「皮膚科無料相談会」を終えて - 一般社団法人広島県医師会

昭和
年
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日 第
種郵便物承認
広島県医師会速報(第
号)
年(平成
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「皮膚の日」関連行事
「皮膚科無料相談会」を終えて
日本臨床皮膚科医会広島県支部 岩 崎 泰 政
皮膚科を専門とする臨床医の全国団体である日本臨床皮膚科医会は、 月 日(イイヒフ)
にちなんで「皮膚の日」を制定し、全国の支部単位で市民に皮膚病を理解し、皮膚の健康を
保ってもらうためのさまざまな活動を行っている。広島県では日本臨床皮膚科医会広島県支
部と広島皮膚科医会が共同で、毎年「皮膚科無料相談会」を広島市健康づくりセンターで開
催している。平成 年度は昨年 月 日掌に 回目の相談会を開催したが、継続した地道な
活動でもあり、市民に受け入れられた有益な活動と考えている。今回も本年度の皮膚科相談
の事例の背景や内容を検討したので報告する。なお 月 日掌に開催された第 回日本皮膚
アレルギー・接触皮膚炎学会総会学術大会での市民公開講座の共催も行った。
皮膚病に関して悩んでいるが、医療機関を受
診した方がよいか、また受診するのであればど
の診療科がよいのかわからない、あるいは現在
医療機関に通院中であるがセカンドオピニオン
を求めたいと考えている患者は多い。今回の
「皮膚科無料相談会」では気軽に相談できる環境
に加え、回答者も広島大学病院、広島市立安佐
市民病院、厚生連広島総合病院、呉医療セン
ターの 名の皮膚科専門医に、アレルギー疾患
や皮膚外科などそれぞれ専門分野が違う皮膚科
医で構成することで、できるだけ幅広く有益な
回答やアドバイスを提供できるようにした。ま
た日常の診療では難しい家族の代理による相談
も受け付けた。
相談に訪れた人は午前中の 時間の相談時間
で、男性 名、女性 名で女性が多く、合計人
数の 名は特に多かった昨年の
名よりは少
ないが、一昨年の 名より多く、ほぼ平年並み
であった。 年以上毎年本相談会を開催してい
るにもかかわらず、依然として皮膚病に対して
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不安や疑問を抱いている方が潜在的に多いこと
が明らかとなった。相談に来られた方々の年齢
は、 歳未満が 名、 代は 名、 代は
名、 代は 名、 代は 名、 代は 名、
代は 名、 代は 名、 代は 名であり、
代と 代は少ないがそれ以外の年代はほぼ 人
以上が訪れた。とくに職場において現役を引退
した 代は 名と最多であった。また親や祖父
祖母と同伴で相談に来られた 歳未満も 名い
た。居住地域は会場の広島市中区が 名で最も
多く、次いで西区が 名、佐伯区は 例、東区
が 例のように会場から近い旧広島市街地が多
かった。さらにやや遠い安佐南区が 名、南区
が 名、安芸区が 名、府中町が 名、安佐北
区が 名であった。また市外では廿日市市、呉
市、岩国市がそれぞれ 名、さらに江田島市や
遠く福山市からも 名相談に来られ、相変わら
ず相談会への関心の高さがうかがえた。
本相談会を知った方法は、重複回答も含める
が半数の 名が新聞の広告や記事であり、テレ
ビも 名と多かったが、ラジオは 名しかな
かった。なお市の広報誌は 名で去年の 名か
ら大きく減少し、来年度の課題となったが、こ
の つのマスメディアで大半を占めたことにな
る。今回も前々回の反省から、事前にテレビ局
やラジオ局、新聞社というマスメディアへの働
きかけを積極的に行ったことが功を奏したと考
えられ、今後も多くのメディアを利用した広報
活動が必要である。ただし知人より教えても
らった方が 名、病院や医院の待合室や会場で
ある広島市健康づくりセンターに掲示されてい
たポスターで知った方も 名おり、地道な働き
かけも有効であった。
相談者 名のうち 名(複数回答 名を含
む)は、すでにどこかの皮膚科を受診しており、
そこでの診断・治療内容に対してセカンドオピ
ニオンを求めての受診と考えられた。また皮膚
科以外の医療機関で診療を受けた方は 名で、
内科 名、小児科 名と少なく、薬局で市販薬
を購入し治療している方も 名にとどまり、皮
膚科の診療科は皮膚疾患においてはすでに認知
されており、その専門性も浸透していることが
わかった。ただし、まだどこの医療機関にも受
診していないで、市販薬でも治療していない方
が 名もいた。後述するが、そのうち 名は皮
膚科を受診し治療してもらうことが妥当と判断
され、受診を勧めることができたことからも、
今回の気軽に相談できる環境を整えていること
が影響し、本相談会が相談に来られた方にとっ
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て有益であったと考えられた。
相談内容は複数回答も含め、最も多かったの
はホクロを含む色素性母斑や青色母斑の 件で、
鑑別となる脂漏性角化症(老人性疣贅)も 件
あり、爪下血腫の 例も含め、黒色調の色素斑
か腫瘤でホクロのがんである悪性黒色腫などを
心配して相談に来られた。いずれも臨床的に悪
性化が疑われる症例はなく、説明を受け安心さ
れた方が多く、本相談会の意義があったと考え
られた。さらに前述以外に線維腫や粉瘤、老人
性脂腺増殖症、アクロコルドンなどの良性腫瘍
が 件、レーザー治療の適応となりうる扁平母
斑や血管腫・毛細血管拡張症が 例など、母
斑・腫瘍は全体で 件と最も多かった。瘢痕・
肥厚性瘢痕やリンパ浮腫の 件を含め皮膚外
科・形成外科領域の相談は相変わらず多く、手
術治療やレーザー治療を希望される方は対応可
能な施設への受診を勧めた。一方、皮膚疾患で
最も一般的な慢性湿疹は 件、脂漏性皮膚炎
件、皮脂欠乏性湿疹 件、手湿疹 件、貨幣状
湿疹、乳児湿疹、小児乾燥性皮膚炎、口唇炎、
ビダール苔癬が各 件などアレルギー疾患以外
の湿疹・皮膚炎群は 件と腫瘍・母斑に次いで
多かった。なお本来は湿疹・皮膚炎群に属する
がアレルギー疾患であるアトピー性皮膚炎は
件、接触皮膚炎 件であったが、アレルギー性
皮膚疾患の代表的な尋麻疹の相談はなく、昨年
同様にアレルギー疾患の相談は少ない傾向に
あった。日常診療ではこれらの疾患は多いこと
から、すでに皮膚科などの医療機関で問題なく
加療されていることが推察された。
角化症では尋常性乾癬が 件、足底角化症
件、鶏眼・胼胝が 件、汗孔角化症 件、単純
性粃糠疹 件、毛孔性苔癬 件の合計 件で
あった。皮膚付属器に関する疾患では、陥入爪、
栄養障害や外傷による爪変形など爪の疾患が
件、尋常性ざ瘡や皮脂欠乏症などの脂腺の疾患
が 件、汗疹や汗疱などの汗腺の疾患が 件、
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脱毛症など毛髪の疾患が 件で、付属器全体で
件であった。皮膚感染症では、尋常性疣贅な
どのウィルス感染が 件、足爪白癬などの真菌
感染が 件、細菌感染症はなく皮膚感染症が全
体で 件であった。色素異常症では尋常性白斑
件、炎症後色素沈着症 件であった。他には
膠原病に関してSLEが疑われる重篤な凍瘡様
皮疹や皮膚筋炎が 例ずつ、また日光過敏症が
件、ハチ刺症が 件、ASOに伴う末梢循環
障害が疑われた症例が 件であった。例年と同
様に尋常性乾癬、毛孔性苔癬、ビダール苔癬、
脂腺増殖症、汗孔角化症など難治な疾患や皮膚
科専門医の診断が必要な疾患も多くあり、全般
に分類も多岐にわたった。
相談後の指示は、十分説明し納得してもらい
現在の治療を継続するのが良いと判断したのは
件、皮膚科専門医の診断や治療が必要、ある
いは転医が望ましいと考え、近医皮膚科を紹介
したのは 件、そのまま経過観察がよいと判断
したのは 件であった。
平成 年から毎年継続して開催されている相
談会であるが、近年広島近郊では皮膚科の医療
機関は増加しているにもかかわらず、毎年 名
から
名の相談をコンスタントに受けているこ
とから、依然相談会への関心が高いと考えられ
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た。相談内容はほぼ例年通りであるが、少しず
つ時代にあった疾患やマスコミからの情報によ
り話題となった疾患を中心に変化が見られる。
とくに悪性化を心配したホクロや皮膚腫瘍に関
する相談がここ数年多く、皮膚がんへの関心が
高いことが明らかとなった。今回の結果から得
られた情報を検討し、今後の会員の診療や皮膚
科医会の活動に役立てていく所存である。
さらに今年は、広島大学医歯薬総合研究科皮
膚科学の秀道広教授が、広島国際会議場で開催
された第 回日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎
学会総会学術大会の一環で、 月 日掌に中国
新聞ホールで「親子で学ぶ皮膚アレルギー」と
いうテーマで市民公開講座が開催されたが、そ
の共催を担った。公立学校共済組合関東中央病
院皮膚科部長の日野治子先生に「皮膚にもアレ
ルギーが起こるの?」、また東京逓信病院皮膚科
部長の江藤隆史先生には「成人のアトピー性皮
膚炎の原因と対策・その標準治療の普及の重要
性」というタイトルで講演していただいた。当
日は
名の一般市民に有益なお話をしていただ
き、市民への皮膚アレルギーの啓蒙も含め充実
した活動の協力ができた。
最後に無料相談会にご共催いただいた財団法
人広島原爆障害対策協議会・広島市健康づくり
センター、ご後援いただいた広島市、広島市医
師会、日本臨床皮膚科医会、日本皮膚科学会西
部支部、厚生労働省、日本医師会、NHK、中
国新聞社、NHK広島放送局、中国放送、広島
ホームテレビ、テレビ新広島、広島テレビ、ご
協賛いただいた製薬会社の皆さま、また相談会
の実施にあたり、終始ご指導ご援助いただいた
広島県原爆障害対策協議会の真田幸三先生なら
びに佐々木英夫先生に、この誌面をかりて深謝
させていただきます。
保健医療機関および保険薬局の指定申請の締め切りが、
平成 年 月から変更となりました。
月から変更となります。
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平成 年 月から変更となりました。
月から変更となります。
毎月
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日締め切り、翌月
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日指定
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中国四国厚生局
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