えるに当たり、薬の重みは増し、
知られていない部分もある。本日のシンポジウムは、薬剤
在宅・介護等で薬剤師の活動フィールドはますます広がっ
師が社会で果たしている役割等を広く紹介するために企画
ていくと思われる。薬剤師が医療の担い手として、薬を通
したものである。現在ロンドンオリンピック開催期間中だが、
し、今後より一層、国民の命と暮らしを支えていくことが
スポーツにおけるドーピング及び昨今社会問題になってい
できればと考えており、本日のシンポジウムが、その糧と
る違法ドラッグへの対応等で、薬剤師は大きな役割を担っ
なれば幸いである」などと、シンポジウムの趣旨説明及び
ている。また学校薬剤師は、将来を担う子供たちが、薬に
今後へ向けての抱負が述べられました。
関して良い環境の中で生活できるよう、日々尽力している。
シンポジウムでは6年制薬学教育、
薬剤師職能等につき熱く協議
その後、シンポジウムに移り、コーディネーター町永
俊雄氏(元 NHK 福祉ネットワーク キャスター)の司会
のもと、薬学教育、薬剤師職能等に関係する 5 名のパネリ
スト(3 頁の出演者の項参照)により、薬学部における教
育の現場や、病院や薬局等での薬剤師の活動現場での取材
映像を交え、ディスカッションが行われました。
第 1 部では、薬学教育が 6 年に延長された理由等が概説
されたうえで、6 年制薬学教育全般について協議され、昭
和大学中村教授からは、実務実習が長期化し、実習中に多
シンポジウムの様子を真剣に聴講する参加者達
軽快な司会で、ディスカッションをリード
した町永コーディネーター
薬学部教員の立場から、6年制薬学教育、 医師の立場から、チーム医療における薬
実務実習等について解説した昭和大学 中 剤師の役割及び期待等について述べられ
村教授
た、東京女子医科大学 笠貫名誉教授
病院薬剤師として、病院での薬剤師の活
動等について解説した国立がん研究セン
ター東病院薬剤部 松井調剤主任
薬局薬剤師として、薬局薬剤師が地域や
在宅で果たしている役割等について解説
した、日本薬剤師会 安部常務理事
2
市民の立場から、薬との関わり方、薬剤
師への期待等について述べられた、NPO
法人ささえあい医療人権センターCOML
山口理事長
職種と深く交流するといったことも可能になったので、そ
フレットやガイドブック等が、参加者が自由に持ち帰られ
のような経験を通じ、学生の中に薬剤師としてのやりがい
る形で展示されていました。シンポジウムの開始前や休憩
が芽生えるようになるのではないか、などとコメントされ
時間等に、大学受験を控えた子を持つ親等が、大学のパン
ました。また、医師である東京女子医科大学 笠貫名誉教
フレットをカバン一杯にして持ち帰る姿が多くありました
授からは、臨床現場で薬を有効かつ安全に使用することの
が、中には高齢の薬学部 OB の方で、母校のパンフレット
難しさを常々感じてきたが、今般薬学教育が 6 年制となっ
に懐かしそうに見入る姿も見られました。
たことをきっかけに、薬剤師がチーム医療の中で、薬のス
ペシャリストとして、その能力をいかんなく発揮していく
シンポジウムの模様は後日
NHKにて全国放映
ことを期待したい、などと薬学教育及び薬剤師への期待が
述べられました。
続いての第 2 部では、主に病院及び薬局等医療現場での
最終的に、この日のシンポジウムは、パネリストの活発
薬剤師の活躍について協議されました。病院薬剤師である
な発言を受け、大きな盛り上がりの中、午後 4 時に予定通
国立がん研究センター東病院薬剤部の松井調剤主任からは、
り無事終了しました。当日参加者に実施したアンケートで
自院でのチーム医療における薬剤師の役割が解説されると
は、
「チーム医療の重要性とそれに係る薬剤師(薬のスペシャ
共に、医療人として責任感を持つことの重要性や、患者に
リスト)としての必要性を深く感じた。今後の薬剤師の活
対し分かりやすい説明を心がける等の配慮が薬剤師として
躍に期待する」(男性・50 代)、
必要である、などと述べられました。また、薬局薬剤師で
「新しい薬剤師像がはっきりイ
ある本会安部常務理事からは、疑義照会の意義やセルフメ
メージできた。今までとは違っ
ディケーションにおける薬局薬剤師の役割が解説されると
た視点で、また共通の立場で健
共に、高齢社会を見据え、在宅に薬局薬剤師が関わってい
康ということにかかわっていき
くことの重要性等について発言がありました。更に市民及
たい」
(女性・60 代)などといっ
び患者の立場で出席した、NPO 法人ささえあい医療人権
たコメントが寄せられました。
センターCOML の山口理事長からは、かかりつけ薬局を持
なお本シンポジウムについて
つ意義等が説明されると共に、薬剤師の専門性や業務を、
は、収録のうえ、9 月 15 日(土)
患者はまだ十分には知っていないので、そうした点を広く
に NHK(E テ レ)に て 全 国 放
患者等にアピールして頂きたい、などと要望が述べられま
映されました。
会場となったイイノホールを
有する飯野ビル
した。
なお、第 2 部の中では、
「おくすり Q & A」と題し、薬
【プログラム内容】
の飲み方等について一般市民から寄せられた質問に、パネ
リストが回答するコーナーもあり、参加者が、パネリスト
主催者挨拶
児玉 孝(公益社団法人日本薬剤師会 会長)
の回答を、熱心にメモする姿が見られました。
第1部
•私たちにとって薬とは
•6年制薬学教育への期待
展示された薬科大学・薬学部の
パンフレット等も好評を博す
〜休憩〜 15分
第2部
•チーム医療の中の病院薬剤師
〜求められる薬のスペシャリストとは〜
•地域の中の薬局薬剤師
〜患者に寄り添い 暮らしを支える〜
この日は、会場外のスペースに、薬科大学・薬学部の紹
介や薬学教育関連団体等の活動案内のため、それらのパン
【出演者】
⃝パネリスト(5名)
•中村 明弘(昭和大学薬学部 薬物療法学講座
薬剤学部門 教授)
•笠貫 宏(東京女子医科大学 名誉教授) •松井 礼子(国立がん研究センター東病院 薬剤部 調剤主任)
•安部 好弘(日本薬剤師会 常務理事)
•山口 育子(NPO法人ささえあい医療人権センター
COML 理事長)
⃝コーディネーター
•町永 俊雄(元 NHK福祉ネットワーク キャスター)
展示された大学等のパンフレットを興味深そうに手にする参加者
3
第45回 日薬学術大会において薬学生シンポジウムが開催
「異なる視点から学ぶチーム医療」
テーマは
医師・看護師・薬剤師に加え
医学生も参画
平 成 24 年 10 月 8 日(月・祝)
、本
会第 45 回学術大会(静岡県浜松市)
の公開シンポジウムとして、日本薬学
生連盟主催による、標記シンポジウム
がアクトシティ浜松コングレスセン
ターで開催され、合計で約 100 名が
出席しました。本シンポジウムは、企
画から当日の運営まで、全て薬学生自
身の手により執り行われたものです。
本シンポジウムでは、実際の医療現場
でチーム医療に関わる医療人の声を聞
シンポジウム終了後の集合写真
くため、同じ病院に勤務する医師、看
護師、薬剤師にパネリストとして参加
の医療にとって大変重要なものであり、
して頂くと共に、後半のグループディ
そうした意味で、本日のテーマは大変
スカッションでは、薬学生の他、いく
タイムリーなものである。学生の皆さ
つかの班では医学生も交えて、チーム
んは、是非将来、本日の経験をチーム
医療につきディスカッションを行いま
医療の推進に役立てていただきたい。
した。
なお今回のシンポジウムは、他職種等
チーム医療は、大変タイムリーな
テーマと日薬児玉会長
も交えたシンポジウムということで、
企画から本日の開催にいたるまで、松
崎哲郎実行委員長をはじめとするス
シンポジウムの企画及び司会を担当した松
崎実行委員長
当日は、はじめに地元静岡県薬剤師
タッフには、様々な苦労があったと思
会の曽布川会長、及び本会児玉会長よ
われる。本日は、スタッフの方々もリ
合いの経験はほとんど無いのが実情で、
り、挨拶が述べられました。本会児玉
ラックスして、有意義な時間を過ごし
他学部の学生との交流イベントへの参
会長からは、
「チーム医療は今の日本
ていただきたい。」などと、学生に激
加を望む声が多数ある。今後、そうし
励の言葉が送られました。
たイベントを開催することが、学生の
医学生、
看護学生、
薬学生対象の
アンケートでは、
合同でのイベントを望む声が多数
その後、松崎委員長より主催者を代
表しての挨拶及びシンポジウムの趣旨
説明が述べられ、プログラムに入りま
挨拶を述べる静岡県薬剤師会曽布川会長
学生に激励の言葉を送る本会児玉会長
チーム医療への理解を進めるきっかき
になるのではないか。」といった所感
が述べられました。
現場の医師・看護師・薬剤師からは
チーム医療の取り組み事例が
詳細に紹介
した。プログラム第 1 部は、本シンポ
続 い て プ ロ グ ラ ム 第 2 部 に 移 り、
ジウムのために事前に実施した、チー
『チーム医療の取り組み紹介』と題し、
ム医療に関する医学生、看護学生、薬
静岡県立総合病院の医師である松本氏、
学生に対してのアンケートの結果報告
看護師の岩山氏、薬剤師の中桐氏の三
で、主な設問は、〇他の医療系学部の
者から、チーム医療における各医療職
カリキュラムの認知度、〇他の医療系
種の役割等が概説されました。この日
学部の友人とのチーム医療に関する話
は更に、チーム医療としての具体的取
し合いの経験の有無、といったもので
り組み事例についても、実際の患者の
した。同委員長からは結果報告に加え、
症例やレントゲン写真が示されたうえ
「他の医療系学部に友人がいる学生自
体は多いが、チーム医療に関する話し
4
で解説があり、参加者は三者の話に、
真剣に聞き入っていました。
この日、見学のため参加した薬学生にもKJ
法のカードが配られ、飛び入りで議論に参
加できるように運営された。写真は、カード
が貼り付けられたボードを前に、チーム医療
について協議する様子
医師の松本氏、
看護師の岩山氏、
薬剤師の中
桐氏からは、チーム医療の中で各医療職が
果たす役割につき、
具体的な説明がなされた。
ディスカッションでは傍聴の
薬学生も加わり活発に意見交換
引き続いては、最後のプログラムで
ある第 3 部のディスカッションに入り
ました。ディスカッションでは 5 つの
班で、KJ 法を用い、
『患者を身体的にも、
各班のディスカッションの様子(上下共)
精神的にも健康にすべく、よりよいチー
力の研鑽が必要、○自分の専門分野は
ム医療を展開するためには医療スタッ
当然として、他職種、つまり薬剤師・
フは何をするべきか?」をテーマに協
看護師等であれば医学といったように、
議されました。なお、この日は、傍聴
他職種の基礎知識を身につけておくこ
のため参加した薬学生も、飛び入りで
とも大切ではないか、といった意見が
協議に参加できるよう、KJ 法のカー
あったことが報告されました。なお、
ドが渡され、カードに思い思いの意見
各班の発表に対する質疑では、薬学生
を書き込み、そのカードを臨時に用意
以外に薬剤師等からも熱心な質問が投
されたボードに貼り付け、他の薬学生
げかけられていました。こうして、大
達と和やかなムードの中で意見を交わ
きな盛り上がりの中、ディスカッショ
していました。その後、前出の 5 つの
ンも含めた全体プログラムが無事終了
班で、メンバーの意見が模造紙にまと
し、松崎委員長から、「本日出席の学
と思います。そうしてもらえたなら、
められ、班単位で発表が行われました。
生の方は、まだしばらく学生生活が続
本日のシンポジウムは大成功と言える
発表では、○薬剤師はまず、自身の専
くと思われますが、是非本日のシンポ
かと思います。」などと総括が述べら
門である薬に対し深い知識を身につけ
ジウムの経験を活かし、今後とも将来
れました。これをもって散会し、薬学
ることが何より重要、○チーム医療推
のチーム医療の推進に向け、チーム医
生達は近い将来の再開を約束し、それ
進のためには、コミュニケーション能
療について学んでいっていただければ
ぞれ帰路につきました。
皆で協力しディスカッションの結果を発表
会場からも活発な質問が
薬剤師として初の厚生労働大臣に三井辨雄氏が就任
第24回FAPA学術大会(インドネシア)が開催
野田佳彦首相は平成24年10月1日に内閣改造を行い、野田第
三次改造内閣を発足させましたが、厚生労働大臣には、三井辨雄
(みつい わきお)氏が薬剤師議員としてはじめて就任しました。
三井大臣は北海道出身で昭和薬科大学薬学部を卒業されています。
同大臣は、10月10日午後、糸川正晃厚生労働大臣政務官と共
に、東京・四谷
の本会事務所
を訪問し、本会
児玉会長をは
じめとする役員
と、チーム医療
や薬事行政全
般につき懇談し
ました。
アジア薬剤師会連合(FAPA:本部フィリピン)の第24回学術
大会が、平成24年9月13日(木)から16日(日)にかけてインドネ
シア共和国のバリ島において開催され、日本からも多くの薬学生
が参加しました。大会期間中は、様々な分科会や発表に加え、地
元インドネシアの薬学生の企画による、薬学生シンポジウム等も
企画され、日本の薬学生は、アジアの薬学生と、交友を温めてい
ました。次号では、参加された薬学生の皆さんによるレポートの
掲載を予定しています。ご期待ください。
本会を訪問
−日本の薬学生も多数参加し各国の薬学生と交流−
本会役員と懇談する三井大臣(写真一番左側)
学生プログラムに参加した各国薬学生の集合写真
5
へき地・地域医療フィールドトリップ in
木屋平
日本薬学生連盟 公衆衛生委員長 小 路 晃 平
平成 24 年度公衆衛生委員長の小路
晃 平 で す。2012 年 8 月 23 日、24 日
の一泊二日で “ 第三回へき地・地域医
療フィールドトリップ in 木屋平 ” を徳
島県美馬市木屋平にて開催しました。
今回は、3 人の薬学生が NPO 法人山
の薬剤師たちの運営するこやだいら薬
局と、木屋平診療所にて実習を行いま
した。NPO 法人山の薬剤師たち理事
長の瀬川正昭先生、ありのままの医療
を見せてくださった大林秀樹先生、美
馬市国民健康保険木屋平診療所の藤原
真治先生、木屋平の方々には大変お世
話になりました。
山に囲まれて生活する住民
へき地・地域医療が学べる
企画を開催した理由
区域内に人口 50 人以上が居住してい
山間へき地の木屋平
る地域であって、かつ、容易に医療機
関を利用できない地区)、無医地区に
医師にはへき地・地域医療が学べる
研修プログラムがあり、地域医療に興
へき地と聞いて、どのような地域を
準じる地区、へき地診療所が開設され
味を持つ学生は各地域で学ぶことが出
イメージされるでしょうか?へき地に
ている地区等が含まれる』と定義され
来ます。しかし、薬剤師にはそういっ
は定義があります。簡単に説明すると
ています。しかし、高齢化が進み人口
た研修プログラムはありません。地域
『交通条件及び自然的、経済的、社会
が 50 人未満になる地域が増え、へき
医療に興味を持つ学生が学ぶ機会がな
的条件に恵まれない山間地、離島その
かったこと、また多くの薬学生にへき
他の地域のうち、医療の確保が困難で
徳島県美馬市木屋平は、現在人口
地・地域医療に興味を持つ機会を作り
ある地域で、無医地区(医療機関のな
831 人、高齢化率が 50%の山間の地
たいと思い、この実習プログラムを企
い地域で、当該地域の中心的な場所を
域で、医療機関は、診療所が 1 軒ある
画しました。
起点として概ね半径 4 キロメートルの
のみです。入院施設のある最寄りの医
大林先生の講義を受ける学生
地が減ってきています。
地域のサロン活動。写真は、地元住民の方に対する
目薬のさし方についての講習での一コマ
6
療機関までなんと山道を車で 50 分は
てくれるからありがたい。以前よりも
かかります。
薬が飲みやすくなった。わからないこ
とがあれば、薬局でなんでも教えてく
うどん屋さんの空き家を
改装して作った薬局
れるから助かっているよ』とおっしゃっ
ていました。
実習スケジュール
8月23日
午前 診療所実習、訪問看護実習
午後 薬局実習、在宅訪問
8月24日
一包化調剤の必要性の増加などから
午前 在宅訪問
午後 地域サロン、発表会
こやだいら薬局は、うどん屋だった
薬に関する業務が増え、在宅医療にお
家を改装して薬局にしていました。民
ける医薬品に関しての業務など薬剤師
家のような風貌は、看板がなければ薬
がいることで質が向上することは確か
ていただき、地域の方と薬の適正使用
局だとわかりません。そのため、薬局
であり、医師や看護師が本来の業務に
について学びました。会話をするたび
の雰囲気は家のように落ち着けます。
力を入れることができることは間違い
に、薬の疑問が地域の方から沢山でて
地域のニーズにこたえるOTC 薬が最低
ありません。
きたのが印象的でした。最後に、今回
限置かれ、介護用品もあります。周り
に薬局がないため、こやだいら薬局は
学校薬剤師としての役割も果たしてい
ます。
の実習で学んだことをこやだいら薬局
で発表させてもらうことができました。
地域と共に生き、
地域を支える薬局
1 日目の午後、2 日目の午前は大林
地域から聞こえる、へき地に
おける薬剤師の必要性
最後に
先生に同行し在宅訪問実習を行いまし
た。大林先生は患者宅に着くと家族と
地域を支えるには多職種連携が非常
協力して犬のダニ駆除をしていました。
に重要です。薬局、薬剤師のいない地
1 日目の午前は、診療所で外来を見
薬剤師がそこまで?と考える方もいる
域では表面的に薬の仕事を他の医療従
学しました。地元出身の看護師さんは、
と思いますが、家の衛生環境や生活環
事者が行っている現状ですが、木屋平
『地域の情報は診療所に集まってくる
境から薬剤師は治療を行っています。
では薬局、薬剤師が存在することで他
から、大体のことはわかる』とおっ
くん煙剤を使用する際も、ヘルパーや
の医療従事者は本来の業務に専念出来
しゃっていました。
看護師と相談しながらタイミングを合
ており、薬剤師がいることで薬を正し
看護師の方に 2010 年に開設された
わせていました。患者さん一人一人の
く服用する患者さんも増えています。
薬局について、どう思うかをインタ
物語にふれ、多職種が協力し合い地域
多職種連携の現場は病院だけではなく、
ビューすると『当時、薬局ができたと
を支えていることを感じることができ
地域で積極的に行われています。私達
きは何をしてくれるのだろう?と思っ
ました。2 日目の午後からは、大林先
学生は、そうした素敵な場で今後も学
たけれど、在宅医療でも薬を飲もうと
生が発表する地域のサロンに参加させ
べたらと思います。
する患者さんの数が増えてすごく助
かっている』とおっしゃっていました。
と『薬局では薬について詳しく説明し
日本薬学生連盟(APS-Japan)
〒106-0032 東京都港区六本木3-6-8谷川ビル2F
Email:[email protected] HP: http://apsjapan.org
在宅の現場にて浮腫の状態を確認する筆者
木屋平薬局の前にて
待合室で患者さんにインタビューする
7
日本薬学生連盟(APS-Japan)
交換留学プログラム(Student Exchange Program)
留学生の皆さん、
ようこそ日本へ、
そして関西へ
今年も夏休みには日本にイラン、スペイン、台湾、カナダから薬
学留学生計6名がやってきました。そのうち3人は関西で受け入れ、
8月20日から9月4日の間に、学びあり、遊びあり、涙ありの交換留
学プログラム(SEP)が行われました。イランからBahar Bassami、
Minoo Ahanchian、スペインからSara Serranoの美人留学生で
す。神戸学院、立命館、大阪大谷が受け入れに協力してくれました。
日本薬学生連盟の交換留学委員会は、IPSF(国際薬学生連盟)
という組織と連携して、SEPを毎年開催しています。今般この委員
会で受け入れに携わり、留学生と交流した3名に、レポートを寄稿
製薬企業の工場を見学
してもらいました。
●交換留学委員長 摂南大学 5年 荒木 輝春
●立命館大学 2年 梅崎 優志
関西で初めてのSEPでスタッフも全員初心者、大変でしたが、受
26〜30日は立命館の受け入れ期間でした。
け入れ準備から終始、英語で思いを伝えようと必死に頭を使い、貴
初日は英語を聞き取るので精一杯で十分なコ
重な経験ができました。
ミュニケーションができませんでしたが、病院、
関西では大学研究室めぐり、漢方薬局、老人ホーム、病院見学を
工場見学、観光などを共にするうちに、最終日
行い、国ごとに違う薬学事情や、日本の薬学部が6年制になった経
にはガールズトークができるレベルにまで成
緯など、熱く語り合いました。とくにスペインでは5年で卒業した後
長していました。海外の薬学生と交流という貴
に薬局などで給料をもらいながら研修として働くことができ、研修
重な体験を経て、自分の力不足や海外の情報
後は薬局で働きながら臨床研究もできる制度らしく、驚きました。
を知ることができました。何よりも3人とも個
ホームステイ先での最後の夕食では、スペイン料理、イラン料理、
性的で、彼女たちと出会えたのは生涯の宝です。
3人が大好きなお寿司といった3か国の料理を囲み、とても盛り上
がりましたが一方で最終日だと思うと泣いてしまいそうでした。
このSEPを通して、国際的な興味はより強くなり、来年は私自身
も海外へSEPで留学しようと思いました。
●神戸学院大学 1年 三谷 太郎
SEPを通して日本人にも英語で話してしま
うほど英語脳になっていました。知らない単語
や言い回しなど、生きた言葉に触れることがで
きとても刺激となりました。そして、普通なら
めったに交流できない、スペインやイランの薬
学生と話すことで、普段では知りえないことを
知り、視野を広げることができました。今後、
さらに視野を広げるためにこのSEPで海外へ
行ってみたいと思うようになりました。
漢方薬局の見学
神戸学院大学の
研究室めぐり
日本薬学生連盟 HP: http://apsjapan.org/
お問い合わせ:[email protected]
立命館大学の学生と京都観光
8